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否定しきれるのか?安倍内閣と森友学園のつながり
国家主義的主戦論を唱える私立の教育機関に対し、日本政府がまるで後援するような対応
エコノミスト 2017年3月4日
塚本幼稚園の園児たちは毎朝軍歌に合わせて小さな足で力強く地面を蹴り、天皇陛下の写真の前で丁寧にお辞儀をし、国を守るために勇気を奮うと誓います。
そして幼稚園の行事がある度、3歳4歳5歳の子どもたちは見守る両親たちに向って、外国の脅威から日本を防衛しようと呼びかけます。
塚本幼稚園の園児たちの曾祖父母の世代は、かつてこれとよく似た教育を受けさせられました。
しかし第二次世界大戦(太平洋戦争)の敗戦により、戦後日本国内の学校では国家主義的教育はすっかり影をひそめました。
つい最近までほとんどの日本人は、今どきまさか国家主義的主戦論を唱える私立の教育機関があろうとは思ってもみませんでした。
さらにそうした教育機関を日本政府がまるで後援するような対応をとっていたことを知り、国民の驚きは一層大きなものになっています。
昨年、塚本幼稚園を経営している森友学園は大阪にある国有地を市場価格のわずか14%という法外な価格で手に入れました。
そして幼稚園と同様、ウルトラ国家主義の普及を実現普及させるための小学校の建設を始めました。
そして小学校建設の資金獲得のための寄付を求めた際、森友学園は安倍晋三首相の名前を引き合いに出したのです。
首相夫人の昭恵氏は塚本幼稚園でスピーチをした経験があり、建設予定の小学校の名誉校長に指名されました。
また稲田朋美防衛大臣は、海上自衛隊の戦闘用艦艇がドック入りをする際、塚本幼稚園の園児たちが歓迎のセレモニーに参加して隊員の士気の向上に貢献したとして、感謝状を贈りました。
安部首相は今回の土地不正譲渡疑惑についていかなる関与も否定しており、それ以外の事実が証明された場合には首相を辞任すると語りました。
安部首相は自身と夫人は本人の意思に反して、森友学園の籠池理事長の一方的な動きにより幼稚園の後援者にされ、今回の疑惑に巻き込まれたと主張しています。
安部首相は「再三に渡ってお断りしたにもかかわらず、籠池氏はそれに応じず」、小学校建設資金の寄付金集めのために名前を使用されたと主張しています。
しかし安倍首相は過去に森友学園の教育方針について、「賞賛に値する情熱」を持って教育に取り組み、しかも「よく似た考え方」を共有していると賞賛していました。
しかし詳細な調査が進むにつれ、首相側、学園側の双方に事実を書き換えようとする動きが出てきました。
安部首相と稲田防衛大臣に関連する記述一切が塚本幼稚園のウェブサイトからいつの間にかきれいさっぱり姿を消しました。
塚本幼稚園はヘイトスピーチを禁止する法律の下での調査をされたことがあります。
塚本幼稚園は保護者のもとに中国人の侮蔑的表現である『支那人』という単語を用いた文書を配布したことがありました。
教頭を務める籠池氏の夫人は在日韓国人であるとされた母親のひとりに、自分は差別したことは無いが、『韓国朝鮮人と中国人を嫌悪している』と書いた手紙を送りつけました。
森友学園は現在、安倍首相と同様、きわめてあいまいな態度に終始しています。
大阪府の当局は、建設が完了しても、小学校の開設許可が下りない可能性があると語っています。入学申込者も予想を下回る状態が続いています。
この小学校は当初安倍晋三記念小学校と命名される予定でしたが、様々ないきさつにより、瑞穂の国小学校に校名を変更しなければならなくなりました。