ホーム » エッセイ » 【 放射線が子どもたちを攻撃するメカニズム・第2部 】《6》
原発事故の影響はあまりにも長期に及ぶため、やがて人間の手による対策の継続が難しくなる
原発が事故を起こせば、最も貧しく最も力の無い人々が最も苦しむことになる
際限も無く繰り返される人間の悲劇を終わらせるためには、原子力発電を終わらせる必要がある
フェアウィンズ 7月7日
マーガレット・ハリントン :
子どもたちに地球温暖化の問題について教える教育カリキュラムが、恣意的な内容になっているという事ですね。
マギー・ガンダーセン :
原子力発電学会、これがアメリカにおける原子力産業界の議会工作機関です。
彼らが用意した『教材』が学校教育の場に持ち込まれ、初等教育の12年間にわたってすべての公立学校でそれが使用されるのです。
場合によっては高等教育の場にもこの教材が使われることがあります。
原子力発電所の職員や核関連施設のエンジニアを養成する場合などです。
そこにあるのは原子力発電の立場を有利にするための、あまりにも一方的な見解であり、教育される方は他にどのような方法をとることが出来るのかすら、教えられないままにされてしまうのです。
マーガレット・ハリントン :
そのために私たちは他に選択肢が無いかのように思いこまされる。誤った情報しか提供されないことになります。
私たちは原子力産業界が偽りに満ちた情報を広めようとしている現実を目の当たりにしている訳です。
しかし私たちの前にある現実は違います。
あなた方が話してくれたように、日本で、ウクライナで、そしてチェルノブイリの人々に毎日起きている事実は全く異なっています。
しかもこれらの人々が背負わされてしまった現実は、数世代に渡って続くことになるのです。
マーガレット・ハリントン :
キャロラインがチェルノブイリの昼食プログラムにまつわるある事実について、明らかにしてくれます。
キャロライン・フィリップス :
これまでチェルノブイリ周辺で通学している子供たちは、汚染されていない食材を使った学校給食を提供されていましたが、その財源の一部は政府の補助金であることは、前回の議論でお話した通りです。
ところがこの補助金が打ち切られることになりました。
経済的な事情により、子どもたちには汚染されていないことが確実な食材を使った学校給食がもはや提供されないことになります。
そうなれば母親たちは子どもたちの口に、チェルノブイリ周辺で栽培収穫された作物が入っていくことを避けることが出来なくなります。
こうした人々の多くが暮らすのが、チェルノブイリの事故が発生した後、危険なのか安全なのか判然としない、いわゆるグレーゾーンです。
彼らにはこれまで政府から補助金が支給されてきましたが、現在はもう支給されておらず、その事が子供たちが口にする食物の選択に影響を与えることになりました。
今や子供たちは放射性物質に汚染されている食物を口にせざるを得なくなっています。
マーガレット・ハリントン :
その食物とは放射性物質で汚染された果実類、そして汚染された畑で栽培された野菜類です。
キャロライン・フィリップス :
母親たちはその事実を充分に把握しており、そうした現実に鬱の目されています。しかし彼らの経済力では他に選択肢はなく、子どもたちを飢えさせるよりは、とにかく食べ物を与えるという選択をせざるを得ないのです。
金子チホ :
原子力災害が発生した場所では、他に選択肢がないために、最も貧しく最も力の無い人々が最も苦しむことになるのです。
マーガレット・ハリントン :
さて前回の議論は、私たち市民が原子力発電にはっきりとNO!を突きつけることによって、こうした悲劇が続くことを終わらせることが出来るという結論で締めくくりました。
もう一度このことについて考えてみましょう。そしてその事を皆さんひとりひとりの言葉で表現していただき、今回の議論を終了したいと思います。
マギー、まずあなたにお願いします。
マギー・ガンダーセン :
それこそが私がアーニー・ガンダーセンとともにフェアウィンズを設立した主な理由であり、現在もそれは変わりません。私たちは真実を明らかにすることにより、世界中の家族を守りたいと考えています。
単純な事です。
キャロライン・フィリップス :
私たちは、政府機関に対し市民が放射線被ばくをする状況を作りだすべきではないと考えており、また短時間あるいは少量なら放射線被ばくをしても大丈夫だと思わせることもしてはならないと思います。
アメリカ環境保護庁が新たに導入する安全基準は、一年間に250回のレントゲン検査をするのと同じ量の放射線被ばくをしても良いというものであり、決して導入して良いものではありません。
金子チホ :
これはより非常に重要な問題であると私は考えています。
原子力産業にと止まるものではなく、遺伝子組み換え技術や化学製品にまで及ぶものだと思います。
いずれにしてもいつも問題を作りだすのは、権力の頂点にいる人間たち、そして大きな富と力を持っている人間たちです。
その結果苦しむことになるのは、どこにでもいるごく普通の人びとです。
そうした状況を打開していくために、人々がもっともっと声を上げ、それが取り上げられる社会を作っていかなければなりません。
しかし現実を見る限り、私は少し楽観的に過ぎるかもしれません。
キャロライン・フィリップス :
楽観主義とおっしゃいましたが、それは必要な事です。あなたが意見を明らかにし、そして行動していることは、充分理解できました。
フェアウィンズの女性の皆さんにこの場に再びお集まりいただき、意見を聞くことが出来たことは、人々の知識と啓蒙のために大いに役立ったと思います。
みなさん、お集まりいただきありがとうございました。
〈 完 〉
http://www.fairewinds.org/nuclear-energy-education//children-suffer-nuclear-impact-worldwide-part-2
+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +
【 2016リオデジャネイロ・オリンピック 】
アメリカNBCニュース 8月8日
女子卓球シングルス予選会場。
女子58キロ級重量挙げで優勝したマーシャル諸島代表のマスリン・サザー選手。
http://www.nbcnews.com/slideshow/olympic-moments-france-japan-bask-victory-n625786