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アメリカの中距離核戦力全廃条約からの離脱と中国、そして日本

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中距離核戦力全廃条約からの離脱は「中国だろうとどこだろうと、アメリカにたてつく」奴らに対する「脅し」だ!と発言したトランプ

米国と中国との間で貿易問題とアジア太平洋地区における覇権争いによって緊張関係的が高まり続ける

ムー・ツイ、ウェズリー・ラーン / ドイチェ・ヴェレ 2018年10月23日

 

米中間の緊張が高まり続けていますが、もし両国が新たな核兵器を開発する事態に発展すればアジア太平洋地域における米国と中国の戦略的軍拡競争が激化する可能性があります。

すでに中国国内には政府に対し核抑止力を拡大するよう求めるメディアも現れています。

 

10月19日、ドナルド・トランプ大統領は演説の中で、米国はロシアとの間に締結されている中距離核戦力全廃条約(INF)を離脱すると発表しました
中国は、中距離弾道ミサイル、核弾頭を搭載可能な陸上配備型および巡行ミサイルの開発を禁じる、時代を画したこの条約には加盟していませんが、米国の軍事能力拡大の可能性を前に目に見えて重圧が高まっています。

アメリカ政府のジョン・ボルトン顧問は0月21日にモスクワに到着し、ロシアと中国が中距離核兵器の開発と実験を今後も続けるのであれば、米国も中距離兵器能力の開発再開すると通告しました。

トランプ大統領はアメリカの対応は「中国だろうとどこだろうと、アメリカにたてつく」奴らに対する「脅し」だと述べました。
トランプによるこの新たな脅迫めいた発言は、ただでさえ米国と中国との間で貿易問題とアジア太平洋地区における覇権争いによって緊張関係的が高まり続ける中で行われました。

 

米国がINF条約を脱退し新たな陸上配備型ミサイルの生産を開始することになれば、中国政府と米国政府は今後さらに危険な戦略的軍拡競争を始める危険性があります。

 

米国家安全保障理事会(NSC)の中国部門の責任者でワシントンのブローキング研究所のライアン・ハリス氏は次のように語りました。
「今や米中間のあらゆる側面が一触即発の緊張関係に陥っています。」
「二国間の問題でこの緊張関係を免れることができる問題はなくなってしまいました。」

 

▽ 戦略ミサイルでは一歩先を行く中国?

2017年4月、ハリー・ハリス元米太平洋軍司令官は上院で証言し、米国がINF条約を遵守していた間に中国の技術開発が進行し、今やアメリカは中国人民解放軍のロケット部門と「同等の能力は無い」と警告しました。
「中国人民解放軍のロケット部隊は、世界最大級のそして世界で最も多種類のミサイル発射能力を有しており、そのリストには2000発以上の弾道ミサイルと巡航ミサイルが記載されている。」
そして中国が高度なミサイル技術に多額の投資を行った結果、現在ではグアム島にある米軍基地と台湾全土をいつでも攻撃できる能力を有していると付け加えました。

 

ハリス氏はもし中国が中距離核戦力全廃条約(INF)に加盟していれば、中国人民解放軍が保有するミサイルの95%は条約違反だと述べています。

ハリス氏は、「中国は米国のシステムをはるかに凌駕する、多種類の地上・空中発射ミサイルシステムを開発してしまっているのです。」
「アメリカはINF条約を遵守により開発が制限されてきたため、米国は最新の長距離ミサイルの開発能力や迎撃能力に後れを取ってしまっているのです。」

中国国内の一部の専門家は、米国とその同盟国と比較して中国の軍事能力はそれほど高いわけでは無いと語っています。

ドイチェ・ヴェレの取材に対し中国人民大学の政治学者であるシー・インホン氏は、INF条約による制約があったにもかかわらず米国の軍事的優位は変わらないと語りました。
「米国及び日本などの同盟国の軍隊は、航空機や海上から中距離ミサイルを発射する能力を有しています。」
1987年に米国とソ連の間で締結されたINF条約は、500〜5,500キロメートルの地上発射弾道ミサイルと巡航ミサイルを規制の対象にしています。

 

中距離核戦力全廃条約(INF)条約は陸上ミサイルだけを対象としているため、米国は現在の海上での戦略的優位性を維持することができます。

 

実際に中距離ミサイルを搭載したアメリカ軍の軍艦が中国が領海だと主張している南シナ海の海域を自由に航行し、定期的な哨戒活動を行っています。

しかし中国の軍事専門家は海上であろうが地上であろうがアメリカ軍がさらにミサイルによる攻撃能力を強化すれば、中国に対する重大な脅威となり、中国としては自国の安全保障上対応が必要となると語っています。

中国のミサイル専門家であるヤン・チェンジュン(Yang Chengjun)氏は中国の国営グローバル・タイムズ紙の取材に対し、米国がINFから脱退すれば中国の国家安全保障に「悪影響を与えることになる」と述べました。

 

「重要な利益を守るため、やむを得ないことながら中国は中距離ミサイルの開発を進めなければならなくなるでしょう。」

中国は1960年代の初頭からミサイル開発に着手し、以来継続的に開発改良に取り組んできました。
パキスタン、インド、イスラエル、北朝鮮、イランなどの国々も中距離ミサイルを国内で製造しています。

 

▽ 新たなる米中の軍拡競争の始まり

 

アジア太平洋地域において、米国アメリカは地上、海上ともにミサイル能力を有しています。
「アメリカ政府がアジア太平洋地区に新たに開発した中距離ミサイル持ち込めば、中国のミサイル開発は急加速することになるでしょう。」

シー氏は今後の見通しとして、アジア太平洋地区におけるの中国政府と米国政府の間の競争が激化するだろうと付け加えました。

「米中両国ともに軍拡競争の論理を用いています。」
シー氏がこう語りました。
「中国は核抑止力の開発及び第二次攻撃、と報復攻撃の能力を上げることを最優先で取り組むことになるでしょう。」

 

近年、グローバルタイムズ紙は中国政府の公式な代弁者とみられていますが、米国の覇権に対する批判姿勢を強めており、中国に武器生産能力をためるようあからさまに呼びかけるようになりました。
「われわれの核兵器能力は戦略的リスクの増加に対し、明らかに遅れを取っている。中国はこの安全保障上のリスクに対処するために、核抑止能力を高める必要がある。」

現在保有しているミサイル攻撃能力の規模、そして台湾、南シナ海、東シナ海における権益の大きさを考えると、中国は米国、ロシアとの新たなミサイル制限条約の締結を受け入れるかどうかは不透明です。

月曜日、中国外務省の広報担当者はINF条約は「重要かつ不可欠な」ものであり、米国の脱退は「多方面にマイナスの影響」を与えることになると語りました。

 

https://www.dw.com/en/inf-treaty-would-us-dropout-begin-an-arms-race-with-china/a-46002359

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世界の人々がトランプの『ディール』など、もうたくさんだ!いい加減にしろ!と思っていると思います。

今回の中距離核戦力全廃条約(INF)からの離脱発言も、日本国内では被爆地を中心に怒りの声が上がりました。

しかし一般的日本人となるとどうでしょうか?

「アメリカとロシアの話だろ、あんまり関係ない。」

と思っているとしたら、それは危険な間違いです。

 

軍拡競争ほど愚劣な競争はありません。

アメリカと中国との間で軍拡競争が始まってしまったら、その地理的位置と列島という形状から日本が無関係でいられるはずがないのです。

 

今でさえ安倍政権は福祉予算を削り、教育予算を削り、軍事予算を増やし続けています。

その流れが一気に加速すれば、一般市民にとってはどんな生産性もない高額な武器を購入するため、国民生活はますます苦しいものになるに違いないからです。

 

なぜ日本は今、軍事力の増強を急ぐのか?

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自衛隊は北東アジアをはるかに超えた世界をその視野に収めるという意図を持つに至った

自衛隊の海外派遣が日本製武器売却を含めた経済連携を強める結果につながれば、日本とってますます好都合

ブラッド・レンドン / アメリカCNNニュース 2018年10月16日

 

10月16日日曜日、戦車が走り過ぎ兵士たちが整然と行進する様を見て、アナリストたちは次のように分析しました。
日本の政権が自衛隊を名実ともに増強させるためキャンペーンの一環に他ならないと…

 

最新のF-35ステルス戦闘機を含むジェット戦闘機が上空を飛び、地上を戦闘車両がパレードする中、安倍首相は4,000人の自衛隊員を前に日本は防衛協力関係を欧州まで拡大すべきだと訴えました。
安倍首相は埼玉県朝霞市で毎年開催される自衛隊の観閲式に参列し、次のように演説しました。
「自衛隊は米国、英国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドなどの同盟国と協力し、警戒と監視活動に取り組んでいる。」

 

今年、日本の自衛隊は日本列島から数千マイル離れた場所にまでその存在を知らしめることになりましたが、専門家によればそれは中国に対する明確なメッセージです。
「アジア太平洋地区において覇権を確立したいという中国の野心は、結果として日本に最も大きな影響を及ぼすことになります。」
ランド・コーポレーションの国防問題担当アナリストであるティモシー・ヒース氏がこのように語りました。


「緊急時に中国の軍事行動を阻止できるだけの軍事能力を確保すること、そして中国のパワーに対抗するため同盟各国の政治的能力、軍事能力的のバランスを取ることに日本政府の関心が向いています。」

 

過去2ヶ月間、2万7000トンのヘリコプター駆逐艦JS加賀を含む3隻の海上自衛隊の戦闘艦が訓練のため、遠くインド洋まで派遣され、合わせて港湾への訪問も行っています。
その中で、日本の潜水艦が参加しての南シナ海における対潜水艦戦闘訓練も行われました。
紛争が懸念される海域での訓練で日本が潜水艦を使用したことを認めたのは戦後初めてのことです。
その潜水艦はその後、南シナ海において中国と領有権をめぐって争い、米国との友好的な軍事関係を発展させているベトナムの港湾施設を表敬訪問しました。

 

一方、日本の海上自衛隊の海洋行動にはインド洋での英国フリゲート艦との共同訓練に加え、インド、スリランカ、シンガポール、フィリピンへの表敬訪問が含まれていました。
さらに今月初め、日本の水陸両用強襲車両が第二次世界大戦以降初めて海外でアメリカ軍、フィリピン軍と共同で南シナ海からルソン島への上陸訓練の協同演習に参加しました。

「これで日本の自衛隊が北東アジアをはるかに超えた世界をその視界に収めるという意図を持つに至ったことが、はっきりしました。」
ベルリンのフリーエ大学(Freie University)の安全保障問題の専門家であるコーリー・ウォレス(Corey Wallace)氏がこう語りました。
「日本は中国に対し、アジア全域で何か不測の事態が初生すれば、米軍が直ちに対応できなくとも、日本の自衛隊の存在を無視することはできないぞ、というシグナルを送っているのです。」

 

▽ 憲法上の制限

 

米国は第二次世界大戦の終結以降、日本国内に約5万人の米軍兵士を駐留させ、日本の防衛の要としてきました。
日本の戦後憲法は軍隊(現状では自衛隊)の役割について国土の防衛にのみ限定し、「陸、海、空軍、その他の戦力を保持しない」と明示しています。

しかし日本の自衛隊は世界で5番目の軍事力を有し、長年北朝鮮と中国を仮想敵国に設定し、その軍事力の台頭に合わせ増強が図られてきました。

 

安倍首相はこの点を強調し、日本が正規軍を保有することを憲法上に明記するとして2020年の憲法改定を目指しています。

「過去5年間で、日本の安全保障環境はますます厳しい状況に置かれるようになってきている。」
安倍首相は10月16日日曜日の式典でこう演説しました。

8月に公表された日本の防衛白書は、安全保障環境の変化の中で特に中国の脅威に対する懸念を強調しました。
「中国の人民解放軍の近代化、運営能力の向上、日本近海における活動の一方的拡大は、日本を含めアジア地区や国際社会における安全保障上の懸念を強めている」
と述べています。

 

また日本の航空自衛隊が2018年上半期、中国軍用機の行動に対しスクランブル(戦闘機の緊急発進)を行った回数は、前年同期と比べ20%増加したとも述べています。

 

▽ アジア太平洋地区の軍主力を目指す

 

元オーストラリア軍将校でグリフィス・アジア研究所(Griffith Asia Institute)の研究員を務めるピーター・レイトン(Peter Layton)氏は、日本は英国、オーストラリア、インドなどの国々との協同演習を拡大することにより、「世界各国の心情的同盟関係の形成」に力を注いでいるいると語りました。
「このような関係は中国共産党の指導部に対し、その軍事的台頭に対し世界各国が警戒感を大きくしているという認識を強めさせることが主な目的です。ですから、日英、日豪、日印などの関係が同盟というほど強くなくとも、そして緊急事態に直ちに対応できるものである必要はないのです。」

「しかしこうした国々は有事の際、本当に日本を援護してくれるでしょうか?ここではっきりしたことは言えませんが、ある程度は中国の懸念を拡大させることができるかもしれません。」

(写真)2018年9月26日東シナ海と日本海上で定期訓練飛行を行うアメリカ空軍B-52Hストラトフォートレス爆撃機と日本の航空自衛隊F-15とF-2戦闘機。

 

軍事専門家は中国の軍事的台頭を相殺するという概念が最も重要だと語っています。

8月の防衛白書によると、2015年4月から2018年6月まで自衛隊は公式に発表された軍事演習を66回実施しましたが、これはそれ以前の3年間の53回よりも明らかに増えています。

 

しかしさらなる日本の軍事力の強化が進められる可能性があります。

昨年オーストラリアのABCニュースとのインタビューで、河野太郎外相は日本とオーストラリアが協同で南シナ海の監視活動を行うことは可能だと語っています。
オーストラリアの首脳との会談の後、河野氏は次のように述べました。
「南シナ海は非常に懸念される地域であることは明らかであり、私たちはこれから共同でできることを検討することになります。」

 

軍事専門家は日本から遠く離れた場所での演習にはもう一つ別の目的があると指摘しています。

 

日本製の最新鋭の武器のデモンストレーションです。

(写真)共同演習を行うアメリカ海軍ミサイル巡洋艦USSアンティエタムとミサイル駆逐艦USSミリオス、海上自衛隊ヘリコプター空母加賀、駆逐艦いなずまとすずつき。

 

 

「派遣された自衛隊の部隊が、武器の売却を視野に入れた経済連携を強める結果につながれば、日本とってはますます好都合なのです。」
レイトン氏がこう語りました。
「経済連携と武器売却事業は、日本がアジア太平洋地区の国々との長期的かつ強固な関係を作り上げるのに役立ちます。」
「自衛隊の海外派遣はアジア太平洋地区の安全保障政策と武器売却事業のどちらか一方だけが目的ではありません。両者は絡み合っており、どちらの側面も軍事力増強による戦争抑止政策を成功させるために欠かせないのです。」

 

https://edition.cnn.com/2018/10/15/asia/japan-military-visibility-intl/index.html

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この記事を翻訳していて気がついたのは、今日本国内でアベ政治を後押ししている『闇の勢力』の目的とは、日本にも軍産複合体を作り上げることではないか、ということです。

 

10年以上が経った後、アメリカのイラク戦争は『一方的な正義の行使』たったという評価が大勢を占めるようになりました。

では何のため一方的に力を行使したのでしょうか?

現在のイラクの首都バグダッド市内にはアメリカ企業の看板が林立しているということです。

それから考えれば、石油で潤うイラク経済の利権をアメリカが抑えてしまうことが目的たったのではないでしょうか?

 

でももう一つあるようです。

私の手元にはイラク戦争のドキュメンタリー映像がありますが、米軍のアパッチヘリを始めとする空爆部隊がイラクのT55、T60などの旧ソビエト製戦車を主力とする地上部隊を殲滅した記録が残されています。

一度書いたことがありますが、それは『屠殺』あるいは『虐殺』に近いものでした。

当然世界の軍事関係者はもっと詳細に検証しているでしょうが、得た結論は米国製アパッチヘリを自軍に配備することは『must』だと思ったでしょう。

意図的かどうかは知りませんが、アメリカはイラクの生きた人間たちを一方的に『屠殺』したことで、アメリカ製兵器の『優秀さ』を衝撃と共に世界に印象付けました。

セールス活動の一環だとしたらこれほど非道なビジネスはありません。

 

今回翻訳した記事では後半に、日本がそのアメリカの真似をしようとしている姿が浮かび上がってきます。

もちろん日本の軍産複合体はアメリカの軍産複合体と住み分けをするのでしょうが(でなければ非業の死を押し付けられるに違いありません。ケネディ兄弟、キング牧師、ジョン・レノンのように)、どちらにしても『死の商人』です。

 

そういえば安倍首相の祖父は大日本帝国が太平洋戦争を遂行していた時の農商務大臣であり、軍需物資の調達を一手に引き受けていたと言います。(http://kobajun.chips.jp/?p=8287)

当時の日本の軍産複合体と切っても切れない間柄であったことは容易に想像できます。

その時にできた関係は太平洋戦争の終了と共に、全て消滅したのでしょうか?

 

自衛隊を憲法に明記するのは、現在の軍事予算の上限を取り払うことも目的の一つでしょう。

それによって今以上に国家予算を軍備に振り向けることが可能になります。

 

次はその装備のオペレーターの調達です。

大量の武器には操作する人間が大量に必要になります。

そして敵地を最終的に『制圧』するためには、多数の歩兵が必要になります。

今ですら1年中隊員を募集しているのが自衛隊です。

『自衛隊の憲法明記』は徴兵制に大義名分を与えることになるでしょう。

 

『日本兵』が赤道近くのジャングルの中や砂漠を彷徨う日々が、再び現実になるかもしれません。

「ここにも希望はある」原子炉のメルトダウンから見学ツアーへ《後編》

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事故後初めて福島を訪れた人々は、実際にここに人間が住んでいることに驚かされる…

それまでの人生がすべて消え去ってしまうということについて、どう理解すべきなのか解りません

 

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2018年10月17日

しかし津波に襲われる以前は豊かな農産物や海産物で知られていた幾つかの町や村に、普通の市民生活と変わらぬ様子が戻っています。
今年の夏、福島第一原発の北40kmにある海水浴場が7年ぶりに再開されました。
農家は再び米や他の農作物の栽培を再開し、漁師たちが海に戻ってきました。

 

放棄された畑には太陽光発電所が建設されていますが、しかしそれも除染の際に被災地の地面の表面を削り取った放射能に汚染された土を詰め込んだ1,600万個の黒い袋がずらりとおき並べられた光景と比較すると、ごく小さく目に映ります。

 

2020年東京オリンピックの際、福島市では野球とサッカーの試合が開催されます。
福島第一原発の事故の発生後、収束作業に従事する数千人の労働者とその装備の備蓄拠点となったJビレッジも手入れされ、本来のサッカー選手のためのトレーニングセンターとして再生されることになっています。

「観光客の皆さんに来ていただいて、その目で福島の現実を確かめてほしい」

大熊町では地元で暮らす志賀修陽氏とその同僚の人々が、避難命令の解除に合わせ、来年4月の町役場やアパート、店舗などの再開を目指して懸命に準備を進めています。

 

さらに細部については未定ですが、伝統的日本家屋を改装して宿泊施設を貸し出す人向けのウェブサイトAirbnb(エアビーアンドビー)を使って宣伝する計画もあります。

2016年には52,764人が福島県を訪れ、県当局によれば3.11発生以前の訪問者数の92%以上にまで回復しました。

「事故後初めて福島を訪れた人々は、実際にここに人間が住んでいることに驚かされるようです。」
志賀さんこう語りました。

 

沿岸都市の南相馬市でホテルを経営する菅野貴弘氏は、福島第一原発や除染のための作業員の宿泊施設になっていた自分のホテルが、観光客や学校に通う子どもたちの研修旅行の宿泊施設に変わったのをその目で確かめることができました。
「福島を訪れるよう人々にすすめることはまだ難しいですが、福島第一原子力発電所の近くに住む人々が再び普通の生活を送っていることにみな驚いています。」

夫ビリー、娘シアラと一緒にこの地域をツアーしていたオーストラリアのノラ・レドモンドさんは、放射線によるリスクについて自分たちの「懸案について答えが出せた」と語り、福島第一原発の近くで数時間のを過ごしたものの、自分たちの健康について心配はしていないと語りました。
「過疎化が進んでいると聞いていたので、この場所で時間とお金を使うことは良い考えだと思ってやってきたのです。」
レドモンドさんがこう語りました。

「私は東日本大震災と福島第一原発の事故の破壊規模、つまりそれまでの人生がすべて消え去ってしまうということについて解りようがありませんでした。私たちは車であちこちを見て回りましたが、多分破壊された家は20軒ほど見たと思います。美しい木製のインテリアだったはずのものを見ましたが、それはすでに粉々にされ瓦礫に成り果てていました。それが私を襲った最も印象深いものでした。」

 

福島の被災地の住民は犠牲者であると言われると、皆心外な顔をします。
犠牲者という言い方は、放射線レベルが政府目標を下回った場所では地域内の経済活動が急成長しているという実情を無視した表現です。

原子力発電を推進している世界原子力協会はヨーロッパでは自然界に存在する放射線によって被曝する平均値が、低い場所では英国が年間2ミリシーベルト以下であり、高い場所であるフィンランドでは7ミリシーベルト以上に達しているとの見解を示しています。

 

「災害前と変わらぬ姿がこの場所や周辺の地域で再現されるまでには、これから何年もかかるでしょう。」
菅野さんが認めているます。
「それまでの間、私たちはできるだけ多くの人々にこの地を訪れてもらい、ここでの生活がどのような状況にあるかを自分自身の目で確かめてほしいと考えています。」
「そのための取り組みは今、始まったばかりなのです。」

 

https://www.theguardian.com/world/2018/oct/17/there-is-hope-here-fukushima-turns-to-tourism-after-nuclear-meltdown

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このタイミングでこの記事が掲載されたことで、福島第一原発の事故も東日本大震災も最大の問題は人間のことなのだということに改めて気づかされました。

先日、東日本大震災で最もひどい被害を受けた仙台市宮城野区の蒲生海岸に行ってきました。

かつては一般住宅が密集し、海に近い方には乗馬クラブや養魚場などがあり、野鳥を始めとする小動物の楽園だった湿原が広がっていたその場所はただの砂浜と化していました。

海岸線から内陸に切れ込んだ小さな河口湖が湿原であったことの名残をとどめているだけで、もはやいくつもの命の営みある場所ではなくなっていました。

「長い年月の中で、地形というのはこうして変わっていくのだな…」

とおもわず呟きました。

 

自然界という視点から見れば、地形はこうして数百年という単位で形を変えていく、それだけのことにすぎません。

しかしその場所で数十年の人生を過ごす人間にとっては、それまでの人生の記憶を刻んできたものが失われてしまう、奪われてしまうということは耐え難いことであるはずです。

 

東日本大震災は仕方がないが福島第一原発事故は許せない。

多くの人々がそう思っているに違いありません。

その思いを脱原発運動という形で取り組まれていらっしゃる方々に、改めて敬意を捧げたいと思います。

「ここにも希望はある」原子炉のメルトダウンから見学ツアーへ《前編》

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福島から原子力発電所事故の記憶が消えることはないかもしれませんが、それでもそこには人々の暮らしがあるのです

巨大自然災害と福島第一原発の巨大事故により、経済基盤を台無しにされてしまった被災地

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2018年10月17日

 

巨大地震と巨大津波の発生により福島第一原子力発電所が崩壊してから約8年が過ぎた今も尚、その傷跡が癒えることはありません。

痛めつけられ廃墟となった家屋が、もう作物が実ることのない水田の中に放置されています。
2011年3月11日の午後、日本の東北太平洋側の3県を横断し、福島県の1,600人の含め18,000人以上を殺した津波の通り道にはそんな光景が散らばっています。

 

福島ブランドは永遠に原発事のイメージがついてまわるかもしれませんが、一部の住民はわずかな期間福島を訪れることにすら危険が伴うという噂に憤慨しています。

 

彼らは福島に暮らす人々がいて、その生活が続いているという事実を世界に伝えるため観光に取り組んでいます。
「ここにいる人々は恐怖の闇の中で暮らしているという見方には納得していません。」
と少人数の団体にツアーを提供している地元のグループのひとつである『リアル・フクシマ』でガイド役をしている福島県職員の佐々木修三氏がこう語りました。

「福島である以上、ここは危険であるに違いないという考えはまったくの間違いです。」
ジョージア工科大学の学生たちの案内をしたばかりで、来年はデンマークから来る高校生グループのホスト役を務める予定の佐々木氏がこうつけ加えました。

 

今年の夏、ニュージーランドのジャーナリストのデイヴィッド・ファーリアー(David Farrier)氏が主催するネット・フィクス(Netflix)シリーズで『闇のツーリスト(Dark Tourist)』が公表され、その中で福島の印象を変えようと取り組んでいる人々が直面する絶望的な状況が書かれていました。

紹介されたエピソードの一つには、ファーリアー氏と数人の観光客が福島第一原発の周辺をマイクロバスで視察中、彼らの視線は放射能の線量計に釘付けになっており、計測値が跳ね上がる度彼らは目に見えて動揺している様子だったと書かれていました。

 

彼らは嫌々ながら被災地近くのレストランで昼食をとりましたが、随行していた県の職員が福島産の食品中の放射線量はEU諸国やアメリカ産の食品に含まれるよりはるかに低いと説明したにもかかわらず、ファーリアー氏は出された料理も放射能に汚染されているのではないかと疑っていました。

 

除染が行われた地域では放射線量は1時間あたり0.23マイクロシーベルトで、毎日屋外で8時間屋内16時間を過ごすと仮定した場合の年間被曝線量は1ミリシーベルト以下になり、設定された年間の目標をクリアしています。
放射線に対する人間の被曝線量の世界平均は、年間2.4〜3ミリシーベルトです。

小高区でランタン・ハウスというゲスト・ハウスを運営するリアル・フクシマのメンバーでガイド役を担当している平かりんさんは、ネット・フィクス(Netflix)のドキュメンタリーは放射線の危険性を誇張し過ぎており、被災地を完全否定するイメージを作り出してしまっていると主張します。
「この場所が絶望に支配されているかのような印象を与えるものでした。」
平さんがこう語りました。
「でもこの場所にも希望があるのです。」

 

しかし、津波と原発事故による荒廃の傷跡が消えたわけではありません。

太平洋を見下ろす丘の上には、津波にのまれて死亡した182人の浪江町民の名前が記されています。
そして内陸部は津波の到達範囲以上にはるかに広大なエリアが、別の大きな悲劇に見舞われたことを証拠だてています。

 

被災した福島第一原子力発電所からわずか2キロ離れた熊谷小学校では、避難命令が出された瞬間そのままに本や鞄などの持ち物が放置されたままになっており、教室全体が凍りついたように成っています。
外では草木や雑草が生い茂り、人間の姿を見かけない道路の上を野生のイノシシやアライグマが自由に歩き回っています。

3基の原子炉のメルトダウンによって避難した約15万人の人々のうち、後になって少数の人々だけが政府によって安全と判断された区域に戻りました。
一部の地域では日本政府が主張するより高いレベルの放射線量が実際に観測された事実を基に、子どもたちが長期間放射線に被曝する危険性を懸念している保護者もいます。

 

すでに他の場所に定住して新たな生活を築いた人々は、巨大な自然災害と福島第一原発の巨大事故によって経済基盤を台無しにされてしまった場所には、再び戻るべき魅力的な理由はないと考えています。

 

《後編に続く》
https://www.theguardian.com/world/2018/oct/17/there-is-hope-here-fukushima-turns-to-tourism-after-nuclear-meltdown

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ガーディアンのジャスティン・マッカリー氏の福島に関する記事の基本にあるのはヒューマニスムです。

以前ご紹介したガーディアンの編集方針の大本を示した【 危機の時代のジャーナリズム 】( http://kobajun.biz/?p=32830 )で編集主幹のキャサリン・ヴィナー氏は、市民の視点に立つ公正中立の報道を標榜しました。

ジャスティン・マッカリー氏の記事はその典型ともいうべきであり、私はこれまで同氏の記事をおそらく200本以上翻訳していると思いますが、福島第一原発の報道に関しても、例えば東京電力や日本政府に対する批判も先鋭化したものは多くはありません。

しかし福島第一原発の事故が紛れもない『人間の悲劇』であることを強く感じさせます。

 

ジャスティン・マッカリー氏の記事を翻訳していて、私自身、福島第一原発の事故現場には自分と同じ『人間』が暮らしているという視点を忘れてはならないということを痛感させられます。

自分がガーディアンのサポートメンバーになったのも、同氏の存在と無縁ではありません。

安倍首相、憲法の改定と自衛隊の強化について改めて決意表明

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自衛隊について国民は国際平和維持活動や災害救援のための非軍事的な貢献を強く支持
日本の有権者は憲法改定よりも賃金給与、教育費、そして日本経済の問題解決を求めている

ユージーン・ホシコ / AP 2018年10月14日

 

安倍晋三首相は10月23日、埼玉県の陸上自衛隊朝霞訓練場で行われた自衛隊の観閲式で、国際紛争を武力を用いて解決することを禁止している日本国憲法の改定を推進することについて、改めて決意表明しました。

 

安倍首相は約4,000人の自衛隊員を前に、隊員に誇りを持たせるためにも自衛隊の存在を明確に規定する憲法の改定が必要だと述べました。

「諸君自身の手で信頼を勝ち得た」
タキシードを着た安倍首相は隊員たちに向かいこう演説しました。
「すべての自衛隊員が強い誇りを持って任務を全うできる環境を整えることは、今を生きる政治家の責任だ。」

この日開催された自衛隊の観閲式では約260両の戦車やその他の軍用車両、そして40機の戦闘機が展示されました。

9月、与党自民党の総裁に再選されたことで安倍氏は首相最高3年の任期を務めることになり、宿願としてきた憲章改定を推し進める決意表明を行いました。

日本の保守派の多くが、現在の日本国憲法は第二次世界大戦後の敗北によって米国に押しつけられたものであり、屈辱的だと批判しています。

 

1954年自衛隊が設立された当時、当初世論はその役割について意見が二分されていました。
今日では、国民は国際平和維持活動や災害救援のための非軍事的な貢献を強く支持しています。

 

安倍氏は国際紛争の解決に武力を用いることを禁止している憲法第9条に、自衛隊の存在を明記する一文を追加したいと表明しています。
安倍氏が望むのは、日本の国軍の存在を明確に合法化することです。

これに対し憲法の改定に反対している人々は、日本の正規軍としての自衛隊の存在はすでに国内外において広く認識されており、憲法に違反するかどうかということはもはや問題にされておらず、憲法を改定する必要はないと語っています。

 

安倍首相が総裁を務める自民党はこれまで繰り返し第9条の解釈を緩和し、自衛隊の国際紛争の場での活動範囲を継続的に拡大してきました。
これに加えて安倍政権は2015年に安全保障関連法案を成立させ、アメリカをはじめとする同盟国(の軍隊)が攻撃を受けた場合には、自衛隊が武力を用いて援護できるようにし、戦後続いてきた日本の防衛に特化してきた役割を根本的に変更しました。

 

憲法を改定するためには衆参両院でそれぞれ3分の2の賛成を得た後、国民投票で過半数の賛成票を獲得しなければなりません。

日本国内のメディアの調査によると、日本のほとんどの有権者は憲法改定よりも賃金給与、教育費、そして日本経済の行方の方に高い関心を持っています。

 

https://apnews.com/55e995f9f19a48ef89989c29b1e9e604

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みなさんはアメリカ合衆国憲法の軍隊に関する定義をご存じでしょうか?

 

アメリカ合衆国憲法第1章
第8条[連邦議会の立法権限]
[第12項]陸軍を編成し、これを維持する権限。但し、この目的のためにする歳出の承認は、2年を超える期間にわたってはならない。
[第13項]海軍を創設し、これを維持する権限。
[第14項]陸海軍の統帥および規律に関する規則を定める権限。

 

お読みいただくと世界最強の軍隊はアメリカ議会の承認のもとに存在していることがおわかり頂けると思います。
そして[第12項]の「この目的のためにする歳出の承認は、2年を超える期間にわたってはならない」という文言は合衆国憲法成立当初は常設軍を持たない、という意味に解釈されていたようです。

 

しかし現在のアメリカ軍の編成を見て、
「あれは憲法違反だ」
と指摘するアメリカ国民は絶無ではないかもしれませんが、まず耳にすることはありません。

どうでしょう?こうして比べて見ると日本国憲法第9条は安倍首相が言うような「みっともない憲法」などではないことがよくわかりませんか?
「軍隊の存在を憲法に明記する必要性」など、アメリカですら認めていないのですから。

 

「お国のためだ」などと国民に戦争行為を強制する、それが国家として当然のことだと主張している自民党議員がいるようですが、その方が異常なのです。

憲法に国軍として自衛隊の存在を明記すれば、今度はそれを根拠に日本国内に徴兵制度が敷かれるかもしれません。

 

21世紀の現在、仮に日本と中国が最新鋭の兵器を叩きつけ合うような戦争になったら、どんな悲惨な事態になるか想像すれば誰にでもわかるはずです。

 

そんな戦場に『徴兵』によって家族を連れて行かれる事態に、あなたは耐えられますか?

 

 

靖国神社の宮司が天皇家を批判

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A級戦犯の合祀以降、裕仁天皇と明仁天皇ともに靖国神社を参拝せず
日本の『保守』と言われる人間達の多くが天皇家について本音でどう考えているかを垣間見せた事件

英国BBC放送 2018年10月11日

 

その在り方について国内外で論議が続く靖国神社は、同神社トップの小堀邦夫宮司が天皇陛下を強く批判する発言を行った後辞任することになったと発表しました。
小堀宮司は今上天皇である明仁天皇が靖国神社を一度も参拝していない事実を取り上げ、天皇陛下は靖国を潰そうとしている、私はそう信じていると語ったと週刊誌が伝えました。

 

東京にある靖国神社は明治以降の戦没者250万人の霊が祀られていますが、第二次世界大戦後戦争犯罪者として有罪判決を受けた戦犯も合祀(ごうし)されています。
このためことあるごとに近隣諸国、特に中国との間で緊張関係を作り出す大きな原因となっています。

今上天皇である明仁天皇は来年に退位する予定ですが、これまで一度も靖国神社を訪れたことがありません。
その一方で天皇陛下は、第二次世界大戦(太平洋戦争)で日本が敵とした国々との和解を進める取り組みに献身してこられました。
さらに明仁天皇は、中国と朝鮮半島における旧日本軍の行為について後悔の念を表明されるとともに、戦死者を慰霊するため太平洋に散らばる戦地もたびたび訪問してこられました。

これまでこうした行動に日本の右翼団体がしばしば反発する場面もありました。

 

6月20日に神社内の会議での小堀宮司の発言を暴露したのは週刊ポストでした。

小堀宮司は天皇を批判するという禁忌を破り、以下のように発言したと伝えられています。
「陛下が一生懸命、慰霊の旅をすればするほど靖国神社は遠ざかっていく。現在の天皇陛下は靖国神社を潰そうとしている。」

小堀宮司はさらに次期皇后である雅子親王妃は神道を「嫌って」おり、明仁天皇が退位すれば、徳仁皇太子と雅子妃は靖国神社を参拝しないだろうとも語ったと伝えられています。

 

英国BBC放送のルーパート・ウィングフィールド・ヘイズ東京特派員は流出したこの発言について、日本の『保守』と言われる人間達の多くが天皇家について本音でどう考えているかを垣間見ることができるめったにない機会を提供することになったと語りました。

 

この後靖国神社は声明を発表し、小堀宮司の発言は「極めて不穏当」なものだったと言及し、小堀宮司が宮内庁を訪れ陳謝したことを明かにしました。
宮内庁は皇室関係の事務を監督する官庁です。
靖国神社は、今月中に新たに別の宮司を選出すると述べています。

 

明仁天皇の父で、第二次世界大戦当時の天皇であった裕仁天皇は、1978年にA級戦犯14人が合祀されて以降、靖国神社を訪れたことはありません。

A級戦犯の合祀以降、裕仁天皇と明仁天皇は靖国神社を訪れていませんが、安倍晋三首相を含む数十名の有力政治家は繰り返し参拝を行い、国内外の反発を誘発していました。
中でも中国は閣僚などが参拝をするたび、厳しい批判を行ってきました。

 

▽ 靖国神社とは
• 1869年、明治天皇の時代に建立
• 戦没者250万人の魂を祀(まつ)っています
• 第二次世界大戦中の首相で1948年に戦争犯罪人として処刑された東条英機元首相など、有罪判決を受けた数百人の戦犯も合祀されています
• 靖国神社側は、数千人の市民も眠っていると強調しています
• 中国と韓国は靖国神社を第二次世界大戦当時の日本の残虐行為を正当化する存在だと捉えています

 

https://www.bbc.com/news/world-asia-45821700
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この記事はすでにBBC放送自身の手によって日本語訳されたものが公開されていますが、以下の文章を綴りたかったこともあり『私訳』しました。
私もSNSに多数アップされていた小堀宮司の発言なるものを聞きましたが、これまで多くの時間を割いて戦没者の慰霊と日本の平和への祈念に人生を捧げてこられた明仁天皇に対し、なんという言い草か!と思いました。

 

第二次世界大戦の際、日本の軍国主義者が、国民に『天皇陛下万歳!』と唱和させておきながら、実は天皇を傀儡化してオノレらの欲望を国家に仮託し、それを遂げるための『道具』として利用したことは、戦後明らかになりました。
事実に気づいて反対を唱えたりする人間がいれば、特高警察や憲兵を使って残虐非道な『取り締まり』をするという悪逆さを持ちながら、戦後になると一転して自分が首謀者ではないと言い募ったその醜悪さを、日本人は決して忘れてはならないと思います。

 

ところが2018年現在の日本政界にもこの連中と同根の人間たちがいて、国民は『お国のため』いつでも命を投げ出す覚悟を持たなければならず、そのためには憲法を変える必要があるという蒙論を繰り広げ、それがあたかも『議論』であるかのごとく語るあたり、私に言わせれば構造的痴呆集団です。

 

私は天皇制については、2000年近く家系が明確な一族など世界史的にも類がなく、また誠実で仁慈溢れる今上天皇が生涯をかけて日本、そして世界の平和を訴えて来られたお姿を見れば、このまま続いていくことが最も自然だと考えています。

 

問題なのはその存在を利用しようとする人間たちの方です。

今ほどその姿が明確になっている時はありません。

掛け声だけの地位向上 : 現実と闘わなければならない日本の女性たち

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女性たちの意見を大きく取り入れることが『民意』を反映するということである
子育てに忙しく安い賃金でパート労働を強いられ、家計のやりくりに追われる日本の女性たち
日本のいたるところで権力を握って離さない『老人』たち、将来の日本にとって深刻な脅威になる


ジュリアン・ライオール / ドイチェ・ヴェレ 2018年10月5日

 

日本の男性優位の政治社会に割って入ろうとする女性たちの闘いがいかに困難なものであるかを、最近起きた二つの出来事が象徴しています。
批評家は女性が今以上に力を持つことに、安倍首相が実はためらいを持っていることを象徴するものだと指摘しました。

 

安倍晋三首相は、10月20日午後、片山さつき氏を地方創生と女性活躍担当大臣を任命するなどした新しい内閣名簿を発表しました。

しかし恒例の新政権の写真撮影では安倍首相の後ろに並んでいた女性は片山氏1人だけでした。

 

政治評論家は2012年に首相に再任された際の公約に明らかに違反していると指摘しました。

5年前男女平等を促進するために公表された安倍政権のスローガンは、「女性が一人だけでは充分ではない」と宣言するものでしたが、皮肉にもその内容は首相自身の手によって無効にされてしまいました。

▽「女性の役割を前進させる」

 

安倍首相は自民党が2012年に政権を奪還する直前、「社会における女性の役割を前進させる」と宣言し、女性がその潜在能力を発揮できる社会変化の実現を約束しました。

 

2014年には内閣に5人の女性閣僚を任命しましたが、この数字はその後の内閣改造によって1人にまで減少し、現在は政権中枢にいる女性政治家1人だけと明らかに後退しています。

 

日本の政治社会が女性の進出を阻んでいるというもう一つの例は9月28日、熊本市議会で女性議員である緒方ゆうか氏が、口の中にのど飴を含んだまま質問を行ったところ、突然議場から退出を命じられた事件です。

49名の他の議員は緒方氏の行動が「議会の品位を尊重する」必要性に違反するとの決定を行いました。この時の会場内の様子を伝えた報道では議長が休憩を宣言するまで他の議員の「怒号が飛び交い」、議場は「混乱に陥った」。

 

特別懲罰委員会が開催され、緒方議員が咳止めドロップを口に含んだまま質問を行ったことを謝罪しなければならないと決定しましたが、緒方議員は議場で咳き込まないようにするための治療目的であったことを理由に拒否しました。

▽ 議会への出席停止

 

再度懲罰委員会が開かれ、緒方議員が議場に戻るのを禁じる命令を出しました。

 

2009年から2012年にかけて民主党の政治家を務め、現在は早稲田大学社会科学部の教授を務める中林美江子氏は、日本の政界がこれまで女性の本当の声を取り上げて来ことはほとんどなかったと語りました。
「安倍首相が掲げたスローガンでは「女性が輝く社会」を実現させるというものでしたが、それが意味するところは当時も今も謎のままです。」

中林教授はドイチェ・ヴェレの取材にこう答えました。

「私の見方では、安倍首相は自分と同じ保守的見解を持つ女性たちを宣伝したいだけに過ぎません。でもそういう人を一般の本当の女性とは言いません。」

「日本の政治も政党も、本当に民意を反映するものではありません。なぜなら女性が政党政治に本当の意味で参加してはいないからです。」

 

中林教授によれば日本の女性たちは子育てに忙しく、給料の安いサービス業での長時間労働を強いられ、さらには家計にやりくりにも追われ、政治的な声をあげる時間を確保することが極めて難しい状況にあります。

 

それでも政界に進出できるのは裕福な家庭や特権的高学歴を背景に持つ女性たちです。
しかし国会議員や閣僚といった地位についても、女性の力は限られており、男性の同僚に一貫して従属せざるを得ません。

男性の既得権益は確立されており、一朝一夕に変わる可能性は低いようです。

「状況は悲観的です。」
中林教授が認めました。
「日本の政治制度も選挙制度も政党に本当の力を与えていません。日本で権力を握っているのは政党の幹部と重鎮と呼ばれる老人たちで、女性には発言する権利すらないのです。」

 

北海道文教大学のメディア・コミュニケーション担当講師である渡部淳(まこと)准教授は、政治キャリアを持とうとしている女性にとって、日本の環境は見た限りにおいて絶望的とも言える状況であることに同意します。

「これまでの安倍首相の様々な公約が、皆空手形であったことが証明されてしまいました。」
渡部准教授がこう語りました。

 

「これは人々の心をとらえる公約で実現すれば善政といえるものでしたが、たった1人だけの女性閣僚が任命された事実により、結局はスローガンだけのものであったことを人々に認識させたと思われます。」

 

母系社会は一般に、家計は女性に任され、家系は母親を通じて続いていくものとみなされています。
さらに、財産は母親から娘に相続されていき、夫は結婚して妻の家に婿に入る形が取られます。
男性は政治的または社会的問題に関する意思決定を任せられます。
母系社会ではこうしたやり方が均衡のとれた分担だとみなされています。

▽ なお悪いのは議会の状況

 

「東京でもこれだけ悪い状況ですが、地方はもっと悪いと思います。」
渡部准教授がこうけ加えました。

「地方都市や小さな町では50年もの間変わっていない政治的手法によって運営されています。地方議会の議席に座る人々は、不動の政治姿勢と信念を持っています。」

「独自の文化と価値観を持っており、それを変えようとも変わろうとも思っていません。熊本の様に女性の政治家があらわれ、それまでとは異なった行動をしたり疑問を突き付けたりすれば、彼らは怒り狂った様に反応するのです。

 

渡部准教授は日本の非都市部で権力を握っている『老人』たちが、様々な意味で将来日本にとって深刻な脅威になると考えています。
「こうした制度や彼らの態度は進化する世界から取り残されています。そのために私たちの社会にとって危険な存在であり、日本社会の進化の障害となり発展を遅らせています。」
「それは変える必要があり、すぐにでも変えなければなりません。」

 

https://www.dw.com/en/japanese-women-struggle-to-have-a-voice-in-politics/a-45767961

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前々から思っていることですが、太平洋戦争以前、女性たちがもっと堂々と意見を言える国であったなら、日本はあの愚劣で残酷な戦争をやらなかったのではないでしょうか?

子供たちを生み育てる女性たちは何より命の大切さを思つているでしょうし、私が知っている様々な理由で子供を持つことができなかった女性たちは、血がつながらなくても周囲にいる子供たちを大切にし可愛がっています。

 

彼女たちが戦前の政界にいたら大東亜共栄圏だの八紘一宇だのという現実離れしたスローガンのために、その大切な命を差し出せとは言わなかったかもしれません。(とはいえイナダとかスギタとか最近の日本には蒙昧な政治屋が現れ、その辺りの自信も揺らいでしまっていますが…)

 

ともあれ、この記事の論調には心から賛同します。

 

大阪市長「慰安婦」像を実質公認したサンフランシスコ市と姉妹都市を解消

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記念碑の公認に対し大阪市長は従軍慰安婦の存在は歴史的に正しくないと発言

世界各地に数十基ある慰安婦像、アメリカを代表する大都市に登場するのはサンフランシスコが初めて

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2018年10月4日

 

2017年にサンフランシスコで公開された「慰安婦」記念碑

大阪市は、60年にわたるサンフランシスコとの「姉妹都市」関係を一方的に終わらせました。
理由は日本が戦時中に性的奴隷として使役した女性たちを象徴するモニュメントが、サンフランシスコ市内に存在することに抗議するためです。

 

昨年2017年にサンフランシスコのチャイナタウン地区で民間団体が建てた「慰安婦」像を、サンフランシスコ市当局が公共の財産として認識することに合意した後、吉村博文大阪市長は同市との公式な姉妹都市関係を打ち切りました。

「慰安婦」像は1930年代初頭から1945年に日本が第二次世界対戦に敗北するまで、戦場の最前線の売春宿で働くことを強制された中国、韓国、フィリピンの3人の女性と十代の少女を象徴するものです。

 

「慰安婦」問題に取り組む運動家と一部の歴史研究家は、1932年から1945年に日本が敗戦を迎えるまでの間に軍用売春宿で強制的に使役された従軍慰安婦の人数は20万に達するとし、大部分は韓国、中国、東南アジア諸国の女性たちで、これに少数の日本人とヨーロッパ人が加わっていたとしています。

ロンドン・ブリード(London Breed)サンフランシスコ市長宛の10ページにわたる書簡で吉村氏は、歴史家たちは戦時売春宿の運営に大日本帝国陸軍が直接関与していたかどうかについてそれぞれ見解が異なっており、彫像にされた女性の姿には歴史的証拠がないと主張しています。

 

慰安婦像の碑文にはこう記されています。
「この記念碑は1931年から1945年の間にアジア太平洋諸国13カ国で大日本帝国によって「従軍慰安婦」という婉曲的な名の下強制的に性的に使役された何十万人もの女性と少女の苦しみを目に見える形にしたものです。こうしてた使役された女性のほとんどは、戦争中に捕虜収容所で死亡しました。」

 

吉村氏は第二次世界大戦やその他の紛争の際には世界中の各地で性的虐待が行われていたことを無視し、第二次世界大戦中の日本の行為ばかりがことさら強調されているとつけわえました。

「私は女性の尊厳と人権を守る活動に賛同しています。」
吉村氏はこう書いています
「しかし、女性の基本的人権を守ることを目的とするのであれば、日本の従軍慰安婦問題にある種特別な注意を向けさせるのではなく、世界中の兵士たちによってこれまでに性的暴力や虐待を受けたすべての女性たちに関心が広げられるべきことを提案します。」

ブリード市長の前任者のエドウィン・リー元サンフランシスコ市長は2017年にこの彫像の受け入れを決定し、その際吉村大阪市長は60年以上にわたって構築された互いに信頼し合う精神を破壊したとの不満を訴えました。
しかし吉村市長は昨年12月リー元市長のが亡くなると、正式な対応を保留していました。

 

これに対しブリード市長の事務所の声明では、1957年10月に始まった港湾都市同士の姉妹関係の打ち切りを決定したことは 『不幸』な出来事だと述べています。

 

従軍慰安婦像は近年韓国を中心に世界各地に数十基設置されていますが、アメリカを代表する大都市に登場するのはサンフランシスコが初めてです。
カリフォルニア州で最多の韓国系アメリカ人が暮らすグレンデール市では2013年に慰安婦像が建てられ、地元住民のミチコ・ギンガリーとコウイチ・メラが『日本の名誉』を守るため慰安婦像の撤去を求めて訴訟を起こしましたが成功しませんでした。

 

この問題について運動している人々は、吉村市長は歴史を歪曲しようとしていると非難しました。
「慰安婦像を理由に長年友好関係を壊してしまうことは理不尽である上、馬鹿げています。」
慰安婦正義連合(Comfort Women Justice Coalition)の共同議長であるリリアン・シング氏がこう語りました。
「大阪市長と日本の首相が歴史的事実の存在を恐れ、それを葬り去ろうとしていることを如実に証明しています。」

慰安婦像設置のために公的なスペースが提供されたことについて、日本国内では2015年に韓国政府と日本政府の間で交わされた「日韓間の慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認」した合意の内容に反するとの批判が起きています

 

この協定には女性たちが受けた苦難に対する日本側の謝罪が含まれていたが、1965年の二国間の相互平和条約によってすべての補償問題は解決済みであると規定され、法的責任の存在は否定されました。

この際日本政府は元慰安婦を支援するため韓国政府が設立する「和解・癒やし財団」に10億円拠出することを約束しました。

 

しかし2018年9月、ムン・ジェイン韓国大統領は、この合意は韓国内の広い支持を受けていないために『機能不全』に陥っていると警告、資金が日本に返還される可能性があると語っています。

 

https://www.theguardian.com/world/2018/oct/04/osaka-drops-san-francisco-as-sister-city-over-comfort-women-statue

【 重要な課題を山積みにしたまま改憲に走るアベ政治 】

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現状のまま憲法改定を強行すれば、日本の経済改革は崩壊へと向かう

安倍氏は構造改革についてたくさんの話をしてきたが、身を入れて取り組んだことはほとんど無い
安倍政権の政策は日本の財政事情により持続不可能なものばかり

エコノミスト  2018年9月20日

 

若干の計算違いはあったものの、自民党総裁選の結果ははっきりと、そして楽勝という形で安倍首相の勝利を明らかにしました。
9月安倍晋三は自民党総裁選挙で3期連続で首位に立ち、党所属の議員票の69%を獲得しました。
自民党は日本の国会で過半数の議席を占めており、安倍氏は自動的に首相として3年間の任期を手にしました。

 

安倍氏はすでにそれまで連続2期に制限されていた自民党総裁の任期を自分の手で3期に延長しており、今度が首相として最後の3年間になるでしょう。

2019年の新天皇の誕生、そして2020年の東京オリンピック開催、安倍首相はこれらに加えこれからの3年間で何をしようとしているのでしょうか?

 

安倍首相は外交上の安全保障政策に固執しています。
彼は戦前軍国主義と植民地主義につき動かされ歴史に汚名を刻んだことにより出来上がったコンプレックスから日本を抜け出させ、国際紛争の場で日本が武力も含めどんな権限でも行使できるようにすることを強く願っています。

そのため安倍首相は、日本の平和主義の土台を築いた第二次世界大戦の敗戦後にアメリカが課した憲法第9条を廃止しようと長い間望んできました。

「憲法を見直すことは安倍氏の魂と血の中にあります。安倍氏を突き動かすマグマが入っているのです。」
ニュースレター「インサイドライン」を主宰する歳川隆雄氏がこう語りました。

 

しかし一方で安倍氏は現実主義者でもあります。
日本が平和主義から後退したことが明らかになれば、中国、韓国、北朝鮮を怒らせ、多くの有権者を警戒させることになるということが明らかになると、彼は若干の軌道修正に着手しました。

安倍首相は現在、日本が常設の軍隊の保持を禁止する条文、単に「自衛隊」の存在を正当化する一項を加えるよう主張するようになりました。

 

自民党とその連立与党である公明党は、憲法改定案を可決するのに十分な両院の過半数の議席を占めています。
しかしすべての国会議員が憲法改定に熱心であるわけではありません。
それでも尚憲法改定を押し進めると言うことになれば、安倍首相はそこに相当力を集中しなければならなくなります。
改定案はさらにその後、一層ハードルが高い国民投票での批准を必要とします。

▽ 安倍首相の『第一の公約』は経済問題だったはず

 

そのことは結局、安倍政権は経済政策に多くの時間を割くことはないという見方につながります。

安倍首相が、第3の任期中に30年間続いた日本のデフレに終止符を打つことができたと宣言することを願っている、歳川氏はそう考えています。

 

しかし日本経済は現在も尚、前例のない財政出動と金融緩和策に依存せざるを得ない状況にあるようです。
2012年に首相に就任して以来、安倍氏は構造改革についてたくさんの話をしてきましたが、身を入れて取り組んだことはほとんどありません。
最後の3年の任期もそのパターンが繰り返されるものと見られています。

 

首相は大企業が賃金の引き上げや国内の設備投資にこれまで溜め込んだ巨額の現金を投入ことを奨励するために、税法上の優遇措置を導入するかどうか迷ってきました。
さらに起業する人々への支援策、特に地方における対策については曖昧な話ばかり繰り返してきました。

事実、2018年初めに雇用に関する法律を修正した以降は、終身雇用制度の見直しを含めはっきりと違いがわかるような経済改革を再開する様子はありません。

同様に、これまで手厚い保護の下に置かれていた産業を自由競争の波にさらす取り組みに着手したものの、競争を加速させることについてはほとんど言及していません。

 

一方、安倍首相に最も忠実な同志であるはずの自民党議員の松島みどり氏ですら、安倍首相が日本の人口減少・高齢化の問題を無視していると認めています。
人口は1日当たり1,000人ずつ減少している一方、高齢化が進行し今や5人に1人は70歳以上です。
すぐに何か対策を取らなければ、労働者と消費者の両方が減少しているという最も深刻な理由で経済が萎縮している以上、安倍氏がいかなる経済政策を採用したところですべて無駄になってしまいます。

 

しかし安倍首相は労働力不足の問題を解決するために、大きな規模で移民を受け入れるつもりはないようです。
いや、むしろ移民の受け入れ拒否のチャンピオンといってよいでしょう。

 

日本国内の企業や団体はこれまでより多くの外国人労働者を雇っていますが、雇用期間は短期に限られ、従って家族とともに日本にいるわけではありません。
ただ新たに日本にやってきた人々も永住は許されないということを強調することだけはしなくなりました。

働く女性の割合は表向き上昇しており、労働世代人口の減少を補うのに役には立っています。
しかし日本の税制は結婚している女性にとって、特に収入の低い側(女性が多い)にとってメリットがありません。
女性が150万円以上の収入があれば途端に税金が重くなるため、多くの女性は非正規労働にのみ従事しています。

 

さらに自民党総裁選挙で安倍首相の対立候補が指摘しているように、安倍政権の政策は財政的に持続不可能です。
公的負債はGDPの250%に達しています。
政府は2025年にこうした収支のバランスをとる予定ですが、既に赤字はGDPの4.4%に達しています。
安倍首相は1年間後に消費税を8%から10%に引き上げるとしているが、それによって得られる歳入のほぼすべてが無料の託児所と保育園を設備する方針が既に決定しています。

 

さらに安倍首相は定年退職年齢を70歳にまで延長し、年金支給開始を遅らせることを可能にし、裕福な高齢者には医療費の自己負担割合を引き上げる方針も明らかにしました。
すべて財政上は歓迎すべきものですが、これからさらに積み上がると予想される日本の債務解消には見るべき成果は得られないでしょう。

「安倍首相が取り組もうとしていることはある程度は評価できますが、本当に問題を解決できるほどの効果はありません。」
と早稲田大学の中林美恵子教授がこう語りました。

 

悪いことに最後の任期ということから、さらには自民党内での後継者選びが激しくなると予想されることもあって、安倍首相が任期中に改革を達成することは難しいかもしれません。
そして来年には、参議院議員と多数の地方議会選挙が目白押しになっています。

 

もし安倍首相が自分の経歴を磨きたいと思っているなら、経済改革の手は抜かない方が身のためです。

 

https://www.economist.com/asia/2018/09/22/japans-prime-minister-has-a-lot-to-do-in-his-last-years-in-office

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この記事は既にご紹介した【 アベさん、経済再生の公約を反古にして改憲に走ったら、地獄を見ますよ… 】( http://kobajun.biz/?p=34495 )と同じ日のエコノミストの電子版に掲載されたものです。

これまでご紹介しただけで

アベノミクスが掲げた経済目標の大半が失敗に終わっている(ドイチェ・ヴェレ - http://kobajun.biz/?p=29815)

問われるべきは安倍首相の経済の実績「そんなものはあったのか?」(エコノミスト - http://kobajun.chips.jp/?p=28156)

大企業とそこに連なっている投資家と、中小企業や一般庶民との間にはっきりと格差を作ったアベノミクス(ニューヨークタイムズ - http://kobajun.biz/?p=25382)

などの指摘がありました。

 

政治の良心、それはアベ政治の下では『死語』なのでしょうか?

安倍首相が提案したキム委員長との会談、口で言うほど簡単ではありません

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日本と北朝鮮が話し合いによりさまざまな問題の解決を目指すことは、他の選択肢よりはるかに優れている

日本がこれまで行ってきた取り組みについて、安倍首相はもっと具体的な成果を得る必要がある

ジュリアン・ライオール / ドイチェ・ヴェレ 2018年9月26日

 

安倍晋三首相は北朝鮮への敵対姿勢を劇的に軟化させましたが、日本国民の拉致問題は依然として両首脳間の主要なポイントになる可能性が高いままです。

安倍首相は9月19日の国連総会の演説で、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長と会談する準備が整っていると述べ、北朝鮮に対するこれまでの強硬姿勢を軟化させました。

会談の実現により数十年続いてきた日本と北朝鮮の相互不信に終止符を打ち、「新たなスタートを」切ることができると語ったのです。

 

日本の政治アナリストは、安倍首相のコメントは、日朝の指導者間の会合を設定するため水面下で交渉が進んでいる可能性が高いことを示唆していると述べています。
安倍首相はちょうど1年前同じフオーラムで対照的な演説を行い、北朝鮮は外交の窓口を固く閉ざしていると警告した際、口調を幾分和らげ朝鮮半島の非核化に関する議論が「最大の関心事」だと語っていました。

しかし北朝鮮の核兵器と弾道ミサイルの問題が解決されなければ、国家間の外交関係を正常化することはできないという日本政府の立場を繰り返し強調しました。

 

解決しなければならないもう一つの大きな課題は、1970年代と1980年代に北朝鮮の工作員によって拉致された日本人の問題です。

 

▽ 可能性を探る

 

テンプル大学東京校のアジア研究担当部門責任者のジェフ・キングストン教授は、安倍首相とキム委員長の会談については今年初めに日本側の首相側で浮上したとの見方を示しました。
そして首脳会談をどう設定するかという議論については、水面下で行われてきた可能性が高いと付け加えました。

「しかし安倍首相にとって問題なのは、ここ数ヶ月の間に北東アジア地区の問題に関して行われた外交交渉や首脳会談では、結局のところ安倍首相は完全に蚊帳の外に置かれているという点です。」
「この事実によって日本は外交の舞台から完全に外に追い出されてしまいました。」
キングストン教授がこう語りました。

 

これは安倍首相が北朝鮮に対して強硬な姿勢をとり、「最大減の圧力をかけ続ける」政策の最大の支持者であったことが影響しています。
「昨年のこの時期、安倍首相は北朝鮮の体制変更を求めていましたが、現在は体制の継続を保証する考えを明らかにし、際立った路線変更を行いました。」

「それは非常に賢明な選択であり、話し合いにより解決を目指すことはその他の選択肢よりはるかに優れています。」
キングストン教授がこう語りました。

 

「安倍首相はすぐにでも実現可能だと考えられる問題から協議を始めることもできますし、まずは何が解決可能な問題か探ることから始めることもできます。」

しかし日本側が恐れていることがあります。
1970年代と1980年代に北朝鮮は日本人の民間人を拉致し、日本に潜入させる北朝鮮のスパイに日本語と文化を習得させましたが、この問題に関する交渉ができなくなる可能性があるのです。

明治大学グローバル・インスティテュートの政治アナリスト・奥村淳氏は、拉致に関する意見の根本的な違いがそれ以外のあらゆる交渉をすべてご破算にしてしまう恐れがあると指摘しました。
「安倍首相は自分に直接影響が及ぶ問題については政治的にも個人的にも立場を変える人間ではありません。北朝鮮の非核化も拉致被害者の問題もその範疇に含まれる課題です。」

「私はこの会談は決して実現しないとは言いませんが、安倍首相がキム委員長と会談を行った以上は、この2つの問題について日本が何も収穫がなく終わるということは許されないことだと思います。

 

「そしてもう一つ忘れてならないのは、すでに中国とロシアが実質的に金正恩政権の北朝鮮制裁を緩和しているため、もはや日本との外交交渉はそれほど重要ではなくなっているということです。」

 

▽ 関係はさらにもつれる

 

日本政府と北朝鮮との関係は、1910年から1945年にかけて日本が朝鮮半島を植民地支配し、その間の日本の「過去の不正な行為」について謝罪し補償を行うよう北朝鮮が引き続き要求すれば、一層こじれる可能性があると奥村氏が語りました。

北朝鮮は公的に補償金額を明示していませんが、数十億ドル(数千億円)規模になるとの予想が大勢を占めています。

北朝鮮の国営メディアは、ここ数カ月安倍首相と日本について、非難するタイミングを一度も逃しませんでした。
安倍首相が国連演説を行う数時間前、国営の朝鮮中央通信は「野蛮な軍国主義的野心」を持つ日本が東アジア地区の「平和をかき乱している」と非難する報道を行いました。

 

「さまざまな内容の会談が予想されますが、いずれにせよ安倍首相は日本がこれまで行ってきた取り組みについて、もっと具体的成果が得られるようにする必要があります。」
奥村氏がこう語りました。
「安倍氏がこれらの問題について正直で誠実であることを疑うことはないが、私は問題の解決は危険な賭けになる可能性が高いと考えています。」

 

[写真]北朝鮮建国70年 : 姿を見せなかった大陸間弾道ミサイル

毎年9月9日の北朝鮮の建国記念日の軍事パレード、今年はやみくもな主戦論は姿を潜めました。
建国70周年を祝う今年は大陸間弾道ミサイルを誇示することを控え、国の経済的成果を強調したプロジェクトを展開するパレードを行いました。

北朝鮮の正式名称である朝鮮民主主義人民共和国は、第二次世界大戦が終結したその日に旧ソ連と米国が朝鮮半島を分断した3年後の1948年9月9日に建国が宣言されました。朝鮮半島は平和条約によってではなく、1950〜53年の朝鮮戦争が休戦したまま今日に至っています。(写真上)

9月9日、数千人の北朝鮮軍兵士が自走砲や戦車の後に続き平壌市内を行進しました。建国記念祝典ではこれまで何十年もの間、孤立した独裁体制につきものだった好戦的姿勢には欠けるものでした。
兵士たちの隊列のすぐ後ろには数千人の市民が金経済的な成果を誇示し、朝鮮統一を求めるスローガンを掲げていました。

兵士たちの後に続いた市民たちは北朝鮮のソフトなイメージを表現するため、花と国旗を手にしていました。
韓国のリスクグループのチャド・オキャロル(Chad O'Carroll)マネージングディレクターは、
「北朝鮮は建国記念パレードについて本気で軍事的色彩を弱めようと考えたようです。」
そしていかなる形でもパレードで大陸間弾道ミサイルを誇示したら、非核化への取り組みにに疑念を抱かせる結果に終わっただろう、と付け加えました。

9月18日に平壌で首脳会談を行うムン・ジェイン韓国大統領は、北朝鮮首脳が非核化を具体的に進めるよう説得するつもりです。
すでに金正恩委員長はドナルド・トランプの大統領任期中に非核化を実現させたいと述べており、トランプは「ともに成し遂げる」とツイートしています。

 

https://www.dw.com/en/proposed-abe-kim-meeting-easier-said-than-done/a-45645446

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『外交のアベ』ということが大分揶揄されているようですが、この記事にもある通り、すでにトランプと金正恩の会談が実現し、中国とロシアが実質的に金正恩政権の北朝鮮への制裁を緩和してしまった後に日朝会談を提案するなど、機会を逸したどころの話ではなく、これほどの外交的不手際はありません。

『機を見て敏なり』という言葉がありますが、外交の要諦のひとつだと思いますが、対北朝鮮アベ外交を見る限り、まるでなっていません。

ここ十年ほどを振り返っても、イギリスやフランスやドイツがこんな下手な外交を展開した例しはありません。

拉致問題解決という点でも最悪の展開になってしまいました。

拉致被害者のご家族のみなさんも、結局はパフォーマンスだけ、そして事件を自分の利害のために利用するだけの人物ではない別の首相を迎えた方が報われるのではないでしょうか?

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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