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世界で発生する巨大地震の20%が集中するこの国土において、『安全な』原子力発電所の、稼働の保証などありえない

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【 日本は原子力発電所事故の再発を、ほんとうに防げるのか?! 】

デイヴィッド・マクニール / ザ・インデペンダント(英国) 7月24日

最終的な政府事故調査委員会の報告書は、将来日本に50基ある原子炉で、二度と再び福島第一原発同様の事故を起こさないようにするためには、思い切った改革が必要である、と述べています。

福島第一原発の三基のメルトダウンの後、初めての再稼働はなぜ?
国内だけでなく、世界的にも議論の的となった日本政府の大飯原発の、2基の原子炉の再稼働の数週間後に発表されたこの報告書は日本の原子力発電所が、本当に福島第一原発の事故を繰り返さない体制を取っているのかどうか、数々の疑問を呈しています。

「当委員会は福島第一原発の事故後採られた緊急安全対策、が細部にわたるものであり、将来において安全性を確保できるものであることは、理解しています。」
「しか我々は、関係する人々に対し、真に有効な安全対策を施す、継続的な努力をするよう、強く訴えます。」

福島第一原発を運営する東京電力は、2011年3月に始まった福島での原子力危機の後、これほどの地震と津波が起きるという事については、予見不可能であった、とする主張を繰り返してきました。
委員長・畑村洋太郎東京大名誉教授率いる員会は、東京電力は根拠のない『安全神話』の上にあぐらをかき、こうした災害に対する備えを『何ら行っていなかった』と決めつけました。
「東京電力の役職員、そして日本の原子力安全・保安院は、事故など起きるはずが無い、と完全にたかをくくっていたのです。」


今回の400ページの報告書は福島第一原発の事故以来作成された中、4番目のものですが、7月初めに公表された3番目の報告書、国会事故調査委員会の報告書は、事故について『人間が作り出したもの』であり、原因は東京電力と国の規制当局との間の本来許されるはずの無い『馴れ合い』にある、と指摘しました。

4つの報告書に共通するのは、当時の菅前首相の事故処理について、そして放射性物質の拡散状況について、適切な情報公開を行わなかったことについて、かなり批判的であることです。

始めに公表された民間調査機関による報告書は、3月15日、事故を起こしている福島第一原発を放棄しようとした東京電力に対し、菅前首相が思いとどまらせ、首都東京の壊滅を救った、としていました。
しかし国会事故調査委員会の報告書は、そう断定できるだけの証拠は揃っていない、そう結論づけました。

政府が任命した委員たちがこのような報告書を作成したことは、日本国内で高まっている反原発抗議行動に、勢いを与えることになりそうです。
夏になってもこうした抗議行動が衰える気配は無く。先週も東京都内で大規模な抗議集会が開催されたばかりです。
抗議を行っている人々は現在、7基の原子炉を有する世界最大の原子力発電所、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働の阻止を望んでいます。


野田佳彦首相率いる日本政府は、この8月に将来のエネルギー政策を公表することになっていますが、7月に大多数の国民の意思を無視して大飯原発の再稼働を強行したことにより、大規模な抗議行動に直面しています。
世界で発生する巨大地震の20%が集中するこの国土において、『安全な』原子力発電所の稼働の保証などありえない、反対派の人々はこう主張しています。

野田政権は福島第一原発事故以降の日本のエネルギー政策はどうあるべきなのか、国民の意見を聞くため、全国規模の公聴会の開催を始めています。

http://www.independent.co.uk/news/world/asia/japan-is-warned-it-could-still-face-a-new-fukushima-7966303.html?origin=internalSearch
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最近、『ひとでなし』という言葉が、頭の中を去来するようになりました。
その『ひとでなし』はきちんとスーツを着て、丁寧な口調で話をします。
しかしその視線はいつも宙を漂い、どんなに立派なことを言っても、誰の心にも響くことはありません。

この『ひとでなし』は、自分たち政治家が長年に渡り無責任なかじ取りを行ってきたために、100,000人を超えるという人々が突如家も故郷も追われ、原発難民としての苦しい生活を続けさせられていることには、ほとんど目を向けていません。

自らは血の汗を流してでも、民が安らげるように働き続ける、それが本来の務めのはずですが、被災者となった人々が血の涙を流しているにもかかわらず、力ある者の顔色をうかがうことにより、まず自らが安らごうとしています。

21世紀の民主主義国家で、このような『ひとでなし』がかじ取りを続けることを許すべきではない、できる限りのことをしろ、心の声が強く訴えかけてきます。


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【 アメリカ全土の約半分に、大干ばつによる非常事態宣言 】
この秋の食糧価格はどうなる?!

アメリカNBCニュース 8月1日

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8月1日水曜日、アメリカ農務省はこの国の半数以上の州と郡に深刻な干ばつによる非常事態宣言を発しました。今回の大干ばつは西部、中西部、南東部において特に深刻です。

ブライアン・ウィリアムズ : 世界中から人々が集うここロンドンから、急ぎアメリカ国内に目を転じなければなりません。それというのも、史上記録されている干ばつの3倍という規模の大干ばつが今、アメリカを襲っているからです。そして今日、その干ばつがどれ程の規模で、私たちにどのような打撃を与えることになるのかが、明らかにされました。
NBCの環境問題担当のアン・トンプソンがお伝えします。

リポーター:アメリカは今、記録的な干ばつに苦しんでいます。
執拗に、炙るように照りつける熱気のため、川という川はもはや流れてはおらず、農場の地面はひび割れてしまっています。
アメリカ農務省はこの国の半数以上の州と郡に深刻な干ばつによる非常事態宣言を発しました。今回の大干ばつは西部、中西部、南東部において特に深刻で、ご覧いただいている地図上、赤く塗りつぶされている部分がその地区です。
これらの地区ではもう8週間以上干ばつが続いています。
またテキサス州のコロラド郡では、昨年の炎暑により立ち枯れてしまった木々が燃え上がり、山火事になる事態が懸念されています。
「多分、100万本から500万本の木々が立ち枯れてしまっています。」

リポーター:あまりの暑さに、ミネソタ州にある数々の有名な湖を訪れても、安らぎが得られるどころの話ではありません。
「毎日、気温が華氏95度(摂氏35度)にもなるのです。」

リポーター: 少なくとも25の湖で魚が大量死しました。凶作によりトウモロコシは取引市場で最高価格を更新しています。
他にも問題が頻発しています。
37%の大豆畑で、大凶作、凶作の判断が下されました。
干し草の産地では66%で発育不良、肉牛の産地も73%が干ばつに襲われています。
「こうした状態が、アメリカでは当たり前になる恐れがあります。私たちは地球の温暖化対策を前に進める必要があります。今の気候変動の下では、こうした干ばつがさらに頻繁に、もっとひどい形で襲って来る恐れがあります。」

リポーター:干ばつに見舞われている地方の60%が対策を立てられずにいます。
明日2日には、連邦政府が今回の干ばつの被害状況の詳細と、この干ばつが秋まで続くのかどうか、見解を明らかにする予定です。
そして合衆国国土の非常に広いエリアが今回の干ばつから脱しきれないことで、この秋食糧価格がどう影響を受けるかについても、予測を公表することになっています。

http://www.msnbc.msn.com/id/3032619/ns/NBCNightlyNews/#48452522
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【人間の祭典、ロンドン・オリンピック】
アメリカNBCニュース 8月2日

クリスティン・アームストロング、息子と一緒に(アメリカ合衆国)女子自転車トライアル・ロードレース


カーステン・シーレ(ドイツ)女子柔道70キロ級


メキシコ対スイスのサッカーの試合を観戦中の少年

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【 国会議事堂を包囲せよ!増々スケールアップする、日本の反原発抗議行動 】

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原子力発電所建設は、貧困ビジネスに他ならない
「私はあらゆる場で、あらゆる方法で、今の日本政府に抵抗していく」

アメリカFOXニュース 7月29日

7月29日日曜日、何万人もの人々が手をつなぎ合い、『人間の鎖』を作って、日本の国会議事堂を取り囲み、日本政府に対し原子力発電の放棄を要求しました。
これ程の規模の、そして力強い主張を行う集団での抗議行動は、何十年もの間日本では見られなかったものです。

またこの日、西日本にある山口県では、全国の注目が集まる中、県知事選挙の投票が行われました。
今回の選挙では脱原発を明言した候補者が立候補していました。
出口調査の結果を受けて、日本のマスコミはこの日のうちに、脱原発を訴えた候補者の落選を伝えました。

昨年3月に起きた福島第一原発の事故を受け、原子力発電所の安全基準の直しが行われました。
しかし抗議行動を行っている人々は、7月初旬に強行された大飯原発の原子炉の再稼働については、新しい安全基準を無視している、と怒りの声を挙げています。
事故を起こした福島第一原発の4基を除く日本の50基の原子炉は、事故後、定期点検や緊急の安全確認のため、今年の5月までにすべて停止しました。


東京都心にある日比谷公園を出発した人々は、ドラムをたたき、風船やプラカードを打ち振りながら、国会議事堂に向けての道のりを、一列になって行進しました。
彼らは口々に「再稼働反対」の声を挙げていました。
そして辺りが暗くなると、持参したろうそくに火を灯しました。
「ここに集まった人々は思いを同じにし、声を挙げるためにこの場所に集まって来たのです。」
今年64歳になる元数学教師の北野正二さんが、こう語りました。彼が着ていた服には『原子力発電にNOを!』と書かれていました。

北野さんはこれ程大規模なデモは、1960年代以来見たことが無い、と語ります。
彼は普通の日本人は別にデモが好きなわけではないが、今回の再稼働の強行には、みんなが怒りを抑えかね、こうして集まって来たのだ、と語りました。

同様の抗議活動は、毎週金曜日の夕刻、日本の首相官邸前でも行われています。
集まってくる人々の数は一向に減少する気配は無く、ツイッターやそのたのオンライン・ネットワークを通して情報を交換し、この場所に集まってきます。
7月16日に東京の代々木公園で行われた抗議集会には、ノーベル賞受賞者や世界的にも名の通った音楽なども参加し、20万人近い人々が集まりました。


これに比べると29日日曜日の集会は小規模で、共同通信社の見積もりでは参加者10,000人という事になっています。しかし全国から参加者が集まり、この運動の幅広い層への広がりを証明しています。

野田佳彦首相は、日本国民がこれまでと変わらない生活を送るためには、大飯原子力発電所の2基の原子炉再稼働が必要だ、という彼の決定を押し通しました。
他の原子炉も順次、再稼働することになっています。

政府と国会、それぞれの事故調査委員会が発表した調査報告書が、国民の間にある原子力発電への恐怖を、幾分かでも和らげることはありませんでした。
最近発表された報告書はともに、日本の風土に根差す「できるだけ面倒を起こすな」という考え方が、国の規制当局と電力会社の間のなれ合いを許してしまった、と指摘しました。

原子力発電に単体する人々を増々怒らせることになったのは、原子力発電所が立地する自治体の県知事・市町村長が、原子力発電の継続を支持する立場に回ったことでした。
人々は、この国の在り方を変えて行くためには、反原発の立場を明確にする都道府県知事・市町村長を選挙によって選んでいくしかない、と考えています。


概して原子力発電所は東京から遠く離れた、貧しい漁村に建設される傾向があります。
原子力発電所が建設されれば、雇用が生まれ、多額の補助金も交付される、というのがそのうたい文句です。
新たな原子力発電所を山口県に建設する計画がありますが、果たして決められた予算内で計画通りに建設可能かどうか、疑いが深まっています。

29日日曜日に投票が行われた山口県知事選挙に立候補した飯田哲也氏は、この原子力発電所建設、そして原子力発電そのものに反対しています。
共同通信社やその他の日本のメディアは、日本政府のエネルギー政策に従順な元国土交通審議官の山本繁太郎氏が、飯田氏を破って当選した、と報じていました。

しかし、東京で行われた抗議集会では、参加者の一人、病院に勤務する太田みかさんが、次の選挙では必ず脱原発の態度を明確にする候補者に投票する、と決意を固めていました。
「原子力発電を継続しても、良いことなど何もありません。多額の費用が掛かり、働く人々を被ばくさせ、処理のめどすら立たない核廃棄物を作り続けるのです。」

「私はあらゆる場で、あらゆる方法で、今の日本政府に抵抗していきます。」

http://www.foxnews.com/world/2012/07/29/anti-nuke-protesters-surround-japanese-parliament/#ixzz22BkYwUZD
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今、IAEAの視察団が宮城県にやってきて、女川原子力発電所を視察しています。
ニューヨークタイムズやフェアウィンズのガンダーセン氏が指摘しているように、IAEAも結局は日本やアメリカの原発推進勢力の一端をになっているようです。
何のための国際機関なのか、IAEAの役割を見ているとオリンピック組織委員会ですら、何だか胡散臭く思えてきます。

もちろんIAEAの調査団は、かつては日本国内で『原子力ルネッサンス』の推進役を果たした天野事務局長の意向を受け、日本国内の原子炉再稼働にお墨付きを与えるためにやってきているのでしよう。

早速、IAEAに抗議メールを送らなければなりません。
黙っていてはやりたい放題されるだけ、福島第一原発の事故の教訓のひとつです。

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【人間の祭典、ロンドン・オリンピック】
アメリカNBCニュース 8月1日

ロシアチーム・女子体操


南アフリカチーム・女子ホッケー


ロワー・ジュリアン・バヘン(フランス)ダブル・スカル(ボート競技)


ヴィーナス・ウィリアムズ(アメリカ)女子テニス・シングル


ミカル・ウィニアスキー(ポーランド)男子バレーボール


バイロン・モリーナ・フィゲロア(ホンデュラス)男子ボクシング・ライトフライ級


トラヴィス・スティーヴンス(アメリカ)男子柔道81キロ級

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【 福島第一原発の事故、それは人間にとって、巨大すぎる悲劇 】

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降り注ぐ放射性物質は、通りと言う通りを汚染しつくし、人が住めない状態が続いている
もはや被災者のことなど、眼中に無い日本の政治
日本の専門家、小出助教授は福島第一原発の事故は、一切収束していないと指摘

カイル・ドゥルベク(特別寄稿) / アメリカNBCニュース 7月27日

暮れなずむ、現在の南相馬市小高区


索漠としたメインストリートは、はるか遠くでかかっている音楽がかすかに、気味悪く聞こえる以外、何の物音もせず、静まり返っています。
2階部分の屋根が目の前の道路までずれ落ちてしまった、廃墟となった建物の前の歩道には、割れたガラスの破片が散乱しています。
空き地や道の上には、いたるところ雑草が伸び放題のままにされています。
学校や公園もありますが、静まり返ったまま、荒廃の跡が見て取れるだけです。

小高町にようこそ!
かつては13,000人の住民が暮らしていた、海沿いの美しかった町も、2011年3月に襲った三重災害 – 巨大地震、巨大津波、そして福島第一原発の原子力災害 – により、死の町と化してしまいました。
東北地方太平洋側の多くの市町村を、巨大地震と巨大津波による大災害が襲っている間、小高町(正しくは市町村合併により南相馬市小高区は、同市の南部分を構成しています)はその南端からちょうど15キロの地点に福島第一原発があるため、他とは全く異なる状況に追い込まれました。

福島第一原発は建屋が破壊された4基の原子炉の内、3基の原子炉がメルトダウンを起こし、膨大な量の放射性物質が環境中に放出されました。
その放射性物質は小高町にも降り注ぎ、通りと言う通りを汚染しつくし、その後一年数か月もの間、人が住めない状態が続いています。

結果としてこの町は、福島第一原発の周囲に設定された日本政府による立ち入り禁止区域に指定され、一年以上も時間が止まったも同然となっています。
慌ただしく行われた住民の被ばく線量調査、そして2、3回行われた形ばかりの除染作業の後、4月16日になって、日本政府は立ち入り禁止区域を福島第一原発の北側20キロメートルから10キロメートルにまで縮小し、住民に対して生活に必要な日用品(そのほとんどがめちゃくちゃになった上、カビが生え、放射能に汚染されてしまっていましたが)を持ち帰るため、一時帰還が許されることになりました。

こうして小高町がわずかずつではあっても動き始めたとき、さらに福島第一原発に近い場所にある市町村では、果たして故郷への帰還は可能になるのかどうか、そしてそれはいつになるのか、そのことに対する期待と不安、そしてそのためにこなさなければならない数多くの課題が、人々の話題にのぼり始めました。

初めて故郷の町に入っていく人々の波の中に、小高町で小さなホテルを経営していた小林とも子さんの姿がありました。
彼女は当面は客が訪れそうにもない、ホテルの片づけを始めていました。

小高地区でホテルを経営する小林さんは、少しずつ経営していたホテルと住んでいた自宅を整理しています。
一方、避難していた間に無断宿泊者たちが散乱させた酒瓶なども、整理しなければなりません。

小柄で精力的な女性である小林さんは60代ですが、彼女はこの小さなホテルの3代目の経営者です。
彼女は10年前にこのホテルの経営を引き継ぎましたが、今年定年退職する夫との暮らしに、ホテルの経営は確実な収入をもたらすはずでした。
しかし今、夫婦二人住まいの窮屈な仮設住宅から、毎日片道40マイル(約65km)もの道のりを通いながら、小林さんは小高地区が二度と人の住めない場所になるのではないか、と心配しています。
実際にたくさんの商店主や若い人々は、他に生きる場所を求めて小高地区を去っていきました。

そうした人々がこの町にいなくなってしまえば、
「小高は老人と災害復興労働者の町になってしまいます。」
小林さんが、そう語りました。

▽信用できない日本政府

南相馬市では除染作業と災害復旧作業がすでに始まっていますが、しかし小高地区は日本政府の直接管理の下にあります。
小高の人々が町に戻るためには、福島第一原発の事故直後に出された、政府の避難命令が解除される必要があります。
現在小高地区への立ち入りは24時間許可されていますが、誰も泊まることは許されません。

多くの住民が小高地区から遠く離れた避難を強制されたため、定期的にかつて住んでいた場所を訪れ、生活に必要な品々を選び出したり、津波による泥の掻き出しや清掃作業ができる人々は、結果的には少数に限られることになりました。

住民がいない間、警察と自警団が町の見回りを続けています。
町の中で車を停めて何か探し物をしたりしている人の中、少しでも挙動不審のものがいれば、丁寧な口調で声をかけて回っています。
緊急作業員が電信網、送電網の回復工事、そして道路にできた穴の修理などを行っていました。

かつては小高地区の産業の中心であった農業と漁業は、もう長い間行われず、人々の暮らしを支えることもしばらくは無理のようです。
農地は津波による塩害に、放射性物質による汚染が加わり、使い物になりません。
水産業は壊滅したままです。

福島市近郊でゼオライトを散布する農民。ゼオライトは放射性セシウムを吸着する働きがあり、水田の再生に向け作業を続けている。

地震と津波による被害も相当なものですが、地元自治体、そして住民たちにとって一番の心配の種はやはり放射能汚染です。

以下のURLをクリックすると、3.11の被災地の震災直後と状況と、現在とを比較したスライドショーを開くことができます。

http://msnbc.msn.com/id/43357920/displaymode/1247?beginSlide=1

南相馬市で再建事業を担当する宮本たつおさんは、小高地区を再び生活の場として再生させるための「住民帰還のための残骸の撤去・汚染除去作業は緒に就いたばかり」であり、それに加えて、電気、水道、下水処理施設の再建が果たされる必要がある、と語りました。

当面の間、日本政府は小高地区の放射線量は、長期間被ばくを続けても健康に被害の出ないレベル、すなわち世界放射能防護委員会が原子力設備労働者向けに国際標準として設定している、年間被ばく線量20ミリシーベルト以下にとどまるだろう、と日本政府は判断している、と宮本さんが語りました。
しかし同時に政府は30メートルごとにこの地区を区切り、それぞれの地点で放射線量を測定する作業を全域にわたって行うよう指示しています。
この測定の後、これから何年もの間市の全域が『避難指示解除準備区域』『居住制限区域』または『帰還困難区域』に分割されることになります。
この指定に基づき、表層部分の土の除去、高圧洗浄その他の方法による除染作業を、どの地点で行うか決定することになりますが、どこで行われても立ち入り禁止区域は残ることになります。
しかし今月から少なくとも2013年末まで行われる予定の除染作業も、放射性廃棄物の保管所の目途が立たないため、その日程にすでに遅れが出ています。

こうした状況が、早期帰還者となった小林さんのような人々の前途を暗くしています。
ボランティアの人々によってかき集められた放射能で汚染された泥を詰め込んだ土嚢が、ホテルの敷地以外の歩道に沿って積み上げられたままになっています。
「私はこの泥の詰まった袋をどこかに持って行くように言いましたが、彼らは決してそうしようとはしませんでした。」
小林さんは、政府が手配した作業員がこの道を通るたびに声をかけていました。

放射能汚染の検査対象となっている水田が、南相馬市内のいたるところにあります。この秋収穫されたコメは、放射性物質の残留濃度を調査されることになります。


福島第一原発が拡散した放射性物質は、市内に均一に降り注いだわけではありません。
町を取り囲む山裾の丘陵地帯に放射線量が特に高い地点がある、と放射線量調査に携わっている二人の自警団員、65歳の松本もりおさん、71歳の室原やすみさんが語りました。
「私たちの線量計は1時間当たり20マイクロシーベルトをさしましたが、測定した放射線量の中でそれが最大の値でした。」
松本さんが、一度丘陵地帯の調査を行った際のことを説明してくれましした。

▽ 疑問を持たれ始めた除染作業

県内の除染作業を行っている福島県の当局者は、これまでの除染作業によって、県内の放射線濃度が37%減少したと語りましたが、高濃度に汚染された地域では、この程度の効果では、人が住めるようにはなりません。
さらには一度除染を行った地域が、雨や風の影響で、再び汚染されてしまう可能性もあります。

すでに放射能によって汚染されてしまった福島県ですが、住民や一部の専門家は、福島第一原発の状況に一層懸念を深めています。

福島第一原発を運営する東京電力と日本政府は、福島第一原発はすでに安定した状態にあり、安全設備の復旧も果たされた、と主張しています。

福島第一原発の事故直後に放置され、そのままになっている自転車。南相馬市小高区。

しかしかつて福島第一原発で冷却装置の担当作業員として働き、現在は放射線量調査のボランティアを務める高橋けいさんは、東京電力の経営陣は望み得る限りの最良の状況を語っているにすぎない、と指摘しました。
「福島第一原発では、至る所から放射性物質が漏れ出し、高濃度汚染された残骸が散乱しています。政府や東京電力が言う程、状況は簡単なものでは無いのです。」

小林さんも政府や東京電力が保証する、『福島第一原発の安定した状態』について、非常に大きな疑念を抱いています。
「もう放射性被ばくの危険がもう無いというなら、今や危険は原子炉内部にしか無いはずです。私たちが未だに帰還できない状況を考えれば、福島第一原発はまだまだ危険な状態だという事なのでしょう。」
「私たちは真実を知りたいのです、それがどれ程悪い状況であったとしても。」
「政府や東京電力が一つでも事実を隠ぺいしたら、私たちはもう彼らを信頼することはできません。」
最近発表された国会事故調査委員会の報告書は、国も東京電力も原子力発電の安全基準を無視していた、と非難しました。

▽ 若い人たちの帰還は、もう望まない

東京電力は3基の原子炉には、一度溶け落ちて再び固まった核燃料で一杯になっており、まずこれを取り除かなければならないこと、そして核燃料プール内にある核燃料が再び放射性物質を放出しないように、冷却を続けなければならないことを認めています。
これらの処理も含め、福島第一原発の廃炉には40年以上かかると見られています。

東京工業大学原子炉工学研究所の澤田哲生助教授は、放射性物質の除去について『難しく、大きな課題』だと指摘しました。

別の専門家はさらに状況は悪いものと見ています。
原子炉の専門家の、京都大学の小出裕章助教授は、以下のような指摘を行いました。
「原子炉の状態は悪化を続けています…福島第一原発の事故はまだ進行中なのです。」
「目下、どうしたら放射性物質の放出無く、核燃料を除去できるか、という問題に直面しています。
…今、私たちにできることは、これ以上福島第一原発がダメージを受けないように、巨大地震が発生しないように祈ることしかありません。」
「福島第一原発の事故が、チェルノブイリ以上の放射性物質を放出する可能性は、まだ現実のものなのです。」

小出裕章助教授

最終的に、財政的な圧迫が、小高地区の住民の帰還問題の、決定要因となる可能性があります。
現在の政府の基準では、東京電力による賠償が受けられるのは、避難命令がこのまま継続された場合に限られます。
避難命令が取り消されてしまえば、住民たちは損失を抱えたまま、福島第一原発による被ばくを覚悟の上で、自宅や職場に戻る決断を迫られる可能性があります。

住民たちが、どうしてそんな決断を迫られるのか、世界中の専門家が大いに疑問を持っています。

明らかなことは、現地の人々は生活の上で、様々な苦痛や不便を強いられている、という事です。
小高地区の北側にある原町地区では、子を持つ親たちは、子供たちに対し、室内か、除染作業の済んだ学校の校舎内か体育館以外で遊ぶことを禁じています。

また広範なエリアで健康診断やボディ・スキャニングによる被ばく線量調査が行われましたが、多くの住民たちは食料品の汚染、そして空気中の埃や砂などに含まれる放射性物質の存在についても懸念を持っています。

小高地区では、今回のとんでもない汚染を引き起こした福島第一原発に近づくに従い、こうした懸念は大きなものになっていきます。
そして住民の28%が65歳以上という人口構成であったこの町が、はたして今回の原子力災害を乗り切れるかどうか、小林さんの懸念も深まるばかりです。

「私はこれから先、生きたとしても20年かそこらでしょう。私にとって生死のことは、さほど大きな問題では無くなりました。けれども私は、若い人たちがこの町に戻ってくることを、もう望んではいません。」

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[NBC "TODAY" 『チェルノブイリのいま』]

http://openchannel.nbcnews.com/_news/2012/07/26/12839675-in-japan-a-nuclear-ghost-town-stirs-to-life?lite

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【人間の祭典、ロンドン・オリンピック】
アメリカNBCニュース 7月31日

田中和仁(日本)体操男子・段違い平行棒


ルタ・メイルタイテ(リトアニア)女子水泳平泳ぎ100m金メダル


ダーク・ファン・ティヘルト(ベルギー)柔道男子73キロ級


ヤマグチ・ファルコ(ブラジル)ボクシング・ライトヘヴィー級


リナ・マルチェラ・リヴァス(コロンビア)女子重量挙げ58キロ級

【 信頼されない日本政府・評価されるセイフキャストの線量調査 】

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正しい情報が無ければ、人々はただ怯えるしかありません。
正しい情報があってはじめて、人は正しい判断ができるのです。

ワシントンポスト 7月9日


日本の人々が福島第一原発の事故後の放射線量について、『信頼できるデータ』として利用しているのが、アメリカ人の有志によって設立されたボランティア・グループの調査結果です。
このデータは日々オンライン上で、詳細な数値として更新されています。

ショーン・ボナーはロス・アンジェルス在住のコンピュータの専門家であり、セイフキャストの名で知られるボランティア・グループの設立者の一人です。
彼は2011年3月、日本の東北地方で地震と津波により福島第一原発の3基の原子炉がメルトダウンを起こしたが、充分な情報をつかむためには実際に現地に行ってみる以上の手段は無いはずだ、と語りました。

多くの日本人が放射能が人体に与える影響について、とりわけ子供たちに対する影響を恐れていました。そして自分たちの自宅や学校、会社は果たして安全なのか判断できず、心配だけが膨らんでいきました。
と同時に、政府や自治体などが、各地の放射線量について、一切情報を公にしないことに、いらだちを募らせていました。
自分たちで計測しようにも、ガイガーカウンターはどこへ行っても、売り切れていたのです。

数週間のうちに、ボナーと彼の仲間たちは、日本の弁当箱ほどの大きさの、GPS機能を併せ持つ手製のガイガーカウンターを制作し、『ビーガイギー』と名付けました。
この器械は5秒ごとに大気中の放射線量を計測し、車に取り付けることも可能であり、結果として膨大な量の計測データをもたらすことになりました。
30~35台の車載『ビーガイギー』が日本中を走り回り、320か所に『ビーガイギー』が設置され、測定を行ったのです。


セイフキャストは自ら技術開発を行った上その中身を公開し、技術提供を行いました。
そして日本中で、300万点にのぼる計測データを集めました。
ボランティアの協力により、オンライン上で地図化された計測データが公開されています。
「それまで、一般の人が利用できるデータがどこにも無かったこと、むしろそのことの方が驚きです。」
7月上旬、ボナーが日本のボランティアと打ち合わせをするため、日本に向かい道すがらこう語りました。
「私たちなら協力できる、そう思ったのです。」
セイフキャストは今は専ら日本国内の放射線量を測定していますが、ゆくゆくは世界中でこれを実施したいと考えています。

昨年一年間、そして今年、セイフキャストが打ち出した『その場所で暮らす人々に、環境中の放射線量に関する正しい情報を提供する、世界的ネットワーク』というポリシーは確実な成長をとげました。

この取り組みは規模の大きな基金からの、援助を得られることにもなりました。
『ジョンS.&ジェームズL.ナイト財団』は一般から寄付を募り、その資金を提供してくれたおかげで、日本国内の大学との提携も可能になりました。
セイフキャストと提携する福島県内の自治体も現れ、地元の学校や住民との新たな測定データの共有も始まりました。
参加するボランティアも増え続け、その国籍もヨーロッパ、日本はもとより、世界各国にまたがっています。

セイフキャストが作成した最新型のガイガーカウンターはスマートフォン並みの大きさと洗練された機能を有し、今年の後半にはアメリカの大手ガイガーカウンター製造会社のインターナショナル・メドコムから、製品化されたものが発売されることになりました。

日本政府、そして幾人かの日本の科学者たちは、放射線量の測定データを持っているにもかかわらず、日本国民に対し、セイフキャスト程積極的な情報提供を行おうとはしません。

日本で問題になったケースでは、政府は福島第一原発の爆発後、20キロ圏外の北西方向に放射性物質が飛散する予測を立てていたにもかかわらず、その情報提供を意図的に行いませんでした。

こうした日本政府の隠ぺい体質は、結果として避難民を危険な方向に避難させ、不必要な被ばくをさせてしまいました。

こうした度重なる隠ぺいは、政権を担当する人間たちが朝令暮改を繰り返したこととも相まって、国民の政府に対する不信感を増大させることになりました。そしてその分、セイフキャストに対する信頼が増していったのです。

福島県内で広告代理店を営む渡辺としかつさんの、セイフキャストに対する感謝にはただならぬものがあります。
「正しい情報が無ければ、人々はただ怯えるしかありません。」
渡辺さんは彼の自宅や会社だけではなく、付近の学校やその他の場所の放射線量の測定を行い、その情報を提供しています。
「私は自分ができることをしているだけで、計測された放射線量がどの程度、どのような悪影響を与えるのか、正確な知識を持っているわけではありません。」
「福島県の人々は、毎日毎日、放射性物質による汚染に向き合わされています。そして、これからもずっと、その状態が続くのです。」


標準的なガイガーカウンター以外にも、セイフキャストは簡易式の機器も使っています。

セイフキャストは、福島第一原発の事故以来、日本の人々の切実な願いに応えようとしています。明快な行動と迅速な情報提供は、人々の素早い判断と行動のために役立っています。
世界中から人々がやってきて、惜しみない協力を行っています。

セイフキャストは、日本が原子力発電を止めるべきか、それとも続けるべきかという問題には関わらないようにしています。
どちらか一方に肩入れすることにより、彼らが提供するデータは操作されているのではないか、とその客観性を、疑われないようにするため配慮しているのです。

中には、避難をしようとしていた人が、セイフキャストの測定データを確認して、避難が不要であることを知りその場所にとどまった例もありました。
「正しい情報があってはじめて、人は正しい判断ができるのです。」
ボナーがこう語りました。

「問題なのは、放射性物質の存在そのものです。これまで誰も、その存在にどのような注意も払っていませんでした。」
環境中には微量の放射性物質が常に、どこにでも存在することを指摘し、ボナーがこう語りました。
「普通の人間は、放射性物質に関して明確な判断基準など、持っていなくて当たり前なのです。」

http://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/american-praised-for-collecting-japan-radiation-data-as-distrust-toward-government-builds/2012/07/09/gJQA1ggbXW_story.html

上記URLからは現在、記事が削除されています。
下記、セイフキャストのサイトをご参照ください。
http://blog.safecast.org/ja/
各地の放射線量の地図は下記にあります(縮小・拡大が可能です)。
http://gamma.tar.bz/maps/main/

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【人間の祭典、ロンドン・オリンピック】
アメリカNBCニュース 7月30日

アイネス・ボウバクリ(チュニジア)フェンシング


パニダ・ハムスリ(タイ)重量挙げ


マイケル・フェルプス(アメリカ合衆国)水泳男子400メートル個人メドレー


ウラディミール・イヴァノフ(ロシア)男子テニス


ジョーディン・ウェイバー(アメリカ合衆国)女子体操


ブレンダン・ケイシー(オーストラリア)男子ヨット


ミッシェル・オバマ合衆国大統領夫人(セリーナ・ウイリアムズの女子テニス試合観戦中に)


[写真はすべてクリックすれば、大きな画像をご覧いただけます]

[アフガニスタンの子供たちに、未来を!]&[キュリオシティ、いよいよ火星表面へ]

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所要時間 約 12分

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ベトナム戦争から続く、89歳の女性の取り組み
アフガニスタンに、初めて公認の保育園を開園

アメリカNBCニュース[メイキング・ア・ディフエレンス / この世界を変えて行く!]7月6日

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89才のシアトル出身の女性が、アフガニスタンでは初めてとなる、孤児になった子供たちのための公認の保育園を開くことになりました。
多難な先行きが懸念される孤児たちの人生を、明るいものに変えて行くためのシアトル出身のベティ・ティスデールの取り組みについて、NBCのアティア・アバウィがお伝えします。

89才のベティ・ティスデールさんはこれまでずっと、世界中の子供たちを救う取り組みを続けてきました。
「私は、やってやれないことは無い、そう信じています。そして、戦争も私を止めることはできないのです。」
ティスデールさんは、これまで開園のために努力を続けてきたアフガニスタンの首都カブールにある保育所の中で、きっぱりとこう言い切りました。

シアトル在住のティスデールさんはこの6月、3度目となるアフガニスタン訪問を果たしましたが、彼女が運営する市民組織『孤児たちを保護し、愛する機関(HALO)』は、この国で最も弱い立場に置かれている、子供たちを保護しています。
非政府組織PARSAと協力し合いながら、HALOはカブールの『花の家孤児院』への援助活動を行っているのです。

今回の訪問でのティスデールさんの主な目的は、赤ちゃんたちを保護することでした。
シアトル近郊の小学校3年生の子供たちが集めた1,354ドルを含め、今回彼女が持参した寄付金は、アフガニスタンで初めてとなる公認の保育園の開園のために使われることになっていました。
「何とかして、子供たちを助けたいのです。今回の保育所の開園は、アフガニスタンにとっても格別に意義のあることであってほしい、そう願っています。」

ティスデールさんがまだ幼い少女だったころ、彼女の母親は結核と診断され、療養所に収容されました。その直後、彼女がわずか9歳の時今度は父親が死んでしまいました。
彼女は兄弟と離れ離れにされ、彼女自身は親類に引き取られることになりました。
「その時のことを思い出して、悲嘆にくれるようなことはありません。」
彼女はなぜ外国の孤児たちを救う活動に人生を捧げることになったのか、まっすぐ前を向いてNBCのインタビューに答えました。
「海外の孤児たちは、(アメリカとは異なり)ほとんどの子供たちが養子として家庭に入れるわけではありません。ここにいる子供たちは、少なくともこれから2年間、行く先は決まっていないのです。」
「子供たちが感じる必要があるのは、自分たちは孤児である、という事では無く、自分たちは愛されている、と実感することなのです。」
そのためにティスデールさんは、これまで子供たちにできる限り、愛情を注いできました。
その取り組みが始まったのは、1961年にまでさかのぼります。

サイゴンの陥落によりベトナム戦争が終結する直前の1975年、ティスデールさんは小規模な孤児の赤ちゃんたちを救済する組織を立ち上げました。
ティスデールさんは219人のベトナム人孤児をアメリカに連れ帰り、何と一カ月で全員の里親を見つけ出したのです。

以来、ティスデールさんはベトナム、メキシコ、ハイチ、ネパール、そしてコロンビアを含む世界中至る所で、孤児院を開設しました。
これ程の規模で孤児院の開設・運営をするための資金を、いったいどうするのか尋ねられた時、ティスデールさんはこう答えました。
「寄付集めが上手なのよ、ほんとにそうなの。」

アフガニスタンの路上で物乞いをするティスデールさんを見かけたことはありませんが、カブールの赤ちゃん用品店では、きびしい価格交渉をしていました。
彼女は人々の善意に訴えることに、ためらいはありません。
「私たちが世話をしている子供たちには母親もいなけければ、父親もいないのよ。」
ティスデールさんは店のカウンター越しに店員と交渉していましたが、できるだけ多くの国で、できるだけ多くの子供たちを救うためには、1ペニーだって無駄にはできないのです。

これまで彼女の話を聞いて心を動かされた店員の何人かは、店のオーナーにティスデールさんの事業について説明し、イスラム教世界で制度化されているザカート(救貧税、あるいは自発的な喜捨)の考え方にのっとり、彼女が運営する保育園に寄付が行われたこともありました。

ティスデールさんが子供たちの救援活動を行う理由はいくつもありますが、ここアフガニスタンでは、混乱が続く国土を救うためには、明るい未来を築けるリーダーが必要だから、というのがその理由です。
「ここにいる子供たちは、将来決して戦争などはしないでしょう。そんな愚かな解決方法を選ばないだけの聡明さを、身に着けていくはずです。」

こうした彼女の取り組みは、アメリカ人がなぜもっと積極的に、アフガニスタンの子供たちの救済を行わなければならないのか、ネガティヴな理由をも思い起こさせます。
「アメリカの政治家たちは、この世にはもうウサマ・ビン・ラディンはいないのだ、と言っていますが、ビン・ラディンが作り出したすべてのものが、消えてしまったわけではないのです。」
非政府組織PARSAの代表を務めるマーニー・ギュスターヴソンが、NBCニュースにこう語りました。
ティスデールさんは来年、保育園と孤児院の運営状況を確認するため、再びアフガニスタンにやって来ることを約束しました。
彼女はこれから毎年、米軍が撤退した後も、この地にやって来る、と語っています。
「この国の人々の現状について、そしてこの国の子供たちについて、もっとよく知ることができるようになれば、『戦争はもう終わったよ。だからもう大丈夫さ。』なんてことは言えないはずです。
戦争はそんなものでは無い、だから私がここにいるのです。」

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NASA制作!火星探査車の短編『映画』、世界中で大ヒット!

ビル・ホワイテイカー / アメリカCBSニュース 7月25日[CBSニュース映像]
宇宙開発とテレビの開発・成長期は、ほぼ時期を同じにしてきました。
そしてアメリカ航空宇宙局(NASA)は、宇宙開発計画に対する国民の支持を取り付けるため、実に上手くテレビを利用してきました。
そして今、NASAはこの地球から飛び出した場所でのできごとについて、ハリウッド並みの内容を持った一本の新しい動画を、インターネット上で公開しました。
カリフォルニア州バサディナにあるNASAのJPL研究所の350人の科学者たちは、この9年間、世間から隔離された状態で極秘ミッションに携わってきました。
彼らは、これまでで最大で、あらゆる機能を備えた第3世代の火星探査車、総重量1トンの『キュリオシティ』(英語で『好奇心』の意)の、設計・製作・プログラミングに携わってきました。

『キュリオシティ』は昨年11月に打ちあげられ、約2年の歳月と25億ドル(約2,000億円)の費用をかけ火星をめざし飛行を続けていますが、そこで生物の痕跡 – この星に生物は存在するのか、あるいは存在していたことがあるのか - について調査を行うことになっています。

「今回のミッションは、これまでNASAが行ってきた数々の任務の中でも、文句なく最高のものだよ。」
350人の中の一人、このミッションで映像制作責任者として働く、ジョン・ベックがこう語りました。
『キュリオシティ』が火星に着陸するまで残すところ10日余り、科学者たちはそれぞれが果たすべき役割について、緊張感を高めています。
「この映像を見た人は、ちょっと凝りすぎじゃないの?と思うかもしれません。」
NASAの科学者の一人、アダム・ステルツナーが映像の中で、こう語っています。
「私たちですら、そう思うときがあるくらいですから。」
ペックが作成したこの短編『キュリオシティ・運命の7分間』はNASAのウェブサイトが公開した映像の中、これまでで最高の再生回数を記録し、登場した科学者たちはたちまち有名になりました。
「NASAの科学者全員が映画『スター・ウォーズ』のハリソン・フォードが演じたソロ船長の気分なのです。みんな、着陸が成功するかどうか、大きな不安と期待を持っています。みんなビクビクものなのです。そのあたりの気分を、見ている人々と共有したかったのです。」

NASAの広報部門は、1970年代のボイジャー2号の打ち上げから、本格的に活動を始めました。
今回の『キュリオシティ・運命の7分間』が映し出す、宇宙空間で繰り広げられるミッションの様子は、まるでハリウッドで作られたかのような緊迫した場面の連続になっています。
中でも着陸の瞬間はスリル満点です。
運命の7分間、NASA・JPLの科学者全員が爪を噛みながら、かたずをのんで、はるかかなたの火星から着陸が成功したのか、それとも失敗してしまったのか、その信号が送られてくるのを待つことになります。

「最初に火星の大気に突入した瞬間から、『キュリオシティ・運命の7分間』が始まります。キュリオシティが無事火星の表面に着陸できるか、破壊されてしまうのか、すべては7分間内に決まってしまうのです。」
ステルツナーが映像の中で語っています。

まるでサイエンス・フィクションそのものの映像。
この任務のために制作されたスカイクレーンと呼ばれるホバークラフトが、ジェット噴射で機体を空中に固定します。
その姿勢を保ったまま、キュリォシティをゆっくりと火星表面に降ろしていきます。
キュリオシティの着地を確認した段階で、スカイクレーンは飛び去っていくのです。

「たったひとつでも手順が狂えば、その時点でゲームオーバーです。」
NASAの科学者、トム・リベリニが映像の中で、こう語りました。

ペックはCBSニュースの取材に対し、こう答えました。
「信号を受け取った瞬間、ここにいるたくさんの人間が泣いてしまうでしょうね。私も含めて、ね。」

すべてが順調にいけば、キュリオシティは8月6日(日本時間5日午後~6日午前)、火星表面に着陸する予定です。


[NASA制作 : キュリオシティ・運命の7分間]

http://www.cbsnews.com/8301-18563_162-57480214/mars-rover-mission-is-webs-hottest-mini-movie/?tag=cbsnewsSectionContent.10

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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