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【 スティグリッツ教授の『アベノミクスよりマシな経済政策』の提案 】《前篇》

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所要時間 約 8分

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安倍政権が公表した経済政策より、もっとちゃんと機能する経済政策が必要

経済成長はそれ自体が目的ではなく、最終的に国民の生活水準の向上が実現されなければならない

 

ジョセフ・スティグリッツ/ ガーディアン 2016年9月15日

 

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日本でいわゆるバブル経済が破綻してから、4分の1世紀が経過しました。

そしてその後に続いた「失われた10年」が日本経済を麻痺させたまま4分の1世紀が過ぎました。

日本の経済政策に対する批判の中には不当なものもあります。

 

経済成長はそれ自体はが目的ではなく、国民の生活水準の向上が実現されなければなりません。

日本は人口減少が続く先進各国の中で先頭を走っている一方、生産性の方は増加していました。

このため生産年齢の1人当たりの生産量は増加していました。

特に2008年以降、アメリカ国内における数値よりも高く、そしてEU圏内における数値よりも著しく高くなっていました。

 

しかし日本人は、自分たちはもっとうまくやることができると思っています。

確かにそうでしょう。

 

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しかし日本には需要と供給の双方に、そして実体経済と財政状況の両方に問題があります。

こうした問題を解決するには、つい最近日本政府が公表したものよりも、もっとちゃんと機能する経済政策が必要です。
これまでの政策はインフレ・ターゲットをクリアすること、日本経済に対する国民の信頼を取り戻すこと、そして日本経済が健全性を取り戻すために必要なレベルまで経済成長率を引き上げること、そのいずれも実現できませんでした。

 

はじめに試みるべきは二酸化炭素の排出に課税を強化する一方で、緑の産業に対する本格的な財政援助を行うことです。
これにより日本経済の構造転換を促す、大規模な投資行動を促進することになるでしょう。
まず間違いなくこの政策は、二酸化炭素排出型の産業基盤の価値の減少が続き、経済全体の金融的価値を減少させているネガティヴな実績を上回るプラスの経済効果を生むことを可能にします。

 

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二酸化炭素排出型の産業の縮小によって日本経済が被る資産規模の縮小はそれほど大きくはありません。

その上この産業は、新たな価値体系とも非常に相性が良くありません。
このような政策転換はボトルネックに迂回路を作るような政策よりも、より大きな投資を市場に呼び込むことが可能であり、さらには税収もふえ、日本の公的負債を減少させることにも効果を発揮するはずです。

そして副次的効果として、技術開発と教育に対する投資を拡大させる効果も期待できます。
その中には日本のサービス産業の生産性を改善するため、供給側の態勢を改善する方法も含まれます。
これらの投資や支出が組み合わせられることにより相乗効果が生まれ、これまでの経済政策では不可能だった、最終的に日本をデフレーションから脱出させることが可能になります。

 

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国外の関係者の多くは日本が巨額の公的負債を抱え込んでいることに懸念を募らせています。
現在のように金利がきわめて低い水準に留まり続ければ問題もそれほど深刻化しませんが、世界市場全体で金利が上がるようなことになれば、自体は楽観できなくなります。

私自身はそのような金利上昇が喫緊に起きるとは考えていませんが、日本はそうした自体に備えるための予防措置を2つ採用することが可能です。

 

1番目の手段。

それは現在市中にある国債を換金不能にし、その代わり毎年少額の利息を支払い続けるという権利に変えてしまうことです。
こうすることにより、政府の貸借対照表の負債項目から完全にリスクを取り除くことが可能になります。

 

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こうした政策に対しては、日本経済がインフレ傾向に向かうことを懸念する人もいるでしょう。
しかし現在日本経済が落ち込んでいる上下逆さまの状況には、インフレ傾向は逆に必要なことであることに間違いはありません。
私は金利の急上昇に対する懸念は大げさ過ぎると考えています。
しかし数かぎりない懸念はとりあえず脇に置いておき、言えることはハイパーインフレ圧力が起きない限り、あるいは起きるまで、インフレ傾向が現実になれば日本政府は毎年5パーセント前後の負債の削減が可能になります。

 

〈 後篇に続く 〉

https://www.theguardian.com/business/2016/sep/15/a-better-economic-plan-for-japan

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経済記事の翻訳というのはなかなか骨が折れる作業なので、正直気が進まないのですが、スティグリッツ教授は『弱者の視点』を持つ数少ない世界的経済学者であり、その教授が日本の経済政策に提言を行っているという事で翻訳してみました。

その結論(後編に掲載)を読んでみて、だてにノーベル賞を受賞した訳では無いなと思うと同時に、結論を見て私が長年漠然と「こうすればいいのではないか?」と考えていたことに明確な輪郭を与えてもらったような気がしました。

ただ、今日における中央銀行の果たすべき役割等については、知識も造詣も無く、翻訳の大意が誤っていないことを願うのみです。

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【 シリア、停戦が破綻、政府軍が激しい空爆】《2》

 

アメリカNBCニュース 2016年9月26日

 

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シリア政府とその同盟軍は、停戦が破綻した直後、アレッポ市内の反政府勢力の支配地域に対する激しい空爆を行いました。

9月21日空爆の後、がれきの中から負傷者を救出する人々。(写真上)

 

9月23日アル・ムアサラト地区で空襲の後、がれきの中から救出された幼児の体(生死は不明)を運ぶ男性。(写真下・以下同じ)

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9月23日アル・マルヤ地区でがれきに埋まった子供の体(生死は不明)を引き抜こうとする人々。

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9月24日仮設の病院で治療を待つ負傷者。

アレッポ市内の反政府勢力の支配地区に残って治療を続けている医師の数は30人だけです。

数百人の命を救うための医薬品も極度の欠乏の中にあります。

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9月25日、空爆後の反政府勢力の支配地区アル・カタージ。

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http://www.nbcnews.com/slideshow/failed-ceasefire-leads-heavy-bombardment-aleppo-n654691

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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