ホーム » エッセイ » 【 安倍首相を押し包んだ怒りの声 : 沖縄戦70周年の日 】《前篇》
恐ろしい数の市民の犠牲者を出した、血塗られた戦いの場で巻き起こった叫びと怒号
沖縄戦 - 市民に配られた2つの手りゅう弾、「1個を敵に投げつけ、残る1個で集団自殺せよ!」
「沖縄には今でも70年前の戦争の傷跡が、無数に残っているのです。」
ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 6月23日
第二次世界大戦(太平洋戦争)終結以降初めて、日本の軍隊の海外での戦闘行動を可能にする取り組みを進める一方、米軍基地の存続を決めたことについて、安倍首相は訪問先の沖縄で大きな抗議の声をぶつけられることになりました。
「帰れ!」
「戦争屋!」
そんな叫び声が各所から上がりました。
日本の平和憲法の解釈を変更し、日本が『戦争できる国』にしようとする国家主義者、安倍首相の政権支持率は就任以来最低を記録し続けています。
23日火曜日、その安倍首相が200,000人以上の一般市民と兵士が犠牲になった沖縄戦終戦70周年の式典会場に到着しました。
この日、米国のキャロライン・ケネディ駐日大使を含む5,000人の人々が、82日間に渡る激しい戦いで亡くなった人々を追悼するため、沖縄本島南端の糸満市に集まりました。
直近の世論調査は、日本の軍事力・戦闘能力を強化しようという安部首相の方針に、国民の多くが反対していることを明らかにしました。
アメリカ軍は現在、人口が密集する都市の真ん中にある海兵隊基地を、島内の海岸にある手つかずの場所に新たな基地建設を行い、移転する計画を進めていますが、この計画を支持する安倍首相に今、批判が高まっています。
沖縄県の翁長雄志知事はこの計画を阻止することを県民に約束しました。
アメリカ軍の計画には、約8,000人の米軍兵士とその家族を、沖縄からグアムを始めとする太平洋諸島に移転させるプランも含まれています。
かつて見たことが無い程激しい怒号とヤジが巻き起こる中、明らかに動揺した様子で現れた安倍首相は第二次世界大戦(太平洋戦争)の終了以降、沖縄が日本の安全保障のために果たしてきた役割を認めました。
東京から約1,600キロ南西にある沖縄本島は、日本の国土のわずか0.6%を占めるに過ぎませんが、日本国内にある米軍基地の4分の3以上が存在し、米軍兵士47,000人が駐留しています。
式典で安倍首相は次のように演説しました。
「沖縄の人々には、米軍基地の集中など長きにわたり、安全保障上の大きな負担を担っていただいています。」
「沖縄の基地負担の軽減に全力を尽くします。」
そしてこう続けました。
「この70年間戦争を憎み、ひたすら平和の道を歩んできた私たちの歩みに誇りを持ち、これからも世界平和の確立のため、不断の努力を行っていかなければなりません。」
安倍首相が演説をしたのは、沖縄戦で怯えている多くの一般市民に対し、決して降伏などせず崖から身を投げて自殺するよう、日本軍に強要された場所の近くです。
市民たちは米軍の捕虜になれば強姦された挙句、殺されることになると脅されていました。
生き残った市民たちは、日本軍が沖縄県民一人に2個ずつ手りゅう弾を手渡し、1個は侵入してくる敵軍に投げつけるよう、もう一つはその後で集団自殺をする際に使用するよう言われていたことを証言しました。
遺族代表のひとり、照屋なえこさんは、未だに沖縄各地に犠牲になった人々の遺骨や遺品が散乱し、不発弾も残っていると語りました。
「戦後70年という事が言われますが、ここではまだ戦争が完全には終わっていないと感じます。」
照屋さんがこう語りました。
「沖縄には今でも無数の戦争の傷跡が残っているのです。」
沖縄戦が終わりに近づく頃には日本兵80,000人に加え、約100,000人の一般市民が殺されていました。
そして少なくとも12,000人のアメリカ兵が死亡しました。
あまりに多くの犠牲者数に、もし日本本土に侵攻した場合どれ程の流血を強いられることになるか、アメリカ軍は戦慄とともに考え込まざるを得ませんでした。
そして約2か月後、2つの原子爆弾が日本に投下され、それから数日して日本は降伏したのです。
〈 後篇に続く 〉
http://www.theguardian.com/world/2015/jun/23/japan-pm-shinzo-abe-heckled-okinawa-battle-anniversary
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最近、海外の一流メディアでも沖縄を取り上げることが多く、繰り返し翻訳しているうちに沖縄戦に始まった県民の方々の苦難が如何に厳しくつらいものであったかが、おぼろげながら解ってきたように感じます。
それが『与党勉強会』と称する場で作家などが、実に心ない発言を繰り返しているようです。
この稿を執筆したガーディアンのジャスティン・マッカリー氏やニューヨークタイムズのマーティン・ファクラー氏、あるいはエコノミスト誌のタイムキーパー氏、あるいはCNNへの寄稿者であるジュナサン・ソブル氏などと比べ、人間性のあまりの違いに慄然としてしまいます。
『与党勉強会』のメンバーはどのような知識・見識をもって、そのようなことを言っているのでしょうか?
『本土』の人間の一人として、沖縄戦で犠牲になられた方々も含め、沖縄の方々にほんとうに申し訳ないと思うばかりです。
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【 タリバン、首都カブールでアフガニスタン議会を襲撃 】
6月22日 アメリカNBCニュース
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)
タリバンの戦闘員がカブール市内のアフガニスタン議会を攻撃し31名が負傷しました。
タリバン側は7名が、襲撃の後に死亡しました。
タリバン自爆テロ犯と数人の銃撃者は、議会の窓ガラスを粉々に吹き飛ばし、居合わせた議員たちは避難、市内北部では市街地の一部がタリバン側に制圧される騒ぎとなりました。
襲撃現場で、命令を叫ぶ治安部隊のメンバー。(写真下・以下同じ)
アフガニスタン議会の入口で、タリバンのメンバーの遺体の検証をするアフガニスタン治安部隊のメンバー。
http://www.nbcnews.com/news/world/taliban-suicide-bomb-terrorizes-afghan-parliament-capital-n379771