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【 崩壊していく!先進各国の原子力産業 】《1》

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福島第一原発の事故発生後、急激に失速した世界最大の原子力大国フランスの原子力発電事業
安全性に対する懸念、処分不能の核廃棄物、2つの大問題に加え、遅れに遅れる完成時期、巨額の追加費用という新たな問題が発生

デイヴィッド・ジョリィ、スタンリー・リード(パリ) / ニューヨークタイムズ 5月7日

フラマンヴィル(建設中)
何十年もの間、フランスは国全体が原子力発電のための研究施設であり、その発電割合は4分の3を占めており、他国に例のない断然高い割合を占めています。
そしてフランスの原子力産業界は世界中のウランを核燃料とする原子炉の分野で、その建造と安全に運転を続ける点において、アメリカ合衆国を含む世界をけん引する立場にあると見られてきました。
そしてフランスの機械技術分野において最も脚光を浴びる存在として、輸出その他の点においてフランス政府の全面的なバックアップを得てきました。

しかしフランスの原子力企業は、この2~3年の間に、失速し始めました。

フランスの原子炉の最新技術の優秀さを世界に向け誇るはずだった複数の原子力発電所の完成は、すでに予定より数年遅れ、しかも数十億ユーロという巨額の予算超過に陥っています。
さらに悪いことには、このうちの1か所では新たに明らかになった問題により、完成時期がさらに遅れることになっています。
というよりはいったいいつ完成するのか、あるいは果たして完成できるのかどうかも危ぶまれる事態となっています。

各国の原子力発電の発電割合(2014年)IAEA

各国の原子力発電の発電割合(2014年)IAEA

これはフランスの問題だけではありません。
およそ電気を必要とする国なら、そのすべてが直面しなければならない問題なのです。

世界には石油石炭などの化石エネルギーが地球の気候変動に与える危険性に鑑み、原子力発電をこの問題を解決するためのクリーン・エネルギーのひとつと考える国が多数あります。
2011年、日本の福島第一原発の事故が周辺環境を決定的に汚染したにもかかわらず…

▽ 原子力発電依存

フランスは他の国々と比較すると、原子力発電に依存する割合が他を圧して高いことが解ります。
2015年後半、フランスは国連地球温暖化防止会議の主催国になりますが、フランス政府の当局者たちはこの場で、原子力発電が二酸化炭素排出量が少ない発電手段であることを改めてアピールしようとしています。

しかしそのためにはフランスの原子力産業界が最新の原子力発電所を期限内に、そして予算の範囲内で建設して見せなければなりません。
そうしなければ、特に福島第一原発の事故以降明白なものとなった安全性に対する懸念、核廃棄物をどう処理するのかという従来の2つの大きな問題に加え、さらに時間と費用という新たな問題を付け加えるだけに終ってしまい、多くの国が原子力発電の実施を見直すことになるでしょう。
こうした現実に対する具体的回答として、ドイツとスイスはすでに原子力発電を発電手段の選択肢から除外しました。

各国の現存する原子炉の数(2014年)IAEA

各国の現存する原子炉の数(2014年)IAEA

しかし石油石炭を燃やすことの危険性があまりにも明白な今日、多くの発展途上国には原子力発電を行う以外の選択肢が多い訳ではありません。

フランスの原子力産業はこの60年間大きな事故・トラブルを引き起こすことなく、世界中で原子炉の建設と運営を行ってきましたが、もしフランスがこの分野で後退することになれば、もともと参入企業の少ないこの分野で、中国とロシアという技術的に最も優れているとは決して言えない企業がシェアを拡大していくことになるでしょう。

フランスの原子力産業の経営状況の急激な悪化にあわてたフランソワ・オランド大統領率いる社会党政権は、間もなく産業の再建策を発表するだろうと見られています。

フランスを代表する2つの企業はヨーロッパの原子力史上の大半を握っていますが、その最大の株主である以上、フランス政府は原子炉メーカーのアレバ、そして巨大原子力発電会社のエレクトリシテ・デ・フランス(EDF)の2社の財政基盤を強化するだけでなく、フランス工業界の代表的存在として、往時の輝きを取り戻させるため、業界の再編成にまで踏み込もうとしています。

5月7日、この再建策の着手点として大規模な経費削減策を発表しました。
フランス国内の従業員を4,000人削減すると同時に、世界市場で働く45,000人の内6,000人を解雇することを明らかにしました。

核廃棄物01
アレバ社への救援の手は中国からも差し伸べられることになりそうです。
中国では1983年、鄧小平主席の下で最初の原子力発電所建設が決定され、以後同国内の原子力発電所建設のほとんどをフランスの原子力産業界が担ってきました。

5月6日、中国核工業集団公司(China National Nuclear Corporation - CNNC)は、アレバ社に対し財政投資することに関心を持っていると記者団に語りました。
これに対しアレバ側は同日、
「中国核工業集団公司がアレバ社との協力関係を強化する意向を持っていることを歓迎する。」
との声明を公表したのです。

《第2回に続く》


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【 5月の傑作写真から 】

アメリカNBCニュース 5月

week01
5月18日、東京の繁華街を行き交う人々。5月初旬、日本の総務省は石油関連商品の値上がりにより、1年前と比べ消費者物価が2.2%上昇したと発表しました。(写真上)

5月20日、ルーマニアの首都ブカレストで店頭のポスターの前を歩く年金生活者の女性。
地元メディアによれば、ルーマニアの年金生活者の月平均収入は約24,000円。
この国の500万人を超える年金生活者の4分の1以上が月平均収入約14,000円以下で生活しています。(写真下・以下同じ)
week02
5月15日、厚い雲の上に顔を出す上海のジン・マオ・タワー(金茂大厦)と世界金融センタービル。
week03
6月3日、アマゾン川の主要な2つの岐路の内のひとつ、ブラジルのリオ・ソリモエスで、洪水で水浸しになった町で遊ぶ子供。
week04
6月4日、ミャンマーのマウンドーで仮設宿舎から手を出して雨水を貯める難民たち。
彼らは5月29日、定員を超える757人が乗り込み、アンダマン海を漂流している漁船の上で発見され、数日後ミャンマー海軍によって曳航の上、その日のうちに仮設の難民宿舎に収容されました。
week05
http://www.nbcnews.com/news/week-in-pictures/week-pictures-may-28-june-5-n370521

【 侵略戦争、従軍慰安婦問題、日本は歴史の事実にもっと真摯に向き合うべき 】

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アメリカ、ヨーロッパを中心に世界中の学術関係者が挙げた抗議の声、安倍首相には届かず
日本歴史学会の声明文に世界中の歴史学者が反応、日本の一部の人間たちの歴史の歪曲を厳しく指弾

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 2015年5月27日

従軍慰安婦02
中国、フィリピン、韓国、台湾の元従軍慰安婦の肖像を掲げ、東京で抗議を行う人々(写真上)

第二次世界大戦(太平洋戦争)が敗戦に終わってから70年を迎える記念日が刻々と近づく中、歴史を専門とする日本の学術関係者が安倍晋三首相に対し、戦争中にアジア各国の女性を売春婦として徴用した従軍慰安婦問題について、もっと誠実な見解を持つよう訴えました。

世界の専門家からの呼びかけに答える形で、日本歴史学会を含む歴史学関係16団体が安倍首相に対し、日本政府が大日本帝国が犯した非人道的行為と真摯に向かい合うべきであるとの提言を行いました。

日中関係には改善の徴候が現れているにもかかわらず、安倍首相率いる保守タカ派政権は、これまでの日本の歴代政権が繰り返してきた「従軍慰安婦」問題に関する謝罪は繰り返さないという見方が有力です。
「従軍慰安婦」とは、朝鮮半島を中心にアジア各地から徴用され、軍の施設での売春行為を強制された200,000人に上る女性たちに対する婉曲的表現です。

希孟廬02
20世紀初頭、朝鮮半島と中国の一部を植民地としたことをきっかけに、当時の大日本帝国が20世紀前半アジア全土に侵略と植民地支配の手を広げていったことについても、安倍首相は言及することは無い、当初からこうした見方が有力でした。

70周年の声明において安倍首相がこの二つの問題に言及しなければ、これまで歴代の政権が引き継いできた謝罪姿勢に終止符が打たれることになり、中国、韓国との関係が再び悪化の方向に向かう危険を冒すことになります。

歴史研究に携わる日本の学術関係者たちは声明の中で、従軍慰安婦にされた女性たちが『筆舌に尽くしがたい性的暴力』の犠牲者であったと述べています。

そして次のようにつけ加えました。
「近年の歴史研究は、動員過程の強制性のみならず、動員された女性たちが、人権を蹂躙された性奴隷の状態に置かれていたことを明らかにしている。
日本軍「慰安婦」問題に関し、事実から目をそらす無責任な態度を一部の政治家やメディアがとり続けるならば、それは日本が人権を尊重しないことを国際的に発信するに等しい。」
「こうした態度が、過酷な被害に遭った日本軍性奴隷制度の被害者の尊厳を、さらに蹂躙することになる。」

I'm not ABE
安倍首相は、1993年、当時官房長官であった河野洋平氏が従軍慰安婦として売春を強いられた女性たちの生存者に対して行われた謝罪、いわゆる河野談話について、その文言を変更しないと語りましたが、文言通りの謝罪を安倍首相も繰り返すべきだとする圧力には抵抗しています。
その最新の事例がアメリカ議会における演説でした。

これに対し、日本歴史学会は『当該政治家やメディアに対し、過去の加害の事実、およびその被害者と真摯に向き合うことを』求めました。

この声明に対する反響は、すぐに世界中から巻き起こりました。
主だったものはアメリカ国内、そしてヨーロッパ諸国からのものです。
何百人という世界中の学術関係者が、今日本が行なおうとしている歴史の歪曲行為に対して警告を発し、安部首相に対し戦争中のデリケートな問題について『襟を正して向かい合うよう』求めました。

従軍慰安婦01

                

公開書簡で180人以上の学者たちが、次のように要求しています。
「過去の過ちについて、可能な限り漏れることなく、可能な限り公平な記録を行うべきである。」
この書簡が公開されると、自分も賛同者として名を連ねたいという学術関係者が世界中で相次ぎ、その数は当初の数の3倍近い450名以上になりました。

 

安倍政権と行動を共にする右翼の修正主義者たちは、朝日新聞が従軍慰安婦問題に関し誤報道を行ったことで勢いを得ました。
昨年の夏、日本のリベラル紙である朝日新聞は1980年代にさかのぼり、元日本軍兵士の吉田清二氏の証言に基づき作成されたシリーズ記事が、虚偽の発言に基づく誤報であったとして謝罪を行いました。
これに対し保守派の一部の日本の政治家が、朝日新聞は海外における日本の評価を傷つけたと主張しましたが、安倍首相もそのひとりでした。

                 

太平洋戦争01

                                    

しかし日本歴史学会は、先の河野談話に見られる日本政府の謝罪が朝日新聞の報道、あるいは吉田氏の証言を根拠としたものではないと指摘しています。
そしてこう述べています。

『強制連行された「慰安婦」の存在は、これまでに多くの史料と研究によって実証されてきた。』

                   

安倍首相は当初、日本の軍当局が女性たちを強制連行したという定説に疑問を呈していました。
安倍首相はこうも語っています。
「第二次世界大戦(太平洋戦争)中の行為についての謝罪は、日本はもう十分に行ったはずだ。」

                     

※日本歴史学会の声明文については、東京歴史科学研究会のサイト( http://www.torekiken.org/trk/blog/oshirase/20150525.html )を参照させていただきました。

                                

http://www.theguardian.com/world/2015/may/26/shinzo-abe-japan-colonial-aggression-sex-slaves

【 安倍政権による『脱平和憲法』、その動きが相次いで具体化する日本 】

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国家のよりどころとしてきた平和憲法を捨て去る、その兆候を表す動きを活発化させる安倍首相
現在国内で起きている著しい変化の後、日本が世界有数の武器輸出国に変身する可能性がある

 

エコノミスト 2013年5月15日

自衛隊行進
日本が今、国家のよりどころとしてきた平和憲法を捨て去ろうとしている、その兆候を表すことが、またひとつ現実になりました。
日本が初めて海上防衛関連の会議と装備・機器展示会の開催国となったのです。

英国の民間団体であるMASTコミュニケーションズが主催した「The MAST Asia 2015」と銘打ったイベントは、東京に近い港湾都市である横浜で3日間に渡り開催されました。
横浜は日本が長い鎖国の後、西欧社会に最初に開かれた港湾のひとつでした。

これと歩調を合わせるようにして安倍晋三首相が率いる政権は5月13日、同盟国が攻撃対象になり、日本の安全も脅かされると判断された場合、その援護、後方支援、物資補給を行うべく、世界中の紛争地域に自衛隊を派遣できるとする『集団的自衛権の行使』を容認する法案を閣議決定しました。
安倍首相が主唱する『積極的平和主義』を実現する手段のひとつとして、この法案は今年夏には日本の国会を通過するものと見られています。
具体的にはアジア地区において、日本がアメリカの軍事負担の多くを肩代わりするものです。

秘密保護法07
この一連の動きの背景にあるものは、台頭する中国の軍事力の目に見える増強です。
フェアの冒頭森本敏元防衛大臣が行なったあいさつでも、この点が強調されました。
「海上の安全保障と国際法の支配に基づく航海の自由は、地域にとって重要な問題です。」

中国が巨大な人工島を造成し、そこに軍用滑走路と思われる施設を作っていることについて周辺各国は抗議を繰り返してきましたが、今週アメリカは現地の南シナ海に軍用機や軍用艦船を派遣するかどうかについて検討を行いました。

 

アメリカ軍がこの海域で哨戒活動を行う可能性が報じられたことに対し、中国側は『深刻な懸念』を表明しました。

安倍首相は前任の首相たちがとってきた、中国に対する懐柔政策を翻し、政権は今年、その総額において戦後最大となる防衛予算を編成しました。
自衛隊は、中国との領土紛争の原因となっている南西部の離島に侵入された場合、これを撃退の上取り戻すための水陸両用の攻撃力を整備済みです。
この部隊編成については一部英国の王立海兵隊を参考にしていますが、中国に対する軍事戦略についても同隊から助言を受けています。

自衛隊
今回のフェアに参加した各国の代表は概ね、昨年末の武器輸出禁止措置の解除を始めとする日本の方針の変更を歓迎しています。

水陸両用車両を製造する小規模な会社の経営責任者である桜井裕彦氏は、同社がベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピンにより多くを販売する予定があると語りました。
一方防衛装備品を製造する大企業の経営責任者は、武器輸出については慎重な姿勢を取っています。
中には『死の商人』のレッテルを貼られてしまう事を恐れる経営者もいます。

これら日本の武器製造企業は戦後70年間、ただ一つの得意先にのみ製品を供給してきました。
自衛隊です。

 

これらの日本企業が、これまで幾度となく実戦の場でその性能が試されてきたアメリカやロシアの武器製造業者と、世界市場において肩を並べ競争することには無理があります。

012701
しかし、現在日本にいて自衛隊に助言を行う立場の英国王立海兵隊副参謀長のリチャード・スペンサー准将は、日本の武器製造企業が優れた性能の潜水艦や水陸両用航空機を製造していると語りました。

現在国内で起きている著しい変化の後、日本は世界有数の武器輸出国に変身する可能性があります。

 

http://www.economist.com/news/asia/21651386-country-hosts-its-first-arms-fair-its-post-war-constitution-reinterpreted-open-arms?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227
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【 アメリカ合衆国のサイバー防衛の傘、日本にまで広げる 】

 

アメリカNBCニュース 6月1日

軍事施設、そして送電網などの重要な大規模設備を増大するサイバー攻撃の脅威から守るため、アメリカが運営するサイバー防衛網にアジア地区の同盟国である日本を含める、日米両政府が5月31日に共同発表しました。
「我々は悪意あるサイバー上の攻撃や妨害行為の手口が、国家機関が関与している・していないに関わらず、きわめて高度化していることに留意しなければなりません。」
2013年に設立された日米サイバー防衛政策専門調査委員会が公開した声明はこのように述べています。

中国の軍事的圧力が増大を続ける中、日本とアメリカ合衆国が4月に公表し、アジア地区において新しく展開するセキュリティ・ガイドラインにそって軍事協力を深める中で、サイバー・セキュリティーは重要な鍵となる分野です。
この中には弾道ミサイル防衛網システムも含まれ、今後日本が果たす軍事的役割は増大していく予定です。

アメリカ合衆国と日本の両政府は、中国・北朝鮮政府の関与の疑惑が取りざたされる中、サイバー攻撃に神経をとがらせています。
アメリカ合衆国はオンライン攻撃に対抗・報復するためのシステム構築に力を注いできましたが、アジア地区に展開するアメリカ軍のために重要な補佐役を務める日本は、サイバー攻撃に対する防衛力強化という点では後手に回っていました。

アリカ国防省のサイバー防衛部門には6,000人以上が配備されているのに対し、日本の自衛隊のそれは90人でしかない、防衛省の官僚は5月28日に行った状況説明でこう語りました。


http://www.nbcnews.com/tech/security/u-s-bring-japan-under-its-cyber-defense-umbrella-n367651

【 企業向け世論調査 : もはや『復活』は望めない – 原子力発電を見限る動きが具体化してきた日本の産業界 】

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産業界の方が今や原子力発電には消極的、『妥当かつ実現可能な数字』安倍政権の20%以上の目標に届かず
国民の強い反対により、4割近い企業が2030年の原子力発電の発電量は15%未満であると予測

ロイター通信 5月25日

人類の敵
日本企業の3分の2が、安倍首相率いる現在の政権が掲げる目標を下回る原子力発電の発電割合を希望、あるいは予測していることが、ロイター通信の調査により明らかになりました。
この調査結果は、福島第一原発の事故が発生してから4年、原子力発電に対する懸念が動かないものになりつつあることを示しています。

地震と津波に襲われ、3基の原子炉がメルトダウンし、大量の放射性物質が環境中に放出されるという世界の産業事故史上かつてない汚染を引き起こした福島第一原発の事故により、日本では原子力発電所の運転について安全基準が改められ、43基の使用可能な原子炉がすべて停止しています。

安倍晋三首相が率いる現在の日本政府は4月、2030年時点での電力の供給減の割合に関するガイドラインを策定し、原子力の発電割合を20 - 22パーセントに戻すことを提案しました。
そうすることにより20年間低迷が続いている日本経済に対するさらなる負担を取り除き、復活への道筋をつけようとしています。

しかしロイター通信が5月7日~19日にかけて日本国内の企業を対象に行った調査では、回答した企業の3分の2以上の会社が、国民は原子力発電に対して強い反対意見を持っており、原子力発電の割合を20%とするのが適切かつ現実的な選択肢であると考えていることが解りました。

福井地裁判決
「いくつかの原子力発電所が再稼働するかもしれませんが、国民の反対が強く、日本政府や各電力会社が望む規模での再稼働を期待するのは難しいと考えています。」
ある機械製作会社の経営責任者はこう答えました。

さらなる分析の結果、今後の展開に対する各企業の予測は多岐にわたることが解りました。
14%の企業が、2030年時点で原子力発電が賄う総発電量は、全体の10%未満であると予想しています。

29%の企業が全体の15~19%のレベルで発電を行うだろうと答える一方、25%は原子力発電が供給できる電力は10~14%のレベルに留まると予測しています。

ロイター通信が行なった分析は、日本国内の原子炉は最低でも3分の1、最大なら約3分の2の原子炉がより厳しいとされる新たな安全基準審査に合格し、地震学的課題、技術的課題、経済的課題、そして政治的課題をクリアして再稼働するものと見ています。
3分の2の原子炉が再稼働すれば、日本の全電力の約20パーセントを、3分の1であれば約10パーセントを原子力発電が供給することになります。
昨年来、日本の原子力規制委員会は5基の原子炉について、再稼働に向けた基本的安全審査を完了させ、現在は最終段階の審査手続きを進めています。

伊方原発反対02
今回行なったロイター通信 – 日経リサーチによる調査は、日本国内の大企業、中堅企業の中から481社を選び出し、うち230社が匿名で質問、あるいは原子力発電の将来について回答しました。

▽再稼働に反対する国民世論

日本国内で行われた世論調査の結果は、原子力発電所の再稼働について賛成1に対し反対が2で、一般市民の多数が反対しています。
これは原子力発電所の停止に伴い化石燃料の輸入が増加、一般家庭向けの電気料金が20%値上がりした後にもかかわらず、国民の大多数が原子力発電所の再稼働に反対であることを明らかにしました。

原子力規制委員会が新たな安全基準に適合したとして、再稼働への手続き進めることを認めた5基の原子炉について、地元住民と反原子力発電運動に取り組んでいる人々は、実際に稼働することを阻止しようとして運動を続けています。
こうした状況から、5基の原子炉がいつ再稼働するか、先を見通すことは難しくなっています。

関西電力が所有する高浜原子力発電所については、地方裁判所が原告の主張を認め再稼働を禁止する判決を行った事により、その再稼働は先が見通せなくなりました。
九州電力が所有する川内原子力発電所が国内で初めて再稼働する公算が強まっていますが、九州電力が7月中ごろの再稼働を予定しているのに対し、原子力規制委員会は未だすべての点検作業が完了しておらず、見通しは楽観的に過ぎると語りました。

アルジャジーラ抗議集会

一方で日本政府は経費削減のため電気事業の自由化にも取り組んでおり、来年からは完全な競争市場になる予定です。
しかし調査結果は、アンケートに答えた企業の3分の2が規制緩和が実現しても、自社の光熱費に大きな影響が及ぶことは無いだろうと予測していることを明らかにしました。

それでも全体の62パーセントの企業が新たに電気事業に参画した業者からの電気の購入、あるいは購入量を増やすことを検討しています。

ある不動産会社の経営者はアンケートに次のように書き込みました。
「私たちの目の前では、電気の販売競争がすでに始まっています。私たちの建物については経費の削減を実現してくれる、東京電力以外の会社から電気を購入することにしました。」
東京電力は事故を引き起こした福島第一原子力発電所を所有する会社です。

http://www.reuters.com/article/2015/05/24/japan-companies-nuclear-idUSL3N0YB2PR20150524
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【 写真集 : 第二次世界大戦(太平洋戦争)】《5》

アメリカCNNニュース 5月8日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

ブリュッヘンヴァルト

1945年4月、連合軍によって解放されたブリュッヘンヴァルト強制収容所の内部。
この収容所の建設が始まったのは1937年7月15日、そして1945年4月11日、パットン将軍率いるアメリカ第3軍により解放されました。
ここには239,000人~250,000人が収容されていましたが、ユダヤ人11,000人を含む56,000人が殺害されました。(写真上)

1945年4月12日、首都ワシントンのコネティカット通りをホワイトハウスに向かって進むフランクリン・D・ルーズベルト大統領の葬列。彼の死はドイツの降伏の数週間前の事でした。(写真下・以下同じ)
ルーズベルト葬列
1945年4月28日、ガソリンスタンドの屋根に吊るされたベニト・ムッソリーニ(左端)、愛人のクララ・ペタッチ(左から2番目)他の遺体。
彼らはスイスに逃れようとするところを、反ファシスト戦線の兵士に射殺されました。
ムッソリーニ処刑
1945年4月30日、廃墟となったベルリンの国会議事堂の上にテーブルクロスで作ったソビエトの国旗を掲げるソ連軍兵士。
この日ソ連軍はドイツ首相官邸の地下壕から数ブロックにまで迫り、ヒトラーは自殺しました。
赤軍ベルリン占領
1945年5月8日、ロンドンの保健省のバルコニーに立ち、群衆の歓呼に応えるウィンストン・チャーチル。この日、ヨーロッパ戦線の第二次世界大戦が正式に終了しました。
チャーチル・ロンドン
1945年、沖縄上陸戦で急いで搬送されるアメリカ軍の負傷兵士。
沖縄戦負傷兵
http://edition.cnn.com/2015/05/08/opinions/ben-ghiat-end-of-world-war-ii/index.html

【 脅かされている日本の報道の自由( Op-Ed※ )】《後篇》

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ニュース報道や個々のリポーターの発言内容まで、細部にわたる管理を行う放送会社の経営陣
何を話題として取り上げるべきか、触れてはならない問題とは何か、そしてインタビューを行う際の留意点とは?そこまで指図した自民党の『要請文書』
かつてない強力な圧力の下で、日本のメディアが『政権の監視役』としての機能を果たすことは可能なのか?

 

古賀茂明 / ニューヨークタイムズ 5月20日

 

古賀氏 2
日本の報道体制のさらなる問題は、日本の大手メディアの場合、経営管理部門と編集部門が明確に分けられていないという点にあります。

大手メディア会社の会長や社長はしばしば、ニュース報道やリポーターひとりひとりの発言内容に至るまで、細部にわたって管理しようとしています。
そうした経営者の中で、権力による干渉に敢えて抵抗しようとする人間はごくわずかでしかありません。
その理由は日本特有の雇用体系にあります。
歴史的に見て日本を代表する程のメディア企業に籍を置くという事は、退職するまでの間高い社会的地位と高額の給料が保障されることを意味するからです。

多くのジャーナリストが自分たちの会社の経営層が日本政府の意に従うつもりであることを認識し、かつ自分のキャリアを守りたいと考えており、政府に批判的な報道を行う事をためらっています。 会社への忠誠心と今の生活を守りたいという気持ちに、独立したジャーナリストとしての専門性の高い倫理感は勝つことが出来ないのです。

古賀氏 1
こうしたシステムは、日本においては特に新しいものではありません。
第二次世界大戦以前はもちろん報道に加えて、いちいちの言論についても政府が厳しい目を光らせていました。
戦後大日本帝国の体制が崩壊し、日本を占領していた連合軍によってメディアを管理するための独立した機関が設立されましたが、日本の保守陣営は1952年これを廃止してしまいました。
このように報道機関に対する政府・政権の干渉は少なくないのですが、しかし最近になって現政権が行なっているメディアへの圧力のかけ方というものは、これまでなかったほど強力、そして広範囲なものです。

安倍政権の下、主要なメディア各社の経営陣のトップは、首相や政府高官ともに豪華な食事を楽しむため、あるいはゴルフに出かけていきます。
そして彼らメディアの経営者たちは、こうした事実が市民に伝わることについて臆するところがありません。

特定秘密 2
昨年行われた総選挙の直前の11月、自民党は国内の主要なテレビ局に対し、その報道が「一方的なものにならない」ことを確実とするよう念を押すための、『要請文書』を送りつけました。
その中には選挙報道の際、何を話題として取り上げるべきか、触れてはならない問題とは何か、そしてインタビューを行う際の内容にまで指示が行なわれていたのです。

そして自民党は放送局の中の1社に対しては、その番組のひとつで、世論調査において多くの人々が表明していたように、安倍政権の経済政策がいわゆる富裕層にのみ恩恵を与えているという指摘を行ったことに対し抗議を行っていました。

こうした状況の下で、日本のメディアが『政権の監視役』としての機能を実現することは果たして可能でしょうか?

ジャーナリストに対する安倍政権の扱いは、国民を完全に政権の意に従わせる権力国家のやり方そのものです。
自由主義国家、民主主義国家であるはずの日本は今、その実態を失いつつあります

※古賀茂明氏は1980年から2011年まで経済産業省の官僚を務めた、ライター、ニースコメンテーターです。
※ Op-Ed : 社説が新聞社の見解を代表するのに対し、この論説では社外を含む多様な委員により署名入りで持論が展開される。( アルク http://www.alc.co.jp/ )


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【 写真集 : 第二次世界大戦(太平洋戦争)】《4》

アメリカCNNニュース 5月8日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

マルマンディ上陸

1944年6月6日Dデイ、フランス、ノルマンディ地方のオマハビーチに上陸しようとしているアメリカ軍兵士。この日連合軍はユタ、オマハ、ジュノー、ゴールド、スウォード海岸に上陸作戦を敢行し、ヨーロッパ本土における決戦の幕を切って落としました。
この側線には5,000の艦船、11,000の航空機、150,000人の兵士が参加しました。
作戦はカーン攻略も含め8月いっぱいを擁し、連合軍兵士だけで35,000人が死亡しました。(写真上)

1944年8月26日、パリ解放。コンコルド広場を行進するシャルル・ド・ゴール将軍と群集。(写真下・以下同じ)
パリ解放1944年12月20日、ドイツ軍最後の大反攻『バルジの戦い』が始まった後、ベルギーのクリンケルター付近を行軍するアメリカ軍歩兵部隊。
欧州本土戦闘
1945年2月23日、硫黄島のすり鉢山の頂上に星条旗を立てるアメリカ海兵隊の兵士。
この戦いはアメリカ海兵隊史上、最も惨烈な戦いとなり、27,000人の死傷者を出しました。
一方島を防衛していた18,000人の日本兵のうち、生き残ることが出来たのはたった216人でした。
硫黄島
アメリカ第9軍がライン川を渡河した後の1945年3月26日、ドイツ、フォアーデ (ニーダーライン)、フリードリッヒスフェルトの街中を行くドイツ兵捕虜。
ドイツ兵捕虜
1945年2月、戦後処理について連合国側の代表が話し合ったヤルタ会談似て、左から英国首相ウィンストン・チャーチル、アメリカ大統領フランクリン・ルーズベルト、ソ連首ヨシフ・スターリン。
ヤルタ会談
http://edition.cnn.com/2015/05/08/opinions/ben-ghiat-end-of-world-war-ii/index.html

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