ホーム » エッセイ » 【 東芝の原子力事業の崩壊、欧州にも飛び火・フランスのエネルギー企業、提携を解消 】
ウェスティングハウスの破産に加え、英国内での原子力事業にも危機が発生
極端に高額な原子力発電所建設費用に苦しむ英国のエネルギー行政、先行きを見通せず
ロイター / ガーディアン 4月3日
東芝と合弁で原子力事業を手掛けるベンチャー企業であるニュージェン(NuGen)社を設立した電力・ガスの供給で世界2位の売上高を持つエンジー(Engie)社がその所有権を売却しました。
その結果トラブル続きの東芝は今後単独で英国のムーアサイド原子力発電所プロジェクトにおいて、3基の原子炉建設を進めなければならない立場に追い込まれることになりました。
フランスの巨大エネルギー企業のエンジー社が進めてきた東芝と合弁で英国北西部のムーアサイド原子力発電所の建設プロジェクトの権利売却に伴い、東芝はこれを買い支えなければならなくなりました。
今後同原子力発電所の建設プロジェクトがトラブル続きの東芝の単独事業となることにより、先行きが全く見通せない状況に陥りました。
エンジー社は4月4日火曜日、ウェスティングハウス社の事業破たんにより東芝が経営危機に陥ったことを受け、協同で設立した原子力事業のベンチャー企業であるニュージェン社の所有株式40%を売却する権利を行使すると発表しました。
東芝は153億円を投じてこの株式を買い取ることになります。
これについて現時点でニュージェン社の唯一のオーナーとなった東芝は、総額が1兆6,600億円から2兆2,000億円の規模になると見られているムーアサイド原子力発電所の建設プロジェクトについて、別の出資者を募るか、あるいはプロジェクトをすべて売却する方向で検討を進めていると語りました。
英国は石炭火力と2020代に廃炉が決まっている古い原子力発電所に代わって新たな原子力発電所建設に対する投資を必要としていますが、必要とされているのは規模的にも大容量の発電施設であり、特に原子力発電所建設についてはその費用が極端に高額であるという問題に苦しんでいます。
総額が約2兆5,000円の費用が見込まれるサマーセット州のヒンクリー・ポイントC原発建設プロジェクトはフランスのEDF社が手掛けてきましたが、数年の遅れの後、最終的に財政面でフランス政府が保証人となることにより、2016年に事業の推進が決定しました。
英国政府はこれまでニュージェン社への新たな出資者を募ってきましたが、一部のアナリストはエンジー社の撤退により、東芝の全面撤退の可能性が現実味を帯びてきたと語っています。
現在候補に挙がっているのは韓国電力(Kepco)です。同社のトップは今年3月、ニュージェン社の経営権を買い取ることを目下検討中だと語りました。
英国政府の報道官はエネルギー大臣が現在に滞在し、原子力事業を含めた英国と韓国の協力関係について協議するため、韓国に滞在していると語りました。
またニュージェン社の広報担当者は次のように語りました。
「現在ニュージェン社はムーアサイド原子力発電所の建設プロジェクトを維持・前進させるため、あらゆる取り組みを行っています。」
東芝はエンジー社がニュージェン社の経営権を売却したことについて、ウェスティングハウス・エレクトリックが米国の第11章破産保護を申請し、実質的に経営破たんしたことが背景としてあったと考えていると語りました。
そして東芝はニュージェン社の株式を153億円でエンジー社から買い取ったことについて、その金額がこれまで同社の投資額を市場価格に換算した金額にほぼ等しいものだとしています。
東芝は2013年後半にスペインのイベルドローラ社からニュージェン社の経営権50%を、約192億円で購入していました。
https://www.theguardian.com/business/2017/apr/04/toshiba-moorside-nuclear-nugen-engie-reactor
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【 シリアでの毒ガス攻撃、多数の子どもたちを含め死亡者数が増加 】
ドイチェ・ヴェレ 2017年4月4日
現地時間4月4日朝シリア北西部で、多数の子どもたちを含む少なくとも58人が毒ガスと見られる攻撃により死亡したと、現地の人権監視団が発表しました。
ロンドンに本部を置く人権監視団体(SOHR)は、シリア、イドリブ市内の反政府勢力の勢力圏にあるハーンシャイフーンに対し行われた空爆により、多数の一般市民が死亡したと伝えました。
SOHRはシリア国内の市民の証言などをもとに国際社会に対する報告や警告を行っていますが、今回シリア政府軍の航空機、あるいは同盟国ロシアの航空機のいずれかが投下した物質の分析と特定を行っていると語りました。
ロシアとシリアは、化学兵器攻撃を行ったことを否定しました。
2013年にダマスカス郊外で行われたサリン攻撃によって数百名が死亡した後、アメリカ軍が直接軍事行動に踏み切る姿勢を見せたのに対し、シリア政府は備蓄されていた化学兵器をすべて廃棄すると公約していました。
2014年にシリア国内の査察を行った化学兵器禁止機関は、シリア国内のすべての化学兵器の廃棄を確認したと語っていました。
http://www.dw.com/en/death-toll-rises-in-syria-gas-attack/a-38282661