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【安倍政権の報道統制、日本国内の反対の議論を許さず 】《後篇》

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所要時間 約 9分

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日本が武力行使をできるようにすることに反対する人間は『恥知らず!愛国心がない!』
日本の民主主義は今、危機に瀕している – 日本の報道機関にはその事を国民に伝える義務がある

ジュリアン・ライオール / ドイツ国際放送 7月1日

安倍メディア圧力
▽『恥知らず!愛国心がない!』

「明らかに日本の立場を悪くしようとしている数多くの恥知らずな、愛国心のない記事が数多くあります。」
百田氏はこう語ったと伝えられています。
この発言に続く議論では、政府の政策を支持しない報道機関に対しては経団連を通じて各企業に広告を載せないように働きかけ、経済的に圧力をかける提案が行なわれました。
別の講演者は、広告収入を減らすことが「メディアを懲らしめる、最も効果的な方法である」ことに同意したと伝えられています。

百田氏は沖縄県内にある米軍基地について、批判的報道を行っている琉球新報と沖縄タイムズを名指しして、この2つ新聞社を「つぶさなければならない」と攻撃しました。

野党の維新の会は、自民党が「傲慢」であると非難し、日本共産党は首相としての謝罪を要求しました。
中立的立場を取る毎日新聞は社説において、日本政府が報道の自由の統制を謀っていると批判しました。

古賀茂明氏
かつての政府官僚で、現在はフリージャーナリストとして現政権への批判を強めている古賀茂明氏は、
日本のメディアが公正中立であるべき姿勢を政治的圧力の前に捨ててしまったと批判するとともに、一連の騒動について『見過ごすことのできない、非難されるべき』行為だと語りました。

「報道機関の政治的立場がそれぞれ異なることはあって良いことです。しかしそれぞれが意見を表明する権利については、当然守られるべきです。」
ドイチェ・べレ(ドイツ国際放送)の取材に対し、古賀氏がこう語り、次のように続けました。
「言論の自由に関する市民の権利は、憲法第21条のもとで保証されています。
そして新聞がその編集方針のためにつぶされなければならないという提案を正当化する理由など、全くありません。」

▽ 自分たちは『憲法より上の』存在

報道の自由 1
「しかしながら、今回の騒動の渦中にあるこれらの人々、彼らはまさしく政治指導者の地位にありますが、自分たちの信条の方が日本国憲法より正しいものであり、さらには日本にとって大切だと考えているようです。」
奥村氏がこう語りました。
「これは私にいわせれば、この日本の民主主義が明らかに今、危機的状況にあることを示すものです。」
「日本の報道機関は、何よりもまずその事を国民に伝える義務があるはずです。」

政府内の一部にこの際報道機関の口を封じてしまいたいという願望が明らかに存在しているという事実は、現在国会で行われている安全保障関連法案の審議の結果がどのようなものであるかを暗示するものです。

政権与党の自民党は、連立パートナーである公明党とともに、衆議院、参議院の両院において過半数を超える議席を有しています。
しかし世論調査の結果は、日本を他国が関わる国際紛争に巻き込む恐れがあるこれらの法案に対し、国民の半数以上が反対であることを明らかにしました。

憲法解釈変更 7
「安倍首相、そして首相自身が編成し周囲を固めている『チーム・アベ』の考え方は、大半の日本の市民感情からずれています。」
奥村氏がこう語り、次のように続けました。
「今回の事件は対立する野党に、政治的駆け引きの願っても無い有利な条件を提供したことになります。
これを上手に利用すれば、安倍政権の支持率の低下につながり、自民党内に息づく傲慢さと選挙によって選ばれた国会議員としての自覚が欠如している問題を浮かび上がらせることが可能です。」

〈 完 〉
http://www.dw.com/en/japanese-government-punishes-faction-for-media-attacks/a-18555094
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太平洋戦争ー時代のドラマなどに必ず登場する人間、些細な過失や考え方が周囲とは少し違う人に向かって、かさにかかったようにして
「非国民」
という言葉を浴びせかけた、それと同じ人間がこの記事中にも登場します。
私は「非国民」と言って回った人間たちの品性を強烈に疑っています。
ジャンヌ・ダルクを『異端』として火あぶりにした人間たちと何が違うのでしょう?

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【 冥王星への最大接近 : 米国人工衛星 】《後篇》

アメリカNBCニュース 7月6日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

冥王星
現在冥王星への接近に向け航行中のNASAの探査衛星『ニューホライズン』が7月4日に通信障害を起こした問題について、プロジェクトの総責任者であるジョンズホプキンス大学応用物理研究所のグレン・ファウンテン氏は通信の回復にかかった時間は15分間に過ぎなかったと述べました。
ファウンテン氏は4日にかけて衛星が撮り貯めた画像圧縮作業が、事前に行っていたテストの際の容量をオーバーしたために、今回の障害が発生したと見られると語りました。
「今後、コンピュータに過度の負担をかけることは亡くなります。」

障害を解消し、正常な探査能力を復活させるのに『ニューホライズン』は2日かかりましたが、その理由は2つあります。

第1に、この宇宙船は約50億キロメートル彼方にいます。
この距離は、光速で宇宙船に送られる信号が届くまで4.5時間かかり、返信を地球にある基地が受け取るまでにさらに4.5時間かかることを意味します。

冥王星04
第2の理由としてサウスウェスト研究所のアラン・スターン主任研究員は、5日と6日に予定していた観測を中止し、とにかく宇宙船の機能回復に集中することに決定したことを挙げました。
「とにもかくにもまず、冥王星に最接近した時の観測を最優先させることにしたのです。」

今回のプロジェクトでは全部で496件の観測業務を予定していましたが、5日と6日に予定していた30件がキャンセルされました。
しかしそれでも全体のプロジェクトにほとんど影響は出ないとスターン主任研究員が語りました。

スターン研究員は『ニューホライズン』が打ち上げられて9年間の間に9度緊急事態が発生したが、その都度乗り越えてきたと語りました。
「今度の事態について私たちが神経質になっているとお考えかもしれませんが、少なくとも私はそうではありません。」

冥王星06
▽ 冥王星との遭遇

『ニューホライズン』と冥王星との距離は現在900万キロメートルを切り、なおも毎時50,000キロメートルのスピードで近づいています。
そして7月7日には予定された冥王星の観察を、最接近する14日の二日後の16日まで行う予定です。
スターン研究員は7月14日は、マリナー4号衛星が初めて火星の観察に成功してからちょうど50年目にあたると語りました。
「私たちはマリナー4号衛星の時の5,000倍のデータを収集するつもりです。」
「冥王星はこれまで観察されたどの惑星とも異なる性質を持っています。トリトン(海王星の最大の衛星)との類似点を持っていますが、同じではありません。」
「これから私たちに、非常に複雑な物語を語ってくれることになりそうです。」


http://www.nbcnews.com/science/space/ok-nasa-new-horizons-final-approach-pluto-n387696

【 安倍政権の報道統制、日本国内の反対の議論を許さず 】《前篇》DW

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所要時間 約 9分

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安倍政権に批判的な新聞に、政治的にも経済的にも圧力をかけて批判することを許すな!
一党独裁に近い状況が作り出した『思い上がりと傲慢さ』が、民主主義に許されない暴言を吐かせた

ジュリアン・ライオール / ドイツ国際放送 7月1日

安倍メディア圧力
政権与党・自民党の議員が現在の政権が進める安全保障法案に新聞などが異論を唱えないように、圧力をかけるべく働きかけを強めるべきだと発言し、あらためて現在の日本の報道の自由、表現の自由について疑問がわき上がりました。

党内の若手議員などが、安倍政権の防衛政策に批判を強めている新聞社や放送局などのメディア機関に対し、懲罰的対応をとるか、圧力をかけて政府の政策に迎合する論調に変えさせるか、あるいはこの際つぶしてしまえという極論まで唱え、自民党執行部は政府の見解とは異なるとして一線を画すべく対応に苦慮しています。

安倍晋三首相は自民党が言論の自由を尊重する延べ、谷垣幹事長は謝罪のための記者会見を行い、党の青年局長で6月25日に開催された勉強会の世話人を務める木原稔衆議院議員を更迭したことを明らかにしました。
大西英男衆院議員は政府に批判的な報道機関は『懲らしめる必要がある』と発言、最も多くの批判を浴びました。
大西議員を含む3名の議員はその発言と行動について党から『厳重注意』の処分を受けました。

戦争させない
これらの議員の発言は報道機関、一般市民、そして野党の議員の大きな怒りを買いましたが、安倍政権は目下、一般市民の注意を別の問題に向けさせるべく対応に苦労しています。

「そこには傲慢さが見え隠れしています。考えられているより、ずっと悪い兆候です。許されない傲慢さに溢れています。」
明治大学国際総合研究所の奥村準客員研究員がドイチェ・べレ(ドイツ国際放送)の取材にこう答えました。

▽『思い上がりと傲慢さ』

「これら一連の発言と行動は、ここ数年間対立する野党が混迷を続け政治的に無力化していることを背景に、一党独裁に近い状況が作り出した『思い上がりと傲慢さ』によるものです。」
奥村氏はこう語りました。

古賀氏 1
しかし日本では政府が報道機関に対する圧力を強め、新聞社や放送局の経営者が報道の独立より政府関係者との親密な関係を重視し、編集部門に政府機関の見解のみ伝えるよう圧力をかけていると多くの人々が感じています。
報道機関の姿勢が微妙に変化している現在、奥村氏のこうしたコメントすら公の場から抹殺されかねません。
「これらの自民党の若手議員たちは、自分たちは安倍首相の考え方をよく理解しており、その自分たちがメディアに登場した際には意見を声を大にして言う権利があると考えていたことは明らかです。」

「そして安倍首相は一方では『民主主義の根幹である表現の自由を尊重する』と言いながら、当初首相としても自民党党首としても、彼らの発言について直接謝罪をしようとはしなかったことが、すべてを物語っていると思います。」
または自民党の上部として、言われたことについての直接の謝罪をしなかったことを全く印象的であるとわかります」
奥村氏がこうつけ加えました。

特定秘密 2
安倍首相が最も謝罪に近い言葉を口にしたのは、次の一言でした。
「きわめて遺憾である。」

騒動を引き起こしたのは作家の百田直樹氏を講師として招き、約40名の議員が参加して行われた自民党本部における『勉強会』です。
現在日本政府は日本の軍隊、すなわち自衛隊を国際紛争の場に派遣し、同盟国の援軍としてより積極的な役割を演ずることが出来るよう、法律の改定を行なおうとしています。
百田氏はこうした安倍政権の政策に対し批判的報道を行っているメディアを攻撃するきっかけを作る場として、この『勉強会』を利用したのです。

〈 後篇に続く 〉
http://www.dw.com/en/japanese-government-punishes-faction-for-media-attacks/a-18555094
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今朝の地方紙の社説に今国会で、裁判で『違憲』とされた衆参両院の選挙区の見直しも審議されていることが伝えられていました。
テレビなどでは取り上げられませんが自民党の『憲法改正案』には、『比例代表制』の議席を消滅させるべく、選挙区をすべて都道府県別にするということがはっきりと謳われているという指摘があり、驚きました。
これが現実になれば、共産党などの議席は激減することになるでしょう。
彼らは飽くまで『一党支配』の実現を志向しているようです。

どこの西側先進国に一党支配が存在するでしょうか。
共産党の一党支配は中国、実質的に一党支配に置かれているのがロシア…
これらの国における弱者や少数派の扱いを考えてみてください。

世論調査などを見ると、自民党の『支持率』は35%内外と言ったところのようですが、その中身もかつてエコノミストが指摘したように、政治的ビジョンなどとはほとんど関係無く、後援会組織が世襲制の議員を国会に送りだしているというのが現実のようです( http://kobajun.biz/?p=21152 )。
この事実と『比例代表制』の議席を消滅させる意図を考え合わせると、彼らの『意思』というのは、民主主義の理念に基づいて国民の希望を丹念に国政に反映させるなどという事ではなく、まずは自分たちの議席の確保、そして『思い上がりと傲慢さ』に基づく恣意的な政治である事を痛感します。

この現実を前に、私たちは座して傍観していてよいはずがありません。
日本は1920年~30年に軍国化を進めていきました。
それから約100年、ドイツをはじめとする先進各国が民主化を進めたことは明らかなのに、日本だけが逆行していいのでしょうか?

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【 冥王星への最大接近 : 米国人工衛星 】《前篇》

アラン・ボイル / アメリカNBCニュース 7月6日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

冥王星
NASAの探査衛星『ニューホライズン(新しい地平線)』が宇宙探査史上歴史的出来事になる、7月14日冥王星への最大接近に向け、最終行程に入りました。
冒頭の写真はニューホライズンが装備している調査用の超広角受像機を使い、7月3日に1,250万キロの距離から撮影した冥王星の写真です。
この事業の責任者は7月4日に一時宇宙船との通信が途絶えたトラブルに言及し、このような不具合は二度と起きないだろうと語りました。
今日から7月14日の重要な任務にかけ、万が一コンピュータがクラッシュすれば、自動的に再起動し、抜けた分のデータも自動で修復されることになっています。
「自宅であなたのコンピュータを再起動するのと変わりません。」
プロジェクトの総責任者であるジョンズホプキンス大学応用物理研究所のグレン・ファウンテン氏が、約892億円をかけたこの事業について、電子会議の合間に記者にこう語りました。

冥王星01
グレン・ファウンテン氏とサウスウェスト研究所のアラン・スターン主任研究員は、4日土曜日になぜピアノ・サイズの宇宙船がスピードバンプ[防止帯・自動車を減速させるために路面に作られた隆起]に衝突したのかについて説明しました。

問題が起きたのは、コンピュータがディスク容量に空きを作るためこれまで撮り貯めた画像を圧縮する作業を行っていた際、同時に冥王星接近の際に行われるべき詳細なコマンド・シーケンス(作業指示の手順)をロードし始めた時でした。
プロセッサの処理能力の限界を超えたため、コンピュータは防御プログラムを起動し、地球との通信を自動的に遮断、約1時間後安全を確保した上で地球との交信を再開したのです。


〈 後篇に続く 〉
http://www.nbcnews.com/science/space/ok-nasa-new-horizons-final-approach-pluto-n387696

【 福島第一原子力発電所事故 – 人間が生きていた世界を壊滅させた記録 – ボストン美術館 】《後篇》

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3.11が明らかにしたことは政治というものがいかに盲目であるか、そして政治の貪欲さ
3.11を体験したその意味について、もう一度考えることを私たちに求めている

ヴッキー・ゴールドバーグ / ニューヨークタイムズ 6月19日

ボストン美術館
被災地の写真家、志賀れいこ氏は付近一帯すべてをのみこんだ津波からかろうじて逃れることが出来ました。
彼女が展開するイメージと写真の技術は卓越したものです。
ほとんどの作品は東日本大震災の発生以前に撮影されたものですが、その表現にはこの世の終わりを予感させるもの、あるいは想像させるものがあり、そして災害に対する思いが秘められているのを感じることが出来ます。

一枚の写真の中で高齢の夫婦が逆さまになった、裸にされた木の幹と一緒に写っています。
天地が逆になった木の根は、必死に手を振っているようにも見えます。
木の幹は男性の体を突き通しているようにも見え、木も高齢の夫婦も不吉な赤い色をしています。

志賀れい子氏

志賀れい子氏


目には見えないものの写真、それはいったいどうすれば撮影できるでしょうか?
超現実主義的表現を用いて、全く異なるふたつのものを比較または関連付ける修辞技法によれば可能になるでしょうか?

82歳の川田喜久治氏の作品は、血塗られたような部分皆既月食の月を背景に、不気味な暗い暁闇の中に福島第一原子力発電所を浮かびあがらせています。

荒木経惟(のぶよし)氏は、傘をさして歩いている人々の様子を縦長の写真の中で表現しています。
これは井伏鱒二の作品『黒い雨(原爆投下後に降った強い放射能を帯びた雨)』を暗示した世界です。

武田慎平氏のパズルのような抽象的な写真は、よりはっきりと問題に答えに近づいたものです。

荒木経惟(のぶよし)氏

荒木経惟(のぶよし)氏

黒い宇宙の中に巨大な星団と銀河が広がっているように見える写真は、福島の汚染された土を材料にして実際に作られたものです。
この土の上に感光紙を一カ月間置いたままにして作られたのがこの写真です。
汚染された土から発せられる放射線が、この宇宙のような造形を描き出したのです。

この人間の目には見えないものの写真を撮る方法は、同じ1896年に、2人の物理学者によって発見され、両名共にノーベル賞を受賞しました。

ウィルヘルム・レントゲンはこの年X線を偶然に発見しました。
そして、アンリ・ベクレルはウラン塩から放射能を発見しました。

ボストン美術館の今回の展示に関するカタログには、アーティストや科学者の中には、自分たちが感じているイメージを表現するために、手袋やキノコ、あるいは子供たちの靴を題材として使ったことを強調しています。
武田氏の作品は、展示会における他の写真にも共通する疑問を投げかけています。
すなわち、写真は世界共通の言葉で語りかけて来るものなのか?
それとも固有の言語を理解する必要があるのか?

太田康介(やすすけ)氏

太田康介(やすすけ)氏

博物館では誰もが理解できる共通の言語に対する、強い欲求があります。
そのためには壁に掲示してある解説文、そしてカタログに掲載されている様々な情報が役立ちます。

太田康介(やすすけ)氏の誰もいない町の中で、1羽のダチョウが困惑したように辺りを眺める姿をとらえた写真が、福島第一原発の事故で遺棄されたペットたちを救済するキャンペーンのための写真の内の一枚であることを解説しています。

2人の写真家の作品は、原発事故の破壊の後の政治的状況、経済的状況がどういうものであるかを、写真を通して改めて認識させてくれます。

展示されている中に河田氏の『地図』と題された不吉な感じの小さい写真本があります。
これは1965年、高度成長期の日本において日々の生活が向上していくテレビの映像と、原爆によって廃墟にされた原爆ドームとを対比させたものです。

川田喜久治氏

川田喜久治氏

潘逸舟(はんいしゅう)氏の作品は、破壊された福島第一原発の施設をぼかし、それを一円玉のグリッドで囲い込むことにより、原子力発電に国家経済を依存させている日本の状況を表現しています。

かつて一度、より高い精神力を持つことによって、自然災害に打ち勝つことができると考えられたことがありました。
しかし現在、自然災害がどういうものであれ、いちばん明らかになったことは政治というものがいかに盲目であるか、そして貪欲なものであるかということです。

福島第一原発の事故は、これから何年も何年も放射線の脅威と向き合う事を強要しました。
ボストン博物館に展示中の日本人カメラマンたちの作品は、その巨大な不安を一枚の小さな写真の中に詰め込みました。

私たちはすでに数多くの福島第一原発事故や東日本大震災の写真を見てきました。
今回展示されている写真は人々の心の中にあるはずの声、いつの日現実になるのを願っていること、ある種の感情や事実から受けた衝撃を癒すこと、そして大破壊を体験したその意味について再認識させてくれます。

新井卓氏

新井卓氏

ここに展示されている写真は、3.11を体験したその意味について、もう一度考えることを私たちに求めているのです。

〈 完 〉

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目の前に広がった3.11の惨状に突き動かされるようにして始めた【星の金貨】だったはずですが、その自分の中でも風化が進んでいることに複雑な思いをかかえています。
ひとつには3.11の後から現在まで、日本の政治のあまりの劣化ぶりに焦りにも似た感情に駆り立てられ、その危機感の方が大きくなっているから、ということがあるかもしれません。
民主主義が「蹂躙」されているとしか言いようの無い2015年の政治について、記事中にある通り、盲目の政治家たちが貪欲な政権運営をしていることに、3.11以上の危機を感じざるを得ません。

【 福島第一原子力発電所事故 – 人間が生きていた世界を壊滅させた記録 – ボストン美術館 】《前篇》

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「報道終了後」にあえて、巨大地震と津波、福島第一原発の惨禍を記録した写真展を開催した目的とは
被災地のがれきの中から回収された写真の傷みの激しさは、被写体となった人々の運命そのものなのか…

ヴッキー・ゴールドバーグ / ニューヨークタイムズ 6月19日

ボストン美術館
巨大な自然災害が発生した後に、それらについて『芸術』写真を想像する行為には、どのような価値があるのでしょうか?
報道写真は災害の恐怖を生々しく伝えました。
それは『芸術』写真といえど、同じことでしょうか?
『岩手にて : 3.11東日本大震災への反応』( http://www.mfa.org/exhibitions/in-the-wake )
ボストン美術館で開催中の17人の日本の写真芸術家による作品展は、もはや一連の報道が終わってしまった後、あえて開催されたものです。
2011年3月11日に発生した巨大地震、残酷この上ないものとなった巨大津波の襲来、そしてそれを上回る惨禍をもたらした福島第一原発の事故発生と放射性物質の拡散について記録した彼らの作品は、こうした疑問について改めて考えさせると同時に、『報道終了後』というタイミングにあえて挑戦したものです。
ここに集まったカメラマンの中にはすでに有名な人もいますが、他はこれから、あるいは今まさに注目を集め始めた人々です。

新井卓(あらい たかし )氏

新井卓(あらい たかし )氏


ここに紹介された作品の中にはすでに様々な形で紹介されたものも含まれますが、日本国内では一同に展示されたことはありません。
その理由についてははっきりしたことは解りませんが、原子爆弾の犠牲者の記憶、あるいは福島第一原発事故の記憶が未だに生々しいということがあるのかもしれません。

19世紀に写真というものが誕生して以来、人々は天災と人災、その両方の大災害に関する記録を残し続けて来ました。
近いところでは9.11同時多発テロ、ハリケーン・カトリーナの被害を題材とした大規模な写真展がボストン博物館で開催されました。

しかし見えない恐怖 - 放射線の恐怖 - シュール、シンボリズム、比喩的表現を中心に据えた写真展はボストン博物館としても初めての試みになります。

表向きこの写真展のテーマは2011年3月11日です。
しかし、もっと深い場所に秘められた主題は恐怖、そして不安です。

壁に掲げられた紹介文にはこう記されています。
ここに展示されている100点近い作品は「3.11の記憶を永遠のものとするためのものである」

北島敬三氏

北島敬三氏


荒井たかし氏の銀板写真法による作品は自身、『災害についてのミクロの記念碑』だと考えています。
しかしそれぞれの人々にとって『3.11の記憶』は改めて展示された写真見るまでもなく、強烈であるに違いありません。

なぜ今回展示された作品が『3.11の記憶』にとって重要な意義を持つのでしょうか?
そのこんせぷとについて問題提起をしているのが、この展示会を企画したボストン美術館の写真部門の責任者であるアン・E・ハビンガ、そして日本の芸術作品部門の責任者を務めるアン・ニシムラ・モースです。

7月12日まで開催されるこの展示会は多くの問題をはらんでいます。
見た目にも美しい作品も数多くありますが、美学はこの際第一に考えるべきテーマではありません。

展示場に入り最初に目に入るのは、記憶と記録を保管するという写真の役割の再確認とも言うべきものです。
展示されているのは3.11の発生以前に撮影された、アマチュアたちが撮影した家族の写真です。

北島敬三氏

北島敬三氏


これらの写真はすべて、3.11の被災地となった場所でがれきの中から拾い集められたものです。
子供たち、カップル、イベント、風景写真…
ひどく損傷し、中には写っていたものがほとんど消されてしまっているようなものもあります。
3.11の犠牲者、そして被災地そのもののように…
ここに写っていた人々は3.11の犠牲者となり、さらには写真まで失われてしまったのでしょうか?

展示場をさらに入ると、3.11当日、日本のテレビ局が撮影したビデオを見ることが出来ます。
そこに映し出される津波は村や町を丸ごとのみ込み、恐ろしい音を立てながら一瞬のうちにがれきと残骸に変えてしまいます。

この展示会の災害のの写真が、専門家による演出とすばらしい現像技術に頼る芸術作品というだけなら、そこに見えるのは不条理な出来ごとを芸術的に表現した『混沌の世界』ということになるでしょう。
説得力のある芸術作品というまとまった感想を持つことも出来るかもしれません。

畠山直哉氏

畠山直哉氏


しかしここでのカメラマンたちはひとりひとり、まるで異なるイメージを展開しています。

三好耕三氏の完全に破壊された村を撮影した白黒写真は意識的に客観的表現を指向し、あたかも人間の感情など入り込む余地のない程巨大なできごとが、避けることの出来ない形で襲ってくるかのようです。
しかしそれほどの出来ごとであれば、人間の心は当然強く揺さぶられます。

津波に襲われる前、畠山直哉氏は公開するつもりなどまったくないまま母が暮らしていた村の写真を撮影しました。
東日本大震災によって母の命は奪われ、村は破壊されてしまいました。
母が住んでいた家の上に虹がかかっている写真を始めとするこれらの写真は、今は別の意義を担って展示されています。

三好耕三氏

三好耕三氏

〈 後篇に続く 〉

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未だ【星の金貨】を始めていない頃、様々な英文を読んでいた中でクラシック音楽の輸入CDの解説文が一番難しいと思っていました。
ここにご紹介する記事も、翻訳するのに相当時間がかかりました。
それでも誤訳、迷訳があるかもしれません。
ご容赦ください。
この文章は後編の最後までお読みいただくと、普段読んでいる報道記事とは異なる感動がわき上がってきます。
そこのところまでお伝えできれば良いのですが…

【 東京電力は当初から津波の危険性を認識、しかし対策は行わず – 福島第一原発 】

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暴露された新事実、あらゆる津波対策を講じていたとするこれまでの東京電力の主張に疑い
従来の想定を超える津波が襲う可能性を、東京電力本社も福島第一原発もともに認識していた?!

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 6月18日

福島第一原発2015
東京電力の内部文書によれば、巨大事故を引き起こした福島第一原子力発電所の運営者である東京電力は、2011年3月の2年以上前に津波の被害を食い止めるための新たな対策を取る必要性を認識していましたが、結局対策を取ることはありませんでした。

今回暴露された新たな事実は、巨大津波に襲われたことにより3基の原子炉がメルトダウンするという、世界にも例のない事故を引き起こした福島第一原発について、東京電力は津波による被害を防ぐために可能な限りのあらゆる対策を講じていたとする東京電力の主張に、改めて疑念を生じさせることになりました。

25年前のチェルノブイリ以降世界最悪となった福島第一原発の事故では、放射性物質による大規模な環境汚染が発生し、150,000人以上の住民が自宅を捨てて避難を余儀なくされ、そのほとんどが未だに元住んでいた場所に戻れずにいます。

アルジャジーラ抗議集会
2008年に施設内での議論について記録した文書は、過去にこの地域で発生した津波の規模から判断して、福島第一原発がすでに設備していた防御施設の想定以上の高さの津波の襲来に備える必要がある、この点について東京電力の役員が認めていたことを証明しています。
これは福島第一原発の事故発生の2年6カ月前です。

この文書は、40人以上の株主が事故当時の役員に対し、東京電力に著しい損害を与えたとして5兆5000億円の損害賠償を求めた裁判の公判において、会社側が6月中旬に公開しました。
東京電力側はこれまでずっと、発生時に16,000人以上の犠牲者を出した、東日本大震災規模の津波の発生を予見することは不可能だったと主張してきました。

第一大破壊
東京電力側はこれまでずっと、発生時に16,000人以上の犠牲者を出した、東日本大震災規模の津波の発生を予見することは不可能だったと主張してきました。
例を挙げると2012年4月、東京電力はこの地域で以前発生した津波についての専門家の検証結果に基づけば、2011年3月の東日本大震災における規模の津波の発生は『予見することは不可能だった。そして東京電力も自室発生後にこれ程の規模の津波が発生することを予測することは不可能であった。』
との見解を明らかにしています。

東京電力は東京地方裁判所で現在進行している損害賠償事件の間、似た主張を展開してきました。
しかし、今回の内部文書は2008年時点ですでに東京電力は東日本大震災規模の津波の到来は不可避であることを明らかに認識していたことになる、原告側の弁護士がこのように指摘していると共同通信社のニュースが伝えました。

Fukushima residents
この文書は東京電力が『これまで予測してきた規模を超える津波の収攬が避けられないこと。したがって従来の設備をそれに合わせて改修する必要があること。』を認識していたことになると、日本のメディアが伝えました。

前述の訴訟の原告団は、2008年6月の段階で東京電力が東日本の沿岸部で大地震が発生した場合、最大15.7メートルの津波が福島第一原発を襲う可能性があることを認識していたとする、日本政府の報告書を引用しました。
その3カ月後、福島第一原発の幹部がこの懸念について詳述した社内文書の検討を行いましたが、結局具体的対策を採ることはありませんでした。

これに対し東京電力側は法廷で、2008年の内部文書が会社側に福島第一原発の津波に対する防御能力を引き上げる必要性を認識させたとする見解は誤りだと主張しました。
その理由について、
「専門家の間でさえ、発生する地震の規模についての見解がまちまちであったため。」
東京電力はこう述べたと朝日新聞が伝えました。

http://www.theguardian.com/world/2015/jun/18/fukushima-power-plant-operator-knew-need-protect-against-tsunami-japan-disaster

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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