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【 弱すぎる日本の野党の力、反転攻勢の実現の可能性はあるのか? 】

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所要時間 約 9分

力づくで押してくる安倍政権が失点を重ねても、有効な対抗勢力を形成できない日本の野党
破たんを見せ始めたアベノミクスと、安倍政権の『真意』に疑問を持ち始めた日本の市民社会
アベノミクスが、労働者の賃金を引き上げることに失敗したことは明らか
安倍政権への国民の信頼が揺らぐ中、その気運に乗じることができない日本の野党勢力

エコノミスト 2014年10月11日

ヒットラー安倍

立て続けに報じられた日本経済の不振を表す暗いニュースは、安倍政権を取り巻く国民の支持は盤石に近いという、国内の多くの報道機関が伝えている様相に影を落とし始めました。
東京、大阪、福岡などのただでさえにぎやかな大都市の路上では、安倍政権の政策が一般国民の生活については、何も改善していないという声が高まり続けています。

一方で4月に実施された消費税の引き上げは、2014年度第2四半期のGDPが年率換算で7.1%という大幅な下落を記録したようです。
特定秘密保護法の成立、憲法第9条の解釈の変更、九州電力・川内原発の再稼働と多くの国民が反対する政策を押し通してきた安倍政権が目玉としてきた経済政策がこのような結果しか導き出せないのであれば、当然日本国内では政権に対する反発の気運が高まり続けていると考えるかもしれません。

確かに安倍政権に対しては国民の期待と信頼が揺らぎ始めてはいますが、与党自民党の対抗勢力に対する有権者の失望の方が、日本では一層深刻な状態が続いています。

日本の野党は長期間分裂状態が続き、有効な対抗勢力を形成することができません。
2年前、安倍氏が率いる自民党に地滑り的な勝利を許し政権の座を追われた民主党は、党勢の回復に尽力てきましたが、小党分立による混乱が一層深まる中、状況はかえって悪化しているように見受けられます。

川内原発再稼働

そうした中、有力な野党勢力を形成する可能性を持っていたのはみんなの党でした。
みんなの党は自民党の有力議員の2世である渡辺喜美氏と、民主党期待の星であった浅尾慶一郎氏がそれぞれの党を離れ2009年に結党しました。
いずれも所属する党が官僚制に支配され、市場原理に基づく政策の立案に消極的であるというのが離党から結党に到る主な理由でした。
みんなの党は若い実業家などを中心に支持を集めましたが、今年四月、渡辺代表が支持者である実業家からの8億円に上る融資に関する明快な説明が出来ず、代表の座を降りざるを得なくなりました。
渡部元代表は今、代表の座を引き継いだ浅尾氏の辞任を求めています。
渡部代表は2012年、安倍政権誕生の際その支持に回りました。
異様に映るのは、渡辺氏の辞任要求に対し、浅尾氏が反撃することをこらえていることです。

もう一人、トラブルの渦中に有るのが、民主党の海江田万里党首です。
民主党の上層部はすでに数カ月間、おおっぴらに批判にさらされてきました。
海江田氏に対しては、2012年の記録的敗北以来民主党が結党以来最大の危機に陥っているという事を、理解できていないのではないかという見方があります。
9月、海江田氏は党上層部の人事を刷新し、批判勢力も内部に取り込むことにより党首の立場に踏みとどまりました。

憲法解釈変更 5
しかし多くの日本人がこの時感じたことは、民主党が最も進歩的な顔ぶれと思われる人々を起用したにもかかわらず、新しい人材の不足、そして女性不在の指導部という印象だったでしょう。
たとえ政治の場で何かが来た出来る人材ではないとしても、少なくとも安倍内閣には発足当時5人の女性閣僚がいました。

民主党が安倍内閣の宣伝性の高い経済政策に対抗できるだけのプラン作りに苦闘している間、安倍首相は憲法第9条の解釈の変更により日本を右旋回させ、同盟国が攻撃を受けた際には日本の集団的自衛権の発動を可能にする政策を強行しました。
この結果安倍首相に対する首相としての指導力に対し、国内世論はまっぷたつに割れることになりました。

民主党内には日本の平和原則を守り通そうとする平和主義者が多数を占めますが、一方では現実的戦略の実行を求め安倍政権の動きを支持する勢力も存在します。
来年安倍政権は集団的自衛権の行使に必要な法案を国会に退出する予定ですが、上智大学の中野孝一教授は、この際民主党内から賛成に回る議員が出るかどうかが、今後の民主党の党運営に大きく影響することになるだろうと語っています。
自民党は民主党の復活の芽を摘み取るべく、この問題をきっかけに民主党の分裂を決定づけようとしています。

日本の政党は長い間分派と党派争いを繰り返してきました。
日本の政治家は自ら政党を設立するため主要政党をしばしば離党しますが、それによって政界における立場を失うことはほぼありません。
今回、分裂した小政党が再編されて『第三勢力』が日本の政界に誕生することを予測した人々がいました。

憲法解釈変更 7
しかし日本の政界には現在のところ、こうした小政党の政策の違いの溝を埋めるどのような動機も見当たりません。
かなり自己主張の強い大阪市長、橋下徹氏がひきいる維新の会は9月、規模としてははるかに小さい、主に経済改革を主張する結の党に吸収されました。
しかしこの二つの政党も大きな政治的な課題である原子力発電、消費増税、そして集団的自衛権の問題については見解が一致している訳ではありません。

再び民主党に目を転じれば、党内には市場原理に基づく経済開放派と、市場原理に一定の制約を課そうとする組合寄りの政策実施を目指す二つの勢力が存在します。
このうち市場経済派はみんなの党など2、3の小規模な政党との連立により、政権の座に返り咲くことを志向しています。
この勢力は2016年末に予定されている国政選挙において勝利を得るべく、豊富な政治資金を蓄えています。

しかしここに来てついに民主党が反転攻勢に打って出るという徴候が見えてきました。
安倍政権がその経済政策を大々的に鼓吹し国民がそれを歓迎していた昨年、民主党はそこを批判することに二の足を踏んでいました。

集団的自衛権01
しかし安倍政権の金融緩和策が、労働者の賃金を引き上げることに失敗したことは明らかです。
民主党の選挙対策の責任者を務める枝野幸男氏は、安倍首相自身こそ安倍政権の最大の弱点であると見ています。
安倍首相の自信過剰こそは安倍政権打倒の切り札に成り得る、枝野氏によればそういうことになります。

今となれば自民党が無敵の勢いを誇り、ほとんど反対勢力が見当たらなかった状況を思いやることは難しくなりました。
安倍首相がこれ以上、思い通りに事を進めることは難しくなりそうです。
市民党と連立を組む公明党の中からその制約の手が伸びてくることが考えられます。

公明党の根本的な党是は世界平和の実現であり、近隣諸国との紛争を煽り続ける安倍政権との行き方とは本来相いれないものであるはずです。
最終的に公明党の指導部は安倍首相の集団的自衛権の行使容認の支持に回りましたが、公明党の支持母体である数百万人の加盟者を擁する創価学会は、平和主義者と福祉国家の実現を目指す人々が中心を成す、仏教徒の集まりです。

さらには安倍首相率いる自民党内の、反安倍派の存在も軽視することはできません。
自民党内には政策の実現のために組織されるのとは別の、派閥の強力な影響力が残っています。
自民党内の民主主義社会における自由主義経済の発展を純粋に志向するグループは、安倍首相が昨年12月に行った靖国神社の参拝に怒りをあらわにしています。
靖国神社には第二次世界大戦中の一般兵士・市民の犠牲者に加え、戦争犯罪人とされた戦時指導者も合祀されています。

秘密保護法05
安倍政権は中国との関係をことのほか悪化させました。
第二次安倍政権において自民党幹事長に任命された谷垣禎一氏は、本来中国との間に太いパイプを持っています。
谷垣氏の今回の人事については、自身に対し最も脅威となり得る政治家の反対の芽を摘んでしまおうという安倍首相の考えに基づいたものであったと考えられます。

http://www.economist.com/news/asia/21623777-opposition-struggles-counter-dominant-prime-minister-not-ready-prime-time?zid=306&ah=1b164dbd43b0cb27ba0d4c3b12a5e227

【 怒号の応酬に終わったヘイトスピーチ問題の議論 】

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所要時間 約 7分

議論にならなかった橋下徹大阪市長と桜井在特会会長の応酬
公式に在特会を批判することをためらう安倍政権の閣僚

ジャスティン・マッカリー / ガーディアン 10月21日

橋下演説
カリスマ的政治家と韓国朝鮮人の排斥運動を使嗾する右翼過激派との間のヘイトスピーチ問題に関する議論は、互いの見解を冷静に検証しあうというわけにはいきませんでした。

しかし橋下徹大阪市長と桜井誠在特会会長の初めての対決が罵り合いで始まり、たちまち暴力沙汰になりかねない状況に陥り、わずか数分間で打ち切られてしまう事を予測していた人間はほとんどいなかったはずです。

橋下徹大阪市長が桜井在特会会長との討論に同意したとき、多くの人々が驚きました。
在特会は日本国内在住で日本国籍を取得していない約500,000人の韓国朝鮮人が日本の福祉制度を利用できる権利、選挙権を行使できる権利などを「特権」だとして、その剥奪を要求しています。

大阪市役所における今回の討論は、在特会が韓国朝鮮人が多く暮らしている地域などで繰り返し行い、国際的にも批判が高まっているヘイトスピーチ問題が注目される中で行われました。

間隔を開けて設置されたテーブルの前に座った2人の男性は、冒頭議論の進め方についてやり取りを開始しましたが、議論の体を成していたのはわずか数十秒間に過ぎませんでした。

ヘイトスピーチ01
桜井会長は橋下市長に対し、礼を失する「あんた」という呼びかけを行い、以後8分間にわたる敵対的なやりとりを導き出すことになりました。
橋下氏は在特会にヘイトスピーチを止めさせることはできませんでしたが、橋下氏自身も昨年、従軍慰安婦問題に関して「当時の日本軍の規律を維持するための必要悪だった」という趣旨の発言を行い、批判を浴びています。
橋下氏は桜井氏に対し、「民族とか国籍をひとくくりにして評価するような発言はやめろ」と発言しました。
最終的に橋下氏は宿敵とも言うべき相手に対し「だまれ!」と発言する羽目になりました。

桜井氏が橋下氏に対し韓国朝鮮人に対する批判の口封じをするつもりかと詰め寄るにいたり、橋下氏も丁寧な言葉遣いを止めるに至りました。
この後2人は警備員に席に戻るよう押しとどめられる場面も発生しました。

このやり取りを収めた動画はユーチューブで60万回以上再生されましたが、その内容は光るというよりはひたすらに熱いものでした。
それでも橋下氏が一矢報いることが出来たのは、桜井氏に対する次の一言でした。
「大阪に、お前のような人種差別主義者は必要ない。」

この『討論』は桜井氏が橋下氏を侮辱する言葉を繰り返し投げつける中打ち切られ、橋下氏は警護要員に囲まれるようにして会場となった部屋を後にしました。

king11
日本の国内報道によれば、多数の韓国朝鮮人の住民が暮らす大阪市は、全国初のヘイトスピーチを禁止条例を制定する年になる可能性があります。
一方では、そうした条例は日本国憲法が保障する言論の自由を侵すのではないかという懸念もあります。

在特会は13,000人の会員を有すると称し、韓国朝鮮人を『ゴキブリ』『犯罪者』という極端な表現を用いて罵り、日本から出で行けと叫ぶヘイトスピーチ集会を定期的に、大阪をはじめとする各都市で行っています。

7月には大阪の裁判所が、北朝鮮国籍の子供たちが通学する朝鮮学校の近くで在特会が行ったヘイトスピーチ集会は、人種差別行動であるとの判断を示しました。
8月に人種差別の撤廃に取り組む国連の人権委員会は、日本国内において人種間の憎悪を煽り、人種差別に公然と加担する公務員と政治家を特定すること、そして彼らに対し法的な制裁の実施を強く要求する勧告を行いました。

自民党の国会議員で安倍内閣の閣僚である山谷えり子国家公安委員長が、2009年に在特会の幹部と並んで撮られた写真の存在が明らかにされ、メディアの間でここ数週間在特会はにわかに注目を集めることになりました。
山谷氏は公開された写真について記憶が無いと語る一方、公人として在特会を批判する事を拒否しました。

橋下氏は自由主義者に対するいかなる共感も持ち合わせてはいませんが、1人の著名な韓国籍住民である李信恵(リ・シンネ)氏の支持を取り付けました。

Abeno08
李氏は在特会と桜井誠会長と専用サイトの「保守速報」に対し、損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こしました。
李氏は共同通信の取材に次のように答えました。
「在特会は公共の場で未だにヘイトスピーチを続けています。それがどれ程ひどいものであるか、橋下氏には実際の現場を見ていただきたいと思っています。」

http://www.theguardian.com/world/2014/oct/21/japan-hate-speech-debate-abandoned-toru-hashimoto-makoto-sakurai
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私はご覧いただいているサイトを運営している関係上、毎日NBCやCNNなどのニュースを視聴していますが、仮にも国政レベルの政治家で『Racist : 人種差別主義者』の疑いを持たれてしまったら、その時点で政治生命は絶たれたも同然になります。
毎日アイポッドで見ているNBCナイトリーニュースのブライアン・ウィリアムス氏が「Racist」という単語を口にするとき、その表情にははっきりと嫌悪感が現れます。
EUやアメリカはもちろん、今や『人種差別は犯罪である』というのはそれ程に世界共通の認識です。
その中、日本はこの点において際立って『異質』なのではないでしょうか。

余計な詮索を省くため申し上げますが、私自身は父方は母系が仙台藩の下級藩士、父系は江戸期に仙台市南郊で大きくは無い旅籠を経営、母方は母系が山形県寒河江市の商家、父系は宮城県南部の郷士であり、日本人として出自がはっきりしているつもりですが、韓国朝鮮の人々を差別しなければならない理由は全く見当たらないし、そのつもりもまったくありません。
どころか私の大親友のひとりは中国人であり、浙江省杭州市で病院長をしています。
私たちの友情に尖閣の問題が影を落とすことはありません。

日本経済が国際社会の中でバランスを取っていかなければ成り立たない以上、政治と社会も同様であるべきだと思います。

【 従軍慰安婦問題に関する国連報告書、拒否された日本政府の記述改訂要求 】

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所要時間 約 9分

歴史認識の変更を求めた日本政府に、従軍慰安婦問題は国際社会が史実の存在を確認済みとの回答

マーティン・ファクラー / ニューヨークタイムズ 10月16日

従軍慰安婦02
日本政府は20年前に作成された第二次世界大戦中、日本軍の売春宿で強制的に使役された韓国その他日本が占領していた地域の女性たちに関する報告書について、その記述の一部を削除するよう求めましたが、報告書の作成担当者はこれを拒否しました。
10月16日、日本政府のスポークスマンが明らかにしました。

日本国内では『従軍慰安婦』という婉曲的表現が使われていますが、国際的な歴史認識においてはこれらの女性たちは日本兵に対し売春行為を強要されたという評価が概ね確立しています。
それでもなお今回日本政府がこうした要求を行う事を決めた背景には、安倍政権の下で活発に愛国主義を鼓吹する保守勢力の意向があるものと見られています。

日本政府の今回の発表は安倍政権の有力な支持基盤である、あからさまに国家主義を唱える勢力には歓迎されるかもしれませんが、韓国からは改めて厳しい批難を引き出すことになりました。

「従軍慰安婦問題の歴史の真実を歪曲し、過去に犯した不正な行いを過少に見せる、あるいは隠し通すために日本政府がどれほど懸命になろうとも、歴史を自分たちに都合よく書き換えることなどできるはずはありません。」
韓国外務省のスポークスマンは17日、こうコメントしました。

従軍慰安婦01
日本政府のスポークスマンを務める菅義偉官房長官は、かつて国連で女性に対する暴力についての調査報告を担当したラディカ・クマラスワミ氏に直接面会し、個別に依頼を行うため日本政府が外務省の高官を派遣したことを明らかにしました。
スリランカの女性弁護士であるクーマラスワミー氏は1996年、日本政府が従軍慰安婦だった女性たちに謝罪し、補償を行うよう勧告する報告書をまとめました。
菅官房長官は日本政府が報告書のどの部分について訂正を求めたのかは明らかにしませんでした。

日本の自由主義的立場を代表する新聞社である朝日新聞が1980年代から1990年代に大きく取り上げた、従軍慰安婦問題に関する記事に誤りがあったとして訂正を発表した今年8月以降、保守派の政治家と右翼活動家による史実の見直し要求は一層先鋭化しています。
朝日新聞の記事は第二次世界大戦中、韓国人女性を従軍慰安婦として強制的に徴発する行為に加わったとする吉田清二氏の証言に基づくものでした。
しかし吉田氏の証言のいくつかの部分については歴史学者から疑問が呈せられ、その信憑性は早くから疑われていました。

この報道には欠陥があると見た保守派の政治家たちは、従軍慰安婦問題全体が作り事であり、第二次世界大戦中に世界各地で当たり前のように見られたように、女性たちは契約の上自ら進んで身を売っていたのだと主張し、朝日新聞に対しては記事そのものの撤回を求めてきました。

国家主義政策等とは無縁の立場で純粋に学問的立場から検証を続ける日本国内の歴史学者、そして日本以外の歴史学者の多くが女性たちが強制的に従軍慰安婦にさせられたという歴史的事実に、吉田氏の証言はほとんど無関係だとし、日本の保守派の主張を否定しています。

従軍慰安婦03
歴史学者たちは、1990年代に沈黙を破って当時の自分たちの状況について証言を行った、元従軍慰安婦の女性たちに焦点を合わせるべきだと主張しています。

これらの歴史学者は女性たちの証言に基づけば、、日本の占領下にあった数万人のアジア各国の女性、さらにはオランダ(植民地であったインドネシアの宗主国)人女性も、自分たちの意思に反し日本軍向けの売春施設で使役されたことになります。

日本の保守勢力は彼女たちの証言は偏っており、信頼性も低く、その主張を立証するための証拠も不足していると攻撃しています。
これに対し女性たちとその支援者は、日本軍が降伏後に連合軍による戦争犯罪の追及の手を逃れるため、大量の記録を償却して証拠隠滅を行ったと指摘しました。

日本の保守勢力を代表する新聞社である読売新聞は10月に掲載されたインタビュー記事の中でクマラスワミ氏は、朝日新聞が従軍慰安婦問題に関する報道の誤りを認めたことは、彼女が国連の場で作成した報告書の撤回の必要性を形成するものではないと答えました。
クマラスワミ氏は彼女の報告書は多数の従軍慰安婦経験者の証言に基づいて作成されたものであり、その中で朝日の誤報問題の原因となった吉田氏の証言を引用はしているものの、報告書が出した結論に大きく関わってはいないと答えたと伝えられています。クマラスワミ氏はこの件に関するさらなる取材には応じませんでした。

従軍慰安婦04
菅官房長官はクマラスワミ氏が日本政府の要求を拒否したことについて、追加の対応を取るかどうかは明らかにしませんでした。。

日本の共同通信社は、14日の日に日本政府の要求を伝えるためにニューヨークの国連本部でクマラスワミ氏に面会した日本側の外交官は、佐藤人権人道担当大使だったと伝えました。

安倍首相はこれまで日本の戦前戦中の歴史への評価があまりに否定的だと主張してきました。
そして今年2月、1993年に日本政府が行った謝罪、歴史上画期的なものとなった河野談話の内容の再調査を命じました。
しかし内外の厳しい批判を浴びると前言を翻し、河野談話の見解を支持すると表明したのです。


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この稿を書いている日の朝刊に、朝日新聞とクマラスワミ氏を攻撃する本の出版広告が掲載されていました。
議論することではなく、両者をいわば個人攻撃することが従軍慰安婦問題の解決にどうつながるのか、私自身は否定的です。

こうした本や今問題になっているヘイトスピーチなどの特徴は、問題を単純化することにあります。
「悪いのは朝日新聞とクマラスワミだ。」
このように問題を単純化する方が、
「賛否両論双方が根拠とする資料を積み上げ、互いに検証しあうことにより史実に近づこう。」
という正論よりもはるかに解りやすく、そして刺激的です。
様々な理由から現状に不満を募らせている、憤懣を何かにぶつけたいが大義名分がない、そんな人々に格好の材料を与えることになります。
戦前戦中、戦争に反対している、あるいは消極的というだけで『非国民』と罵り、長引く戦争により次第に窮迫していく生活に対する不満をぶつけていたのと、構図的に変わりありません。

その不満を暴力に変えてしまうプロセスのさらに極端な例が、下記のイスラム国の戦闘員の募兵だと私は考えています。
単純化した言い方をすると、イスラム教の始祖モハメッドは近隣のユダヤ教徒やキリスト教徒とは友好関係を保つ一方、文化もモラルも無い野蛮人に対する戦いをジハードと認めたはずであり、その証拠にコーランでは征服地において人々に改宗を迫ることは明確に否定しています。
それが今やイスラム教内の異なる宗派に対する殺戮行動すらジハードと呼号、イスラム国はこうしたイスラム教に関する正しい理解を持たない一方、不平不満ではちきれそうになっている若者たちを殺人器械に変えてしまっています。

日本に話を戻せば、報道機関の出版物がこの機に乗じて目障りな対立メディアを攻撃せよ、などというのはどうなのでしょうか?

【 自由主義報道・中立報道機関への威嚇と攻撃、危地に立つ日本のジャーナリズム 】《後篇》

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所要時間 約 5分

安倍政権の誕生により活発化した、自由主義報道への威嚇と攻撃
強制収容所もホロコーストもすべては作り話、そんな発言が国際社会で許されるか?
国際社会において日本の価値を貶めているのは、果たしてどちらの側なのか?

マイケル・ペン / アルジャジーラ 2014年9月25日

Abeno01
▽朝日新聞の誤報問題

8月5日、新たな火種が燃え上りました。
長い間日本の自由主義を代表するメディアとして内外にその存在を知られてきた朝日新聞社が、1982年から1997年まで掲載した従軍慰安婦問題に関する報道内容を正式に撤回したのです。

撤回された記事は第二次世界大戦中、韓国の済州島において組織的な従軍慰安婦の徴発を行う現場に自ら居合わせたというセンセーショナルな発言を行った、吉田清二氏の証言に基づいて作成されたものでした。
吉田氏の証言については早い段階から独立した調査機関などにより、様々な誤謬があると指摘されていました。
しかし安倍政権の誕生により日本国内の右翼や保守層が活発に動きだし、朝日新聞への攻撃が毎日のように繰り返されるようになるまで、同社は報道内容の誤りを認めようとはしませんでした。

2012年11月、自民党が地滑り的勝利をおさめ5年ぶりに安倍氏が政権に復帰したそのちょうど一か月前、安倍氏はこの問題について理不尽とも言える指摘を行いました。
「朝日新聞は吉田清二のような詐欺師の証言を、あたかも真実であるかのように日本国内隅々にまでに広めてしまいました。そしてこの問題を実際よりもはるかに大きな問題にしてしまったのです。」

朝日新聞側が遅ればせながらも報道内容に誤りがあったことを自ら進んで認めることが、報道機関としての信用回復に役立つと考えたとしたら、その考えは甘かったと言わなければなりません。
その政治的影響は全く逆の現実を作りだしました。

020202
安倍政権と政権側に立つ報道機関は、自由主義の立場に立つ新聞社が国民を故意にだまし続けた証拠を手に入れたと跳び上がって喜び、早速ネガティブヴ・キャンペーンに乗り出しました。
「日本の敗戦から今日まで、彼らは偽りの歴史を作り、ウソの報道を続けてきたのです。」
民間の右翼団体、頑張れ!日本のリーダーである水島総氏がこう語りました。
「日本にはこの類の新聞を必要ありせん。我々の行動は朝日新聞の発行停止を求めていきます。」

9月最後の土曜日、朝日新聞社本社前で抗議のデモが行われました。
参加者は口々に朝日新聞の発行停止を叫んでいました。
「朝日の従軍慰安婦問題に関する記事は全部作り事です。完全なウソです。」
男性のデモ参加者がこう主張しました。
「彼らの報道は国際社会のなかで、日本を悪者扱いしています。」
着物を着てデモに参加していた女性がこうつけ加えました。

▽ 世界共通の認識は

しかし世界共通の認識は、彼らの意見には同意しません。

「第二次世界大戦中に中国や韓国、そしてその他の国々において責められるべき行動をしたのは大日本帝国の軍隊の方です。その事実を報道したことについて、朝日新聞を批難することはできません。」
ドイツの新聞、フランクファーター・アルゲマイネ・ツァイトゥングのカルステン・ゲルミス特派員がこのように指摘しました。

彼は従軍慰安婦については数多くの証言により問題の存在が国際的にも認められており、吉田氏の虚偽証言をもって問題の存在自体を否定しようとする考え方に対しては、我慢がならないという立場です。

ホロコースト01
「私はいつも日本人の報道関係者に次のような話をします。安倍氏と似たような発言をする政治家が、ドイツ国内に一人でもいると思いますか?強制収容所もホロコーストも、みな作り話に過ぎない、そんな発言が許されると思いますか?」
「アングロサクソンによる包囲が行われたため、ドイツは祖国防衛のためやむを得ず立ちあがり、その結果第二次世界大戦が起きてしまった、ドイツの政治家がそんな解釈を披露することがあり得ますか?」

「このままの状態が続けば、日本が国際社会から厳しく非難される日が必ず来ることになるでしょう。」

〈 完 〉

http://www.aljazeera.com/indepth/features/2014/09/japanese-right-targets-liberal-media-shinzo-abe-2014924105723376178.html

【 自由主義報道・中立報道機関への威嚇と攻撃、危地に立つ日本のジャーナリズム 】《前篇》

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所要時間 約 8分

報道機関に対し個人的に介入を行い、番組内容改変の強硬な要求を行っていた安倍首相
NHKの新会長、国民の立場から行政の在り方を検証する姿勢を放棄する編集方針を宣言

マイケル・ペン / アルジャジーラ 2014年9月25日

籾井
自由主義・中立の立場を取る日本の主要な報道機関を威嚇するキャンペーンが開始されました。
日本の国政の舞台では安倍政権を支える連立与党が衆議院では全議席の3分の2、参議院では過半数の議席を抑え、立法のプロセスをほぼ完全に掌握しています。

そして日本政府の有力官僚たちは短命な政権が続いた民主党政権時代よりも、安倍政権下にいる方が、自分たちの地位と身分を始めさまざまな不安を持つ必要がありません。

さらには経団連に代表される日本の実業界の経済団体は安倍首相の盟友たちの指揮の下、与党自民党に対する多額の政治献金を復活させると宣言しました。

こうした状況を背景に、日本の自由主義並びに中立的立場を代表する報道機関を威嚇するキャンペーンが開始されたのです。

対象者リストの最上位にあったのが日本の国営放送局であるNHKでした。
安倍首相は国際的にも論争の的となっている問題のNHKの取り上げ方に、長い間不満を募らせてきました。
2001年、報道に携わる者の心を暗澹とさせる事件が起きました。
NHKは大日本帝国の軍隊が、従軍慰安婦にされた女性たちをどのように虐待したか、その歴史的事実の解明に取り組むNGOが企画したイベントを題材としたドキュメンタリー番組を制作しました。
アジア地区を中心に日本が強制的に、または事実を偽る、あるいは勧誘されるなどして、各国各地にあった売春施設に連れてこられ、日本軍兵士を相手に売春を行っていた女性たちが従軍慰安婦です。

ヒットラー安倍
この問題に直接かかわりがある国々を含め各国の学界の中心にいる歴史学者のほぼ一致した見解は、韓国、中国、フィリピンを中心に第二次世界大戦中に日本軍が占領していた各国から約200,000人もの女性が日本兵を相手に売春行為を強いられたとしています。

このドキュメンタリー番組が放送される直前、めったにないことですがNHKの上層部が番組内容の大幅な削除を要求しました。

数年後、法廷でこの時の経緯が争われ、当時自民党の官房副長官を務めていた安倍晋三氏が個人的に介入し、NHKの役員に対し番組内容を改変するよう要求していたことが明らかになりました。

▽『従軍慰安婦』問題

こうした経緯を見る限り、安倍氏が日本の首相に就任した後、NHKの会長人事に直接関与して戦争中の日本の歴史について認識を共有する人間を任命したことは、当然の結果であると考えられます。

安倍首相にとって残念だったのは、彼がNHKの会長に任命した籾井勝人氏がこうした価値観について公の場で口にしてはいけないという常識と判断力に欠ける人物であった事でした。
今年1月に行われた就任の記者会見を、籾井氏は従軍慰安婦問題に関する日本の右翼的見解を擁護する場として利用したのです。
籾井氏は従軍慰安婦について、今日の道徳に照らせば問題なのであって、第二次世界大戦中は世界中の至る場所で多くの国がこうした施設の設置と運営に関わっていたと述べました。
従って戦争中の性的暴力の問題について、日本だけがやり玉に挙げられるのは間違っていると主張しました。

Abeno07
さらに籾井氏は日本の外交と領土問題に関する見解を質されると
「政府が『右』だと言っているのに、NHKが『左』だという訳にはいかない」
と答え、日本を代表する報道機関の責任者として独特の編集哲学を披露したのです。

そして籾井氏は自分の方針をNHKの組織全体に徹底させるため就任直後NHKの理事全員に辞表を書かせ、籾井氏の判断でいつでも彼らの首を切れる態勢を作ろうとしました。

これら籾井氏の一連の行動はNHK内部に留まらず、広く日本の各界の人々を憤慨させ、批判の嵐が巻き起こりました。
ここまで問題が大きくなれば、通常は辞任を迫られて当然ですが、安倍首相の『盟友』であったおかげで、籾井氏は未だにNHKの会長の座に就いています。

〈 後篇に続く 〉

http://www.aljazeera.com/indepth/features/2014/09/japanese-right-targets-liberal-media-shinzo-abe-2014924105723376178.html
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この記事の副題となっている一文、
A campaign of intimidation has been launched against Japan's major liberal and moderate media outlets.
の中のintimidationという言葉について、SPACEARC( http://eow.alc.co.jp/ )には次のように解説しています。
Intimidation[脅し、脅迫、威嚇]脅かしによって人の意思を無視してある行為を強要したり、させなかったりする違法な行動。必ずしも暴力的な行為そのものによって脅かす必要はなく、暴力をほのめかすだけでも犯罪は成立する。

まさに現在の日本の状況を言い当てている単語だと、その選択に感心しました。
しかしこの言葉に象徴される日本の状況には暗然たる思いです。

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【 イスラム国 - トルコ-シリア国境で高まる緊張 】《1》

アメリカNBCニュース 10月21日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

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トルコとの国境沿いにあるシリアのコバーニでは、9月中旬からイスラム国による攻撃が激化する中、クルド人たちが町の防衛に苦しんでいます。

10月21日、イスラム国との戦闘で死亡したクルド人戦闘員3人の葬儀で嘆き悲しむ人々。(写真上)

10月20日、自分たちが住んでいたシリア、コバーニで上がる爆発の噴煙をトルコ南東部のムルシットピナル村から眺めるクルド人避難民。(写真下・以下同じ)
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10月20日の戦闘で死亡したクルド人戦闘員の葬儀。
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10月20日、郊外のスルクから見たコバーニ市内の爆発。
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10月19日、スルクの南東部にある避難民キャンプの中を歩く母子。
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10月21日、たき火にあたる避難民キャンプの子供たち。
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http://www.nbcnews.com/storyline/isis-terror/tension-mounts-along-turkey-syria-border-n230796

 

【 平和憲法の解釈変更、民主主義プロセスの破壊を続ける安倍政権 】《後篇》

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所要時間 約 8分

海外における平和主義国家日本が作り上げた数々の業績を、簡単に台無しにする安倍政権の国家主義の推進
経済発展の早さと比べ、日本の政治の進歩は世界の中ではむしろ遅い方
戦争を挑発して回るような安倍政権の政治姿勢に対し、高まり続ける国内外の反感

 

ピーター・ポッパム / インディペンデント 2014年7月17日

安倍&豪州首相
東南アジア、東アジア地区において平和主義国家日本が半世紀の間続けてきた、現地の人びととの融和を大切にする友好的な政策が生み出したこのような高い評価を、簡単に台無しにする方法があります。
それが安倍首相とその支持者たちが天性持っている国家主義的思考であり、彼らが今進めている国家主義的政策です。

それこそが今日本が外交的に危機的状況に追い込まれている本当の理由なのです。

 

そして安倍首相が憲法第9条の解釈の変更を行うことにより日本という国家の性格と政策を一変させてしまおうとしていることに対し、国内から広範囲な反対が巻き起こっていることの原因です。

国内において国民の大きな反発を引き出したものは、安倍首相が行ったそのやり方でした。
巧妙に仕組まれたごまかしというべきかもしれません。
安倍氏はかつて一度、短期間首相の座にいたことがあります。
その時は目立つほどの業績も無く、その後数年間は注目を浴びることもありませんでした。
そして2012年、1980年代半ばから停滞が続いている日本経済を復活させるため、新しい政策を大胆に実行するという公約を掲げて政権の座に返り咲きました。

集団的自衛権01
その政策のシナリオはきわめて複雑なものでしたが、これまで試されたことは無いというメリットを持っていました。
そして今のところ、完全な失敗に終わったということにはなっていません。
しかし東アジア地区において拡大を続ける中国の覇権と争うため、再び日本を強大な軍事力を持つ国家に変貌させる、そのためには日本の国のあり方まで変えてしまうという政策は、本来含まれてはいなかったはずでした。

コンセンサスについての考え以外は、日本の民主主義は完ぺきというには程遠いものなのでしょうか?

 

日本では実業界においても、そして政界においても、民主主義の理念とは相いれないものが奥深く存在するのではないでしょうか?

こうした事情から経済発展の早さと比較して、日本の政治社会の進歩は世界の中でむしろ遅い方だと見られています。 - 多くの場合、日本の企業や政治組織などにあって何か特別な状況が発生した場合には、誰もが同じ方向を向き、上からの命令に喜んで従うという態度を示さなければなりません。
このやり方で安倍首相は日本の平和憲法を踏みにじりました。

 

日本のニュース解説者などが指摘しているのは、安倍首相の「内閣による解釈の変更」という民主主義とは相いれない手法です。

2007年の第1次安倍内閣の当時、安倍首相は国民投票法を含め思い切った憲法の改変を提案しました。
もし当時の議会の承認が得られれば、成功していたかもしれません。

憲法解釈変更 7
しかしそこに至るまでのあまりに困難な道のりを考え、今回は自分たちにとって簡便な手法を用いることにしたのです。
これによって安倍首相は、本来なら必要とされる国民の合意を取りつけることなく、自らが増強に心血を注いでいる日本の軍事力を海外で行使できるとする解釈を成立させたのでした。

この過程において安倍首相は、民主主義国家において本来許されないはずの行為を繰り返し行いました。
フィナンシャルタイムズの記事にもあった通り、日本の経済を再生するとする安倍首相の取り組みはまだ道半ばです。
その実現のためには、政権をしっかりと支える多くの政治的資本を必要とします。
しかしその好戦的、すなわち戦争を挑発して回るような安倍政権の政治姿勢に対する国内外の反感は、本来の目的であったはずの日本の経済再生を失敗に終わらせ、元の木阿弥にしてしまう可能性があります。

 

なぜ日本はアメリカが主導する軍事行動に、歩調を合わせ続けなければならないのでしょうか?
平和主義は日本にとって、慣れぬ新しい概念ではありません。

16世紀にキリスト教宣教師を追い出した後、日本は世界との交易の扉を閉ざした上で銃器の使用を厳しく制限し、武士が帯びていた刀はやたらと振り回す武器ではなく、名誉の象徴としての位置付けに変わりました。
鎖国と呼ばれるこの政策は、国家間の戦争が多発した時代において、長く平和な時代を日本にもたらしました。

沖縄戦01

戦後の平和主義は、たとえ経済が停滞していた時期にも、日本人に長い間平穏な生活を保障してきました。

多くの日本人は、必要とされる適切な議論が行われないまま長く続いた平和な黄金時代に幕を下ろすことなど、一切望んではいないのです。

 

< 完 >

原題 : Shinzo Abe’s way of reinterpreting Japan’s pacifist constitution won’t wash
He has bitten off more than he can chew
http://www.independent.co.uk/voices/comment/shinzo-abes-way-of-reinterpreting-japans-pacifist-constitution-wont-wash-9613153.html
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安倍政権に対する海外世論の評価は明らかに『悪い』、様々な記事を翻訳していての私の感想です。
前の野田政権は『低い』でした。
なぜでしょうか?
その重要な鍵が前篇にありました。

日本は平和主義に基づく近隣諸国との関係構築に励んでいた時に、経済的にもその絶頂期に昇りつめた。
しかし軍事費が徐々に増大していくのと比例するように、その経済にも社会にもつまづきが目立つようになってきた。
安倍政権による平和憲法の解釈変更こそは、日本のつまづきを決定づけるものになりかねない。

中国に『兵は凶なり』という古い言葉があります。
進んで武力に訴えようとする国家には凶運がついて回る、という意味があります。
これに対し平和は『陽』であり、戦後日本の平和主義による国家再建がまさにそれにあたると考えられます。
すでに繰り返しご紹介したように西側社会の世論も東洋思想も、結論は同じものです。

いくらアベノミクスなどというプロパガンダの宣伝に躍起になったところで、安倍政権のかじ取りは『凶なり』、日本を凶運に向かわせることになるのではないでしょうか?

【 平和憲法の解釈変更、民主主義プロセスの破壊を続ける安倍政権 】《前篇》

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所要時間 約 7分

民主主義の要諦は民意と誠実に向き合うこと、今や安倍政権にその分別は無い
憲法第9条により平和主義は戦後日本の復興の礎となり、平和国家日本の再建は確実に進んでいった
軍国主義が一般国民に強制したものは極端な服従、戦争末期の玉砕や特攻による集団自殺
軍国主義に縛りつけられていた日本の潜在能力に、躍進する自由を与えた平和憲法

 

ピーター・ポッパム / インディペンデント 2014年7月17日

安倍&豪州首相
日本の安倍晋三首相は与党が過半数を制する国会の議席数を利用し、日本は集団的自衛権を行使し得るとする憲法の「再解釈」を行いました。
この決定は国民の大きな怒りを買い、その怒りは時間が経っても容易には収まりそうにありません。

日本の現在の憲法は西側の法律家たちによって考案され、敗戦によって自信を喪失していた国に対し施行が課せられ、完全な平和主義の国家の再建設がすすめられることになりました。

 

憲法第9条の条文は次の通りです。
「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」

この憲法の発布以来、日本の国家主義者たちはその規定する内容について「屈辱的な」ものであると憤懣を募らせ続けてきました。
しかし平和主義は戦後日本の復興の礎となり、平和国家日本の再建は確実に進んでいったのです。

日米安保条約に基づくアメリカの軍事力の傘の下にいることも日本人に軍事力の不必要さを感じさせてきましたが、それ以上に多くの国民が日本は平和国家に生まれ変わったのだという認識を持ったことにより、戦前の軍国主義がもたらした様々な恐怖や悲劇からいち早く立ち直ることを可能にしたのです。

大東亜共栄圏03

第二次世界大戦中に日本軍の占領地区における残虐行為などが戦後明らかにされると、当時詳しい事情も知らずに大日本帝国の戦争推進政策に賛同していた一般国民は、驚きと恐怖に打ちのめされました。

『大東亜共栄圏』こそは大日本帝国が創り出した壮大な規模の欺瞞でした。
アジア各国と対等の同盟関係を結ぶ振りをしながら、日本人は各国民に対し人種的に優位に立っているという真意を隠し持ち、天皇を神格化して様々な形で利用しようとしていました。

 

軍国主義が一般国民に強制したものは極端な服従、戦争末期の玉砕や特攻による数多くの若い人々への集団自殺の強制、さらには日本中の都市が壊滅寸前に追い込まれ、多くの民間人が犠牲になったアメリカ軍による空襲、猛爆でした。

 

東南アジア諸国は大日本帝国の侵攻により、西欧の帝国主義国家の植民地からの脱却を果たしたため、当初は恩恵があるように感じた国々もありました。
しかし独立の喜びに浸っていたのもつかの間、間もなく彼らはいやでも日本の醜い真意に気づかざるを得ない状況に追い込まれていきました。
以後彼らは二度と大日本帝国の『恩恵』について、口にすることはなくなったのです。

大東亜共栄圏02
マッカーサー元帥が統治責任者を務める中で公布された平和憲法は、軍国主義に縛りつけられていた日本の並外れた潜在能力を自由にしました。

そのエネルギーは産業の復興に向かい、日本経済を泥沼から引き出しただけでなく、生活水準の改善を著しく改善することになりました。

日本人は別に自画自賛することが大好きな訳ではありませんが、しかし一面では真実です。

 

1930年代に誇らしげに語られた『大東亜共栄圏』構想は、結局は日本に膨大な数の死と惨めな敗戦をもたらしただけでした。

1930年代の軍国主義国家を、1950・60年代の平和主義国家日本と比較してみたらどうなるでしょうか?

『トランジスタ・セールスマン』は、当時の池田勇人首相が推進した高度成長政策について、フランスのド・ゴール大統領が日本人を幾分かの軽蔑を込め揶揄した言葉でした。
しかし日本は近代国家史上2回目となる繁栄を謳歌し、戦時中と異なり日本人が東南アジアで忌み嫌われることはもはや無くなりました。
事実、日本の海外投資のあり方は綿密に調査に基づく緻密なものであり、この点往々にして高圧的であり相手を小ばかにしたような中国のやり方とは対照的なものでした。

憲法第9条01
東南アジア、東アジア地区において平和主義国家日本が半世紀の間続けてきた、現地の人びととの融和を大切にする友好的な政策が生み出したこのような高い評価を、簡単に台無しにする方法があります。

それが安倍首相とその支持者たちが天性持っている国家主義的思考であり、彼らが今進めている国家主義的政策です。

 

〈後篇に続く〉

原題 : Shinzo Abe’s way of reinterpreting Japan’s pacifist constitution won’t wash
He has bitten off more than he can chew
http://www.independent.co.uk/voices/comment/shinzo-abes-way-of-reinterpreting-japans-pacifist-constitution-wont-wash-9613153.html
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この記事はすでにご紹介した8月30日付のCNNの評論記事( http://kobajun.biz/?p=19959 )に通じる主張をしています。
すなわち、現在の日本の経済的成功の基本を作ったのは平和憲法であるにもかかわらず、安倍首相とその支持者たちにはその認識が見事に欠けている、という指摘です。

もし国民の間に愛国心を育てたいと思うなら、まずは政権を担う政治家が襟を正し、謙虚に振る舞うことが必要でしょう。
ところがこの2週間ご紹介してきたように、安倍政権に対してはいわば世界の世論を代表するメディアから次々と疑問符がつきつけられています。

国民の反対を押し切って原発を再稼働し、特定秘密保護法により言論の自由に制限を加え、人種差別の横行を見て見ぬふりし、憲法の条文を空文化して軍備の増強を図る、それのどこに『美しい日本』を感じ取れというのでしょうか?
国内向けのプロパガンダでは無く、現政権はいちど世界の世論に向け「これこそが美しい日本なのだ」と宣言してみるべきではないでしょうか。

【 安倍政権の教育現場への介入が生む混乱と困惑 】

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所要時間 約 8分

日本人のアジア近隣諸国についての研究意欲を削ぎ、日本への留学者も減らしている安倍政権の教育方針
日本の新しい教科書検定基準は、アメリカを始めとする同盟国さえも幻滅させている
日本の政治指導者たちが排他的で普遍性の無い攻撃的な歴史観を持ち、あらゆる分野で日本を後退させている

マイケル・フィッツパトリック / ニューヨークタイムズ 2014年10月12日

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日本の教育現場では国際感覚に優れた人材の育成が求められる一方で、同時に国家主義的教育の実施も要求され、教育政策の立案現場には困惑が生じています。
日本では『愛国的教育』の実践への圧力が強まる中、教科書の内容を書き換える作業が進められ、近隣諸国の不興を買っています。
しかし日本では同時に、大学の国際競争力を高めるためその国際化と広く門戸を開く取り組みが行われています。

「教育方針に関する日本の右傾化と、大学の国際化を図ろうとするその取り組みの間には明らかな矛盾が存在します。」
日本の政治を専門に研究しているボストン大学のトーマス・バーガー教授がこう語りました。
「日本が教科書検定基準を改め、記述内容を変えようとしていることは、アジア地区における緊張を高めることにつながっています。そして日本国内では近隣諸国の研究を行なおうという意欲を削ぎ、国外では日本に留学しようと考える学生の減少につながっているのです。」
バーガー教授はこう続けました。

「日本の教育方針はここに来て行き詰っています。経済的にも政治的にも国際的感覚を養成する強い必要性があるにもかかわらず、日本は実際には教育をその逆の方向に動かそうとしてきました。」

民主党が政権を握っていた間の失われた時間を取り戻そうとでもするように、日本の保守勢力は昨年末に安倍政権の誕生によって再び権力の座に座ると、まずは第二次世界大戦当時の日本の事歴について反省的な姿勢を捨てることに着手しました。

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そして歴史教科書の重要な記述である、第二次世界大戦当時の日本軍の侵略行為は『愛国的』行動という表現に変えられてしまいました。

安倍政権は右翼的な見方を学校の教育方針に強引に持ち込もうとしているという批判が高まっています。
新しい教科書検定基準で認可された教科書では、中国の南京大虐殺の犠牲者の数を減らし、さらには虐殺では無く単に『事件』という表現に変えられました。
こうした変更に対しては若干の抵抗もありましたが、全国の教育委員会は概ねこの変更を受け入れました。

新しい教科書を採用する最初の教育委員会のひとつは日本で二番目に大きな市、横浜市教育委員会でした。
しかし日本では同じ保守勢力がその内向きな教育制度を国際化するための取り組みが同時進行させています。
安倍首相は国内の10の大学あるいは研究機関が世界のトップ100の中に入ることを望んでいると語りました。
現在は世界の最高学府のランキングにおいては、東京大学と京都大学だけがトップ100の中に入っています。

政府の計画には外国人教授を迎え入れて教授陣を強化し、大学の施設設備を充実させ、一定の規準の下確立した評価システムを導入することなどが含まれています。

新しい教科書検定基準の採用によりさらなる関係悪化が懸念される、まさにその当事国 - アメリカ合衆国、中国と韓国 - との間で交流を促進しようという動きも見られます。—。
アジアの近隣諸国は、新たな『愛国主義的教育』が日本を平和主義から国家主義体制へと変貌させ、戦争時の残虐行為については曖昧にしてしまう事を恐れています。
そして戦後の日本で長く否定されてきた軍国主義について、その価値感を復活させたとして安倍首相を批難しています。

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安倍政権は軍国主義国家としておこなった軍事行動の侵略性を「否定し、さらには美化しようとさえしている。」
今年に入り、中国外務省はこう表現しました。

中国と日本の間には離島の領有権を巡っても紛争が起きています
そして互奥深く隠された敵意に基づく偏った内容の歴史教科書と教育方針が、両国間の50年に及ぶ友好関係を壊す原因になっているとして、互いに相手を批判しています。

日本の新しい教科書検定基準と記述内容は、アメリカ合衆国を始めとする同盟国においてさえ、幻滅を呼んでいます。
ワシントンの独立した研究機関のアジア政策の責任者であるミンディー・コトゥラー氏が次のように語りました。
「日本の政治指導者たちが歴史の真実に向き合うのではなく、排他的で普遍性の無い、しかも攻撃的な歴史観を持つことにより、日本を人種問題、女性、戦争、平和、そして各国間の友好関係の確立、あらゆる分野で日本を後退させているという現実に、私たちは大いに失望させられています。」

「簡単に言えば、現在の日本の政権には求められる妥当な見識・判断能力があるのか、という点が問題なのです。」

しかしその政権の当事者は、第二次世界大戦時に行った行為について、日本が周辺各国の理解を得るために充分な取り組みをしてきたと語っています。
戦争時代の間に日本の攻撃性についてその隣人の感度を満たすために十分にしたと言います。
下村博文文部科学大臣は、現在の政権が特定の歴史に関する解釈を強要してはいないと語りました。

歴史教科書
彼は、日本の教科書検定が専門家による学問的評価に基づき、公正に、そして公平に行われていると語りました。
しかしその一方で日本国内において、もっと愛国的風潮が強化されることを望んでいることを認めました。
「歴史には正の側面と負の側面の両面があります。」
「日本の子供たちが負の側面と同時に正の側面についてもしっかりと認識し、自分たちの国の歴史に誇りを持てるようにしたいのです。」


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この記事(評論)を翻訳していた時、NHKのテレビニュースがイタリアかどこかで開催中の国際会議で折から感染の拡大が懸念されているエボラ出血熱の問題について、「安倍総理大臣は国際的取り組みが必要だと指摘しました。」と伝えているのを聞き、NHKも北朝鮮の国営放送に似てきたなと感じてしまいました。
北朝鮮のテレビニュースは国内の様々な場所で「偉大なる将軍様が指導を」していることを度々伝えています。
アメリカや英国のニュースメディアでは、一カ月以上前からエボラ出血熱の感染拡大を防ぐためには何より国際的取り組みが必要なことを各メディアに登場した『専門家』が繰り返し『指摘』してきました。
そのような当たり前の、すでに繰り返し聞かされてきた事実を『指摘』した事のどこにニュース性があるのでしょうか。

『国営放送』がこうなってしまった以上、現政権が作り出している様々な問題については、なおさら海外のメディアに頼らざるを得ないようです。
日本の闇が拡大しているという危機感を新たにせざるを得ません。

【 日本の平和憲法は、抹殺されてしまうのですか?? 】《後篇》

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所要時間 約 7分

保守勢力により長い時間と手間をかけ、徐々に骨抜きにされてきた日本国憲法
近隣諸国との緊張関係を煽りづける安倍政権との連携は、米国にとっては危険な選択
アメリカは国民の意向を無視して暴走する安倍政権とは連携するな、警告する国際世論

ジョン・フィファー(ワシントン)/ IPSニュー ス 2014年7月7日

No War
さらに安倍政権は最近、武器輸出の禁止を正式に撤廃しました。
実情を言えば日本はこれまでも同様の武器の輸出を『民生利用』という名目を掲げて行っていたのですが、この撤廃により正式に日本の輸出品目に武器が加わったことになりました。

そして日本の保守勢力は日本国憲法を直接攻撃する事よりも、解釈の変更を繰り返すことにより、第9条を含め徐々に骨抜きにしていく戦略へと転換したのです。

憲法第9条の解釈の変更による集団的自衛権行使容認の決定は、安倍政権が沖縄に新しい米軍基地建設を推進しようとしているタイミングで行われました。

沖縄県民の約4分の3が反対しているにもかかわらず、日本・アメリカ両政府は、普天間海兵隊空軍基地を沖縄本島北部の辺野古に新しく建設する基地と入れ替える予定にしています。
このため日本政府と米国政府は沖縄県の仲井真弘多知事に対し、移設反対の旗を降し辺野古に新たな基地を建設する計画を受け入れるよう、相当な圧力をかけました。
現場ではすでに予備工事に入るための準備が始められ、7月末には掘削調査も開始されました。

新しい基地を造るための日本政府と米国政府の交渉が始まったのは1990年代でしたが、沖縄県民はその取引に長い間反対し続けてきました。

SDF03
辺野古村における非暴力的な座り込みによる抗議は、始まってからもうすぐ15年を超えようとしています。
反対運動を行っている人々は、米軍基地建設に対する彼らの抵抗運動を一層拡大させる計画を立てています。

日本の急激な軍事力強化の背景には、アメリカ政府のアジア太平洋地区における軍備の再編成、そして戦略拠点としての日本の位置付けの変更を米国政府から告げられたことがあるかもしれません。
オバマ政権は東アジア地区の重要性に鑑み、軍事と経済の重点を変更することを強調しています。
しかし実はこうした変化の背景にあるのはアメリカ国防総省が持っている予算が限られたものになっているという事実です。
特に巨額の軍事予算を組んでいたジョージ W.ブッシュ政権時代に比べると、その差は歴然としています。
こうした環境においてアメリカがそのアジア太平洋地区における戦略を現実のものにするためには、米国政府はその重要な同盟国が持っている資源に頼る必要があります。
韓国、オーストラリア、フィリピン、そして日本です。

世界的にも名の高い平和憲法を持っているにもかかわらず、日本は世界最大の軍隊を誇る国のひとつです。
具体的にはその軍事予算は世界第8位という規模を持っており、アジア地区では日本以上の軍事予算を持っているのは中国だけです。
しかも安倍政権は今後5年間に軍事予算を増額させる方針を明らかにしています。

SDF05
日本の軍備は世界軍事力指標において、すでにトップ10にランクされています。
新型ジェット戦闘機、海軍駆逐艦と監視無人飛行機の導入が決定したことにより、その地位はさらに上に昇ることは間違いありません。

さらに日本は1兆円以上という巨額の予算をつぎ込んで、アメリカのF-35sジェット戦闘機を42機購入するためのアメリカ側との交渉を成立させています。
しかしこの戦闘機については、すでに事故を起こしやすいという報告があがっています。

日本の資金的協力なしでは、アメリカ国防総省はアジア太平洋地区における戦略転換を実現することはできません。
一方の日本側の問題は平和憲法の存在であり、このため日本の例代の内閣は軍事協力の強化をアメリカから再三求められていましたが、二の足を踏み続けてきました。
そして今、安倍政権による憲法第9条の解釈の変更により『障害物』は取り払われたのです。

1946年当時、平和憲法の起草に最も深くかかわったのはアメリカ合衆国でした。
そして今、結果的にアメリカ政府は平和憲法の見直しを日本に迫ることになりました。
アメリカの納税者に代わって日本が多額の軍事予算を肩代わりすることになれば、米国の軍事支出の削減につながり、日本の軍事力強化を促すことはアメリカの国益に適うように見えます。

日米艦船

しかし自国の出費を抑える目的のために、近隣諸国との緊張関係を煽り続け、国民の意向を無視して日本を軍事大国化させようとしている安倍政権と連携するという選択は、アメリカ政府にとっては結果的に『安物買いの銭失い』、すなわち手痛い失態につながりかねない危険をはらんでいます。

〈 完 〉

http://www.ipsnews.net/2014/07/is-japans-peace-constitution-dead/
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これまで日本に関する数多くの記事を翻訳して来て、国際世論が安倍政権に好意的でないことは痛感していましたが、ここまで思い切った結論を述べている記事は初めてでした。

「あの連中と関わり合いになるのはよせ!」
このような言い方が、どんな場合にどんな人間たちに向けられて使われるものか、私たち日本国民は深く考える必要があると思います。

なぜなら「あの連中」には私たち自身も含まれているのかもしれないからです。
安倍政権が次々と打ち出す政策の多くが、実は国民が望んでいないものであることを、私たち国民が証明しなければなりません。

【 日本の平和憲法は、抹殺されてしまうのですか?? 】《前篇》IPS

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所要時間 約 6分

安倍政権の憲法第9条の解釈の変更の裏には、『不正な意図』が隠されている
安倍政権による憲法第9条の解釈の変更は、平和憲法を窒息死させてしまった

ジョン・フィファー(ワシントン)/ IPSニュース 2014年7月7日

憲法解釈変更 6日本は70年近く『平和憲法』のもとに国づくりを進めてきました。
日本国憲法を最も特徴づけるのが第9条であり、日本が国際紛争を解決する手段としての戦争を禁じています。

しかしこの数十年間の度重なる「再解釈」により、平和憲法はその本来の機能を徐々に奪われてきました。

そして安倍政権による最新の決定は、平和憲法を窒息死させてしまったのです。

7月、安倍政権は日本の集団的自衛権の原則に関する閣議決定を公表しました。
平和憲法のもとでは日本は、自衛目的以外の武力行使は許されません。
そして日本自体が攻撃されない限り、同盟国が攻撃を受けていても援護のために武力行使を行うことはできません。

安倍首相は今回の解釈変更により、日本が戦争に巻き込まれる危険性が低くなるのだと強調しました。
安倍首相は今回の解釈変更は海外での軍事活動に大きな変更をもたらすことは無く、憲法違反にもあたらないと語っています。
しかし実際には今回の解釈変更は、今後の展開に著しい影響を及ぼすことになります。

憲法解釈変更 7
これまで長い間日本に対し、その安全保障戦略の一端を担うよう促してきたアメリカ政府は、安倍政権による思い切った政策転換を称賛するメッセージを送りました。
チャック・ヘーゲル国防長官はこの政策転換について、
「世界とアジア地区における平和と安全に、日本がより一層の貢献をするための重要なステップ」
と表現しました。

日本の近隣諸国の反応は、きわめて冷めたものでした。
日本は現在その周辺の島々の帰属をめぐり、中国、韓国、そしてロシアとの間に緊張関係が生じていますが、安倍政権の対応はそれぞれの事情を色濃く反映したものとなりました。

たとえばは韓国では与党と最大野党とが共同歩調を取ることはめったにありませんが、安倍首相の憲法第9条の解釈の変更は韓国の与野党を一致団結させることになりました。
両党の代表は揃って日本の動きを、地域の安定に対する脅威であると非難しました。
中国のメディアはさらに厳しい表現を用いました。
安倍政権の憲法第9条の解釈の変更の裏には、『不正な意図』が隠されていると表現したのです。

そして、日本人すべてが今回の憲法第9条の解釈の変更を温かく迎え入れたわけでもありません。

集団的自衛権04
安倍首相は国内の情勢を見て憲法の条文そのものの変更よりは、内閣の閣議決定により解釈を変更するという手段を選択しました。
を変えようとするよりはむしろ、内閣レベルに変化を押し通す方向に向かうことを強制されました。 日本の与党自民党と連立を組む公明党を併せても、憲法の条文を変えるために必要な議会内の絶対多数には届きません。
仮に議決しても、次に国民投票による承認手続きが必要になります。
その手続きがうまくいく可能性はなおさら低いと考えられます。
世論調査のひとつを例にとれば、日本国民の58パーセントは、安倍首相が行った憲法第9条の解釈の変更に反対しています。
この第9条を完全に放棄してしまう事は、同様の、あるいはそれ以上の反対に遭遇することになるでしょう。
しかし首相としての最初の任期に、安倍氏は自身が進めようとしている憲法の変更に有利に働かせるため、最低投票率について規定の無い新しい国民投票法を成立させました。

安倍晋三氏はそもそもの始めから、日本の軍備をより一層増強すべきだと明確に主張してきました。
しかし日本の軍備の拡大増強を図るため、日本政府が憲法の解釈に変更が加えたのはこれが初めてではありません。
日本の軍隊は、正式には未だに自衛隊と呼ばれています。

秘密保護法07
北朝鮮が1998年に大型ミサイルを日本の空域に打ち込んだ後、日本はアメリカが主導するミサイル防衛システムへの参加割合を高めました。
そして9.11同時多発テロが発生すると、今度は海外での戦闘を行うアメリカ軍を自衛隊が後方支援することを認めた新しい法律を可決しました。

自国が攻撃を受けた場合にのみ武力行使を認めていた日本国憲法の規定が、ここにおいて覆されることになったのです。

〈後篇に続く〉

http://www.ipsnews.net/2014/07/is-japans-peace-constitution-dead/
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下の写真の5枚目を見ていただくと、現代の戦争がどういうものか、仮に自衛隊が海外派遣されればどういう環境に身を置かなければならないかが端的にご理解いただけるのではないでしょうか。

そして6枚目の写真には『戦争は資源のムダづかい』と名づけられたゴミ箱が出てきます。
第二次世界大戦当時の記録フィルムや映画を見る限り、アメリカ軍やイギリス軍が軍隊内においてもユーモアの精神を失う事が無かったのに対し、日本軍の規律のうるささ、そして無意味な死を強制された理不尽さは陰惨の域に達しています。
日本人は軍隊を持つべきではない、私がそう考える理由のひとつです。

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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