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星の金貨 東日本大震災や音楽、語学、ゴルフについて語るブログです。

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【 いよいよ決断を迫られることになる安倍首相 】《3》

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電力の自由化は、不当に高額な日本の電気料金を是正するために必要不可欠な構造改革
農協や電力業界などの圧力団体の抵抗を、一般国民の支持!が圧倒してくれることを願う?安倍首相

エコノミスト 12月6日

安部06
構造改革のもうひとつの要、そして喫緊の課題が電力市場の自由化です。
電力市場を自由化することは、不当に高額な日本の電気料金を是正するために必要不可欠です。

安倍首相はこれまでの政治家が誰ひとりとして、農協改革、そして電力の自由化に取り組もうとしなかったと語ります。
選挙に勝利するが日本政府にこの問題に取り組むための力を与えることになると主張しています。

安倍首相の計画は、現在の日本国内の電力会社が発電と送電、売電を一手に行い、強力な独占体制を築いている、その状態を解体することを目標とします。
この問題に関する退却は、安倍首相にとってはかえって難しい選択になります。
すでに改革案のひとつが国会を通過済みだからです。

下河辺会長
安倍首相は農協や電力業界などの圧力団体の抵抗を、一般国民の支持が圧倒してくれることを願っています。

しかし安倍首相がどこまで国民の支持を取り付けられるかは未知数です。
多くの日本人が改革の必要性について原則的に認めています。

一方で国民は改革を進めることによって自分たちが厳しい現実にさらされることも望んではいません。
改革を進めることになり、まず何が現実になるのかもわかっていません。

日本のメディアは薬剤師や医者、農民などの既得権者の意見を取り上げたがる傾向があります。
そして日本では『一票の格差』が著しい選挙制度により、農村地帯の保守的な年長者の票の威力が拡大されていますが、彼らの多くは改革に反対の立場を取っています。

日本の一部の農村部などでは人口の流出により、都市部の住民と比べて農村部の一票が国会議員の選出に倍の威力を発揮することも珍しくありません。

特定秘密 3
11月26日に日本の最高裁判所は、昨年行われた衆議院よりもさらに一票の格差が大きい参議院議員選挙は「憲法違反」にあたるとの判断を示しました。
しかしながらこの問題に対する安倍首相の取り組みは、遅れたままになっています。

一部の政治家はアベノミクスが直面している課題克服に、抜き打ちの解散総選挙を行うという手段が果たして妥当だったかどうか不安を抱いています。
そして国が抱える公的負債の額は、もはや許容限度を超えてしまっていると危機感を露わにしています。
「市場にはすでに油が撒かれてしまっています。首相であっても閣僚であっても何か間違った考えを基に発言するようなことがあれば火がついて、たちまち燃え広がっていく状態にあります。」
自民党の国会議員がこう語りました。

今回の選挙の投票率は、低くなりそうです。
しかし国民の負託が得られようが得られまいが、日本国首相としての安倍氏は、すべてを賭けて構造改革に取り組まなければならない局面に立っています。

〈 完 〉

http://www.economist.com/news/asia/21635609-shinzo-abes-expected-victory-next-weeks-snap-election-will-leave-him-no-excuse-further?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227
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要は「自民党をぶっ壊す!」と宣言し、郵政民営化を行ったかっての小泉首相程の覚悟と行動力が、安倍首相にはあるのだろうか?ということなのでしょう。

明日15日は掲載をお休みします。
選挙結果がマスコミの予想通りになっていれば、「声もでない程」がっかりしているでしょうから…
でも【星の金貨】は終わりませんよ…
皆さんと一緒に、これからの戦い方を考えていかなければなりませんから…

【 いよいよ決断を迫られることになる安倍首相 】《2》

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所要時間 約 8分

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各企業に非正規雇用の数を減らし、正社員数を増やすように促す『改革』、その実現はあるのか
農協改革の断行、安倍首相が構造改革に本気で取り組むつもりがあるかどうか、その試金石となる

エコノミスト 12月6日

安部06
公平を期するとすれば、若干の分野で安倍首相は大胆な決断をしました。
日本企業に対し経営意思の決定を迅速に行い、外部に対し経営内容を正しく公開することを求めた安倍首相の取り組みは実を結びました。
働く場における女性の地位改善を求める政策も、全面的各方面において性差別を無くす方向で取り組みが進んでいる兆候を示しています。

来年秋には大阪市でフィリピンその他の国々から数千人の労働者を受け入れ、家事や育児労働に従事することになっています。
外国人労働者の受け入れは長年議論されてきた問題ですが、日本政府もこの取り組みを全国に関題していく方針です。

安倍首相はエコノミスト誌に対し、選挙後にはいよいよ本格的構造改革着手すると保証して見せましたが、確かにいくつかの分野においてはその発言を信用しても良いという根拠を見ることができます。
安倍氏は時に大胆な改革姿勢を見せてきました。
終身雇用制度がしっかりと根付いている労働市場に流動性をもたらした事
医療分野での冗費の削減
電力市場の自由化
農協の全国的かつ独占的なネットワークの再編
などの政策を進めることを約束しました。

この中で他に抜きんでて重要な改革は時代遅れの労働慣行のオーバーホールです。
かつて日本が高度成長を謳歌していた時代、各企業は才能ある人材が他に流出することを食い止めようとして、終身雇用制度の充実を図りました。
日本の組合は終身雇用による労働者保護のシステムに固執しています。

日本では事実上解雇が禁止されています。
裁判所が判例を基に『社会的通念上』認められないと判断すれば、いったん解雇された人間も職にとどまり続けることが可能です。
こうした規制を避けて通るため、多くの企業が正社員よりもはるかに少ない人件費で事足りる非正規雇用の労働者の数を増やそうとしているのです。

こうした非正規雇用労働者の割合は現在、全労働者の5分の2に達し、様々な波及効果を生んでいます。
非正規雇用に甘んじる若者たちは、結婚も出来ず家族を作る事も出来ず、日本の出生率低下の原因の一つになっています。
社会に不満を持つ彼らの中には極右の宣伝に乗ってこれまでの社会秩序の破壊を叫び、近隣諸国との関係悪化の一因を作りだしています。

こうした日本の労働市場をオーバーホールするとしたら、安倍首相の選択肢はどのようなものでしょうか?

日本の厚生労働省は現在、解雇が被雇用者に与える打撃を和らげるため、最先進各国の事例を参照しながら解雇手当による対応の可能性について検討を行っていると言われています。
そのためには現在の失業保険制度の再検討が必要です。
現在日本の失業者は他の先進各国と比べ、より少なく、より短期間の失業手当しか受け取れません。
この分野の構造改革が実現すれば、各企業に非正規雇用の数の減少と正社員数の増加を促すことになります。

民主党は正規非正規を問わず、同じ労働を行っている労働者には同じ賃金を支払う制度を確立すると公約し、安倍首相もこの問題に関する対応を迫られることになました。

さらに安倍首相はアメリカを含む各国との間でTPP(環太平洋パートナーシップ)交渉における第一段階の合意にこぎつけることにより、改革派首相としての立場が強化されるとほのめかしています。
安倍首相は自身を『TPP交渉の場において、一日も早い結論を得るべく最も熱心に取り組んでいる指導者』と位置づけ、日本の交渉担当者により柔軟な対応をとるように指示していると語っています。
現在日本とアメリカとの間では自動車産業と農業分野における立場に大きな隔たりがありますが、選挙後の早い段階で何らかの合意が成立する可能性があります。
それが現実になれば、日本経済に大きな推進力が加わることになるでしょう。

農業製品に対する高額の輸入関税は国内農業を保護する一方で、平均的家庭の食費の割合がアメリカが6%、英国が9%であるのに対し、日本のそれが14%に上る一因となっています。

日本経済の改革に農協の改革も不可欠です。

農協は当初、農民、特に兼業農家をサポートするためのネットワークとして発足しました。
しかし時間の経過とともにそれは農製品の流通機構を独占し、農作業の初期投資と金融を独占し、農民から利益を吸い上げる官僚機構に変貌しました。

安倍首相が強力な政治力を持っている農協の改革を視野に含めていることは、評価されるべき事です。
そのための法案は来年初め、国会に上程されることになっています。

農協の改革を断行するかどうか、このことは選挙後に安倍首相が構造改革に本気で取り組むつもりがあるかどうか、その試金石となるでしょう。

-《3》に続く –

http://www.economist.com/news/asia/21635609-shinzo-abes-expected-victory-next-weeks-snap-election-will-leave-him-no-excuse-further?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227
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私事ですが、妻の兄はかつて仙台市北郊の農協の課長をしていましたが、日本がインフレの時代には農家を一軒一軒まわって
「どんな名目でもいいから、融資話をもちかけて金を貸してまわれ。」
と命令されました。
ところが一転して日本経済がデフレ局面に落ちこむと、今度はこれまで農家に貸し付けていた金を
「何が何でも回収してまわれ。返せないと言ったら田んぼでも家でも取り上げて来い!」
と命令され、
「そんな手前勝手な、冷酷なことができるか!」
と怒り、農協に辞表を叩きつけました。
以来、私は農協という組織に深刻な疑問を持つようになりました。

日本には、ありとあらゆる職業人の上に『協会』の類が乗っかっていますが、自分たちのフトコロではなく、純粋誠実に会員のために働いている組織はどのくらいあるのでしょうか?

この稿は当初前篇後篇の2回に分けてご紹介するつもりでしたが、訳文の分量が予想を超えて長くなったのと、きわめて重要な結論が最後(《3》に掲載します)に出てくるので、全3回に分けてご紹介します。

【 『選挙戦勝利』の後、いよいよ決断を迫られる 】《1》[エコノミスト]

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「世界情勢の変化に合わせ、日本は再び生まれ変わらなければならない時に来ている」その発言通りの改革に取り組むのか
第1の金融緩和政策の中身はよく理解できない?そして第3の矢である構造改革など、本音ではまっぴらごめん

エコノミスト 12月6日

安部06
安倍晋三氏が日本が歴史的決断をしなければならないタイミングで首相に再任されることに、もうほとんど疑いがなくなりました。
エコノミスト誌とのインタビューにおいて、安倍首相は自分の出身地が長州藩として1860年に幕藩体制を覆し、日本を近代産業国家として生まれ変わらせたことを引き合いに出しました。
安倍氏は明治維新の時と同様、世界情勢の変化に合わせ日本は再び生まれ変わらなければならない時に来ていると主張しました。
そして当時と同様、改革に反対する国内の勢力も団結を強めています。

「広範囲にわたる変革が日本のために必要でした。当時変革が必要だという認識は多数派ではありませんでしたが、維新の志士たちは文字通り命がけでその目標に向かっていったのです。」
安倍氏はこう語りました。

その支持者は経済政策アベノミクスについて、安倍首相が自分の政治資産を使うことなく遂行しようとした点について、少なからず驚いています。

2012年12月の選挙における地滑り的勝利の後、彼は3本の経済政策の「矢」によって構成されるアベノミクスを前面に、国民を駆り立ててきました。
大規模な金融緩和策、多額の追加の公共事業、そして石灰化している旧来の経済システムの改革がその3本の矢の中身です。
安倍首相は各国を飛び回って外交攻勢をかけ、稀に見る活発さを演じました。

安倍&豪州首相
しかし繰り返し公約として口にしていた市場経済志向の構造改革については、一向に前進の様子は見られませんでした。

たとえ安倍政権が衆参両院において過半数の議席を有しているとしても、首相自身はアベノミクスとして知られる経済政策をさらに前に進めるために、今一度国民の信任が必要だと主張しています。
安倍氏が12月14日投票の衆議院の解散総選挙の実施を宣言したのは、相次ぐ閣僚のスキャンダルによって安倍政権が守勢に追い込まれた直後のことでした。

日本経済は、今年4月に消費税が5%から8%に引き上げられたことにより消費支出が大幅に落ち込んで以来、不振が続いています。
最近発表された第2四半期のGDP(国内総生産)の数値は日本が構造的不況に陥っている事を意味していますが、12月8日に内閣府が発表した修正値は速報値と比べて一層悪い数値となり、日本経済が7月から9月にかけマイナス成長に陥っている事実を明らかにしました。
10月には消費増税の影響を除外したコアインフレーションは0.9%に落ちこみました。
部分的には原油価格の下落が影響し、この値は一層悪化する可能性もあります※。
※国際的にはコアインフレーションは価格変動の激しい食料品や原油価格を除いたものとされていますが、日本は季節的要因の大きな生鮮食料品を除いた価格の増減をコアインフレーションとしているようです。

こうした数値が意味するところは、10月後半に日本銀行は一層の金融緩和を進める方針を明らかにしたものの、安倍首相が目標としている2015~16年にインフレ率の2%にまでの引き上げに対し、安倍首相の放った矢の威力が不足していることを示唆するものです。

GRPH 実質賃金
そして安倍首相が来年予定されていた消費税の8%から10%の引き上げを延期する発表は、12月1日に誰もが思い出したくない現実、すなわち国の借金がGDPの240%にまで膨れ上がっている問題について歓迎されざる反応をもたらしました。
格付け機関のムーディーズがこのところ格下げが続いてきた日本国債をさらに1段階格下げしたのです。

失業率は安全圏とも言える3.5%に減少しました。
しかし大都市以外の一般的日本人の生活水準は改善されるどころか下がる一方であり、その分安倍政権に対する支持率も低下を続けています。
そして平均的労働者の賃金上昇がインフレと足並みをそろえることはありませんでした。
そして急激な円安は輸入品の価格を引き上げ、結果として富は日本国内で大都市から農村部まで均一に分配されることもありませんでした。

しかし安倍政権に対抗すべき野党は、安倍首相率いる自由民主党が現有の294議席をほとんど失うことなく安定政権であり続けることを進んで可能にしているようなひどい状況にあります。
今回の戦況では連立を組む公明党とともに自民党は衆議院の480議席の3分の2という、圧倒的過半数を制すると見られています。
選挙結果が予想通りになれば、安倍政権と対立する野党は数年の間、対立軸として有効な働きが出来なくなるかもしれません。

選挙によって『信任を新た』にした安倍首相は、いよいよ本館的な構造改革に着手するのでしょうか?

実は安倍首相は再三再四、最も困難なこの課題を後回しにしてきました。
じつはこの構造改革は一般市民の抵抗を呼ぶものでも、平均的な労働者に不利な条件を押しつけるものでもありません。
構造改革によって打撃を受けなければならないのは、一部の既得権者と特権を有する政府官僚たちです。

安倍首相が構造改革に中々着手しようとしないのは、祖父であり、第二次世界大戦直後に首相を務めた岸信介氏の熱意を受け継ぎ、アメリカ占領下の1946年に成立した日本国憲法の戦争の放棄に関する解釈を変更し、日本が再び戦争することを可能にすることにこそ本来の目的があるのではないか、と多くの日本人が疑っています。
解釈の変更により、同盟国が攻撃を受けた場合に日本の自衛隊の出動を可能にするための法案作りの環境は整いました。

憲法第9条01
しかし安倍政権のこの問題に関する一連の動きは日本国内で激しい反発を招き、政権は一時その対応に忙殺されることになりました。

アナリストの一部は、日本の中でも突出した世襲政治家である安倍首相には、自民党内の旧来の既得権勢力と戦い抜くためのしたたかさと力が欠如していると考えています。
その安倍首相について、議員のひとりがこう表現しました。

第1の矢である金融緩和については、内容が理解できない。
第2の矢である公共事業への多額の出費は最も得意とするところ
第3の矢である構造改革など、本音ではまっぴらごめんだと考えている。

《2》に続く

http://www.economist.com/news/asia/21635609-shinzo-abes-expected-victory-next-weeks-snap-election-will-leave-him-no-excuse-further?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227
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エコノミスト誌の記事に
「アベノミクス最大の特徴は、考え得る限りの美辞麗句を使って実情を糊塗する宣伝能力」( http://kobajun.biz/?p=20969 )という指摘がありました。
今回の衆議院の解散総選挙については『アベノミクス選挙』と自ら銘打っている訳ですが、今回のエコノミストでも前回のドイチェ・べレでも、安倍首相は果たして構造改革に本気で取り組むつもりはあるのか、という疑問が呈されています。

もし「言っただけ」に終われば、まさに現在の日本のモラル崩壊のひとつの典型である「やったが勝ち」の風潮を、首相自ら煽っていることにならないでしょうか?

【 なぜ『自民圧勝』になってしまうのか?そのほんとうの理由を考えよう 】[エコノミスト]

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日本の政治家を選ぶのは後援会と地方の選挙組織、民意が反映されにくいシステムが完成済み
自民党議員の5分の2以上が世襲の議員、小選挙区のその議席は『指定席』、落選の憂き目に遭う可能性は極めて少ない
親戚間での競争に勝てば、あとは有権者に民意を問わなくとも『当選確実』な候補者になれる

エコノミスト 11月29日

民主党政権交代を境とする世襲政治家の増減

民主党政権交代を境とする世襲政治家の増減

日本にこんな格言があるのをご存知でしょうか?

木から落ちても猿は猿だが、選挙を落ちた議員はただの人

小規模な産業界の族議員は別ですが、選挙で落選した議員の末路ほど哀れなものはありません。
このことが今、12月14日に投票が行われる抜き打ち選挙で、自民党内に不安の火花を散らせていますが、一部の議員たちはさして心配もしていません。
それは政界に家族親戚による決して小さくは無い勢力を築いている『ファミリー議員』達であり、その数は日本において増え続けています。

ぼっちゃん政治(世襲制により順を追って地位と選挙地盤を相続していく独特の政治風土)は日本の政界においてごく当たり前に行われています。
自民党議員の5分の2以上は、かつて父親、祖父、おじおば、あるいは姻戚が国会に議席を有していたいわば世襲の議員であり、その議席は『指定席』であり、まず落選の憂き目に遭う事はありません。

2014選挙
世襲議員はかつて民主党が衆院選で大勝し政権交代が行なわれた時にいったんは減少しましたが、その後再び衆参両院において増加を続けています。
彼らは親戚との間で地位を争う必要がありますが、それに勝てばあとは有権者に民意を問わなくとも『当選確実』な候補者になることができます。
現在の安倍内閣の19人の閣僚のうち8人までが、国会議員、あるいは地方議員である親類を持っています。

議員にとってファミリー議員であることのメリットは、実に大きなものがあります。
後援会、あるいは地元の支持者によって構成される強力な選挙マシーンに乗っかるだけで、選挙に勝つことを可能にする圧倒的知名度を獲得することが可能です。
万が一不幸にもその候補者が落選するようなことになっても、選挙区内における一族の圧倒影響力は、次の選挙までどこか地元の企業で糊口をしのぐことを可能にしてくれます。

日本の衆議院選挙は任期満了を迎えることなくほぼ2、3年おきに実施されますが、ファミリー議員は一般有権者に対して支持・支援を求めなくとも落選の危険性はほとんどありません。
これが今、ファミリー議員が少ない野党の民主党が、自民党の世襲議員が立候補している選挙区に有力な対立候補を擁立できない理由のひとつなのです。

民主党が政権にあった2009-12年、国民の多くが政治家という職業が世襲制によって独占されている状態の解消が制度化されることを願っていました。
しかし結局は民主党も何もしませんでした。
ことに民主党初の首相であった鳩山由起夫氏も、不幸なことに世襲政治家の代表的存在であったのです。
今や一般の国民は、日本の政治家の世襲制については改善の見込みは無いと、半ばあきらめてしまったようにも見受けられます。

しかし、政界に改善の動きが途絶えたわけではありません。
自民党内にも自らの力で国会にたどり着かなければならなかった議員たちの中に、改善を求める動きがあります。

小渕優子
一方ではこんな現実もあります。
小渕恵三前総理大臣の娘である小渕優子氏は『王女』と呼ばれ、父親の死によって26歳から国会議員の職にあり、安倍内閣の閣僚に就任しましたが、事務所のメンバーによる政治資金規正法違反が明らかになり、嵐のような批判が巻き起こり辞任せざるを得なくなりました。
しかし今度の選挙で小渕氏が6期目の議席を失うことはまずありえません。

ところでぼっちゃん政治家は日本にとって悪い存在なのでしょうか?

現在の安倍晋三首相は祖父であり、第二次世界大戦直後に首相を務めた岸信介氏の熱意を受け継ぎ、アメリカ占領下に成立した日本国憲法の戦争の放棄に関する解釈を変更しました。
この点が安倍首相の政治的弱点だと見られています。
政治家一族の代々の方針は別だとしても、世襲政治家が彼らを政界に送り込んだ利益団体の利害に反する行為を行う事はまず許されません。

青森県選出の国会議員で現在は引退した津島雄二氏は、現在は長男である津島淳氏が一族の6代目政治家として衆議院議員を務めていますが、1947年に妻の伯父が県知事に就任して以来、農業が主たる産業である青森県の選挙地盤を引き継ぎました。

しかし彼は政治家の世襲制が続くことの欠点を理解しています。
政治家の多くが世襲制によって占められてしまうことは
「決して良いことではありません。」

http://www.economist.com/news/asia/21635073-political-families-are-rise-district-born?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227
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今度の衆議院議員選挙が自民党の圧勝となってしまうことについて声も出ない程がっかりしていらっしゃる方も多いでしょう。
私もその一人です。

そうなってしまった大きな原因の一つがこの記事に詳説されていますが、もうひとつは大手メディアによる世論支配があると思います。
かつて中曽根政権時代の閣僚名簿を作っていたのは大手全国紙Y新聞のW社主であったという話を聞いたことがありますが、その新聞が『日本の世論』の重要な一角を支配している以上、真の民主主義を築くための取り組みが簡単にいくはずがありません。

そして民主党が国民が望んでいた事をとことん読み違えていたことも、さらなる原因として挙げられるでしょう。
私は民主党政権当時、『小沢外し』という扇の要(おうぎのかなめ)を自分で壊すような行為に及んだときに『何をやってるんだ?!』と思いましたが、以後自壊を重ねていきました。
野田政権時代に原発廃止に及び腰であったことを含め、国民に対し、これまでのことを清算するための謝罪が必要ではないでしょうか?

そして共産党は上記権力側のメディアが作りだした、『共産主義は危険』という悪意のイメージを徹底的に払しょくする活動をしなければならないと思います。
日本史においては幸徳秋水の『大逆事件』などのように、ふたを開ければ事件の実体などほとんど何もなかったのに、あたかも重大な陰謀が存在したかのような権力側のプロパガンダがそのまま史実とされてしまった例もあります。
日本共産党は20世紀前半にあった暴力革命をめざしているのではなく、より大きな資本を持つものが弱者を蹴散らしていく資本主義社会にあって、弱い者の人権を守るための論理・倫理の確立を目指しているのだという認識を、一日も早く確立普及させて欲しいと思います。

【 アベノミクスが成功すれば、日本は持続的成長を成し遂げる?立ちはだかる山のような課題はどうする? 】《後編》[ドイチェ・ベレ]

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現在の日本経済停滞の最大原因は製造業の海外移転による産業の空洞化、構造改革により解決する必要がある
しかし与党自民党内の抵抗勢力により、本格的構造改革の実施は困難
このため出口戦略が無いまま、日銀の量的緩和策にひたすら頼り続けるしかなくなる

ガブリエル・ドミンゲス / ドイチェ・べレ(ドイツ国際放送) 11月25日

アベノミクス01
質問 : ドイチェ・ベレ
「日本がデフレーションを克服し、経済を再び成長軌道に乗せるためには日本は何をしなければならないでしょうか?あなたのお考えをお聞かせくださいますか?」
ラジブ・ビスワス
「日本経済は多くの困難な、しかも見過ごすことが出来ない数多くの困難な課題に直面しています。高齢化し続ける国民、先進国中突出している多額の政府政府債務、そしてデフレーションが今後も続くことへの懸念。そして日本のもの作り分野では、他のアジア諸国の工業生産能力の向上により徐々にその競争力が奪われていきました。
ここ数十年間日本の製造分野では、安い労働力と人口増加による市場の拡大を見込んで多国籍企業が中国やASEAN諸国に生産拠点を移し、産業の空洞化が進行しました。
この点に関する構造改革が最も重要であり、雇用を創出・安定させ年率換算で0.5〜1.0%の経済成長を達成しない限り、日本の経済停滞は長期化せざるを得ません。」

Abenomics 2
「日銀は金融緩和策により、日本をのインフレ傾向に向かわせたという点で若干の成功を収めましたが、世界市場における原油価格の下落により、2015年の日本のインフレ率が下降する可能性があります。
日本の製造業分野は円安により輸出が好調になるという恩恵を受けましたが、大切なのはこのような機会的、しかし、日本は輸出を多角化する必要があり、観光旅行や投資サービス部門などにおいても競争力を高める必要があります。」

質問
「今回の選挙で与党が勝利し、安倍氏が首相に再任された場合、財政再建策と金融政策についてはどのような方針が採用されるとお考えですか?」
ラジブ・ビスワス
「2012年末に安倍氏が政権の座につくと、日本銀行は量的金融緩和策の実施に踏み切り、その結果急激な円安に向かいました。その結果輸出企業は競争力、収益力の双方で恩恵を被ることになりました。そして安倍政権の経済政策は2013年に日本経済をわずかではありますが成長させました。

株価下落
しかし当初の景気刺激策の効果は徐々に失われていき、今年4月に実施された消費税の引き上げにより日本経済の中期の実績は再び後退局面に陥ってしまいました。
その結果、安倍政権の経済政策は日本銀行の量的緩和策に増々依存せざるを得なくなりました。

最終的に衆議院議員選挙の後、安倍政権が本格的構造改革に着手しなければ、出口戦略が無いまま、ただただ日銀の量的緩和政策にのみ頼り続けることになってしまいます。
これは大きなジレンマになります。

質問
「アベノミクスはほんとうの『第3の矢』を撃てない状況にあります。構造改革が成し遂げられれば、日本経済はどう変わるでしょうか?そして日本の社会はこうした変化を受け入れることは出来るのでしょうか?」
ラジブ・ビスワス
「安倍首相は『第3の矢』、日本の構造改革が必要な事を繰り返し訴え、いくつかの重要な改革を提案はしました。
しかし自民党の中に抵抗勢力が存在し、これまで進展らしいものは認められません。

TPP04
そのため選挙に勝利しても、安倍首相は改革を進めるための党内の体制づくりに苦労することが目に見えています。
日本社会の考え方は保守的に過ぎ、たとえば外国人労働者を受け入れて高齢化による労働力不足を補うといった議論については、政治家は避けて通ります。
たとえ米国、ドイツ、カナダ、あるいはシンガポールなどの先進諸国が労働力不足の問題を移民の受け入れによって解決している先行例があっても、もし日本が同様の政策を実行しようとすれば、政治家は有権者の猛烈な反発を覚悟しなければなりません。

ラジブ・ビスワスは世界規模の投資顧問会社HISのアジア太平洋地区担当のチーフエコノミストです。彼は同地区における経済分析と経済予測に関する責任者です。

http://www.dw.de/japans-economy-facing-major-challenges-ahead-of-snap-election/a-18084810

【 アベノミクスの成功により、日本は持続的成長を成し遂げる?立ちはだかる山のような課題はどうする? 】《前編》

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日本は予測していなかった別の不況に落ち込み、アベノミクスは追いつめられた状況にある
既得権勢力の政治的抵抗により構造改革は不発のまま、アベノミクスは暗礁に乗り上げている
景気後退、巨額の財政赤字、過度の円安による物価上昇、一皮むけば危機が現在進行形の日本経済

ガブリエル・ドミンゲス / ドイチェ・べレ(ドイツ国際放送) 11月25日

アベノミクス01
日本の安倍首相は任期を2年以上残しているにも関わらず、12月14日を投票日とする抜き打ち選挙を指示しました。
首相の発表は日本経済がこの4年間で3度目の不況に陥った事を示す数値が明らかになった翌日に行われました。
日本の第三四半期の実績が大きく落ち込んだことを示すこの数字は、金融緩和、財政出動、構造改革を組み合わせた経済政策、アベノミクスの効果に対する疑問を大きいものにしました。

アジアで2番目に大きな規模を持つ経済大国の日本は、先進国中GDP割合で最も多額の国家負債を抱え、長期にわたる経済停滞とデフレーションに苦しんでいます。
安倍首相は衆議院の解散を宣言すると同時に、2015年10月に予定していた10%への二度目の消費税の引き上げを、2017年まで延期する決定をしたことを発表しました。

最新の日本経済の落ち込みは、今年4月に実施された5パーセントから8パーセントへの第一回目の消費税引き上げの後現実になりました。

投資顧問会社のIHSのアジア太平洋地区チーフ・エコノミストのラジブ・ビスワスは、ドイチェ・べレのインタビューに対し、安倍首相は例え今回の選挙に勝利したとしても、公約に掲げる経済改革を実現するために必要な政治的な支持を取り付けるのは、きわめて困難であると答えました。

GRPH Real GDP
質問(ドイチェ・べレ)
「日本は、この4年間で3度目の景気後退局面に落ちこみました。アベノミクスは失敗に終わったのでしょうか?」

ラジブ・ビスワス
「日本経済が予測していなかった別の不況に落ち込んでしまったことにより、アベノミクスは追いつめられた状況にあります。安倍首相は2015年10月に実施予定だった2度目の消費税引き上げの延期を始め、彼の経済政策に対する信任を問うとして衆議院の抜き打ちの解散総選挙を指示しました。
彼が直面している現実は、日本を持続的成長局面に導くためには途方もない作業をこなす必要があるという事です。

日本の先行きの景気見通しは厳しく、実態的人口統計学は著しい日本の高齢化と人口の減少を明らかにし、そしてOECD加盟国中対GDP比率が最も高い政府債務が、解決の道筋も無く手つかずのまま残されています。

質問
「日本に対し、安倍首相が進めてきた経済政策の恩恵は何かあったのでしょうか?」

ラジブ・ビスワス
「安倍首相の経済政策はアベノミクスと呼ばれ、金融緩和、財政出動(多額の公共投資・日銀の国債購入)、そして構造改革の3部門からなり、首相自身はこれを『3本の矢』と称しています。
このうち第1と第2の矢である金融緩和と財政出動については実施が比較的容易であり、安倍政権誕生と同時に日本経済は微増ながら成長局面へと移行しました。
しかし難しいのは最も重要な構造改革を進める第3の矢です。
なぜ難し以下といえば、既得権を守ろうとする強力な政治勢力が存在するからです。
財政出動の効果は目に見えて減少し、4月に実施された消費税の引き上げは日本経済を再び後退局面へと押し戻しました。
そしてGDPの額に等しい巨額の財政赤字問題を解決に向かわせるためには、数多くの難問と取り組まなければなりません。

それでも多国籍企業は日本銀行が行った金融の量的緩和措置が著しい円安につながったため、大きな恩恵を受けました。
日本の輸出高が増加に転じ、輸出業者は大きな恩恵を受けることになりました。」

景気悪化

質問
「日本国民は、ここまでの安倍政権の経済政策をどう評価していますか?」
ラジブ・ビスワス
「最初のうちは国民の多くの支持を得ていたアベノミクスでしたが、ここに来て最終的にこの政策が成功するのかどうか、国民の間の疑問が大きくなっています。

しかし安倍政権の対立政党である民主党が、今度の選挙で勝利を収める可能性は今のところほとんどありません。このことは安倍政権と自民党が引き続き政権を担当し、アベノミクス経済政策の基本であり続けるという事を意味します。
そうなったとき、もっとも重要な問題になるのが2015年10月から2017年4月まで2度目の消費税引き上げの実行を延ばすという安倍首相の意向です。

質問
「安倍首相が2度目の消費税引き上げを延期した理由は何でしょうか?」
ラジブ・ビスワス
「2014年4月の一度目の消費税引き上げが日本を不況に追い込んでしまったため、安倍首相は日本経済の弱い状況を考えれば2015年に予定されていた2度目の引き上げは、延期されなければならないとの決断を行いました。そして安倍首相は今のところ、政治的抵抗勢力の存在のせいで構造改革を行うための『第3の矢』を放てずにいます。

消費税引き上げの延期は経済の減速を緩和させるのに効果がある一方で、財政再建問題の解決を一層難しいものにします。消費税の引き上げ実施されないのであれば、日本政府は大幅な支出削減をしない限り、日本のGDP総額に匹敵する巨額の在赤字問題に関する解決の展望は見えてきません。

憲法解釈01

質問
「財政政策について、今年4月に第1回目の消費税引き上げを実行したことは、間違いだったのでしょうか?」
ラジブ・ビスワス
「日本の国会において消費税引き上げを行うために政治的合意を得るまでのプロセスは、多くの論議を呼び、繰り返し議論が行われました。
従って安倍政権としては、消費税をいつどのぐらい引き上げるべきかという議論を避けたいという意向があったのかもしれません。まして1回目の引き上げが消費支出に打撃を与え、国内総生産の数値を悪化させた以上、なおさらのことです。
現在の日本経済の状況から、消費税の引き上げについては何年もかけて少しずつ少しずつ引き上げていく方が良いという結論が出た場合、今度は巨額の財政赤字をどう減らしていくか、消費税の引き上げとは別の具体的な対策をとる必要に迫られることになります。」

〈後編に続く〉

http://www.dw.de/japans-economy-facing-major-challenges-ahead-of-snap-election/a-18084810
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先日お亡くなりになられた菅原文太さんは生前、日本の政治家が世襲化し、しかも貴族化していると憤慨されていた旨新聞で報じられていました。
ここ数日安倍首相とは何者か?ということを考えていました。
安倍首相の出自は疑いなく、文太さん言うところの世襲貴族政治家ですが、いつの間にか日本の首相の職をアメリカ大統領並みの強権発動を可能な地位に変えてしまいました。
その一方で、前回掲載のIPSニュースの【 非正規雇用の女性の貧困化を、一層深刻にしてしまったアベノミクス 】( http://kobajun.biz/?p=21053 )に象徴されるように、弱い立場の人々の痛みには無感覚であると思わざるを得ません。
安倍首相とは何者なのでしょう?
結論は正しい帝王学を学んでいない貴族のお坊ちゃんだと言うことです。

貴族のお坊ちゃんは、貧しい人、虐げられている人々の痛みを感じる感覚を持ち合わせません。
それでは人間として片輪であるということで、そこを矯正するために帝王学が生まれました。
帝王学はもうひとつ教えています。
自分という人間を前面に出してはいけない、まつりごとを恣意的に運営してはならない、ということを。
ロシア最後の皇帝ニコライ2世はこれを守らず、非業の最後を迎えました。

【 非正規雇用の女性の貧困化を一層深刻にしてしまったアベノミクス 】《後篇》[IPS]

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安倍首相が掲げてみせた提案も目標も、現実を無視した虚構に過ぎない
20歳から64歳の働く独身女性の、3人に1人が貧困状態に置かれている
高齢化と非正規雇用の拡大が、女性たちを貧困の中に閉じ込めてしまっている

スヴェンドリニ・カクチ / IPSニュース 9月18日

女性の貧困
日本における既婚女性の貧困率は11%で、その大部分は夫がすでに死亡している高齢の女性たちです。
離婚した女性のほぼ50パーセントも、貧困と直面していることが解りました。
さらには調査の対象となった男女のうち、男性の貧困率が25.1パーセントであったのに対し、働く女性の貧困率は31.6パーセントに達しました。

厚生労働省は現在、日本の相対的貧困率に関する公式記録を公開しています。

2010年は人口の16パーセントに当たる209万人が公的扶助を必要とするという、この数十年間で最悪の数値を記録、政府による早急な対策が求められることを示しました。

こうした状況に基づき、NPO法人『インクルーシブシブネット』でホームレスの人々を支援する活動を行っている鈴木あきこさんはIPSニュースの取材に対し、安倍首相が掲げてみせた提案も目標も、現実を無視した虚構に過ぎないと説明してくれました。

「低収入にあえぐ人々と数年間一緒に働くことによって、私は正規雇用に代わってパートタイム労働や非正規雇用の女性の数が確実に増加し、そのために貧困に陥っていく実態をこの目で認識しました。」
たとえば介護事業は日本国内でパートタイム従業員が最も高い比率を占めていますが、その90.5%が女性です。

インクルーシブシブネットの報告によれば、経済的苦境にあって援助を必要としている女性の割合は、3年前は10%未満であったのに、現在は20%に達し毎月平均3,000人の割合で増加しています。
「日本には自暴自棄に陥ってしまっている女性たちがいます。安定した職業を持たず、家庭内暴力や職場でのいやがらせなどの問題に直面させられているのです。」
鈴木さんがこう語りました。

女性賃金グラフ出典(http://twitter.whotalking.com/topic/%E9%9D%9E%E6%AD%A3%E8%A6%8F )

日本には2,000万人の非正規雇用労働者がおり、その労働人口の40パーセントを占めています。
その63%を女性が占め、給与は正社員の38パーセント未満しか受け取っていません。

国立社会保障・人口問題研究所(NIPSSR)において貧困問題を研究している阿部あやさんは、女性は男性の従属的な位置にあるとする伝統があった日本の社会において、女性の貧困問題は長年の課題であったとIPSニュースの取材に答えました。

「何十年もの間女性は収入的に不利な立場に置かれながらもなんとかやって来たのは、夫を持っていたかあるいは両親と暮らしてきたからなのです。こうした人々は質素に暮らしてきました。最近の女性の貧困問題の特徴は、結婚する女性の割合が低下していること、給与水準の低いパートタイムまたは非正規雇用の立場に追い込まれていることにその原因が求められる事です。」

安倍首相の女性の権利を拡大するとする提案の目玉のひとつは、年収が100万円以下の収入にとどまる女性の配偶者控除の税制措置を廃止することです。
この制度は終身雇用制度の下、家計が主に男性一人の収入によって成り立っていた時代の1961年に導入されたものです。

安倍首相の支持者は、こうした税制上の優遇措置を廃止することにより、女性の社会進出が促進されると主張しています。
これに対し他の人々は女性のための重要な社会的セーフティネットを無くしてしまうことになり、女性が一層不利な立場に追い込まれかねないと懸念しています。

非正規雇用グラフ出典(http://shakaihosho.com/state.html )

政治的な議論ばかりが先行する中、何十万人もの日本の女性たちが先行きに希望を見いだせないまま、苦労ばかりが続く毎日をどう乗り切っていくか、身も心もくたくたになっています。

インクルーシブシブネットの鈴木さんのようなこの問題の専門家はこうした現実についてこう語っています。
「高齢化と非正規雇用の拡大が、女性たちを貧困の中に閉じ込めてしまっているのです。」

〈 完 〉

http://www.ipsnews.net/2014/09/can-womenomics-stem-the-feminisation-of-poverty-in-japan/
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下に差別に憤るアメリカの市民たちの写真をご紹介していますが、上野記事に併載した2つのグラフは日本にも深刻な差別が存在していることを表すものです。
人間社会において差別程残酷なものは無く、許せないものはありません。

【 非正規雇用の女性の貧困化を、一層深刻にしてしまったアベノミクス 】《前篇》

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安倍政権下、弱者が日本という国から切り捨てられ、追いつめられていく
女性の労働条件は増々不安定、多くの女性たちが希望すら持てない貧困状態に追い込まれている

スヴェンドリニ・カクチ / IPSニュース 9月18日

女性の貧困

54歳のマーリン前田さんは結婚経験がなく、一度も定職に就いた経験を持たないフリーライターですが、彼女は今、老後も自立した人生を送るという数十年来の夢が無残に打ち砕かれた失望感の中にいます。

「私は4つの仕事をこなし、かろうじて暮らしています。」
54歳の女性フリーライターはペンネームだけを明かす条件でIPSニュースの取材にこう答えました。
彼女は記事を書いている時間以外はコールセンターで働き、週に5日間化粧品販売を行いそして週に一回は夜のバーで働くという気の進まない仕事をすべてこなした後の彼女の月収は17~18万円ほどにしかなりません。

まさに前田さんは日本の1億2730万人の人口のうち、2013年に16%という高率を超えてなお拡大を続ける貧困層の一員にほかなりません。
20年間の経済停滞はこうした人々の収入を低く抑え込んできました。

そして前田さんは、日本で進行するもうひとつの深刻な危機をも象徴する存在です。

世界第3位の規模を持ち経済大国であり世界最速のスピードで高齢化が進む日本にあって、女性の間に今貧困化が進んでいるのです。
日本の女性は今、その多くが高齢化するとともに貧困の危険に直面しています。

実際、前田さんは現在は記事1本の収入が6,000円前後でしかないと語りました。
1980~90年代のバブル期、彼女は少なくとも今の3倍の収入を得ていました。

日本では貧困線に関する公式の定義はありませんが、厚労省の調査では一人当たり収入が127万円を下回る人々を貧困層としています。

女性の貧困02
高齢者とパートタイマーの女性の多くがこの境遇に落ちこんでいます。
前田さんも身を削る思いをしながら働いていますが、その収入はあと一歩で貧困層に陥るレベルであり、人間として最低限の生活を送るだけのものでしかありません。

「コールセンターでの勤務が週3日に減らされ、フリーライターとしての原稿料が引き下げられた時、私は自分の将来が本当に不安になりました。もし病気になって働けなくなってしまったら、私は路上生活者になる以外ありません。」
前田さんがこう訴えました。

税金と国民健康保険料等の必要経費を支払うと手元に残る現金はわずかで、彼女は生活のため年老いた両親から度々借金しなければならないと打ち明けました。

前田さんの現実は、多くの日本人女性が直面させられている問題ですが、安倍政権が宣伝を繰り広げる女性の社会進出促進と地位向上の華々しさときわめて対照的です。

今年始め安倍首相は女性の地位と権利拡大に関する広範囲の一括法案について華々しく宣伝を行いましたが、数多くの性差別の専門家や女性の権利を守る団体から疑問を突きつけられ事になりました。
これらの人々は女性に対する日本の社会的・経済的障壁に落胆を隠せません。

020313
2013年初頭日本経済をデフレから脱却させて成長軌道に乗せるとする政策アベノミクスに比して、安倍首相の女性問題に関する政策は『ウィメノミクス』の名で呼ばれることがあります。
この政策は長い間日本で性的差別を受けて来た女性に対し、男性と変わらない給与を保証し、長期間の育児休暇の取得を可能にし、さらには昇進昇級についても性差別が行なわれないことなどを求め、女性の社会進出を容易にするものだとうたっています。
日本では働いている女性の6割が結婚と同時に仕事をやめることから、安倍首相は保育所の数を20,000カ所に増やし、2020年までに放課後教育のための施設を30万カ所にするなど、女性が働くための大きな障害を取り除いていくと公約しました。
そして同じく2020年までに、企業における女性役員の割合を30パーセントにするとの公約も明らかにしました。

安倍首相は9月にウォールストリート・ジャーナル上にこの計画について寄稿し、安倍政権の長期にわたる計画の半ばにはインフレ調整後の国内総生産の10年間の平均値、すなわち日本経済の成長率を2パーセント台に引き上げることが可能だと説明しました。
「我々は、女性の就業率を現在の68パーセントから2020年には73パーセントにする目標を設定しました。」
安倍首相はこのように述べています。
「収入の男女格差については、アメリカが20.1%、フィリピンが0.2%であるのと比較し、日本の女性は平均して男性より30.2パーセント収入が少なくなっています。我々はこの差を無くさなければなりません。」

しかし長年働く母親が直面する問題と取り組んできた性差別問題を専門に研究する猪熊弘子さんは、
「女性の労働条件は増々不安定になっており、収入その他の数字は彼女たちが希望すら持てない貧困状態に追い込まれている」現状を考えれば、安倍首相の主張は「無理な注文」であることが解ります。
Abenomics 4
東京に拠点を置くシンクタンクの中でも代表的な存在である国立社会保障・人口問題研究所(NIPSSR)によれば、20歳から64歳の働く独身女性の3人に1人が貧困状態に置かれているのです。

〈 後篇に続く 〉

http://www.ipsnews.net/2014/09/can-womenomics-stem-the-feminisation-of-poverty-in-japan/
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日本は経済発展の過程で女性をどう守っていくかということに、きわめてうかつだったと思います。
経済が発展し社会が高度化していけば、それを利用するためのコストも上昇して行きます。
そうした社会の中で女性たちの暮らしがどのような影響を受けていくか、検証が不足していたのではないでしょうか?
人口は増え続けて当然という安易な考え方が、子供を産み育てていくという国にとって最も大切な役割を果たしてくれている女性たちを、どう支えていくかという部分についての手抜きを許してしまいました。

株価の上昇などというのは枝葉の部分の話で、女性たちをしっかりサポート出来ないがために子供たちが生まれず、高齢化が進んでいる現状は大切な幹の部分が細っていく社会であることを警告していると思います。

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【 戦争とはこれ程に無益で残酷なものである 】

故郷を守るクルド人の戦い、家族の思いやりの暖かさと思い出に溢れていた家は、すべてがれきと化した
家畜、食糧、家具の類まで、生活を支えるためのすべてのものを持ち去られてしまった

AP通信 / アメリカNBCニュース 12月1日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

Kobani01
イスラム国とクルド族の民兵が一進一退の激しい戦闘を続けるコバーニは、今やがれきだらけの町と化してしまいました。
11月末、報道写真家のジェイク・シムキンはトルコとの国境に近いシリア領北部、コバーニの町に入り、もともとクルド人が暮らしていたこの町が2カ月以上イスラム国からの攻撃にさらされ、徹底した破壊が行われている様子を写真に収め、独占的レポートを行いました。

トルコとの国境に近いシリア領コバーニの入口のロータリーを廻り、戦闘陣地に向かうクルド人民防衛隊(YPG)の兵士たち。(写真上)

コバーニに残る数少ない生活の証しのひとつが、この写真の古くから営業しているパン屋です。
20年前に廃業したままになっていましたが、クルド人兵士により再び営業を始め、毎日約2トンのパンを焼き、前線の兵士たちの食料として配布するほか、各所に取り残され動けなくなっている住民たちの貴重な食料になっています。
「我々は10日前にここにやって来て、パンを焼くことができるようにこの場所を修理しました。それ以前、ここはもっと悪い状況でした。以来毎日パンを焼き続け、兵士と住民に毎日配っています。(写真下・以下同じ)

Kobani02
たこつぼに入って遊ぶ子供たち。しかし近くで爆発が発生することも珍しくなく、その都度あわてなければなりません。
この子どもたちが平和に暮らしていたコバーニはもうどこにもありません。
家族の思いやりの暖かさと思い出に溢れていた家は、すべてがれきと化してしまいました。
近くの商店はすべて内部がめちゃくちゃに破壊されました。
通っていた学校は倒壊してしまいました。

Kobani03

破壊された町の中を、隠れている狙撃兵に撃ち殺されないように懸命に走り抜けようとするクルド兵。
Kobani04

クルド人民兵はイラク国籍のクルド人民兵組織のペルシュメガの数少ない兵士たちとともに、今年9月にコバーニになだれ込んできたイスラム国の兵士たちと終わることの無い戦闘を続けています。
イスラム国の戦闘部隊がシリアとイラクを広範囲にわたり制圧した今年夏、彼らはコバーニに襲いかかりました。
YPGは非宗教的な武装組織であり、コバーニを守る戦闘の最前線に立っています。

取り残された住民にパンを配る、クルド人民兵。
Kobani05
米国が率いる多国籍軍の延べ270回にわたる空爆の繰り返しと、武器の供与によりクルド人はイスラム国の戦闘部隊の前進を食い止めています。
彼らは戦いが峠を越したのではないかとの実感を持ち始めています。
しかし戦いは町の住民に極めて高い代償を支払わせることになってしまいました。

迫撃砲弾が近くに着弾し、爆発する瞬間を見つめる女性。
Kobani06
コバーニの市街地にはかつて50,000人の人々が暮らしていましたが、その大半は国境の向こう側のトルコ領内に避難しました。
2,000人程の住民が戦いは短期間で終わると信じ、町に残ることを選びました。

緩衝地帯に張り巡らされた鉄条網を使って、洗濯ものを乾かしている女性。
Kobani07
町に残ることを選んだ住民たちは、夜は車の中か間に合わせのテント中でやすみます。
彼らがいる場所とトルコ国境の間には有刺鉄線が張り巡らされ、地雷が至る所に埋められています。
彼らを狙ってイスラム国側の占領地から一定間隔で迫撃砲弾が雨のように降り注ぎます。

トルコ国境近くの緩衝地帯から見るコバーニ市内の爆発の様子。
Kobani08
農民の中には何とか農機具と家畜を連れて逃げることが出来ましたが、他の多くはすべてを失いました。
「私の羊は連れ去られました。神に捧げるための私の牛、私の雌鶏、私の寝具、そして小麦を詰めた袋も何かも、持ち去られてしまいました。」
取材に応じた女性住民がこう語りました。
彼女は今、クルド人民兵が配るパンで命をつないでいます。

http://www.nbcnews.com/news/photo/inside-kobani-look-war-zone-n259291

【 現在の不況構造をアベノミクスで解決できるか 】《後篇》

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経済成長率の鈍化に加え、経済格差の存在と大きすぎる企業の内部留保も経済停滞の原因
国の富の大半を一部の富裕層の手の中に置いたままにする格差の存在が、正常な経済のメカニズムを狂わせている

エコノミスト 11月22日

Vanishing worker
グラフ[減少を続ける労働者]各国の労働人口の推移

『いま借金しておいた方が有利』だった時代

そして人口統計学により、経済成長と市中金利に影響を与えるもうひとつの3分の1の理由が貯蓄だとしています。
通常人は大人になった後、その前半生で大きな借金をします。すなわち教育、子育て、そして住宅購入のためです。
そして中年になると節約に励み、引退後はそうして貯めた財産で食いつないでいくのです。
ケンブリッジ大学のクーン・チューリングは様々な国の貯蓄率が、実態的人口統計学上どのように作用するかについて計算しました。

GRPH Real GDP
グラフ[実質GDP]各国の実質的国内総生産の推移

人口増加が進む社会で定年が遅ければ、多くの貯えを必要とはしません。
より高齢であればなおさらです。
1970年当時のアメリカの場合、必要とされる貯蓄率はGDPの228%でした。
各家計は世帯主が若年時に借金をしても年齢が上がるに従い収入が増え、退職前には借金をすべて清算し、退職後の生活を充分に賄うだけの余裕ができると予測できる時代に入って以降、貯蓄志向から消費志向へと切り替わりました。
しかし人口の高齢化とともに経済成長率は鈍化、反対に寿命が延びたのに合わせて定年の年齢も高くなり、必要とされる貯蓄率は2010年にGDPの52%まで下がりました。
同時期、日本では176%から119%へ低下、逆にドイツは189%から325%へ、中国は40%から86%に上昇しました。

多くの国々で同時進行している投資意欲の減退、鈍化する経済成長率、財政削減策、企業の内部留保の増加、そしてその国の富の大半を一部の富裕層の手の中に置いたままにする格差の存在は、老後のための貯蓄の励行と相まって、本来なら投資と貯蓄のバランスを取る役割を果たすはずの金利を低く抑え込んでいます。

GRPH 実質賃金
グラフ[実質賃金]各国の労働者の実質賃金の推移

しかしながらひとつの方針が固まろうとしています。
「定年年齢の引き上げにより、貯蓄率は低下する」
ケンブリッジ大学のクーン・チューリング氏とジュネーブのグラデュエイト研究所のリチャード・ボールドウィン氏は最近発行された電子ブックの中でこう書きました。

「我々が老後に高額の出費と余暇を楽しめるように貯蓄できる金額にはおのずと限界があります。何割かの人々は高齢になっても働き続けなければなりません。全員が現在の定年までに引退できる訳ではありません。」

さらにいくつかの局面において、高齢化する人口はこれまで蓄えてきた貯蓄を使いきるようになります。
モルガン・スタンレーのチャールズ・グッドハートとフィリップ・エアフルトは、現在先進国では現役を引退した人口に対する労働人口の比率が下落を続けていますが、もうすぐ新興国でも同じ現象が起きると指摘しました。

GRPH ジニ係数
グラフ[ジニ係数]社会における所得配分の不平等さを測る指標

日本はかつて貯蓄率が高かった時代に手に入れた海外資産を清算せざるを得なくなっています。
中国と韓国でもその動きが出始めており、ドイツも間もなくそうなるでしょう。
これにより現在低下しきっている金利は2025年までに2.5-3%と、投資と貯蓄のバランスを取る役割を果たせるレベルまで上昇する歴史的局面を迎えるだろうと言われています。

〈 完 〉

http://www.economist.com/news/finance-and-economics/21633860-demography-may-explain-secular-stagnation-no-country-young-people?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227

【 現在の不況構造をアベノミクスで解決できるか 】《前篇》

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消費需要の弱体化と貯蓄過剰という停滞の構造的原因を、短期金利の緩和という通常の景気刺激策をもって解決することは不可能
生産年齢人口が縮小し始めたのと同時期の1990年代に、日本経済は停滞とデフレーションに陥っていた

エコノミスト 11月22日
グラフ[減少を続ける労働者]各国の労働人口の推移
Vanishing worker
1930年代、経済学者たちは10年近く続いている経済恐慌をどう説明すべきか考えたとき、人口の減少との間に相関関係があるのではないかという疑問を持つようになりました。

「人口増加から人口減少局面に入る転換は、経済に大きな打撃を与える可能性があります。」
1937年、著名な経済学者であったジョン・メイナード・ケインズがこう述べ、続く年もう一人の有名な経済学者のアルヴィン・ハンセンは、アメリカは人口減少、有力市場の縮小、そして新たなアイディアの枯渇と言う3重苦に見舞われていると懸念していました。
そしてその結果が長期停滞であったと語りました。
回復の兆しが見えず、窮迫する中で絶望感に見舞われ、極めて高い失業率にも全く改善の傾向が見られない状態が続く社会です。

そして21世紀になった現在、1年前にハーバード大学のラリー・サマーズ教授が、現在の最先進国に蔓延する経済の停滞状況について『長期停滞』という定義を復活させました。
彼は消費需要の弱体化と貯蓄過剰という停滞の構造的原因を、短期金利の緩和という通常の景気刺激策をもって解決することは不可能だとしています。

実態的人口統計学によるデータは、サマーズ教授が指摘する閉塞状態を証明するのに中心的な役割を果たすかもしれません。
事実、1930年代以上に。

ケインズ
人口の高齢化はいくつかの側面を通し、経済成長と金利の上昇を低下させる役割を演じます。
最も直接的なものは労働力の供給です。
その社会の経済の潜在的出力は、労働者と彼らの生産性の高低に依存します。
ドイツと日本では生産年齢人口は10年以上に渡り減少を続けており、その低下率は来たるべき数年間に加速度的に増えていく見込みです。
英国の潜在的労働人口は今後数十年間で増加が停止します。
アメリカは2000年から2013年まで0.9%の割合で労働人口が増加しましたが、今後その増加率は3分の1に縮小しますが、かろうじて増加傾向が続く見込みです。

この状況が今後も続くとすれば、先進国の労働人口は年率0.5%ずつ縮小を続け、ほぼ同じ率で経済成長率を低下させることになるでしょう。
その影響は徐々に現れてくるはずです。
一方で経済停滞により多くの労働者が早期退職を勧められたことにより、そのプロセスは一層早まる可能性があります。

アメリカでは最初のベビーブーマーたちが2008年に62歳を迎え、社会保障制度のもとで公的年金の受給資格を手にしました。
いくつかの研究結果によれば、アメリカにおいて生産年齢人口と求職者数が66%から63%以下まで低下した理由をこの事実が証明しているとしています。
これと同じことが日本ではすでに起きていました。
生産年齢人口が縮小し始めたのと同時期の1990年代に、日本経済は停滞とデフレーションに陥っていました。

2014選挙
そして人口規模と染ま年齢構成が、企業がどれだけの消費を市場に求めることができるか、そして労働者を確保することができるかを決定することになります。

ケインズとハンセンは共に人口の減少傾向が、アメリカ国内の産業が生産した製品への需要の減少という形で現れることを懸念していました。

現代の経済成長のモデルは、会社が1人当たりの労働者につきどれだけの資本を蓄えているかによってその結果が左右されるとしています。
設備投資、土地建物、そして、知的所有権がその経済の生産能力を決定するとしています。
雇用する労働者の数が少なければ少ない程、資本もまた少なくて済むのです。

連邦準備制度理事会の調査報告の中で、ユージェーニオ・ピントとステーシー・テヴリンは、ネット投資(総投資金額から)の総額が第二次世界大戦以降、最低水準に近づきつつあることに言及しました。
経済の停滞が企業の各種の拡大政策を停止させるようになって以降、資本投下額は周期的に変化してきましたが、今やその景気の停滞が長期化しています。
資本投下額は1994-2003年の10年間は年率3.1%増えましたが、2004-2013年は1.6%へと減速しました。

Abeno05
経済学者は現在の経済停滞の原因について、3分の1は労働人口の増加の停止、もうひとつの3分の1は技術革新の不足にあると考えています。
言い換えれば企業は設備を導入してもそれを動かす人間が減少していること、そして導入によって大きなメリットが乗じる技術的発展も無い以上、企業の設備投資は減少せざるを得ないのです。

< 後篇に続く >

http://www.economist.com/news/finance-and-economics/21633860-demography-may-explain-secular-stagnation-no-country-young-people?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227
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私は安倍政権の誕生以来、人口の減少と高齢化が進む社会でこの問題の解決を図ることなく、景気刺激策だけで経済成長は不可能だろうと思い続けてきました。

この記事は名指しで安倍政権を批判している訳ではあませんが、読めばアベノミクスというものが如何に『皮相的改革』であるかを理解することができます。

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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