ホーム » エッセイ » あまりに愚劣な新型コロナ対応 – 安倍政権 – 国民の忍耐も限度!ほとばしる怒り
政府当局者は我が身に降りかかる災難を恐れ必要な対応を取ろうともせず、より深刻な危機を招いてしまった
一般市民が不安定な暮らしと深刻な経済的困難に苦しんでいことを、安倍首相は「理解できない」
自民党支持基盤の大企業には政府の手厚い保護、家族経営の小さな商店や零細企業、そして一般の人々への支援は貧弱
安倍首相は経済・オリンピック優先、健全で安心できる国民生活を守ることは二の次
ジュリアン・ライオール / ドイチェ・ヴェレ 2020年4月15日
国民の暮らしより日本経済とオリンピックを優先する安倍首相の政治姿勢に批判が集中しています。
日本国内で新型コロナウイルスへの感染が拡大する中、安倍政権の支持率は下がっています。
安倍政権の新型コロナウイルスに対する無能さを絵に描いたような対応に、日本国民の我慢の限界が近づいています。
新型コロナウイルスCOVID-19の感染症例数と死亡数の急増に加え、日本の保健当局は感染拡大規模がこれ以上大きくならないよう抑え込もうとしていますが、現実はますます厳しくなってきました。
共同通信が4月13日月曜日に実施した世論調査に回答した人々の80%以上が、安倍政権による4月7日の首都東京での緊急事態宣言は遅すぎたと回答しました。
安倍政権の全体的な支持率も5ポイント以上低下し、かろうじて40%代を維持しています。
さらに回答した人の82%という圧倒的多数が、政府による休業の勧告により極度の業績不振に陥った事業者に財政支援を行う必要があると回答しました。
安倍晋三首相はこれまで、事業者に対する財政支援策の実施に否定的な態度を取ってきました。
ウイルスとの闘いの最前線からは医療体制が崩壊の危機にあるという報告が相次ぎ、事態の深刻さに気づいた一般市民の怒りと恐怖がより一層掻き立てられています。
17日金曜日に報告された新たな感染例は554件で、全国で9,849人に達しました。
同日中に16人が新型コロナウイルスが原因で死亡し、死者の総数は207人になりました。
▽ 入院施設は満床、不足する医療用消耗品
NHKによると、緊急事態宣言が出されている東京、大阪、兵庫、福岡を含む日本の47都道府県のうち9都府県では、新型コロナウイルスに感染した患者のために用意されたすべての救急病院のベッドが満床になっています。
大阪市は14日火曜日、医療従事者が使う防護服が底を尽いたため防水機能を持った上着を病院に寄付するよう住民に要請しました。
こうした事態を引き起こしたのは新型コロナウイルスの感染が予想を超える速さで拡大したこと、そして安倍政権の対応が遅すぎたためであり、さらなる批判が集まることが必至の状況です。
大阪の松井市長は14日の記者会見で、多くの病院の医師や看護師が新型コロナウイルスの患者を治療する際に、ゴミ袋を着用せざるを得ない状況にあると語りました。
市は未使用のレインコートの寄付を住民に要請するとともに地元の製造業者にはレインコートの生産を強化するよう要請、さらに公正な市場価格で市に医療関連機器を販売するよう依頼しました。
「日本政府はこのような事態に自らがどのような行動をとる必要があるかについて、まるで真剣さに欠けていました。」
同志社大学経済学部の浜典子教授はこう語り、政府当局者が誤った対応を行った場合に我が身に降りかかる災難を恐れ本当に必要な対応を取ろうとしないまま、より深刻な危機を招いてしまったのです。
「国民は怒っています。」
浜典子教授はこう指摘し、一般市民が「傷ついている」ことを安倍首相は「理解していない」と付け加えました。
「市井の人々は不安定な暮らしを強いられ、深刻な経済的困難に苦しんでいます。」
「一般の市民たちは、自分たちの代わりに企業が、特に与党自民党の支持基盤を形成している企業が保護されていることもわかっています。」
浜典子教授はこう語りました。
「自民党の支持基盤である大企業が政府のサポートを受けている一方で、家族経営の小さな商店や零細企業、そして一般の人々への支援はとても十分とは言えません。」
▽ 安倍首相が最優先したのは東京2020オリンピックの開催
さらに安倍首相は、国際オリンピック委員会が今年の夏に予定されていた東京オリンピックとパラリンピックの開催は不可能だと結論を下すまで、緊急事態の宣言を遅らせたとして批判が集まっています。
「今日、日本では必要とされる指導力が発揮されていません。」
と元民主党国会議員で現在は早稲田大学教授の中林美恵子氏がこう語りました。
「安倍首相がリーダーシップを発揮していないことはもはや疑いようのない事実であり、今回の危機は安倍首相には何としても国民を守るという信念が欠如しているということを物語るものだと言わざるをえません。」
中林教授はさらに次のように指摘しました。
安倍首相はオリンピック観戦の数十万人の外国人観光者が非常に強い経済的な追い風をもたらすことを期待し、それによって自分の経済政策が高い評価を得られるようになるということに賭けていたため、安倍政権は東京オリンピック開催が危9ならないようにするため必死でした。
さらに東京2020は日本企業のイメージと評判を上げるためにも利用されるはずでした。
「オリンピックは安倍首相の「アベノミクス」政策を救済するための残された最後の手段でした。」
中林教授はこのように2012年の総選挙に向けて安倍氏が発表し、首相就任後に継続してきた野心的な経済活性化策であるアベノミクスについて言及しました。
「しかし実際には日本経済は彼らが予測したほどの成長は達成できませんでした。東京2020オリンピックは、首相を退任する前に安倍氏の経済政策が大成功であったと内外に宣伝できる程多くの観光客を日本にもたらすはずでした。」
しかし日本政府にとって、今後の展開はそれどころではなくなる可能性があります。
オリンピックの主催者側は4月14日火曜日に行った記者会見で、新型コロナウイルスのパンデミックが来年のこの時期までに衰えていなければ、追加の代替案はもう無いということを認めました。
もしそうなった場合には、東京2020オリンピックは完全に中止となるかもしれません。