ホーム » エッセイ » トランプの対イラン強硬方針にふりまわされるアジア諸国
米政府、イランの石油輸入禁止・制裁措置を全面強化、アジア地域経済に悪影響
米国の決定は地域の平和と安定には貢献しない、単にイランの人々の生活に打撃を与えるものでしかない
アルジャジーラ 2019年4月23日
アメリカは5月1日以降、イラン産原油を輸入する国々に対する制裁の免除を継続しない方針です。
アメリカがイラン産原油を輸入している国々に対する免除をこれ以上延長しないという米国の決定に対し、経済的に上位にあるアジア地区各国は慎重に成り行きを見守ろうとする国から反発して闘う姿勢を見せる国まで先々な反応を見せています。
4月23日月曜日に、米国政府は5カ国 - 日本、韓国、トルコ、中国、インド - に対し、5月2日の制裁免除期限切れ以降もイランから石油を輸入し続ければ、米国の制裁措置の免除が受けられなくなると通告しました。
しかしこれら5カ国はイラン産石油の最大の顧客でもあります。
最も慎重な姿勢を見せているのが日本です。
24日火曜日、安倍政権の世耕経済産業大臣は今回のアメリカ政府の決定による影響が最小限の範囲に留まることを期待していると語りました。
「国際石油市場を注視し、原油輸入に携わる日本企業と意見を交換し、必要な措置を講じることを検討することになるだろう。」
また安倍内閣の官房長官は次のように述べました。
「日本へのエネルギー供給が影響を受けないようにするために必要な措置を検討する。」
昨年11月、トランプはイランと世界の主要6カ国との間で締結されたイランの核開発を制限する2015年の合意から一方的に離脱すると宣言し、その直後米国はイラン産原油の輸出に対する制裁を再度行う決定を行いました。
中国、インド、日本を含む8カ国はこの制裁を6か月間免除されていましたが、数カ国はこの免除が更新されるものと予想していたのです。
4月22日月曜日のアメリカ政府の発表を控え、中国政府は近隣諸国と比べ強気の姿勢を崩しませんでした。
中国外務省報道官の耿爽(こうそう)氏は、米国のイランに対する制裁は一方的なものであり、中国政府は一貫して反対していると述べ、中国のイランとの二国間協力は合法なものであると付け加えました。
米国エネルギー情報局のデータによると、2017年のイラン産原油および液化天然ガス輸出量の24%を中国が購入、イランの輸出先の中で最大のエネルギー消費国となっています。
日本は5%です。
一方、トルコのメブリュト・チャブシオール外相は、「イランの石油輸入に対する制裁措置の免除を打ち切るという米国の決定は、地域の平和と安定に貢献するものではなく、ただ単にイランの人々の生活に打撃を与えるものでしかない。」
と述べ、次のように続けました。
「近隣諸国との外交関係の構築において、トルコ政府は一方的な制裁や強制を拒否する。」
イランのアジアにおける他の主要な原油輸出先はインドであり、イランの原油輸出の18%を占めると伝えられています。
報道によればこうしたアメリカの対応をあらかじめ予測していたインド政府は、すでに他の国からの輸入について検討を進めてきました。
しかし韓国政府は、イラン産原油の品質と価格に見合った代替えの輸入先を見つけることは困難であるとの見解を示しているとアルジャジーラのソウル特派員ロブ・マクブライドが伝えました。
「韓国政府は米国との協議を続けているが、韓国の経済界は5月1日以降も制裁免除の延長を求めてロビー活動を行っています。」
マクブライド特派員が語りました。
市場関係者は、石油の輸入に頼っているアジア経済が原油価格上昇の影響を受けることは避けられないと見ています。
投資銀行であるINGのアジア部門のエコノミスト、プラカシュ・サクパル氏は次のように述べています。
「影響は他の商品価格および地域経済に対するインフレ圧力を強めることになるでしょう。我々はまずすでにインフレ局面に入っているインド経済の先行きを注視するべきだと思います。」
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