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【 日本の構造改革「あとは実行あるのみ?」】

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日本政府は、抵抗勢力の反対の中を押し通る『改革断行』の決心を固めたのでしょうか?
農業分野への競争原理の持ち込み、終身雇用制度からの脱却…『日本社会』の発展につながるのか?

エコノミスト 2月28日

憲法解釈05
自分についてある特別なイメージを作り上げたい、阿部首相がそう考えていることは明らかです。
2月に行われた国会での施政方針演説では、安倍首相は同じ言葉を36回も繰り返しました。
『改革』という言葉です。
実際、その場で約束したのは『第二次世界大戦以降、最大規模の改革』であり、これまで続いてきた経済上の既得権益を安倍首相が立て切って見せるというものでした。

日本経済を安定的な成長軌道に乗せるためにはどのような改革が必要か、安倍首相と彼の経済顧問は的確に把握しています。
しかしながら果たしてそれを実行するのかどうか、その点に関しては相変わらず不明なままです。

こと経済改革に関する限りは、安倍政権はその背に追い風を感じています。
2月中旬、2013年の第4四半期において日本は年率換算で2.2%の経済成長を実現し、不況局面から抜け出したというニュースが伝わりました。

昨年1年間の経済分野における最大の難問は、日本銀行が行なった大規模な金融緩和策により円の為替レートが下落したにもかかわらず、輸出実績が期待したほどには伸びていないという事実でした。
それが第4四半期、年率換算でついに11%という伸びを記録したのです。

株価下落
一方で石油関連価格の急激な下落は、昨年4月に実施された消費税率の5%から8%に引き上げられたことによる消費支出の大幅な後退に一定の歯止めをかける働きをしました。
そして現在は労働者の賃金引き上げが、日本経済の最大の焦点となっています。

最近行われた調査では回答した企業の約半数がベースアップを行うと回答し、その理由として労働市場のひっ迫と政府による圧力を挙げています。

そして前述の既得権への切り込みについては、安倍首相は現在JA全中(全国農業協同組合中央会)をターゲットにしています。
JA全中は一般にはJAの名で知られる日本全国の農業協同組合の広大なネットワークの中心に座る一種の官僚機構であり、これまで農業分野における強力な圧力団体であり続けました。
JAは日本全国の農村部において安倍氏が党首を務める自民党と密接な関係を構築し、その動向によっては選挙候補者の当落すら左右する力を持っていると考えられており、外から手を入れてはならないと思われてきました。
しかし2月、安倍首相はこのJA全中の影響力を大きく削ぐ決定を敢えて行いました。
今やJA全中は全国の700に及ぶ農協の監査権限を失うとともに、各農協の経営方針に介入することも許されなくなりました。
こうした動きは日本の農業に、より一層の競争原理を持ち込むことになるでしょう。

TPP05
この発表はTPP(環太平洋パートナーシップ)に関するアメリカとの交渉が最大のヤマ場を迎えていると思われるタイミングで行われました。
JA全中はアメリカ政府が要求している農業生産物に対する関税の引き下げに反対しています。

しかしこれまでのところ、安倍首相が口にする『構造改革』の中で実際に実現されたものは、国内の企業に対しコーポレートガバナンスを実態に応じた実効性のあるものに変えることを促した事です。
6月1日には新たな会社法が施行される予定ですが、その中で特徴的なのは役員会のメンバーに少なくとも2名の外部からの役員を置かなければならないという規定です。

しかしはっきりしていることは、他の経済政策に加えて安倍政権が打ち出したこのふたつの政策も、新旧の体質が入り混じり、企業業績も規模や業種によって格差が拡大し、個人消費も伸び悩むなど、混乱が続く日本経済を安定した成長軌道に載せるには、規模も威力もはるかに不足しているという事です。

このために今年実施される予定の日本の労働市場改革が、その名に値する程の内容となるかどうか、いわば構造改革の試金石になるだろうと言われています。

賃金停滞の原因の一つが、企業側が充分な補償を行ったとしても、いったん正社員として雇用した労働者をそう簡単には解雇できない体制にあります。

内閣府副大臣の西村やすとし氏は、日本は終身雇用制度から脱却し、就職先の企業をいつでも変えられるようにする必要性はきわめて高いと語っています。

景気悪化
この春、日本政府は退職金の支払いと引き換えに、終身雇用を前提として働いている労働者を企業側が解雇できるようにする制度を提案することになっています。
これは安倍政権が標榜する構造改革の中で最も重要かつ取扱いには慎重を要するな政策であり、実現までにはかなりの時間を要するだろうと、後援者のひとりが語っています。

日本政府はGDPの240%以上に膨らんでいる公的負債を減らすことも約束しています。
政府はこの後すぐ96兆3,000億円のこれまでで最高額となる国家予算の国会承認を求めまることになります。
税収を考えれば、日本は年間の公的借入金額がこれ以上増えないようにしなければなりません。
しかし日本政府は現在、2020年までに国家予算について収支のバランスを取るという目標からは遠ざかる道を進んでいます。

安倍首相はこの夏、収支のバランスを取るための具体的手法について報告を行うことになっています。
それ以前、首相が議長を務める経済財政諮問会議が社会事業費の削減に関する提案を行うことになっています。
民間議員のひとりである新浪剛史氏によれば、提案の中には公共サービスの提供者として民間企業を取り入れる可能性もあります。
日本の強力な圧力団体のひとつ、日本医師会は医療分野に競争原理を取り入れることに反対しており、この分野でも対立が表面化するかもしれません。

憲法解釈01
新浪氏はこうした改革を実現させるためには相当の忍耐力に加え、反対派の人々を説得して考えを改めさせるだけの巧みな能力が必要だと語りました。

日本政府は優柔不断と戦略的戦術的忍耐とを、明確に区別することはできるでしょうか?

http://www.economist.com/news/asia/21645264-has-government-got-gumption-push-through-change-just-do-it?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227

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