ホーム » エッセイ » 『原発空白期間』、その実績を作りたくない : それだけの理由で、日本は再稼働をするのか?! 」&【津波による巨大がれき、アメリカで観光名所?!】
【 原子炉再稼働へと進む日本 】
ワシントンポスト 4月10日
日本政府は原子力発電所の運用について新たな安全基準を採用し、今年の夏の電力不足が経済復興の妨げにならないようにとの考えから、福島第一原発の事故以来初めてとなる原子炉の再稼働へ向け準備を進めています。
野田首相と3人の閣僚(原子炉再稼働について最終決定権を持つ4人の内閣メンバー)は4月9日に会談を行い、関西電力大飯原子力発電所の2基の原子炉の再稼働を認めることで合意しました。この2基の原子炉は、福島第一原発の事故後に導入されたいわゆるストレステストの結果、稼働に問題が無いと判断されました。
日本政府は現在大飯原子力発電所の再稼働について、大阪の95km北西に位置し、大飯原発が立地する福井県の承認を待っている状態です。
福井県の了承を取り付ければ、あとは再稼働をするかどうかは内閣が決められるようになります。
「関西電力の安全基準は、原子力安全・保安院が示す基準に適合しています。」
野田内閣の枝野経済産業大臣が4月9日の会談の後、記者会見でこう語る様子がインターネットで世界中に配信されました。
関西電力は日本の電力会社の中で原子力発電に対する依存率が最も高く、その割合は49%に上りますが、もし一基も原子炉が再稼働されなければ、夏の電力使用ピーク時に電力不足に陥らざるを得ない、と警告しています。
▽ 停電はほんとうに起きるのか
今年日本が2010年同様の猛暑に見舞われれば、原子力発電がおこなわれない場合、夏の電力需要期に最大で19.6%電力が不足する可能性がある、と経済産業省が声明を出しました。
関西電力のエリア。関西地区はちょうどベルギーの国土程の面積を持ち、メキシコとほぼ同じ1兆ドル(約80兆円)経済規模を持っています。
その中心都市である大阪や京都には、世界的なメーカーであるシャープやパナソニックの本社があります。
建設機械で世界で2番目の規模を持つコマツは、電力供給が保障されないのなら生産工場を海外に移転させる、と語りました。
関西電力の八木社長は9日、安全基準についての競技を行うため、東京で枝野経済産業大臣と会談しました。
福島のような事故を二度と起こさないようにするため、我々は安全基準の見直しを進めて決ましたが、安全確保のための取り組みに終わりはありません。」
会談の後、八木社長がこのように語りました。
▽『十分とは言えない』
政府と関西電力がいくつかの安全対策について、今すぐ取り組む必要性は無い、と判断した点について、原子力工学が専門の京都大学原子炉実験所の宇根崎博信教授は、電話でのインタビューにこう答えました。
「いくつかの安全対策について今すぐ対応する必要はない、と判断した根拠について、科学的に充分な説明は行われませんでした。そして代わりにどのような手段で安全を確保するのかも、説明されませんでした。」
「政府も関西電力も、説明不十分です。」
3月11日に襲った巨大地震と巨大津波が、東京電力福島第一原子力発電所の3基の原子炉でメルトダウンを引き起こした後、2012年4月現在、日本国内に54基ある原子炉のうち、稼働中のものは一基だけになりました。
これらの原子炉により日本はかつて電力需要の30%を賄っていましたが、福島第一原発の事故を受け、定期点検によって稼働を停止した原子炉の再稼働は許可されずに来ました。
日本では13ヵ月ごとに定期点検と、核燃料の交換のため原子炉の停止が行われます。
北海道電力泊原発3号機が5月5日、日本国内の原子炉として最後に稼働を停止します。
北海道電力は3月26日、ウェブサイトでもこの旨発表を行いました。
▽『再開への焦り』
「泊原発3号機の停止前に、どんなことをしてでも大飯原子力発電所を再稼働させたい、それが政府の本音だと思います。」
東京に本部がある日本エネルギー経済研究所の原子力問題のアナリスト、村上とも子さんが、このように指摘しました。
泊原発3号機の停止による全原発停止により、どのような混乱も起きないという事態は、原子力発電を推進する立場の人々にとっては敗北を意味することになります。
「もし再稼働を急ぐ背景にそのような事情があるとすれば、全く馬鹿げたことだと言わざるを得ません。」
停止中の原子力発電所の穴埋めのため化石燃料を使う火力発電所に頼らざるを得ない、という状況から、2011年における日本の液化天然ガスの輸入量は記録的に増えています。
経済産業省の見通しでは、2013年3月末まで原子力発電所の再稼働が無ければ、原子力発電所の施設を持つ日本国内の9つの電力会社では、このための燃料費がこれまでの倍の約7兆円に膨らむことになります。
このうち関西電力の支払金額は8千億円から1兆1,000億円になる見込みです。
福島第一原発の3基の原子炉のメルトダウンにより放出された放射性物質により、ニューヨーク市の半分ほどの面積が人が住めない程に汚染されました。
そして160,000人の住民が立ち退きを余儀なくされ、特に福島第一原発の周囲では今後何十年もの間、人が住めない状態が続くと見られています。
▽ 仕事が必要
法的に必要ではありませんが、日本政府は大飯原発の再稼働に当たり、周辺自治体の了承を求めています。
共同通信によれば、大飯町の町長はこれまで大飯原発でとられてきた安全対策は十分である、と記者会見でその見解を発表しました。
「大飯原発の再稼働が果たして安全かどうかは疑わしいのですが、再稼働を認めるかどうかは非常に難しい問題です。」
大飯原発から10kmの場所に位置する福井県小浜市の僧侶、玉川まさたかさんが語りました。
「多くの町民が関西電力に関連する職に就いています。もし大飯原発が無くなってしまえば、この人たちも職を失うことになるのです。」
おおい町に住む66歳の赤井とし太郎さんは、職を得ることを、命を守ること、安全に暮らすことに優先させることはできないと語ります。
「私は原子炉の再稼働には反対です。人々の命や生活を守ることは、何よりも優先されなければなりません。そして原子力発電の危険性は明らかです。」
「日本は太陽光発電や地熱発電などの再生可能エネルギーに、切り替えをしていくべきです。それで電気代が高くなるのなら、仕方がありません。」
http://www.washingtonpost.com/world/fukushima-residents-navigate-around-radiation-109/2012/03/08/gIQAIn5ZzR_video.html
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世界が気づき始めています。
原発再稼働が「電力不足から国民の生活を守る」ためではないことを。
「原発の無い夏を乗り切った日本」という実績を絶対に作らせまい、とする原子力推進派の強い圧力により、
▽国民の7割以上が「もう原発から撤退すべきだ」( http://kobajun.biz/?p=2801 )と思っているにもかかわらず、
▽世界が福島第一原発の事故処理に正面から取り組まずに最大の危険を放置したまま、再稼働に血道を上げる日本にいらだちを隠せなくなっている( http://kobajun.biz/?p=2724 )にもかかわらず、
▽脱原発を宣言したドイツでは技術革新が進み、国民が望む社会正義と地域の再生が実現され始めた( http://kobajun.biz/?p=2454 )ことを無視し、
▽「もしもう一度同じような事故を起こしてしまったら、私たち日本人はもうこの国には住めなくなってしまう」( http://kobajun.biz/?p=2441 )危険を冒しても、
日本の政治は原子力産業を守ろうとしています。
6月13日付けの宮城県の新聞、河北新報朝刊のコラムに、生涯を水俣病の研究と患者の救済に捧げた原田正純医師の話が紹介されていました。
当時の日本政府と「専門家」は水俣病の毒性遺伝は無い、と断定し、汚染された魚を食べた母親が障害のある子供を産んでも、法的な救済策が無かった。
この判断は「おかしい」と感じた民間の医師や「素人」の市民が声を上げ、それがやがて水俣病の毒性遺伝の解明につながっていった。
熊本大で定年を迎えた原田正純氏が11日亡くなられたが、「技術への過信、国と企業の利益優先、広範な環境汚染。水俣病と共通点の多い福島第一原発事故に心を痛めていたという。専門家とされる人々への懐疑を隠さず、その分主体的な住民参加を促し続けたのが原田さんだった。」
と河北新報のコラムにあります。
今や日本人の64%から信頼を失っている日本の大手メディア( http://kobajun.biz/?p=2801 )は、バラエティ番組などを中心にやたらと「東大卒」を持ち上げます。
しかし、「幻滅がつきものの日本の原子力発電」( http://kobajun.biz/?p=1074 )体制を作り上げてきたのは、他ならぬこの「エリート」集団なのではありませんか?
ブランドというとやたらと有難がる風潮がこの日本にはありますが、中身までしっかり吟味することがこれからの時代、必要なのではないでしょうか?
問題点に気づくことが出来る、悲劇に見舞われた人々を思いやることが出来る、「心を持つ」あなたのような方が、もっともっと声を上げていかなければならない、今はそのような時代だと思います。
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【津波による巨大がれき、アメリカで観光名所?!に】
アメリカNBCニュース 6月12日
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先週、オレゴン州アゲイト海岸に漂着した東日本大震災による巨大がれき、重量が132トンもある日本の浮きドックを自分の目で確かめようと、見学に訪れる人が絶えません。州当局によればこれまで訪れた人は11,000人にのぼっています。
インタビューに応じた子供たちは皆一様に、こんな大きなものが流れてくるなんて、と驚いている様子です。
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蛇足もいいところなのですが : ジョン・フィリップ・スーザ作曲【ワシントンポスト】
ここのところ刺激的な記事を提供してくれているワシントンポスト。
このワシントンポストが開催した論文コンクールのために、『マーチ王』スーザ(代表作は『星条旗よ永遠なれ』)が作曲した『ワシントンポスト』(1889年)という曲があるのをご存知ですか?
タイトルはご存じなくとも、曲はお聴きになったことがあると思います。