ホーム » エッセイ » 【 脱原発の実現、そして成功 】《前篇》
「誰も、もう原子力発電については話をしようとしません、する必要もなくなりました」
ドイツは再生可能エネルギー革命を成し遂げ、他国が真似できない成功を手にした
イェンス・スラウ / ドイツ国際放送 3月10日
福島の事故発生から5年、いわゆる『脱原発』はドイツにおいてはもう議論のテーマではありません。
ドイツがこうした状況に到ったことについて、海外のせいもんかたち専門家の反応は賞賛と驚きが交錯するものであったとイェンス・スラウ氏が語りました。
つい最近ベルリンである日の夕刻に、エネルギー移行に関する議論が行なわれました。
その中にいたのは、キリスト教民主同盟(CDU)の前環境大臣、実業界の代表、環境保護団体の代表者などです。
議題にされたのは風力発電タービンとその設置に反対する意見について、そして石炭火力発電所への過剰な依存と放出される温室効果ガスの問題でした。
時折原子力発電に話が及ぶこともありましたが、それは将来のエネルギー計画の参考にするため過去を検証するためのものでした。
誰も、もう原子力発電については話をしようともしません。
現在未だ8基の原子炉がドイツ国内の送電網に電気を送っています。
かつては約20基の原子炉が稼働していました。
そしてこれから6年の間に残る8基の原子炉も順次停止、廃炉にされる予定になっています。
原発の廃止の是非についてはもはや議会で議論されることも無く、国民の間で議論になることもありません。
この事実を前にこれから国内に残されることになる原子炉の解体と廃炉に誰が取り組み、一体どれだけの時間と費用がかかるのか、ドイツの原子力発電には最も大きな課題が残されています。
この問題については未だに機論が続いており、結論は出ていません。
電力会社が支払うのでしょうか?
あるいは国民に新たな納税義務が課されることになるのでしょうか?
この問題については、関係者がこれからも議論を続けなければなりません。
▽ 首相たちの決断
5年前、状況は全く異なっていました。
メルケル首相がドイツ国内の原子炉の稼働可能な枠を拡大した直後、福島第一原子力発電所の事故が発生しました。
これを受けメルケル首相が行った政策転換は周囲をアッと言わせるものでした。
ドイツは近い将来、原子力発電を全廃すると宣言したのです。
この時、キリスト教民主同盟(CDU)はこの決定のための協議には与かりませんでした。
原子力発電の全面廃止については未だに党内に不満がくすぶっていますが、最近では幾分弱いものになってきました。
当時を振り返るとキリスト教民主同盟にとって、メルケル首相がこのような明確な決断を行う人間であるということを認識させられたのは初めてのことでした。
最近はメルケル首相は難民危機の問題で、再びその決断力を発揮しました。
エネルギー政策の転換は福島の事故以前にも行われていましたが、事故発生以降はエネルギー政策の転換は加速していいます。
ドイツは今や、全電力の3分の1を再生可能エネルギーによってまかなっています。
国土の北部で発電された電力を南部の工業地帯に送るため、国中に送電線網が築かれています。
しかし風力発電と太陽光発電への助成金は、電気料金の高止まりの一因となっており、納税者にとっては頭の痛い問題です。
しかしながらこうした取り組みそのものを脅かす程、国民の反対が大きいわけではありません。
悲観的にものを見る人は、再生の電力供給能力について不安を口にしています。
しかし実際には、再生可能エネルギーによってこれほど安定した電力供給を行っている国は他には無いのです。
すべてがうまくいっていると言っても過言ではありません。
http://www.dw.com/en/opinion-fukushima-5-years-on-the-germans-are-crazy/a-19109743
+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +
【 5年目の追悼 : 東日本大震災 】
マーク・ウォルウェンダー / ガーディアン 3月12日
避難先で修了証を受け取る福島第一原発から4キロの場所にあった大熊中学校の卒業生。(写真下・以下同じ)
指定避難区域内の霊園内の墓石に捧げられた花。
津波が襲来した時刻に合わせて、犠牲者に黙とうを捧げる福島第一原発の事故収束の作業員。
請戸地区で津波の犠牲になった娘に祈りを捧げる両親。
仙台市深沼の海岸で、海に向かって花束を投げる女性。
グラスに入ったキャンドルを並べ、東日本大震災の犠牲者のために祈る人々。名古屋市。
http://www.theguardian.com/environment/gallery/2016/mar/12/japan-commemorates-victims-of-2011-tsunami-disaster-in-pictures