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【 40年続いた幻想を、粉々に打ち砕いたフクシマ 】《第5回》[フェアウィンズ]

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所要時間 約 8分

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アメリカで効果を実証済みの収束技術の導入、日本政府・東京電力がともに拒絶
放射線の漏出個所の特定、その補修作業を行ううちに、致死量の放射線被ばくをしてしまう可能性がある
世界中の知識と技術を結集する以外、解決の方法があるとは思えない

フェアウィンズ 7月18日

ガンダーセン : さらにもうひとつ問題があります。
原子炉格納容器には構造上、いくつかの穴が開けられています。
配線類、そして注排水をするパイプを通すための穴が開いているのです。
これらの穴の周囲をふさぐための絶縁体は、次の3つの問題の発生を想定していません。

高い放射線にさらされること
高温状態に置かれること
絶えず塩水をかけられる事

福島第一原発ではこの3つの悪条件すべてが揃い、配線も配管もずたずたになっています。
本来なら格納容器内にあるべき放射性物質がこうした経路を伝い、他の建物まで汚染する状況が続いていると考えられるのです。

もう一つは手ではつかめない程の小ささに破砕された核燃料の存在です。
これら核燃料は破壊された原子炉建屋の各フロアに散乱しており、これらが流れ込んでくる地下水や冷却水の中に入り込み、膨大な量の汚染水を生み出す原因になっています。

汚染水07
ふたつ選択肢があるように思えます。
これ以上汚染水を増やさないように、溶け落ちた核燃料への注水を止めるという選択肢もあります。
あるいは放射線の漏出を止めるという方法もあります。

いずれも現実的な選択とは言えませんが、方法が無い訳ではありません。

私は福島第一原発の敷地をぐるりと取り囲む溝を掘り、そこにゼオライトと呼ばれる物質で満たすことを提案しました。
ゼオライトは火山岩の一種で、放射性物質を非常に効率よく吸着・固定する性質を持っています。

日本の科学者である中村興一博士は、問題となっている地下水面を下げるために、その溝の外側に井戸を建設することを提案されました 。

そこで地下水面を下げることが出来れば、この地下水は未だ汚染されてはいないので、海洋中に放出することが可能になります。
そして溝の中に敷き詰められたゼオライトが、これらの井戸の中に放射性物質が入り込むのを防ぐ働きをします。
こうすれば原子炉建屋の破壊された基礎部分に入り込む水量を、大幅に減少させることが可能になります。

では今度は、放射性物質が福島第一原発の敷地の外に漏れ出さないようにする方法について考えてみましょう。

つながれていた馬たちは解き放たれて、小屋の外にいます。つまり放射性物質は原子炉格納容器から漏れ出し、周辺の建物まで汚染してしまっている状態です。

汚染水2012-03
しかしこれ以上もう漏れ出すことが無いよう、まず原子炉格納容器の漏出個所をふさいでしまう事がどうしても必要です。
漏出個所を特定し、その穴を塞がなければなりません。

しかし今やその対策も、原子炉建屋付近の放射線量が驚くほど高い値になってしまったために、非常に難しいものになってしまいました。

誰かにコーキング剤を持たせ、「これであちこち穴を塞いで来てくれ…」などとは間違っても言える状況ではありません。
漏出個所を特定し、その穴を塞ぐ作業を行ううちに、致死量の放射線被ばくをしてしまう可能性があるのです。

また一刻も早く原子炉内から核燃料を取り出す必要がありますが、それも放射線量が高すぎて着手が不可能な状況です。

だからこそ、一日当たり400トンずつ増え続けている莫大な量の汚染水タフ遺作として、現在採りうる最良の方法は、地下水面を下げ、これ以上建屋付近に地下水が入り込まないようにすることなのです。

フェアウィンズはこの技術を持つアメリカ国内の企業2社と詳細な打ち合わせを行った上で、この対策を福島第一原発において実施するよう日本側に働きかけました。

汚水タンク 1
しかし日本側の回答は『ノー!』、どちらの社の提案も拒絶したのです。

私は拒絶の理由はアメリカ側の提案内容にあったのではない、そう確信しています。

事実を申し上げます。
ゼオライトを敷き詰めた溝を使う技術は、アメリカ国内のウェスト・バレー原子力発電所で実際に行われており、非常に、非常に高い効果が証明されているのです。

そしてアメリカにおいて効果の高さが証明されたこの技術は、日本政府、東京電力、その両方に拒絶されたのです。

どちらが『拒否』を強く主張したのか、そこまでは私も知りません。

松村 : アーニー、問題の根幹にかかわる部分についてのご説明、ありがとうございました。
福島第一原発には未解決の数多くの問題が山積している、私もそのように確信しています。
福島第一原発は人類がかつて経験した事の無い、非常な難問を私たちに突きつけています。
この問題の解決のため、私たちは徹底した検証を行い、世界の叡智を結集することを何としても実現させる必要があります。

世界中の知識と技術を結集する以外、解決の方法があるとは思えません。
どうか日本を、そして世界を救ってください。

アーニー・ガンダーセン、マギー・ガンダーセン、そしてカルディコット博士、みなさんに重ねてお礼を申し上げます。

マギー・ガンダーセン : みなさんこんにちは、マギー・ガンダーセンです。このビデオをご覧いただいたことに感謝申し上げます。
そして私たちが仕事を進める上で、ご助力いただいている点についてお礼を申し上げます。
フェアウィンズにはきわめて有能なチームがいて常に最大限の努力を惜しまず、世界中の原子力問題、核問題について最新の情報を皆さんにお届けしています。

4号機フロア構造
私たちはこうした作業に、常に全力で取り組み、大手メディアなどからは決して得られない答えをご提供しています。
私たちの活動へのご理解とご協力をぜひお願いいたします。
ご寄付をお願いいたします。
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ありがとうございました。

〈 完 〉

http://fairewinds.org/media/fairewinds-videos/forty-good-years-and-one-bad-day
  + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

まったく、ガンダーセン氏が居なかったら今は『常識』となっている福島第一原発の数々の深刻な問題も、未だに闇の中に隠されていたことでしょう。
ガンダーセン氏には強烈な良心、強烈な正義を感じます。

何とかガンダーセン氏の今後の活動に、自分としてできる協力をしていきたいものです。

このサイトについて
ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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