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再生可能エネルギーは、経済苦境に喘ぐEUの中で唯一といって良い成長分野・ 2012年、原発39基分の発電量を実現

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【ヨーロッパの風力発電事業の最新事情】
風力発電はEU全体のエネルギー安全保障と環境保護に大きく貢献、緑の産業界の雇用を創出、技術輸出も実現
次々と再生可能エネルギー発展のための、法整備を進めるEU

ポール・ホッケノス / アメリカAOLエナジー 10月23日


欧州連合(EU)の官僚機構の評判は、その官僚主義的なやり方により形無しです。
しかし事、風力発電事業となると、特に洋上発電については、この10年間順調に成果を上げ、域内で行われている事業の中でほぼ唯一予想を上回る成長を続けており、急成長の観すらあります。
欧州では経済危機が進行中ですが、その中のわずかな例外として、風力発電事業が発展を続けています。発展の背景にはEUでは二酸化炭素排出規制などの、国家的規模での環境規制が行われていることも挙げられるでしょう。

EUの風力発電事業の躍進を表すものとして、まず挙げられるのが発電量の増大です。
今年、EUの風力発電事業は、100ギガワット発電を実現するという、ひとつの節目を迎えました。
この発電規模は39の原子力発電所の発電量、あるいは7,200万トンの石炭による火力発電量に等しいものです。

ブリュッセルに本部を置くヨーロッパ風力発電協会(EWEA)によれば、これによりEU全域の電力総需要の7%を供給できるようになりました。


「最初の10ギガワットをEUの送電網に送り込むまでに、20年の歳月を要しました。」
ヨーロッパ風力発電協会(EWEA)のCEOクリスチャン・ケーアがこう語りました。
「しかし、さらに90ギガワットを追加するのには、13年しかかかりませんでした。そしてEUの風力発電能力の半分は、この6年間で達成されたのです。」
同協会の試算によれば、欧州域内の5,700万世帯が一年間に消費する電力を、風力発電だけで賄っていることになります。

欧州の風力発電事業のけん引役はドイツ、スペイン、そしてイギリスです。
ドイツの風力発電は陸上に設置された風力タービンが主体で、その総発電量は30ギガワット、これを上回る規模で風力発電を世界で行っているのは、アメリカと中国だけです。
この発電量はドイツの総需要電力の11%を賄います。
これに対し、デンマークでは総需要の17%が、スペインでは26%が風力発電によりまかなわれています。
デンマークとイギリスは、洋上発電の潜在能力の効率的活用に成功した数か国間中の代表的存在です。
「風力発電は欧州内にたくさんある再生可能エネルギー資源の、一部を活用したに過ぎませんが、それだけでEU全体のエネルギー安全保障と環境保護に大きな貢献をしているのです。それに加えて、緑の産業界の雇用を創出し、技術輸出も実現しました。」
ケーア氏はこのように語りました。

▽ 達成までの道のり、困難が伴うのは当たり前


欧州の風力発電事業が成功するまでの道のりは、決して容易なものではありませんでした。

10年前までは石油石炭による火力発電、そして原子力発電に特化した大企業が欧州市場を独占していました。
そして風力発電や太陽光発電のような再生可能エネルギー事業の新規参入に対しては、執拗に妨害を繰り返していました。
多くの欧州市場では、ドイツのような国でも、国策会社やひとにぎりの大企業が市場を独占していたのです。
こうした状況が変わり始めたのは1998年のことで、旧弊な大企業独占市場が自由市場へと少しずつ形を変えて行きました。
こうしてEUは京都議定書を始めとする、地球的規模の環境保護を経済社会の中で実現する動きをリードすることになり、温室効果ガスの排出問題などについても、世界の世論の主流を創り出しているのです。

その中で重要な役割を演じたのが2001年と2009年のEUの議決でした。
2001年の議決は、環境への負荷が少なく、エネルギー安全保障にも貢献できる再生可能エネルギー発電設備建設に対し、資金援助を行うための仕組みを作りました。
さらに8年後の2009年には、2020年の排出規制の実現を法的に規定したのです。

加盟国再生可能エネルギー行動計画は、加盟各国の達成状況について、2年ごとの検証を行う事を定めました。


2020年の目標は、EU加盟各国が以下の条件をクリアすることを求めています。
▼ 再生可能エネルギーの発電割合を20%にまで高める
▼ 電力使用量の20%削減
▼ 二酸化炭素排出の20%の縮小
加盟国再生可能エネルギー行動計画は、欧州全体では2020年には再生可能エネルギーによる発電割合は34%に達し、うち風力発電は14%を担うことになっています。
再生可能エネルギーに対する様々な支援、そしてEU市場を統合したことも、こうした取り組みを可能にするため、重要な役割を演じたものと考えられます。

「今や再生可能エネルギーに関する野心的な目標が、EUの政治機構の中心に据えられています。」
ヨーロッパ風力発電協会(EWEA)が昨年公表した報告書は、このように結論づけました。
「EUが加盟国、そして域内全体で野心的な目標をいち早く採用したおかげで、欧州の企業は風力発電技術において世界をリードし、また世界市場において最大のシェアを獲得することになるでしょう。」

▽ 加盟各国のさまざまな取り組み


この方針決定について、加盟各国のそれぞれの受け止め方は、もちろん異なっていました。
たとえばドイツでは、EUの方針は風力発電や太陽光発電以上に、開発について国の政策に大きく依存していたバイオ燃料の分野にも、大きな影響を与えました。

「EUが採用した行動指針は、バイオ燃料に相当な影響を及ぼしました」
と、ドイツ最大の研究機関であるマックス・プランク研究所のフェルディ・シュース博士が説明しました。
「しかしドイツにおける主流は、2000年に施行された国内の再生可能エネルギー法により、やはり風力発電と太陽光発電になるでしょう。」

それでも尚、EUの首脳陣と風力発電に重きを置く加盟各国は、2030年の達成を目指す野心的な目標の達成について、心配しています。
ドイツ、デンマーク、スウェーデンなどの国々は、すでに国内電力需要の20%以上を再生可能エネルギーによって賄っています。
「2020年以降の成長を確実なものにするため、さらに法整備を進める必要があります。」

2012年の初頭、EUがこう表明しました。
「再生可能エネルギーの発展を、しっかりと支えていく必要があります。」


欧州のこうした意気込みは、初期投資を必要とする野心的な目標を達成しようという、一時的なムードに終わることは無いでしょう。
なぜなら欧州の再生可能エネルギー事業は、今やしっかりと基礎固めをし、前進を続けているからです。

http://energy.aol.com/2012/10/23/the-business-of-wind-energy-in-europe
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あれだけの事故を引き起こしておきながら、尚も原子力発電にしがみつく勢力が大手を振ってまかり通っている日本を、世界はどう評価しているのか、そして私たちはこの現実にどう向かい合うべきなのか?

日本と違い、地震などまず起きるはずの無いドイツはなぜ、あのように決然と原子力発電所の廃止を決めたのでしょうか?
それはこれまでドイツ国民が、福島第一原発の事故が発生するはるか以前から、反原発、脱原発運動に取り組んできたからだという事が、各国の報道を見て理解できました。
そしてこうした運動を支えたのが、事実を包み隠さず国民の前に明らかにする報道や政府機関の広報でした。

これとは対照的に、私は日本の権力機構(政府機関、政治家、マスコミ権力など)は国民が自ら考え、自ら決断を下すことを、極度に恐れているのではないか、と考えています。
そのことが先月、自民党の幹事長が「原子力発電を止める、止めないなどと言うことは、国民に決めさせていい問題では無い」と発言したことに、端的に表現されていると思います。
そんな大切なことは、オレたちの『専決事項』だという事でしょうか?

自分たちの国の方針を自ら「決めさせてもらえない」ような国民は、民主主義国家の国民ではありません。
利用され、使われるだけなら、民主主義国家の国民では無いと思います。

面倒でも考える、億劫でも機論する、今日本の人々に求められているのは、そういう事ではないでしょうか?

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【 勝利の瞬間、世界のウェブサイトはどう伝えたか?】

アメリカNBCニュース 11月7日


アメリカNBCニュース『勝利を得たオバマ大統領「最高の時代はこれからやってくる!」』

バラク・オバマ米大統領の再選は、7日、多くのニュース・ウェブサイトのホームページのトップを飾りました。
各社から派遣された多数の記者たちが、シカゴで行われたオバマ大統領の就任演説を伝えましたが、その報道の仕方は実にさまざまでした。
ロシア・タイムズとCNNは同じ写真を選びましたが、それ以外のサイトはすべて異なる写真をメインに据えています。
あなたのお気に入りは、どのホームページでしょう?


ニューヨークタイムズ『オバマ大統領のための夜・選挙戦の優勢を保つ、得票数は拮抗』


米国FOXニュース『さらに4年間。勝ったのはオバマ大統領』


アメリカABCニュース『アメリカ合衆国大統領。オバマ氏が勝利』


アメリカCNNニュース『まだまだ、やらなければならないことがある。新たな任期、変わらぬ課題』


アメリカCBSニュース『さらなる4年間』


ワシントンポスト『第2期』


アルジャジーラ『勝利者オバマ大統領、胸を張って未来を志向』


ザ・ガーディアン(英国)『最高の時代はこれからやってくる!』


ハフィントン・ポスト『ビバ、オバマ!』

【 欧州大手、原発建設事業から次々と撤退 】

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[イギリス国内4か所の原発建設、ドイツ大手が事業を売却]

ドイチェ・べレ(ドイツ国際放送) 10月30日


ドイツの大手電力企業のE.onとライバル企業であるRWEは共に、イギリスでのホライゾン原子力発電所建設事業を、日本の日立グループに売却しました。
あまりにも高額になりすぎた建設費用に懸念を深めたドイツの企業は、イギリス国内に原子力発電所を建設するという冒険的事業からの撤退を決意したのです。

ホライゾン原子力発電所は8億6,000万ユーロ(860億円)で、日本のエレクトロニクス企業である日立グループに売却され、11月末までに契約手続きが完了すると、E.onとRWEが10月30日火曜日に明らかにしました。

ドイツの2大電力会社であるE.onとRWEは、イギリス国内に4基から6基の原子炉を建設する目的で、2009年に5対5の割合で、企業連合を立ち上げました。
原発建設が予定されているのはウィルファ、アングレシー、オールドベリー、そしてグルーセスターシャーです。

RWEの代表取締役であるペーター・テリウム氏は、建設費用が180億ユーロ(1兆8,000億円)と見積もられ、これ程建設費用が膨らんでしまったのでは、利益を確保できる見通しが立たない、と語りました。
「これ以上原発建設に関する金融リスクを取ることはできない事、そして原発事業の今後の見通しが悪化している事。この2点から、我々は原子力発電事業への投資をストップします。」
テリウム氏はこう付け加えました。

▽ 冒険的事業への参加者と、契約を交わした日立グループ

英国のバブコック・インターナショナル、同ロールスロイス、そしてカナダのSNCラヴァリン社の3社が、日本の巨大エレクトロニクス企業である日立が行う事業への参加を希望したため、合意書を取り交わしたと、30日火曜日日立が声明を発表しました。
日立は同時に、最初の原子力発電所が2020年代半ばに稼働を開始する見込みであると発表しました。

日立はさらに、電力事業を開始すれば10%にわずかに欠ける利益を得る見通しであり、新たな雇用創出の実現を約束しました。
技術者の養成のための投資には特に力を注ぎ、英国内の建設チーム、原子力発電の運営スタッフも養成すると語りました。

伝えられるところでは、ドイツ国内でそれぞれ原子力発電所を運営する電力事業大手であるE.onとRWE2社は、今回の取引からおよそ1億ユーロ(100億円)の利益を上げました。

2社は現在、共に負債を減らし、今後は再生可能エネルギー事業者への転換を進めるため、本業に影響を与えない範囲において、子会社の整理・売却を進めています。

http://www.dw.de/german-power-giants-sell-off-uk-nuclear-joint-venture/a-16342994

[フィンランドの原発建設、ドイツ最大手が株式の売却を発表]

ドイチェ・べレ(ドイツ国際放送) 10月24日


ドイツのE.on電力事業グループは、フィンランドの原子力発電所新規建設事業について、企業連合の株式の持ち合い分も含め、その権利一切を売却すると発表しました。
この動きは同社の原子力発電関連事業の見直しに沿ったものです。

E.onと、その子会社E.onノルディック社は、両社が所有しているフェノボイマ – 2009年に設立された、フィンランドに新たな原子炉一基を建設するための企業連合体– の株式の34%に相当する持ち分すべてを売却すると、10月24日水曜日発表しました。

E.onの北欧における事業責任者のジョナス・アブラハムソンは、今回の決定はフィンランド国内の投資を回収し、その分をスウェーデンとデンマークに集中させる方針転換のひとつとして決定されたものだと語りました。
「我々はフィンランド国内の事業に見切りをつけ、すべての資産の売却を開始しました。」
アブラムソンはこう語り、売却資産の中には天然ガス開発会社のガスムの株式20%も含まれると、付け加えました。

フェノボイマ企業連合のこれからの持ち株割合については、すでに話し合いが進行中であったため、原発建設に必要な60億ユーロ(約6,000億円)に上る建設資金は確保されると、E.onと並び株主であるフィンランドの鉄鋼会社のオウトクンプが声明を発しました。

フィンランド公共放送のYLEの取材に対し、オウトクンプの代表取締役であるミカ・セイトヴァータ氏は、同社は今後も原発建設に関与し続けると、返答しました。

E.onは今年3月には、ドイツのライバル企業であるRWEとともに、イギリス国内での原発建設事業からの撤退を決めています。
撤退の主な理由として、同社は原発の建設費の予想を超えた高騰をあげています。

ドイツ最大の電力会社であるE.onはドイツ国内で複数の、そしてスウェーデンで1基の原子力発電所を運営しています。

しかしながら2011年3月に福島第一原発で原子力発電所事故が発生すると、ドイツ政府は直ちに国内の老朽化した原子炉の停止を命じたために、E.onの収益は低下していました。

さらに、ドイツ国内の原子力発電所を段階的に廃止し、2022年までに原子力発電をゼロにするドイツ政府の方針決定により、E.onは発電手段を再生可能エネルギーへと切り替えるため、事業計画を大幅に見直すことになりました。

http://www.dw.de/eon-dumps-nuclear-project-in-finland/a-16328836

[ドイツの電力事業、原子力発電の段階的廃止問題を克服]

ドイチェ・べレ(ドイツ国際放送) 8月13日


ドイツの電気事業会社のE.ONは、原子力発電の段階的廃止という国家の政策と、原油価格の高騰により、2011年は赤字に転落しました。
しかし今年に入り、上半期、莫大な利益を計上しました

2011年の末まで巨額の赤字を計上し続けた後、ドイツ最大手の電力事業者であるE.ONは、2012年上期、その収支を大幅に改善しました。
ドイツ最大手の電力事業会社は2012年の上期実績について、純利益が31億ユーロ(3,100億円)と前年同期と比較し、大幅な増益を実現しました。
全同期比で23%の増益、収入総額は654億ユーロに達しました。
「この実績を可能にしたものは、電力事業の新たな分野に挑んだ結果、得られたものです。」
代表取締役のヨハネス・ティッセン氏が声明の中でこう述べました。

今年度の著しい収益回復に大きく貢献したのは、ロシアのガスプロムとの長期に渡る低価格での天然ガス供給の契約でした。
「粘り強い交渉により、12億ユーロの利益がもたらされることになりました。」
2011年の原油価格の高騰により、多くの顧客が失われた経験を生かし、同社はロシアから有利な価格的条件を引き出すことに成功したと、ティッセン氏がつけ加えました。

さらに同氏は、ドイツ政府が原子力発電を段階的に廃止していく措置についても、その損失の影響は一年限りのものに留めることができたと語りました。
E.ON社はドイツ政府の決定により、利益を上げ続けていたにもかかわらず、イーザル1号とウンターヴェッサー、2か所の原子力発電所を廃炉にせざるを得ませんでした。

http://www.dw.de/german-power-supplier-overcomes-nuclear-phase-out-dent/a-16162446
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【 勝敗の行方を見守る人々】

アメリカNBCニュース 11月6日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)


ニューヨーク市ロックフェラーセンター


ニューヨーク市タイムズスクエア


ジョージア州アトランタのオバマ大統領支持者


マサチューセッツ州ボストンのロムニー候補支持者


イリノイ州シカゴのオバマ大統領支持者


ドイツ、ベルリンのアメリカ大使館内


イギリス、ロンドンのアメリカ大使館内


そしてこの人。背中を見せているのはもちろんミッシェル夫人。


この人も。


そして、勝利。イリノイ州シカゴ。


そして敗北。マサチューセッツ州ボストンのロムニー候補選挙対策本部前

福島第一原発、信じられない程、莫大な量の放射能汚染水

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【 限界が近づいている!福島第一原発施設内、高濃度汚染水の保管問題 】

アルジャジーラ 10月25日


もはや機能していない福島第一原発で、破壊された原子炉の冷却に用いられた、高濃度の放射性物質に汚染された莫大な量の水の保管に、東京電力が苦慮していることを、同社の汚染水対策班の責任者が明らかにしました。

福島第一原発の敷地周辺には、オリンピックプール50杯分の水を貯蔵できる、巨大な貯水タンクが数百基建設され、原子炉を冷却するために使われた約200,000トンの汚染水が保管されています。

東京電力はすでに周囲の木を片っ端から切り倒し、タンクを設置するための敷地の確保を行っていますが、汚染水の量は今後3年で現在の3倍の600,000万トンを突破するものと見ています。
「汚染水の保管容量は限界に近づいており、時間との戦いになってきました。残された保管容量はごくわずかしかありません。」
東京電力の汚染水対策班の責任者である岡村雄一氏が今週、AP通信の取材に対し、このように答えました。

事故をこれ以上深刻なものにしないためには、メルトダウンした原子炉に大量の水を絶え間なくかけ続ける以外、方法がありません。
岡村氏は、原子炉建屋の最上階、地上50メートルの高さにある使用済み核燃料プールに注水するため、死に物狂いで方法を探った日々の事を覚えています。

使用済み核燃料プールに水が無くなってしまえば、核燃料はオーバーヒートしてメルトダウンを起こし、はるか遠くまで死の灰を拡散し、何百万という人々に被害を与えることになります。


核燃料を冷却し続け、それぞれの原子炉を安定した状態にしておくための措置は、別の大きな問題を引き起こしました。

破壊された原子炉から漏れ出し、建屋の地下、そして周辺の施設に溜まり続ける高濃度の汚染水をどう処理するか、という問題です。
「その時点で、高濃度汚染水がタービン建屋にまで漏れ出すという事は、想定していませんでした。」
岡村氏がこう語りました。

岡村氏たちは冷却水として使用した汚染水から放射性物質を取り除き、再び冷却水として使用できるようにするシステムを作り上げることを課題として与えられました。このシステムはこれ以上の施設内の汚染を防ぎ、作業員たち、そして環境へのダメージを食い止める目的がありました。

まず最初に東京電力は汚染水を原子炉近くの貯蔵タンクに保管する作業を行いました。


▽ 汚染水

その一方、55名からなる岡村氏のチームは、汚染水から放射性物質を除去するシステムを制作しましたが、岡村氏によれば通常なら完成まで2年かかる作業を、事故発生後3カ月で着工から稼働までを行いました。

この装置のおかげで、東京電力は冷却水の再利用が可能になりました。

しかしいくら再利用が可能になったとはいえ、原子炉の亀裂から原子炉建屋内とタービン建屋に冷却水が漏れ出し、このため汚染水の増加はとどまることなく続いています。
岡村氏のチームは、11月には東芝グループの技術を使った、新しい汚染水の浄化システムを稼働させることにしています。
「ALPSシステムによって浄化された汚染水を、さらに浄化することにより、すべての汚染物質が規制値以下のレベルにまで浄化されることになる予定です。」

しかし、こうしている間にも、原子炉の施設から地上に汚染水が漏れ出すことを防ぐ手立ては無いために、汚染水を保管するタンクは次々に一杯になっていきます。


原子力技術者で大学講師の後藤政志氏は、増え続ける汚染水の問題は、人間の健康、そして環境に対する長期に渡る脅威となり得る、と語りました。
後藤氏は、この汚染水が福島第一原発の施設の排水溝などから地下水脈に入り込み、さらには海中や公共の水道水などにも入り込んでしまう事を懸念しています。

「約10,000トンから20,000トンの汚染水が、それぞれの原子炉の核燃プール内に溜まっています。その他にも大量の汚染水が、この福島第一原発の施設にはあり、もしそれらを一か所にまとめると、その量は数十万トンもの量になります。それを見たら、いったいどう処理すればいいのか、誰だって動揺せずにはいられないでしょう。」
後藤氏は最後にこうつけ加えました。

「とにかく信じられない程莫大です。まったくもって莫大な量の汚染水が貯まり続けているのです。」

溶けた核燃料をはじめ、放射能で汚染されたすべての破片などを取り除かない限り、福島第一原発は汚染水の問題に取り組み続けなければなりません。
このプロセスだけで、優に10年はかかるものと見られています。

http://www.aljazeera.com/news/asia-pacific/2012/10/2012102510561941251.html
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この問題と、使用済み核燃料(高放射性核廃棄物)の問題をスルーして、原子力発電の継続など許されるはずがありません。
あたりの木をどんどん切り倒し、汚染水をつめた巨大なタンクを次々に設置していく。
しかし、どんどん水をかけ続けなければ、福島第一原発はこれまで以上の大災害に向けて暴走する。
そして高濃度の汚染水の『生産』が果てしなく続く。

これが『冷温停止状態』の真実です。

この真実を、日本国民の何パーセントが認識しているでしょうか?

福島第一原発の事故が始まったばかりの頃、海外の専門家などが指摘する『可能性』を口にすると、
「風評を煽るな!」
と責められました。

しかしその後、海外の報道機関や研究機関、そしてフェアウィンズやセイフキャストなどの市民運動グループが少しずつ事実を明らかにしていき、『可能性』は事実であった事が判明していきました。
それにより、「風評を煽るな!」などという叱責が、蒙昧であるが故の感情論である事が明らかとなり、口にする人はいなくなりました。

今度は『冷温停止状態』という言葉の一人歩きにより、福島第一原発の現場で淡々と、着実に事故処理が進んでいるかのような『錯覚』を持っている人が数多くいる事でしょう。

この記事が伝える『真実』も、一人でも多くの人に伝えていかなければならないと思っています。

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【 嵐の後の子供たち 】

アメリカNBCニュース 11月5日


マンハッタン・ビーチに近いブルックリン地区で、学校にたどり着くため、倒れた木を乗り越える母と息子。11月5日は、ハリケーン・サンディ襲来から一週間、学校再開初日になりました。
11月5日、ニューヨーク。


マンハッタン・イーストヴィレッジ小学校で、5年生の子供たちとハリケーン・サンディについて議論する女性教諭ミリー・ラミレス。
イーストヴィレッジでは多くの子供たちが被災した。
11月5日、ニューヨーク。


自身のハリケーン・サンディの体験について描く、イーストヴィレッジ小学校5年生の生徒。


イーストヴィレッジ小学校に到着した親子

「ぞっとするような眺め」、鳴り響く線量計、振り切れる針

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【「真実の危険は知らなかった…」福島第一原発の作業員】

アメリカCBSニュース 11月1日


津波によってメルトダウンが起きた福島第一原発では、汚染された冷却水の危険性を知りながら、東京電力は適切な防護措置も取らず、正しい情報提供も行わず、緊急作業員を現場に送り込んだと、元作業員が告訴理由の中で述べました。

この元作業員は、危機的状況にあった事故直後、原子炉3号機の事故対応にあたった6名の契約雇用による作業員の中の1人で、東京電力の対応により、放射線による健康被害を受けてしまったと語りました。

事故当時の作業員が、当時福島第一原発で何が起きていたかを、公の場で明らかにするのは珍しいことです。
彼は自分の名が『シンイチ』であることだけを明かし、AP通信の取材に応じました。

46歳の『シンイチ』は、事故当時の行動について、以下のように語りました。
暗闇と恐怖が支配する身の毛もよだつような現場で、あふれだした高濃度汚染水の中をヘッドランプひとつでかき分けるようにして進んでいきましたが、防護ブーツを通してさえ、汚染水の暑さが伝わって来ました。
「とんでもない状況でした。人間を送り込んでよい場所では無かったのです。」

3月24日、彼を含めて6人のチームは、電源ケーブル敷設のため3号機の地下部分に送り込まれたのです。
3号機は10日前に原子炉建屋が爆発を起こし、大量の放射性物質を環境中に放出していました。
彼らの任務は、過熱している核燃料プール内に冷却水を送り込むため、ポンプの電源を復旧させることでした。


彼は、東京電力とその第一次下請会社は、汚染された水が施設内のいたるところにあることを、作業員たちには伝えなかったと主張しています。

こうした『シンイチ』氏の告発に対し、東京電力の一杉よしみ氏は、福島第一原発の敷地内の他の場所で汚染水の存在が懸念されてはいたものの、3号機の地下にもそれがあるとは予測できなかったと、主張しています。
『シンイチ』氏の被ばく線量は、この日だけで政府が定める法定限度の半分を超えてしまい、直後から福島第一原発での作業を止めなければなりませんでした。

『シンイチ』氏は彼の家族が嫌がらせを受けたり、彼自身が事実と違う事を語っている、またはトラブルメーカーとしての汚名を着せられる恐れがあることから、取材に関しては顔写真の撮影を行わないことを条件に取材に応じました。

10月30日に彼は福島の労働基準監督局に刑事告発を行いました。
内容は、東京電力の安全対策に違反があったことを認めた上で、改善命令を出すよう求めています。
また、6か月以下の懲役または500,000円以下の罰金を定める労働安全衛生法に基づき、彼を直接雇用した会社を告発しました。

『シンイチ』氏の雇用主である東京電力の下請け会社は、3月中に彼を福島第一原発の現場で働かせることをやめ、待機を命じました。
彼は現在、ホットスポットと呼ばれる、福島県内の汚染がひどい場所で、除染作業員として働いています。

「私はこうした不当な取り扱いについては、告訴する充分な理由があると考えています。告訴に踏み切った理由は以上です。」


3月24日朝、『シンイチ』氏のチームは福島第一原発の危機管理センターに集合し、その日の作業について指示を受けました。
彼らは防水加工された防護服の下に、さらに2重構造の防護服を身に着け、チャコールフィルター付きのフルフェイスの防護マスク、そしてゴム手袋を二重に装着しました。
作業員はそれぞれ携帯型の線量計を身に着け、警報を前日検出された放射線量の40倍にセットしました。
この時、放射線量の増加については、それほど急激なものは予測していなかったのです。
しかし実際の放射線量は400ミリシーベルトでした。
この量は致命的ではありませんが、一時的に白血球数を減少させるのに十分な被ばく線量です。

3月11日に襲った巨大地震と巨大津波が重要な設備である原子炉冷却システムを破壊し、福島第一原発の3基の原子炉でメルトダウンが発生し、大量の放射性物質が放出されました。
過熱している原子炉に対し何トンもの水が送り込まれましたが、それは直後に高濃度汚染水となって漏れ出し、原子炉建屋の地下や他の施設に漏れ出していったのです。


『シンイチ』氏はこの時受けた簡単な指示を覚えています。
すぐに原子炉建屋一階と地下の、制御盤の電線をつなぎなおすように。
放射線量が少しばかり高くなっているだろうが、問題というほどではない。
「汚染水については、何も触れられていませんでした。」

そのため、作業用ブーツを選ぶ際、膝まである長いブーツを履いたのは2人だけで、残る4人は短いものを選んだのです。

行く手を照らし出すものと言えばヘルメットにつりつけられたヘッドランプのみ、そんな状態で彼らは壁に開けられた穴から原子炉建屋の中に入っていきました。
電動ドアなど動くはずもありませんでした。
『シンイチ』氏と2人が1階で待機している間、2社の異なる下請け会社によって派遣された作業員3人が地下へと降りていきました。
何気なく下を見ると、白い湯気を立てている水面が見えました。
そしてめちゃくちゃになった機器の部品、そして壊れた建物の破片が落ちていました。


「ぞっとするような眺めでした。」
『シンイチ』氏が語りました。
「原発で働く人間なら知っていますが、床にたまった水は最悪の状況の象徴なのです。決して触れてはならないものなのです。」

線量計が鳴り響きました。最大値を検出したら5回警報音を鳴らすように設定された線量計は、原子炉建屋に入ってから度々短い警報が鳴っていましたが、この時も警報が鳴ったのです。
数秒間のためらいがありましたが、結局3名の作業員は地下に降りはじめした。
その時線量計の警報がけたたましく鳴り響き、そして静かになりました。
それはその場の放射線量が、計測可能な値を超えてしまったという合図でした。
しかしチームのリーダーは、きっと誤作動に違いない、と話しました。
地下に進んだ三人は、くるぶしまである水をかき分けながら、制御盤までたどり着くと点検を済ませ、再び1階に戻ってきました。
彼らは地下に溜まった水が、ゴム製のブーツを通しても暖かく感じた、と話しました。

他の任務を与えられた別のチームは、『シンイチ』氏のチームを無視し、何もせず現場を飛び出しました。放射能がきわめて危険な値に達していることを、線量計が警告していたのです。


しかし『シンイチ』氏のチームはそこに留まり、水浸しの地下をさらに奥へと進んで行ったのです。
ただちに命に関わることはありませんでしたが、短いブーツしか履いていなかった2名の作業員は、両脚にベータ線(放射線)による火傷を負いました。
最も長くこの場にとどまった3名の作業員は180ミリシーベルトの被ばくをしていました。政府が7月に定めた年間被ばく限度量の、ほぼ4倍の被ばくをしてしまったのです。
『シンイチ』氏は短いブーツしか履いていないことを理由に、地下に降りてぶら下がっているケーブルの結束作業を行うことを拒否し、長いブーツを着用していた2人が代わってこの作業を行いました。
おかげで『シンイチ』氏は、放射線火傷を免れることができたのです。

東京電力のスポークスマン吉田まゆみ氏は、この時のチームリーダーは現場から撤退しなかった理由について、非常に重要な任務を担っていると考えたので、あえてそこに留まったが、床に溜まっていた汚染水についてはもっと注意深く対処すべきだったかも知れないと、後に東京電力の職員に語ったことを明らかにしました。
さらに東京電力は、施設内の予期せぬ状況について、さらに慎重に状況判断をすべきであったと、付け加えました。

結局『シンイチ』氏が13日間福島第一原発で作業した間の累積被ばく線量は20ミリシーベルトで、『ただちに健康に対する悪影響は無い』とされましたが、彼自身は安心しているわけではありません。

他にも原発作業員の問題を取り扱っている『シンイチ』氏の顧問弁護士は、東京電力とその下請け最大手である関電工は、『シンイチ』氏とその同僚5名の作業員を、許容限度をはるかに超える放射能に汚染された現場に、防護が不完全なまま送り込んだと指摘しました。


『シンイチ』氏の顧問弁護士、山添拓氏はこう語りました。
「きわめて危険な現場に作業員を送り込んだこと自体違法である上、著しく高い放射線被ばくの危険にさらしたことも労働安全衛生法に違反しています。」
「たとえ東京電力が対利用の鳳雛作業を行った結果、現場がどうなっていたのか予測できなかったにしても、作業員の安全確保のための意識に欠けていたことは事実です。」

『シンイチ』氏が経験したことは、きわめて過酷な状況が続く福島第一原発の現場で、不十分な防護策しか施されず働いている作業員の中でも、特異なものです。
しかし何段階もの下請け、孫請けによって作業員が雇用されている今の体制では、作業員に事故が発生した場合に、責任の所在が曖昧にされてしまう可能性があると、山添弁護士が指摘しました。

国会独立調査委員会、政府事故調査委員会、そして民間の調査委員会による報告書は、この件について、東京電力の危機管理能力の欠如、緊急時対応の訓練不足、そして監督官庁との不適切な関係について、批判しました。
このうち国会独立調査委員会は、3号機の地下で作業員2名がベータ線やけどを負ってしまった件について、東京電力は原子炉に対する放水・散水を行えばどのような影響があるか、そもそもの始めからこれを厳重に監視すべきであったとの、結論を出しました。


『シンイチ』氏は福島第一原発で働いていた当時、5歳になる息子の2次的被ばくを最小限にするため、帰宅すると言えに入る前に着ていた服をすべて脱ぐようにしていたと話してくれました。
彼は着衣を洗濯機に放り込むや否や、すぐに風呂場に飛び込むようにしていました。

福島第一原発の他の作業員の人々も、皆同じように心配していると、『シンイチ』氏が話しました。
「私は満足に教育を受けていませんし、年齢もすでに40歳になりました。選択の余地は無いのです。」
彼がこう話しました。
「私は今、打ちのめされています。私は一生懸命働きましたが、家族と子供が犠牲になってしまいました…。これが私という人間の、人生の結末なのです。」

http://www.cbsnews.com/8301-501712_162-57539827/ap-interview-japan-nuke-plant-water-worries-rise/?tag=mncol;lst;9

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ここに語られていることに、『重い』などと言うありきたりの表現を使うべきでは無いと思いました。
最後の一言に、この『シンイチ』氏という方が、どんな思いで福島第一原発の現場で危険を押して働いていたかが表現されています。
働くのなら一生懸命取り組まなければならないというひたむきさ、家族と子供のためにという愛情。

ちょうどこの原稿をアップする準備をしている時、NHKのクローズアップ現代で、福島第一原発作業員の方の特集番組を放映しました。
その待遇があまり恵まれたものではないと感じました。
今福島第一原発の現場で身を挺して働いておられる作業員の方の取り組みが無ければ、この日本はどうなるでしょう?

故郷と住む家を追われた100,000人を超える原発難民の方々もまた、信じがたいほどの悲劇に見舞われました。

人間なら当たり前の『生きていくための願い』を、信じられぬほど大規模に、情け容赦なく、破壊しつくしたのが福島第一原発の事故でした。

この【星の金貨】でも数々の海外記事を翻訳・ご紹介する中で、どれ程多くの方々の悲劇を見てきたことか…

「監視・規制が問題というより、原子力発電そのものが問題」( http://kobajun.biz/?p=4337 )というフェアウィンズのサイトに掲載された原稿の中の言葉が、今さらながら思い浮かびます。

いま大飯原発の活断層を巡る報道で、原子力規制員会の『見解』がどうなるか注目を集めています。
でもちょっと待ってください、こうした報道に『慣らされて』しまうと、原子力規制委員会の存在を受け入れ、やがては原子力規制委員会を成立させている日本の原子力発電体制も、『仕方ないもの』として心のどこかで容認することにはならないでしょうか?

いくらでも人間の悲劇を生み続ける「原子力発電そのものが問題」、この意識を忘れないようにしたいと思っています。

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【えっ、誰がキュリオシティと一緒にいるの?!】

アメリカNBCニュース 10月31日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

ご覧いただいているのはNASAの火星探査車キュリオシティを、1メートルほど離れた場所から撮影した写真のようです。
えっ、でもちょっと待ってください。
一体だれが撮影したのですか?

答えはキュリオシティ自身です。
キュリオシティと高度な技術を持った画像処理の専門家による作品なのです。
原子力を動力に6つの駆動輪で動き回るこの移動式研究所の写真は、火星のGlenelg(グレネルグ)と名づけられた場所で、10月31日に撮影されたものです。

キュリオシティから伸びた長さ2.1メートルの火星画像採集装置 - Mars Hand Lens Imager(MAHLI)という名のロボットアームの先に取り付けられたカメラが、撮影した画像を組み合わせて合成された写真です。

MAHLIの主要な役割は、火星表面の様子を顕微鏡の精度で撮影すること、たとえば砂の粒子の形状の確認することなどです。
しかしスマートフォンのユーザーが自分の写真を撮影するようにして、キュリオシティが自分の姿を撮影することも可能なのです。

キュリオシティが自分で撮影した『自画像』はどんなものなのか、火星のゲールクレーターに着陸して一カ月が過ぎた9月に、最初の一枚が送られてきました。
この時からサンディエゴに本拠を置くマリン・スペース・サイエンス・システムズとNASAのジェット推進研究所のMAHLIチームのプロジェクトは大きな一歩を踏み出したのです。

同様の作業をアマチュアのレベルで行っているのが『無人宇宙飛行サイト.com』(UnmannedSpaceflight.com.)です。
このサイトは、宇宙における無人、すなわちロボットによるミッションの愛好者が集うサイトで、NASAが提供・公開した原版の写真から自由にイメージを膨らませるコーナーがとりわけ人気を誇ります。
時にはアマチュアの方が先に『完成画像』を作り上げてしまう場合があります。写真を合成し、発表するに至るまでの面倒な手続きを、アマチュアならきちんと守る必要はありません。

冒頭の写真はキュリオシティの司令塔部分に焦点を合わせ、オハイオ州のエンジニア、ジョー・ナップが合成したものです。


この魚眼レンズで撮影したような写真は、イギリスの教育者で天文学者のスチュアート・アトキンソンが、NASAが公開した火星での写真を合成して制作したものです。
写真の断片を組み合わせて作ったため、ロボットアームの痕跡が、黒い影となって画面に残り、気味悪く感じるかもしれません。
「ちょっと完成を急ぎ過ぎたかもしれません。でも黒い影もそんなに気にならないでしょう?NASAの公式写真では無いにもかかわらず、いい出来だと思いますよ。」
アトキンソン氏がこうコメントしました。


そしてこの一枚が、今日初めてNASAが公開した『公式』第一版の写真です。
MAHLIが撮影したサムネイル・サイズの写真を組み合わせてつ作り上げました。
高解像度版、つまり完成版はまだ公開されていません。
マリン・スペース・サイエンス・システムズのマイケル・キャプリンガーが、『無人宇宙飛行サイト.com』の同好の氏たちに対し、少しばかり自重するよう求めています。
「とりわけこのプロジェクトに関しては、キュリオシティの着陸前から、慎重に準備を進めてきました。」
キャブリンガー氏がこう口説きました。
「アマチュアの皆さんのスクープ合戦により、私たちが重ねてきた苦労が色あせてしまわないよう願うばかりです。」

キャプリンガー氏の16年間に及ぶ苦労の積み重ねを思えば、同情を禁じ得ません。
しかし一方ではやはり、これらのアマチュア作品も皆さんにご紹介せずにはいられません。

皆さん、高解像度版のNASAの『公式』画像が公開された暁には、ぜひNASA火星探査サイトを開き、そのプロの技を堪能していただきたいと思います。

「市民自らが立ち上がり、放射能汚染の真実を明らかにする」セイフキャストの活動

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放射線からスモッグまで、市民のため数値を明らかにする

ディラン・ウォルシュ/ニューヨークタイムズ 10月19日

セイフキャストの測定によって明らかになった、福島第一原発事故の汚染実態


小さな非営利組織であるセイフキャストは、福島第一原発の事故後、広範囲に及ぶ日本の都市部で大気中の放射能汚染の問題が深刻化する中、事故の教訓が求める行動を実践に移しています。
ナイト財団から40万ドル(3,200万円)の資金提供を受け、セイフキャストは放射能を速成するための線量計を独自に開発し、分刻みで各地の放射線量を測定して公表しています。
この線量計はどこででも手に入る部品によって構成されており、近くロス・アンジェルスでもこの器械を使った測定が始められることになっています。

セイフキャストの取り組みは、昨年3月11日に襲った巨大地震と巨大津波がきっかけとなり、福島第一原発の3基の原子炉がメルトダウンを起こし、たくさんの人々に放射線被ばくの危険性が迫った時に始められました。


「私には日本にたくさんの友人がいるのです。」
セイフキャストの共同設立者であるジョン・ボナー氏がこう語りました。
福島第一原発の事故後の混乱の中、
「人々は情報を手に行けることができなくなりました。電話回線は完全にパンクし、どんな事態が進行しているのか、全く分からないままにされてしまったのです。」

世界各国の選りすぐりのデザイナー、エンジニア、実業家、そしてハッカーたちが彼の下に参集し、ボナー氏は友人たちのネットワークを介して必要な情報を集め、これを誰もが簡単に確認することができるよう公開することを構想しました。
彼らはすぐに手分けして、関係機関の情報入手を次々試みましたが、必要とするデータは存在していませんでした。


「必要な情報が結局はどこにも存在しない、そのことが解る前から私たちは、各地の放射線量を計測するため、どこにでも持って行けるガイガーカウンターの制作に取り掛かっていました。」

こうしてセイフキャストは誕生しました。

ガイガーカウンターによる測定を続けるうちに、『放射能同様、実に様々な問題が』大気中、そして環境中には存在していることが明らかになってゆき、セイフキャストはこれらの問題にどう向き合うべきなのか、そのことについても考えざるを得なくなったと、ボナー氏が語りました。
セイフキャストによる測定が行われる以前に存在していたデータは、権利が存在し、誰もが利用できるようにはなっていませんでした。おまけに時間的にも、数値的にも、数回分が平均化されて1つのデータにされてしまい、結果的に不正確な、信頼性の乏しいものになっていました。


具体的にご説明しましょう。
ロス・アンジェルスの南部海岸大気観測地域では、1万平方マイル内に1,600万人が暮らす場所に35か所の観測地点が設けられ、遠隔操作により大気中の汚染物質の測定を1時間ごとに行っています。
しかし公表されるデータは、8時間ごとの平均値でしかありません。
設置されるセンサーの数と測定頻度は、アメリカ政府が一定の面積と時間について定めた運用基準に沿ったものです。
セイフキャストは測定すべきエリアを大幅に拡大し、1分ごとに観測データを公表するという、これまでとは比較にならない程充実した調査、発表を行おうとしているのです。
「私たちは測定装置を数多く持っています。そして得られたデータは、完全に公開するつもりです。」
ボナー氏はこう語り、次のようにつけ加えました。
「うまくいけば、そこで使われることになる測定装置の数は、我々自身が制作する数をはるかに上回ることになります。」

ナイト財団でジャーナリズムとメディア革新について研究を続けるジョン・ブラッケン氏( http://www.knightfoundation.org/staff/john-bracken/ )は、セイフキャストが手掛けている取り組みの底流には、コンピューターのハッキングとDIYの文化があると語りました。
「セイフキャスト内の多くのグループが、ソフトウェアが持つ機能を、ハードウェアの機能として実現させてしまっているのです。」
「見事な実績です。」

『最新の科学技術を市民運動の強力な武器として提供する』セイフキャストの取り組みについては、ブラッケン氏は感動すら覚えると語りました。


日本において、政府機関などが公表する放射線量などのデータに対し、多くの人々が疑いを解くことができませんでした。
そこに現れたセイフキャストは、今や日本国内に400万を上回る測定地点を設定しています。そして、ボランティアの人々が正確なデータを採取することにより、公表される著しく透明性の高いものとなり、人々の信頼を得ることになりました。

セイフキャストはナイト財団から資金提供を受けて、測定機器の開発研究を行っています。
このため完成した測定機器の設計・製作方法は、誰もが無償で利用できるようになっています。
このためこれから始まるロス・アンジェルスでの測定には、誰でも参加することができます。

最終的にボナー氏と彼のチームが望んでいるのは、ロス・アンジェルスでの取り組みがきっかけとなり、世界中で市民の手による環境監視、そして環境保全が実現することです。
ナイト財団はそのコンテストで、セイフキャスト以外の5つの団体にも資金援助を行う事を決定しましたが、得られた研究結果を市民が自由に利用できるよう、公開することを求めています。
ナイト財団によればこの結果881本のプログラムが提供され、そのほとんどがインターネットで入手可能になっています( http://www.knightfoundation.org/ )。

「今日、私たちが取り扱わなければならない情報の量は、実に膨大ですが…」
ブラッケン氏がこう語りました。
「しかしその一つ一つをきちんと検証することを、誰かがやらなければならないのです。」

http://green.blogs.nytimes.com/2012/10/19/from-radiation-to-smog-numbers-for-the-public/
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【子供たちの手に可能性を運ぶ、オーケストラの指揮者】
[メイキング・ア・ディフエレンス / この世界を変えて行く!]

アメリカNBCニュース 10月17日


今夜も新しい[メイキング・ア・ディフエレンス]のストーリーをご紹介ことにしましょう。
新たな道を切り開く一人の女性のお話です。
彼女は次世代を担う子供たちに、クラシック音楽の素晴らしさを伝えたいという熱意を抱き、クラシック音楽などまるで頭に無かった子供たちに、チャンスを提供しています。
ロス・アンジェルスからダイアナ・アルバーがお伝えします。

リポーター: 初めてバイオリンに触れる、この小さな手をご覧ください。

ソニア・マリエ・デ・レオン・デ・ベガ(指揮者)「私も初めての時はこんな感じでした。」

リポーター:新たな始まりの瞬間です。

ソニア「こうして私は、クラシック音楽を心から愛するようになったのです。」

リポーター:彼女はここにいる子供たちも、生涯こうした情熱を失わないよう願っています。

ソニア「まるで魔法のような力を持っている、そして何より美しい、私は子供たちの人生の中に、クラシック音楽を導きいれる手伝いをすることに喜びを感じているのです。」

リポーター: かつては女性のオーケストラ指揮者などありえないと言われた時代がありました。しかし彼女はその常識を打ち破った、最初のラテン・アメリカ人女性です。
彼女が率いるオーケストラは、結成20周年を迎えました。


しかし彼女はこんなふうに考えているのです。
「一番大切なのはコンサートなの?」
彼女は毎年数千人のロス・アンジェルスの子供たちの目の前に、オーケストラのソロイストを連れてきて、クラシック音楽を演奏してもらっています。
そして子供たちが言葉を失う様子を見て、クラシック音楽が子供たちの中に根づく可能性があることを感じています。

公立の学校でもそうですが、ここ数年で音楽の授業への教育予算が大幅に削減されてしまいました。
今や彼女のこの取り組みだけが、ロス・アンジェルスの子供たちがクラシック音楽に触れる唯一の機会になってしまいました。

リポーター: そして、子供たちは聴くだけではなく、無料のバイオリンのレッスンが受けられます。
子どもたちは声楽のレッスンも受けていると話してくれました。

キンベリー・アルバラド(4年生)「むしゃくしゃすることがあるでしょう。そうしたらその気持ちをバイオリンで表現してみるといいわ。」

ミゲル・トレス(6年生)「たくさん演奏すればするほど上手に弾けるようになるし、そうすれば増々演奏することが楽しくなるんだ。」

ソニア「バイオリンやその他の楽器を手にして、自分を表現できるようになれば、代わりに銃や麻薬などを手に持つことが無くなるのです。音楽の美しさ、そして達成感が心を満たしてくれますから。」

リポーター: 達成感を得ることによって子供たちの心が満たされ、何に対しても前向きに取り組めるようになることを、彼女は望んでいるのです。

キンベリー「むしゃくしゃすることがあるでしょう。そうしたらその気持ちをヴァイオリンで表現するの。ソニアたちのおかげで、音楽の素晴らしさがわかったの。一生懸命練習を続けて、大人になったらソニアたちのオーケストラのメンバーになるわ。」

リポーター:少しだけ手を貸してあげることで、子供たちの未来が開けていきます。
ダイアナ・アルバー、NBCニュース、ロス・アンジェルスから。

http://www.msnbc.msn.com/id/3032619/#49455469

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この国が立ち直るための財源を食い荒らす、官僚たちの群れ&『生きるため』には、働かなければならない子供たち

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【災害復興資金の流用への怒り】

ヒロコ・タブチ / ニューヨークタイムズ 10月30日

3.11後の岩手県大船渡市


日本政府が災害地域復興のため、被災した市町村に配布されるべき復興資金を、多数の無関係な事業に流用しようとしていたと、独立監査法人が明らかにしたことは、これまで巨大地震と巨大津波による東日本の壊滅的な被害、さらには続いて引き起こされた福島第一原発の大事故に対する政府の対応、そして政府そのものの在り方に疑問を持ってきた市民の間に、大きな怒りを巻き起こしています。
日本の独立行政法人である会計監査院が先週指摘した、2011年3月に発生した東日本大震災の復興のための40兆円規模の予算が、政策の混乱と意思決定の遅れにより、半分も有効に使われていないことも明らかになりました。

さらに監査院の調査は、国民への誠意のかけらも感じられない、官僚の無定見さをあばき出すことになりました。
かつてこの国の政府予算を蝕んでいた、利害関係者向けの人気取り政策と何ら変わらない、無関係な事業に復興予算が多数流用され、日本の再建への取り組みそのものが台無しにされようとしていました。
これらの指摘は、国民に対し透明性の高い政府予算の執行を約束して政権交代を実現した民主党の野田政権に、また一つ頭痛の種を抱えさせることになりました。

3.11後の宮城県石巻市


会計監査院の調べによれば、東日本大震災の復興予算の中には以下のようなものが含まれていました。
東京都心にスポーツ・スタジアムを建設するのに3億3000万円。
被災地から1,600キロ以上離れた沖縄県内の道路整備に5億円。
日本の捕鯨船団を、外国の環境保護団体などから守るために23億円。

神戸大学の都市計画の専門家である、塩崎賢明(よしみつ)氏が独自の調査を行った結果、災害復興予算のほぼ4分の1にあたる9兆2000億円もの金額が、被災地の人々の救済とは何ら関係の無い事業に割り当てられていると判断しました。

この問題に関する地方の報道機関による詳細の報道は、過熱することになりました。
これらの報道が明らかにしたのは、以下のような実態でした。
被災地から遠く離れた中部地方のコンタクトレンズ工場にも、災害復興予算から助成金が流用されていました。
ベトナムに原発を輸出する事業を成功させるための予算にも、5億円が流用されていました。

3.11後の岩手県宮古市


一方、災害の惨禍と格闘する地元自治体は、いまだに復興のための財源確保に東奔西走しています。
岩手県には、地元の産業を立て直したいと願う住民から、255億分円の資金援助の申し込みがありました。
しかし実際に助成金が交付されることになったのは150億円分の事業だけで、残りは却下せざるを得なかったことを、公共放送のNHKが伝えました。
NHKによれば、被災地全体でこうした助成金交付申請の約6割が却下されています。
被災地では多くの医療機関が、新たな機材や医薬品の購入ができず、閉鎖されたままになっています。

これに対し政府は、被災地とは関係ないとされた出費の一部について、これを擁護する態度を示しました。
枝野幸男経済産業大臣は、議会内の委員会で野党側に対し、被災地とは関係の無い地域の事業や環境整備であっても、日本の経済社会全体への貢献により、結果的には被災地の救済につながる、との見解を示しました。

野田首相は国民の怒りの前に、復興予算の中の被災地とは関係の無い事業を除外することを約束しました。
しかし、政府が無関係な事業への出費を認めた法律をどのように改正し、実際に歳出を抑制するかどうかは不明です。

政府の苦しい弁明にもかかわらず、国民の怒りは収まりそうにありません。


「国を再建するための予算の流用は、国民に対する第一級の裏切りである」と、日刊紙である東京新聞がその社説で訴えました。

野党自由民主党の森まさこ議員は
「政府はもはや、国民全体の信用を失っている」と批判しました。


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このタイミングで、この政府と、この官僚たちが日本を動かしている。
それそのものが『国難』である、皆さんもそうお感じになっていらっしゃると思います。
しかしそれを変えなければならないのは、私たち国民自身です。

自分たちの事しか考えていないにもかかわらず、何かといえば『国民のため』、『国民との約束』、『この国の将来』と平気で口にする。
しかしこうした人間は、いつの時代も、いたるところにいるのです。
そうした人間たちを政治の中枢に座らせている、その責任こそ『国民』にあるはずです。

『国民の問題』、それは『自分たちの問題』です。

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『生きるため』には、働かなければならない子供たち

アメリカNBCニュース 10月30日
(写真をクリックすれば、大きな画像をご覧いただけます)

勤め先の修理工場の前に立つ少年。カイロ市内、10月2日。


エジプト政府は国内の18歳未満の人口の10%にあたる、160万人が未成年の労働者として働いていると見ています。
国内の専門家は、その数は政府発表の2倍だとしています。
国内では新しい憲法の起草作業が続いていますが、新たな憲法は未成年労働の禁止が緩和される恐れがあると、この問題に取り組む活動家などは懸念を深めています。

今月初め、エジプト人による子供の権利擁護連合は、新憲法の草案の中に、未成年労働の禁止に関する条文が見当たらないと、警告を発しました。


粘土細工を行う工場で、容器に水を満たす少女。カイロ市内、10月18日。


父親とともにロバが引く荷車に干し草を積み上げる少年。
カイロ北方のカリヨビヤで。10月17日。


レンガ工場で、セメント製のレンガを運ぶ少年。
カイロ北方カリヨビヤの郊外。10月17日。


陶器工場で屋根瓦を運ぶ少年。カイロ市内、10月18日。


休憩時間にお茶を飲む、機械工場で働く少年。カイロ市内、10月4日。

「沿岸部の被災地、復興の手がかりすらつかめず」&【 写真集 : ハリケーン・サンディの無残なつめあと 】

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【ハリケーン・サンディの巨大な爪あと、徐々に明らかに】

アメリカNBCニュース 10月31日


ジャージーショア(ニューヨークの南方70km付近に広がる、ニュージャージー州の海浜地帯)からお伝えします。
もし数百マイルに渡る地域を一望のもとに見渡すことができれば、スーパーストーム・サンディの襲来により、最も大きな被害を受けたのが南北約130マイル(約210km)程の、ニュージャージー州の海浜地帯であることが解るはずです。

私たちの下には、取材したばかりの情報が続々と集まっています。
その結果私たちに言えることは、今回のサンディの襲来によるアメリカ東海岸の被害が、『地図を書き変えなければならい程の』甚大なものであった、という事です。
今日になって我々は、かつてはそこに無かったはずの入り江や砂浜を確認しました。
そして海岸線が陸地の内側にまで入り込み、陸地が後退してしまいました。
見渡す限りすさまじい破壊の跡が広がっています。

今夜はサンディがヴァージニア州に上陸してから、甚大な被害を受けた被災地で取材を続けているレスター・ホルトに伝えてもらいます。

10月31日、ニューヨーク、クイーンズボロ。


リポーター(レスター・ホルト) : 最初にこの嵐が襲ってきたとき、人々は度を失い、ショックを受け、心底怯えきっていたことでしょう。
今や人々は何が起きたのかを目の当たりにし、失ってしまった物の大きさに呆然とし、どうすればいいのか、どこへ行けばいいのか、考えることからできません。
現地を訪れた大統領は、一目見て今回の被害の大きさを理解しました。

リポーター:まず洪水が襲い、次には大きな火災が発生し、すさまじい炎がニュージャージーにあるレンガ造りのこの町のシルエットを、夜明け前の空に赤々と映し出しました。
今回のハリケーンの威力によりガス設備も破壊されてしまい、2次的被害の発生が懸念されています。
被害発生からすでに2日が経ちましたが、この地域、とくに海岸線近くではまだ混乱が続いています。
ニュージャージー州知事とともに飛行機でこの地にやって来た大統領は、海岸沿いのこの地が灰燼に帰し、一部の地域はまだ水につかったままなのを目の当たりにしました。

大統領「あなた方のため、最善を尽くすことをお約束します。この街が再建を果たすまで、常に皆さんのことを念頭に置き、あらゆる援助を惜しむものではありません。」

10月31日、ニュージャージー州アトランティック・シティ。


リポーター:今日この場所で、この被害状況を目の当たりにしたのは、大統領だけではありませんでした。
被災地となった沿岸部に暮らす住民すべてが、朝の太陽が明らかにする惨状に、息をするのを忘れるほどの衝撃を受けたのです。
住民「私は人生のほとんどをこの場所で過ごしましたが、こんな光景を見るのは生まれて初めてです。」

リポーター:至る所に壊れた家、そして商店などが見え、いくつかの建物はかろうじて立っている状態です。
海から隔てられていたはずのこのがい場所、シーサイト・ハイツの街は、もはや人の住めない場所になってしまいしました。

シーサイト・ハイツ警察トーマス・ボイド「ここから北側にかけての全部で、家が建っていたはずの地面が流され、家の基礎が無くなってしまいました。」
リポーター:海岸沿いの地区では、あるべき姿のまま残っているものは何一つありません。船舶ですら道路の上にあります。

「ある人がフェイブックを使い、私に教えてくれたのです。大変だ、あなたのボートが中央分離帯の上にある!ってね。」

10月31日ニューヨーク、ロングビーチ。水が引いた後、辺り一面を砂が埋め尽くしていた。


リポーター: 12月のブリザードが運んできた雪のように、海岸から運ばれてきた砂が通り一面を埋め尽くしています。
まるで地震によって地中から湧き出した泥が、舗装された道を埋め尽くしてしまったようにも見えます。
しかし海浜の街として有名なこの場所が被った被害は、それだけではありません。
内陸の方でも至る所被害が発生し、人々の嘆きは尽きません。

住民「何もかも…」

リポーター:ニュージャージーの数百万世帯で停電が続き、停電していない場所ではガス管の損傷により供給が止まり、不自由な暮らしを強いられています。
リサとリッチのラリコ夫妻は、住まいがあるポイント・プレザントビーチから、荷物をまとめで出ていく以外の解決方法を見つけることができませんでした。
戻れるようになるまでは、ずいぶん時間がかかりそうです。
「いったいどれくらい、ここを離れなければなりませんか?」
リッチ・ラリコ「ずいぶん長くなりそうです。」

リポーター:ニュージャージは過去にもハリケーンの被害を受けたことがありますが、今回のサンディ程の被害を経験したことはありません。
悪い知らせが続々ともたらされてます。
州知事のクリス・クリスティはハロウィーンのイベントをキャンセルしました。子供たちを喜ばせる前に、解決しなければならない難問が山積みになってしまいました。
寒さがことのほか厳しく、ガスも電気も無い状況では暖房の手立ても無く、凍えている他ないような状況です。

ブライアン・ウィリアムズ : レスター、あなたのマナスクアン地区からの映像の数々、注目すべきものでした。今夜は詳細な報告をしていただき、ありがとうございました。

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http://www.msnbc.msn.com/id/3032619/#49631047
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ハリケーン・サンディの被災地に駆けつけたアメリカのオバマ大統領は、現地で被災者の人々を前に、「私たちは決して逃げない」と誓ったようです(Obama vows help for Sandy victims: 'We will not quit')。ひるがえってわが日本。

日本の政治の中枢にいる民主・自民などの国会議員のみなさん、あなたがたは今や福島から「逃げて」ほとんどいなくなってしまいましたね。

そして自分たちの地位を守るため、あるいは権益を取り戻すために血相を変えて争っています。
そのためには、被災地の復興が遅れることなど気にもならない、私たち被災地で暮らす人間からはそう見えます。

そんなあなた方が『国民』という言葉を使うたび、3.11の、そして福島第一原発の被災者の人々のはらわたが煮えくり返っていると思います。

『国民』という言葉、もうあなた方には使って欲しくない、『国民』はそう思っているのではないでしょうか。

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【 写真集 : ハリケーン・サンディの無残なつめあと 】

アメリカNBCニュース 10月31日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

ニューヨーク市クイーンズ地区のブリージー・ポイントの空撮風景。
ハリケーン・サンディがもたらした嵐と火災による破壊の2日後。10月31日。


ブリージーポイントの破壊の跡を見つめる数人の人。サンティによる破壊は、かつては趣のある街として人々に愛されたロッカウェイ地区を、煙が立ち込める廃墟に変えてしまいました。10月30日。


ニュージャージー州アトランティックシティ。海沿いにあった木製の桟道が支柱だけを残し、破壊されている。10月31日。


米国空軍により公開された写真は、陸軍国家防衛部隊の救出活動に役立てられています。写真はニュージャージー沿岸の水没後、砂にうずもれてしまった住宅地。


サンディがもたらした洪水のため水没したフェンウィック島の住宅地。この場所と近くのベサニ・ビーチが被害が最もひどかった地域と思われると、当局がコメントしました。


ニューヨーク市ブルックリン地区から見た、停電中の同市マンハッタン南端部。


車のヘッドライトで、ニューヨークのチャイナタウン地区から、ノースキャロライナに避難しようとバス待ちをしている人が浮かび上がる。


停電中のニューヨーク市マンハッタン南端部。


同じ停電中のニューヨーク市マンハッタン南端部、フェリーの船上から。10月31日早朝。


マンハッタンにある職場に向け、徒歩でブルックリン橋を渡る人々。


ハリケーン・サンディが去った後も続く交通の混乱。ニューヨークの6番街でバスを待つ人々。10月31日朝。


交通機関がマヒする中、フェリーで対岸に渡るため、切符売り場にできた長蛇の列。10月31日、マンハッタン。


自転車や徒歩でクイーンズボロ橋を渡り、クイーンズ地区からマンハッタンに向かう人々。10月31日。


ニューヨーク株式取引所を見上げる、ウォール街の職場に向かう男性。10月31日

http://msnbc.msn.com/id/49596252/displaymode/1247?beginSlide=1

【 終わらない汚染 : 福島県沖 : 続く放射性物質の放出 】&【スーパーストーム・サンディの爪あと】

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マット・スミス / アメリカCNNニュース 10月26日


福島第一原発付近で採取した魚から高レベルの放射性物質が検出され、3基の原子炉がメルトダウンを起こした事故以降、太平洋への放射性物質の流入が続いている可能性を、26日木曜日にアメリカの研究機関が発表しました。

アメリカ・マサチューセッツ州にあるウッズホール海洋研究所・海洋放射線の専門家、ケン・ビュッセラー博士は、日本の沖合で獲れた魚の中、『圧倒的多数』のものは、福島第一原発の事故後、より厳しくなった食品基準に照らし合わせても、人間の健康に害を及ぼすものでは無いと、今週号の『科学ジャーナル』の中で述べています。

しかし福島第一原発近くの沿岸部では、相変わらず高濃度のセシウム-134とセシウム137が検出されており、このことから沿岸部では汚染物質の食物連鎖への入り込みが未だに続いていると考えられる、博士はこのように付け加えました。

福島第一原発の事故は爆発等により、大量の放射性物質を環境中に放出し、風向きの関係などからその大部分が太平洋沿岸に入り込みました。
一方、福島第一原発では現在も毎日、何トンもの水をかけて原子炉を冷やす作業が続けられており、地中に浸み込んだ汚染された水が海洋中に入り込み、魚のえさとなっている海底の植物が放射能に汚染され続け、その結果魚が汚染されている可能性もあります。
このいずれが汚染の主な原因となっているか、研究者たちは突き止められずにいますが、
「おそらくはその両方が重なり合って、現在の汚染が引き起こされていると考えられます。」
ビュッセラー博士はCNNの取材に、こう答えました。


「昨年の4月から途切れることなく続いている、原子炉の冷却水が現在の汚染の主な原因かどうか、私たちは断定できません。しかし、汚染物質のセシウムを継続して調査した限りでは、福島第一原発から直接漏れ出しているセシウムの量は、増え続けています。」
彼はこう語りましたが、しかし検出されたセシウムの量については、
「いますぐ人々に警告を発しなければならない程、高い訳ではありません。」
と語りました。

現在福島第一原発は、事故が危機の頂点にあった時程は、放射性物質を含んだ水蒸気を大気中に放出してはいません。
そして福島第一原発を運営する東京電力は、原子炉を冷やした後汚染された冷却水からセシウムを取り除く装置を稼働させています。
しかし、すべてのセシウムを取り除けるわけではないと、ビュッセラー博士が指摘しました。
ビュッセラー博士は事故の3か月後、太平洋の汚染状況を確認するための調査団を組織した一人です。
彼は日本政府が行った北日本沿岸各地での8,500匹の魚のセシウムによる汚染状況の調査結果を検証し、今回の結論に達しました。

3月11日に襲った巨大地震と巨大津波が、福島第一原発の原子炉冷却システムの全電源を破壊、3基の原子炉がメルトダウンを引き起こしてしまいました。
この結果、福島第一原発は原子炉が次々に爆発事故を引き起こし、環境中に大量の放射性物質を放出し、チェルノブイリ以来最悪の原子力発電所事故となったのです。


放出された放射性物質の大部分が風により海に向かって吹き飛ばされ、広大な太平洋により希釈されることになりました。
福島第一原発の事故が直接的に関与した死者は未だに報告されていませんが、放射性物質によって汚染されてしまった故郷の町や村から追い立てられた、10万を超える人々が難民となってしまいました。

ビュッセラー博士によれば、魚の汚染の程度にはばらつきがあり、最も汚染のひどいのは海底付近に棲息する生物です。
こうした結果から放射性物質は北日本沖の太平洋の海底に広く堆積し、汚染は今後数十年続くものと見られています。
セシウム-134の放射性物質としての半減期はわずか2年ですが、セシウム-137が崩壊によって半分の量になるまでは30年かかります。

セシウムはおもに魚の筋肉組織に蓄積されますが、そのほとんどは代謝により体外に排出されます。
4月以降、日本政府はセシウム-134、セシウム-137の両方について、生体1キログラム当たり100ベクレルを超える魚の市場への出荷を禁止しました。


このため漁場は福島第一原発のある福島県を避けるようになり、その結果セシウムの検出量も制限値を下回るようになっています。
一方、1,000ベクレルから10,000ベクレルの放射性物質に汚染された魚が、福島県沖で発見されました。
人々を驚かせたのは、8月に25,000Bq/kgを超える放射性物質に汚染されたアイナメ2匹が採取されたことです。
アイナメは概ね海底付近を棲息場所にしています。

しかしビュッセラー博士は現在日本政府は自国民の健康を守るための取り組みを行っており、
「汚染を表す数値を隠すことは、もう行ってはいないはずだ。」
と語りました。
「日本の人々の間には、いったい何を信じたら良いのか解らない、という不信感が蔓延しています。その底流にあるのは放射能汚染についてのあらゆる種類の警鐘、そして恐怖です。」

東京電力は福島第一原発周辺で採取・調査を続けている魚の汚染状況について、目立った変化は見られないと語っています。
しかし東京電力はこれ以上汚染が進行しないよう、一連の予防措置は実施済みであると語っています。

http://edition.cnn.com/2012/10/25/world/asia/japan-fukushima/index.html?hpt=ias_c2
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【スーパーストーム・サンディの爪あと】

アメリカNBCニュース 10月30日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

サンディが来襲している最中のニューヨーク市、証券取引所のあるマンハッタン付近。


スーパーストーム・サンディは30日火曜日、ウェストバージニア州一帯に30cmを超える積雪をもたらしました。
そして少なくとも265,000世帯を停電させ、数十の道路を閉鎖させたと地元紙のチャールストン新報が伝えました。

サンディは高台にある地区には予想通りの激しい雨風を叩きつけ、低い場所にある地区には予想を超える雪や大量の雨を降らせ、そして突風や局地的な洪水をもたらし、予想を超える被害を各地にもたらしました。

少なくとも80戸の家屋が火事で全半焼してしまったニューヨーク市内のクイーンズボロ。


自宅の被害を検証する男性。ブリージーポイント。


雪で動けなくなった貨物輸送トラックをけん引のため、ワイヤーをつなぐレッカー車の男性。メリーランド州西部のギャレット郡。


自宅前の雪かき。ウェストバージニア州ベックレー。


水没してしまった駐車中のタクシー。ニュージャージー州ホーボーケン(ハドソン川をはさんだニューヨークの対岸の地区)。


辺り一面全焼してしまった家屋、燃え残った消防士のモニュメント。ニューヨーク市クイーンズ地区にあるブリージーポイント。


ミアロビーチ付近の道路の損壊状況の確認をするデア郡の保安官。ノースキャロライナ州ロダンザ。


ボートを使って自宅から救出された人々。ニユージャージー州リトルフェリー。

パキスタン領内での米軍無人攻撃機への、イギリスの関与【 『殺人ほう助、または戦争犯罪』との主張、英国の法廷が受け入れ 】

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イアン・コバン / ザ・ガーディアン(英国) 10月23日


父親をアメリカ軍の無人攻撃機により殺害されたパキスタンの男性の弁護団は、攻撃に英国の諜報機関が関わっていることは違法であるとの告発を行いました。

イギリスの高等裁判所は、23日火曜日、パキスタン領内におけるアメリカ軍の無人攻撃機による殺害行為に、英国政府が関わっていることについて、殺人ほう助、または戦争犯罪にあたる、との見解を受け入れました。

無人攻撃機の問題については、パキスタン領内でアメリカ軍の無人攻撃機に父親を殺害された男性が、この攻撃に英国の諜報部門が関わっているのは違法だとして、英国の裁判所に対する最初の告発が行われました。

27歳のノール・ハーンは、昨年の3月、パキスタン北部のワジリスタンで、鉱山の採掘に関するトラブルについて話し合うため、地元の有力者が集まったところを、米軍の無人航空機に攻撃され、40人以上の死者が出たことについて話し、以来パキスタンの人々がびくびくしながら暮らさざるを得なくなったと語りました。


米軍の無人航空機による攻撃は、CIAが収集した情報を基に行われます。
英国政府はCIAの活動にイギリスの諜報機関であるGCHQが関わっていることを否定していますが、英国の法廷は報道機関による報道はGCHQの関与を疑わせるものである、と判断しています。

今回の訴訟は、アフガニスタン上空における英国空軍の無人攻撃機による攻撃作戦と偵察が、これまでの倍の数に増えていることを英国空軍が認めたため、開廷しました。
増派されるのは、米軍ではなく、英軍の無人航空機になる予定です。
英国空軍は自国領土内から現地に空輸する手段を持たないため、5機からなる英国にとっては初となるリーパー無人攻撃機は、アメリカ・ネバダ州にあるクリーチ空軍基地から空輸され、アフガニスタンのヘルマンド州で作成を行うことになっています。


ハーンの顧問弁護士であるマーティン・チェンバレンは、2010年の新聞記事が、GCHQが現地の諜報機関と協力し、アフガニスタンとパキスタンで軍関係者の盗聴を行い、アメリカの諜報機関に位置についての情報提供を行っていることを伝えている、と語りました。
チェルトナムに本部を置くこの情報機関は、「法を順守しながら」行われているこの活動を誇りにしている、と語りました。

こうした見解に対してチェンバレン弁護士は、CIAに情報を提供する際、GHCQはその情報が無人航空機による攻撃に使われる可能性があることを認識しており、この点においてGHCQの担当者は犯罪に深く関わっていた可能性がある、と指摘しました。
「情報提供を行うことによる、英国諜報機関の米軍無人航空機攻撃への関与は、殺人教唆、あるいは殺人ほう助にあたる可能性があります。」
同弁護士がこう語りました。
さらにはこの行為が戦争犯罪、あるいは人道に対する罪にあたる可能性すらある、と付け加えました。

チェンバレン弁護士は、GHCQの担当者は防衛に専念するか、あるいは戦闘行為の回避ができたはずにも関わらず、この事件の場合、犯罪行為に関わるべきでないという意思は感じられない、と語りました。
ハーンはペキスタン国内の法廷でも、こうした諜報活動は違法であるとの判決を求めていました。


英国調査報道事務局によれば、2004年6月から今年9月までの間、無人飛行機による攻撃で死亡したのは2,562~3,325人、この中には474~881人の一般市民が含まれ、内176人は子どもたちでした。
オバマ政権下、無人飛行機による攻撃の頻度が目立って増えています。
ロンドンにおける今回の告発は、世界自由の人権活動家による、無人航空機による攻撃に、法的に疑問を呈するための試みの一つです。

パキスタン国内では、弁護士たちと人権保護活動家たちが、それぞれ別の告訴を行っています。
訴訟の一つは、2名のCIAの元諜報員の違法な諜報活動を白日の下にさらすため、もう一つはパキスタン空軍に対し、自国領土内での米軍無人攻撃機の活動を違法とみなした上で、撃墜の措置を採るよう求めるためです。

2日間の審理において、ハーンの弁護士は、米国の無人攻撃への英国諜報部の関与について、徹底した法的な調査を行うよう求めました。

国外の弁護士であるウィリアム・ハーグは、英国の諜報機関が活動の合法性に関する検証も、また情報提供を拒否することも行わなかった、と指摘しただけでなく、法的根拠が希薄なことを承知の上でこうした活動を行ったことは『英国の国益に反する行為である』との見解を示しました。


ハーンと彼の弁護団は英国の法廷における勝訴を確信しています。
それというのも現在パキスタン領内ではいかなる国際紛争も認められず、したがって他国が自国の領土内で無人航空機による攻撃を行うことを黙認するという、パキスタン政府からの了解を得ていなかったからです。
この点について英国政府は否定も肯定もしないものと見られています。

英国の法廷は、アメリカ政府の法的立場への配慮を求められ、判決を出すことを拒む可能性もあります。
この際、無人攻撃は必要な自衛措置だと判断する可能性があります。
しかしそのためには、英国諜報部が戦闘行為に関与するための正当性、情報提供行為の正当性を立証する必要性が生じます。

英国性はハーン側の主張が「大いに議論の余地があり、配慮が必要な上に、重要な」地域において、米国とパキスタンの関係に英国がどう関与すべきか「重要な」影響を及すことになり、ひいては「著しい打撃を被る」可能性もあることを、英国政府もみとめています。

http://www.guardian.co.uk/world/2012/oct/23/uk-support-us-drones-pakistan-war-crime
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この記事をお読みになって、「やっぱり…」と思われた方も多いのではないでしょうか?
私もそうなのです。
ウサマ・ビン・ラディンを殺害後、次にアルカイダのNo.2と言われる人物が米軍の無人攻撃機によって殺害されました。
そのときに思ったのは、なぜ逮捕・拘禁の上で裁判、という手続きをとらず、アメリカだけは標的とする人間たちを直ちに殺害する権利を持っているのだろう、という事でした。

9.11を見て、多数の乗客が乗っている旅客機をミサイル代わりに使うなど、なんと卑劣な犯罪だろう!と思いました。
その飛行機に乗り合わせた人々の恐怖を思うと、憎んでもあまりある犯罪だと思います。
しかしその容疑者に頭上からミサイルを食らわせ、関係者もろとも爆殺するというのは、それはそれで大いに問題あり、です。
裁判の行方を注目したいと思います。

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【 終わらない殺戮の応酬 - シリア 】

アメリカNBCニュース 10月29日

自動車爆弾が爆発したダマスカス南部のジャラマナのアルラウダ地区。


パン・ギムン国連事務総長による和平調停が不調に終わった29日月曜日、シリア政府軍のジェット戦闘機が、ダマスカス郊外の住宅地に空爆を行い、10人が死亡しました。

先にはラハダル・ブラヒミ特使による犠牲祭の休戦が合意されましたが、政府側、反乱軍側がともに相手側が協定を破ったとして非難の応酬を行い、休戦は実質的には実現されませんでした。

一方、ダマスカス南部のジャラマナ地区では「テロリストが仕掛けた」自動車爆弾が爆発しました。
地元居住者によると、この地区はアサド体制を支持する住民が多く暮らしています。


応急手当の後、病院に運ばれる少女


フクシマ・レスキューロボット、いよいよ開発競争始まる!

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【アメリカ国防総省、フクシマ型災害対策ロボットの『実物見本』を公開】

ジョン・マーコフ / ニューヨークタイムズ 10月24日

日本の福島第一原発事故現場のような過酷な環境下、危機に対処できるロボット開発コンテストの優秀作品には、賞金200万ドル(約1億6,000万円)を提供する、アメリカ国防総省(ペンタゴン)の先進技術研究部門が24日発表しました。

アメリカ国防総省国防高等研究事業局(DARPA)は先にロボットコンテストの開催を予告していました( http://kobajun.biz/?p=2245 )が、24日、部門ごとにクリアしなければならない課題に関する詳細を発表しました。

ひとつの部門では、主催者側も一体のロボットを開発・製作することになっています。
これは移動型ロボット開発に優れた実績を持つボストン・ダイナミクスとアメリカ政府が共同で開発にあたり、このヒューマノイド型ロボットをコントロールするためのソフトウェア開発も同時に行われることになっています。
ボストン・ダイナミクスは国防高等研究事業局(DARPA)の依頼により、四足歩行ロボットの『ビッグドッグ』を制作したことで知られています。『ビッグドッグ』は起伏のある地面の上を、重い荷物を運んで進むことができます。
(http://youtu.be/Vu2IXk5Jbag)

今回はさらに『チーター』と名付けたロボットを、インターネット上で公開しました。
ビデオの紹介によれば、『チーター』は屋内の仮想トラックの上を時速28.3マイル(30km)で、つまりは地球上最速の人間ウサイン・ボルトよりも、速く走ることが可能なのです。
(http://youtu.be/ZAMDgoSKUrA)

別のビデオでは、これもDARPAの依頼によりボストン・ダイナミクスが開発した二足歩行ロボットが、障害物を乗り越えて進む様子が紹介されています。
(http://youtu.be/FFGfq0pRczY)

さらに別の2部門では、コンピューター上のシュミレーション・システムでの表現を求め、実物を制作する必要は無く、これにより世界中から広く応募が可能になるよう配慮しています。

DARPAで今回のロボット・コンテストを主宰する、開発責任者のギル・プラット氏は、22日に行われた電話による記者会見で、今回のコンテストは将来の兵士ロボットを開発することが目的ではない、と強調しました。

現在、アメリカ軍はすでに航空、海中双方のロボット兵器システムを実用化しています。
しかし実はこれらも、地上兵器ロボットほどの進化をとげてはいる訳ではないのです。
イラクとアフガニスタンの戦場では、地雷による兵員の殺傷を免れるため、現在すでに数千体のロボットが活動し、機材を運ぶためにロボット車両が実験的に使われています。
しかし軍自体は、地上用戦闘ロボット開発にそれほど積極的ではありませんでした。

「私たちは今回、これまで実現できなかった技術の開発をねらっています。」
プラット博士がこう語りました。
アメリカ軍の任務の一つは、自然災害、あるいは人間が作り出した災害、そう、福島第一原発の事故現場のような状況下、人間にしかできない援助活動を行う事です。
福島第一原発の事故現場には実際に数体のロボットが送り込まれましたが、操作する側の方がこのような危機に対処するための訓練を受けておらず、貴重な時間を無駄にしてしまいました。
「ロボットの操作性が良いこと、そしてさまざまな道具の使い分けができること、それが将来、このような重大な危機に対応できる能力を持つという事であり、ひいては危機の経過と結果が大きく異なることになります。」
プラット博士がこのように指摘しました。

プラット博士はこれまでも、同様の開発の後援を行ってきました。

これまで最も注目されたのは、2004、2005と2007年に行われた自動走行車両のコンテストでした。
このコンテストは、実際の自動車製造現場でも自走技術の開発を促す結果となり、数多くの自動車メーカー、そしてグーグルなども、自走自動車技術の商業化に乗り出すきっかけを作りました。
(http://youtu.be/BSS0MZvoltw)

DARPAは、カーネギー・メロン大学の国立ロボット技術開発センター、ドレクセル大学、レイセオン、シャフト、バージニア工科大学、NASAジョンソン宇宙センターとNASAジェット推進研究所に、それぞれ独自のロボットを製作し、今回のロボット・コンテストに参加するよう依頼しました。

今回のコンテストでは、ロボットは必ずしもヒューマノイド型である必要はありません。実際、複数の参加団体は人間とは似ても似つかない形のロボットを製作中です。
ジョンソン宇宙センターのロボットは3本の足を持っていますが、腕は1本しかありません。

また以下の大学や組織から参加する各チームは、ボストン・ダイナミクスが制作した最新型ロボットを提供され、これを動かすための優れたプログラムを制作するよう求められます。
参加するのは、ロッキード・マーティン先進技術研究所、RE2、カンザス大学、カーネギー・メロン大学、マサチューセッツ工科大学、TRAC研究室、ワシントン大学、フロリダ人間・機械知能研究所、ベングリオン大学、NASAジェット推進研究所とTORCロボティックスです。

提供されるボストン・ダイナミクス製ロボット

ロボットに要求されるのは車両運転、がれきを乗り越えての前進、電動工具や電子制御装置の操作、バルブの開け閉めなどです。

さらにコンテストでは、バーチャル空間における救出活動に関する応募も受け付けることで、ありとあらゆる分野からの参加を促し、ソフトウェアの達人たちがこれまで考えもつかなかったような救出プログラムを制作することを期待しています。
「ゲーム制作の分野には、実に優秀な才能を持った人々がひしめいています。その才能を今度は現実世界で発揮してもらいたいと考えています。」
プラット博士がこう語りました。

「現実世界における部門では、ロボットは全自動である必要はありません。しかし人間が直接操作しなくとも、判断・行動できるロボットの方が高い評価を得ることになるでしょう。」
プラット博士がこう続けました。
DARPAはコンテストの際、実際の事故現場の状況を再現できるよう、無線の帯域幅を調整することになっています。
たとえば福島第一原発の事故では、分厚い壁の存在により、絶えず無線で双方向の交信を行いながらロボット制御を行うことが、きわめて困難になりました。

アフガニスタンとパキスタン国内での無人航空兵器の使用は、大きな論議を巻き起こしました。
(http://youtu.be/C8QS5z7_P-8)

今年の初め、ペンタゴンの防衛科学局が公表した報告書では、アメリカ軍当局がロボット兵器の開発ペースを緩やかなものに変える方針に転換したことが明らかにされました。
場合によっては、大量のロボット兵器を一斉に動かして敵を攻撃する代わり、無人攻撃機を一機ずつ使った効率的作戦への転換もあり得る、としています。

http://bits.blogs.nytimes.com/2012/10/24/in-contest-for-rescue-robots-darpa-offers-2-million-prize/
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今、TPPの問題やパレスチナの暴力に関する著作を読み漁っているのですが、どの本を読んでも出てくるのが「アメリカの世界戦略、その見過ごせない影響力」です。

TPPが一言で言えば、日本の農業をほぼ壊滅させることによる、アメリカの農業の保護育成策である、とする本を読みましたが、成る程、と思うことがありました。
きっかけは世界の警察を自認し、ベトナム、アフガニスタン、イラクと軍事介入を繰り返してきたアメリカが、そのための軍事費のあまりの巨額さに、もはや世界の警察官をやっている場合ではない、という最近のアメリカ国内の議論です。

TPPの本を読んで気がついたのは、アメリカには実はもう一つ、強力な武器があるということでした。
食糧輸出です。
アメリカは巨大な食糧輸出国です。
アメリカの偵察衛星は世界中の農作物の作況も詳細にモニターし、敵対する国家が凶作に陥る兆候など見つけようものなら、食糧輸出を武器に、相手をどのように『締め上げる』か、直ちに戦略を練り上げる、という事を紹介する本を、ずいぶん前に読んだことがあります。
実際にロシアがこれを、『やられた』ことがあるのです。

そこで今度は、軍事力と食糧輸出能力を武器に、(もちろん、アメリカにとって最も有利な)世界の『ルール作り』をする方針に舵を切ったのか、と。
国内の農業が壊滅し、食糧の確保をアメリカと中国に『頼り切る』日本の姿、想像してみてください。

そして軍事の方で、世界の人々を不幸のどん底に落とし込む役割の一端を担っているのが「アメリカ産軍複合体」です。
こちらはもちろん、軍事産業と軍の『欲による』二人三脚ですが、今ねらわれているのはイランなのか、シリアなのか…。
最近亡くなられたカンボジアのシアヌーク殿下などは、国民の支持を得て良く国を治めていたにもかかわらず、米軍側に協力的でないと敵対視され、1970年「アメリカ産軍複合体」が仕組んだクーデターにより、国を追われてしまいました。
その後出現したロンノルの親米政権は評判が悪く、再びこれをひっくり返したポルポト政権は、100万人とも、200万人とも言われる国民を虐殺しましたが、アメリカは結局見て見ぬふりをしていました。

シアヌーク国王の死を悼むカンボジアの人々。
2012年10月18日。


そんなことを考えながら、この『福島レスキューロボット』の記事を読むと、なぜアメリカ国防総省がこのロボット開発にこれほど力を入れるのか、疑問に思えてきます。
「福島の惨状を救ってあげたい…」
そのようなヒューマンな動機は、全体の何パーセントでしょう?

実際には核攻撃の後の高濃度の放射能に汚染された過酷な戦場で、なおも活動できるロボットの開発でしょうか?
それ程に福島第一原発の事故現場は、人間にとって考え得る限り最悪の環境下にあるのかもしれません。

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【マクロからみた人間世界】

アメリカNBCニュース


[ワインの色]ドイツ、ノイフェン、ハーネンノイフェン城近くの色づき始めたブドウ園。
10月19日。


[壮麗なモスク]
犠牲祭前、イスラム教の最も神聖な聖地とされるはカーバ神殿の周りを巡るイスラム教徒。メッカ、サウジアラビア、10月22日。こうして彼らは、メッカ巡礼の完了を祝います。


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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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