星の金貨 new

星の金貨 東日本大震災や音楽、語学、ゴルフについて語るブログです。

ホーム

【 21世紀社会が抱える深刻な課題 : ノーム・チョムスキー 】《1》

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 8分

人類にとって世界史上最も危険な組織、それが現在の米国共和党

人類史上最強の自由世界のリーダーは、地球環境保護の取り組みを積極的に弱体化させる方向に向かう

 

デモクラシー・ナウ 2017年5月29日

 

反体制の立場に立つ政治学者、言語学者、著作家として世界的に有名なノーム・チョムスキー氏はマサチューセッツ工科大学の名誉教授であり、同校ですでに50年以上教鞭をとり続けてきました。

最新の著作は『アメリカン・ドリームへのレクイエム:富と権力の10原則』です。
今回、『デモクラシー・ナウ!』は特別版としてノーム・チョムスキー氏への1時間にわたるインタビューを行いました。

私たちが4月に行った公開討論では、気候変動、核兵器、北朝鮮、イラン、シリアの内戦、ウィキリークス創設者であるジュリアン・アサンジ氏に対する告発が意味する民主主義への脅威、そしてチョムスキー氏の新しい著作は『アメリカン・ドリームへのレクイエム:富と権力の10原則』などについて話し合いました。
マサチューセッツ州ケンブリッジにあるファースト教区教会に、数百の人々がこの公開討論に参加し、会場は超満員になりました。

 

エイミー・グッドマン:あなたはアメリカの共和党が世界史上人類にとって最も危険な組織だと発言されましたが、その主旨についてお聞きしたいと思います。ご説明をお願いできますか?

ノーム・チョムキー:私はこの発言についてはかつてない程斬新なものだとも言いました。でも皆さんはそれが真実かどうかということが気がかりだと思います。

私が言いたかったのは、人類史上、人間の手により作られた本来なら人間社会に貢献するためだったはずの組織が、人々のコミュニティに対するこれ程の破壊者になり得るものなのか?という事でした。米国共和党、いまや私はこれを政党と呼ぶことについてすらためらいがありますが、史上最大の人類の敵になりつつあるということが疑いようのない現実になっているのです。

共和党の最新のキャンペーンを見てみましょう。

 

カネのかかった派手な宣伝を行っていますが、中身というほどの重要な事実に対する意見が述べられている訳ではありません。

共和党の選挙候補者に共通していることは、今起きている現実を認めようとはいない、あるいは事態が深刻なものであっても曖昧にぼかしてしまうか、そのどちらかです。

例として深刻な環境破壊が起きている現実について、ジョー・ブッシュ氏のどのような発言を行っているか検証してみましょう。彼はこう語っています。

「たしかにそうした現実があるのかもしれません。しかし私たち全員が事態を完全に把握している訳ではありません。大丈夫です、(シェールガス採掘のための)地中破砕工法はちゃんと機能しています。だから私たちはもっとシェールガスを採掘してかまわないのです。」

 

その発言が行なわれた同じ部屋に、『大人の対応をする』といわれている人間がいました、名前はジョン・ケイシック。

「その通り、確かに地球温暖化が進行中ですが、私たちにとってはたいした問題じゃない。」

彼はオハイオ州の知事です。

「オハイオ州では、これからも火力発電を続けるつもりだし、そのことに関して謝罪するつもりもありません。」

彼は地球と人類に対して災厄をもたらそうとすることについて何とも思わない、100%の確信犯です。

 

そしてその後、何が起きたでしょうか。

まずは 11月8日アメリカ大統領選挙が行なわれ、ドナルド・トランプが大統領になりました。

この時、私自身が非常に重要だと考えている会議が北アフリカのモロッコの首都マラケシュで開催されました。

約200の国連加盟国が参加したこの会議は、先の2015年2015年12月にパリで開かれた地球温暖化防止のための会議で合意したいくつかの事項について、その実現を図ることを目的としたものでした。

パリ協定は地球温暖化を食い止めるため実効性の高い条約へ発展することが期待されていましたが、人類史上人間にとって最も危険な組織のため、実現が不可能になりました。

共和党が支配するアメリカ議会は地球規模での環境保護に関するいかなる国際協定も受け入れるつもりはないでしょう。

そのために世界の国々は協定の文言をその手に持ちながら、それが実現される保証を得ることはできないのです。

 

昨年2016年11月8日、とにかくこの時点で世界は環境保護への取り組みを前進させようとしていたのです。

11月8日、世界気象機関は一通の報告書を公表しました。

これの報告書は地球環境の現状と将来の起こりうる事実についての非常に悲観的な分析結果を明らかにしたものであり、地球は危機的状況に近づいていると指摘するものでした。

パリ交渉の目標はまさにこうした状況に立ち至る前に、何とか危機的状況をぎりぎりで回避し、この報告書やその他予測されている環境破壊を未然に食い止めようとするものでした。

しかしその日会議に参加していた人々は皆、一様に議場で凍りつくことになりました。

新しいアメリカ大統領が誰になったのか、その第一報が飛び込んできたからです。

 

その結果、人類史上で最も強力な国家であり、現在最も富める、最も強力な、最も影響力のある自由世界のリーダー、アメリカ合衆国は持てる力を地球環境保護の取り組みを支持しないだけでなく、その取り組みを積極的に弱体化させる方向に向かうことを決定したのです。

世界には環境問題の解決のために多くの取り組みを行っている国々があります。地球規模での成果を上げているとは言えないかもしれませんが、文字通り国家として相当な取り組みを行っているデンマークのような国々が一方にはあります。そしてそれとは正反対の位置にあるのが、世界から孤立したまま、人類史上最も危険な組織が率いる国家、アメリカ合衆国です。

 

アメリカはこう言っているのです。

「我々は温暖化を防止するための国際的な取り組みに参加するつもりはない。現実にはその取り組みを弱体化させる方向に向かっている。」

「我々はこれからも化石燃料をどんどん使い続ける。その結果、環境破壊は危機的状況へと落ち込む転換点を突き破ってしまう可能性がある。それでも我々はパリ協定の順守に向け気候変動の問題について取り組みを行なおうとする開発途上国に、そのための資金を提供するつもりはない。我々は地球環境に壊滅的な影響を与えかねない二酸化炭素、そしてメタンやその他危険性の高いガスの排出制限など、要らざる規制を破壊していく。」

 

《2》へ続く

https://www.democracynow.org/2017/5/29/noam_chomsky_in_conversation_with_amy

+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

 

この稿を訳して自然に頭に浮かんだのは、「ならば戦後日本にとって史上最も危険な組織、それが現在の安部自民党」という事でした。

【 良識を問われるトランプ、見識を疑われている安倍首相 】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 10分

トランプ大統領のご機嫌を取り結ぼうとする態度があからさまな安部首相

トランプ大統領にひたすら媚びを売り続ける安部首相、その腹の内は

北朝鮮に対し、常軌を逸するほど熱心に取り組むアメリカの大統領、しかし日本と韓国の安全は二の次

 

ジョナサン・ソブル / ニューヨークタイムズ 2017年8月11日

 

日本の安部首相ほどあからさまにドナルド・トランプ大統領のご機嫌を取り結ぼうとする首相や大統領は、国際社会にはほとんど見当たりません。

安部首相はトランプ大統領が昨年11月の大統領選挙で勝利して以来、ニューヨークのトランプタワーやフロリダ州のリゾートであるマーラ・ラゴにある別荘に喜び勇んで駆けつけました。

2人は2月に行ったゴルフで新密度を深め、他の食事客から丸見えの場所で北朝鮮が発射したミサイルへの対処法を協議しました。

 

ミサイルを発射した当人の北朝鮮の指導者キム・ジョンウンとトランプとの間の核兵器開発を巡る激しい応酬がどんどん過激さを増していく中、この安部首相とトランプ大統領の『緊密な関係』の意義が問われることになりそうです。

加速する北朝鮮の軍事技術の進歩とトランプの地上最強の国家の大統領とは思えない程激しい反応は、日米の緊密な同盟関係の在り方と安倍首相の政治生命のこれからを複雑にする可能性があります。

アナリストの分析によれば、安部首相がトランプ大統領に媚びるようにして付き従っているのには二つの理由があります。

ひとつはトランプがこれまで大統領執務室の中で繰り返し問題にしてきた対日貿易不均衡問題について、その攻撃の矛先を鈍らせること、そしてもうひとつが日本の防衛問題に大統領自身が関わり続けることを確実なものにすることです。

 

大統領選挙期間中、トランプは国際社会におけるアメリカの軍事負担を軽減する政策を提案しましたが、これは同盟国である日本の防衛力の弱体化、さらには孤立化を招く恐れがありました。

しかし実際に安倍首相が直面しているのはまったく逆の問題になりました。

すなわち、日米の共通の敵・北朝鮮に対し常軌を逸するほど熱心に取り組むアメリカの大統領の姿です。

ニューヨークに本拠を置く政治的問題のコンサルタントであるテネオ・インテリジェンスの日本アナリスト、トビアス・ハリス氏は

「現状はむしろアメリカの側が事態を一層エスカレートさせるための導火線に火をつけてまわっている様なものですが、安部首相はアメリカに対し冷静な対応を求めるような行動はとっていません。このまま何もしないのであれば、日本国内で安倍首相に対する批判が巻き起こることは、簡単に予想できることです。」
ハリス氏によればトランプ大統領が行なっているような瀬戸際外交を望む日本人などほとんど存在しません。

硬な保守派である安倍氏はこれまでずっと北朝鮮に対する厳しい制裁を提言し続けてきました。

そして北朝鮮からの脅威が高まっていることを強く主張し、日本国憲法に基づく制約を様々な方法を使って取り払い、日本の軍事力の強化を推進してきたのです。

こうした背景もあり、現在進行している北朝鮮とアメリカの対立の激化は、まさに安倍首相の思うつぼだという見方が支配的でした。

8月10日、北朝鮮は太平洋のアメリカ空軍が重要な拠点を構えるグアム島周辺の海域に、中距離弾道ミサイルを撃ち込む計画を検討していると発表しました。

そうなればミサイルは西日本上空を飛行することになり、1998年に北朝鮮のミサイルが北日本上空を通過した記憶がよみがえった日本で全国的な騒動を引き起こしました。
「我が国は一度決意を固めれば、数秒のうちに日本列島を灰にする能力をすでにこの手にしている。」

北朝鮮はグアム周辺にミサイルを撃ち込む可能性を明らかにした同じ声明の中で、朝鮮民主主義人民共和国名でこう述べました。

 

日本はすでにミサイル防衛システムを強化してきましたが、北朝鮮による攻撃が現実味を帯びる中、防衛省関係の官僚は報復攻撃あるいは先制攻撃によって北朝鮮の軍事目標を攻撃できる長距離巡航ミサイルのような武器を購入装備するかどうかについての議論が行なわれています。

しかしこうした武器を装備することは日本が何十年にもわたり守ってきた平和主義を覆すことになり、考え方自体論争の的になります。


日本の自衛隊は平和憲法の定めにより直接国土が攻撃を受けた際初めて軍事力を行使できるとされていますが、アメリカ側は敵の基地を直接攻撃する積極的軍事行動を担当することになっています。

いわゆる盾と槍の関係であり、日本が盾、アメリカが槍の役割を担うことになります。

北朝鮮に対する懸念は大きくなり続けていますが、ほとんどの日本人は盾と槍の分業関係に満足しているようです。

もし安倍首相がそうした関係を変えたいと考えているのならば、注意深く歩みを進める必要があります。

 

安倍政権の支持率は数か月に渡って下落を続けてきました。

その一因に挙げられているのが、論議など、自衛隊に対する制約を取り払うため安部政権による軍事優先政策が行き過ぎていると感じる有権者が増えているという事実です。

世論調査によれば、日本国憲法の改定を支持しているのは有権者の約3分の1に過ぎません。

 

国際平和カーネギー基金(Carnegie Endowment for International Peace)」の上級研究員であるジェームス・L・ショフ氏は8月10日掲載された記事の中で次のように述べました

「安倍首相は長い間目標に掲げてきた憲法改定に、残り少ない政治的資産をつぎ込むつもりだろう。」

そして攻撃的な武器を入手するための「大胆な政策の実行」は、「この目標の達成を一層遠のかせることになるだろう」と付け加えました。

来年には自民党総裁選挙を控えていますが、安部首相のライバルのひとりである岸田文夫元外務大臣は、国民は日本の郡制度の変更はもつと慎重に進めるべきだと考えていると判断しているものと見られます。
「政治家としての哲学を一言で表現すれば、安倍首相は保守派です。一部には強硬なタカ派だと評する人もいます。」

岸田氏は、テレビの討論番組でこう語り、次のようにつけ加えました。

「私自身はリベラルな平和主義者です」

北朝鮮に対する敵対的発言を繰り返すトランプ氏の態度は、安倍氏にとっては頭の痛い問題です。

 

トランプはキム・ジョンウン率いる北朝鮮政府に対する戦争表現をさらに過激にし、ついこの前用いた『炎と怒り』という威嚇ではとても足りないと語りました。

こうした過激な発言は、日本国内においては北朝鮮との軍事的対立に伴うリスクを痛感させることになりました。

北朝鮮が開発している弾道ミサイルはアメリカ大陸に到達可能だと専門家が指摘していますが、近隣諸国はそのミサイルの目標が自分たちの国にならないよう我慢を続けています。

そのため北朝鮮に対する軍事行動を行う事への支持は日本、韓国の両国ともに低く、トランプの過激な発言は現実の解決にほとんど役には立ちません。

 

拓殖大学世界研究所の竹田秀史教授は、

「現在のアメリカ政府が日本と韓国の安全保障について本当に真剣に考えているのかどうか、むしろその事に対する懸念が高まっている。」

と語りました。

 

https://www.nytimes.com/Trump’s Tough Talk on North Korea Puts Japan’s Leader in Delicate Spot

+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

 

対米追従という言葉がありますが、この記事を読むと同盟国として冷静な対応を促す、助言をするという対等な立場を、安部首相その人が捨ててかかっていることが解ります。

そして安部首相がトランプに賭けの代償として差し出しているのは例によって、自分の命や財産ではなく一般国民の命や財産だという事です。

 

その先に、巨額の軍事予算に苦しむアメリカ政府に代わり、日本が巨額の予算を要する軍事負担を引き受けるという最終目的があるように感じます。

そのためにトランプが挑発的言動を繰り返して北朝鮮を硬化させ、その反応を世界中に見せつけ、

「ほら、こいつらはこんなに危険な連中なのだ。だからしっかり我々も軍事能力を高くする必要があるのだ。」

というやり方で、日本に多額の軍事負担を押し付ける。

 

今回の騒ぎで得をするのは3人だけ、海外のアメリカ軍の負担を減らすという公約を守れるトランプ、北朝鮮国内の団結を強化できるキム・ジョンウン、そして日本の軍事力増大を信条に掲げる安部首相です。

 

21世紀社会の国際紛争を軍事力で解決できるのか?という議論など、一切ありません。

 

 

【 アメリカと北朝鮮は戦争を始めるのか? 】《後編》

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 9分

各国の専門家が読み解く『緊迫する朝鮮半島情勢』今後の展開・冷静な分析
朝鮮戦争の休戦状態を終わらせて平和条約を締結するため、米国側に何度も和平交渉を提案した北朝鮮

「俺は最強国家アメリカの大統領だ」とトランプが虚勢を張れば張る程、北朝鮮国内の団結が強まる結果になる

 

ベンジャミン・ハース(香港)ジャスティン・マッカリー(東京)トム・フィリップス(北京)バーニー・メルキン(シドニー)/ ガーディアン  2017年8月9日

▽ ロバート・ケリー 釜山国立大学准教授

 

トランプ大統領の発言については、2通りの解釈方法があります。
楽観的な解釈をしたいですか?
そしてあなたはトランプの支持者ですか?
トランプは自分の意図を隠そうとしていますが、トランプはアメリカはこれ以上戦略的な意図から忍耐を続けるつもりはないという意思を中国政府に伝え、圧力をかけることです。

それほど楽観的ではなく、おそらくこちらの方がより正確でしょうが、トランプは自分が強大な権力を持つアメリカ大統領だということを誇示したいのです。

北朝鮮とアメリカ、そのどちらにも戦略と呼べるほどのものはあるのでしょうか?
それはまるで子供たちの遊び場で見かける、いつも弱いものいじめをしている2人の罵り合いのようなものです。

北朝鮮は挑発などせず、ある日突然アメリカの主要な基地や国土を一方的に攻撃するつもりはないのでしょうか?
そのやり方なら、米国の報復攻撃を封じ込めることが可能です。
核兵器を自前で開発できる北朝鮮人の頭が悪いはずはありません。
彼らの核兵器は、犯罪ではなく防衛のためのものです。

 

北朝鮮は、かつてカダフィ大佐とサダムフセインに何が起きたのか、心配しているのはその点です。
彼らはアメリカ人が変化を利用して何かを仕掛けてくることを心配しており、核兵器は機に乗じてアメリカが乗り出してくることを防ぐことを保証しています。
これがすべてです。
グアムにミサイル撃ち込むなどというのは、ただのこけ脅しが一つ増えたというだけの話です。

しかし北朝鮮はもう後戻りするつもりはありません。


彼らはミサイル実験を続け、その結果近いうちに核弾頭の小型化を実現することでしょう。
さらにはミサイルが大気圏に再突入する際、破壊されないようにその強度を高める作業が残っています。
それまでの間、北朝鮮とアメリカの激しい応酬が続くことになるでしょう。

 

▽ ジョン・デュルリー(韓国ソウル市延世大学、北朝鮮専門家)

 

米朝関係において私たちは、よもやアメリカ側から予測不能な発言行動や不安材料が飛び出してくることなど予想していませんでした。
だからこそ世界中の人々がこれほど狼狽しているのであり、私たちはアメリカ大統領がこのような口調で相手を罵ることに慣れてはいません。

こうした類の罵り合いや声高な脅迫が、戦争や制裁といった国際的な問題を合理的解決に導いた例などはなく、全く無意味で馬鹿げています。

 

もし解決に向け一歩でも前進させたいのであれば、我々がするべきことは外交的努力です。
アメリカ政府の北朝鮮へのメッセージは次のようなものでなければなりません。
「アメリカ合衆国は北朝鮮が経済的発展を成し遂げ、アジア社会との融和関係を構築し、他の東アジア諸国同様国家としての安定した状態を手するよう望んでいます。それができれば北朝鮮は核兵器の開発と保有を放棄することが可能になるでしょう。」

しかし事態が進展しないことを望んでいる人々もいます。
例えば、核兵器の不拡散に焦点に問題を絞れば、日常的に北朝鮮に打撃を与える政策を実行して弱らせ、孤立させることにより、これから核兵器を作ろうあるいは持とうとする国々にこう自戒させるのです。
「とりあえず我が国が、北朝鮮の二の舞にだけはならないようにしなければならない。」
こうした政策が実在することについては論理的根拠があります。

 

アメリカや韓国からの敵意がこうした形で示されることは、北朝鮮にとっては大歓迎なのです。
北朝鮮は国際社会がうんざりするほどこのやり方を続けるでしょう。
彼らはアメリカ政府との間で日常的に脅し合いをすることにより、国内での立場を安定させるやり方に満足しています。
それは実際に素晴らしい効果があります。
彼らはむしろ危機的状況を望んでおり、アメリカによって包囲されているという点を強調することで国内の引き締めを図ることができるのです。

しかし軍事紛争が発生することはあり得ないことではありません。
バランスを取り続けることは容易ではありません。
私はもっと憂慮すべき点は別にあると考えています。
私は韓国人はこの問題の本質を見極めようとしていないと考えています。
私は韓国政府がこの問題についてあまりにも消極的であると思います。

 

▽ グリフィス大学弾道ミサイル実験専門家 アンドリュー・オニール教授

 

ミサイル実験の結果次第で今後の北朝鮮の姿勢は変化し、多くの問題が影響を受けることになるでしょう。

北朝鮮は今年2017年7月にICBM(大陸間弾道ミサイル)発射実験を2度成功させたことにより、その技術開発が新たな段階に到達したことを世界に印象付けました。

これに2016年に2度の核爆発実験を行ったことを考え合わせると、事態はアメリカやその同盟国にとっては黙って見過ごせないレベルに到達しました。

中国も深刻な懸念を抱くこととなり、北朝鮮に圧力をかけるための追加措置に歩調を合わせざるを得なくなっています。

ここで問題となるのは、

①北朝鮮を思いとどまらせるようには、国連の安全保障理事会の制裁が機能していない

②北朝鮮の大量破壊兵器がある軍事施設に攻撃を仕掛ければ、北東アジア全域で戦争状態に陥る危険性があり、現実的選択肢ではありえない

 

しかしトランプ大統領の「炎と怒り」の発言は、国際社会におけるアメリカの絶対的優位を守るためには軍事力の行使も辞さないとの意思表示を行ったという意味で、ひとつの大きな転換点となる可能性があります。

 

もし北朝鮮がさらに大規模な挑発行為に踏み切ったにもかかわらず、アメリカが有効な対抗措置を採ることができなければ、トランプの大統領としての信頼の失墜へとつながり、焦るあまり直接軍事行動を決断する可能性があります。

歴史的観点から見た場合、米国も北朝鮮も紛争ぼっ発の危険性が高まれば高まる程、それを回避すべく対策を採ろうとしてきました。

しかしドナルド・トランプと金正日(キム・ジョンウン)には、これまでにない問題があります。

それは2人とも、負の連鎖に陥ることを防ぐ抑止力よりも、自分たちの危機管理能力と事態を回避させられる能力の方が上だという根拠のない自身を持ち過ぎているという事です。

金正日(キム・ジョンウン)体制の北朝鮮の国内情勢もまた重要な役割を果たしているということを理解することも重要です。

北朝鮮政府の高官クラスの失脚は頻繁でその後の運命は残忍なものであり、金正日(キム・ジョンウン)自身は自分の基盤の強度はまだ不足していると考え不安を持っていますが、それ以上に心配しているのは中国が後ろ盾になったクーデターの勃発です。

 

北朝鮮にとって歴史的な敵であり、現代においては絶えざる脅威を押し付けてくる敵、すなわちアメリカに対し、毅然と立ち向かう金正日(キム・ジョンウン)という物語は、国内統制の手綱を引き締め、政権、軍隊、北朝鮮労働党に対する彼の支配力を強化するのに役立つことになります。

 

https://www.theguardian.com/world/2017/aug/09/north-korea-v-the-us-how-likely-is-war

【 アメリカと北朝鮮は戦争を始めるのか? 】《前篇》

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 9分

各国の専門家が読み解く『緊迫する朝鮮半島情勢』今後の展開・冷静な分析

ドナルド・トランプは「炎と怒り」に直面させてやると威嚇、金総書記はグアム周辺へのミサイル攻撃予告で応酬、互いの真意は?

北朝鮮当局によって国内向けに利用されている、トランプ大統領の口汚い威嚇

 

ベンジャミン・ハース(香港)ジャスティン・マッカリー(東京)トム・フィリップス(北京)バーニー・メルキン(シドニー)/ ガーディアン  2017年8月9日

 

米国と北朝鮮間の言葉を使った戦争がエスカレートし、ドナルド・トランプ大統領が「炎と怒り」に直面させると威嚇すると、北朝鮮は直ちに応戦、西太平洋の米軍基地を攻撃する計画を「注意深く検討している」と発表しました。
2017年7月の北朝鮮の2回の大陸間弾道ミサイル発射実験と昨年の2回の核実験により朝鮮半島の緊張が高まり、孤立する独裁国家に対する制裁はすでに強化されています。

しかし朝鮮半島の問題の専門家たちは北朝鮮の指導者たちは自国の核兵器については実際の戦争手段ではなく、飽くまで交渉の切り札と認識していると見ており、実際に戦闘に発展する可能性は低いと考えています。

そうした専門家たちの見解を以下、ご紹介します。

 

▽ ジャン・リー(ウィルソンセンター研究員、元AP通信平城支局長)

 

この地域で新たに戦争を起こすことなど、どの国の国民も望んではおらず、その点は北朝鮮であっても変わりません。

しかし、金正日(キム・ジョンウン)はアメリカに対しては北朝鮮が核兵器保有国であるという事を、自国民に対しては金一族こそ巨大な悪の帝国アメリカから国を守ることができる正当な統治者であるという事を、それぞれ認めさせるためにはできることは何でもする覚悟です。

トランプが行なっている威嚇はいくつかの点で、北朝鮮の思うつぼにはまっています。

金総書記がまず何よりもしなければならないのは、米国が北朝鮮の存在を脅かし続けていると自国民に信じさせることです。

こうした見方を正当化するアメリカに対する恐怖感情はかえって北朝鮮の人々を団結させる結果となり、乏

しい国家資源を核兵器と弾道ミサイル開発に集中させることを正当化しています。

 

私が一番心配しているのは、誤った情報や偶発事故によりこのエリアの軍隊が実際に軍事行動を起こしてしまう事態です。

思い出していただきたいのは、2010年に国境沿いの韓国の島に北朝鮮が砲撃を行い、韓国の民間人数名が殺された事件です。

また日本の領海内に弾道ミサイルが撃ち込まれた場合には、日本が何らかの軍事行動もやむなしとの判断を行う可能性もあります。

 

▽ アンドレイ・ランコフ(ソウル国民大学教授、NKニュース・ディレクター

 

私たちは北朝鮮のメディアによる敵意に満ちた報道の対象にされてきました。

私はトランプ大統領が今後も北朝鮮を口汚くののしる発言を行うと思っていますが、それはすぐに北朝鮮の宣伝機関によって利用され国内に広く流布されるでしょう。

そしてトランプはアメリカ軍の空母を1隻ないし2隻、朝鮮半島付近に派遣することになるかもしれません。

 

北朝鮮はアメリカ大陸を直接攻撃できる核兵器の開発と展開を終えた段階で、核兵器とミサイル開発の凍結について、交渉するための材料が揃ったという判断をする可能性があり、アメリカはこのオプションを受け入れるべきです。

実際に紛争が起きる可能性はほとんどありません。

しかし北朝鮮は外交交渉のみによる解決には興味がありません。

彼らはまず地図の上からシカゴを抹殺する能力を得たいと考えており、その上で外交交渉を行いたいと考えています。

数年のうちに北朝鮮はそうした能力を手にすると考えられます。

 

朝鮮戦争ぼっ発以来何十年もの間、これまでは北朝鮮の側だけが用いてきた論理と戦術の両方を、今やアメリカの大統領も真似する事態となりました。

北朝鮮は数年おきにソウルを「火の海」にしまうという威嚇を繰り返してきましたが、こうした脅迫はいつもの宣伝だと考えるべき性格のものなのです。

 

▽ ソン・ジヨン(メルボルン大学韓国学科上級講師)

 

アメリカ合衆国政府が北朝鮮と水面下あるいは公式に話し合いの場を設定するまでの間、互いに厳しい調子で非難を続ける状態が続くと考えられます。
金正日(キム・ジョンウン)側はアメリカ側の出方を探るために様々な挑発を仕掛けてくると考えられます。

北朝鮮問題には軍事的解決策はありません。

 

北朝鮮が望むのは米国が核保有国として正式に認めることであり、その上で米国との外交関係を確立することです。
北朝鮮が核兵器とミサイル発射能力について世界、特に米国に対し認識させることは、現体制の生き残りをかけたしたたかな計算の一部なのです。
すべての選択肢が北朝鮮政府のテーブルの上にあり、北朝鮮は1953年の休戦状態を終わらせて平和条約を締結するため米国側に何度も和平交渉を提案しました。

北朝鮮がやろうとしていることは、米国と韓国の同盟関係を破綻させ、ムン・ジェイン新大統領が南北関係を改善するためのだとする韓国内での政治的指導力を弱体化させることです。

韓国のムン・ジェイン新大統領は北朝鮮と様々な形の話し合いを提案しており評価されるべきものですが、北朝鮮は故意に無視を続けています。
キム・ジョンウンにしてみれば韓国大統領など眼中にはなく、望んでいるのは飽くまでトランプ大統領との直接会談です。
しかし米国側としては、北朝鮮が少なくとも核兵器開発を凍結する姿勢を見せない限り、会談にのぞむつもりはありません。

希望的観測を言えばキム・ジョンウンが最終的に核兵器の保有をあきらめることが理想的です。

 

中国の習近平国家主席もロシアのプーチン大統領も朝鮮半島で再び戦争が起きることなど望んでいません。

そして金正日(キム・ジョンウン)は国際社会に信頼できる友人などはいません。
彼は全世界の人間、特に韓国人を文字通り致命的機に陥れる非常に危険な武器を開発しました。
もしトランプがこれ以上キム・ジョンウンの行動をエスカレートさせたくないのであれば、彼は席についてキム・ジョンウンと対話しなければなりません。

 

- 後編に続く -

https://www.theguardian.com/world/2017/aug/09/north-korea-v-the-us-how-likely-is-war#img-1

+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

 

この記事と前回掲載した【 21世紀社会が抱える深刻な課題 : ノーム・チョムスキー 】《3》デモクラシー・ナウ ( http://kobajun.biz/?p=31626 )を読み、アメリカがエキサイトすればするほど、威嚇を強めれば強める程、北朝鮮の国内統制を利することになるという構図がよく理解できました。

そして経済制裁しか実効的な手段が無いこと、そのためには日韓米中露、すなわちかつての六か国協議を復活させることが、最も妥当な対応だという事も理解できました。

日本国内で核シェルター作りが『ブーム化』しているなどという愚劣な騒ぎを終わらせるためにも、『解決への道』の選択を間違わないようにしなければなりません。

【 国民を地獄の業火の中につき落としかねないアベ・トランプ・ライン 】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 8分

核兵器による報復攻撃を招きかねないトランプの軍事力行使の威嚇、それを称賛する安倍首相

「北朝鮮への軍事攻撃の可能性を除外せず」しかし韓国と日本が受ける報復攻撃の危険性には言及せず

 

トム・フィリップス /  ガーディアン 2017年7月31日

「アメリカのドナルド・トランプ大統領は、拡大する北朝鮮の軍事的脅威から米国の同盟国を守るために「必要なあらゆる措置」を講じることを誓ってくれた…」

日本の安倍晋三首相は米国大統領と電話で話した後、こう語りました。

7月27日金曜日、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の2回目の実験を成功させましたが、アナリストはこれによりアメリカの大半が北朝鮮のミサイルの射程圏内に入ったとの見解を明らかにしました。

 

トランプ大統領と安倍首相の電話会談はこの直後に行われました。

米国は7月29日キム・ジョンウン政権に対し実験への報復のための威嚇行動として、朝鮮半島上空で超音速B-1B爆撃機2機の飛行を行いました。

太平洋空軍司令官、テレンス・J・オホーソーネッシー将軍は、指揮下の部隊は北朝鮮に対し「直ちに致命的で圧倒的な軍事力」行使できる準備ができていると警告した。

 

中国政府も北朝鮮への圧力を強めるよう説得を試みているトランプ大統領は苛立ちを露わにし、北朝鮮の独裁者を抑え込むために中国政府が「何もしていない」と非難しました。
ロシア外務省も朝鮮半島の動向に懸念を持っていますが、一方では27日アメリカが「ロシアと中国に責任を転嫁しようとしている」と非難する声明を明らかにしました。

中国の国営メディアは31日月曜日アメリカの非難に反論し、北朝鮮のミサイル発射についてどういう影響力も発揮できない事を後ろめたく感じているトランプ大統領が、いわば見当違いの方向に食って掛かったものだとし、新聞紙面上でトランプを「未熟者の大統領」と表現しました。
タブロイド版の英字新聞のグローバル・タイムズ紙は社説の中で、「トランプ氏が中国に対する批判を強めているのは不合理だ」と述べ、「中国政府はすでに北朝鮮に大きな圧力をかけている」と主張しました。

 

「トランプ大統領は『中国ならこの問題を容易に解決できる』主張している」と、実質的には中国共産党の管理下にある新聞はこう続けました。

しかし「このような声明を明らかにするのは、北朝鮮の核開発問題について充分な知識も理解も無い、未熟な大統領だからこそ可能なことである。」

「北朝鮮はアメリカや韓国がどのような軍事的な警告を行おうが、核兵器とミサイルの開発を進める決意を固めている。いったいどうすれば中国による制裁がこうした状況を変えられるというのだろうか?」
同じ新聞の別の記事では、中国が北朝鮮の核開発危機を解決する立場にあるとするトランプ大統領の主張そのものを「不条理」だと斬り捨てました。

安倍首相はトランプ大統領との電話会談の後記者団に対し、「我々は北朝鮮に対する『新たな行動』について検討したと述べ、『アメリカは同盟国を守るために必要な手段を尽くす』と述べたとトランプ大統領を賞賛しました。

「私はさらに踏み込んだ対応をとらなければならないという点において、トランプ大統領と意見が完全に一致しました。」

安部首相の発言として共同通信がこう伝えました。

「日本とアメリカは国際社会とともに北朝鮮問題を平和的に解決するため、繰り返し調停の取り組みを続けてきましたが、北朝鮮はそれをことごとく踏みにじり、一方的に状況を悪化させました。」

安部首相はこう語り、次のように続けました。

「中国、ロシア、その他の国際社会もこの状況を真摯に受け止め、団結して圧力を強めていかなければなりません。」

 

ニッキー・ヘイリー米国国連大使も中国政府への圧力を強める動きを見せ、声明を発表しました。

「中国政府はキム・ジョンウン体制に対しどう対応するのか、最終決断を行う必要があります。話し合いの時は終わりました。」

レックス・ティラーソン米国務長官は29日土曜日、増大する北朝鮮の脅威について中国とロシアを名指しで非難し「両国は他国には無い特別な責任を負っている。」と述べました。

一部の専門家は、トランプ大統領が北朝鮮に対して軍事行動を起こす可能性がますます高まっていると考えています。

今年4月、トランプはフロリダにある自身の別荘マー・ア・ラゴ・クラブで中国の習近平主席と食事をとっている最中、誰も予想していなかったシリアに対する空爆を命じました。

 

北京人民大学の北朝鮮専門家である成せん暁可(チェン・シャオフ)氏は、米国の軍事行動の可能性は高まっているが、トランプにとってきわめてリスクの高い選択肢である点に代わりは無いと述べました。
「もしトランプ大統領が軍事攻撃に打って出た挙句議会の承認を得ることができなければ、彼の政治生命は絶たれることになるでしょう。」

上海社会科学アカデミーの北朝鮮専門家である劉明(リウ・ミン)氏は、ブルームバーグ・ニュースの取材に対し、トランプ大統領は

「トランプ大統領がちらつかせている北朝鮮に対する軍事攻撃は、代償が大きすぎて現実的な選択肢とは言えません。発言によって、中国に対する圧力を強めようとしているに過ぎません。現実的政策というよりは、たちの悪い脅しに近いものです。」

カリフォルニア州にあるモントレー国際大学院ミドルブリー国際問題研究所の北朝鮮専門家ジェフリー・ルイス氏は、今日の北朝鮮の核兵器とミサイル技術の進歩がいかに進んでいるかを考えると、軍事攻撃をするぞといかに脅してみたところで現実には不可能だと述べました。

「核兵器国保有国に軍事攻撃を仕掛けてしまったら、その結末がどうなるかは火を見るより明らかです。」

 

https://www.theguardian.com/world/2017/jul/31/trump-vows-all-necessary-measures-to-protect-allies-from-n-korea-says-abe

+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

 

ある意味人類の存亡に関わるスイッチを冒頭の写真の2人がその手に握っていることについて、皆さんはどうお考えでしょうか?

人間はたった一回、たった一つの命を授けられ現在を生きています。

その人間の命をまるで薪ざっぽうのように粗末に使い捨てながら戦闘を続け、挙句最後には家庭や故郷を守っていただけの人びとの上に二度も核兵器を投下されるという結末に至った太平洋戦争。

私に言わせれば戦争末期の玉砕や特攻は戦術的にまったく無意味な、そして史上最も残酷な生命の大量投棄です。

そんな戦争を正当化しようという人間の手に私たちは何を委ねてしまっているのか、真剣に考えるべき時です。

このサイトについて
ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
最近の投稿
@idonochawanツィート
アーカイブ
カテゴリー
メタ情報