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【 原発事故、遠のくばかりの我が家への道のり 】

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所要時間 約 7分

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汚染水だけが、この国が解決すべき重大な問題ではない
汚染された土をどこに持ち込めばいいのか、どこで処分するのか、全く見通しは立っていない
かつてののどかで幸せな暮らし、それはもう遠い過去の記憶でしかない

ポーラ・ハンコックス / アメリカCNNニュース 9月4日


「お聞きの放送は福島FM局です。」
調子の良いおしゃべりは聴いている人間を、今とは別の世界にいざないます。
そう、2011年3月以前、確かにこの場所に存在していたはずの世界…
私たちの乗った車は、かつての住民がもはや『我が家』と呼ぶ事を許されなくなってしまった無人の家屋を通り過ぎていきます。
屋根はブルーシートで覆われ、風で飛ばされないよう砂袋で抑えてあります。
付近の家屋の著しい損傷は2年半前に襲った巨大地震と津波の被害によるものですが、直後に福島第一原発の事故が発生したために、どの家もほとんど修理が出来ずにいます。

私たちがいる場所は、福島第一原発から20km圏内の避難区域です。
ここは2011年3月、津波が3基の原子炉の冷却システムを使い物にならなくし、そのために発生したメルトダウン、そして大量の放射性物質の放出後、一切人が住めない場所になってしまいました。
住民は立ち入り禁止区域外なら、日中に限り自宅に戻る事を許されています。
24時間毎日ここで暮らせば、多量の放射線被ばくをしてしまう事は避けられず、今のところ帰宅の見込みは立っていません。

私たちはここに来る途中、道路脇で除染を行う作業員のグループを何組も見かけました。
彼らは2011年の夏以来、土地の表面の汚染された部分を削り取ったり、汚染された草や樹木の葉などをなどをすべて取り除くという、苦痛に満ちた途方も無い作業を行っているのです。


日本政府によればこの作業を行うため、この会計年度だけで1,500億円という巨額の予算が費やされる事になります。
来る日も来る日も、8,000人に上る作業員がこの除染作業を続けているのです。

1年以上前この作業に従事していた人々は、全身をすっぽりと防護服で覆い、放射線からその身を守らなければなりませんでした。
今作業している人々は、ゴム手袋をはめてはいるものの、その他は日本のどこででも見かける市販のマスクをしているだけです。それだけ放射線量が下がったという事でしょうか。

しかし、放射能に汚染された土が詰まった何千何万という大きな黒い袋が、農地や空き地などに列をなして整然と並べられています。
これらの汚染された土をどこに持ち込めばいいのか、どこで処分するのか、見通しは全く立っていません。

破壊された福島第一原発手は汚染水の保管問題が世界的にも注視される事態となっていますが、この国が解決すべき問題が他にもある事を痛感させられる光景です。

避難区域の外側では日中道路をひっきりなしに車が行き交い、この場所に見えない脅威が存在する事実をともすれば忘れてしまいます。

しかしかつてこの地で暮らしていた住民にとって、放射能に汚染された土が大量に並べられているこの場所に、いつになったら戻れるのか、あるいはそもそもここに戻る事が可能なのかどうか、住民たちの将来はまったく見通せないままなのです。

http://edition.cnn.com/2013/09/05/world/asia/japan-fukushima-hancocks/index.html?iref=allsearch
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避難を余儀なくされた方々にとって、この2年半という月日はどのような意味を持っていたのでしょうか?
未来を全く見通せないまま、苦痛の上に苦痛を積み重ねていった、人間として最もやりきれない月日では無かったでしょうか?

これと比較すると福島第一原発から約90キロの場所にあり、東日本大震災のまさに中心であった宮城県中部~北部では『復興』は少しずつ形になってきました。
その過程で住民から不満が噴出するのが、
「この先どうなるのか?」
という点です。
少しずつではあっても、前進が見られる地区でも未来を見通すことは切実な問題です。

まして福島は…
私などが想像できない程、つらい思いをされているはずなのです。

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【 凍土壁計画は理想的手段とは言い難い 】
アメリカ原子力工学専門家マイクル・シュナイダー / アメリカCNNニュース 9月3日


http://www.cnn.com/video/data/2.0/video/world/2013/09/03/japan-fukushima-freeze-plan-schneider-intv.cnn.html
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【これから日本が取り組まなければならない巨大な課題】
日本の首相が世界に向け「安全を保証」したわずか数日後、専門家は福島第一原発の汚染水は「重大な脅威」であることを確認

ドミニク・ケーン / アルジャジーラ 9月13日

日本の安倍晋三首相は世界に向け、2020年オリンピック開催が決まった東京に福島第一原発は制御下にあり、脅威とはならないと保証しました。
しかし、その直後、現場で事故収束作業を行っている東京電力の担当者が、福島第一原発は制御されてはいないと語りました。

さらに現場で安全を取り戻すため汚染水問題のアドバイザーに就任した元アメリカ原子力規制委員会の専門家は、
「私見を述べればこれから何十年と続けなければならない事故収束・廃炉作業においては、現在の汚染水処理方法では安定した状態を長期間保つ事は不能です。」
と語り、福島第一原発では危険な状態が続いていると警告しました。


http://www.aljazeera.com/video/asia-pacific/2013/09/2013913143117961599.html

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