ホーム » エッセイ » 【 地震多発帯の原子炉の完全停止を訴える! 】《前篇》AP
自然との闘いに高額な費用をつぎ込み続けた歴史を持つ、環太平洋地震多発帯の上の原子力発電所
地震活断層に関する安全基準が存在しなかった当時に建設された、原子力発電所の安全性は?
AP通信 / ガーディアン 2014年8月25日
機密扱いの報告書において、首席調査官が原子力規制委員会はカリフォルニア州にあるディアブロ・キャニオンの2基の原子炉について、充分な耐震性を有しているかどうか必要な判断を下さなければならないと指摘しました。
この調査官はベテランの原子力発電の専門家であり、ディアブロ・キャニオン原子力発電所の周囲にある複数の地震活断層が引き起こす可能性のある大地震に耐えられると証明されない限り、2基の原子炉を完全停止させるべきであると原子力規制委員会に報告しました。
5年間ディアブロ・キャニオン原子力発電所の首席内部調査官を務めた経験を持つマイケル・ペック氏は、42ページの機密報告書の中で、原子力規制委員会がこの発電所の稼働に必要とされる安全基準を正しく適用していないと述べています。
AP通信が入手しその信憑性について検証済みの報告書は、ディアブロ・キャニオン原子力発電所そのものが危険だとは言っていません。
その代わりペック氏の分析によれば、施設内の重要設備が付近にある活断層が引き起こす可能性のある大地震に耐えきれるかどうか、誰も保証できないと述べています。
この危険性は原子力発電所が建設されてから数十年が経って初めて認識されたものです。
このまま2基の原子炉を稼働させることについて、ペック氏は報告書の中で次のように述べています。
「原子力発電所の安全性について、深刻な疑問を持たざるを得ない。」
2013年7月にペック氏がまとめたこの報告書は原子力規制委員会が行う通常60日から120日を要する(場合によってはさらに長期にわたる可能性がある)総合審査の一部であり、原子力発電所側は審査機関、あるいは監督機関に対し不服を申し立てることが出来ます。
しかし現在に至っても原子力規制委員会は結論を出していません。
原子力発電所のスポークスマン、ララ・ユセルディング氏はこの報告書に関してはノーコメントであると電子メールで回答しました。
アメリカ国内の商業用原子炉を管理監督する立場にある原子力規制委員会と、ディアブロ・キャニオン原子力発電所を所有運営するパシフィック・ガス&エレクトリック(PG&E)社は、同原発が年間300万世帯の需要を賄いながら30年間安全に稼働してきた実績を持っており、耐震性能も含め原子力発電所の安全基準に則った操業を続けていると語りました。
PG&E社のスポークスマン、ブレア・ジョーンズ氏は、原子力規制委員会はディアブロ・キャニオン原子力発電所の耐震性能について徹底した検証作業を行った結果、「地震に対する安全性」については証明済みであると語っています。
ジョーンズ氏は地震などの原子力発電所の地盤が動く事態が発生した場合については、1970年代にすでに対策を実施済みであると電子メールで回答してきました。
自然災害に対する原子力発電所の備えに関する問題は、2011年に日本の沿岸部に建設された福島第一原子力発電所が地震と津波により全電源停止に陥り、冷却装置が機能しなくなり、3基の原子炉がメルトダウンする事故を起こして以来、世界的に厳しい視線を集めることになりました。
マグニチュード9.0という数値は、原子力に関わる企業や行政機関が現実に起こりうる可能性があると考えていた地震の規模をはるかに上回るものでした。
しかしマグニチュード9.0の地震は現実になりました。
このため米国原子力規制委員会は米国内のすべての原子炉の耐震性能について再検証を行うよう、業界を指導監督しなければならなくなりました。
具体的には2015年までにこの作業を終えなければなりません。
2014年8月24日日曜日、ワインの産地として有名なカリフォルニア州北部をマグニチュード6.0の地震が襲い、多数の住民が負傷、数千世帯が停電、ブドウ農園では貯蔵庫のワインボトルが軒並み倒される事態が発生し、改めて原子力発電所の耐震性能の検証が重要な課題として浮上してきたのです。
環境保護の立場に立つ人々は、2013年に同じ米国太平洋岸南カリフォルニアのサン・オノフレ原子力発電所の閉鎖が決定して以来、ディアブロ・キャニオンについて原子力大災害を起こす最後に残された可能性と表現してきました。
太平洋岸のロサンゼルスとサンフランシスコのちょうど中間地点にあり、周囲80キロ圏内に50万の人々が暮らすディアブロ・キャニオンは、様々な点で自然との闘いに高額な費用をつぎ込み続けた歴史を持っています。
そして問題が表面化する度、設計変更と修理を繰り返してきたのです。
〈後篇に続く〉
http://www.theguardian.com/world/2014/aug/25/nuclear-plant-diablo-canyon-california-shut-down
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所詮監督行政などというものは、身近にいる声の大きい者、力を持っている者の言いなりになってしまうのか…この記事を読んでいてそんな感想を持たずにはいられませんでした。
その同じ行政が『道徳教育の強化』を強く叫んでいます。
彼らの言う『道徳』とは何なのか、改めて説明してほしいと思うのですが。