『フクシマ後』のストレステスト、数百を超える問題を明らかに
「最低限の」安全すら疑わしい原発も…
トニー・パターソン / ザ・インデペンダント(英国) 10月4日
欧州連合の加盟各国内にある143基の原子炉に対して実施された「ストレステスト」の結果、『数百数千の』問題が指摘され、その改修のためには250億ユーロ(2兆5,000億円)もの費用が必要になる旨、4日明らかにされた報告書草案に記載されていました。
この安全対策の著しい不備を明らかにしたのは、欧州連合原子力規制委員会が公式報告書を作成するため用意した草案であり、ブリュッセルに本部がある欧州連合の本部において4日、公表されることになっています。
ストレステストは昨年3月11日に日本を襲った巨大地震と巨大津波がきっかけとなり、福島第一原発の3基の原子炉がメルトダウンを引き起こしたことを受け、実施が決まりました。
この草案は最終的に作成する報告書と内容が異なる可能性はありますが、以下のように結論づけました。
「ストレステストの結果、欧州連合内のほとんどすべての原子炉について、安全性を確保するための改修工事が必要であることが判明しました。」
「すでに必要とされる数百件の改修対策については、その技術的内容を確認しています。」
現在欧州連合は域内で拡大しつつある経済的苦境から抜け出すべく、悪戦苦闘しています。
当初一基当たり3,000万ユーロと見積もられていた、安全確保のための原子炉の改修費用が、最終的に2億ユーロに跳ね上がり、結果的に欧州全域では250億ユーロ(2兆5,000億円)の費用が必要なことを、今回の草案が明らかにしました。
この草案はさらに、改修が必要な111基の原子炉のうち、47基の原子炉の周囲30キロ以内に100,000人を超える住民が暮らしていることも指摘しました。
ストレステストは仮にフクシマ型の原子力災害が欧州で発生した場合、被害を最小限に食い止めるために実施されました。
しかしいくつかの原子炉では、福島第一原発のはるか以前に発生した事故によって必要とされた対策すら、実際には行われていなかったという、緊急性の高い課題も明らかにしました。
この点について、報告書が以下のように警告しています。
「原子力発電所の安全を確保するため必要な対策が、スリーマイル島とチェルノブイリの事故の結果明らかにされました。
しかしそれらの事故から数十年が経過した今日においてさえ、いくつかの加盟国では、それすら実施されていなかったことが、今回のストレステストにより判明しました。」
今回のストレステストでは、国名は明らかにされませんでしたが、2か国の4基の原子炉は、もし全電源喪失に陥った場合、一時間以内に電源が回復されないと事故が始まってしまうことが明らかになりました。
しかし一方では今回のテストでは、最も危険性の高い原子炉がどれなのかについて、そして多くの原子炉が抱える共通の安全上の欠陥とは何かを、明確に特定することはできませんでした。
欧州連合の原子力規制委員会は、これらの原子力発電所の周囲で生活する住民に過度の警戒感を抱かせないよう、報告書を完成させる際には、表現方法について十分に配慮するよう求める声明を発しました。
今回のストレステストは、英国内の原子炉についても、安全対策の不備を指摘しました。
ほとんどの原子力発電所では、主制御室が放射能汚染によって近づけなくなった場合、代替となる制御室がありませんでした。
これに対し英国エネルギー省は英国BBC放送に対し、イギリス国内の原子力発電所が安全では無いことを証拠立てるものは無い、と主張しています。
一方今回の警告は、原子力発電の継続に反対する団体などの、違った角度からの批判を招きました。
危険性の本質を突くものとは、とても言えたものではないというものです。
今回の調査は古ぼけた設備、質の良くない職員、テロ攻撃を防ぐことができない施設など、問題が発生しやすい原子力発電所の危険性について、踏み込んだ調査を行っていないと批判しています。
「本気で調査するつもりなら、監視委員会は古くて劣化が進んだ原子力発電所の廃止に踏み込むべきなのです。」
経験豊かなドイツ緑の党の党員であり、欧州緑の党グループ・欧州自由連盟の共同党首であるレベッカ・ハームズが英国BBC放送の取材に対し、こう答えました。
明確な理由は明らかにしませんでしたが、今回の草案ではフランスについては別格の扱いをしています。
フランスは全電力の8割を原子力発電によって賄う、欧州最大の原子力発電国家です。
国内には58基の原子炉がありますが、そのすべてについて問題があるとされました。
フランスでは福島第一原発の事故の後、19の原子力発電所と58基の原子炉について独自のストレステストを行い、対策済みだとしていました。
フランスは福島第一原発の事故後も原子力発電への投資を継続していましたが、隣国ドイツではアンゲラ・メルケル首相が率いる保守政権が、2022年までの原子力発電の廃止を決定しました。
フランスの核監視機関であるASNは、フランス独自の基準により安全は確保されているが、今後は洪水や地震など、より過酷な災害にも持ちこたえることができるように、全原子力発電所に対し、追加の安全対策を施す方針であることを明らかにしました。
今回明らかにされた草案では、欧州連合が来年、「原子力発電所事故が発生した場合、手厚い被災者の救援を可能にする」保険と実効性の高い法案を、提案する予定であったことにも言及しています。
http://www.independent.co.uk/news/world/europe/europes-dangerous-nuclear-plants-need-25bn-safety-refit-8196457.html?origin=internalSearch
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日本の電力料金の仕組みの中、「総括原価方式」というものが、きわめて事業者にとって都合が良く、消費者にとって不利なものであるかを教えてくれたのが、京都大学原子炉実験所助教の小出裕章氏の著書『原発のウソ』でした。
仕組みを簡単に見て見ましょう。
一般企業は商品を製造販売する時、でるだけ品質の良い物をできるだけ安くしなければ、売れるものではありません。
そのための努力を全工程で行います。
それがうまく行かなければ、商品は売れないし、利益も取れません。
ところが電力料金は違います。
直接原価も、設備費や広告宣伝費のような間接原価もすべてそのまま原価に繰り入れ、そこに利益を上乗せして価格設定することを、保障されているのです。
俗な言い方をすれば、私たちは電力会社の『言い値』で電気を買わされています。
今後、原子力発電を続けるためには『安全対策』に莫大な費用が掛かりますが、それを負担させられるのは私たちです。
そしてもちろん、これまでの原子力安全・保安院の、これからの原子力規制委員会の運営費用を負担させられるのも、私たち納税者です。
8割が原子力発電に反対しているにもかかわらず、原発が動けばその費用を負担することになるのは私たち国民です。
しかも国会議員として、一般国民と比べてはるかに高額の報酬を受け取っている政治家が、「三党党首会談」に象徴されるように、欲ボケた権力の奪い合いばかりに血道を上げ、福島第一原発の事故の収束と避難民の方々の人生の立て直しなど、まるで眼中に無い有り様です。
彼らの議員報酬を負担しているのも、私たち国民です。
どう思われます?
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【 深まる秋 】
アメリカNBCニュース 10月17日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)
【 人々の聴覚回復のため、世界を回り続ける 】
アメリカNBCニュース[メイキング・ア・ディフエレンス / この世界を変えて行く!] 10月15日
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さあ、世の中を変えてゆく人々の姿をご覧いただきましょう。
この世界にある音が、そのままその通りに聞こえるようになります。
一人の男性が世界中を回って、生まれつき耳が不自由で、自分の力だけではこの問題を解決できない人々に、特別なプレゼントを贈り続けています。
詳しいお話をNBCのチェルシー・クリントンがお伝えします。
リポーター:あらゆる面から見て、彼女は完璧な能力を身に着けることができました。
このユーチューブ・ビデオにある通り、ピアノの弾き方を習得し、作曲もできるようになりました。
ソフトボールの試合でも、一切他の人に引けを取りません。
でも、そんなことがこの15歳の少女にとって、特別なことなのでしょうか?
実は彼女は生まれつきほとんど耳が聞こえません。
しかし、その障害が今、克服されようとしています。
ステファニー「私たちもお願いしていいですか?」
リポーター: 彼は独自の聴力技術を開発し、アメリカ最大の補聴器会社を経営しています。
彼は年に一度、ニューヨークのヤンキース・スタジアムにやってきて、最新型の補聴器を買うことができない人々や子供たちのための臨時の店を開業します。
少年「今日最新型の補聴器が手に入ったんだ。本当に良く聞こえるよ。」
オースティン「こうして耳の上に架けるだけでいいんだよ。」
リポーター:オースティン氏は最高水準の補聴器をステファニーの耳に装着しました。
ステファニー「とてもよく聞こえるわ。」
オースティン「ちゃんと聴き取れるかい?」
ステファニー「大丈夫よ!」
オースティン「音量が低すぎることは?」
係員の女性「これは降ろしたての靴のような物よ、わかる?」
リポーター:長い間沈黙の世界に暮らしてきたステファニーは、こうして音のある世界にやって来ました。
リポーター「あなたが自分の左耳で、音を聞いたのはいつ?」
ステファニー「小学校2年生の時です。そして私は今、高校1年生になりました。」
リポーター「それじゃもう、8年以上も前のことになるわね。」
ステファニー「そうですね。」
リポーター「学校に居て、何か変わったことはある?」
ステファニー「そうですね、少しにぎやかすぎるかな…」
リポーター: 過去12年間、オースティン氏は世界中を回り、これまでになんと約80万人に上る人々に補聴器を贈りました。
オースティン「喜びを分かち合えるから、続けて来れたのだと思いますよ。音が聞こえるようになって喜ぶ人々、その姿を見て幸せな気分になる自分。どちらも幸せになれるわけです。」
リポーター: 子供たちがヤンキース・スタジアムを象徴する人物の一人である、マネージャーのジョー・ジェラルディに会うことができました。試合前、ここに立ち寄ったのです。
「君を今日は、グラウンドの中まで招待することにしよう。そうすればボールをかっ飛ばす快音を間近で楽しむことができるからね。」
リポーター:さらにジェラルディは、ステファニーにヒットを打つためのバッティングのコーチすらしてくれました。
ステファニー「まるで生まれ変わったような、とてもいい気分です。音のある世界にまた戻ってきました。」
オースティン「ある日突然、彼らは音の無い無表情な世界から抜け出してくるのです。周囲には様々な音があり、すべてが生き生きと動き始めるのです。」
リポーター:大きな思いやりを持った男性が、音のある世界を贈り続けています。
チェルシー・クリントン、NBCニュース、ニューヨーク
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http://www.msnbc.msn.com/id/3032619/#49423622
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今日も、原発関連の話題はお休みにしました。
昨日と同じく、アーニー・ガンダーセン氏とヘレン・カルディコット博士の対談について、考え続けています。
いっその事、福島第一原発の事など頭からしめ出してしまったら、ノーテンキで楽だろうなあ、と考える事があります。
しかし、出来るはずがありません。
福島のことは、常に心に突き刺さったままです。
仙台市、つまりは宮城県という、福島の隣の3.11の被災地にいるせいで、他の地にいるより数多くの報道に接してきたからでしょうか?
それとも福島第一原発に関する世界の報道を、1年半以上毎日翻訳し続けてきたからでしょうか…
どちらも違う、そう気がつきました。
福島第一原発周辺で暮らしてきた方々の、悲劇、悲痛、苦痛、絶望、苦難があまりにも大きいからに他なりません。
そして1970年代、すでに成年に達していたのに、原発という問題に関心を持たなかった、その責任を感じているからです。
まして今、首相時代に「福島には津波など来ないから、対策などとる必要は無い」と言っておきながら、3.11の後責任を取るどころか、中国電力に「上関原発は必ず作れ」と「激励した」人間が党首に返り咲き、原発の再稼働も、新規建設も「どしどしやる」と言っている人間が幹事長を務める政党が、「政権を奪還することは確実と見られて」いるのだそうです。
そんな事になってしまえば、福島の人々も、この国の未来も、救われることは無くなってしまうでしょう。
私たちは、フクシマという『心のトゲ』を、抜いてはいけない。
そう思っています。
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【シリア内戦、レバノンに飛び火か?! ベイルートで大爆発】
アメリカNBCニュース 10月19日
(写真をクリックすると拡大して見る事が出来ますが、ショッキングな写真もあるため、気分が悪くなる恐れのある方は、ご覧にならないようにお願いします。)
地元の公安当局がNBCに語ったところでは、19日金曜日レバノンの首都ベイルートの路上で大きな爆発があり、少なくとも8人が死亡、78人が負傷しました。
隣国シリアで荒れ狂う暴力の応酬が、レバノンに波及してきたのではないかとの懸念が大きくなっています。
爆発が自動車爆弾によるものかどうかは今のところ明らかではありませんが、傍証はその可能性が高い事を示していると、レバノン軍のハテム・マディがNBCに語りました。。
長く続いた内戦により、レバノン国内も複数の勢力の反目が続いていますが、今回の爆発がその中の特定の勢力を狙った、政治的動機によるものかどうかは明らかではありません。
救急車が煙が立ち上る、キリスト教徒が多く暮らしているアシャフリア地区に急行しました。
何台もの車が炎上し、高層ビルの正面が大きく破壊されていました。
爆発があった地区には、1982年に当時の大統領のバシャール・ジェマイルの暗殺に関わり、シリアの市民勢力とも関係が深い、野党の本部がある、と目撃者のダニー・リジャラーがNBC放送に話しました。
この地区はキリスト教徒が多く暮らす裕福な場所で、アメリカの科学・技術大学の本部もあります。
リジャラーは爆発があったとき、近くで昼食をとっていましたが、衝撃で椅子ごと体が持ち上げられたと語りました。
「信じられないほど強烈な爆発でした。明らかに砲撃とは音が異なり、すぐに爆弾が爆発したのだとわかりました。」
「こんな出来事が起きてしまい、本当にショックです。なぜなら、レバノンでは血で血を洗う内戦(1975-1989)は、とっくに終わったと思っていましたから。それにキリスト教徒が暮らす地区での爆弾テロは非常に珍しい事なのです。今回の事件の背後にいるのが誰なのか、目的は一体なんなのか、見当もつきません。」
「こんなことが起きて、また政治が混乱してしまう事が心配でなりません。」
http://msnbc.msn.com/id/49476920/displaymode/1247?beginSlide=1
アメリカNBCニュース 10月16日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)
[宇宙から見た日没]
国際宇宙ステーションのある場所から太平洋の日没を眺めると、こんな感じに輝いて見えます。
撮影されたのは2003年7月21日、地球上空約38,000メートル地点です。
この写真はマイケル・ベンソンの作品、120点以上の写真を収録した[プラネットフォール : 太陽系の新たな視点]からのものです。
ベンソンによれば、プラネットフォールという言葉は、惑星について新たな視点を発見した瞬間を意味するそうです。
NASAが行っている太陽活動観察でも紹介されましたが、、太陽のコロナと磁気ループは2011年4月2日の地球の日食のとき、巨大な炎を噴き上げました。
この写真に捉えられた太陽嵐は太陽の表面の200倍高温であり、地球では磁気嵐が発生しました。影響の大きさは大気の密度によって異なりますが、紫外線をも遮断します。
NASAのディープ・インパクト・プロジェクトにより発射された宇宙船が、小惑星コメット1号に衝突し爆発した瞬間の写真です。
衝撃により塵と氷の破片が舞い上がっています。
ディープ・インパクトの目的は、直径約6キロの、この彗星の組成を明らかにすることでした。
2001年1月1日宇宙船カッシーニが撮影した複数の写真を合成したもの。木星の衛星の一つであるイオが、木星の右側に見えています。
カッシーニにはこの後、本来の目的地である土星をめざして、航行を続けました。
2009年12月25日にカッシーニが撮影したもの。土星の6番目に大きな衛星であるエンケラドスが、土星の夜側にあって、間欠的に水を宇宙に向かって放出しています。
宇宙に放出された水は瞬間的に凍りつき、氷晶となるのです。
2009年12月25日にカッシーニが撮影した、エンケラドスが宇宙に水を放出している写真。
エンケラドスはこの写真の左側に位置する太陽に照らし出され、さらには右側に位置している小衛星の反射光により、星全部の姿が見えています。
エンケラドスが放出した水は、氷晶となって土星の環の一部を構成しているものと考えられています。
[タイタンと土星]
2011年5月21日にカッシーニ撮影。
土星の衛星、タイタンが土星とその環の前面にくっきりと姿を現しています。
タイタンの表面を、高濃度の大気が覆っていることが見て取れます。
この大気は肉眼で見ることはできません。
この写真は特殊なフィルタを使い、タイタンの輪郭を際立たせることにより、撮影されました。
マイケル・ベンソンの[プラネットフォール : 太陽系の新たな視点]の表紙。
土星の環の上に、衛星ミマスの姿が映っている。
これもカッシーニが2004年11月7日に撮影したもの。
マイケル・ベンソンの作品の詳細については、彼のウェブサイト( http://michael-benson.net/. )をご参照ください。
http://slideshow.nbcnews.com/slideshow/news/planetfall-snapshots-from-the-solar-system-49421157/
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10月の第2週、第3週と続けて、フェアウィンズの【 福島第一原発で今も続く事故、そして危険、その真実 】を10回連続で掲載しました。
翻訳に疲れたというよりも、カルディコット、ガンダーセン両氏が指摘する福島第一原発の『現実』の厳しさ、救いの無さに心が重くなりました。
しかし今日は週末、そこでこの写真集をご覧いただき、ちょっと気分転換を、と考えた次第です。
こうした広大な宇宙の写真を眺めていると、改めて自分という一個の人間のちっぽけなことを痛感します。
しかし、そのちっぽけなはずの人間が、これだけ大きな天体に深刻な影響を与え得る、その最大のものが原子力発電でしょう。
「神をも畏れぬ」その所業は、それをしなければ人間が生きていけない、という類いのものではありません。
特定少数の人間たちの、貪欲さの所産なのです。
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【火星表面に『光る物体』】キュリオシティが繰り返し採取
アメリカABCニュース 10月18日
NASAはこの光る物体の正体を突き止めるべく、キュリオシティに対し、3度目となる土壌サンプルの回収を命じました。
事故現場から取り出した核燃料を持っていける場所など、どこにも無い!
もはや日本には、どのような解決手段も無くなってしまった…
『国外への運びだし』を、必死に模索する日本
[対談 : アーニー・ガンダーセン氏&ヘレン・カルディコット博士]
フェアウィンズ 9月20日
ガンダーセン : 高速増殖炉のもんじゅは事故を繰り返すばかりで、これまでにかかった費用は、巨額という表現すら愚かしい程の恐ろしい金額になっています。
日本は地震が多発する島国であり、あちこちに断層があるため、事故現場から高放射性核廃棄物を取り出したところで、どこにもおく場所が無いのです。
日本は現在、これをモンゴルなどの国外に運び出す事が出来ないか、検討しているのです。
カルディコット : それは本当ですか?!
ガンダーセン : モンゴルは賢明にも、そんなものは要らないと言っています。
もはや日本には、どのような解決手段も無くなってしまいました。
日本の当局は決して認めようとしませんが、地球上で最も地震が多発する岩盤上に存在する国、それが日本なのです。
この問題に答えを出せる人間など、この地上に存在しないのです。
カルディコット : 私の祖国であるオーストラリアに送ろうなどと、言い出す人間が決していませんように…
ガンダーセン : 日本人はとにかくこの高放射性核廃棄物を国外に持ち出したい、その一念だと私は確信しています。
なぜならこれまで私が話をした地震学者は、口を揃えてこう語っています。
地震が多発する日本の国土に、核廃棄物を「安全に」保管できる場所などどこにも無い。
この高放射性核廃棄物は最低でも数千年間、理想的には25万年もの間、「安全に」保管し続けなければならないのです。
カルディコット : まさに。
オーストラリアでは国土の真ん中を通って、核廃棄物を輸送するための線路を建設した会社があります。
ハリバートンという企業です。
ハリバートンのCEOが誰だかご存知ですね、アーニー?
ガンダーセン : ディック・チェイニー。
カルディコット : 太陽熱反応炉が現在スペインで建設されています。そして液体塩、融解塩による発電装置が建設されている場所もあります。
ですから、飽くまで原子力発電を推進しようとする人間たちが指摘する、再生可能エネルギーの欠点は『furphy』、ファーフィ、オーストラリアのスラングで言うところの『作り話』でしかありません。
そして最後にこうつけ加えさせていただきましょう。
原子力産業界が『安全だ』『安全は確保されている』という言葉を口にしたら、私は必ず、核廃棄物の問題について、人類はもうお手上げなのだという事を思い出すようにします。
そうそうこれも言わせてください、検査によってすい臓がんが発見されたら、そま人の余命は概ね半年です。
しかし私は腕の良い医者です、私に任せなさい、私が治療法を見つけてあげます。(笑)
カルディコット : 改めてお礼申し上げます、アーニー。
皆あなたに感謝しています。
カルディコット : 今日、『もし地球を愛するなら』にご出演いただいたのは、アメリカで30年間原子力工学に携わり、様々な場でアドバイザーとして活躍しておられるアーニー・ガンダーセン氏でした。
彼は最も人気のあるゲストです。
福島の現状について分析し、その将来を見通すのに、これ程適任の方は他にはいらっしゃいません。それはあなたが今日、お聴きになった通りです。
〈 完 〉
http://www.fairewinds.org/ja/content/ongoing-damage-and-danger-fukushima
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長い連載が終了しました。
最後までお読みいただいたみなさんに、翻訳の行き届か無い点が多々あったことにつき、お詫び申し上げます。
それにしても現在日本が、本当に容易ならない状況にあることが解りましたし、お分かりいただけたと思います。
アーニー・ガンダーセン氏とヘレン・カルディコット博士は、原子力発電に対する世界の良心を代表する存在として、福島第一原発の事故発生以来、あらゆる場で、あらゆる問題の存在について指摘を繰り返されてきました。
その指摘が、たとえば国内では京都大学の小出裕章氏のような方の指摘と重なるとき、私たちの胸に危機の本質が刻まれることになりました。
今回の連載でも度々指摘がありましたが、日本の政界、そして原子力産業界の『エイタブリッシュメント』の危機感の無さ、正しい認識の欠如は、それ自体が日本の危機だという事を痛感しました。
日本で原子力発電が開始されて40年以上が経っても、本当の意味での「最終処分」の手がかりさえつかめない高レベル放射性核廃棄物。
それを日本全土で作り続け、『世界有数の地震の巣』の上に大量に抱え込んでいる日本。
地震、大火災などが発生して対応を誤れば、たちまち破局を迎える環境で暮らしているのが、私たち日本人だという指摘は、『重い』などというありきたりの言葉では表現できない程深刻です。
「政権を奪還したら、再び全国の原子力発電所を再開するだけでなく、新規建設もどしどしやる。」
こんな考えを持っている政治家たちを、これ以上権力に近づけてしまったら、日本は太平洋戦争を上回るリスクを抱え込んでしまうことになるでしょう。
こんな考えを持つ政治家には一票たりとも票を入れさせない、その覚悟を固め、発信し、行動することの大切さを、今痛感しています。
第9回の掲載が、手違いにより時間がずれてしまったことをお詫び申し上げます。
なお、後日、10回分の要約版を作成し、後日を前篇・後篇ぐらいに分けて再掲載したいと考えています。
よろしくお願いします。
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【英国首相と蔵相が殴り合い! ただし『飼い猫』の…】
ピート・ジェリイ / アメリカNBCニュース 10月17日
英国政府の首相と国の金庫番を務める財務大臣は、ダウニング街の隣り合った官邸で暮らしています。
首相は長年に渡り、彼の政府の金庫番が公正な男であることを認めてきました。
しかしそれぞれの官邸 – ダウニング街10番地と11番地として知られています – から飛び出してきた2匹の飼いネコどうしはそうはいきませんでした。
2匹は路上で出会うやいなや、派手にパンチの交換を始めたのです。
しかし勝負はあっけなくつき、ラリー(デイビッド・キャメロン首相の飼いネコ)は、フレイア(ジョージ・オズボーン首相の飼いネコ)からおもいきりのどを引っ掻かれました。
目撃者によればこの後ラリーは戦いをあきらめ、すばやく安全な我が家 – 首相官邸へと撤退して行きました。
どうやらこうした戦いでは、フレイアの方が一枚上手のようです。
ラリーはロンドン市内にある犬と猫のための動物避難所から2年ほど前にダウニング街10番地に連れて来られましたが、しばしば痛い目にあわされているようなのです。
ラリーはダウニング街10番地に潜り込もうとしたネズミを、少なくとも一匹はつかまえたことがあり、その方の腕前については誰もが認める所です。
しかし、彼のダウニング街10番地での暮らしは、順風満帆とは言えないようです。
テレビリポーターのせいで、鼻血を流したこともあります。
英国の政権にとって実に得難いこのPR写真の撮影に成功するまで、数か月もの努力を必要とした、とザ・ガーディアンが報じました。
金や権力に媚び、あらゆる状況を検証もせず安易な安全論を口にする科学者、彼らは原子力発電の推進者よりも悪質
使用済み核燃料を最終的にどう処分するのか、原子力業界の幹部たちは、この問題に決して触れようとしない
原子力産業界が主張する廃棄物の再処理、再処理が成功した事など無い
[対談 : アーニー・ガンダーセン氏&ヘレン・カルディコット博士]
フェアウィンズ 9月20日
この手の、金や権力に媚び、あらゆる状況を検証もせず安易な安全論を口にする科学者は、原子力発電の推進者よりも悪質です。
あなたがおっしゃるように科学者がごまかしを言ってはなりませんし、まして医療の分野においてはごまかしなどは論外です。
医療の分野でごまかしを行えば、患者の様態を悪化させるか、死に至らしめるか、そのどちらかになってしまいます。
そのようなごまかしを行えば、私たちは医師免許を剥奪される事になります。
医療にごまかしは許されないのです。
自分自身が何を言っているのか、それすら理解できない人々にコメントする権利はありません。
それでもあえて口を出そうとするなら、彼らは犯罪者と呼ばれるべきです。
なぜならこうした科学者たちが口を出す事で、人々は真実がわからなくなり、その結果自分の身を守れなくなってしまうからです。
その行き着く先は…
身を守れなくなった人々はやがて病気を発症し、場合によっては死に至る事があります。
この良心の無い科学者の問題は、きわめて、きわめて深刻な問題なのです、アーニー。
ガンダーセン : 私が日本政府、そして日本社会の仕組みに対して平静ではいられない点も、まさにそのことです。
世界中の医師は、医師になるときヒポクリティック(hypocritic - 偽りを語る者、という意味)の誓いを立てているはずです。
カルディコット : あら、アーニー、ヒポクリティックでは無く、正しくはヒポクラテスですよ。似ていますけど、でも確かに…
ガンダーセン : そうそう、あなたのおっしゃる通りでした。ヒポクラテスの誓いを立てた医師の事ではなく、日本のごまかしばかりを言っている人間についての話になってしまいました。
カルディコット : 本当にそうですね(笑)。
ガンダーセン : そう、私が心配しているのは、医師たちが被災してしまった人々を助ける事より、国家の利益を優先してしまっている、という事なのです。
カルディコット : もう一つ、これまで議論してきた事と、また別の疑問があるのですが。
使用済み核燃料を格納している、プールの冷却に使った水についてです。
この水もまた、高い放射性を帯びているのでしょうか?
そして今どうなっているのでしょうか?
24時間循環し続けているのですか?
この水は最初に原子炉そのものを、冷却するために使用された水なのでしょうか?
この水こそが主要な冷却手段なのですか?
使用済み核燃料プールの中にある水と、原子炉を直接冷却している水の放射性濃度は同じなのでしょうか?
ガンダーセン : 原子炉4号機の汚染は、4号機の使用済み核燃料プールと比較すれば、低くなっています。
しかし原子炉そのものを冷却し、浄化装置を経由しながら循環している冷却水の汚染濃度は、どの使用済み核燃料プールの水よりも高く、普通では考えられないほどひどく汚染されています。
使用済み核燃料は損傷している事が考えられ、プール内が汚染されている事は明らかですが、しかし格納容器内の、原形をとどめていない核燃料に接している冷却水の汚染とは比較になりません。
核燃料プールと原子炉は、それぞれ別の冷却システムを使っています。
カルディコット : そうですか。
ガンダーセン : しかし、これらの水はまだきれいな方なのです。そもそもの始まり、他のどこでも無く、最初から原子炉内にあった水、その汚染は極めて深刻です。
カルディコット : そしてこれが本当に最後の質問になります、アーニー・ガンダーセン。
日本はこの使用済み核燃料を、どうするつもりなのでしょうか?
ガンダーセン : これこそが大きな難題なのです。
あなたにはお話ししましたが、私は来週、8月27日から9月7日まで、福島の問題を検証するために日本に行ってきますが、この問題が最も大きなテーマの一つになるでしょう。
使用済み核燃料を最終的にどう処分するのか、原子力業界の高い地位にいる人々は、この問題に決して触れようとしません。
一体どこに持っていくつもりなのでしょうか?
原子力産業界は、あたかも再処理が存在するかのような説明をしています。
http://www.fairewinds.org/ja/content/ongoing-damage-and-danger-fukushima
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いよいよこの連載も、残すところ明日の最終回のみとなりました。
訳し終えてみれば、A4版でちょうど30枚という長さでした。
しかし、いま原子力の問題について最も信頼できる少数の科学者である、カルディコット博士とガンダーセン氏が明らかにしてくださった、福島第一原発の現状については、一人の日本人として大きな失望感、いや敗北感を持たざるを得ません。
この連載をご覧いただいた上で、(すでに多くの方がお読みになっていらっしゃるとは思いますが)小出裕章氏の著作『原発のウソ』をお読みいただくと、無責任以外の何物でもない原子力発電の運営により、日本という国が、いかに危険な状況にあるのか、ひとつひとつを肌を刺すように、心に突き刺さるように、理解することができます。
これらを読んだ後で、日本が今後も原子力発電を続けてもよい、と思う人はいないと思います。
ではなぜ日本の財界、そして自民・民主は原子力発電の継続を声高に叫んでいるのでしょうか。
既得権、利権という事もあるでしょう。
しかしもっと見過ごせないことがあります。
それは彼らは国民のため何かしようとしているのではなく、国民を利用して自分たちの価値観を守ろうとしていることです。
少し近代日本を振り返ってみましょう。
江戸時代は、徳川家という家族の安泰を守るための体制が260年続きました。
続く明治期は太政官制による有司専制、つまり官僚が国家の方針を『専断』する時代が続きました。
井上馨のような私利私欲の権化もいましたが、大久保利通のような私欲の少ない官僚も多かったため、権力の横暴も目立ちましたが後年の発展の基礎を築くことができました。
しかし明治が終わると、肥大化した官僚と軍部により、日本はとんでもない方向に走り出し、昭和10年代、国民の命は信じられない程安いものになり、『南方』や中国大陸で日本人兵士は無意味な死を繰り返し強いられ、ソ連の参戦により満州地区にいた官民が大量に虐殺され、挙句2発の原爆投下によって日本帝国は無残な結末を迎えました。
この10年間を一言で表現するとすれば、到底実現不可能な『帝国建設』の妄想を抱いた軍部・官僚が、国民を徹底的に利用した時代だと言えるのではないでしょうか。
そして現在、太平洋戦争 = 第二次世界大戦が終わって70年近くが経つにも関わらず、また同じことが繰り返されようとしているように感じます。
福島第一原発の事故後の、福島の人々に対する『扱い』を見れば、そのことを感じ取ることができます。
被災者の方々の人権に対する政治の配慮を、あなたは感じますか?
被災者の方々の苦しみを和らげたいという願い、今の政治家に感じますか?
一日も早く被災者の方々の未来を再建したい、その熱意が日本の『二大政党』にはありますか?
このままの政治が続けば、福島の被災者の方々の姿は、明日の私たちの姿です。
『いつか来た道』に迷い込まないために、福島の人々の真実の姿を常に心に置いて行動する、それが『今の日本人』に課せられた使命だと思います。
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【 危険の過小評価、事故対策の手抜きを認めた東京電力 】
アメリカCNNニュース 10月12日
福島第一原発を運営する東京電力は、2002年に採用された『格納容器のベント作業及び原子炉間の複数電源確保対策』などを含めた『シビアアクシデント規制対策』を採用したものの、それ以降は何ら具体的対策をとっていなかったとしています。
さらに東京電力は具体的対策を講じれば、地元の『原発への懸念に火をつけ、ひいては反原発運動が一気に過熱してしまう事になる』ことへの恐れがあった、と付け加えました。
金曜日に公表された報告書には、東京電力が福島第一原発の安全を守るための対策を怠っていた、という決定的表現が盛り込まれていました。
これらの対策が取られなかったために、福島第一原発は莫大な量の放射性物質を環境中にまき散らし、発電所の周囲で暮らしていた何万人もの人々が自宅、そして故郷を捨てることを強いられました。
その結果、1986年にウクライナのチェルノブイリで発生して以来、最悪の原発事故が発生してしまったのです。
「シビアアクシデント対策の厳格な実施を求められれば、福島第一原発を一時休止させなければならなくなる、そのことに対する恐れの方が優先されてしまいました。」
報告書にはこう書かれていました。
「諸外国で採用されていたシビアアクシデント対策をもし実施していれば、多様な安全対策を施すことは可能でした。」
この1年間、東京電力は福島第一原発事故の根本原因の究明に積極的に取り組まず、世間の厳しい目にさらされてきました。
先に公表された政府の事故調査・検証委員会の最終報告書の中では、東京電力や原子力規制機関の災害対策は『不充分』であり、事故後の対応は『不適切』なものだったと指摘されていました。
http://edition.cnn.com/2012/10/12/world/asia/japan-tepco-report/index.html?hpt=ias_c2