ホーム » エッセイ » 【 放射能汚染から食料供給を守るため、苦悩する日本 】〈第1回〉
〈全3回〉「繰り返される政府の失態により、人々が汚染食品を口にする危険が高まっている」
ニューヨークタイムズ 1月21日
福島県大波町
秋になって黄金色の稲穂が風にたなびく谷あいの水田に、放射能汚染をチェックするため検査官がやって来ました。
大波町は事故を起こして制御不能に陥り、大量の放射性セシウムをまき散らした福島第一原発の北、ちょうど35マイル(56km)に位置しています。
この町の農地は放射能に汚染されました。
大波町は昨年3月に事故を起こして制御不能に陥り、付近一帯に大量の放射性セシウムをまき散らした福島第一原発の北、ちょうど35マイル(56km) に位置しています。
検査のためやって来た政府の調査官は、154軒ある米作農家のうち、2軒の水田だけ検査し、「食べても問題は無い」と安全宣言を出しました。
しかしその数日後、訪ねてきた孫に栽培したコメを食べさせても本当に安全なのかどうか、検査結果に疑念を抱いた農民自身が検査を行い、政府の安全基準を超えて放射能に汚染されていることを突き止めました。
この結果が巻き起こしたパニックにより、福島第一原発が立地する福島県東部の農家25,000軒について、政府が直接介入し、検査を行わざるを得なくなったのです。
3月11日に襲った巨大地震と巨大津波が、福島第一原発の3基の原子炉でメルトダウンを引き起こしてからもうすぐ1年になる中、このような騒ぎは日本という国が今、放射能汚染から食の安全を守るためにどれほど苦悩しているかを端的に表している、と言えます。
汚染されたコメの問題と似たようなケース、2011年7月に発生した汚染牛肉の問題も、事故発生後に急きょ定められた食品汚染基準と従来の基準とのギャップについて、そのつじつま合わせに政府職員が忙殺されることとなりました。
繰り返される政府の対応のまずさにより、食品に対する不安が増大しているだけでなく、人々は放射能に汚染された食物を摂取する危険に追い込まれてしまっています。
残念としか言いようがありません。
こうした失態は食品の安全性を明らかにしようとする取り組みに対する国民感情を、いたずらに悪化させています。
そして国民そして一部の専門家に、経済に対する悪影響を最小限に抑え込むため、そして汚染に対する賠償金額を低く抑え込むため、健康への影響に関する問題に関しては過少報告と隠ぺいが行われていると信じ込ませることになってしまいました。
保健当局に対しては食品汚染について十分な検査を行わないまま、そして検査結果をすべて明らかにするように求める国民の声を無視して、市場への出荷を急ぎ過ぎた、という批判があります。
この批判はもはや国民の間にはこれまで政府が行ってきたような国民の目をくらませ、事実を適当にごまかすような行為は通らなくなっている、と続けました。
「事故発生以来、政府は相変わらずこれまでと同じやり方で事故の重大性について軽く考え、それで良い、としてきました。」
と語るのは政府の信頼性の欠如に関する著作もある、慶応大学経済学部の深尾光洋教授です。
「しかし人々はブログやツイッター、フェイスブックなどから得た情報を基に、政府の食品モニタリング調査の結果が信頼できない物であることを学んでしまっているのです。」
〈つづく〉
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【 ロシア、イランの対シリア武器輸出に懸念を深めるアメリカ 】
アメリカABCニュース 2月15日
国務省当局者はイランとロシアが反政府抗議者に対して使用するための武器をシリアに提供している、との懸念を表明しました。
トーマスA.カントリーマン、国際安全保障・核不拡散担当国務次官補は2月15日、オバマ政権はシリア政府に対するイランの武器供与について懸念を深めている、と記者団に語りました。
一方で同国務次官補はどのような種類の武器がロシア、イラン両国から提供されているのか、その詳細は明らかにしませんでした。
国務次官補はさらに、シリア国内で使用されている武器のうち、化学兵器と携帯型対空ロケット砲の存在について特に懸念している、と語りました。
アメリカ政府はシリア政権の継承者と目される組織と、これらの武器の廃棄方法について話し合いを始める、見通しです。
【動画 : 政府軍、葬儀参列者に向け発砲】
アメリカABCニュース 2月18日
首都ダマスカスで内戦のため死亡した市民の葬列が抗議のため大統領鑑定に向け行進していた所、大統領警護隊が葬儀の参列者に向け発砲しました。
目撃者によると参列者7名が死亡しました。
一方、シリア第三の都市ホムスではシリア政府軍の包囲が2週間以上続いており、すでに市民数百人が死亡しています。