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星の金貨 東日本大震災や音楽、語学、ゴルフについて語るブログです。

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【 ハドソン川のフクシマ 】《4・完結》

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所要時間 約 10分

あらゆる産業廃棄物の中で最も危険な放射性廃棄物は、最も目に見えにくく、存在を確認することが最も難しい
「独立した管理監督」など期待すべくもないエネルギー行政と原子力行政、事業の推進ありきの姿勢があからさま
産業界と産業行政のデタラメを正し、本当に安全な社会を実現できるのは市民の力の結集!

エレン・カンテロウ、アリソン・ローズ・レヴィ / ル・モンド・ディプロマティーク
4月1日

Day 5
老朽原発の間近に高圧の天然ガス・パイプラインの建設を許可するという間違いだらけの判断は、事業の推進ありきの姿勢が生み出したものです。
パイプライン設備の設計製作と事故調査の専門家として40年以上の経験を持つリチャードB. カプレヴィッツ氏は、今回の判断について次のように語りました。
「深刻な程不十分で不適切なものです。」

廃止が決まっている別の原子力発電所でも、デイビッド・ロックバウム氏が指摘した通り、最悪の事態が発生した場合には原子炉が爆発する危険性がわ決めて高いことが確認されました。
しかしインディアン・ポイント原子力発電所のリスク分析に基づく事故想定は、何もかもがうまくいくという前提で作られました。
中でも特筆すべきは、具体的にはどのようなパイプラインの断裂事故が発生しても、3以内にガス漏れを止めることが出来るというあり得ない程楽観的な展開が前提となっている点です。

「まさに夜と昼ほどの違いがはっきりしています。原子力発電規制当局は他の原発に対しては厳しい審査基準を適用しながら、なぜかインディアン・ポイント原子力発電所については考えられない程楽観的な状況を作りだしたのです。なぜこんな楽観的な結論を出したのか、私には理解できません。」

FR24 破壊された福島第一原発
▽ あたり一面を墓場に変えてしまう原子力規制

現代のような高度工業社会における産業廃棄物の中で最も危険な存在であるにもかかわらず、放射性廃棄物は最も目に見えにくく、そしてその存在を確認することが最も難しい物質です。
この事実が時に物事を誤った方向に導くのです。
その結果1979年3月28日にペンシルバニア州ミドルタウン近くのスリーマイル島の原子炉がメルトダウン寸前まで行った事故が証明したように、『原子力の平和利用』が抱える本当の危険について認識することを難しくしているのです。

原子力発電所が高速道路や一般住宅地の近くにあっても、原子力工学などというものは一般市民の知識の外にある以上、人々が注意深く監視するなどということはありませんでした。
こうした事情から原子力発電所の管理その他については、一般市民は国にまかせっきりにしてきました。
しかしインディアン・ポイント原子力発電所の歴史は、原子力災害から国民を守らなければならないはずの原子力行政というものが、政府機関の中で突出していい加減な仕事をしてきており、市民が厳しい目を向けなければならないものであることを証明しています。

4号機建屋
最近になって米国イリノイ州のパイプライン施設周辺の住民たちが、連邦エネルギー規制委員会(FERC)は産業界に一方的に有利に計らう偏った政策を行っているとして訴訟を起こすなど、市民がやっと現実に目覚めたことを示す事例が目立ち始めました。
申請のあったすべてのパイプライン建設を許可するなど明らかに管理体制に問題がある連邦エネルギー規制委員会にとって、こうした動きは気がかりでしょう。

今回の訴訟は1938年以来アメリカ国内の天然ガスのパイプライン建設の許認可を行ってきた連邦エネルギー規制委員会(FERC)に対するものであり、争われるのはイリノイ州に建設されるパイプラインへの許可についてだけです。
エネルギー規制委員会はその設立以来、ほとんど例外なく申請のあったほぼすべてのパイプライン建設に許可を与えてきました。
さらに悪いことにインディアン・ポイントの場合、原子力規制委員会までがパイプラインの建設許可与えたエネルギー規制委員会の裁定をそのまま追認したのです。

パイプラインの建設が承認され建設が始まった2年半の間、主流メディアはこのプロジェクトの存在とどれ程の危険性があるかという事実を実質的に無視しました。

インディアン・ポイント原子力発電所
インディアン・ポイント原子力発電所の稼働延長そのものに反対してきたアンドリュー・クオモ・ニューヨーク州知事がこの2月、老朽化した原子力発電所のすぐ近くにパイプラインが建設されることの危険性について懸念を表明して初めて、ニューヨークタイムズはこの問題に関する情報の一部をニューヨーク大都市圏向けの地方版で報じたのです。
こうしてパイプライン建設プロジェクトとそれに関連する原子力発電所の本当の危険性が地方在住の活動家に伝わり、その市民運動を通じて一般市民全体に情報が伝わっていったのです。

パイプライン建設反対運動はアンドリュー・クオモ・ニューヨーク州知事が先頭に立ち、ハドソン川河畔で福島第一原発型事故の発生の危険性が無いかどうか、安全性に関する検証が完了するまでその建設を延期するようエネルギー規制委員会に要求する事態となりましたが、同委員会はこれを拒否しました。
そしてさらに2月に原子力発電所からトリチウムが漏出していることが明らかになり、驚いたクオモ州知事は合衆国政府の環境保全・健康問題を所轄する部門に対し、この放射性物質の漏出が地域住民の健康にどのような悪影響を及ぼす可能性があるか調査を要求しました。

ポール・ブランチ氏の試算によればインディアン・ポイント原子力発電所の周囲に設備されるパイプラインが爆発する可能性は1000分の1の確率で、この数字は引き起こされる結果を考えた場合、危険な程高いものです。
ブランチ氏が考える『許容範囲』は100万分の1までです。

核爆発
「私には45年以上の原子力産業界と産業界の安全管理業務の経験がありますが、アメリカ国内の2,000万人以上の人々の生活と安全が脅かされる可能性のある危険など、これまで見たことも聞いたこともありません。それはインディアン・ポイント原子力発電所の周囲で暮らす人々が何世代にもわたり受容しなければならない危険でもあります。」
「私は人騒がせな人間ではないつもりであり、人からそう言われたこともありません。しかし高圧のガスパイプラインが老朽化した原発のすぐ近くに敷設されれば、フクシマ級の巨大災害に発展する可能性は充分にあり得ることなのです。」

ブランチ氏によれば、福島第一原発、チェルノブイリ原発事故後に明らかになった原子力発電所の管理監督は、「あたり一面を墓場に変えてしまう規制」の下で行われていたという認識が広まりました。
フクシマ級、チェルノブイリ級の原発事故が、あるいは70年前にヒロシマで現実になった地獄が再びニューヨークのすぐ近くのハドソン川で現実になる場面を経験したいと思う人間など一人もいないはずです。
そしてニューヨークに林立する摩天楼が、原子力災害によってそのまま墓石に変わってしまう事態など、あってはならない事です。

仏・フラマンヴィル
これらすべての事態を回避し、大都市圏で暮らす一般市民を守るために、ただ一筋の望みが存在します。
現実を直視し、本当の危険に気づくことが出来る市民が一貫して増え続けることです。
「Power to the People !」(市井の人々に力を!)
それはかつてジョン・レノンがうたったこのフレーズに、新たな意味を加えます。

〈 完 〉
http://mondediplo.com/openpage/a-fukushima-on-the-hudson
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【 75歳になったロック界の詩人 : ボブ・ディラン 】

アメリカNBCニュース 5月24日

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第37作目となるスタジオ録音アルバム[堕ちた天使たち(Fallen Angels)]の発売に合わせて行われる予定の夏のツアーが始まる一週間前の5月24日、ボブ・ディランは75回目の誕生日を迎えました。

ディランはその経歴の中で、『抵抗の歴史』を創り出しました。
それはプロテスト・ソングの創作から、伝統的楽器に限られていた演奏形式を打ち破って大胆に電気楽器を取り入れたことまで多岐にわたりました。
写真上は『真実のつぶやき(True Confessions Tour)』と名づけられたツアーをサンディエゴのスポーツアリーナで開始した時の様子。

1965年、BBCの番組で歌うディラン。(写真下・以下同じ)
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1965年、ジョーン・バエズと一緒にロンドンで。
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1965年ニューヨーク市のコロンビア・スタジオでフェンダーのストラトキャスターを抱えるディラン。
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1976年11月26日、サンフランシスコのライヴ会場で、ザ・バンドをバックに歌うディラン。
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1985年7月13日、フィラデルフィアでローリング・ストーンズのキース・リチャードと一緒のステージ。
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2002年8月3日、ニューポート・フォーク・フェスティバル。
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2012年5月29日、ディランに自由勲章を授与するオバマ大統領。
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http://www.nbcnews.com/slideshow/forever-young-rock-poet-bob-dylan-turns-75-n579736

【 2020年東京オリンピック不正疑惑〈続報〉 – 世界中に連鎖拡大 】《後篇》

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所要時間 約 11分

日本から送金があった時期、パリのシャンゼリゼーで高額宝飾品を買いあさっていたマッサタ・ディアク
FIFA、国際陸上連盟、2020年東京オリンピック…巨額の不正事件発覚の度に見え隠れしていた巨大広告会社の存在
IOC理事会、コンサルタント、商業権利を独占する『関連企業』が絡み合う利害関係のネットワーク

オーウェン・ギブソン / ガーディアン 5月21日

東京五輪06
私たちは現在、国際刑事警察機構から国際指名手配され、ダカールで足止めされている国際陸上連盟(IAAF)の元マーケティング・コンサルタントのパパ・マッサタ・ディアクのまだ20代と見られるアシスタントが、コンサルタント料として200万ドル以上の現金を受け取ったことを信じこまされようとしています。
支払われた理由は「オリンピック開催指名獲得計画のコンサルティング、プレゼンテーションの練習手順の確認作業、国際ロビー活動機関への働きかけ方に関するアドバイス、そして情報分析、メディア分析のための手法」に関するアドバイスのためです。
マサッタ・ディアク自身はあらゆる不正と自分は無関係であると語っています。

今回の一連の疑惑が明るみに出るきっかけを作ったのは今年1月のフランスの日刊紙ル・モンドの報道でした。
パリのシャンゼリゼーで時計を始めとする宝飾品などの購入に派手に金を使っていたパパ・マッサタ・ディアクが、多額の金銭授受に関わっていたという事実が確認されたのです。
日本の共同通信社はこの時マッサタ・ディアクがハイエンドの宝飾品を購入するために使った金額は約13万ユーロ(約1,600万円)に上り、その時期はまさに2020年東京オリンピック招致委員会から支払いがあったタイミングだったのです。
これら一切の金銭のやりとりについて、フランスの検察当局は事実関係をすでに確認済みであると見られています。

東京五輪08
今年ガーディアンは2008年にやり取りされた電子メールの存在を確認しましたが、その事実と今回の疑惑が無関係だとは思えません。
この中で2016年のオリンピック開催地として名乗りを上げていたカタールが、イニシャルだけが解っている国際オリンピック連盟(IOC)の6人のメンバーに何かの『包み』を配った際、接触を繰り返し色々と打ち合わせを行っていた相手としてパパ・マッサタ・ディアクの名前が出てきます。
日本のマーケティング市場において巨大な存在である電通は、日本国内においてはきわめて大きな力を持っています。
電通はパパ・マッサタ・ディアクとの契約に基づく交渉により、2029年までの国際陸上連盟(IAAF)の全面的な販売権利を得ましたが、2020年東京オリンピック開催に関わる今回の問題について、厳しい質問を避けることは難しいと見られます。

スイスのルツェルンに拠点を置くアスレチック・マネジメント&サービス社(AMS)には、かつてFIFAでの疑惑が明るみに出た際関係を疑われた、FIFAの契約企業のインターナショナル・スポーツ&レジャー社(ISL)の役員と同じ人間たちが在籍しています。
ディック・パウンド氏が指揮した世界アンチドーピング機構(WADA)の報告書は、インターナショナル・スポーツ&レジャー社が電通のためのサービス会社だと説明していました。
電通はアスレチック・マネジメント&サービス社(AMS)は子会社ではないとしていますが、『ビジネス上の関係』があることは認めています。
パウンド報告書には、ハン氏がAMS社により顧問に任命されていると記述されていました。

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AMSのウェブサイトは同社の『日本の広告業界の巨人・電通との長期の契約関係』について誇らしげに記述し、同社の役割が、電通が商業権利を一手に握っている国際陸上連盟並びに国際水泳連盟(FINA)の世界選手権を『成功裏に世界各国に浸透させ、商業化する』ことであるとうたっています。
この業界に詳しい内部関係者は、国際陸上連盟と国際水泳連盟に関わるビジネスには他の業者が入り込む余地はほとんど無いと語っています。

往々にして国際スポーツ界の政治的分野とビジネス分野で役員などを勤める人々は他にも多くのポストを兼任しますが、偶然と言えるのかどうか、2020年東京オリンピック招致委員会の委員長を務めた竹田恒和氏は、国際オリンピック連盟のマーケティング委員会の委員長も務めています。

そして同じマーケティング委員会のテーブルを囲む委員のひとりにゼップ・ブラッター国際サッカー連盟(FIFA)会長の長年の友人である高橋治之氏がいますが、彼はかつて電通の上級役員を勤めていました。
彼は昨年、招待チケットの販売業者であるベニー・アロン氏からブラッター会長に対し200万ユーロを支払うよう要求されたとして告発されました。
ベニー・アロン氏の申し立ては、FIFAの前事務局長ジェローム・バルケの辞任につながりましたが、高橋氏とブラッター氏はアロン氏の申し立てについて否定しています。

東京五輪05
日本の国会での質問に対し安倍首相が答えたように「この問題は徹底的に調査されるべき」であり、フランスの検察当局の捜査も2024年オリンピック開催の最有力候補としてパリが名乗りを上げていることを視野に入れつつも、これまでは賞賛されるべき仕事ぶりを披露してきました。
さらに今後はもつれ合った複雑な関係をすべて明らかにする取り組みが望まれます。

「コンサルタントの力が無ければ、2020年オリンピックの開催地に東京が選ばれることは無かった…それが現実です。」
樋口修資元オリンピック招致委員会事務局長がこう語りました。

ソルトレークシティ・スキャンダルが世界中の注目を集めて以来、2020年東京オリンピック疑惑に関わる問題は再びIOCを最悪の状況に追い込んでいますが、コンサルタントが影響力を行使できた背景にはIOC理事会の複数のメンバーの存在があったのではないかとの疑問が持たれています。

他の理事とともに東京に旅立つことになっているトーマス・バッハIOC会長は、次のように語りました。
「私たちはと戦うため、あるべき場所に適切な手段を有しています。しかし、だからと言って腐敗が起きないという事ではありません。私たちはこれからこの忌まわしい問題を解明するため、できることはすべてやるつもりです。」

東京五輪09
インターナショナル・スポーツ&レジャー社(ISL)はアディダス創業家のホルスト・ダスラーが設立した会社ですが、そのダスラーの後援を一度は受けたことがある人物として、バッハ会長は現代スポーツ界にはびこる裏の世界の闇取引や高邁な理想をあざ笑うかのように行われている『現実的政治』に手を染めている人間たちよりも、まともな人間であるべきことを学んだはずです。

彼は自らが語った理念を、自らの行動によって証明しなければなりません。

https://www.theguardian.com/sport/2016/may/20/tokyo-2020-olympic-bid-questions
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みなさん、ぜひ『インターナショナル・スポーツ・アンド・レジャー』と『アスレチック・マネジメント・アンド・サービス』について、インターネットを使って調べてみてください。
この記事の執筆者が結論としては書きえなかったことが、みなさんの眼前に浮かび上がってくるはずです。
それにしても日本が支払った金額の出所はどこなのでしょう。私たち市民が支払った税金なのではないでしょうか?それも『教育予算』と同じ部門の。
適切に使われていれば、経済的に苦しい日本の子どもたちが望むような教育を受けられたのではないでしょうか?国際スポーツ界に巣食う贈賄ヤクザがパリでばらまいたのは、本来そういう風に使われるべき資金だったのではないでしょうか?

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【 灰燼と化した都市:原爆が投下された後の広島 】《後篇》

アメリカNBCニュース 5月27日

広島38
1945年8月6日朝、米国は第二次世界大戦の終結を急ぐべく原子爆弾を投下し、核兵器時代の幕を開けました。
バラク・オバマ大統領は、5月27日金曜日に広島を訪問する初の現職の米国の大統領になります。

バラク・オバマ大統領は、5月27日金曜日に広島を訪問する初の現職の米国の大統領になります。
その日起きたこと - 何十万人もの市民が殺され、数えきれないほどの人々が放射性物質により放射線障害を始め体調に異変をきたした一方、その数日後には長く続いた第二次世界大戦太平洋戦線でのこれ以上の戦いをあきらめた日本が降伏 - の結果と影響はあまりにも巨大であり、70年以上が過ぎた現在も全容を理解するには至っていないのです。
1945年8月6日、広島に原爆を投下後、テニヤン島の基地に帰還するB-29スーパー・フォートレス(空の要塞)エイノラ・ゲイ(陽気なエイノラ)。(写真上)

1945年10月、広島市内の相生橋付近の廃墟の中を歩く人々。(写真下・以下同じ)
広島39
1945年10月、廃墟と化した広島市内。
広島40
1945年10月、広島市元町地区の護国神社の鳥居前で、打ち合わせをする調査チームの人々。
広島41
1945年11月、広島赤十字病院前。(撮影 : アメリカ軍)
広島42
1945年11月、原爆ドーム周辺の惨状。(撮影 : アメリカ軍)
広島43
http://www.nbcnews.com/slideshow/city-ashes-hiroshima-after-bombing-n580206

【 2020年東京オリンピック不正疑惑〈続報〉 – 世界中に連鎖拡大 】《前篇》

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所要時間 約 10分

国際陸上連盟発の疑惑は東京オリンピック招致の贈収賄へと飛び火、国際オリンピック連盟も炎上
日本の国会での野党の追及・フランス検察の捜査により、事件の全容が少しずつ明らかに

オーウェン・ギブソン / ガーディアン 5月21日

東京五輪06
「“Of course , we are not amused . ”( もちろん、私たちは愉快な気分ではありません。)」
東京が贈賄によって2020年のオリンピック開催権利を獲得したとされる疑惑を巡って事態が拡大発展している状況について尋ねられると、国際オリンピック委員会のトーマス・バッハ会長は、ヴィクトリア女王のこの有名な言葉を引用しました。
バッハ会長の出身地であるドイツでは、以下のように別な表現を用います。
「“Wash me but don’t get me wet ”(誰にも気づかれないように私の犯罪記録をきれいにしてくれ)」
この言葉は組織的犯罪とマネーロンダリングに関するドイツ人なら誰でも知っている言い回しです。
世界のスポーツ連盟のひとつであるモナコに本部がある国際陸上連盟に端を発した疑惑は、日本の東京オリンピック招致の贈収賄へと飛び火し、そして今はスイスのジュネーヴ湖畔に本部を置く国際オリンピック連盟までが炎上する事態となりました。
冒頭に掲げた二つの引用は、今回の事件が個人的疑惑を通り越して、世界的スポーツ機関の組織全体への疑惑に拡大発展しつつある状況を表現したものと言えます。

東京五輪03
オリンピックの開催権利を巡るスキャンダルについては、1998年のソルトレーク冬季大会での疑惑を最後に根絶されたものと考えられてきました。
ところがリオデジャネイロ・オリンピック開催を目前に、ロシアの国家ぐるみのドーピング疑惑にかぶさるようにして暴かれた今回の疑惑は、世界のスポーツ界を巻き込む形で決して小さくは無い最悪の事態へと発展する様相を見せ始めています。

今回の一連の疑惑の発端となった人物は、ロシアのドーピング疑惑のもみ消しを依頼され、多額の金銭を受け取ったとして解任追放された元国際陸上連盟(IAAF)の会長ラミン・ディアクでした。
ガーディアンはこのラミン・ディアクの息子が関わる会社の銀行口座に、日本から7ケタ(数憶数千万円)の送金があった事実を報道し、関係する日本の機関がその釈明と詳細な情報公開を迫られる事態となりました。

しかしその実態は、日本の関係者の釈明内容よりずっと根の深い問題です。

東京五輪5
国際オリンピック委員会の委員であり、2020年東京オリンピック・パラリンピック招致委員会委員長を務め、開催地選定の際に責任者を務めた竹田恒和氏に、今回の疑惑についてガーディアンが最初に質問を行った際の返答は、1週間公務にはついていないためコメントすることは出来ないというものでした。
そして東京オリンピック組織委員会はすでにオリンピック・メインスタジアムの設計の白紙撤回やロゴの盗用疑惑まで数々の難問に直面させられてきましたが、ガーディアンの質問に対しては、『疑惑の中身について知る術がない』という回答を行いました。

竹田氏を始めとする東京オリンピック開催に関わっている日本の役員たちは、開催地の選定や大会組織の編成などに幅広く関わってきたにもかかわらず、東京オリンピック委員会のスポークスウーマンである小野氏は、
「開催地として最高の条件を提示したため、東京が選ばれたと信じています。」
と語りました。

東京五輪 2
同じ頃、フランス検察当局はシンガポールに拠点を置くブラック・タイディングス社とロシアのドーピング疑惑を隠ぺいする見返りに100万ドル以上の現金を受け取った疑いを持たれているディアクとの関係を徹底的に調査していました。
そして日本の国会でもこの問題について野党側が3日間に渡る追及を行い、疑惑の中身が少しずつ姿を現し始めたのです。

ディアクは当時オリンピック最大の種目である陸上競技の国際組織の会長であり、国際オリンピック委員会でも枢要な地位を占め、特にアフリカでは絶大な影響力を振るっていました。
ディアクは現在パスポートを取り上げられ、フランス国内に留まっていますが、今回の疑惑について一切の公式コメントを行っていません。

国際オリンピック委員会への工作活動のため東京からブラック・タイディングスへ最初の支払いとして契約金約1億円の送金が行なわれたのは、2013年7月1日から9月30日までの間であったことが、現在確認されています。
竹田氏によれば「開催地指名獲得に成功するための要因分析」のための費用を含めた第二回目の契約金137万5,000ドル(約1億5,000万円)は、10月5日から11月30日までの間に送金されました。

東京五輪07
疑惑が明るみに出た後、日本の放送局がブラック・タイディングス社の登記上のオーナーであるイアン・タン・トン・ハン氏を追跡し、シンガポールのダコタ・クレセント通りにあるアパートにいることを突き止めました。
ディック・パウンド氏が指揮した世界アンチドーピング機構(WADA)の報告書には、ハン氏はラミン・ディアクの息子のパパ・マッサタ・ディアクとは年来の友人関係にあり、2008年の北京オリンピックで知り合って以降、自分の息子の名にマッサタと名付けるほど親しい間柄であると記述されています。

映像の中に登場するハン氏と見られる20代の男性は、数百万ドル・コンサルティング契約に普段関わっている人間が暮らしているとは思えないアパートから出てきました。
彼は捜査当局に協力していると語りました。

大胆にもロシアを相手にドーピング・スキャンダルを腰を据えて徹底的に暴き出す報告書を制作したハジョ・セッペルト氏は、ガーディアンの取材に対し、ハン氏は2014年ごろから不正に関わっている人物としてその存在が疑われ、後に国際陸上連盟の上級役員であるニック・デーヴィス氏が調査の中で特定した人間と同一人物であると語りました。

東京五輪3
もうひとつはシンガポールの日刊紙トゥディが伝えたものであり、同紙はハン氏の母親と確認された女性から直接話を聞きました。
彼女は海外での仕事が無ければ母親と一緒に暮らしているという事ですが、現在は仕事で不在であり、それ以上のことは答えられないと語りました。

〈 後篇に続く 〉
https://www.theguardian.com/sport/2016/may/20/tokyo-2020-olympic-bid-questions
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先週翻訳・ご紹介したザ・ガーディアンの2020年東京オリンピック不正疑惑に関する報道の続編をご紹介します。記事の後半の方に国際スポーツ界のドロドロした内幕と日本の某企業の関係が語られるので、できれば1回でご紹介したかったのですが、やはり長すぎますので2回に分けてご紹介します。
【 ハドソン川のフクシマ 】《4・完結》の掲載もまだですが、この記事の後にご紹介する予定です。

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【 灰燼と化した都市:原爆が投下された後の広島 】《前篇》

アメリカNBCニュース 5月27日

広島09
1945年8月6日朝、米国は第二次世界大戦の終結を急ぐべく原子爆弾を投下し、核兵器時代の幕を開けました。
バラク・オバマ大統領は、5月27日金曜日に広島を訪問する初の現職の米国の大統領になります。

あの日起きたこと - 何十万人もの市民が殺され、数えきれないほどの人々が放射性物質により放射線障害を始め体調に異変をきたした一方、その数日後には長く続いた第二次世界大戦太平洋戦線でのこれ以上の戦いをあきらめた日本が降伏 - の結果と影響はあまりにも巨大であり、70年以上が過ぎた現在も全容を理解するには至っていないのです。
1945年8月6日、広島に原爆が投下された瞬間の原爆雲。(写真上)

原爆投下により内部までめちゃくちゃになりながら尚、建物として残った広島県物産陳列館。(写真下・以下同じ)
現在は原爆ドームとして知られ、原爆の犠牲者を追悼する施設のひとつとして保管されています。

広島05
1945年10月広島市細工町の志摩病院の残骸の中で残留放射線量を計測する人々。日本映画社のスタッフが撮影した写真。
広島放射線量測定
1945年9月3日の広島最第一軍病院宇品診療所で治療を受ける21歳の被ばくした兵士。その体には紫の皮下出血発疹が認められます。
広島28
1945年8月9日、広島の大田川堤防に設けられた緊急診療施設に収容された原爆の被害者たち。
広島29
1945年10月、原爆ドーム脇の相生橋通り過ぎる人々。
多くのアメリカ人は原爆投下を正当な行為と考え、戦争終結を早めたと考えています。
しかし日本の生存者(被爆者)のグループは、米国を始めとする世界各国の政治指導者たちが、核兵器の使用により広島が被った永久の傷跡をその目で確かめるよう、何十年も運動してきました。
広島30
http://www.nbcnews.com/slideshow/forever-young-rock-poet-bob-dylan-turns-75-n579736

【 ハドソン川のフクシマ 】《3》

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所要時間 約 10分

放射能汚染水の漏出は、大気中への放射性物質の放出よりも一層深刻な問題
別の災害が発生した場合、致命的な状況を作りかねない原子力発電所の存在

エレン・カンテロウ、アリソン・ローズ・レヴィ / ル・モンド・ディプロマティーク
4月1日

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米国の憂慮する科学者連盟(UCS)の原子力安全部門の責任者でアメリカ原子力規制委員会の調査官の育成を担当した経験があるデイビッド・ロックバウム氏は、原子炉炉心溶融(コア・メルトダウン)が実際に起こりうると認識されて以降、原子炉内からの冷却水の漏出は大気中への放射性物質の放出よりも一層深刻な脅威であるとの懸念が強まっていると語りました。

インディアン・ポイント原子力発電所に対する稼働停止の度重なる要求はすでに1970年代に始まっていましたが、稼働は続いています。
2000年4月2日、米国原子力規制委員会はインディアン・ポイント原子力発電所の2基のうちの1基を最もトラブルの多い原子炉であるとの評価を下しました。
この原子炉はあらゆる種類の『システムトラブル』が原因で長期間停止したままになっています。

 

最近になって多発する『システムトラブル』が、エンタジー社の原子炉に共通した問題であることが明らかにされました。
アメリカ国内の原子炉で発生した10件の『ニアミス事故』のうち3件がエンタジー社の原子炉で発生し、米国原子力安全機構の報告書によればエンタジー社の発生件数が最大でした。

ニアミス事故とは、原子炉の炉心そのものに損傷が起きる危険性が10以上倍になった事態または状態のことを表現するものです。
このトラブルが発生した場、原子力規制委員会は調査要員を派遣しなければなりません。

さらにロックバウム氏は憂慮する科学者連盟(UCS)が2010年から年次調査報告を公表するようになってからこうした事故の件数は減少傾向にあり、『歓迎すべき状況にある』と語りました。

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「5年前までは原子炉そのものの破壊に到る可能性があるニアミス事故が年2回程度の割合で発生していました。大規模プラントを擁する全産業の中で、原子力産業が最悪と言って良い状況でした。
全体の状況が改善している中で、なぜエンタジー社だけが未だに多くの危険因子を抱え込んでいるのか米国原子力規制委員会は原因を解明する必要があります。」
ニューヨーク州北部にあるジンナ原子力発電所はインディアン・ポイントと同じくらい長く操業していますが、これまで報告された深刻なトラブルは2件にとどまっている、ロックバウム氏がこうつけ加えました。
「これに対し、インディアン・ポイントでは2~3年おきに、深刻なトラブルが発生しているのです。」

他のもいかなる問題にも増してロックバウム氏が懸念するのがインディアン・ポイント原子力発電所の原子炉冷却水漏れに関する脆弱さです。
「問題が改めて明らかになったのは、2015年5月に起きたトランス爆発事故の際のことでした。」
取材に対し、ロックバウム氏がこう語りました。
「こうした事態に備え、インディアン・ポイントには自動スプリンクラー消火システムが設備されていましたが、結局は火災発生場所の隣を水浸しにしただけでした。
幸いにも水が3~5センチに達した時点で職員が気付き、事なきを得たのです。
しかしもしこの水位が12センチ以上なっていれば、発電所内で全電源喪失の事態が発生していたかもしれません。
そうなれば原子炉も制御機能を失っていた可能性があります。」

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もしそうなっていれば、2011年にフクシマで起きたのと同じことが、ニューヨークのすぐ近くのハドソン川で発生していたかもしれません。

福島第一原子力発電所では巨大地震が通常の電力の供給をストップさせた後、津波が緊急用の電源も完全にダウンさせてしまい、原子炉内に冷却水を送り込むことが出来なくなったため、6基の原子炉の内3基でメルトダウンが発生することになったのです。

2007年にインディアン・ポイント原子力発電所の所有者が20年間の稼働延長を原子力規制委員会に申請した時、問題になっている箇所に洪水警報装置を取り付けるためには新たに20万ドル(約2,200万円)の費用が必要になることが解りました。
「もしこの時発電所の所有者が洪水警報装置のためにそれだけの費用を支払っても安全には代えられないと決断していたら、原子炉の炉心溶融のリスクを20%減らすことが出来ました。
そして原子力発電所職員が放射線被ばくをする危険性は40%減らすことができたはずなのです。
原子力発電所周囲50マイル(約80キロ)圏内にいる2,000万人の市民の危険を取り去るために、一人当たり2セントの出費が必要とされていたのです。」
しかしその9年後、この洪水警報装置は設備されていなかったことが明らかになりました。

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▽ 外部に危険が存在することにより、さらなる脅威をつくりだす原発

原発に関わる危険はこれだけではないと声高に訴えるかのように、新たな脅威の存在が最近明らかになりました。
スペクトラ・エナジー社が高圧天然ガスパイプラインをインディアン・ポイント原子力発電所の周囲に設置、現在も増設工事が続いているのです。

米国イリノイ州のアルゴンキン増設市場(AIM)パイプラインと名づけられているこのパイプラインは、ニューヨークと隣接する各州の地中にあるマルケルス頁岩構造を破砕して採りだした天然ガスをカナダとの国境地帯に送り出す予定です。

使われるパイプの直径は42インチ(約1メートル以上)あり、実用化されている中で最大の直径を持っています。
老朽化したインディアン・ポイント原子力発電所の重要施設のわずか30メートル先を、このパイプラインが通過する予定になっているのです。

CBS 再稼働反対
このパイプラインの建設期間、現場の安全の監督官をするためにスベクトラ社に雇われた労働者が取材に応じました。
彼は同社が事業の開始を急ぐために安全義務違反を繰り返し、危険な近道を選んでいたと語りました。
彼は「少なくとも2ダース」以上の深刻な安全管理義務違反を目撃したことを明らかにしたのです。
パイプライン建設において危険な近道をとればどんな結果が待っているか、過去にその事例があります。
2014年3月にはニューヨーク、マンハッタンの東ハーレムでパイプラインが断裂し、ガス爆発事故が発生しました。
この事故では2棟のアパートが完全に倒壊して2人が死亡、70名が重軽傷を負いました。
全国パイプライン安全協会のロバート・ミラー会長は、こうした問題について次のように語りました。
「手抜き工事やずさんな品質管理計画、そして安全基準の軽視は実際にパイプラインが稼働する前に問題を引き起こすことになり、結局は事業の開始を遅らせてしまうことになりかねません。」

2015年1月、国家輸送安全委員会は人口が稠密で建造物も建てこんだ地域で「ガス爆発事故の危険性が高まっていることが実証された」とする調査結果を公表しました。

原発の警備員
原子力発電の専門家は、インディアン・ポイント原子力発電所がニューヨーク大都市圏に極めて近い場所にあるにもかかわらず、そこに接するようにして高圧のガスパイプラインを敷設することが充分安全であると判断されたことは、アメリカの原子力発電安全管理史上痛恨の出来事であり、また納得しがたい事実だと語っています。

- 《4》へ続く -
http://mondediplo.com/openpage/a-fukushima-on-the-hudson
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【 ISISの無差別殺戮が作り出した母子家庭 】《8・完》

エリン・トリーブ、ソフィア・バルバラニ / アメリカNBCニュース 5月7日

yadiz16
「ISISが私たちの村に迫ってくると夫は私たちをシンジャル山脈に逃がす時間を稼ぐため、村に残ろうとしていました。
私は詩文たちだけ山に入ることをいったんは拒みましたが、夫はあとからすぐ追いかけるからと約束し私をなだめました。の向け追い立てるようにして逃がし、自分は村に残りました。
私たちは4年間一緒に暮らしてきましたが、夫が私に何かを強制したのは、この時が初めてでした。
彼は優しい人でした。」

20歳のハンサ・フディダ・アリはひしめくように並ぶ難民テントの中で母親と一緒に暮らしています。
彼女の母親も彼女自身もISISに夫を殺されました。
2人は今、互いを支え合いながら暮らしています。
「私には今、どこに行く自由もありません。女性が一人でどこかに行くことは、イスラム社会では恥ずべき行為とされているからです。
夫にそばにいてもらいたいと心から思いますし、娘もまた父親を必要としています。彼は誰もが父親として理想とするような男性でした。」

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http://www.nbcnews.com/slideshow/widowed-isis-yazidi-women-find-strength-motherhood-n569466
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【 憲法改変への序曲、伊勢志摩サミット開催の裏に隠された政治意図 】

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所要時間 約 14分

宗教も政治も、そして原爆の投下すら、安倍首相の国家主義政策実現のための演出に利用される
憲法9条の廃止、歴史の書き換え、国家神道の復活 - 伊勢志摩サミットの演出に隠された国家主義的野望
安倍首相は戦前の宗教的、社会的、政治的秩序を甦らせようとして活動を続ける組織の一員

エコノミスト 5月21日

伊勢志摩サミット 1
広島と長崎に原爆が投下され、第二次世界大戦に日本が降伏してからそれほど日数も過ぎていないある日、アメリカ軍兵士の一団が日本の本州にある三重県の伊勢市にある、この国で最も神聖視されている神社の一つにやってきました。
彼らは貴重なイトスギ材で造られた長さ100メートルの宇治橋をジープで渡り、そのまま神社の境内に入ろうとしたため、一人の警備員が押しとどめようとしました。
しかし彼はピストルを突きつけられ、退くように脅されました。
この1,300年の歴史を持つ伊勢神宮の本殿は遷宮と言って20年ごとに作り直されますが、宇治橋も同様に20年ごとに作り直されるため、損害を被ってもいずれ修復されることにはなっていました。
日本は敗戦国として戦後様々な屈辱的な目にあいましたが、これなどは些細な出来事であり、いつのほどか忘れられてしまいました。
世界の中でも富裕な国々のクラブである主要先進7カ国の年次サミットが伊勢神宮近くの島で開催され、5月26日に安倍晋三首相がその仲間のリーダーたちを歓迎するために宇治橋を使うことになっており、その時こそかつての屈辱が拭いさられることになるでしょう。

伊勢志摩6
この施設は人里離れた目立たない場所にあり、海外ではほとんど知られておらず、戦後その神聖特権が廃止された神道により守られてきました。
1947年に施行された日本国憲法はいかなる宗教的特権も認めていません。
「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。」
憲法第20条にはこう明記されています。

伊勢市、志摩市を中心に三重県はほぼ無競争でサミットの会場に選ばれましたが、その背景には安倍氏が率いる首相官邸の強い意向がありました。
安倍首相は自らの政治的使命について「戦後体制からの脱却」と規定し、日本を再び誇り高い強力な国家として蘇らせることを主張しており、今回の選択については隠された意図がほの見えます。

いずれにせよ今回のサミット開催は、特にバラク・オバマが広島を訪問する初のアメリカの大統領になることにより、安倍首相にさらなる政治的恩恵をもたらすことになるでしょう。

広島原爆ドーム03
ホワイトハウスは、オバマ大統領は1945年8月6日に広島に、そしてその3日後に長崎に課された大量虐殺と大量破壊について謝罪はしないという方針を明確に示しました。
しかし世論調査の結果は、日本人の90パーセントがオバマ大統領の広島訪問を歓迎する意思があることを明らかにしました。
左派にとってこの訪問は戦争の悲惨さと、平和憲法に基づく日本のあり方の重要性を再認識させるものです。
右派の多くにとっては、日本に対して数々の戦時犯罪に対する謝罪や賠償を求めておきながら、日本が被った犠牲についてはほとんど顧慮することのない国際社会の不公正さを象徴するものです。

今回、オバマ大統領が広島を訪問する下地を整えたものとして、昨年12月の日韓両政府による従軍慰安婦問題 - 日本陸軍による女性の強制徴用と売春の強要 - の取り扱いに関する合意の達成を挙げるべきかもしれません。
今回の広島訪問でオバマ大統領がどのような発言・行動をしても、中国が反発することは避けられないでしょう。
中国は、そして相当な数のアメリカ人も、日本が過去の歴史を正当化しようとしていることを強く警戒しています。

慰安問題決着
原爆の投下が第二次世界大戦を終了させるための正当な行為だったと考えるアメリカ人は、1945年の85パーセントから2015年には56パーセントに減少しましたが、『過半数』であることに依然変わりはありません。
今年後半、安倍首相は『答礼』のため真珠湾攻撃の記念施設を訪問する可能性があります。
この施設はアメリカを参戦に踏み切らせた、史上悪名高い日本の不意打ちを記憶にとどめるためのものです。

これら戦争に直接関わる施設と比較して、伊勢神宮のすぐそばで先進国首脳会議が開催されることは論争の的にはなりません。
しかし安倍首相の支持基盤の大きい部分を占める国家主義者たちは拍手を送っています。

オバマ首相は一般の参拝者が求められる参拝のための儀式は行わないかもしれません。
柄杓で手水の水を汲み、口をすすぎ、手を洗い、神殿の前で二礼二拍手の手順に沿って深々とお辞儀をし、日本の天皇家の祖先である天照大神 - 日本の太陽の女神と祖先の霊にぬかずくことはないでしょう。
それでも 先進国の首脳たちは日本の神道に、正統性を証明する国際的なバッジを与えることになります。
神道は戦前の日本において、帝国主義的侵略を積極的に推進した政治家たちが、その道具として鍛え上げたものです。

靖国神事
靖国神社でサミットを開催し、14人のA級戦犯を含む日本の戦没者に主要先進国の首脳たちが敬意を表することは考えられません。
靖国神社については、2013年12月に参拝してアジア各国の激怒を誘発して以来、安倍首相も参拝はしていません。
安倍首相は神道そのものに対する深い関心を持っているわけではない、神道の将来の聖職者が学んでいる東京の大学の学者がこう語りました。
しかし安倍首相は神道政治連盟のメンバーであり、この組織は戦前の宗教的、社会的・政治的秩序を甦らせようとして運動を続けています。

安倍氏は伊勢神宮の遷宮の儀式が行われた際、2013年神道の古代の式典に参加した史上2人目の首相になりました。
この時安倍首相は9人の閣僚も同行させ、宗教的な儀式を政治声明に変えてしまいました。

こうして見てみれば、伊勢志摩サミットの開催が安倍首相の長期の国家主義のプロジェクトに適合ししていることがわかります。
安倍政権はこれまで防衛費を一方的に増額し、武器輸出禁止を緩め、日本が集団的自衛権を行使できるように憲法の解釈変更を行ってきました。
こうした動きをアメリカは全面的に歓迎しています。

今や日本はアジアに対する中国の野心についての不安を共有する点に関し、アメリカの強力な盟国になっています。
オバマ大統領自身はサミットの中身についてさほど悩んでいる様子はありませんが、広島訪問は安倍首相に対し大きな政治的メリットをプレゼントすることになります。
それを証拠立てるように、オバマ大統領の広島訪問が明らかになると安倍政権の支持率はこの数ヶ月間で初めて50パーセントを超えました。

Abeno07
サミット開催は来年4月に予定されている消費税の8パーセントから10パーセントへの引き上げの約束を反故にする際にも、安倍首相の援護をするかもしれません。

まだまだ世界経済の先行きが不透明な中、財政刺激策ばやりの先進各国からの声明は、日本の指導者に増税延期のための弁解材料を提供するかもしれません。
こうした方向転換を自分にとって有利な材料として利用するため、安倍首相は今年7月に予定されている参議院議員選挙に合わせて衆議院を解散し、衆参同日選挙に踏み切る可能性があります。
「衆参同日選挙」についてはその可能性が現実に近づいているとして、ますます熱心に語られるようになっています。

サミット開催によって政治家としてのイメージを演出する機会を得て、安倍首相は野党の無秩序状態をこれまで以上に自分に有利に利用しようとするでしょう。

▽ 戦後体制のさらなる破壊

安倍首相とうまく折り合いをつけていくためにアメリカにとっての問題は、安倍首相の周囲にいるつまらない人間たちが掲げる国家主義的主張だけを切り離してしまうことは不可能な点にあります。
そこには歴史を書き換えてしまおうとする取り組みもあります。
彼らにとって第二次世界大戦の敗戦の際に犯した唯一の重要なミスは、アメリカ人に平和憲法を『強要され』た際、戦争を放棄するという一文を拒否しそこねたことです。
そして神道を国教として復活させることも…

広島14
その方針に従わせるため安倍首相の援護を続けているアメリカは、アジア各国が恐れている方向に、そしてなにより多くの国民自身が恐れている方向に日本を向かわせているのみならず、加速させてさえいるのです。

http://www.economist.com/news/asia/21699165-g7-gathers-japan-religion-politics-and-bomb-will-all-help-shinzo-abe-rebuilding
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【 ハドソン川のフクシマ 】《3》を掲載する予定でしたが、エコノミストに今週開催される伊勢志摩サミットに関する、極めて興味深い記事が掲載されたので、こちらを先に掲載させていただくことにしました。
少々長いので5月24日いっぱい、トップに置かせていただきます。

1973年アメリカCIAの謀略により南米チリのアジェンデ政権が倒され、代わって政権を握ったピノチェト政権が大量の民主主義活動家を虐殺・拷問したことに象徴されるように、アメリカにおいて民主主義が存在するのはその国内だけの話で、一歩領内を出てしまえば代わりに幅を利かすのはアメリカの国益でしかないのではないか…
この記事を翻訳していてそう思わざるを得ませんでした。
アジアでも1970年シアヌーク殿下の下で国民が曲がりなりにも平和に暮らしていたカンボジアに入り込んだアメリカCIAは、現地国民の思いなど全くおかまい無しにクーデターを演出して容赦なく体制をひっくり返し、世界史上信じられないような国土荒廃への道を開きました。
しばらく前に翻訳した同じエコノミストのタイムキーパーは、日本の民主党政権をひっくり返すのに最大の貢献をしたのもオバマ政権下のアメリカCIAだったと伝えています。
英国のガーディアンはしばらく前、今度のアメリカ大統領選挙について、クリントン、トランプのどちらがなっても戦争好きに変わりはないという趣旨の評論を掲載しました。
誰が来て何をしても過度の期待は抱かないようにしましょう。

市民を守るものは市民の団結以外にありえない

最近翻訳を終えたル・モンド・ディプロマティークの結びの言葉です。

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【 ISISの無差別殺戮が作り出した母子家庭 】《7》

エリン・トリーブ、ソフィア・バルバラニ / アメリカNBCニュース 5月7日

yadiz14
夫はまず私たちを他の人びとと一緒に、シンジャル山脈に向け追い立てるようにして逃がし、自分は村に残りました。
5分ほど後に夫も私たちの後に続いて山に向かっていると電話があったのですが、ISISにつかまってしまいました。
その後二度と夫の声を聴くことはありませんでした。

イスラム社会では、結婚した女性が一人で外を歩き回れば、たちまち人々の批判にさらされます。
少なくとも男性が一人付き添っていなければ、外へは出られないのです。
誰も私たちを助けようとはしません、自分たちが生きていくだけで精いっぱいなのです。
家族を支えていかなければならないのは同じなのに、女性だけが著しく行動を制限されているのは公平ではないと思います。

38歳のレイラ・ミュラッド・ユーセフは不道徳だと批判されることを恐れ、避難キャンプの外で一人で誰かと話をすることすら極力避けています。
夫の生死は未だに不明です。

しかし約2年前にISISが村を占領した時、夫が殺されたのは間違いないと思われます。

毎朝息子は私の両頬にキスをします。ひとつはお母さん、もうひとつはお父さんにと言いながら。
私たち家族の家計は娘たちが支えています。
2人の息子がいますが、働くには幼すぎます。
たくさんの人が私に国を捨てて出ていった方がいいと忠告しました。
でも私は夫が戻ってくるような気がして、どうしても国を出ていく気になれないのです。
神がいつの日か夫を送り届けてくれる…私たちはまだ望みを失っていません。

yadiz15
http://www.nbcnews.com/slideshow/widowed-isis-yazidi-women-find-strength-motherhood-n569466

【 ハドソン川のフクシマ 】《2》

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所要時間 約 9分

原発事故の避難計画は『架空の計画』、実際の緊急事態にはどんな役にも立たない代物
原発から漏出している放射性物質の実態 - 誰ひとりとして正確な状況を把握していない、それが現実

 

エレン・カンテロウ、アリソン・ローズ・レヴィ / ル・モンド・ディプロマティーク
4月1日

 

102415

2011年の福島第一原子力発電所の事故の発生を受けて、オバマ大統領はアメリカ国内の原子力発電所が細心の注意のもとに運営され、充分な耐震性を持っていると国民に対し保証しました。
この声明の中にはアメリカで最も古い原子力発電所も含まれていました。
ニューヨーク州ウェストチェスターのインディアン・ポイント原子力発電所(IPEC)が稼働したのは1962年のことでした。

国内61箇所の原子力発電所の一つであり、 ニューヨーク市とウェストチェスター郡にかけての一般家庭に電気を供給するため2基の原子炉を設備しています。

インディアン・ポイントは世界で6番目に人口稠密な都市部であるニューヨーク・メトロポリタン地域のあるマンハッタン島の30マイル北に位置し、世界で最も大規模な経済圏のすぐ近くにある原子力発電所なのです。
しかもインディアン・ポイントは2つの活断層の上に位置しています。
このため原発の稼働継続に反対する人々は、どの程度の地震に耐えることができるのか、詳細な調査と検証を求めることになったのです。
国家防災資源会議(NDRC)が公表した報告書によれば、もしフクシマ級の原子力発電所事故がインディアン・ポイントで発生した場合には、少なくとも560万人の避難が必要となります。

インディアン・ポイント原発
さらに2003年には連邦緊急管理庁のジェームズ・リー・ウィット前長官が報告書を公表し、用意されているこの地域の既存の避難計画が不十分なものであることが明らかにされました。

フクシマの事故では、アメリカ政府当局は日本にいたアメリカ市民に対し、福島第一原発から50マイル(約80km)以上離れるよう通告しました。
もしインディアン・ポイント原子力発電所を中心に同じ円を描けば、北はアルスター郡キングストンを越え、南はジャージーシティを過ぎた所、そして東はコネチカット州、西はペンシルバニア州にまでかかることになります。
円内にはスタテン島以外のニューヨーク市全域とコネチカット州フェアフィールドの全域を含んでいます。

用意された避難計画について
「多くの学者や研究者が『架空の計画』と呼んでおり、実際の緊急事態にはどんな役にも立たない代物だとの評価がすでに決定的になっています。」
ニューヨークタイムズの取材に対し、政治学が専門のパーデュー大学ダニエル・オールドリッチ教授がこう答えました。

NBC 04
原子力産業界で40年間働き、その間、原子力規制委員会(NRC)にも籍を置いたことがあるポール・ブランチ氏は、インディアン・ポイントが『フクシマ』級の事故を起こせば最悪の場合コネチカット州まで含む広大な地域が、何世代にもわたって人が住めなくなる可能性があると語りました。

官民合同のインディアン・ポイント原子力発電所安全監視報告書によれば、ここでは設立当初から2005年までに23件の重大問題が発生していました。
蒸気発生器の配管の断裂、原子炉格納容器からの冷却水漏れ、トランス火事、緊急サイレンの予備電力の不足、そして放射性物質のトリチウムを含む放射能汚染水の水漏れなどです。

2016年3月に起きたばかりの汚染水漏れ問題では、インディアン・ポイントから漏れ出した放射性物質トリチウムが混入した汚染水が周辺一帯の地下水脈とハドソン川に流れ込んでしまったのです。
同時期他のアメリカ原子力工場でも同様のトリチウム汚染水漏れの問題が表面化しました。
フロリダ州にあるターキポイント原子力発電所では、この汚染水が飲料水として使われている井戸水の中に入り込んでしまいました。

NBC02
インディアン・ポイント付近で採取した地下水のトリチウムの濃度は水1リットルにつき120,000ピコキュリーという極めて高い濃度の『警告』レベルである点について懸念する一方、ハドソン川の汚染レベルはそこまでは高くないという点で見解が一致しています。
(1ピコキュリーは放射能のための標準的な計測単位)

トリチウムはインディアン・ポイントから漏出している放射性物質の中では最も危険度の低いものです。
しかしニューヨーク州政府が行なった調査検証によれば、他のもっと危険な放射性物質であるストロンチウム-90、セシウム-137、コバルト60、そしてニッケル-63なども地下水系とハドソン川に流入していることが確認されています。

同原発を運営するエンタジー社の幹部たちは問題となっているトリチウムの漏出について、それがいつ始まったのか、原因が何であるか、特定できないとしています。
取材に対し、ポール・ブランチ氏は電子メールで
「問題となってる漏出がいつ始まったのかについて、はっきりした見解を示しているのは誰もいません。」

汚染水タンク
「それは、2年前に始まった可能性があります。」
しかし汚染源がどこなのか、漏出の規模はどの程度なのか、あるいはどうすれば漏出を止められるのか、誰一人として把握している人間はいないのです。
しかし汚染水漏れについては解決が長引けば長引くほど地域社会の飲料水に関わる潜在的危険性は大きなものになり、ことはトリチウムだけの問題では済まなくなってきます。

- 《3》へ続く -
http://mondediplo.com/openpage/a-fukushima-on-the-hudson
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【 ISISの無差別殺戮が作り出した母子家庭 】《6》

エリン・トリーブ、ソフィア・バルバラニ / アメリカNBCニュース 5月7日

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夫をISISに殺されたヤジズ教徒の女性たちは孤独に苛まれる生活の中、社会で女性一人の力で生きていくことの限界にも直面させられています。
それでも彼女たちは母親として子供たちを守っていくことを改めて心に誓い、自らの勇気を奮い立たせようとしています。
「私たちは午前5時にシリアとの国境にまたがる山に向かって逃げました。私は一番下の娘を抱いていましたが、この子が飢餓のために死んでしまうのではないかと気が気ではありませんでした。
私たちはまる1週間を山中で過ごさなければなりませんでしたが、残念ながら母はそこで亡くなりました。
この事件が起きるまで私は自分を強い人間だと思っていましたが、シンジャル山脈で強いられた1週間の経験は、私の内面を変えてしまいました。
私は自分ではなく、子どもたちの命が危険にさらされることを常に恐れるようになったのです。」

アイロウ・カセム・アイデルは2014年1月にすでに夫を失いました。
モスル市内をパトロール中、兵士だった彼女の夫は殺されました。
その7ヵ月後暮らしていた村をISISが襲い、彼女は子どもを連れて命からがら村を脱出しなければならなくなったのです。

「私は時々、これから先の生活にはもうどんな希望も残されていないように感じる時があります。
でも私は亡くなった夫の霊に誓ったのです。何としても子供たちを守っていくと…
日中は子どもたちの世話をするのが精いっぱいで何も考えなくて済みますが、夜眠るとき、とめどもなく涙がこぼれます。
ひとりなってしまった私が4人の子供たちを育てることには大きな困難が伴います。
イスラム社会ではたとえ家族のためであっても、一度結婚した女性は自由に働くことが出来ません。
唯一の支えは子どもたちです。
私の最大の願いは子どもたちがちゃんと学校に通い、私や夫が受けたよりレベルの高い教育を受けて立派に成人することです。」
yadiz13
http://www.nbcnews.com/slideshow/widowed-isis-yazidi-women-find-strength-motherhood-n569466

【 2020年東京オリンピック招致の贈収賄と不正、捜査結果を待つIOC 】《後編》

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所要時間 約 10分

もし2020年オリンピック開催を『金で買った』ことが明らかになった場合、日本が課されるべき制裁とは?
活発な贈収賄工作、多額の収賄、巨額のマネーロンダリング、犯罪組織の関与の隠蔽、計画的刑事犯罪の実行…

オーエン・ギブソン / ガーディアン 5月13日

東京五輪 1
IOCは現在フランス検察の捜査において、当事者団体として捜査に全面的に協力しているとの立場を明らかにしました。
「IOCは腐敗と積極的に戦っているのだという立場を証明してきました。その証拠に2015年11月、ラミン・ディアクに対する疑惑が初めて持ち上がった段階において、直ちに調査に着手しました。」
IOCの倫理部門の責任者でコンプライアンス委員会のパケレッテ・ジラール・ザッペリ氏がこう語りました。
彼はロンドンで開催された腐敗撲滅のためのサミットに参加しています。

「そうした取り組みの結果、ラミン・ディアクは今やIOCのどこにも居場所がありません。それでもなお問題が残っているのであれば、私たちは精力的に調査を続け、必要な情報をフランスの検察当局への提供を続けます。」

東京五輪 2
パウンド氏はIOCはその時その場所にそれぞれふさわしい仕組みを有していたものの、そのことに安心するべきではなかったと語りました。
「よこしまな動機を隠し持つた人間たちは、不正な目的を遂げるための手段を必ず見つけ出すものです。そのためにはいちいちオリンピック開催地候補として名乗りを上げている都市まで足を運ぶ必要などないのです。」

2016年のオリンピック開催地の権利をめぐつて2009年にリオデジャネイロに敗れた東京でしたが、その4年後の2013年、今度はマドリードとイスタンブールを下し2020年の開催権を獲得しました。
しかしもしそれが「金で買った」ことが明らかになったら、東京からオリンピックの開催権利を剥奪すべきかどうか尋ねられ、2度に渡り国際オリンピック委員会(IOC)の委員を務め、世界アンチ・ドーピング機関を設立した事でも知られるディック・パウンド氏はこう答えました。

「それは難しいでしょう。」

東京五輪3
「今回のケースはソルトレークシティの時に似ています。いったん大きなプロジェクトが動き出して2年3年が経ったら、もう後戻りはできなくなります。2020年まで残りは3年、その時間で何もかも全て最初からやり直すことができる人などいるはずがありません。」
カナダ出身の弁護士であり、1978年からIOCのメンバーを務めてきたパウンド氏がこう語りました。

「不正行為が確認された後制裁を課すということになれば、同様のケースが起きた場合後々参考になるような、そして実際的な効果がある方法を考慮する方が賢明です。不正に関わった国またはその国のオリンピック委員会に対し、5年間の国際試合の開催禁止を課す方法などが考えられます。」

パウンド委員会の報告書によれば、この不正口座を管理しているのはイアン・タン・トン・ハンです。
この人物は日本の巨大広告企業の電通のスイスの子会社、アスレチック・マーケティング・アンド・サービス社にコンサルタントとして雇われています。
トン・ハン氏は国際陸上連盟(IAAF)にマーケティング・コンサルタントとして雇用され、現在はインターポールに国際手配されているパパ・マッサタ・ディアクと密接な関係を持っています。

東京五輪01
電通は2029年までの国際陸上連盟(IAAF)のマーケティングの権利を有していますが、その電通の了解の下マッサタ・ディアクは新興国市場におけるマーケティング取引を成功させるため委託を受けていました。

フランスの検察当局は国際オリンピック協会で2020年の開催地が東京に決定した前後に多額の支払いがあったことを確認していますが、パリにおいてこの不正口座から多数の資金が流出していた『重要な』調査結果を受け、捜査対象を拡大したのです。
さらに検察当局は匿名の人物が関わっている「活発な贈収賄工作、多額の収賄、巨額のマネーロンダリング、さらには犯罪組織の関与の隠蔽、そして計画的刑事犯罪の実行」についても昨年12月24日から捜査を続けていることを明らかにしました。
フランス検察当局の関係者はガーディアンの取材に対し、この不正口座が2014年に閉鎖されるまでに『数千万』ドルに上る闇の資金が出し入れされた可能性があると答えました。

東京五輪5
日本政府と2020年東京オリンピック組織委員会は、あらゆる不正行為を否定しました。
「私が理解している限りにおいて、2020年東京大会の開催選考は公正なプロセスを経て行われています。」
菅官房長官は記者会見でこう語りました。
菅官房長官はフランスの検察当局から捜査協力等の依頼があれば「適切な対応」をとるつもりであるとも語りました。

英国のキャメロン首相が主宰するロンドンで開催され、「国際スポーツの完璧な融合性」目指すことに各国が合意した腐敗撲滅のためのサミットに参加した柴山昌彦日本政府代表は、スポーツ界における透明性を改善し、G7サミットの中心課題の一つとして反腐敗を掲げると誓うウンザリするほど長い演説を行いましたが、2020年東京大会に関わる疑惑には触れず仕舞いでした。

2020年東京大会の小野スポークスマンは、ガーディアンの取材にこう答えました。
「2020東京オリンピック組織委員会に今回の疑惑に関する詳細な内容を確認できる手段はありません。私たちは東京が最高の開催条件を提示したことによって、2020年の開催地に選ばれたと考えています。」

東京五輪05
日本の巨大広告代理店の電通はガーディアンの取材に対してはアスレチック・マーケティング・アンド・サービス社との「取引関係」を認めましたが、その後AFPの取材に対しては、次のように回答しました。
「アスレチック・マーケティング・アンド・サービス社(AMS)は、電通の子会社ではなく、電通はコンサルタントを雇ったことはありません。私たちはこれまでフランス当局の取り調べを受けたことはなく、捜査に協力するよう依頼されてもいません。」

パパ・マッサタ・ディアク氏はガーディアンの取材に対し、次のように語りました。
「これら問題については現在フランスの警察及び司法当局によって調査中のため、私はいかなるコメントもするつもりはありません。」

https://www.theguardian.com/sport/2016/may/12/dick-pound-ioc-tokyo-2020-corruption
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【 ISISの無差別殺戮が作り出した母子家庭 】《5》

エリン・トリーブ、ソフィア・バルバラニ / アメリカNBCニュース 5月7日

yadiz10
「ISISは私たちの村を包囲し、その後で男と女を別々にして私たち女を養鶏場の中に入れました。
そして私たちは何発もの銃声を聞きました。
銃声を聞けばそれが空砲か、それとも何かを狙って撃ったのかわかるものです。
私たちには夫たちが殺されたということが解りました。

そして私たちは夫の死体を見せられたのです。
私は子どもたちを連れて逃げました。
3日間村の中に隠れ、その後山を登ってシンジャル山脈の中に逃げ込んだのです。

以来、何もかも変わってしまいました。
生きることが難しくなってしまいました。
子どもたちだけが生きることの支えになりました。
夫が生きていた時はたくさんの人が我が家を訪れましたが、今や私は孤独な存在です。」

マヤン・バダル・ハラフは夫との27年間の結婚生活で9人の子どもたちを授かりました。
しかし2014年8月、夫婦はISISに捕らえられ、ハラフは一人になりました。

「私は強くあろうとしていますが、心の中は壊れてしまっています。私の支えは子どもたちであり、子どもたちを守り育てなければならない以上、私は強くあらねばなりません。
私は夫を失い辛くて仕方がありませんが、子どもたちには一人で守って見せると言ってあります。
そして人生とはこういうものだとも…

私が市場で何か買う必要が生じても、もう誰も代わってやってくれる人はいません。
どころか私一人で市場に行くことすら許されません。親戚の誰かについて行ってもらわなければ、市場で物を買うという単純な事すらできないのです。
私が外に出て働くことが出来ないため、代わりに娘たちを働かせなければなりません。
娘たちを外に出すことは心配でたまりませんが、他に生計の途は無く、娘たちを働きに出すしかないのです。」

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http://www.nbcnews.com/slideshow/widowed-isis-yazidi-women-find-strength-motherhood-n569466

【 2020年東京オリンピック招致の贈収賄と不正、捜査結果を待つIOC 】《前篇》

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所要時間 約 8分

2020年オリンピック開催地のはく奪と変更、その可能性はあるのか?
1998年のソルトレークシティ以来のIOCスキャンダル -「不正に関わった人間は必ず探し出す!」

オーエン・ギブソン / ガーディアン 5月13日

東京五輪図
2度に渡り国際オリンピック委員会(IOC)の委員を務め、世界アンチ・ドーピング機関を設立した事でも知られるディック・パウンド氏は
「今回のスキャンダルがどこにつながっていようとも」
フランスの検察当局が、2020年のオリンピック招致に成功した東京から巨額の不正資金の流れを解明すべきであると語りました。
IOCは、不正を行ったとして国際陸上連盟(IAAF)の会長職の辞任に追い込まれたラミン・ディアク氏の息子に7ケタの金額の不正資金が渡ったとされる疑惑について、現在捜査が行われていることを確認しました。

フランスの検察当局も、200万ドル(約2億2,000万円)以上の不正資金が贈収賄、汚職、そして悪質な資金洗浄という流れの中で取引された事実について、現在捜査を進めていることを認めました。
これらの資金はいずれも14年間にわたって国際オリンピック委員会(IOC)の委員を務め、その間大きな影響力を振るったラミン・ディアク氏の息子で、マーケティング・コンサルタントのパパ・マッサタ・ディアク氏ガ関係する銀行口座を経由したものです。

少なくとも150万ドル(1億6,000万円)に上る支払いが、別の贈収賄事件で問題となっている国際陸上連盟(IAAF)に関連する不正預金口座に流れ込んだ可能性について、ガーディアンは11日水曜日に報道しました( http://kobajun.biz/?p=27803 )。

東京五輪04
「私たちはこれまで国際陸上連盟(IAAF)内部で行われていた不正問題に焦点を合わせてきました。徹底的にその問題だけを追及してきたわけではありませんが、私たちはこの不正資金があらゆる問題に関わっていたという印象を持ちました。そうした事実が改めて明らかになったという事であり、今さら驚くにはあたらないというのが私の感想です。」
パウンド氏はこう語りました。

パウンド氏はロシアが国家ぐるみで関わっていたとみられるドーピング問題について、世界アンチ・ドーピング機関(WADA)から独立した権限を与えられた調査委員会の委員長を務め、国際陸上連盟(IAAF)の腐敗暴き出しました。
「私たちは現在フランスの検察当局が行なっている調査範囲の拡大を思いとどまらせるつもりもありませんし、不正に関する捜査がどこまで波及するかそれを阻止するつもりもありません。どの時点でどの範囲まで訴追できるのか、それはフランスの検察当局が判断すべき問題です。」

5月12日木曜日、デイビッド・キャメロン首相がロンドンで国際的な腐敗撲滅サミットを主催しましたが、タイミングを合わせるようにしてロシアのドーピング問題の一層の拡大を示す新たな事実が明らかになりました。

東京オリンピック02
そして2020年オリンピック開催地を決定する際の不正と疑惑についてガーディアンが世界に報道したことに応えるように、フランスの検察当局はこれまでの捜査結果の詳細を確認しました。
フランスの経済部門の捜査関係者は2015年12月、不正な薬物検査を行ってドーピング疑惑を隠ぺいする見返りに100万ユーロ以上の現金を受け取った容疑で国際陸上連盟(IAAF)の捜査を行い、ラミン・ディアクの逮捕に至った一連の捜査の中で、2013年7月と10月に日本国内から不正資金口座に送金があった事実が明らかになったと、ガーディアンの取材に答えました。

パウンド氏は世界アンチ・ドーピング機関(WADA)の設立時の会長を務め、1998年にソルトレークシティ冬季オリンピック開催に関わる贈収賄スキャンダルの調査を監督しました。
この事件は国際オリンピック委員会(IOC)の委員数名の追放に発展し、開催地決定プロセスに関する厳格なルールの導入されることになりました。
パウンド氏は現在のオリンピック開催地決定のための仕組みは、不正行為を防止できる校正で妥当なものだと確信しています。

東京五輪03
「国際オリンピック委員会(IOC)でソルトレークシティ事件が発覚してから、まもなく四半世紀が経とうとしています。あの事件以降オリンピック開催地決定に関してIOCは極めて慎重な対処を続け、透明性が保たれてきたと信じています。もし不正があったとすれば、それはIOC内部の人間ではなく、外部の関係者によるものだという事が遠からず証明されることになるだろうと考えています。」
パウンド氏はガーディアンの取材に対し、こう答えました。
「私自身は、IOCのメンバーは公正な立場を守るため、それぞれがベストを尽くしてきたと自覚していると考えています。しかしそれでも尚IOCの内部に不正に関わった人間がいるとすれば、私たち自身でその人間たちを探し出します。そして厳しい制裁を科すことになるでしょう。」

〈 後篇に続く 〉
https://www.theguardian.com/sport/2016/may/12/dick-pound-ioc-tokyo-2020-corruption
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【 ISISの無差別殺戮が作り出した母子家庭 】《4》

エリン・トリーブ、ソフィア・バルバラニ / アメリカNBCニュース 5月7日

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夫をISISに殺されたヤジズ教徒の女性たちは、孤独に苛まれ社会の中で女性一人の力で生きていくことの限界にも直面させられています。
それでも彼女たちは母親として子供たちを守っていくことを改めて心に誓い、自らの勇気を奮い立たせようとしています。

「ISISが私たちの町に迫って来た時、夫は家の戸締りを厳重にし、私たちを山の中に逃がすため車を手配しようとしていました。
私たちは1週間山の中に隠れていましたが、そこでの暮らしは厳しく惨めで、しかも夫所在も解らず辛い思いばかりしていました。」
「夫を失った女性たちは皆、その時一緒に自分も死んだ方がましだったと考えています。
夫が必死の思いで私たちを逃がした後どうやって殺されたのかを考えると、私は何もかも投げ出したくなってしまいます。
それをかろうじて思いとどまらせているのが2人の娘です。
娘たちを放り出して、自分だけ死ぬわけにはいきません…」

21歳になったファトゥマ・アジズが夫を殺されたのは、彼女がわずか19歳の時でした。
妻と娘を山の中に逃がした後、ファトゥマの夫は村を守るために残りました。以来二度と夫からの連絡はありませんでした。
「私たちは財政援助を必要としています。私は政府が我々に与える食物を他に転売して、娘たちのミルクや衣服を買うための現金を手に入れています。」
「私が今生きているのは娘たち、そして夫のためです。娘たちをもう一度父親に会わせてあげたいのです。夫もこの娘たちのために、きっと生きていてくれていると信じています。」

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http://www.nbcnews.com/slideshow/widowed-isis-yazidi-women-find-strength-motherhood-n569466

【 2020年東京オリンピック開催決定の裏に、巨額の不正資金 】《後篇》

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所要時間 約 10分

疑惑の中心にいる複数の人物と日本の巨大広告企業、そしてスイスの子会社との関係は…
国際スポーツ機関に黒い触手を広げるファミリーと日本をつなぐ第三の男
黒い人脈と不正資金の流れを暴いた、世界アンチドーピング機関(WADA)の独立委員会

オーエン・ギブソン / ガーディアン 5月11日

東京五輪図
今回の疑惑はIOCがただでさえ難問を抱えている最中に表ざたになりました。
この夏オリンピックの開催が予定されているリオデジャネイロは現在首相が深刻な政治問題の渦中にある上、その開催・運営能力に対する疑問が再浮上しており、IOCに対する圧力となっています。
さらには2024年以降のオリンピック開催地への立候補準備を進めている各国の都市に対し、大会開催が名誉と価値に溢れたものである事を納得させられるかという問題も生じることになりました。

2020年の東京開催の実現に関わる巨額の不正資金の支払いについて、電通が果たした役割についても疑問が生じています。
電通は日本の巨大広告会社ですが、国際陸上連盟(IAAF)の2029年までの一切の広告権利を電通が取得できるように、今回の疑惑の中心人物であるラミン・ディアク氏は辞任直前まであらゆる手段を尽くしました。

世界アンチドーピング機関(WADA)のディック・パウンド氏が議長をつとめ独立委員会が明らかにした報告書は、イアン・タン・トン・ハン氏が管理する不正資金の隠匿口座の存在について詳述しています。
イアン・タン・トン・ハン氏は日本の電通の子会社で、スイスのルツェルンに拠点を置くスポーツ事業の「アスリート・マネジメント・アンド・サービス」社の顧問を務めていたことがあります。
「アスリート・マネジメント・アンド・サービス」社は国際陸上連盟(IAAF)の広告等の商業権利を扱うために設立された会社です。

東京五輪01
コンピュータによる分析の結果、タン・トン・ハン氏はラミン・ディアック氏を含む国際陸上連盟(IAAF)の高官と頻繁に、そして定期的に接触し、「国際陸上連盟(IAAF)の役員のひとりであるかのように行動し」「国際陸上連盟(IAAF)の非公式の支配機構の一員であるかのように見えていた」ことが判明しました。

タン・トン・ハン氏は2014年に生まれた自分の子供をマッサタと名付けるほど、パパ・マッサタ・ディアク氏と親密な関係にありました。
報告書はさらにタン・トン・ハン氏がディアク・ファミリーと現在も続く共通の利害をシンガポールとセネガルに保有しているものと見られるとしています。

国際刑事警察機構(インターポール)はパパ・マッサタ・ディアク氏の逮捕を正式に通知しましたが、同氏はセネガル国内に潜伏しています。
ガーディアンからの質問に対し、日本の電通の広報担当者は同社が今回の不正資金の支払いについては一切関知しておらず、タン・トン・ハン氏を顧問として雇ったことも無いと語りました。

世界最大の広告企業のひとつである電通は先に、パパ・マッサタ・ディアク氏は国際陸上連盟(IAAF)の顧問ではあったが、電通の顧問であった事実は無いと表明していました。

東京五輪02
不正資金口座の存在が初めて世界的に知られるようになったのは、2014年3月にロシアのマラソン・ランナー・リリア・ショブホワのドーピング検査での結果を隠ぺいしそこなった後に、30万ユーロ(約3,700万円)が彼女の口座に払い戻された際にこの口座が使われたことが暴露されたためでした。

国際陸上連盟(IAAF)の独立倫理学委員会は2014年後半、この件に関する詳細な調査に着手しました。
そして今年1月170ページに及ぶ報告書において動かぬ証拠を提示し、パパ・マッサタ・ディアク氏とアンチドーピング部門の責任者であったガブリエル・ドレを含む4人の高官を、腐敗と金銭的見返りを要求したかどで追放しました。

ラミン・ディアク元会長の法律顧問だったシス弁護士は国際陸上連盟(IAAF)から制裁処置を受けてはおらず、この報告書を作成した委員会によって面談も事情聴取もされませんでしたが、報告書の内容について争う姿勢を見せています。

パウンド委員会報告は、この不正資金口座がブラック・マーケティングを目的とするものであり、文字通り、「不正資金の洗浄」マネーロンダリングを目的とするものであったと断定しました。
関係者は、「数千万」ユーロの巨額の現金がこの口座を通り抜けたと考えています。

現在行われている捜査に関係するそれぞれ異なる2つの独立した情報源は、今回の7ケタに上る巨額の資金が2020年東京オリンピック開催に関わるところから支払われた点も捜査対象になっていることを確認しました。

東京オリンピック01
パウンド委員会報告の補足には2020年のオリンピック開催地決定の際、行なわれた可能性がある犯罪のシナリオについて次のように記載されています。
日本のスポンサーがIAAFとの協定に署名したことを受け、ラミン・ディアク氏がイスタンブールに対する支持を翻して東京支持へと立場を変えた。

ラミン・ディアク氏が突如立場を変えたことについて、東京側は『自分たちの理解を超えている』と話し、イスタンブール側は今回の敗因がその事によるものではないと考えていると答えていました。
国際オリンピック委員会(IOC)は、ラミン・ディアク氏の主張の根拠となった会話記録について調査を行う意向であることを明らかにしました。

パパ・マッサタ・ディアク氏はセネガル警察から7時間に及ぶ事情聴取を受けましたが、司法当局は同氏を国外追放にはしないと語っています。
ガーディアンの取材に対し、パパ・マッサタ・ディアク氏は次のように語りました。
「これら問題については現在フランスの警察及び司法当局によって調査中のため、私はいかなるコメントもするつもりはありません。」

リオ五輪
国際オリンピック委員会(IOC)は、リオデジャネイロでの夏季オリンピック大会の開催前に第129回の総会を開催する予定ですが、倫理・コンプライアンス部門の責任者が、国際陸上連盟(IAAF)の問題を調査中の世界アンチドーピング機関(WADA)とフランスの治安判事とすでに接触し、司法手続きのための捜査に協力していると語りました。

その上でIOCのスポークスマンは次のように付け加えました。
「IOCの倫理・コンプライアンス部門の主要な役員は、嫌疑のかかっているすべての不正行為を明らかにするため、利害関係のあるすべての組織と接触を続けています。IOCは現段階においてそれ以上の内容については明らかにできません。」

https://www.theguardian.com/sport/2016/may/11/tokyo-olympics-payment-diack-2020-games
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私は安倍政権の「一億層活躍社会」「経済の好循環」「アベノミクス」などという言葉は、政治に誠実に向かい合うという姿勢から生まれたものだとはとても思えない、そう考え続けてきました。
実態とはかけ離れたそのしらじらしいまでの薄っぺらさは、どう考えても広告代理店のコピーライターが作ったものだろうと思ってきました。
今回この事件の重要な役者のひとりが、その日本の巨大広告代理店だとガーディアンが報じてくれたおかげで、「やっぱり……」という思いを強くしています。

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【 ISISの無差別殺戮が作り出した母子家庭 】《3》

エリン・トリーブ、ソフィア・バルバラニ / アメリカNBCニュース 5月7日

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夫をISISに殺されたヤジズ教徒の女性たちは、孤独に苛まれ社会の中で女性一人の力で生きていくことの限界にも直面させられています。
それでも彼女たちは母親として子供たちを守っていくことを改めて心に誓い、自らの勇気を奮い立たせようとしています。

「イスラム国(ISIS)の攻撃が迫って来た時、私たちはみんな山の中に逃げ込みました。しかし夫は牛の世話が心配で逃げることを拒否しました。
2日後、私は夫に山に逃げるよう懇願しました。
夫は逃げる準備を始めましたが、そこにISISがやって来て夫に外に出るよう命令しました。
拒否した夫はその場で射殺されたのです。

シレーン・カセム・フダイダ(60歳)は13人の子供たちを育てた現実的な女性です。彼女は直面している問題に冷静に取り組んでいます。

息子の1人はペルシュメガの兵士ですが、無給です。もう一人の息子には仕事がありましたが、問題があって今は働いていません。

私たちはイラク政府から支給されていた100万ディナール(US 900ドル)に頼って生活してきましたが、今はもうありません。
シレーン・カセム・フダイダ(60歳)と子供たち。(写真下)
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シレーンによれば、下の写真の子どもたちは現在ISISに捕らわれの身となっている。
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http://www.nbcnews.com/slideshow/widowed-isis-yazidi-women-find-strength-motherhood-n569466

【 2020年東京オリンピック開催決定の裏に、巨額の不正資金 】《前篇》

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所要時間 約 10分

秘密口座へ1,300万ユーロ(約1億6千万円)の支払い、2020年東京オリンピック開催地決定の前後に
嫌疑のかかっている支払いについて、フランス警察当局が詳細に捜査中

オーエン・ギブソン / ガーディアン 5月11日

東京オリンピック01
日本の東京オリンピック招致のための対策チームからスキャンダルによって失脚した元国際陸上競技連盟のラミン・ディアク会長の息子が関係する銀行口座への7桁の金額の支払いが、2020年のオリンピック大会の開催地が東京に決定するまでの期間に行われたとの情報をガーディアンが入手しました。

この1,300万ユーロ(約1億6千万円)に上る巨額の不正資金については現在フランスの警察が詳細な調査を行っていると伝えられていますが、国際的イベントの開催地を決定する際の手続きとディアク氏の体制との関連がどのようなものであったのか、国際オリンピック委員会にその公正さについて重圧がかかることになりました。

そして2013年、2020年東京大会の開催を手にした際の日本に対しても、深刻な疑問が突き付けられることになりました。

たとえ何票であってもオリンピック開催地決定のための票が金で売買されたことを示す事実があれば、国際オリンピック委員会(IOC)にとっては、この上ない恥辱となります。
2002年に開催されたソルトレーク・シティ冬季オリンピック大会に絡む贈収賄スキャンダルが大問題となって以降、IOCは開催地決定の清廉潔白な手続きの実現を重要課題としてきました。

東京オリンピック
父親の方のディアク氏は1999~2013年、IOCメンバーを務めた後、2014年に名誉メンバーになりました。
同氏はロシアのドーピング疑惑が明らかになった後、その事実をもみ消すために100万ユーロ(約1億2,000万円以上)を受け取ったと告発され、2015年11月国際陸上連盟(IAAF)の会長を辞任しました。
ディアク氏は国際陸上連盟本部の腐敗についての捜査のため、政府の命令により現在フランスを出国することを禁止されています。

今年3月、ガーディアンはディアク氏に対するフランスの捜査が国際陸上連盟(IAAF)の問題から、2016年、2020年のオリンピック開催地決定に関わる競争にまで拡大したことを伝えました。

現在、嫌疑のかかっている取引は、2020年東京オリンピックの開催を実現するための組織、あるいはその取り組みに協力していた組織から闇の資金ルートを経てシンガポールの秘密口座に送金されたものであり、その総額は1,300万ユーロ(約1億6千万円に上っていると見られています。
この口座はラミン・ディアク氏の息子パパ・マサッタ・ディアク氏に関連するものです。
マッサタ・ディアク氏は現在国際陸上連盟(IAAF)のマーケティング・コンサルタントを務めています。

東京オリンピック02
2013年東京が競争相手だったトルコのイスタンブールとスペインのマドリードに勝ち、2020年オリンピックの開催権利を獲得した時点で、1999年から2015年までIAAFの理事長を務めていたラミン・ディアク氏はIOCの有力なメンバーでした。

10年以上に渡る国際陸上連盟(IAAF)の中枢で起きた腐敗と収賄は、今回の一連の告発の中心になっています。
世界アンチドーピング機関(WADA)に委嘱され今年1月に発表された独立機関による調査報告書は、ディアク氏と彼の息子でありマーケティング・コンサルタントのパパ・マッサタ・ディアク氏が国際陸上連盟(IAAF)の「隠された違法な支配機構」を運営するために、弁護士ハビブ・シス氏とどのように共謀していたかを明らかにしました。

2017年の世界陸上と2020年のオリンピック開催にカタールが名乗りを上げていた当時、マーケティング・パートナーである日本の電通の了解の下でスポンサー企業の獲得について自由裁量権を持っていたパパ・マッサタ・ディアク氏は、カタール政府に対し500万ドルの支払いを要求していた可能性があることをガーディアンが報道したことがありました。

東京五輪図
そして2008年1月、ガーディアンは、カタールが2016年のドーハでのオリンピック開催権利を得ようと運動していた当時、その取り組みに関わっていたと見られるパパ・マッサタ・ディアク氏が何かの『包み』を6人のIOCの有力メンバーに配布していたことを伝えました。

しかし今回の最新の予期せぬスキャンダルは、FIFAやIAAFなどの国際スポーツ組織のスキャンダルが次々と明らかにされる中、何より国際オリンピック委員会と現在その(IOC)会長を務めるトーマス・バッハ氏に衝撃を与えました。

嫌疑のかかっている支払いは開催地に東京が選出された前後に、多数回にわたって行われたものと見られています。
この件についての問い合わせに対し今回のオリンピック開催の誘致を行った日本オリンピック委員会の広報担当部門は、4月末から5月初めが連休のため業務を休んでおり、事実確認が出来ていないと返答しました。

東京オリンピック03
2020年東京オリンピック組織委員会は、今回の嫌疑に関する内容を把握していないと返答しました。
スポークスマンは次のように述べました。
「2020年東京オリンピック組織委員会は、今回の告発の内容をうかがい知る術がありません。私たちは最高の開催条件を提示したために、東京が開催地に選ばれたと考えています。」

〈 後篇に続く 〉
https://www.theguardian.com/sport/2016/may/11/tokyo-olympics-payment-diack-2020-games
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【 ハドソン川のフクシマ 】《2》を掲載する予定でしたが、衝撃的なニュースが5月11日付のガーディアン紙に掲載されたため、急きょこちらを翻訳し掲載することにいたしました。
掲載の更新時刻も変更しました。
後篇を引き続き掲載の後、【 ハドソン川のフクシマ 】については、16日以降順次掲載していく予定です。
[お詫び]
掲載当初、不正資金の総額1,300万ユーロを「16億円」と単位を誤って掲載していました。訂正した通り「1億6千万円」の誤りでした。
お詫び申し上げます。
[変更]
5月13日のガーディアン紙が再びトップでこの記事の続編を掲載しました。
この記事の後篇を掲載の後、そちらを翻訳掲載いたします。
【 ハドソン川のフクシマ 】《2》以降の掲載はその後にさせていただきます。

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【 ISISの無差別殺戮が作り出した母子家庭 】《2》

エリン・トリーブ、ソフィア・バルバラニ / アメリカNBCニュース 5月7日

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夫をISISに殺されたヤジズ教徒の女性たちは、孤独に苛まれ社会の中で女性一人の力で生きていくことの限界にも直面させられています。
それでも彼女たちは母親として子供たちを守っていくことを改めて心に誓い、自らの勇気を奮い立たせようとしています。
「私たちが住んでいた町がイスラム国(ISIS)に襲撃された時、夫は私に息子と娘を連れて逃げるよう頼みこみました。
夫はそこに残って戦わなければならないことが解っていたため、私は残りたかったのですが、子どもたちのことが心配でした。
結局私の家族は夫を残して避難しましたが、夫はその日のうちに殺されてしまいました。
2日後、親類が夫の遺体を回収しました。
彼は優しい心をもつ非常に穏やかで勇敢な男性でした。
葬儀の時、人々は口々に彼の勇敢さをほめたたえ、私はとても誇らしい思いをしました。
でも夫を失った私たち家族の生活は一変してしまいました。
夫を失った私に行動の自由はありません。
訪れる人もめっきりいなくなりました。」

現在35歳のパキザ・メルヘムが嫁いだのは12歳になったばかり時でした。
彼女は今、黒い喪服に身を包んだままです。(写真上)

「あの日私も撃たれて死ねばよかった…夫のいない生活の困難さに追い詰められた私は、時々そんなことを考えます。そんな時私を支えてくれるのか子どもたちです。私は何とか子供たちを支えていこうと思っていますが、子どもたちもまた私を支えようとしてくれています。
[今の状況]を考えれば、私が生き残るより夫が生き残ってくれていた方が良かったと思います。
男性なら再婚することが出来ますが、9人の子供たちがいる私は再婚することはできません。再婚すれば子供たちを夫の親類に任せなければならないからです。
私が持服を脱ぐのは、子どもたちが無事成人した時です。子供たちが皆成長して結婚して幸せになったら、その時私も喪服を脱ぐことが出来るでしょう。」

8人のうちの4人の子どもたちと一緒に。(写真下)
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http://www.nbcnews.com/slideshow/widowed-isis-yazidi-women-find-strength-motherhood-n569466

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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