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「『脱原発』後のドイツはどうなったのか?! 脱原発は技術革新を進め、社会正義を実現し始めた」

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所要時間 約 13分

【 岐路に立つ日本のエネルギー政策 】

「『原発推進』を表明した英国政府、しかし企業側が次々原子炉建設中止を表明」
「『脱原発』がCO2の排出量増加、電力不足につながるという批判は、すべて間違っていたこことが証明された – まず8基の原子炉を止めたドイツ」
「ドイツでは『脱原発宣言』が、新たな技術開発と技術革新が国家的規模で進むことにつながっている」


キャサリン・ミッチェル / アンソニー・フロガット / 馬奈木俊介
ザ・ガーディアン(英国) 5月3日

東京の液化天然ガス処理施設。
福島第一原発の事故によるすべてのこれまで国内需要の3分の1の電力を供給してきた原子力発電所が、福島第一原発の事故によりすべて停止したことにより、日本国内の電力自給体制には大きな変化がもたらされました。

日本では5月5日に国内のすべての原子力発電所が停止することになります。

2011年の福島第一原発の事故以前、54基ある原子炉が日本国内の電力需要の3分の1を賄ってきました。
この前例のないスピードで実現した全原子炉の停止という事実は、世界に対し重要な教訓を示しました。すなわち近代社会は国民が支持する政策を実現するパワーを秘めている、そして同時に望まない政策を阻止する力も持っている、という事です。

福島第一原発の事故に対するイギリス、ドイツ、そして日本のそれぞれの政府の反応を比較した時、一番目立ったのはドイツの敏感な対応でした。それまでドイツ国民の間にあった原子力発電所への懸念を、この機会に一気に政策化しました。

正反対の立場をとったのが英国でした。新たな技術革新の道を自ら閉ざし、世界的にも批判が高まっている従来通りの原子力発電政策を推進しようとしています。
再生可能エネルギーへの転換を望む世論が、国民の間に高まってきているにもかかわらず。

そして日本はエネルギー政策の帰路にさしかかっています。

過去14カ月にわたり日本国内の原子炉は核燃料の再充填と、法律で定められた定期点検を機に、一基、また一基と停止を繰り返してきました。
これは福島第一原発の事故の後、新たに導入されることになったストレステストの結果について、地元住民が納得していないこと、そしてこれまでと異なり地元自治体が無条件の承認を与えることが無くなったことによるものです。

日本のエネルギー政策は今、福島第一原発の事故の結果ますます高まっている反対世論と、多額の投資をしてきた発電設備を抱え込んでおり、従来通りの原子力政策の継続を望まなければならない原子力産業界からの政治圧力との間に挟まれています。

今さら驚くことではありませんが、これまで国内需要の3分の1を賄ってきた原子力発電がすべて止まったことは、日本国内の電力の供給、そして需要に著しい変化をもたらしました。
電力使用の分散のための週末や夜間の工場の稼働、エアコンの使用制限、そして石油石炭などの化石燃料の消費量の増大など。

電力消費を効率化するため、東京など指定された大消費地では8月の電力需要のピーク時の使用量の18%カットされ、一般家庭でも17%を目標とする消費電力の節約が行われました。

日本も2011年には1,000MW分の太陽光パネルを設置、再生可能エネルギーの使用を二倍にして、ドイツのスタイル再生可能エネルギーの固定価格買取制度を導入するための新しい法律を導入しました。
ブルームバーグ・ニューエナジー・ファイナンスの分析によれば、2014年には太陽光および風力発電により20GWの電力供給が可能になる見込みです。

今回の福島第一原発が引き起こした悲劇に心を痛めた人々は、日本のエネルギー政策により一層無関心ではいられなくなっています。人々の要求の中心にあるものはまだ具体的イメージは形作られてはいませんが、混乱を引き起こさずにエネルギー供給体制を革新していくことです。
そして日本の消費者はまず最初に、政府がそのエネルギー政策を明らかにすることを望んでいます。
しかし人々の考えとは裏腹に、政府は『福島後の原子力政策の推進』をするのかどうか、まだ明らかではありません。

先にも述べましたが、福島第一原発の事故に対するドイツ、英国両政府の対応は180度違ったものでした。
ドイツは2011年夏に、まず8基の原子炉の廃炉作業に着手し、残る原子炉も2022年までに完全に停止する予定です。
この方針はドイツ国内のすべての軌跡数の多い政党によって承認されました。たった一党この案に反対した政党の主張は、原子力発電の廃止までに10年間もかけるのでは時間がかかりすぎるというものでした。
二酸化炭素の排出量が増える、ドイツが電気を輸入しなければならなくなる、あるいは電気料金の価格が上昇する、といった批判が一部から寄せられましたが、これまでのところそうした指摘は間違っていることが証明されました。
ドイツは今も変わらず電気を輸出し、2011年のCO2排出量は2.4%減少したことにより、世論は原子力発電の廃止を支持し続けています。

一方では、ドイツの原子力産業界とその従業員が、機会があれば原子力発電の廃止という決定を覆したい、との思いには固いものがあります。
しかし再生可能エネルギーの発電設備は一気に進んでおり、2020年には35%、2030年には50%の電力が再生可能エネルギーにより供給される見込みです。
同時に新たな電気供給システムや電気の蓄電システム、そして化石燃料の発電設備に対する新規の投資も増え続けています。

結果的にこのことは、ただ単に原子力発電を続けるか否かという部分的な問題にとどまらない、より根本的な変革をドイツ社会にもたらす結果になりました。
そして新たな技術開発と技術革新が国家的規模で進むことにつながりました。
この事実は技術をどう使うかという面にとどまらず、その技術が社会全体にどのような恩恵をもたらすのかをしっかり見極め、その国の政府が素早く、しかし正しいタイミングで政策実行すべきことを世界に伝えました。

一方の英国の福島第一原発の事故に対する反応は?と言えば、新世代原子力発電所の建設計画を推進する旨の発表を行い、このような事故は英国では起こり得ないことを国民に向け強調することでした。
そして現在、新たな原子炉建設中止を企業側が次々発表する事態に、沈黙を守っています。

この3つの事例から引き出されるべき教訓とは、どんなものでしょうか?
まず一つ明らかなことは、たとえ事前の政治的合意や方針があったとしても、事故を受け一見不可能に見えても直ちにその方針を転換したことによって、環境面だけでなく、財政的にも恩恵があった、という事です。
ドイツは段階を経て、大規模な実利的なエネルギー・システムを作り上げてきました。
そしてことあるごとに反対意見に遭遇しながらも、社会がよりこれから長く安全・平穏に運営されるための戦略を立て、再生可能エネルギーへの切り替えを着々と進めてきました。
これは別の面では現在の有力電力会社などが国家のエネルギー政策を牛耳ることを妨げましたが、結局は企業自身にとっての利益にもつながりました。
ドイツの『脱原発』の決定は、市民が望むこれらもずっと社会正義の実現される社会と、産業界が望む技術革新とを、見事に融和させる結果につながりました。

ドイツは福島第一原発の事故の教訓を最大限に生かし切ったのです。


これに比べれば、英国の決定は近視眼的と言われても仕方のないものです。
技術的な恩恵は原子力発電を行う会社だけに限られ、経済的な問題も『今』だけに限られ、市民が望む安全で公正な社会の実現は、短期的であれ、長期的であれ、ほとんど顧慮されてはいません。
このような決定は想像力の産物でもなければ、最大多数の幸福を目指すものでもありません。

さて岐路に立つ日本はどうでしょうか。
1970年代に起きたオイルショックへ反応から、日本は原子力発電を中心に据えた、世界的にも類のない技術集約による産業用の大規模電源開発を行う一方、ソーラーパネルの開発にも乗り出しました。

そして今も続く福島の危機は、日本に新たなる挑戦と方針転換の機会を提供しています。

一方では原発に頼らない社会を実現するための技術開発が今後の基本的的土台を築き、そして日本が誇る研究、開発、そしてその成果を製品として世の中に出す能力が、再び世界を席巻する時がやって来るかもしれません。
しかしそのためには日本の社会全体が、このような変革を支えていく必要があります。
それは日本人自身が福島の厳しい経験から、学び取っているはずのものです。

こうした変革を目指すことの方が、原子力発電に固執して再生可能エネルギーなどの批判や妨害をすることよりも、安全なエネルギーが潤沢に生み出される社会につながっていくことでしょう。

キャサリン・ミッチェル : エクセター大学・エネルギー政策教授
アンソニー・フロガット : チャサム・ハウス上級研究員
馬奈木俊介(まなぎ しゅんすけ) : 東北大学 大学院環境科学研究科教授

http://www.guardian.co.uk/environment/2012/may/03/japan-nuclear-power-post-fukushima

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自分で読んでも感動できる記事や論文を翻訳した後は、気持ちのいいものです。
わたしがこれまで翻訳した記事の中で、最も気に入っているのはザ・ガーディアン(英国)の
[ フクシマ、それは津波と言う地獄を見た日本人が、決して見たくなかったもの ]http://kobajun.biz/?p=1664
ですが、今回の記事もそれに勝るとも劣らぬ内容です。
ここで私が付け加えるべきコメントも、特にありません。
例によってドイツの『脱原発』の成功を伝えない日本のメディアについては、今更触れるまでもありません。

それにしても、
「ドイツの『脱原発』の決定は、市民が望むこれらもずっと社会正義の実現される社会と、産業界が望む技術革新とを、見事に融和させる結果につながりました。」
などというドイツの現実には誠に羨むべきものがあります。
『脱原発』により、一時的に雇用や自治体の財源問題が発生する可能性がありますが、それもこの記事により克服可能であることが、私は確信できました。
何よりも、福島の人々を襲ったような悲劇が二度と起きずに済むのですから。

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【 ギネス記録更新 : 世界最大の波を乗りこなすサーファー 】

アメリカNBC放送 5月11日

Visit msnbc.com for breaking news, world news, and news about the economy

見とれるほかない映像です。

ポルトガルの沿岸で生涯最大の大きな波を乗りこなすサーファーです。波の高さは25メートル。
新しいギネス記録を達成したのはほかならぬハワイのサーファー、ギャレット・マクナマラさん44才です。
どなたも異論はないと思いますが、波の大きさを測るのに、体験してみる以上の方法は無いようです。

 

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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