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【 自らを致命的危機に陥れる、人類最悪の選択 】《4》

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所要時間 約 10分

最悪の汚染物質、ホット・パーティクル

このような環境の中で人間が10年から15年呼吸を続けたら、どんな結果が待っているか…

1960年製のコンクリートと技術によって作り上げられたゲンパツが危険であっても、何の不思議もない

 

フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイション 2016年7月29日

 

続いての問題は核燃料に関するものです。

 

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これはウースター工科大学のマルコ・カルトーフェンが走査型電子顕微鏡を使って撮影したものです。

この研究の最も優れているところは、福島第一原発由来の放射性物質が300マイル(約480キロ)離れた場所でも確認されたという事です。

これによって福島第一原発の事故の影響がその周辺に留まるものではないことが明らかになりました。

300マイル離れた場所で、これは電気掃除機の紙パックの中から採取されたものです。

掃除機の描きパックの中にこの物質が入り込んでいるのであれば、同じリビングルームで呼吸している人なら – たとえ電気掃除機ほどの勢いで呼吸していないとしても – その肺の中にこの物質が入り込まんでしまっているはずです。

 

次の写真 – これらは動車の空気浄化フィルターを並べたものです。

これらのフィルターに付着している黒い点は、ホット・パーティクルと呼ばれる物質です。

左端のフィルター、もっと大きなプロジェクターでないと解りにくいかもしれませんが、注意してよく見てください。

このシアトル市内を走っていた自動車のエア(空気浄化装置)フィルターにもホット・パーティクルが1個付着しているのです。

 

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しかし明らかに最悪なのは、やはり福島市市内を走っていた自動車のものです。

人間がいったいどんな空気を吸入しているのか、その結果を自動車のエア(空気浄化装置)フィルターに端的に表していると言って良いと思います。

このような環境の中で人間が10年から15年呼吸を続けたらどんな結果が待っているか、それを教えてくれたのが神ならぬ、《2》でご紹介したスティーヴ・ウィング博士のスリーマイル島の事故後、人々の肺がんの発症率を追跡した研究結果でした。

しかしアメリカ原子力規制委員会の見解はどういうものだったでしょうか?

スリーマイル島の事故による健康被害は何も確認されなかった、というものでした。

 

福島第一原発の事故を検証するシリーズで、前回フェアウィンズは、子供たちの靴について調べました。

そして私たちは福島第一の周辺から7足の靴を手に入れました。

そしてそれをアメリカ合衆国国内の7足の靴と比較したのです。

基本的にアメリカの子どもたちの靴からは放射性物質は検出されませんでした。

 

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しかし日本の子どもたちの靴からは、検出の限界近くではあっても放射性セシウムが検出されました。

さて、子供たちの日常行動を考えてみてください。

靴ひもを結んだ手で食べ物をつかんだり、手を口の中に入れたりはしませんか?

放射性物質に汚染された靴は、日本中のいたる所にあるのです。

 

次に検証しなければならないこと、それはスリーマイルの部分的メルトダウンによって始まった原子力発電所の事故が、チェルノブイリの一基の原子炉の完全なメルトダウンを経て、フクシマの3基の原子炉の完全なメルトダウンへと悪化して行ったという事実です。

そして事故の発生間隔は短くなっています。

状況は明らかに悪くなっています。

 

ティアブロ・キャニオン原発は稼働して30年以上が経過しています。

これは1960年代に設計されましたが、原子力発電所というのは建設に信じられない程の時間がかかり、その上多くの場合計画よりも完成が遅れていきます。

その間建設技術は日進月歩の速度で進歩するため、原子力発電所が完成する頃には『時代遅れ』の設備になってしまうのです。

 

4号機キャップ

私たちの目の前にあるのは、1960年製のコンクリートと技術によって作り上げられた設備であり、そんなものが危険であっても何の不思議もありません。

私自身もその事を十分すぎるほど経験してきました。

時間の経過とともに原子力災害発生の可能性は高くなる一方だという第二の結論の背景には、こうした事実があるのです。

 

そして第3は原子力発電の核心部分に関わる事であり、原子力産業界の人間が一般市民には決して知られたくないと考えていることです。

 

ウランの原子が半分に割れる(放射性崩壊する)瞬間、信じられない程大きなエネルギーを放出するという事は、現在は多くの人が知っています。

この事実が原子力発電の開発原理となり、核兵器の開発を可能にしました。

ウランを採掘し放射性崩壊させることにより、人類は莫大なエネルギーを手にしたのです。

単にそれだけのことなら、福島第一原子力発電所であれほどの問題は発生しませんでした。

 

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しかしウランの崩壊はそれだけでは終わらないのです。

関係者も為政者も決して触れたくない事実がそこにはあります。

それは核爆発の中心となるものです。

核爆発の連鎖反応です。

それによって全熱量の93%が外部に放出されますが、7%の熱量が放出されないまま内部に残ることになります。

それは何百年もの間、物理的熱量と放射性熱量を蓄え続けるのです。

 

福島第一原発の原子炉のうち、安全に稼働を停止した原子炉では核分裂(連鎖)反応も停止しました。

現在核分裂反応を起こしているウラン燃料はありません。

しかし現場には未だ7%の問題が残されたままです。

7%というと、それ程深刻な状況ではないように感じられるかもしれません。

 

福島第一原発の2号機について検証してみましょう。

2号機の出力能力は400万馬力でした。

400万の7パーセントを計算すると270,000馬力という数値になり、その分の熱量を何とかしなければならないということになります。

そして原子炉の炉心にある核燃料は12×12×12という単位で構成されていますが、この規格の中に270,000馬力の熱量が閉じ込められており、この核燃料を安全に管理しなければなりませんが、事故現場ではそれが出来ません。

 

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福島第一原発で起きたのは巨大津波がディーゼル発電機を動作不能に陥らせ、そのために原子炉の炉心に冷却水を送り込むことが出来なくなったという事態です。

しかしたとえこのディーゼル発電機がエンパイアステートビルディング程の高さの位置に有ったとしても、福島第一原発の原子炉はメルトダウンに遭遇したはずです。

なぜ?

その理由をこれからお話します。

 

《5》に続く

http://www.fairewinds.org/nuclear-energy-education//world-in-danger

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すでに実際に原発の廃炉作業に着手したドイツのメディア、ドイチェ・ヴェレやシュピーゲル誌(いずれもオンライン)が繰り返し伝えてきたとおり、原発の廃炉費用のツケが国民に回ってくる気配が濃厚になってきました。

【 8兆円負担増 電事連、国費求める 】(毎日新聞)

http://mainichi.jp/articles/20161004/k00/00e/020/174000c?fm=mnm

しかし前回掲載した【 一向に増えない日本の勤労者の収入 】(エコノミスト)の記事を読み、各電力会社の給与体系が国内でもトップクラスであることを考えると、まずは電力業界が『本気で』身を切って見せなければならないと思います。

そして原発の稼働から半世紀、事態がこうなった途端、ゲンパツとズブズブの関係を続けてきたはずの政治家や経済界の人間がさっと身を隠してしまうのも腹立たしい限りです。

とにかくゲンパツの周囲には、不正義のにおいがムンムンとたちこめているという印象がぬぐえません。

 

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【 ハリケーン・マシュー、ハイチ、ドミニカ、キューバに甚大な被害 】

アメリカNBCニュース 2016年10月7日
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10月4日、ハリケーン・マシューが襲来したハイチ、レス・カイエス。(写真上)

 

10月4日、ハリケーン・マシューが襲来したハイチ、ポート・プリンス。(写真下・以下同じ)
caribb-210月4日、ハイチ、ポート・プリンス、強風に傾ぐココナッツの木。
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http://www.nbcnews.com/slideshow/hurricane-matthew-lashes-haiti-dominican-republic-n659546

【 一向に増えない日本の勤労者の収入 】《後篇》

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所要時間 約 6分

賃金を引き上げて人材確保をしなければならない業界程、引き上げることが難しいという日本の現実

同じ仕事をしている公務員の平均的年収880万円、大企業710万円、中小企業420万円 - M. スタンレーの調査

 

エコノミスト 2016年9月17日

 

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日本の勤労者の収入が一向に増えないという現実に対し、企業の経営者たちは日本政府自身がその政策を見直すべきだと主張しています。

経団連は賃上げをしてもその3分の1が社会保障費の支払いに回されるとの試算を明らかにしていますが、10月には再び引き上げが予定されています。

高齢化が進む日本においては年金と医療費の支払いが嵩み続け、、社会保障費のシェアが下がることは、当分なさそうです。

しかし高齢化が進み労働可能人口が減少を続け、人材確保がますます難しくなっているにもかかわらず、日本において労働者の賃金を押し上げることは極めて難しいように見受けられます。

 

理由の一つに挙げられるのが、賃金を引き上げるべき業界ほどそれが出来ないという現実です。

一例をあげると公共保育園はスタッフがひどく不足していますが、国の規制があるために賃金を引き上げることができません。

Abenomics 4

 

このため多くの雇用主が退職金の引き上げやその他の対策を行なおうとしていますが、厚生労働省はより高い給与の支払いは、ボーナスや時間外手当などよりも消費支出の拡大にはるかに大きな効果を発揮するという見解を明らかにしています。

 

さらなる問題は同様の労働を行っているにもかかわらず賃金格差が存在する現状は、習熟度の違いによってその差が生じているという説明にもかかわらず、矛盾が大きくなっていることです。

政府統計を使ったモルガン・スタンレーの調査によれば、公務員の平均的年収が880万円なのに対し、大企業の場合は710万円、中小企業になるとそれが420万円と試算しています。

このように従来の終身雇用の下での『サラリーマン』と、非正規雇用の労働者との間の不公平なギャップが日本の労働市場をゆがめています。

 

日本の労働者は高額な報酬が支払われることよりも、安定した雇用の継続を望んでいます。

そして大部分の日本企業は、社員に対し能力よりも長期間努めたことに対して高額な報酬を与えようとし、その結果人々は転職を避けることになるのです。

 

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新浪氏はこうした日本のビジネス界の仕組みを「恐竜システム」と呼びます。

日本政府も長年この問題に取り組んできましたが、結果はさんざんでした。

 

日本ではいろいろな職場への人工知能の導入が進んでいますが、これは不足する労働力を補う、あるいは低い生産性を改善することが真の目的であり、最終的には労働者の賃金を引き下げることになるだろうという観測が一部にあります。

寿司チェーンでは徹底した省力化がすでに実現しています。

客は手元に置かれたタブレット端末を使って注文し、皿に乗った寿司はベルトコンベヤーで手元に運ばれてきます。

 

労働者の賃金を低く抑え込もうとする側の手元には、数多くのツールが運び込まれているのです。

 

http://www.economist.com/news/finance-and-economics/21707221-raising-japanese-wages-harder-it-looks-behind-pay-wall?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227

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【 アイウィットネス 】

 

ガーディアン 2016年9月30日

 

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インドのアミタヴァ・チャンドラが撮影したこの写真は王立生物学協会が主催する写真コンテストの入賞候補に挙げられています。

女性たちが採取しているのは、燃料や装飾用として用いられる『カシュ』と呼ばれる草です。

https://www.theguardian.com/world/picture/2016/sep/30/eyewitness-kolaghat-west-bengal-india

 

2016年9月9日

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雪が大好きなイアン・キャメロンがいるのは英国の最高峰ベンネヴィスの雪渓下側です。

https://www.theguardian.com/world/picture/2016/sep/09/eyewitnes-scotland

【 一向に増えない日本の勤労者の収入 】《前篇》

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所要時間 約 8分

健全な経済発展を支えるべき一般勤労者の賃金が上がらない日本、消費行動が鈍いのはあたりまえ

2017年、日本は名目賃金に加え諸手当の5%から10%の引き上げを『何としても』実現させなければならない

 

エコノミスト 2016年9月17日

 

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それはIMFにとっては正式な見解ではないということになっています。

8月、IMFが公表した報告書は、日本の企業が労働者に対しもっと高い賃金を支払わせるようにする政策を採るべきだと示唆しました。

この見解はIMFの前チーフ・エコノミストであるオリビエ・ブランシャール、そして別のもう一人のエコノミストであるアダム・ポーゼンの勧告の直後に行われました。

2017年、日本は名目賃金に加え諸手当の5%から10%の引き上げを『何としても』実現させなければならないと彼らは口をそろえて主張しています。

 

賃金政策は、長く経済学者に嫌われてきました。

その態度を捨ててまでこうした勧告が行なわれたという事は、日本経済の現状に対する懸念がいかに深刻であるかを端的に表しています。

 

安倍政権が進めてきた財政政策と金融政策では、日本人の消費行動を活性化させることは出来ませんでした。

GDPの約61%は個人消費から生まれますが、日本人の消費行動はきわめて鈍いままです。

その理由は日本人が現在デフレーションが進行していることを念頭に、モノの値段が将来さらに下落することを見越して消費を控えているからではありません。

収入が頭打ちの状態が続いているため、将来さらに自分たちが経済的に追い詰められることになるだろうと考えていることの方が、理由として大きいとみられます。

 

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IMFは1995年以降、日本の賃金の上昇率はわずか0.3%に過ぎないという状況を明らかにしました。

 

2015年、日本を代表する自動車メーカー、トヨタの従業員のベースアップはわずか1.1%というものでした。

IMFによればメンバーのほとんどが日本の大手企業である経団連加盟219社の平均的賃上げ率は、0.4%でした。

ところがこれらの企業が社内留保として積み上げている現金の総額は、約377兆円という巨額なものです。

 

安倍晋三首相は自らに対する評価を日本の景気回復に賭け、その中で低迷する賃金の引き上げを実現させようとしました。

そして政策の中で最低賃金の引き上げを行い、10月1日には再度引き上げが行なわれます。

 

しかしその政策の規模は大きくは無く、恩恵にあずかることが出来るのは労働者全体から見ればわずかなものです。

 

2016年度の賃金交渉においては、安倍首相は経団連に対し賃金の引き上げを依頼し、日本政府のオブザーバーが永久就職し組合制度によって身分が保証されている労使交渉の場に参加しました。

安部首相は次年度の交渉においても、同じ取り組みを行うつもりです。

 

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上のグラフを見ると日本の賃金は2014年で下げ止まり、2015年以降上昇に転じたことが解ります。

しかしそれは労働者実感できるほど早い訳ではありません。

モルガン・スタンレー(銀行)のロバート・フェルドマン氏は、賃金の上昇が少なくとも政府のインフレターゲットである2%を上回り、4%代に乗らなければ日本の勤労者層の消費マインドは改善しないだろうと見ています。

日本最大の労働組合である連合の須田隆氏は、大企業と比べ賃金上昇率が低いまま留まって来た中小企業の労働者の賃金上昇率をより高いものにしなければならないと主張しました。

そしてもともと給与の高い人々よりも、低い人々の賃金を上昇させることの方が、消費改善には効果的なはずだとも指摘しました。

 

しかし企業内に現金が積み上がっているにも関わらず、そして大企業であるが故にまだ労働力の不足という問題には直面してない経団連のメンバーたちは、円高によるコストの上昇を理由に賃金の引き上げには着手していません。

この点は安倍首相周辺にとっては非常に悔しい部分でしょう。

そこで彼らが提示したのが、賃金の引き上げを行った企業に対しては、法人税の減免措置をとるというものでした。

 

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しかし安倍首相に出来るのはここまででしょう。

安部首相自身は企業や権威や名声を手にしている経済学者を敵に回してまで、勤労者の賃金の引き上げを迫るつもりはないでしょう。

 

その代り日本政府は現在、企業の内部留保に対する課税を検討していると言われています。

「私はそれは脅しやはったりの類いだと思っています。しかし良い意味でのはったりです。」

サントリーホールディングス株式会社代表取締役社長で、政府の労働政策に関する諮問委員会のメンバーでもある新浪剛史氏がこう語りました。

 

〈 後篇に続く 〉

http://www.economist.com/news/finance-and-economics/21707221-raising-japanese-wages-harder-it-looks-behind-pay-wall?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227

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【 10月3日までの報道写真から 】

 

アメリカNBCニュース 9月25日~10月3日

 

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10月3日、アラブ首長国連邦ドバイの約50キロ南東のアルリザイリにある農場に帰るラクダのキャラバン。(写真上)

 

10月2日、イスラエル北部のハイファ近くの温室で、ワイヤーの上を歩きながら温室にネットを張る労働者。(写真下)

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9月25日、地中海上でNGOのプロアクティヴァ・オープン・アームズ(進んで差し伸べられた両手)の救助船に乗せられた8歳のソマリアの少年。政治的混乱が続き国境管理もできないリビアの約1,800キロの海岸線は、ヨーロッパへ不法に移住しようとするアフリカ難民の出港地と化しています。

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9月29日シリア、イドリブ市内の病院で治療の順番を待つ、空爆によって負傷したと見られる子供たち。

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http://www.nbcnews.com/slideshow/today-pictures-oct-3-n658866

【 スティグリッツ教授の『アベノミクスよりマシな経済政策』の提案 】《後篇》

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所要時間 約 7分

低所得者層と中所得者層に対する財政支援等、日本経済の需要の足腰をしっかりさせることがまずは急務

日本の優れた技術力、商品開発力を経済成長に結びつけられる政策モデルとは?

日本経済にほんとうの好循環を実現できる政策モデルとは?

 

ジョセフ・スティグリッツ/ ガーディアン 2016年9月15日

 

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あるいは日本政府は負債を無利子の資金に転換するという手段を採ることも可能です – 政府債務の解決手段として長い間禁じ手とされてきた貨幣発行(貨幣鋳造)という手段です。

たとえ貨幣発行による金融政策が国債を無期限の利子給付債権に転換する方法と比べインフレ懸念を大きくする可能性があるとしても、反対意見は出にくいと考えられます。

異論があるとすれば、それは効果が出るまで多少時間がかかるというものだけであるはずです。

 

多額の負債を抱える日本政府が、金利の上昇により窮地に陥ることを防ぐための第2の方法は、政府の負債の大きな部分が、実は政府資金そのものだという事を認識するところから始まります。

ウォール街の多くの人間は、日本の純負債は政府以外の市中に対するものであるという認識に欠けているように思われます。もし日本政府が政府資金から借り入れをしている分を返済すれば、実際にはそこにどういう違いが生じるのか、誰も解りません。

 

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しかし日本の公的負債のGDPに占める割合だけを見てきたウォール街の人々は、この事実に気が付けば日本に対する評価が一変することでしょう。

 

結局こうして見てくれば、日本の経済不振の根本的要因として残るものは、つまるところ需要の不足ということになります。

これを解決するための手段は、消費税の減税、投資に対する税額控除の拡大、低所得者層と中所得者層に対する財政支援、そして政府予算を技術開発と教育分野により多く配分していくということになります。

旧態な経済学はインフレの発生を恐れます。

しかし日本経済が必要としているものは、その『恐れ』を現実のものにする事なのです。

 

日本が抱える問題を子細に見ていくと、需要側だけにはとどまらない問題があります。

一時間当たりの生産性を検証すると、日本は特にサービス産業において供給側にも問題があることが暗示されています。

日本の製造業の分野で数多く見られる独創性が、サービス産業に限ってはまったくと言って良い程確認出来ません。

当然の成り行きとして日本が力を注ぐべき成長分野はサービス産業の技術開発です。

例えばヘルスケア産業分野における診断用機器の開発などです。

 

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しかし、安倍晋三首相はこれとは全く異なるアプローチをしてきました。

そして米国他の環太平洋地域の10カ国による環太平洋パートナーシップの取引協定、すなわちTPPを支持しています。

安部首相はTPPに参加することにより、自ら手を下さなくとも、必要とされる日本の農業分野の構造改革が否応なく進むものと考えているようです。

しかし面白いことにアメリカ国民の多くは、TPPがアメリカの歪の多い農業政策を改善に向かわせる効果があるとは考えていません。

 

実際、現在の日本経済においては農業分野が占める割合は小さく、仮に安倍首相が期待する構造改革が実現したとしても、GDPの数値に効果が現れることはほとんど無いでしょう。

ただ別の意味合いとして、そうした改革は日本の若い人々がその独創性を発揮する格好の場となるという意義はあります。

ただしそのための環境を作るために、TPPが最良の方法なのかという疑問は依然残ります。

 

ウォールストリート

他方で安倍首相が日本の労働力不足を解決する方法として、女性と男性の条件を完全に平等なものとする政策を進めていることは正しいというべきです。

成功すれば、日本の生産性向上と経済成長に確実に貢献することになります。

 

4分の1世紀に渡る停滞が続いたにもかかわらず、日本は単一経済圏として世界で3番目に大きな規模を維持しています。

日本国民の生活水準を上げるための政策は、グローバル経済の中の他の分野における需要と成長を促進する効果を発揮することが出来ます。

と同時に重要なのは、そうして生まれる革新的な商品や技術は世界と共有することが可能であり、最終的に日本の輸出の成功につながっていくという事です。

日本の革新的な商品や技術が他の先進国における生活水準を引き上げ、その結果増々日本の商品や技術に対する需要が高まっていくという、本当の好循環を生むことが可能になるのです。

 

〈 完 〉

https://www.theguardian.com/business/2016/sep/15/a-better-economic-plan-for-japan

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秋期の国会が始まり、安倍首相はアベノミクスを飽くまで推進するつもりのようです。

しかし私は、このスティグリッツ教授の提案の方が、ずっと実効性が高いように思います。

 

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【 10月1日の報道写真から 】

 

アメリカNBCニュース 10月1日

 

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ダマスカス郊外の反政府勢力支配地区に対する空爆の現場から、子どもを救い出す男性。(写真上)

 

ダマスカス郊外の同じ現場で、救急車の中で搬送を待つ負傷した子供。

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http://www.nbcnews.com/slideshow/today-pictures-october-1-n657986

【 スティグリッツ教授の『アベノミクスよりマシな経済政策』の提案 】《前篇》

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所要時間 約 8分

安倍政権が公表した経済政策より、もっとちゃんと機能する経済政策が必要

経済成長はそれ自体が目的ではなく、最終的に国民の生活水準の向上が実現されなければならない

 

ジョセフ・スティグリッツ/ ガーディアン 2016年9月15日

 

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日本でいわゆるバブル経済が破綻してから、4分の1世紀が経過しました。

そしてその後に続いた「失われた10年」が日本経済を麻痺させたまま4分の1世紀が過ぎました。

日本の経済政策に対する批判の中には不当なものもあります。

 

経済成長はそれ自体はが目的ではなく、国民の生活水準の向上が実現されなければなりません。

日本は人口減少が続く先進各国の中で先頭を走っている一方、生産性の方は増加していました。

このため生産年齢の1人当たりの生産量は増加していました。

特に2008年以降、アメリカ国内における数値よりも高く、そしてEU圏内における数値よりも著しく高くなっていました。

 

しかし日本人は、自分たちはもっとうまくやることができると思っています。

確かにそうでしょう。

 

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しかし日本には需要と供給の双方に、そして実体経済と財政状況の両方に問題があります。

こうした問題を解決するには、つい最近日本政府が公表したものよりも、もっとちゃんと機能する経済政策が必要です。
これまでの政策はインフレ・ターゲットをクリアすること、日本経済に対する国民の信頼を取り戻すこと、そして日本経済が健全性を取り戻すために必要なレベルまで経済成長率を引き上げること、そのいずれも実現できませんでした。

 

はじめに試みるべきは二酸化炭素の排出に課税を強化する一方で、緑の産業に対する本格的な財政援助を行うことです。
これにより日本経済の構造転換を促す、大規模な投資行動を促進することになるでしょう。
まず間違いなくこの政策は、二酸化炭素排出型の産業基盤の価値の減少が続き、経済全体の金融的価値を減少させているネガティヴな実績を上回るプラスの経済効果を生むことを可能にします。

 

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二酸化炭素排出型の産業の縮小によって日本経済が被る資産規模の縮小はそれほど大きくはありません。

その上この産業は、新たな価値体系とも非常に相性が良くありません。
このような政策転換はボトルネックに迂回路を作るような政策よりも、より大きな投資を市場に呼び込むことが可能であり、さらには税収もふえ、日本の公的負債を減少させることにも効果を発揮するはずです。

そして副次的効果として、技術開発と教育に対する投資を拡大させる効果も期待できます。
その中には日本のサービス産業の生産性を改善するため、供給側の態勢を改善する方法も含まれます。
これらの投資や支出が組み合わせられることにより相乗効果が生まれ、これまでの経済政策では不可能だった、最終的に日本をデフレーションから脱出させることが可能になります。

 

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国外の関係者の多くは日本が巨額の公的負債を抱え込んでいることに懸念を募らせています。
現在のように金利がきわめて低い水準に留まり続ければ問題もそれほど深刻化しませんが、世界市場全体で金利が上がるようなことになれば、自体は楽観できなくなります。

私自身はそのような金利上昇が喫緊に起きるとは考えていませんが、日本はそうした自体に備えるための予防措置を2つ採用することが可能です。

 

1番目の手段。

それは現在市中にある国債を換金不能にし、その代わり毎年少額の利息を支払い続けるという権利に変えてしまうことです。
こうすることにより、政府の貸借対照表の負債項目から完全にリスクを取り除くことが可能になります。

 

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こうした政策に対しては、日本経済がインフレ傾向に向かうことを懸念する人もいるでしょう。
しかし現在日本経済が落ち込んでいる上下逆さまの状況には、インフレ傾向は逆に必要なことであることに間違いはありません。
私は金利の急上昇に対する懸念は大げさ過ぎると考えています。
しかし数かぎりない懸念はとりあえず脇に置いておき、言えることはハイパーインフレ圧力が起きない限り、あるいは起きるまで、インフレ傾向が現実になれば日本政府は毎年5パーセント前後の負債の削減が可能になります。

 

〈 後篇に続く 〉

https://www.theguardian.com/business/2016/sep/15/a-better-economic-plan-for-japan

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経済記事の翻訳というのはなかなか骨が折れる作業なので、正直気が進まないのですが、スティグリッツ教授は『弱者の視点』を持つ数少ない世界的経済学者であり、その教授が日本の経済政策に提言を行っているという事で翻訳してみました。

その結論(後編に掲載)を読んでみて、だてにノーベル賞を受賞した訳では無いなと思うと同時に、結論を見て私が長年漠然と「こうすればいいのではないか?」と考えていたことに明確な輪郭を与えてもらったような気がしました。

ただ、今日における中央銀行の果たすべき役割等については、知識も造詣も無く、翻訳の大意が誤っていないことを願うのみです。

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【 シリア、停戦が破綻、政府軍が激しい空爆】《2》

 

アメリカNBCニュース 2016年9月26日

 

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シリア政府とその同盟軍は、停戦が破綻した直後、アレッポ市内の反政府勢力の支配地域に対する激しい空爆を行いました。

9月21日空爆の後、がれきの中から負傷者を救出する人々。(写真上)

 

9月23日アル・ムアサラト地区で空襲の後、がれきの中から救出された幼児の体(生死は不明)を運ぶ男性。(写真下・以下同じ)

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9月23日アル・マルヤ地区でがれきに埋まった子供の体(生死は不明)を引き抜こうとする人々。

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9月24日仮設の病院で治療を待つ負傷者。

アレッポ市内の反政府勢力の支配地区に残って治療を続けている医師の数は30人だけです。

数百人の命を救うための医薬品も極度の欠乏の中にあります。

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9月25日、空爆後の反政府勢力の支配地区アル・カタージ。

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http://www.nbcnews.com/slideshow/failed-ceasefire-leads-heavy-bombardment-aleppo-n654691

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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