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核兵器妄想に取りつかれたトランプ《2》悪夢を再び世界に押しつけるアメリカ大統領

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所要時間 約 9分

核兵器使用のトランプの基準はあまりにも曖昧で、その決断条件は誰も理解できない

核兵器を用いた戦争が始まる危険性を現実の世界に持ち込んでしまったトランプ

 

レベッカ・ゴードン /ル・モンド・ディプロマティーク 2017年10月31日

実際、「核シェルターに関するモラル」は当時、好んで取り上げられた倫理問題のひとつになりました。この問題の中身は次のようなものでした。

万が一に備えて核シェルターを準備しておいた人々が実際に核攻撃が行なわれ自分たちが助かった場合、準備する事無く攻撃で犠牲になった人々に対し責任はあるのか?

 

ライフ・マガジンは1962年発行の号に巻頭記事で、核攻撃に備え『持てる者』と『持たざる者』に格差が生じないように政府に対し、核シェルターの大量建設を求めました。

フィレンツェ・エルガン夫人によるこの記事の中で、彼女は「私は核シェルターに関するモラルに失望しています。」と述べ、次のように続けました。

「自分の家族を守りたいというのは人間として当然のことですが、私の中の倫理観は隣人をも守るための姿勢をもとめています。」

 

今日でも大学の政治学やビジネス倫理学を学んでいる学生が「核シェルターに関するモラル」の課題を与えられることがありますが、これはもう間違いなく古代史の一項目のようなものであり、やらされている学生たちは困惑気味です。

この課題では限られたスペースと乏しい食料しかない核シェルターの中に、ラテン系の娼婦とその幼い息子という親子、白人男性の生物学者、等々が留まり続けることを許すべきかどうかということを考えなければなりません。

スマートフォンの画面に描き出されるこれらの人物は1950年代に制作された、核戦争に備えるよう求める映画の3人の短いスカートを身に着けた女性たちに比べれば、明らかに多様化しています。

思春期、私は皮肉屋として知られたトム・レーラーの『次は誰?』の全文をほとんどそらんじていました。

『まずは核兵器を手に入れること。それでもう大丈夫、なぜなら私たちは平和を愛しているし、母性の大切さをちゃんと認識しているから…』。

そして核戦争に関わるフィクションも読みました。

『フェイルセーフ』、核戦争の結果地球上の生物が全滅に向かう様子を描いた『渚にて』など、どれもぞっとする内容でしたが、中でも最悪だったのは核戦争と人種差別の二重の恐怖を描いたロバート・ハインラインの『ファーンハム・フリーホールド』でした。

この物語では核爆発によって作者の分身とも言うべき自由主義者の主人公が、異次元世界にあるアメリカに送り込まれます。

そこで主人公が目にするのは、若い白人女性が『珍味』として扱われるほど、黒人と白人の人口割合が逆転している世界でした。

 

そしてこの作家は『異星の客』を発表、この本は直感と物事の深層を理解し『共感』し合う事を説き、後にヒッピーの経典とされ大切にされました。

ハインラインは1960年代の快適な白人社会のモラルを完全否定し、別種の完璧な調和をフィクション化した作家でした。

 

核兵器が持つ瞬時に大量殺戮を行う能力や潜在的脅威、つまり自分の人生の中で核戦争の危険性がどの程度現実味を帯びてくる可能性があるかということについて説明することは難しいことですが、1991年のソビエト連邦崩壊の後に生まれ育った人たちに理解してもらうのはなおさら難しいことです。

例えば夜中サイレンの音にたたき起こされて、すべての人が地球最後の日が訪れたことを知らされるような世界で生きていることを説明することは、とても困難なことです。

当時眠れなくなった私はトランジスタラジオを枕の下に置いて、普段は馬鹿にしていたポップスやロック・ミュージックを専門に流していた放送局にチャンネルを合わせ、当時のトップ40のヒット曲を聞きながら、そんな事態はやってこないと繰り返し自分に言い聞かせていました。

現代から見れば病的としか言いようがないこうした恐怖感は、当時は珍しいものではありませんでした。

核戦争に対する絶えざる恐怖は、この時代に子どもだったすべての世代の背景を形作りました。

私の友人たちの両親の多くはアメリカ合衆国政府の職員として働いていましたが、私と同じ恐怖に脅かされていました。

私たちは電話でおやすみを言い合いましたが、高校のボーイフレンドと私は時々、明日自分たちは生きていられることができるかどうかという疑問を口にすることがありました。

私たちの青春時代は常に死という問題と向かい合い、それは人間という種の絶滅によるものでした。

中には少しおかしくなってしまう人すらいました。

私たちは他に例のない戦時意識の中で暮らしており、そんな中で自分たちの将来について計画することは何の意味も無いように感じていたのです。

 

▽21世紀の私たちの現実

 

ベビーブーマー世代の恐怖は現実のものにはなりませんでした。

しかしドナルド・トランプはその恐怖を復活させただけではなく、2017年に北朝鮮との間で核兵器を用いた戦争が始まる危険性を現実の世界に持ち込みました。

世界の各所で行われている調査や分析の結果は、そうした危険が現実のものになる可能性は低いという事を示唆しています。

トランプは今年8月9日に北朝鮮に対し、もしアメリカを脅迫するようなことを再度行ったら「世界がかつて見たことの業火と怒り」によって国土を焼き払うといった類いの脅しを口にしなくなりました。

あるいは、アメリカ本国や同盟国を北朝鮮の攻撃から防衛しなければならない事態に立ち至った場合には躊躇無く北朝鮮の全土を破壊するという、周囲を唖然とさせた国連での約束も実行してはいません。

どちらの場合についても政治学者のスティーヴン・ブラムス氏が指摘していますが、トランプの言い方では核兵器の使用に踏み切る基準をあまりにも曖昧にしているため、どのような事態になれば一線を超えることになるのか理解できません。

 

2017年10月13日のニューヨークタイムズ紙によると、北朝鮮の政府当局者から次のような情報を入手したと伝えています。(https://www.nytimes.com/2017/10/13/...

「西太平洋におけるアメリカ軍の軍事的領域であるグアム周辺に、北朝鮮が弾道ミサイルを撃ち込む脅威が再燃している。」

現時点でトランプからは何の反応もなく、北朝鮮の脅威が何を意味するものであろうと核兵器を使った報復などは考えられないということだけは言えます。

人類にとって幸いなことに、トランプは当初の過激な発言については後に撤回するか、あるいは別の対応を選択するしか無い状況に置かれているようです。

 

《3》に続く

https://mondediplo.com/openpage/trump-s-nuclear-dreams

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トランプはアメリカ国内で共和党の議員に、北朝鮮は未だアメリカ国内に目標を設定できるだけのミサイル技術を持っていないという前提で、

「戦争になっても、今度は死ぬのはアメリカ人ではなく、朝鮮半島と日本列島の人間たちだ。」

という意味の発言を行ったと一部で伝えられました。

こんなアメリカ大統領はおそらく史上初めてであり、『アメリカ・ファースト』というキャッチフレーズの持つ意味が

「そこまでのものなのか…」

と、絶句せざるを得ません。

 

根底にそんな考えを隠し持つ大統領の国から、

「さあ、やるぞ!」

とばかりに、進んで高額な兵器を大量に買い入れる現政権の姿勢には強烈な違和感を感じます。

核兵器妄想に取りつかれたトランプ《1》

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所要時間 約 9分

幼稚な頭脳構造を持った無知で無分別な大統領が、世界に再び恐怖の時代をもたらす

終わったはずの悪夢を再び世界の人々に押しつけるアメリカ大統領

 

レベッカ・ゴードン /ル・モンド・ディプロマティーク 2017年10月31日

北朝鮮は今、世界が直面している最も緊急に解決を要する課題かもしれません。

私たちの、幼稚な頭脳構造の無知で無能な大統領は、私たち全員、特にアジアの人々を大災害に一層近づけようとしています。

北朝鮮は米国本土に核弾頭を打ち込むためのミサイルをおそらくはまだ開発していないでしょうが、韓国や日本など近距離の国家に対しては、目標を確実にとらえる能力を有しています。

 

しかし一般市民はこんな状況にどう対処したら良いのでしょうか?

核ミサイルの発射ボタンは私たち一般市民の手の届かない場所に置かれています。

私たち第二次世界大戦後すぐに生まれた世代が『最終ボタン』と呼ぶ装置を操作することになっているのは、ホワイトハウスと呼ばれる場所にいる一握りの人間たちです。

そして今その場所にいるのは、大統領執務室よりは介護施設にいるべき人間たちです。

 

それでもなお、議会で現在棚上げにされたままの軍縮に関する法案も含め、この世界を武器が支配する状況に変えさせないように、ブレーキを踏みこむ時間は残されているかもしれません。

 

一方、第二次世界大戦後に生まれた私たちの多くは現在はもう安全な世界に暮らしていると思っていたのに、過去のものになっていたはずの悪夢を再体験させられることになっています。

▽防御姿勢

 

私はアメリカが広島と長崎に原子爆弾を投下してから7年後に生まれました。

同世代のアメリカ人が皆そうであったように、私も核戦争の影が常にちらつく、もっとはっきり表現すれば核爆弾の恐怖が日常的に存在する世界で成長しました。

この当時、その恐怖は私たちにとって今では考えられない程身近なものだったのです。

 

小学校2年生だった当時、私は学校でみんながきちんと整列させられ、ある訓練を課されていたことを覚えています。

私たちは膝と肘がくっつく程姿勢を低くし、首の後ろを両手で覆い、廊下の頑丈なコンクリートの壁に体をもたせ掛けるよう指示され、みんなおとなしく言われた通りにしていました。

私は家に帰り、その碑にあったことを母に話したところ、母は嘔吐するためにトイレに走って行きました。

母の反応は、自分の娘が学校で勉強や運動ではなく、地球が消滅する日に備えた訓練をさせられていたことに驚き大きなショックを受けたためのものでした。

 

小学校の授業では、当時の米国政府が作った『一般市民』は核戦争にどう備えるべきかという映画を見せられました。

自宅の庭に作った簡易型の核シェルターには、緊急時の食料として少量で良いから缶詰食品を備えておくようにといった類いの内容です。

映画は若く美しい白人の母親らしい女性が、シェルター内の食器棚に缶詰をしまう様子を映し出しながら、ナレーターが缶詰は放射能汚染から食料を守ってくれると説明していました。

しかし少量の缶詰を食べ尽くした後、その後どうやって生きのびることかできるのかについては、説明はありませんでした。
別の映画は、最寄りの地下核シェルターの場所について常々確認しておくようにとか、爆弾が投下された際の防御姿勢について具体的に説明する内容のものでした。

1961年までに私たち家族はニューヨーク州の農村地帯からワシントンに引っ越していました。

私の母親は新しく誕生した平和部隊で仕事をしていました。

ワシントンは私にとって初めての街でしたが、街中至る所に黄色を黒で縁取った核シェルターの表示が掲げられていました。

私が通っていたアリス・ディール中学校は、校舎内で核爆弾に対する避難訓練を行うには生徒数が多すぎました。

代わりに私たちは指示された時間に、私たちはすべて『秘密の』地下核シェルターに見立てた体育館に集合させられました。

校長先生はソビエト連邦が核攻撃を仕掛けてきても、この体育館が生徒全員の命を救ってくれるだろうと真剣そのものの表情で話しました。

でした。

担任の教師が私に怒りの目を向けていましたが、私は校長先生の話に思わず爆笑してしまったことを覚えています。

あの校長先生の話は冗談だったのでしょうか?

 

私たちが暮らしていたのはアメリカの首都ワシントンであり、ソ連が核兵器による攻撃を行う可能性のある政治的目標としてトップにあります。

宗である以上、私たちはソ連が核攻撃を仕掛けてくれば、地上に居れば瞬時に焼き殺され、地下に居て直接の被害を免れても、その後の放射線被ばくによって死ぬしかないという事が解り過ぎるほど解っていました。

私たち家族の中では核シェルターがよく冗談の種にされていました。

家族の誰もが、核戦争が始まってしまったら誰も生き残ることはできないと解っていました。

 

だからこそ私は1960年代初め、母親の友人であるヤモリンスキーという苗字を持つ家庭を訪問した時衝撃を受けたことを覚えています。

ヴァージニア州郊外にあるその家で、私たち子供は外で遊ぶように家から出されました。

私と兄はその家の後ろの森の中に、大きなドーム状の構造物があることに気がつき、新しく友だちになったヤモリンスキー家の兄弟に、

「あれは何?」

と尋ねました。

「ああ、あれは私たち家族のための地下退避豪よ。」

と答えが帰ってきました。

私は唖然としました。

ヤモリンスキー家の人びとはワシントンからほんの数マイルのところに住んでいましたが、彼らは自分たち家族のための地下退避豪を持っていたのです。

彼らは狂っていました。

 

私が知らなかったのは、この家の課長であるアダム・ヤモリンスキーは当時のロバート・マクナマラ国務長官の特別補佐官であり、同長官に格別に気に入られ、アメリカ中の家庭に地下退避豪を作らせるという政策を立案し、国内を混乱に落として入れていた人物だったという事でした。

 

《2》に続く

https://mondediplo.com/openpage/trump-s-nuclear-dreams

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この稿が教えてくれる大切なことは、今生きている私たちがトランプが世界をどちらに向け動かそうとしているのか、厳しい目で監視しなければならないという事ではないでしょうか?

日本の現政権は例によって北朝鮮の脅威を現実以上に強調し、トランプに追随して軍備をもっともっと拡大しなければならないと繰り返し宣伝しています。

それはとりもなおさず、世界が破滅と隣り合わせにいた冷戦時代へと逆行する論理であり、互いの危険が拡大し続ける選択でもあります。

 

わが国ではいつの間にか『専守防衛』という言葉が死語になりつつあります。

日本では大正デモクラシー国家がいつの間にか軍国主義国家に変貌し、ドイツでは当時世界で一番民主主義的と言われていたワイマール共和国がヒトラー率いるナチスの独裁国家に変わってしまい、すさまじい数の国民と周辺国の人びとを殺す時代がやってきた。

その歴史と今と何が違うのか、見つめ続ける必要があります。

世界でただ一カ所、未だに核兵器を突きつけ合う場所

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所要時間 約 9分

日本対中国・北朝鮮 - 対立・緊張状態を続けることで、自民党一党支配を継続させてきた

トランプに対しあからさまな追蹤姿勢を見せ、自分たちの地位を守ろうとする安倍政権

 

堀田江理 / アメリカCNNニュース 2017年11月6日

※堀田江理氏はその著作『1941決意なき開戦―現代日本の起源』で2016年アジア・太平洋賞特別賞を受賞しました。

東京大学大学院政策学研究科客員教授。

ここに掲載された評論は堀田氏自身の見解です。

 

米国とロシアの関係が悪化している状況が新たな冷戦へとつながるものであるかどうか、そのすべての議論に対しトランプ大統領が13日に渡り現在行っているアジア5カ国歴訪によって、すでに何ごとかが明らかになっているはずです。

特定の場所において、本当の意味で冷戦は決して終わってはいないのです。

ある意味ではわたしたちがある時点で立ち往生したまま、現在に至っているという表現が適切かもしれません。

最終的にトランプは、11月初旬の東京における安部首相との会談のはるか以前からよく言われているところの、日米の貿易不均衡という手あかのついた議論をむしかえしました。

 

実際、日本側の立場から振り返ってみると、アメリカ大統領選挙運動中に日本をひどく困惑させたのはトランプが日本バッシングを復活させたことでした。

日本バッシングすなわち日本叩きは短い期間ではあったものの、日本が経済大国として世界最大とも言える繁栄を謳歌した1980年代アメリカ中で巻き起こったネガティヴ・キャンペーンでしたが、同時期トランプは取引をまとめ上げる達人という触れ込みでアクの強い大物実業家として頭角を現しつつありました。

選挙期間中、トランプは日米安保条約においてアメリカ側の負担が一方的に大きくなっていると日本を非難し、日米同盟の中身は『不公平な取引だ』と主張しました。

トランプは日本をアメリカの国益を脅かし続ける脅威だと位置づけ、ひと昔もふた昔も前の位置に押し戻そうとしました。

 

2016年の大統領選挙期間中の発言を聞いて、多くの日本人がトランプは時代を間違っているのではないかという疑念を抱かざるを得ませんでした。

日本経済の停滞はすでに数十年に及び、今さらアメリカが脅威と感じなければならない何があるというのでしょうか?

 

しかし今回トランプの歴訪によって誰の目にも明らかになったのは、すでにベルリンの壁が崩壊し、核軍縮も実現し、そしてソビエト連邦が崩壊したにもかかわらず、東アジア地区においては未だに冷戦が終わっていないという事実です。

そして登場人物だけは交代したものの、依然として核抑止力と拮抗する軍事力による均衡という冷戦の概念を、アメリカ大統領も東アジア各国の政治指導者も外交の原則の中心に置いているのです。

 

世界ではっきりとそれとわかる共産主義体制は、この地域にだけ残っています。

言うまでも無く中国と北朝鮮です。

それを考えると、東アジア地区に冷戦構造が残っていることは特に驚くべき事ではないのかもしれません。

東アジアでは西側社会が冷戦に『完全勝利していない』という事実は、今や中国が西側社会の経済構造に密接に組みこまれているため、見過ごされやすいという事なのかもしれません。

深刻な安全保障上の問題がこの地域の経済活動にまで暗い影を落とすような事態に対至って初めて、この地区の不安定さを改めて認識することになります。

金正恩(キム・ジョンウン)の発言や行動が、西側社会の私たち全員と東アジアの自由主義諸国にこの単純な事実を思いださせています。
実際、日本の貿易慣行についてのいくつかの不平不満があらためて取り上げられたことを除けば、現在トランプが抱えている最大の懸念は北朝鮮の脅威であり、その深刻さは他の問題に対する欲求不満を忘れてしまうほどのものです。

これは間違いなく、日本との同盟関係についてトランプの関心が高まり続けていることによるものです。

安部首相は日本の外務省も動員し、歴代アメリカ大統領同様にトランプも日本を東アジア地区の安全保障の要塞と位置付ける日米同盟の重要さを理解するよう、積極的に働きかけました。

 

一方、選挙後に初めてトランプと会談した初めての海外の政治指導者である安倍首相は、週末に埼玉県にあるゴルフ場でともにラウンドする際、大統領に対し忠実にそして喜んで付き従うというメッセージを込めたゴルフ・キャップを贈りました。

そこには『ドナルドと晋三、同盟関係をいっそうグレートにする』と大きな刺繍が施されていました。

これまで日本叩きの先頭に立ってきたようなトランプのような人物であっても、こんな這いつくばるような外交的姿勢を見せられれば、日本びいきに変わるのは当然のことかもしれません。

 

19世紀後半ペリー提督が艦隊を率いてやって来て日本を強制的に開放した後、日本は真珠湾を強襲して艦隊を撃破、その後日本が第二次世界大戦後に敗戦して連合軍の占領下に置かれた歴史を振り返ると、日米関係というものが決して平たんではなかったことが解ります。

しかし第二次世界大戦後は一転、日米関係は全体として相互補完的に機能してきました。

 

そして現在、トランプは東アジア地域における冷戦状態の中で日米両国を結びつけているものを理解し、1980年代以来続いてきた経済面における日本に対する古い疑念は消滅させたようにも見受けられます。

 

日本は、これまで同様の東西の冷戦状態が続くことの方が望ましいのです。

それによって日本は何十年もの間続いてきた自民党の一党支配も含め、戦後の体制がそのまま続くことを可能にしてきたのです。

唯一異なるのは、恐らくはご自身は望んではいない、戦前同様の天皇を中心とする帝国制度の復活を願う超保守主義政策を自ら推し進める安部首相の下での、タカ派的外交政策です。

 

最終的にはこれまで以上に緊密になる、あるいは『いっそうグレートな』日米の同盟関係が、東アジアに限って未だに冷戦が終わっていないという事実を証明するものになるでしょう。

トランプは日本に続いて韓国へとアジア諸国の訪問を続けますが、東アジアにおける冷戦のドラマは変わらなく続き、そして今のところはそれ程目立たなくはなっていますが、周囲にとって理解しがたいトランプの行動はこれからも続くことになるでしょう。

 

http://edition.cnn.com/2017/11/06/opinions/east-asia-stuck-cold-war-hotta/index.html

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周囲にとって理解しがたいトランプの行動とはすなわち、人類が1945年以降せっかく築き上げてきた平和秩序を、なぜ再び壊すのか?という事でしょう。

この問題は前回ご紹介した、エコノミスト誌の【 70年間世界戦争の無い時代を作った秩序が脅かされている 】の記事にもある通りです。

ヨーロッパの政治指導者たちも、同地でせっかく解消された冷戦を、アジアの地で継続させようとするトランプの姿勢に眉をひそめているにちがいありません。

それより問題なのは、自国の国民の命がかかっているのに、一緒になって『戦』の方向に進もうとしている日本の政権担当者たちです。

【 70年間世界戦争の無い時代を作った秩序が脅かされている 】《後編》

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所要時間 約 8分

国際紛争の解決を戦争という手段に頼らない、その新世界秩序の理念を具現化したのが日本国憲法

北朝鮮以上に人類にとって危険なアメリカ大統領トランプの平和秩序破壊

 

エコノミスト 2017年9月21日

しかしながらこの条約の基本を支える考え方は連合国側が日独伊枢軸国との戦いと、その後に続く平和組織、すなわち国連の構想、その両方に大きな影響を与えています。
戦争が終わったとき、ソビエト連邦に取り込まれた一部の例外を除き、勝利した連合国は枢軸国に征服されていた土地を本来の所有者に返還しました。

ニュルンベルク裁判は侵略戦争を行うことは犯罪行為であるという原則を確立し、少なくともヒトラーに付き従っていた取り巻きたちを戦争犯罪人としました。
国連の創設とハーグの国際司法裁判所の設立は完璧には程遠いものですが、非常にプラスの効果をもたらしました。
強国が弱小国に強要を行う砲艦外交は完全に19世紀の遺物と化し、時代錯誤となりました。
強国による侵略戦争も同様です。

 

もちろん、世界ではまだまだたくさんの戦争が発生しています。

しかし『新世界秩序』の誕生により再び世界大戦が起きるという可能性はほとんど考えられない状況になりました。

その代り今度は見落とされていた状況、「イントラナショナル」、すなわち国内において戦争が発生する機会が増えてしまいました。

国内情勢が不安定な国家は、かつてまずは強力な隣国に侵略されることを心配しなければなりませんでした。

しかし『新世界秩序』の下では、現状に不満を持つ指導者に率いられた反乱軍に国土を削り取られることよりも、内戦や残虐行為が頻発する暴動の犠牲者となることを心配しなければならなくなりました。

イスラム国家(誤った名称ですが)などの非国家グループは、機能不全に陥っている政府の国土を、少なくともある程度は掌握し、維持できるという事を証明して見せました。

憎むべき政権が支配する体制を打倒するとしてこれまで引き起こされた数々の戦争、目的自体には多少組むべき点があるにしても、戦争によって解決するという構想は誤りであり、しばしば悲惨な結末を導き出しました。

 

そして外交問題を現実的に解決しようとする人間たちは、一瞬で相手を壊滅させられる核兵器の存在によって、大国はもはやいちいち好戦的な国を相手に戦争などする必要が無くなったと指摘しています。

しかしこの本の著者たちは、過去70年のリベラル的秩序がいずれの選択肢よりも優れたものであり、これからも守り続けることにはきわめて高い価値があると力説しています。

著者たちはリベラル的秩序を現実のものにするため戦った人々にふさわしい敬意を表しています。

そのひとりがシカゴの弁護士サーモン・レビンソン(Salmon Levinson)であり、そのアイデアはケロッグ・ブリアン協定に直接つながりました。

 

アメリカの外交官、サムナー・ウェルズ(Sumner Welles)は将来戦争を引き起こそうとする国家に対し、武力制裁を課す能力を持つ国際組織を構想し、提案しました。

ポーランド系英国人の法学者ハーシュ・ラウターパチェト(Hersch Lauterpacht)は国際的に普遍性の高い価値観と人間の品性に基づく国際法の体制を整備するのに貢献しました。

カナダの学者であるジェームズ・ショットウェル(James Shotwell)はアストリッド・ブリアンとともに働き、ジュネーヴ協定を成立させた後、国際連盟の成立に貢献しました。
この本の著者であるハサウェイ氏とシャピロ氏は、戦争による国際紛争の解決は違法であるとした第2次世界大戦後のコンセンサスが今や危機に瀕していると警鐘を鳴らしていますが、その見解はまさに的を得たものです。

 

こうした脅威の中には、戦闘的なジハーディズムがあります。

自分たちの利害が反映されていないことに腹を立てているロシアと野心的な中国は、これまでの国際的なシステムに対抗する方向に向かうことになりそうです。

イランは戦闘的なジハーディストを始めとするテロ組織を支援している疑いが否定できません。

そして核兵器開発計画をやめさせようとする様々な外交的努力を、まるであざ笑うような姿勢を見せて受けれようとはしない北朝鮮。

 

しかしそれらにも増して人類にとって最大の脅威となり得るのは、現在のアメリカ大統領の在任期間でしょう。
国際的な秩序を軽蔑し、自由貿易を嫌って保護貿易をあからさまに主張し、さらには世界の法的秩序を維持していく上でアメリカが本来果たさなければならない役割を途切れることなく放棄し続けている、アメリカ大統領トランプです。

この注目すべき著作の中に重要人物として登場した「国際主義者」たちは、トランプ政治の有様を見て墓の中で切歯扼腕しているに違いありません。

 

《完》

https://www.economist.com/news/books-and-arts/21729415-it-was-underpinned-movement-make-waging-aggressive-war-illegal-and?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227

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この稿を読むと、自滅志向の狂人政権が支配する国が近隣に存在することを理由に、その地域全体の安定のための秩序を、いきなり外交的管理から軍事支配体系に転換してしまう事の無謀さと危険性を思います。

現在のトランプ・安部ラインの発想は、何かあれば米日連合軍が本気で叩きに行くぞ、という発想が基本になっているように見えます。

大統領選挙期間中は『世界の警察官などもうやめる』と発言していたはずのトランプが、ここに来て『同盟各国へ武器を売りつけることは、どうやら巨額のビジネスになりそうだ』ということに気づき、同盟継続をネタに仲間内に『暴力支配』をすすめて回っているようです。

 

『銃社会』のアメリカ社会では無殺別殺人という理不尽な悲劇が激増していますが、東アジアの安全保障をイコール武器による武力支配に変えてしまった場合、同様の悲劇がもっと大きな規模で起きることになるような気がします。

中国の軍事的台頭に対しては、その軍体制の内部的な検証と分析が不十分なまま、こちらも同等の軍事能力を整備しようという発想では、巨額の予算を軍事に振り向けなければならない上、人的損耗も覚悟しなければなりません。

 

日本の10代~20代の若年層に、国際紛争の解決に武力の行使もあり得るという考えが拡大しているという調査結果があるですが、自分が前線に立たされ殺されるようになった時、愛国の士を迎えに天使が現れ真っ白な光に包まれて昇天していくというようなイメージでもあるのでしょうか?

実際には顔を半分吹き飛ばされたり、腹部に受けた傷口から内臓が外にはみ出したりして苦しみながら死んでいくのが戦場です。

そんな死を無数に作り続けるのが『武力による解決』だという認識が希薄な時代は、きわめて危険だと思います。

【 70年間世界戦争の無い時代を作った秩序が脅かされている 】《前編》

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所要時間 約 7分

積極的に戦争を仕掛ける行為を違法とする規律によって支えられている21世紀の世界、その論理はきわめて正当

軍国主義を神聖化してしまったナチスドイツと大日本帝国が、世界を巻き込んで第二次世界大戦を引き起こした

 

エコノミスト 2017年9月21日

『ジ・インターナショナリスツ』

戦争を禁ずる急進的計画は、どのようにして世界を作り直すか?

オーナ・ハザウェイ、スコット・シャピロ共著 サイモン&シュスター社

 

第二次世界大戦の廃墟の中から生まれた、基本的に戦争はすべきでないというルールに基盤を置く国際秩序は、それまでのいかなる時代と比較しても、人類社会に大きな改善をもたらしました。

それは前例のない規模で貿易を刺激し、弱小国家であっても、略奪的な干渉を受けることを恐れることなく、潜在的能力を発揮できる世界を実現させました。

その一連の秩序の中心にあったのが、積極的に戦争の加害者となった国家に恩恵を与えてはならないという原則でした。

 

特に侵略によって領土を手に入れた場合は、国際社会はその行為を合法であると認めることはく、代わりに侵略者は制裁を受けるべきであるとされ、概ね経済制裁が科されることになります。

例外的に国連の承認のもとに多国籍軍が編成され、その軍事介入により侵略者が不法に略取した領土を放棄することを余儀なくされた例もありました。

 

しかし今、自国の立場同様手の国の立場も尊重するというリベラルな立場の国際主義が多方面からの攻撃の矢面にさらされています。

ドナルド・トランプの『アメリカ・ファースト』主義は国際主義を明確に否定しています。

訳知り顔の首脳たちと称されるEU指導者の内少なくとも2人は、トランプ大統領の移民排斥主義者としての過度な発言について少しは抑えたものにして欲しいと思いつつも、基本的な姿勢は似たようなもののようです。

 

5月に掲載されたウォール・ストリート・ジャーナルの記事には、トランプ政権で安全保障問題の顧問を務めるH.R. マックマスターとケイリー・コーンがそれぞれ、次のように記しました。

「世界はグローバルなコミュニティではなく、国家、NGO、企業が自分たちが少しでも有利な立場を得ようと、相手を出し抜くためにしのぎを削り合っている場所である。私たちは自分たちのフォーラムに他とは比較にならない程強力な軍事的、政治的、経済的、文化的、道徳的な強さをもたらすつもりである。我々は国際情勢の本当の状況を否定することなく、私たちはそれを進んで受け入れる立場をとる。」。

 

ともに文化的に優れた、あるいは道徳的に優れているという表現が当てはまらない2人、政治的介入と軍事的介入によって自分たち影響力を発揮できるエリアを拡大し、国際社会における自由主義的秩序を弱らせようとしているウラジミール・プーチンも習近平も、トランプの取り巻きが発したこの声明の中に、反対すべき何ものも発見しない事でしょう。

プーチン大統領は2014年にクリミアをロシアに併合しましたが、これは第二次世界大戦戦後初めてヨーロッパの国境が力づくで変更された事例になりました。

この際ロシアはウクライナ東部の分離独立を目指す武装勢力の支援支援を得て、隠密侵攻を行いました。習近平は国際法に反して人工島を作り、南シナ海にある世界の商業用航路の半分以上を中国の領海に繰り入れようとしています。

 

イエール大学の法学部教授であるオーナ・ハザウェイとスコット・シャピロによる 『インターナショナリスツ”(Internationalists)』は、自由主義的国際秩序が世界史の中でどのようにして形成されたのか、そして今だからこそそれが守らなければならない、その理由について堅牢な歴史観の下、情熱的に語られています。

1928年の彼らはこの体制を新世界秩序と呼び、17世紀オランダの学者であるヒューゴ・グロティウスが提唱した『旧世界秩序』と明確に区別し、1928年のパリ不戦条約にその基礎を置くと記述しています。

パリ不戦条約は第一次世界大戦後に締結された多国間条約であり、条約締結国同士の国際紛争を解決する手段としての戦争を放棄し、平和的手段により解決することを規定した条約です。

最初フランスとアメリカの協議から始まり多国間協議に拡大したことにちなみ、米国国務長官フランク・ケロッグ(冒頭の写真右端の人物)とフランス外相アリスティード・ブリアン(同前列左端の人物)両名の名をとってケロッグ・ブリアン協定とも呼ばれるこの条約には、当時の大国を含む50以上の国々が署名しました。

 

 

この条約は1914-18年の第一次世界「大戦」がもたらした直接的な成果でした。

第一次世界大戦は実際に旧世界秩序を崩壊させた戦いであり、1,100万人の戦闘員が犠牲となった世界史上初めての世界規模の戦争でした。

条約の目的が目的とするところは侵略戦争と領土征服を禁止することでした。

 

しかし条約の実際の施行に問題がありました。

1931年の日本による満州占領はまさに旧世界秩序の下で行われていた侵略行為と同じものであり、新しい条約の下では決して正当化されませんでしたが、日本が侵略した土地を放棄させるまでの力はありませんでした。

 

そしてその後の10年間、条約の締結国も国際連盟も軍国主義の台頭を抑えようともしませんでしたし、抑えることもできませんでした。

そして軍国主義を神聖化してしまった日本やドイツが第二次世界大戦を引き起こすことを阻止することはできなかったのです。

 

《後編に続く》

https://www.economist.com/news/books-and-arts/21729415-it-was-underpinned-movement-make-waging-aggressive-war-illegal-and?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227

 

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