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オウム真理教教祖・麻原彰晃と幹部6人を処刑

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1995年オウム真理教による凶悪事件の首謀者の一斉処刑、様々に広がる波紋

アムネスティ・インターナショナル : 一斉処刑は「正義を実現する結果とはならない」

 

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2018年6月6日

1995年3月東京都内の地下鉄で致命的なガス襲撃を行った最悪の宗教団体の指導者が6月6日金曜日に処刑されました。

 

13人が死亡し、6,000人以上が深刻な症状に見舞われた攻撃を仕掛けた麻原彰晃は、拘置所内で絞首刑に処されました。

日本の菅官房長官は麻原容疑者に死刑が執行されたことを確認しました。
同日、法務大臣が他の6人の教団の幹部が処刑されたことを確認しました。

 

事件の際に現場でサリンが入った袋を取り除こうとして死亡した営団地下鉄職員の夫人である高橋シズエさんは、処刑の知らせを受け次のように語りました。
「彼の死刑が執行されたのは正しいと思います。」
「夫の両親と私の両親はすでに死亡しました。」
高橋さんはこう付け加えました。
「刑が執行されたニュースを聞くことができなかったのは残念だと思っています。」

 

この襲撃で娘を亡くした岩田喜代恵さんは、このニュースを聞いてやっと安心したと語りました。
「なぜ私の娘でなければならなかったのか、なぜ殺されなければならなかったのか、ずっと疑問に思ってきました。」
NHKの取材に岩田さんはこう答えました。

「これでやっと娘の墓詣りをして、この知らせを伝えてあげることができます。」

死刑判決を受けた元オウム真理教メンバー13人のうち、麻原容疑者の処刑が最初に行われました。

オウム真理教の教義は仏教とヒンドゥー教の瞑想にキリスト教と終末思想を組み合わせたもので、ヨガとオカルトを組み合わせた麻原容疑者のカルト宗教は、かつて日本で1万人以上、ロシアでは3万人以上の信者数を誇っていました。

メンバーの中にはやがてアメリカの核攻撃によって始まるアルマゲドン(Armageddon)を、オウム真理教の信者だけが生き残ることかできるという約束を信じた日本の最高レベルの大学の卒業生たちも含まれ、彼らは富士山麓に作られた教団の拠点でナチスが発明した神経剤サリン(sarin)の製造にも携わっていました。

 

本名が松本智津夫の麻原容疑者は1994年長野県松本市で8人が死亡し100人以上が負傷したサリンガス攻撃を指示したとして有罪判決を受けていました。
そしてこの元カルト教団のリーダーは2004年に死刑判決を受けると、いかなる主張も行わなくなりました。

 

東京の地下鉄ガス攻撃は、1995年3月20日の午前8時直前に開始されました。
5人のメンバーが、液体サリンの入ったビニール袋を先を尖らす加工をした傘で突き刺しそのまま逃亡しました。

ガスが混雑した地下鉄の車両の中に広がると、通勤途上の乗客たちは咳き込み、呼吸困難に陥るようになりました。
プラットホームや階段を上って地上に出た場所には人々が倒れ、口から泡を吹いたり、血を吐きながら咳込む人々がいました。

 

生存者の中には咳が止まらなくなる直前、塗料用シンナーに似た匂いがしたことを覚えています。
「液体が地下鉄車両の床に広がり、人々は座席で痙攣していました。男性の一人が手摺りにもたれかかっていましたが、シャツが開いて体液が漏れだしていました。」
事件当時車両の中にいあわせた伊藤栄さんは、AFP通信の取材にこう答えました。

テレビで放映された映像にはハザードスーツとフルフェイスマスクを身に着けた自衛隊員が登場し、慌ただしく階段を下りていく様子が映し出されていましたが、この時点ではまだ何が起きているのか状況は分かっていませんでした。

この攻撃は日本社会に対する最悪のテロ事件であり、安全な社会に対する人々の信頼を揺さぶる結果になりました。

 

主犯の麻原容疑者は教団の本部があるアジトの壁で覆われた隠し部屋の中に現金と寝袋を持ち約2ヶ月間潜伏し、その後発見され逮捕されました。

 

オウム真理教は一切の活動を禁止されましたが、信者の一部が麻原容疑者との関係性を一切絶ったとして2000年に宗教団体アレフとして活動を再開する一方、サリンガス襲撃の犠牲者に補償金を支払うことに同意しました。

しかしアレフについては、信者の中にはいまだに麻原容疑者の教えを信奉し、その写真を飾り録音された音声を聞き宗教行動を続けているメンバーもいるという指摘があります。

アレフの本部と東京郊外にある3つの老朽化したマンションには数十人のメンバーが生活していますが、24時間監視下に置かれています。

 

1955年に九州で生まれた麻原はほとんど視力を失っていましたが、1980年代にヨガ教室として始まったオウムに募集を始めた当初からカリスマ的リーダーとみなされていました。
検察の調べによると1990年に麻原と他の24人のオウム真理教メンバー参議院議員選挙に立候補・惨敗した後、復讐心を燃え上がらせた麻原は一般市民を標的にし始めたとされています。

共同通信社が日本の公安調査庁のデータを利用して調べたところでは、アレフと他の2つの小さな分派グループは、日本国内に約1,650人、ロシアに約460人の信者を持ち、10億円以上の資産を持っています。

 

各国の人権運動家は、オウム真理教メンバーが一度に大量処刑されたことを非難しました。
アムネスティ・インターナショナルは、6月6日金曜日に行われた一斉処刑が「正義を実現する結果とはならない。」との見解を示しました。

 

https://www.theguardian.com/world/2018/jul/06/japan-executes-sarin-gas-attack-cult-leader-shoko-asahara-and-six-members-reports

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オウムのやったことは到底許されるものではありませんが、すべての真相が明らかにされないまま教祖の幹部が一斉処刑されたことについては割り切れない気持ちもあります。

一連の所業は極悪非道ともいうべきものですが、どのような経緯をたどって極悪化したのか解明すべきだったと思いますし、そして何とかしてその償いをさせなければならないはずだったと思います。

その辺が未解決のまま、一斉処刑されたことの意義が見えにくくなっています。

 

先日TBSの報道特集で麻原容疑者の実子たちを取り上げた番組を見て感じたのは、事件の真相解明は容易には実現できそうにない、ということでした。

死刑という刑罰は凶悪犯罪の『抑止力』と言う側面を持つものだと思いますが、それは死刑判決が確定した時点で効力が生まれていると思います。

死刑囚はいつ刑が執行されるか、生存に関する保証を完全に失ってしまうからです。

 

すでに彼らの死刑が確定している段階では、こうした犯罪の犠牲者を出させないため事件の全容解明こそ必要だったと思います。

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