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二酸化炭素排出削減?原子力発電の推進姿勢を強める安倍政権

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福島第一原発事故の検証と収束が終わらないまま、再稼働にのみ力を注ぐ安倍政権

福島第一原発事故は『もう忘れても良い問題』なのか?

                  

             

山口まり / AP通信 / ワシントンポスト 2019年6月7日

              

安倍政権が採択したエネルギー白書は、2011年に発生した福島第一原発のメルトダウン事故が完全に収束していないにもかかわらず、再生可能エネルギーだけではなく原子力発電の推進も盛り込まれています。

                 

安倍首相が率いる日本政府は2011年に発生した福島第一原発のメルトダウン事故が完全に収束していないにもかかわらず、再生可能エネルギーに加え原子力発電を推進することにより、二酸化炭素排出量を削減する取り組みを行うように求めています。

                

6月7日金曜日に安倍内閣が採択したエネルギー政策文書は、電力会社がよりクリーンな原子力による発電量の不足を補うため火力発電所に大きく依存していることにより、日本は二酸化炭素の排出量削減という課題について緊急事態に直面していると述べました。

                      

福島第一原発事故により国家的危機に直面した日本では原子力発電所の運営についてそれまでよりも厳しい安全基準が採用され、条件を満たさない原子力発電所は停止させられています。
そして福島の事故以降、原子力発電に反対する国民が多数を占めるようになりましたが、安倍政権はゆっくりとではありますが国内の原子力発電所の再稼働を続けています。

                

日本は2030年までに国内の電力供給における再生可能エネルギーのシェアを16%から22~24%に引き上げる一方、2017年時点で3パーセントにまで落ち込んだ原子力発電のシェアも20~22%に引き上げようとしています。
現在石炭と天然ガスによる火力発電のシェアは日本の電力供給の74%を占めています。
巨大地震と千年に一度と言われる津波によって福島第一原子力発電所の冷却システムが破壊され、3基の原子炉がメルトダウンした2011年の事故発生までは、原子力は日本の電力供給量の約3分の1を占めていました。

               

安倍政権は世論がどうあろうとも原子力発電を推進するという姿勢を強めていますが、原子力規制当局が福島第一原発事故によって厳格になった安全基準の下での審査手続きを慎重に進めているため、日本国内の原子炉の再稼働はゆっくりとしか進んでいません。

                 

一方で各電力会社は新しい安全基準に適合させるために多額の追加出費を行うよりも、老朽化した原子炉については廃炉にするという選択を行いました。
その結果日本国内の稼働可能な54基の原子炉のうち、ほぼ半数について廃炉の方針が廃止措置に指定されており、事故以来運転を再開できたのは9基にとどまっています。

               

国内の原子炉の再稼働が思うように進まないことにより、使用済み燃料から抽出されたプルトニウムの再利用も滞り、その備蓄量の増加が問題になっています。
日本は核燃料サイクル計画が行き詰まった後、従来型の原子炉でプルトニウムをもやすという方法で47トンの備蓄を減らしたばかりです。
その量があれば核弾頭6,000発を生産することができます。
しかし備蓄量全体を見ると減少してはいません。
専門家たちは現在、日本政府による核不拡散の呼びかけには信頼が欠如していると批判し、備蓄量を減らすためのより徹底的な措置を求めています。

               

フランスとイギリスには日本国内での処理能力を超えた際に処理を委託した約37トン使用済み核燃料が貯蔵されています。
日本国内での再処理の中心になるのは六ケ所村にある再処理プラントですが、プルトニウムと使用済核燃料は貯蔵はされているものの実際の再処理は行われていません。
10トンのプルトニウムについては国際原子力機関(IAEA)の監視下にあり、核拡散の危険性はないとされています。

             

日本の政策研究グループである笹川平和財団は今週、プルトニウムの備蓄量を多くとも2~3トンにまで大幅に減らし、日本政府が保有目的が飽くまで平和目的であることを国際社会に向け証明するために、IAEAの管理下で保有すべきだと日本政府に対する勧告を行いました。
同財団の委員会による勧告は昨年日本政府がガイドラインとして示した47トンの上限を大きく下回っています。
日本政府は最終的にはプルトニウムの保有量を削減すると誓約したものの、どういうペースで削減するのかは明示しませんでした。

                   

https://www.washingtonpost.com/Japan plans carbon emission cuts, more nuclear energy

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私たち日本人はこれほどあからさまに民意の無視を続ける政権というものを持ったのは初めてなのではないでしょうか?

福島第一原発事故に関連する事項についてはマスコミに圧力をかけて極力取り上げないようにさせる。すると常にその事実に問題意識を持ち続けている人以外の視界からはこの問題の存在が消されていく。

            

原子力発電の問題について、安倍政権には『民意と誠実に向き合う』という姿勢はまるでありません。

しかし問題はそれをする側だけではなく、それを許してしまう側・私たち国民の側にもあるはずです。

福島第一原子力発電所事故は『もう忘れても良い問題』なのでしょうか?

電気も水道も止まったままの日々、仙台港から吹き上がる黒煙が止むことなく空に立ち上っていく中、南の方から放射能の雲がじわじわと迫ってきたあの恐怖を、私は決して忘れないでしょう。

そして福島第一原発周辺ではもっと差し迫った放射能汚染と恐怖が広がっていき、その真相はいまだに明らかにされていないのだということを。

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