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日本関係書籍、北京の書店の売り場から撤去 [ガーディアン]&【海賊たちの没落】[米国NBC]

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「外交問題に関連する指示は概ね短命だが…」

アリソン・フラッド / ザ・ガーディアン(英国) 9月25日


尖閣諸島をめぐる外交的な紛争は文学の分野にまで飛び火し、中国の出版社は日本に関連するタイトルのついた本を売り場から撤去するよう命じられました。

東シナ海の尖閣諸島をめぐる外交紛争は悪化の一途をたどり、北京では書店の売り場から日本の小説が撤去されたと、地元のメディアが伝えました。

中国と台湾では魚釣島、日本では尖閣諸島として知られるこれらの島々に対し、日中両国とも領有権を主張しています。
紛争はこの9月初め、日本政府が個人の所有者からこの島を購入したことから一気に表面化、中国国内で大規模な抗議行動が発生し、中国に進出している日本企業は次々に業務を停止し、日中の外交行事も中止に追い込まれました。

紛争の余波は今や文学の分野にまで波及してきました。
報道によれば、北京市内の書店では日本人が執筆した書籍が売り場から撤去されました。
北京市内の有名な書店、王府井書店は村上春樹の著書『1Q84』の中国語訳書籍を他の日本人作家の書籍とともに、売り場から撤去したとジャパンタイムズが伝えました。
「私たちは日本の書籍を販売しません。」
書店の店員はこう話し、次のように付け加えました。
「理由についてはよくわかりませんが、多分中日関係が今、うまく行っていないからでしょう。」


北京市内の別の大きな書店も日本人作家の著作と関連する書籍を売り場から撤去したと日本の朝日新聞が報じました。
この書店の関係者は以下のように語りました。
「悪化する中日関係のせいで、こんなことになってしまいました。」

朝日新聞は同時に北京の報道・出版を監督する部局が、出版社に日本の関連する書籍の刊行を止めるよう指導したと伝えましたが、該当する部局はこれを否定しました。

北京政府の関係者はガーディアンの取材に対し、政治的緊張が高まって来ると、関係当局が書籍に関し何を売ってはいけないか、何なら売ってもよいのか、小売業者を指導することはよくあることだと語りました。
「こうした指示が行われるのはよくあることですが、今回のような外交問題については、その指示は短期間に終了する場合がほとんどです。」

http://www.guardian.co.uk/books/2012/sep/25/japanese-books-removed-sale-china-row-islands?INTCMP=SRCH
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【海賊たちの没落】

アメリカNBCニュース 9月26日


写真1 : かつては活気を呈していた海賊の根拠地の一つ、ソマリアのホビョーで、台湾の漁船の脇に立つソマリアの海賊、ハッサン。
海岸に打ちあげられ打ち捨てられたこの台湾の漁船の乗組員たちは、身代金の支払いの後解放されました。
「ここの所何もすることが無いんだ。海賊業に再び活気が戻る見込みも、今のところ無いよ。」
ハイスクールを卒業した後、私立学校で英語を教えていたハッサンは、2009年に海賊になりました。

2012年、襲撃された船舶数が激減したことにより、ソマリア沿岸での海賊行為を防止させるための国際的な取り組みは成功したものと見られています。
しかし一部の専門家は、そう判断するのは早計だと見ています。

欧州連合海軍局によれば、ソマリアの海賊は2009年には46隻の船舶を、2010年には47隻の船舶を乗っ取りました。
2011年には176隻と記録的な数の海賊による攻撃が行われましたが、乗っ取りに成功したのは25隻にとどまりました。
これはこの付近の海域を航行する船舶側が、自衛能力を向上させたためと思われます。
そして今年2012年、これまで乗っ取られた船の数は5隻にとどまっています。
最後は5月10日に『MVスミルナ』号が襲撃され、乗組員26名が連れ去られた事件でした。
彼らは現在もまだ海賊に拘束されたままです。

空のウィスキーボトルが散乱し、砂に埋もれた小型ボートが放置された海岸線の眺めは、ソマリアの海賊たちの黄金期が終わってしまったことを象徴しているのかもしれません。
たくさんいた売春婦たちの姿ももう見られず、高級車は再び売りに出されています。
海賊たちは貨物船の襲撃より、エビをつかまえる算段をしています。

写真2 : ホビョーの海岸に打ち捨てられた海賊用のボートのあたりを巡回する、ソマリア政府軍の兵士。

写真3 : 海賊の根拠地の一つ、ソマリアのガルカヨで顧客だった海賊たちの景気が良かった時代を懐かしみながら、タバコをふかす売春婦のファドゥマ・アリ。
「もういい時代は終わったわ。あんた、あたしに1,000ドル払ってくれる?」
この値段がかつて彼女が一晩に稼いだ金額だったのです。
「払う気が無いなら、あっちへ行ってよ。」

写真4 : 海賊の根拠地の一つ、ソマリアのガルカヨに国内の別の場所から移り住み、間に合わせの店で生計を立ててきた一家のこども。

写真5 : 金属加工を生業にする人々の露店。ガルカヨ。鋭利なナイフが売られている。

日本・中国、ともに『弱腰』は見せられない政治指導者 – 世界はセンカクをどう見ているか?[米国CNN]

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【紛争の海】
東シナ海・南シナ海には、サウジ油田と並ぶほど莫大な石油資源が眠っている

ケヴィン・ヴォイト / アメリカCNNニュース 9月24日

中国の習近平国家副主席は、ここ数週間中国国内で通りを埋め尽くし、中国の領有権を主張する群衆の感情に呼応するように、現在紛争の的となっている東シナ海の島々の領有権を主張していることについて、『猿芝居』と切り捨てました。
「日本はその行動を慎まなければならず、一切の言い訳を止め、中国の主権と領有権に対する侵害を止めるべきである。」
10月に中国の新たしい国家主席に就任予定の同氏は、9月19日のリオン・バネッタ米国防長官との会談の際にこう述べたと、中国のメディアが報道しました。


消息筋によれば次世代の指導者に就任予定の同副主席がこの日中の紛争について言及したのは、国家の政策や経済的利益をねらっての事では無く、むしろ国家主義的感情の盛り上がりにより、この問題を解決した場合の見返りは大きくなり続けている、そう判断した上の事だ、と分析しています。
従って通常はこのような領土紛争が一定期間を経て鎮静に向かう例が多いのに対し、10月に予定されている主席交代後も、状況がどうなるか、予断を許さないと指摘しました。

「さらに一層危険な状況になる可能性があります。」
ニューサウスウェールズ大学の防衛問題の専門家であるアラン・デュポンが、こう語りました。
「中国の新たな指導者が、領土問題において弱腰であると判断されるわけにはいかないのです。」
24日月曜日、日本の海上保安庁によれば、中国の調査船2隻が日本の領海に侵入、この間10隻の中国艦艇が付近をパトロールしていたと報告しました。
一方中国側は23日日曜日、今月予定されていた日中国交正常化40周年の記念式典を延期する、と発表しました。

国内で繰り返される好戦的とも取れるスローガンは中国政府の態度を一層硬化させ、アジア大洋地区における政治的・軍事的バランスを一変させ、さらには中国では魚釣島、日本では尖閣列島として知られる一連の無人島に関する問題も、一層こじれる可能性があります。
「中国は法的にも政治的にも、領有権について有利な立場を手にいれたものと確信しています。」
アメリカ国立アジア研究機構の研究員で、南シナ海の領有権問題に詳しいマーク・バレンシアがこう語りました。
「中国のナショナリズムはかつてない程盛り上がりを見せ、今や国政にまで影響を及ぼすようになっています。」

▽ 紛争の海と化す中国近海

東シナ海だけが、中国とその隣国にとっての紛争地点ではありません。
南シナ海には何百という無人島、サンゴ環礁が点在しています。
そしてその一つ一つについて中国、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、そして台湾がそれぞれ領有権を主張しあっています。


日本との紛争同様、中国は領有権を争い、緊張が高まる中、事件が多発するようになりました。
2011年には、この海域でベトナムの油田調査船が、中国の巡視艇によってケーブルを切断されたと抗議しました。
これに対し中国側がベトナムの船が中国の領海内で調査を行い、漁船の操業を妨害していたと主張しました。
同じ年、フィリピンの調査船も中国の巡視艇にケーブルを切断され、体当たりをすると脅される事件がありました。
「中国が領有権の主張に関し、より強硬にならなければ、これほど多くの事件は起きなかったと思います。そして重要な点は、なぜ今になってこうした問題が顕著になって来たか、という事なのです。」
デュポン氏はこう語りました。



東シナ海の紛争が南シナ海のそれと違うのは、世界第2位と第3位の経済大国同士のぶつかり合いだという点です。
「この2つの大国がぶつかり合うという点において、南シナ海よりはるかに状況は危険なのです。」
デュポン氏はこう懸念しています。

▽ 国家主義のうねり

9月11日に日本政府が中国側の抗議を振り切る形で、20億5000万円(2620万米ドル)で個人の所有だった尖閣諸島を購入した直後から、南部の広州から北は青島まで、中国国内数十か所で反日デモが頂点に達し、一部では暴徒化しました。
日本ブランドの車両がひっくり返され、数か所では日本の店舗で略奪が行われたため、多数の日本企業、日本の店舗が一時的な閉鎖に追い込まれました。

領有権に関わる紛争は世紀をまたいで続いており、争いが表面化したのは1996年、2005年、そしてごく最近、2010年には中国の漁船が日本の巡視船に体当たりし、中国船の船長や船員が日本側に逮捕され、外交紛争が頂点に達しました。

「中国側の反応がこれほど大きく、そしてこれ程暴力的なものになるとは、想像もしていませんでした。特に過去の反応と比べると、今回の暴動は異常です。」
カナダのワーテルローにあるバルシリー国際関係研究所の海事紛争の専門家であるジェームズ・マニコム氏がこのように感想を述べました。

尖閣諸島の「国有化」は中国人を激怒させることになりました。
しかし日本政府の動きは、尖閣諸島の購入についてインターネットを使って宣言した石原東京都知事が率いる日本の国家主義者に、この問題を預けたままにしておけば、紛争は拡大する一方になると危惧したからだと言われています。
石原都知事の宣言に対しては多額の寄付が流れ込み、日本政府をして紛争の焦点となっている、島の購入に踏み切らざるを得ない状況を作り出し、ひいては中国側の強硬な非難を招く結果になりました。
「会えて紛争を深刻にしないためには、この手の国家主義者の手に委ねるよりは、日本政府が所有した方がましだと言えます。国家主義者たちが一体どこまで関係を悪化させるかなど、想像のしようもないからです。」
マニコム氏はこのように語り、次のように付け加えました。
「野田首相は、短期的は紛争が激化しても、長期的には関係は改善していく、そう計算しているのです。」

▽ 経済的利益

日中両国の国家主義的な盛り上がりが現在の状況をよりエスカレートさせている一面、この地域問題に関する紛争の原因の一つを1969年に国連が行った地質学調査の結果に求めることができます。
「台湾と日本の間の大陸棚には世界有数の石油資源が眠っている可能性が高い。」


さらには南シナ海にも膨大な量の、天然ガス・石油資源が眠っている可能性があります。
中国の試算によれば2,130億バレルの石油資源が南シナ海の海底に眠っていますが、もしこれが事実なら、米国エネルギー情報局はサウジアラビアの油田地帯を除けば、世界最大の石油資源であることになります。

中国近海で多発するこの領土紛争の核心は『排他的経済水域』という、その国の海岸線から200海里以内では、その国だけに漁業権・資源採掘権が認められるとする、国際法上の権利です。
この権利を根拠に、各国は実効支配している無人島や、場合によっては岩に毛が生えた程度の岩礁を根拠に、この『排他的経済水域』の拡大を図ってきました。
「尖閣諸島はアラスカに似ています。一見すれば何の価値も無い荒蕪の土地ですが、しかし独占的な漁業権・資源採掘権を手に入れるためには、欠くべからざる国際法上の根拠となり得るのです。」
アメリカ国立アジア研究機構のバレンシア研究員が、こう指摘しました。


しかし国際紛争の舞台となってしまった今は、日中いずれの政府も、資源開発などに着手するわけにはいかなくなってしまいました。
今回の騒動がここ数年の衝突の延長線上にあるのであれば、両国の高官による折衝を待たず、二、三カ月のうちには収束に向かうでしょう。
しかし中国は指導部の交代を翌月に控え、日本では二大政党の党首選が行われ、いずれも立場を守るためにはここで引き下がるわけにはいかず、当分は緊張状態が続くと見られています。
「今日本では、中国に対して軟弱な政治家だとみなされるわけにはいかないのです。」
バルシリー国際関係研究所のマニコム氏がこう語りました。

中国国内では第二次世界大戦当時の日本に対する敵意が再燃していますが、日本国内の中国への感情も変わりつつあります。
「その結果日本では、保守陣営には属さない人々も、中国の真意を疑い始めています。この感情が拡大すれば、中国政府も意外の念を持つことになるでしょう。」

9月25日、日本の海上保安庁の巡視艇と台湾の漁船


http://edition.cnn.com/2012/09/24/world/asia/china-japan-dispute-explainer/index.html?hpt=hp_c4

政府が通したのは財界の要求、しかもその費用負担は国民へ[ウォールストリート・ジャーナル]

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【 撤回されてしまった日本の原子力発電・廃止計画 】

エリノア・ワーノック / ウォールストリート・ジャーナル 9月19日

原子力発電の無い日本をつくる、という方針が撤回されました。

原子力発電を支持する財界から厳しい批判を突きつけられ、2040年までに原子力発電を段階的に廃止するという計画に対し、内閣として完全な承認を与えることを拒絶したのです。


古川元久内閣府特命担当大臣(経済財政政策・科学技術政策担当)は取材に対し、前の週に諮問委員会が作成した、段階的な原子力発電の廃止を盛り込んだ計画に、日本政府として完全な承認を与えることはせず、『参考意見として考慮に入れる』にとどめることになった、と語りました。
同大臣が読み上げた内閣の声明の内容は以下の通りです。
「将来のエネルギー政策及び環境政策に関して、我々は革新的なエネルギー・環境戦略を考慮に入れ、関連する地方自治体と懸念している国際社会と責任ある議論を行う」
そして、こうつけ加えられていました。
「柔軟性を維持し、継続的に国民の理解を求めながら、不断の検証と見直しを行いながら政策を実行していく」


昨年発生した福島第一原発の事故以前、必要とする電力の約3分の1を原子力発電によって賄ってきました。事故後原子力発電所の安全性に対する国民の不安は増大し、現在、2基を除くすべての原子炉が停止しています。

古川閣府特命担当大臣は記者団に対し、2030年代(2040年まで)に原子力発電の廃止が可能かどうか判断するのは、早計に過ぎると語りました。

昨年福島第一原発の事故が発生し、一般国民の原子力発電に対する懸念が大きく膨らんだことにより、14日金曜日、日本政府は原子力発電の段階的廃止を盛り込んだ、長期エネルギー政策を発表したはずでした。


原子力発電所の廃止は電力料金を高騰させ、電力記要求を不安定にし、日本の経済活動の障害になると主張する、ところが財界からの激しい反発を受けることになったのです。
「産業界はこのような政策は、全く受け入れることができない。」
日本最大の経済界の政治団体である経団連の米倉会長が18日火曜日、日本政府に詰め寄りました。
「こんな計画は白紙に戻し、もっと現実的なエネルギー政策を採用するように求める。」

中部電力の美津濃社長は
「日本のような資源がほとんどない国では、安定した電力供給のためには地熱発電、原子力発電、そして水力発電をバランスよく組み合わせたエネルギー政策を採用することが重要である。したがって電力業界は、今後も原子力発電を重要な発電手段と位置づけ、継続して行くつもりである。」


3基の原子炉が現在停止中している原子力発電所1か所を、中部電力は管理しています。
しかしこの浜岡原子力発電所は、東海地震の予想震源域にある上、活断層が直下にあるとされ、地元住民は廃炉を求めています。

今回の政府の決定に対しては、原子力発電に反対する人々、そして環境問題に取り組む人々から批判が集中しました。
この夏日本政府が行った意見聴取会において、大多数の参加者から日本の将来のエネルギー政策においては原子力発電への依存をゼロにすべきである、との意見が出されたにもかかわらず、この原発ゼロの政策を『参考意見にとどめ置く』とされてしまったことについて、国民はまさに『裏切られた』と感じることになるだろう。
こう語るのはグリーンピース・ジャパンで反原発の運動を行っている鈴木かずえさんです。
「国家予算の総額を上回る程の損害をもたらす巨大地震が再び日本を襲うかどうか、それは解りません。しかしそうなれば、電力会社が損害賠償を行うことなど不可能になります。結局その分はすべて、国民が負担させられることになるのです。」
彼女は2030年代に(2040年までに)原子力発電を段階的に廃止した場合の、経済面での影響についての問いに、このように答えました。
そして長期的観点に立てば、再生可能エネルギーを増やしていくことが、日本全体のエネルギーコストの低下につながるとつけ加えました。

http://online.wsj.com/article/SB10000872396390444165804578005882519607670.html
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「将来のエネルギー政策及び環境政策に関して、我々は革新的なエネルギー・環境戦略を考慮に入れ、関連する地方自治体と懸念している国際社会と責任ある議論を行う」
「柔軟性を維持し、継続的に国民の理解を求めながら、不断の検証と見直しを行いながら政策を実行していく」

まさにこれを官僚的作文というのでしょうが、大切な部分を読み解いてみましょう。
まず将来のエネルギー手段を再生可能エネルギーとせず『革新的なエネルギー』とした点ですが、アメリカで実用化がすすめられている小型原子炉も、ここには含まれているでしょう。

そして『関連する地方自治体と懸念している国際社会と責任ある議論を行う』という部分。まず国民という文字が無い点から、国民との議論はもう行わない、そう宣言しているのではないでしょうか?
これは続く文章で「国民の理解を得た上で」ではなく『継続的に国民の理解を求めながら』とされた表現が、「理解を求めはするが、必ずしも合意を取り付ける必要は無い」と解釈できることからも、そのように類推できます。
そして懸念している国際社会とは、日本が核廃棄物の中間処理を委託しているフランス、イギリスの利害、そしてアメリカの原子力産官複合体のことが念頭にあっての表現と考えられます。

こうして読み解いた結果、政府見解の『あり得るシナリオ』は、以下のようになると思います。

「将来のエネルギー政策及び環境政策に関しては、日本政府は原子力発電の新技術も考慮に入れ、原発が立地し国の補助金を受け取っている地方自治体と、米英仏の原子力産官複合体の意見を聴き、その両方の意向に逆らわないように方針を立てていく。この議論に一般国民は参加させない。」
「いつでも原子力発電所の廃止路線を完全放棄できるようにしておき、その際、国民の理解を求めはするが、必ずしも合意を取り付ける必要は無い。国民の抵抗が思ったより少なければ、原子力ルネッサンスの復活も考えてよいのではないか。」

これを見てどうお感じになるでしょうか?
私は『公憤』という言葉を、久しぶりに思い出しました。

しかしだからとって、また自民党が政権をとれば、今度こそ白昼堂々脱原発の願いが捨て去られる危険性大です。
昨日も大江健三郎氏らが自民党総裁候補全員に送付した脱原発アンケートに対し、全員が黙殺をもって応えた旨報じられていました。
中でも最大の原発推進派と見られる人物が総裁に選ばれ、自民党の本音ははっきりした観があります。

脱原発を願う人々にとっては、まさに前門の虎、後門のオオカミの状況です。
さらには徴兵制の復活、軍備増強を言ってはばからない維新の会も控えています。財政が窮迫している上に、すでに福島第一原発の事故によりただ生活することにすら危険がつきまとうようになってしまった日本で、戦争をする能力拡大のために予算をつぎ込むことに、どんな意味があるのでしょうか?

これに対し敢然と民主党を離党した平智之議員のような政治家や、『国民の生活が第一』、共産党、社民党などは、例によって日本の大手マスコミが民主党総裁選、自民党総裁選にかこつけて黙殺を続けているため、苦しい戦いを強いられています。
しかしこんな時こそ国民一人一人に語りかけ、危機的状況にあるこの国の『脱原発への願い』を救い出して欲しいものです。

ロシア革命の『ヴ・ナロード(民衆の中へ)』、反帝政派の活動家は民衆の中に入っていき、地道に支持を拡大して行きました。
今多くの人々が行き場の無い怒りと、脱原発へのひたむきな思いを抱いたまま、立ちすくむことを強いられています。
一方で今ほど大勢の国民が、自分たちの思いが政治の場で力を持つことを、切望している時はないのです。

脱原発を支持する政治家の皆さんには、どうしたら議席を手に入れることができるのか冷徹に計算し、「善戦した」「一定の成果はあった」などという中途半端な評価に終わらないよう、勝利への方程式をしっかりと組み上げていただきたいものです。

またも国民の安全を、健康を、暮らしを、危険にさらす日本政府[ガーディアン]

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【 原発の段階的廃止計画・捨ててしまった日本 】
経済界の圧力により、国民との合意を廃棄

ジャスティン・マッカリー / ザ・ガーディアン(英国)9月19日


日本政府は財界の圧力を受け、閣僚間の合意により、数日前に内閣の委嘱を受けた委員会が提出した、2040年までに原子力発電を廃止するという方針を実質的に放棄してしまいました。

18日火曜日、野田内閣は前週の金曜日に提出された原子力発電の段階的廃止ブランに漠然とした支持を表明しただけで、2030年代(2040年まで)に原子力発電を廃止するための、あらゆる具体的プランを放棄しました。

枝野経済産業大臣は、2030年代(2040年まで)の廃止を不可能としたことを認めました。
「2030年代(2040年まで)の廃止は、政策決定者が決めたからと言って達成できるものではありません。」
「電力利用者の意思、技術の進歩、そして今後10年ないし20年間の世界の電力事情によって決まるものなのです。」

財界・産業界の指導者が、原油と天然ガスの輸入コストの増大により、企業はその活動拠点を海外に移転せざるを得ない、という圧力を政府にかけた結果、この方針転換が行われました。


内閣が捨てた原子力発電の廃止案は、2カ月間にわたって行われた将来のエネルギー政策に関する国民の意見聴取会において、原子力発電所は全廃すべきであるとする意見が、一部廃止や現状維持の意見をはるかに上回った結果、政府がまとめたものでした。
内閣はこの案を捨てる一方、「参考程度に」はとどめ置き、今度は国民一般、原子力産業界、実業界、そして原子力発電に経済を依存する自治体の見解を取りまとめた上で、今後の方針を決定すると語りました。

2011年3月の福島第一原発の事故で3基の原子炉がメルトダウンを引き起こし、これまでの日本の原子力政策に対する信頼を大きくゆるがせた結果、この度のエネルギー政策の見直しは行われました。

岡田克也副首相は2040年の最終期限を捨てたことイコール原子力発電の廃止路線を捨てたことにはならない、と語りました。

「我々は2030年代に原子力発電所がゼロになるよう努力を行うとは言いましたが、期限内に原子力発電所をゼロにするとは言っていません。」
岡田副首相は一群のヨーロッパのジャーナリストに話しました。
一方で彼は段階的な原子力発電の廃止が、「大多数の日本人の願望」であると認めました。

8月に公表されたデータは、前述の公聴会において集められた意見の中、日本国民の実に90%が原子力発電の廃止を支持していることを明らかにしました。
将来の発電手段の中に原子力発電を残すべきであるとする意見は、わずか4%でした。


これに対し岡田副首相は、原子力発電を停めて石油・天然ガスに発電手段を切り替えた場合の増大するエネルギーコスト、そとて気候変動に対する日本が果たすべき役割についても、政府は考慮しなけければならないのだと語りました。

日本は1990年と比較し、20%温室効果ガスを削減し、エネルギーの効率化により10%のエネルギー資源節約を行うことになっています。
同時にこの計画では将来再生可能エネルギーと、化石燃料の持続可能な利用による発電割合を30%にまで高めることを求めています。

昨年3月、福島第一原発がこの四半世紀の中で世界最悪の原発事故を起こし、2基を除く日本国内のすべての原子炉が点検のため停止中です。

一方で今回、日本政府は建設中の2か所の原子力発電所の工事再開を承認しました。
原子炉の寿命を40年とする規定が適用されれば、この工事再開により日本では2050年になっても原子力発電所が稼働していることになります。


日本は福島第一原発の事故以前、発電量の30%を原子力発電に依存していましたが、それを2030年までに50%に拡大させる計画を持っていました。

19日には新たに原子力規制委員会が発足しましたが、その委員の大半が福島第一原発の事故原因を作り出した日本の原子力ムラ出身者で占められており、他脱原発運動を展開する人々から避難されています。
グリーンピース・ジャパンの鈴木かずえさんは、以下のように指摘しました。
これまでの原子力行政に深く関与してきた人間を委員として指名したことにより、
「日本政府は、再び信用してはならない原子力規制機関を作り出したことにより、またもや国民の健康と安全、そして日本の経済を危険にさらしてしまったのです。」

http://www.guardian.co.uk/world/2012/sep/19/japan-2040-nuclear-power-exit?INTCMP=SRCH
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これ程に各国各紙の同内容の報道を掲載するのは、日本の一人でも多くの方に、真実を知っていただきたいからです。
今回の日本政府の原子力発電の段階的廃止の『見送り』について、日本のマスコミの報道を見ていると「当面の間、決定を見送った」と誤解してしまう恐れがあります。

それは違います。

真実は、昨日までご紹介したニューヨークタイムズやFOXニュース、そして今日のザ・ガーディアンの記事にあるように、『実質的に放棄してしまった』のです。
この『事実』を一人でも多くの方に、きちんと認識していただきたい、その一心で掲載を継続しています。

それにしても、ドイツ・メルケル首相の『2022年までの全原発の廃止』が如何に英断だったかが、今さらながら身につまされます。
ドイツにも『実業界』は厳然として存在するはずなのですが、国そのものの安全という問題に対し、経済界だけの意見を通すわけにはいかないという『矜持』がそこにはありました。

ひるがえって私たちの日本。
枝野経済産業大臣は、原子力発電所の新規計画・着工すら「その判断は地元に任せる」旨の発言を行いました。
これは裏返せば、原子力発電所の建設予定地がある自治体に対し、「新規建設を強行に要求しなさい」と言っているようなものだと思います。
さらには記事中の
『今度は国民一般、原子力産業界、実業界、そして原子力発電に経済を依存する自治体の見解を取りまとめた上で、今後の方針を決定する』
というくだりですが、もし多数決を以下の形で行ったら、どうなるでしょうか?

国民一般 : 1票
原子力産業界 : 1票
実業界 : 1票
原子力発電に経済を依存する自治体 : 1票

「はい、3対1で、原子力発電の推進が支持されました」

「まさか…」とお思いでしょうか?
日本の人々はすでにもう何度も、その「まさか…」という煮え湯を飲まされている、私はそう思うのですが…

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【 回る回る、酔いも回る - 『オクトーバーフェスト開幕』】

アメリカNBCニュース 9月23日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)


9月23日、ドイツ・バイエルン地方にて




処理の目処が立たない核廃棄物を、再び貯めこむ路線に向かう日本政府[FOXニュース]

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【日本政府、原子力発電の段階的廃止から後退 / 原子力規制委員会、新たに発足】

AP通信 / FOXニュース 9月19日


19日水曜日、日本政府は段階的に原子力発電を廃止するとする諮問委員会が提出した提案を採用せず、実質的に原子力発電の廃止を棚上げにしました。
日本政府は原子力発電の廃止に強力に反対する経済界の一部、そして原子力発電所が立地する地方自治体の圧力に屈したのです。

昨年の福島第一原発事故の発生原因を作った原子力安全・保安院に代わり、日本の原子力発電事業を管理監督する原子力規制委員会の発足と同時に、政府の決定は行われました。
諮問委員会が提出したプランを採用せずに、各閣僚はただ漠然と脱原発依存の方向性を認めただけでした。

福島第一原発の事故発生以来、国民の間に高まり続ける反原発意識を認識している内閣は、今後30年間、再生可能エネルギーの大規模開発と化石燃料の持続可能な利用により、脱原発は可能だと主張しています。


政府は原子力発電所の廃止に関する政策を「参考にする」程度にとどめ、国民の理解と支持を求めるつもりであると語りました。
この場合の国民という表現には一般国民と併せて、原子力産業に従事する人々、原子力産業に利害関係がある企業関係者、そして原子力発電所が立地し経済的に依存している地方自治体を含みます。

古川元久内閣府特命担当大臣(経済財政政策・科学技術政策担当)は、時間はかかるが日本のエネルギー政策の焦点は、原子力を段階的に廃止することであり続けると語りました。
同大臣は二酸化炭素排出量の削減のためにも、グリーン・エネルギー政策を推進すると誓いました。

原子力発電の廃止に対するあいまいではっきりしない態度は、数か月以内には実施の可能性のある総選挙で有利な立場を得るために、内閣は方針転換を行ったのだという批判を高めることになりました。

一方、財界の指導者は、内閣が原子力発電所の廃止案を引っ込めたことを称賛しています。

「内閣が2030年代(2040年まで)の原子力発電の段階的廃止という、具体的目標について言及しなかったことは、これを取り下げたものと解釈します。したがって、当面原子力発電の廃止は回避できたものと考えます。」
政治に対し常に強い影響力を発揮する、経団連の米倉会長がこう語りました。
米倉会長は18日火曜日、もし原子力発電の段階的廃止の方針は何もかも受け入れられないとして、採用の暁には政府の委員会の委員を辞任する、と迫ったのです。


つい最近まで原子力発電の発電割合を、2030年代を通し25%台を維持することを目指してきた日本政府である以上、方針転換はいつでもあり得ます。
「少なくとも今回の政策は、私たちが目指すべき方向だけは見せることができたと言えます。」
民間の核問題・原子力発電の監視組織である、原子力資料情報室( http://cnic.jp/ )の共同代表である伴英幸氏がこう語りました。
「しかし廃止への方向性は弱められ、いくつもの抜け道があります。財界から相当の圧力がかかったことは明らかです。」

日本は3月11日に襲った巨大地震と巨大津波がきっかけとなり、福島第一原発の3基の原子炉がメルトダウンを引き起こし、大量の放射性物質を環境中に放出する前までは国内に54基の原子炉を持ち、発電量の30%を原子力発電に依存し、その割合を50%にまで高める計画を持っていました。
現在は原子力発電に対する国民の懸念が高まり、2基を除いてすべて停止しています。

新たな原子力発電監視機関である原子力規制委員会は、19日水曜日に発足しましたが、5人の委員の中に原子力発電推進派と見られる人間が複数含まれていたため、機関の独立性を求める野党の国会議員の批判を浴び、数カ月間スタートが遅れました。
原子力規制委員会を率いるのは核物理学者で福島県福島市出身の田中俊一氏ですが、田中氏は旧原子力委員会の委員を務め、原子力発電の拡大路線を進めてきた人物です。

67歳になる田中氏は、放射能によって汚染されてしまった福島第一原発周辺の除染作業を手伝いました。
しかし住民の一部は、同氏が低線量被ばくの潜在的な危険性を軽視する発言を繰り返したとして、批判しています。


4人の他の委員は、国会による福島第一原発の事故調査委員会にも参加した元日本原子力研究開発機構職員、放射線の専門家、地震学者と元外交官です。
委員会の9月26日の発足の最終期限に間に合わせるため、必要とされる議会承認を得ることなく、野田佳彦首相は自らの権限による指名によって原子力規制委員会をスタートさせました。
この事もまた、広く批判を招くことになりました。
新しい機関は、旧監査機関である原子力安全・保安院、原子力委員会、その他の原子力関連の政府機関を統合したものです。
そして原子力政策の推進機関から距離を置くため、環境省の下に置かれます。
旧原子力安全・保安院は経済産業省の一部門であり、同省は日本の原子力政策を推進してきた当事者でした。

繰り返された事故調査の結果、原子力安全・保安院などの規制機関と東京電力の癒着が、チェルノブイリ以来最悪となる福島第一原発の事故の発生原因を作ったことが明らかになりました。

「私たちの目下の課題は、日本の原子力行政の立て直しと、完全に失われてしまった国民の信頼を回復することです。」
田中氏が初めて開かれた委員会でこうあいさつしました。

内閣諮問委員会によって先週金曜日にまとめられた新エネルギー政策は、2040年までに原子力発電が廃止された社会を求めています。
耐用年数を過ぎた原子炉を廃炉にし、代替の原子炉を設置しないことにより、段階的に原子力発電が廃止されることになっていました。
原子炉については稼働期間を一律に40年と制限されることになっていますが、例外的に20年の期間延長が認められる規定があります。
この廃止への段取りは一般国民から歓迎されましたが、力を持つ実業家たちの強い反発を招きました。
また原子力発電所が立地する地方自治体は、巨額の政府助成金が打ち切られてしまうことに強い抵抗を示しました。


のしかかるように迫る反対圧力をかわすため、日本政府は使用済み核燃料と放射性廃棄物の処理を含め、これから原子力政策の詳細について、すべてを曖昧にしてしまいました。
このため北日本の青森県での核燃料サイクルの継続を容認する事になり、日本は核不拡散条約の違反を続けながら、使用済みプルトニウムを溜め込んでいかざるを得なくなってしまったのです。

http://www.foxnews.com/world/2012/09/19/japan-gets-cold-feet-on-total-nuclear-phase-out/
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尖閣諸島の問題に絡み、自民党総裁選挙の候補者が異口同音に
「日米同盟の強化」
を謳っています。

皆さんはアメリカの『産軍複合体』が世界の戦争を作っている、そう指摘する論評があるのはご存知でしょうか?
『産』は軍需産業、『軍』はもちろん軍隊です。
『産軍複合体』は米ソの冷戦状態が火を噴いた1960年代から急速に拡大し、冷戦後は自分たちの体がしぼんでしまう事を何よりも恐れ、世界で次々と戦争を『作り出している』と言われています。

そして今、もうひとつ『日米原発産官複合体』がこの国を侵そうとしていると言われます。
この複合体は日本では『軍』ではなく、『官』すなわち官僚である事が特徴的のようですが…
ここも自分たちの体がしぼむ事を恐れ、互いに日米の反原発、脱原発の動きに目を光らせているようです。
自民党は原子力発電所の廃止について一切言及しておらず、もし政権をとれば『日米原発産官複合体』とともに原発ルネッサンスを再開してしまう可能性があります。

ところで皆さんは、湾岸戦争の際、総戦費610億ドルのうちアメリカが支出した戦費が70億ドルだったのに対し、日本の支出が90億ドル(当時1ドル=100円として9,000億円)だった事はご存知でしょうか?(他の大部分は湾岸産油国が負担。田中宇著『イラクとバレスチナ、アメリカの戦略』光文社文庫)

中国の傍若無人の態度も見過ごせませんが、だからといって単純にアメリカを頼れば、『日米原発産官複合体』が勢力を増し、アメリカの『産軍複合体』に日本が利用される可能性もあります。

私はこれほど中国が強硬な態度を取るのは、日本政府、そして日本の政治が完全に国民から見放されている、そこをすっかり見透かされている、それが最大の理由だと考えています。
自国民の支持をすっかり失っている政府、外交上これほど『怖くも何ともない』相手は無いからです。

安易に外国に頼る、そんな事より誠実に自国民に向き合う政府が存在する国には、中国・ロシアといえど好き勝手は出来ないと思うのですが…

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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