ホーム » エッセイ » 【 日本の原子力政策、アメリカ政府が異議 】〈 後篇 〉
オバマ政権、「アメリカ政府が日本の脱原発に、異議を唱えたことなど一度も無い!」
日本の原子力施設の管理には、問題が多すぎる
米国FOXニュース 5月1日
日本国内の原子炉のほとんどは、プルトニウムを主原料とした燃料では無く、濃縮ウラン燃料を使っています。
しかしこれらの原子炉も、特定の技術を利用すればどちらの燃料も使えるようになります。
そして核兵器もまた、高濃度に濃縮したウラン、または核兵器レベルのプルトニウムまの両方を使うことができます。
イランと比較してみましょう。
イランはもう少しで、核兵器レベルのウラン濃縮ができそうなところまで来ています。
そして現在は核兵器レベルのプルトニウムを作り出すことが可能な、重水炉の開発に取り組んでいます。
日米両政府の関係者によれば、オバマ政権はつい最近、日本がこれ以上プルトニウムの在庫を積み増すことに対する懸念を日本政府に伝えました。
4月にワシントンでアメリカ政府の原子力政策の担当者と会談した、日本の原子力委員会の副委員長である鈴木辰二郎氏は、その際伝えられたメッセージが、次のようなものであったことを明らかにしました。
「その目的を明らかにしないまま、日本が莫大な量のプルトニウムを溜め込んでいくことは、世界に対し悪い先例を作ることになる。」
日米両政府によれば、鈴木氏が会談したのはアメリカ政府の核不拡散問題に関する政府の代表交渉人たちであり、その中にはダニエル・ポーンマン米国エネルギー省副長官、トーマス・カントリーマン国務省副長官が含まれています。
将来日本が原子力発電を続けるべきかどうかについて、アメリカ側は一切発言したことはない、国務省がこうコメントしました。
そしてアメリカ政府高官がこう語りました。
福島第一原発の事故を起こしてしまった以上、日本はもっとしっかりとした権能を持った核監視機関を作り上げ、六ヶ所村再処理工場のような施設についても、もっと適切な運営が図られるようにしなければならない。
しかし日本の原子力委員会と日本原燃は、共に今年10月には六ヶ所村再処理工場を稼働させるとしています。
これに対し、福島第一原発の事故を受けて組織された日本の原子力規制委員会は、その日程は『不可能』だとしています。
六ヶ所村再処理工場が対応しければならない新しい安全基準は、12月までまとまる予定はありません。
六ヶ所村再処理工場がおおむね完成しており、原子力産業界の関係者は数ヶ月のうちには完全稼働が可能になると考えています。
プルトニウムの核兵器転用の問題については、国連の核監視機関であるIAEAが、六ヶ所村再処理工場の操業状況について詳しく精査していく予定だと、日本原燃の福士氏が強調しました。
「今後日本側はIAEAの定期的、そして不定期の点検を受け入れることになっており、プルトニウムを取り扱い実態、そして使用状況を公表することになります。それにより日本は、六ヶ所村再処理工場が平和目的の施設であることを証明することになります。」
しかし原子力規制委員会は六ヶ所村再処理工場の試運転開始時期について、より慎重な姿勢採っています。
六ヶ所村再処理工場の操業開始がいつになろうとも、オバマ政権はそれが東アジア地区の国家間の摩擦を、さらに深刻な事態へと向かわせることを恐れています。
六ヶ所が周辺各国の核兵器開発と核武装化を、促進してしまうことを恐れているのです。
米国が開発した核燃料や設備をアメリカから韓国に提供する予定の新しい核開発協定は、現在手続きが遅れています。
この交渉で韓国側はウラン濃縮と核燃料の再処理を、自国で行えるようにアメリカ側と交渉を重ねてきました。
民間企業による原子力開発を推進するためには、これらの技術を国内で行うことが決定的要因になる、韓国側はそう主張しています。
しかしアメリカ政府は韓国側の提案を拒否し、結局先週になって従来の条件のまま、2年間の核開発協定の延長に米韓両国が合意することになりました。
ただし、交渉だけは続けられることになりました。
韓国はアメリカに対し、核技術保有の条件は長年のライバルであり、かつて自国を植民地支配した日本と同等のものを認められるべきである、そう考え、そう主張している。
現役の、そしてかつてのアメリカ政府高官たちがこう証言しました。
アメリカ政府当局者は六ヶ所村再処理工場を稼働させてしまえば、現在は日本に続いて核燃料の製造を認めらた韓国の一連の要求が、一層強硬なものになるだろうと語っています。
「日本に許されることが韓国には許されない、そのような印象を韓国が持ってしまったら、彼らはなんとしても状況を変えようとするでしょう。」
クリストファー・ヒル前駐韓アメリカ大使がそう語りました。
そして中国が先週、核燃料再処理施設の建設について、フランスのアレバ社と契約を交わしたことを明らかにしました。
中国は六ヶ所村再処理工場と同規模の施設を建設し、年間9トンのプルトニウムを産出する予定です。
中国はこの施設について、全くの平和目的であると語っています。
しかし中国はその兵器庫に数千発、あるいは数万発の核爆弾を保有しているものと見られています。
核問題の専門家が次のように語りました。
どのような形であれ、もし日本が核兵器に転用可能な核物質の製造に踏み切れば、必ず中国は対抗措置をとるに違いない。
そうなれば日中間で、泥沼の核軍拡競争が始まってしまう。
〈 完 〉
http://www.foxbusiness.com/news/2013/05/01/us-opposes-japan-nuclear-plan/#ixzz2S6cmiwo1
+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +
皆さんは覚えていらっしゃるでしょうか?
福島第一原発の事故後、日本で脱原発の気運が盛り上がって来た時、日本のマスコミが、
「日本の脱原発に、アメリカ政府が懸念を持っている」
という報道を流しました。
しかしこの記事の中で、アメリカ国務省がそのことをはっきり否定しています。
日本のマスコミは真実を伝えないどころか、多くの人が知らないことをいいことにウソすら伝える。
英国の良識「エコノミスト」紙が、こう指摘しました。
日本の報道は常に権力の側に立ってものを考え、ほとんどの場合、正しい現実認識の役には立ちません(http://kobajun.biz/?p=6770 )。
ご指摘の通りです、残念ながら。