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『進行中の福島の危機』、本当は何が起きているのか《第4回》

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所要時間 約 6分

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4号機の使用済み核燃料の取り出し作業、想像できない程の『危険』
海岸に沿って散乱していた、冷却システムの残骸が物語るもの

フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイション 10月3日

4号機の爆発後、現場に入った東京電力は使用済み核燃料プールの床の部分の強化を行いました。
これは大きな余震が起きた場合、別の大きな懸念がある事を証拠立てるものです。
事故直後の4月、あるいは5月時点に戻って考えると、核燃料プールの床が崩落する危険性があったことは明らかです。

現在4号機建屋は全体に覆いが掛けられた状態になっており、間もなく核燃料の取り出し作業が始まろうとしています。

現在4号機の核燃料は、パッケージに入ったタバコのような状態になっています。
たばこのパッケージが新しいままなら、タバコは一本ずつ簡単に引き抜くことが可能です。
しかしパッケージがひしゃげてしまっていたり、乱暴に引き抜いたりすれば、タバコは引きちぎられてしまうでしょう。
同じようなことが、4号機の核燃料プール内で発生する可能性があるのです。
核燃料の収納ユニットはすでに変形しており、万が一にも核燃料を力任せに引き抜くようなことをすれば、核燃料が破損してしまう恐れがあります。

GRD01
4号機原子炉建屋は爆発によって崩落し、当然ながら最上階にあった核燃料プール内のユニットは変形しました。
ですから4号機核燃料プール内の使用済み核燃料の取り出しが来年いっぱいまでかかるという予定は、別に驚くには値しないのです。

原子炉建屋の右側に排煙塔があるのがお分かりですか?
この排煙塔は現在4号機とつながっています。
そこで作業としては核燃料プールのガスを抜き、フィルターを介して排煙塔から大気中にこのガスを放出することになるでしょう。
その際、再びクリプトンが放出されることになります。
クリプトン85(不活性の放射性ガスで、半減期は10.76年。ウランやプルトニウムの核分裂反応により生成し、核実験や原子炉の中で作られる。燃料棒の再処理の過程で、全量が環境に放出される : ウィキペディア)です。
これは核燃料プールの内部が損傷してしまっている以上、避けられない事態なのです。

こうした作業は、国内の原子力発電所で定期的に行われています。
通常使用済み核燃料プールで行われるのは、排煙塔を使ってガスを吸いだし、大気中に放出する作業です。

第一原発大規模工事
4号機の今後の作業を注視してください。
環境に負荷をかけざるを得ない作業が必ず行われることになると思います。

ともかくも今は、3号機と4号機の使用済み核燃料プールからすべての使用済み核燃料が取りだされるまで、再び大地震が発生しないことを祈らなければなりません。

4号機建屋は3号機に比べると構造的な強度に優れていますが。3号機爆発による破壊によって、危ない状況であることにかわりはありません。
青い色の4号機建屋の地面に近い部分に、内側から押されたようなふくらみが認められます。
青色の部分はコンクリート壁ですが、その上は鉄骨がむき出しになり、先ほど申し上げたようにシアーズ・ローバックで売っている鉄製物置のような強度しかありません。

しかし、その青色のコンクリート部分にも、3~5センチほどのゆがみが出来ています。
これはオイラー・ストラト・バックルといわれる物理現象の第一段階で、原子炉4号機が地震の揺れによって損傷を起こしたものと考えられます。

海側全景
そして海沿いに原子炉建屋とは別の、一並びの建物があります。
これがタービン建屋です。
原子炉建屋と同程度の面積を占めていますが、内部には原子力発電所の安全にかかわるような重要な設備は存在しません。
しかしその建物の基礎部分には、高濃度の核廃棄物で汚染されています。
タービン建屋と海岸線の間には、未だに破壊によるがれきの一部が散乱しています。

実はこれらは津波によって機能を完全に破壊された冷却システムが、元あった場所に散乱しています。

このシステムはディーゼル装置を冷却する働きをするはずでした。
しかし私が以前にも申しあげたとおり、この装置は津波によって水没しなくとも、正常に機能するはずの無いものだったのです。
(散乱していたがれきが、津波到達前にこの装置が地震によって倒壊したしまった事を示唆している限り)海岸線に散乱するこの装置の破片が、すべてを物語っているのです。

〈 第5回・最終回につづく 〉

http://fairewinds.org/media/fairewinds-videos/tour-fukushima-daiichi
  + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

相変わらずガンダーセン氏の指摘は卓抜です。
国内報道だけでは解らなかった、タービン建屋と海岸線の間に散乱する残骸の正体について、初めて理解することが出来ました。

ただクリプトンの問題を扱った段落の翻訳は、いまひとつ解りやすさを欠くかもしれません。
翻訳技術の未熟さによるもので、お詫び申し上げなければなりません。

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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