星の金貨 new

星の金貨 東日本大震災や音楽、語学、ゴルフについて語るブログです。

ホーム » アーカイブ

【 脅かされる日本の漁業資源と沿岸漁業、海洋環境に迫る重大な危機 】《後篇》

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 5分

2011年だけで日本の漁場が1兆500億円の損失を被った
そもそも汚染水の漏出がどこで起きているのか、その状況すら正確にはつかんでいない東京電力
汚染水の貯蔵場所を失ってしまう事態が目前に迫っている

ガブリエル・ドミンゲス / ドイチェ・べレ(ドイツ国際放送) 8月14日

福島第一原発遠景
▽ 漁場を襲う衝撃

東京海洋科学技術大学の神田穣太教授は、今日海底で見つかる放射性物質の大部分は、最近汚染されたものではなく、3基の原子炉のメルトダウンが発生した直後の2カ月間に起きたものだと語りました。
最近になって流れ込んだ放射性物質による汚染よりも、事故直後の放射性物質の流入量の方がはるかに大きかったことを指摘した一方で、神田教授はセシウムのような海底に沈殿した放射性物質の影響が消え去るまでには、何十年という歳月が必要であることを強調し、沿岸漁業に対する影響が長期間続くことを指摘しました。

東北大学大学院環境科学研究科の馬奈木俊介(まなぎ しゅんすけ)准教授は、2011年だけで日本の漁場が1兆500億円の損失を被ったと語りました。
ドイツ国際放送の取材に対し馬奈木准教授は、この際に日本の漁業が失った収益は2,600億円に上り、2012年にも少なくとも1,000億円の損失を被ったと語りました。

▽地中凍結策

汚染水04
そもそも汚染水の漏出がどこで起きているのか、その状況すら正確にはつかんでいない東京電力が、ただちに汚染水の海洋への流出を止める措置を採れるかどうか、その点は未だに明らかではありません。
事態の緊急性に鑑み、日本の安倍晋三首相は東京電力の事故収束作業に、政府が直接関わることを約束しました。
まず最初に、400億円の政府予算を投入することが検討されています。

この資金は汚染のひどい破壊された原子炉建屋の基礎部分に地下水が入り込まないようにするため、建屋を囲むようにして地中を凍結させてしまう対策に費やされることになっています。
マサチューセッツ工科大学の原子力工学を専門とするマイケル・ゴレイ教授は、確かに試してみる価値はあると語りました。
「これは民間事業などで、軟弱な地盤を安定させるために使われている一般的な技術なのです。」
確かに地下鉄工事などで使われてはいますが、このような複雑で緊急を要する対策に適しているかどうか、そのような検証は行われたことがありません。
さらにはラマナ教授が指摘するように、再び大きな地震がこの場所を襲った場合、あるいは一時的ではあっても電源が失われてしまった場合にどのような事態につながるかという疑問もあります。
この地中凍結作業は2015年7月までに完了する見込みです。

▽ ひっ迫する汚染水の収納スペース

汚染水タンク03
さらに福島第一原発は汚染水の貯蔵問題にも直面しています。

事故を起こした3基の原子炉では、そこにある核燃料の冷却を続けるため、毎日数百トンの水を必要とします。
核燃料に直接触れたこの水は汚染され、保管し続けるのが困難な程の量の汚染水が作り出されているのです。

現場では汚染水を保管するため、1,000基以上の鋼鉄製のタンクを建造しましたが、380,000トンの収容能力の内すでに85%のタンクがすでに満杯となり、東京電力が汚染水の貯蔵場所を失ってしまう事態が目前に迫っています。

東京電力と日本政府がこの問題に解決の道筋をつけられなければ、汚染水による環境破壊の問題の一層の悪化は避けられません。

この状況について前出の神田教授は、東京電力が汚染水の漏出個所と状況の確認を丹念に行うことにより、汚染水の漏出を大幅に減らすことが可能だと主張しています。

調査・原子力規制委員会
しかし海洋科学の専門家である神田教授は、まずは対策の力点を別の大規模な汚染水漏出を防ぐことに置くべきだと主張しています。
なぜなら「相当な量の放射能汚染水」が原子炉建屋の基礎部分、地中の排水溝、そして地上の一時貯蔵タンク内に存在してしまっているからです。

「これらの汚染水を適切に、妥当な手段を用いて保管し続けること、それをまず優先課題とすべきです。」
神田教授が、このように強調しました。

〈 完 〉

http://www.dw.de/fish-stocks-threatened-by-fukushima-leaks/a-17017871

【 脅かされる日本の漁業資源と沿岸漁業、海洋環境に迫る重大な危機 】《前篇》

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 8分

汚染水の漏出を一貫して否定してきた東京電力、しかし汚染水漏出は『非常事態』
日本の大切な漁業資源の汚染が続いている - 懸念される長期的影響

ガブリエル・ドミンゲス / ドイチェ・べレ(ドイツ国際放送) 8月14日

福島第一原発遠景
▽「非常事態」
実に2年以上の間、破壊された福島第一原子力発電所から毎日数トン、数十トン、あるいは数百トンの汚染水が、太平洋に流れ込み続けていたことが明らかになりました。

複数の専門家が、福島第一原発の汚染水漏出が漁業資源に与える影響と、どうすれば汚染水の漏出を止めることが出来るのか、その検証を行います。

ロイター通信社のインタビューに対し、日本の原子力規制委員会の当局者の一人が、福島第一原発の汚染水漏出の問題は「非常事態」であると表現しました。

2011年3月11日、東日本を襲った巨大地震と巨大津波が福島第一原発に壊滅的被害を与え、3基の原子炉がメルトダウンして以降、一日当たり300トンの放射能に汚染された水が毎日太平洋に流れ込んでいたことが解りました。
この量は、オリンピックで競技が行われる大きさのプールを一週間でいっぱいにするほどの量です。

この事実が公表されたのは、福島第一原発の所有者である東京電力が、汚染水の海洋流出を防ぐために地中作った防護壁が、地下水の水位の上昇により最早バリアの役割を果たしていないと発表を行った直後でした。

この汚染水の漏出は事故発生以来ずっと疑われてきたことですが、この声明により事実確認が行われたことになります。

東京電力・広瀬
地元の漁師や独立した立場で検証を行ってきた研究者などは早くから汚染水の漏出を疑ってきましたが、
東京電力はこの間一貫して否定し続け、2013年7月というタイミングで、やっとその事実を認めました。

しかもこの問題には、さらに厄介な事実がついていました。
東京電力が汚染水と敷地内の土から採取したサンプルには、発がん性が高いことで知られる放射性物質、セシウム-137、トリチウム(三重水素)、ストロンチウム-90がきわめて高い濃度で含まれていることが明らかにされたのです。

東京電力は現在、汚染水の海洋への流出量を減らすため、福島第一原発の敷地内で汚染された地下水をポンプでくみ上げる作業を開始しました。

▽ 汚染が続く福島県沿岸の漁業資源

魚を食することが伝統的食文化の重要な部分を占める日本では、たくさんの人々が沿岸で獲れる魚の安全性について懸念を深めています。

福島沿岸の海底に沈殿している福島第一原発が放出したセシウム-137などの放射性物質により、沿岸の魚の汚染が続いているという点において、複数の専門家の見解は概ね一致しています。

第一大破壊
アメリカに本部を置くウッズホール海洋科学研究所のケン・ビュツセラー博士によれば、日本政府によって行われている定期な調査により、商業的にも重要な漁業資源である海底に棲息する魚類から検出されるセシウム137の量は、福島県沖で最も高くなっていることが解っています。

また魚類から検出される放射性物質の検査結果は、破壊された福島第一原発沖の漁場を漁獲禁止区域にしたり、隣接する漁場の放射線量が限度量に達していないかどうかの監視にも利用されています。

「現在、福島県沖での漁獲は禁止されています。」
専門家がドイツ国際放送の取材にこう答えました。

▽「人間に対しては差し迫った危険は無い」

一方でビュツセラー博士は、海洋汚染が止まれば、魚の体内からセシウムが失われていく速度は早いという点について、指摘を行いました。
「汚染の影響をほとんど受けていない海域に移動した魚は、体内から福島第一原発が放出したセシウムが徐々に失われて行きます。日本沿岸であっても、汚染されていない海域で獲れた魚を食べても、人体に差し迫った危険はありません。」

この見解はハンブルグに本部を置く、テュンネン魚類生態研究所のギュンター・カニッシュ氏も支持しました。
カニッシュ氏は2013年1月の段階で、福島県沖で獲れた魚のうち、90%のセシウムの測定値が政府が定める食品制限値の1キログラム当たり100ベクレル以下であったと語りました。

漁師01
「さらに2013年5月の段階では、試験的に漁獲された魚の90パーセントは、1キログラム当たり50ベクレル以下の値でした。」
ドイツ国際放送の取材に、カニッシュ氏がこう答えました。

しかし、多くの科学者は、長い目で見れば海洋生物の汚染については懸念が続くことになるだろうと語っています。
前出のビュッセラー博士とプリンストン大学原子力未来研究所のM. V.ラマナ博士は、海洋中に放出された放射性物質には様々な種類のものがあり、一部は広大な太平洋の中で希釈されてゆくものの、ストロンチウム-90のような放射性物質は、海底に沈殿するか、あるいは他の海域より汚染濃度が高くなる場所が出現することになるだろうと語っています。
「ストロンチウム-90は生物の体内ではカルシウムと認識されるため、体外に排出されずに骨の中に吸収されてしまう性質を有しているのです。」
ラマナ博士がこう説明しました。

〈 後篇に続く 〉

http://www.dw.de/fish-stocks-threatened-by-fukushima-leaks/a-17017871
 + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

日本には、福島第一原発による汚染に懸念を表明する人を、『感情的』だと攻撃する政治家などがいます。

工学系のひとりの人間が3.11の後、大学で自分が参加した原子力工学の実験内容について説明した後、私に次のように語ったことがあります。
「放射性物質について言えば、現代の科学はその5割まで解明しているかどうか…」

「巨大地震が頻発し、放射性核廃棄物の処理もできない日本では、原子力発電は行ってはいけない」
という私の立場に対し、彼は
「学問としての原子力工学まで否定すべきではない」
という立場です。
ただし、
「東京電力には原子力発電を扱う資格は無い」
という立場だけは一致しています。

現在日本政府が放射性物質について定めるいくつもの『安全基準』も、様々な規制値も、つまりは「現在解っている範囲内」でのことだということなのだと思います。

政府側の立場で原子力発電を推進してきた『科学者』が、原子力発電の危険性について指摘する科学者に対し、
「科学的に説明しろ!」
などと威圧的に話すのを見ていると、この人間は科学たずさわって良い人間が持つべき謙虚さを持っていないのだな、と感じます。

今後は放射性物質に関わる『安全』について口にするなら、「これまで解明されている限りでは」という前置きをつけるべきです。
それが「科学的態度」というものでしょう。

【 危機が拡大し続ける福島第一原発、さらなる悪化を警告 】国民の関心を、他の問題に逸らして良い場合ではない

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 9分

疑われる、安倍政権の福島第一原発の現状に対する認識
全ての検証を行う確実な方法も無く、汚染水を移送すべき当ても無い
福島第一原子力発電所の問題について、非常事態を宣言すべきである

田淵弘子/ニューヨークタイムズ 8月23日

調査・原子力規制委員会
8月23日金曜日、津波によって破壊された福島第一原発の管理運営を行う東京電力は、福島県沿岸部の汚染状況についてより深刻な状況に陥り、一層危機的状況になっていると警告を発しました。
そして敷地内には緊急に建造されたタンク内に放射能に汚染された水が200,000トン以上貯蔵されていますが、貯蔵タンクの密閉性に問題があり漏出の疑いが生じているものの、全ての検証を行う確実な方法も無く、汚染水を移送すべき当ても無いことを認めました。

この最新の問題は、2011年3月に襲った巨大地震と巨大津波が引き金となり、3基の原子炉でメルトダウンが発生して以降、東京電力が延々と繰り返してきたトラブル、各種の放射性物質の漏出や設備の故障などのリストに新たな項目を付け加えることとなり、同社の事故収束作業の信頼性、能力に対する深刻な疑問を提起することになりました。

今回の問題は日本の安倍晋三首相が福島第一原発における事故収束作業について、日本政府が直接介入する考えを明らかにしたわずか2週間後に明らかになり、安倍首相がどれほど真剣に福島第一原発の問題解決に取り組んでいるか、その姿勢に対する疑念をかきたてることにもなりました。

安倍政権はこれまで一貫して国内の原子力発電所の再稼働を推進してきました。
そして24日には日本製品や工業技術などの輸出の後押しをするため中東諸国を訪問することになっていますが、その中には原子力発電も含まれています。

Abeno13
安倍首相はさらに、2020年の東京へのオリンピック誘致を実現するため、9月7日に最終投票が行われるアルゼンチンのブエノスアイレスに代表団を率いて自ら乗り込む予定を立てています。
2020年のオリンピック開催地として最終選考に臨むのは、福島第一原発の南240キロに位置する東京、他はイスタンブールとマドリードです。

日本の野党の国会議員はそうした予定を取りやめ、福島第一原子力発電所の問題について、非常事態を宣言するよう求めています。

「福島第一原発の危機は現実のものであり、現在進行しているのです。にも関わらず日本政府は、この問題と向き合おうとしません。」
野党日本共産党の吉良佳子議員はこう語りました。
共産党は先月の選挙で大きく得票を伸ばしました。

「政府は直ちに非常事態宣言を行い、汚染水の漏出を止めるため全力を尽くさなければなりません。」
安倍首相のいる官邸の前で行われていた反原発デモの会場で、吉良議員はこのように語りました。

安倍首相の支持率は依然高いままですが、今回の福島第一原発の事態がそのことにどれ程の影響を及ぼすことになるか、その点は未だ予測することが出来ません。
しかし今回の事態により、福島第一原発の現状が東京電力の手に余るものになっている、その事だけは改めて明確になりました。

廃炉現場 4
東京電力はメルトダウンした核燃料が再び過熱しないよう絶え間なく水を送り続けることにより、そして地下水が一日当たり400トンというペースで原子炉建屋の地下部分に流れ込むことにより作りだされた汚染水335,000トンを保管するため、敷地内に次々と貯蔵タンクを作り続け、今やその数は1,000基近くになっています。

東京電力は8月の第4週、これらのタンクの内の一基から、おびただしい量の汚染水が漏れていたことを公表しました。
そして23日金曜日になって、さらに恐るべき事態について明らかにしました。
福島第一原発の敷地内で200,000トンの汚染水を貯蔵しているタンクの構造が、漏出を起こしたタンク同様、急造されたものであることを明らかにしたのです。

東京電力は高さが10メートルある鋼鉄製の円筒形のタンクを建造する際、鉄板の継ぎ目にゴムのシーリングを使いましたが、この素材が放射性物質に対して耐久性があるかどうかの検証をしていなかったのです。

東京電力原子力計画部、放射線広報グループマネージャーの今泉典之氏は、汚染水はこのゴムのシーリングの部分、あるいは基礎のコンクリートの部分から漏れ出している可能性が高いと語りました。

さらには、これらのタンクの近くには排水溝があり、どのタンクから漏出が起きても、そこを通って高濃度の汚染水が海にまで流れ込んでいる可能性がある、今泉氏はこう指摘しました。
そして付近の放射線量の測定結果を見ても、汚染水がすでに海に流れ込んでいる疑いは濃厚です。

汚染水タンク02
急造されたタンクには水位計がついておらず、このことも漏出を確認することを困難にしています。
今泉氏によれば、わずか2名の職員が1,000基近いタンクの状態を確認するため、一日2回、2時間の点検を行っています。

日本政府は原子力規制委員会に対し、福島第一原発での事故収束作業を行っている東京電力に対し、もっと積極的に助言、監視を行うよう命じました。

原子力規制委員会は急造したタンクからもっと堅牢なタンクに汚染水を移し替えるよう命じましたが、原子力規制委員会の更田豊志(ふけた・とよし)委員は現地を視察した後、汚染水の量が膨大過ぎて、ただちにそうした作業に入ることは『非現実的』だとの見解を示しました。

今年初め、福島第一原発では地面を掘って急増した貯蔵施設から汚染水が漏れ出しているのが見つかり、急きょ鋼鉄製のタンクに汚染水を移し替える事態となりました。

複数の専門家は、原子炉建屋の地下から汚染水が地下水脈に入り込み、そのまま海に漏出している疑いがあると指摘しました。
福島第一原発の周辺海域で、放射性セシウムの値が上昇していることから考えても、その疑いは濃厚だと言わなければなりません。

東京電力はこれらの放射性物質は、原子炉建屋の基礎部分から漏出したものではなく、最初の事故により汚染された、海岸線に沿って設置されているメンテナンス用のトンネルから出ているものだと主張してきました。

汚染水2012-03
その東京電力も原子炉建屋の基礎部分が、きわめて高濃度に汚染されていることは認めています。
専門家はその汚染が海に流れ込んでいるとしたら、事故初期を上回る汚染を引き起こしていることになると指摘しました。

「思うだに恐ろしいことです。」
今月、気象庁気象研究所、地球化学研究部の青山道夫主任研究官はインタビューにこう答えました。
「それは最悪の結論です、まさに最悪のシナリオです。」


 + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

福島第一原発の事故については、月・火曜日にご紹介したフェアウィンズのアーニー・ガンダーセン氏と、今日ご紹介したニューヨークタイムズの田淵弘子氏、マーティン・ファクラー氏が中心になって解明が進んできた、事故発生から2年半、被災地の近くで暮らしながら世界中の報道の翻訳を続けてきて、今、そんな実感を持っています。

ガンダーセン氏は福島第一原発について、これまで重要な指摘を何度も行ってきました。
しかしフェアウィンズの発信だけでは、世界の隅々にまでその指摘が伝わるという訳には行きません。

そこをニューヨークタイムズという、世界的に報道内容の的確さ、そして何よりその品位の高さが評価されているメディアが取り上げることにより、福島第一原発の真実が世界の認識になりました。
そしてイギリスのガーディアンやドイチェ・べレ(ドイツ国際放送)、あるいはアメリカのCNNニュースや三大ネットワーク、ワシントンポストなどがさらなる検証を行うことにより、私たち日本人も含め世界の人々の眼前に、福島第一原発の真実の姿が明らかにされたのです。

その結果、日本政府や東京電力が対応を余儀なくされ、併せて日本の原子力ムラが福島第一原発の事故収束現場すら支配し、その結果今日どうにもならなくなってしまった、その事実が明るみに出たのてす。

これから始まる、この国にとって史上最も危険な作業《後篇》[フェアウィンズ]

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 8分

【 フクシマのミッション・インポッシブル(不可能な任務)】
『緊急事態』の汚染水漏出対策と、さらに危険な4号機使用済み核燃料の取り出し
日本国民、日本社会にのしかかる、巨額巨大な事故処理費用

フェアウィンズ 8月15日

new02
間もなく開始される予定の燃料棒の取り出しのため、巨大な鉄骨の骨組みが4号機原子炉建屋の残骸の上に設置されました。
取り出さなければならない燃料棒は長さは4.5メートル、1本300キログラムほどの重さがあります。

そして燃料棒の中には最も高い放射能を発することで知られるプルトニウムも充填されています。
この燃料棒が原子炉の炉心に装填されていた間、その放射性物質の量は一層増しています。

元東京電力の技術者であった木村俊夫氏がロイター通信の取材に、通常であれば使用済み核燃料棒の管理はコンピュータ制御の下に行われるが、現在はそんな贅沢はとても望めない状況だと語りました。

「正常時ならミリ単位まで燃料棒の正確な位置を記録しているコンピュータの指示の下、器械を使って精密な作業が可能ですが、現状もうその方法は利用できません。すべては手作業で行わなければなりません。という事は燃料棒を落としたり、破損したりといったリスクが発生する、そういうことになるのです。」

この作業はこれから数年間を要すると予想されているだけに、彼は東京電力がこの作業を安全にこなしきれるのかどうか、懸念を表明しました。

さらには原子炉建屋などの構造物が塩水によって腐食が進んでいるという事実が、現場の科学者や技術者の仕事を一層困難なものにしています。

IAEA調査
使用済み核燃料棒を取り出すことは、福島第一原発の廃炉作業の一環として行われることになり、廃炉作業そのものは40年かかると当初予想が立てられました。
しかしその年数にはIAEAからも疑問が呈されることになりました。
福島第一原発の現場では予測していなかった深刻な事態が次々と発生し、廃炉作業の完了まで40年という年月の積算根拠が問われる事態となっています。

そして福島第一原発では汚染水の漏出を止めることが出来ず『緊急事態』が宣言されているにもかかわらず、さらに危険な事態を招きかねない使用済み核燃料の取り出し作業に着手することなどできるのでしょうか?
汚染水の問題も、これまでとは比較にならない規模での完璧な対策を施さない限り、解決の途を見つけられそうにはありません。

しかし汚染水の蓄積はそれ自体脅威である上、現在危険なペースで増え続けており、どこかの時点ではこの汚染水をそのまま太平洋に放出せざるを得ない事態となっていますが、東京電力に言わせれば、『完全な解決の見通しは無い』という状況なのです。

「もちろん壁を築けば、そこに水をためることはできます。しかし水は流れ込み続けているのです。行き場所が無くなった水の量が限界を超えてしまえば、その水は太平洋めがけて溢れだすことになる、それ以外の結果は考えられないでしょう。」
長い間東京電力の原子力技術者として、数か所の原子力発電所で働いてきた後藤昌司さんが、ロイター通信の取材にこう答えました。
「現在の問題は、それまでどれほどの時間が残されているか?それだけなのです。」

3.1106
そしてこうした状況は、日本が地震が多発する国土であるという事実によって、より一層困難なものになっています。

地震はランダムに、ある日突然襲ってきて、福島第一原発で起きている様々なトラブルを一層悪化させ、連鎖的に壊滅的事態につながっていく可能性があるのです。

▽ 止めども無く嵩み続ける、事故収束のための費用

福島第一原発の事故収束・廃炉作業に必要となる金額は数兆円という単位で見積もられていますが、肝心の作業は目標をクリアすることが出来ないままであり、一般の不信感は増大する一方であり、政府が直接介入せざるを得ない状況となりました。

2011年3月に発生した原子炉のメルトダウン以降2年以上の月日が経ちましたが、この間、事故収束のための費用はとめどなく増え続け、くりかえし日本政府が財政援助を行わなければならない事態に陥っており、日本経済そのものの行く末にも暗雲を投げかけています。

そして除染作業などの放射能除去作業が思うように進まない場合は、日本経済、特に農業分野に対し計り知れない影響を及ぼす可能性が出てきました。

汚染水02
東京大学・工業科学研究所の調査グループは、福島の海岸線に沿った場所での放射線量が、日本政府が目標とする値をことごとく上回っているとする調査結果を公表しました。
「私たちは福島第一原発周辺の海域で、周辺と比較し、放射線の量が10倍以上高い地点を20か所以上確認しました。その直径は10m程度のものから、大きいものでは直径数百メートルに及ぶものもありました。」

事故発生から2年以上、福島第一原発の事故収束作業と、同発電所が事故の際に放出した大量の放射性物質によって汚染された地区の人々の生活や事業の補償問題については、東京電力はこれまで自社の思い通りに進めることが出来ました。

しかし現在、福島第一原発が2年以上に渡り、一日300トンというペースで汚染水を太平洋に漏出し続けてきたことが明らかにされ、問題解決のため日本政府が直接乗り出さざるを得ない状況になりました。

人類史上最悪となった原子力発電所事故が発生した直後、日本政府は東京電力に対し、福島第一原発の事故収束のためのすべての費用は東京電力が負担するよう命じました。
しかしそれと同時に国から受け取った財政援助金をできるだけ早く返済できるよう、経費節減やリストラによって一日も早く利益を確保できる体制を再構築せよとも命じました。

福島第一原発の事故に関連して支出が続いている莫大な費用は、すでに大幅なエネルギー節減策を実施している日本の電力消費市場に対し、非常に大きな負担になりつつあります。

110802
しかし東京電力はこれまでの財政援助だけでは、事態を乗り切ることはできず、さらに1兆円の財政援助を必要とすると主張しています。
すでに3,000億円を使ってしまった東京電力ですが、2014年3月までに、さらに1兆円の資金援助が必要であると主張しているのです。

〈 完 〉

http://fairewinds.org/media/in-the-news/mission-impossible-fukushima-scientists-brace-for-riskiest-nuclear-fuel-clean-up-yet
 + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

これ以上私たち国民の税金をつぎ込むつもりなら、東京電力がこれまでどのような『収束作業』を行い、どの程度の『効果』があったのか、きちんと情報公開すべきです。

現場では事故直後から、現場の緊急作業員について不要・危険な多重下請構造が批判され、下請け『企業』の中には反社会勢力すら紛れ込んでいるという指摘もありました。
もしそうなら、私たち国民の税金が福島第一原発という『フィルター』を通し、犯罪組織に流れて行ったことになります。

福島第一原発の危機は日本の危機であり、日本の民主主義の危機でもある、そう思えてなりません。

これから始まる、この国にとって史上最も危険な作業《前篇》[フェアウィンズ]

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 11分

少しの操作ミス、作業ミスで東日本全域が壊滅してしまう
そんな危険な作業を、汚染水も止められない東京電力任せにして大丈夫なのか?
【 フクシマのミッション・インポッシブル(不可能な任務)】
福島第一原発の技術陣を待ち構える、最も危険な作業

フェアウィンズ 8月15日

4号機付屋
福島第一原子力発電所の事故発生から2年半余り、3基の原子炉がメルトダウンするという巨大災害に苦しみ続ける中、この事故の対応にあたる科学者、そして技術者が今、一連の事故収束作業の中で最も困難で危険な作業の開始に備えています。

この作業は4号機使用済み核燃料プールから約400トンの、非常の放射性の強い使用済み核燃料を取り出す作業で、もし対応を誤ればこれまで人類が経験した事のない巨大規模の、悲惨な原子力発電所事故を引き起こすことになる、中立性と公平性を保つため独立した立場で原子力発電の研究を行っている専門家がそう指摘しました。

実際に作業にあたることになる東京電力は、これ程の規模の作業はかつて行われたことが無く、危険と隣り合わせのものになると語っています。
もしこれらの核燃料の放射性物質の放出が制御不能の状態に陥った場合には、2011年3月の最初の事故、あるいは1986年のチェルノブイリ事故とは比較にならない規模の、大規模な放射能汚染を引き起こしてしまう可能性がある、そう指摘するのはコンサルタントを務めるマイケル・シュナイダー氏とアントニー・フロガット氏です。
彼らは『世界の原子力発電所の現状2013年版』の中で、以下のように指摘しました。
「福島第一原子力発電所、原子炉4号機の使用済み核燃料プールの密閉、あるいは制御が不能に陥り、使用済み核燃料のすべてが放射性物質を放出するようなことになれば、これまでで最悪の、いかなる事故とも比較できない程重大な放射能汚染が発生する可能性があります。」

福島第一原発廃炉
それ程危険な作業ですが、実地に検証されたことはあるのでしょうか?
ありません。
コンピュータ上でシュミレーションが行われただけです。

広島原爆が放出した放射能の14,000倍の放射性物質が閉じ込められた1,300本の核燃料棒(核燃料ペレットをいくつも詰め込んだジルコニウム性の管)を、4号機の使用済み核燃料プールからきわめて慎重に取り出す。
これがこれから行うべき作業の中身です。

長年原子力産業界に身を置き、フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイションの責任者を務めるアーニー・ガンダーセン氏がロイター通信社の取材に、次のように答えました。
「かなりの量の使用済み核燃料棒の取り出しが、困難になると予想されます。」
特に互いにくっつき合う程近接している燃料棒については、破損による大量の放射性物質の放出という危険がつきまとうことになる、と。

それがどれほど危険なものであるか、ロイター通信社の取材に対し、ガンダーセン氏はこのように答えています。
「使用済み核燃料を取り出す際にもし操作や手順を誤り、核燃料棒同士がぶつかり合ったり、あるいは燃料棒を破壊してしまった場合には、その場で臨界が始まり、それが連鎖反応を引き起こす可能性があります。それはどの場所でも、どの段階でも起こりうることです。そうなった場合の危険性は、きわめて巨大であり、極めて深刻な事態が現実になるのです。」

100205
その結果生じる放射線の放出を、使用済み核燃料プールは防ぐことはできないのでしょうか?
使用済み核燃料プールは正常な状態の核燃料を冷却保管するだけの設備であり、臨界状態の使用済み核燃料の放射性物質の放出を防ぐような機能は備えていません。

「使用済み核燃料プールには、臨界を止める機能は無い、まさにその点が問題なのです。もちろん制御棒自身にも、臨界を防止する機能などはありません。」
ガンダーセン氏がこう指摘しました。
「核燃料プールが持っている冷却機能は、原子炉から取り出した使用済み核燃料が臨界後も続く、崩壊(核反応)によって生じる崩壊熱を取り除くだけのものであり、臨界に達した核燃料を冷却するような能力は持っていないのです。」

これらの使用済み核燃料が置かれている核燃料プールの底の部分は、地上18メートルの場所にあります。
プール自体の大きさは10×12メートルで、使用済み核燃料自体は水面下の7メートルの場所に置かれています。

ここに問題が一つあります。
4号機使用済み核燃料プールは、2011年3月に発生した爆発の際に原子炉建屋の屋根が吹き飛ばされ、一度露天にさらされたことがあるという点であり、このことにより核燃料プール内の状態が正常ではなくなっている可能性があるのです。

100306
4号機核燃料プールからの使用済み核燃料の取り出し作業は、緊急を要するのでしょうか?
今後それほど大きくはない地震ではあっても、プール内で異常が発生して放射世て物質が放出される可能性があり、取り出しは急がなければなりません。

東京電力はこの作業を今年11月から開始し、約1年間で完了させる予定を立て、順調に進めることが出来ると考えています。
しかし、専門家の中にはこの予定について疑問を持つ人々がいます。

東京電力は現在福島第一原発の別の場所で異なる問題を抱えており、解決の目処を立てられずにいます。
汚染水の漏出問題です。

しばらく前に東京電力は空の(核燃料ペレットが充填されていない)核燃料棒を2本取り出す作業を試験的に行いました。
しかしその事をもって「実際の使用済み核燃料の取り出し作業を問題なく実行できる」と結論することは論理的にかなり飛躍していると、フェアウィンズのガンダーセン氏がロイター通信とのインタビューの中で指摘しています

〈後篇に続く〉
http://fairewinds.org/media/in-the-news/mission-impossible-fukushima-scientists-brace-for-riskiest-nuclear-fuel-clean-up-yet
 + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

日本では全く問題にされていなかった段階で、4号機の使用済み核燃料プール内の使用済み核燃料燃料の危険性について、世界に対し初めて警鐘を鳴らしたのがガンダーセン氏でした( http://kobajun.biz/?p=2724 )。
その後アメリカの上院議員が来日して現地を視察、それを見て今度は当時の細野原発事故担当大臣が現地に行くなどして、この問題が一気に表面化しました。

そのアンダーセン氏が改めて問いかけています。
「東京電力は本当に、問題を起こさず安全に核燃料を取り出す作業を完遂できるのか?」と。

福島第一原発から約90キロの場所に住み暮らす私は、大きな余震などがある度、反射的に『4号機使用済み核燃料プールは大丈夫だったのか?』と考えるようになってしまいました。
それが核燃料の取り出し作業が始まってしまえば、毎日そのことが気がかりになってしまうでしょう。
私は何かあったら、どうやって、どこに、家族を避難させようかと悩み続けています。

さらに近い場所で暮らしている方々の心痛は、もっと切実なものになるはずです。
これは『杞憂』などではないのです。

 + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

エクソダス(大脱出)数万のシリア難民、イラク北部に逃避行

アメリカNBCニュース 8月20日

Syr01
8月18日日曜日マームド・クアロウは2年間続いた内戦がますます悪化するだけであることを確信し、シリアからイラク北部へと脱出する避難民の群れに身を投じるべく、身の回りのものをバッグに詰め込みました。

15日木曜日、アルカイダと関係が深いシリアのスンニ派反乱軍のアル・ヌスラ戦線が、シリア国内のクルド人集落周辺に、頻繁に姿を現し始めた事に危機感を抱いた約35,000人のシリア人難民が、イラク北部のクルド人が暮らすクルディスタン地区に国境を超えてなだれ込んできました。

「シリアでは平和的解決など、もう望むべくもありません。政府軍は絶えず私たちに空爆や砲撃を加え続け、アル・ヌスラ戦線のメンバーはいたる所で自爆テロを行い、自分自身の体を吹き飛ばしているのです。」
マームドは国連援助テントの前にできた行列に加わりながら、こう語りました。

突如始まった大規模な難民の流入により、イラクもまたシリアの内戦に巻き込まれる危険性が出てきました。

数万の武装兵士を傘下に持つイラクの国内のクルド族地区のリーダーは、シリア国内の同じクルド人たちを守るため、国境の両側でアルカイダの援助を受けるアル・ヌスラ戦線との戦いに踏み切ると宣言しました。

バグダッドの北西約420キロの場所にあるドホークの国境検問所をめざして避難をするシリア難民。8月20日。(写真上)

普段はシリア、イラク両国の国境監視機関によって厳しく管理されている、チグリス川に架かる橋を渡りイラク側になだれ込んできたシリア難民。
「気温が40度に達する中を何日間もかけて逃れてきて、やっとたどり着いた安ど感からか、人々は皆一様に笑顔でした。」
国連難民高等弁務官事務所のカメラマンがこう語りました。(写真下・以下同じ)

Syr02
子どもを抱いて国境を目指す母親。
Syr03
イラク、クルド人居住地区のアルビル郊外にできた、シリア難民のための臨時のキャンプ。
対応に追われるイラク側は、現在一日の難民受け入れ人数を3,000人に制限しています。
Syr04
Syr05
Syr06

ずさんな事故収束作業、誠意無き原発難民への賠償、そのツケを払わされる日本の市民

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 9分

【 財政破たんが目前に迫る東京電力 】
幾重にも危険が増していく福島第一原子力発電所

ドイチェ・べレ(ドイツ国際放送) 8月19日

工事遠景
これまで東京電力が公にしてきた福島第一原発における事故収束作業の状況は、全くの虚偽であったことが判明しました。

汚染水の海洋への流出は続いており、日本政府が乗り出さざるを得なくなりました。

1年と年限を設けた上で東京電力の筆頭株主になりましたが、日本政府はこれまでは極力経営その他に口を出すことを控えていました。

このため福島第一原発の事故収束作業と、同発電所が事故の際に放出した大量の放射性物質によって汚染された地区の、人々の生活や事業の補償問題については、東京電力はこれまで任意に進めることが出来ました。

しかしそのずさんで無責任な対応のつけは、日本政府、ひいては国民全体に回ってくることになりました。

日本政府はまず、東京電力が2年以上に渡り汚染水を太平洋に漏出し続けてきたことを認めなければなりませんでした。

しかもその量は半端なものではなく、最新の試算によれば毎日300トンという量であり、各メディアはこの量が1週間でオリンピック・サイズのプールがあふれてしまう程の量である事を伝えています。

産業事故06
東京大学・工業科学研究所の調査グループは、福島沖の海底の状況に関する研究結果を公表しました。
日本のメディアはこの調査を率いたブレア・ソーントン博士の発言をこう伝えています。

「私たちは福島第一原発周辺の海域で、周辺と比較し、放射線の量が10倍以上高い地点を20か所以上確認しました。その直径は10m程度のものから、大きいものでは直径数百メートルに及ぶものもありました。」

▽ あまりに多い解決すべき課題

チェルノブイリの事故以降、人類史上最悪となった原子力発電所事故が発生した後、日本政府は東京電力に対し2つの矛盾した指示を与えました。

ひとつは津波の襲来に対して適切な防衛策を採っていなかったがために起きた福島第一原発の事故について、発生するすべての費用は東京電力が負担しなければならないとするものです。
もう一つは国から受け取った財政援助金をできるだけ早く返済できるよう、経費節減やリストラによって一日も早く利益を確保できる体制を再構築せよというものです。

しかし実際には、福島第一原発が引き起こしたあらゆる被害について、東京電力一社で弁済することなど、到底できそうにはありません。

下河辺会長
今年始め、下河辺和彦(しもこうべ かずひこ)取締役会長は東京電力の債務超過が、切迫した状況にあり、このままでは一時国有化の策も失敗に終わる可能性があると警告しました。
国と東京電力は事故収束作業開始当時、その費用総額は1兆円程度と見積もっていました。

ところが東京電力が支払った費用はすでに3兆円を支払っており、事故収束・廃炉作業の終了までには少なくともその5倍の費用が掛かるものと見られています。
そのためには来年2014年3月までに、東京電力に対しさらに1兆600億円の資金注入が必要になります。
これだけはもう避けることが出来ません。

▽ 不足する現金

はっきり言えることは、東京電力にはこれらすべての費用をまかなうだけの現金は無いという事です。
そしてここにきて福島第一原発では、汚染水問題を始めとする放射性物質の漏出の範囲が拡大しつつあり、政府としても東京電力の資金不足を認めざるを得ないだろうというのが大方の見方です。

安倍晋三首相は経済産業省に対し、福島第一原発の汚染水問題の解決に直接乗り出すよう指示せざるを得なくなりました。
結局国民が支払った税金からまず400億円というお金が、福島第一原発の事故処理の序章とも言うべき部分で使われることになりました。

汚染水調査 1
東京電力はこの資金で原子炉建屋付近の土壌を凍結させて地下水が入り込まないようにし、これ以上汚染水が生み出されないようにする対策を実施する予定です。
しかしこの対策はこれまで一度も試されたことはありません。

しかしこの対策はきわめて高くつきます。
年間を通して地中を凍結させておくためには、莫大な電気を送り続けなければなりません。
維持費用がきわめて高額に上る恐れがあるのです。

▽ 汚染され続ける地下水

今回政府が400億円という多額の追加援助をせざるを得なくなった事で、東京電力に福島第一原発の現場の事故収束能力があるのかどうか、その点が改めて問われることになりました。

ある専門家は、今年の始め、ネズミが配電盤内で感電死したことにより停電が起き、原子炉の冷却装置が作動しなくなったトラブルについて、改めて指摘しました。

また、汚染水の漏出を止めることが出来ない、この点こそ東京電力には福島第一原発の事故を収束させる、その能力が無いことを証拠づけるものだという指摘もあります。
東京電力が地下に築いた防護壁は、地下水の水位の上昇を招く結果に終わりました。
東京電力の尾野昌之原子力・立地本部長代理は汚染水漏出について、現在制御できない状況にある事を認めました。

110626
汚染水の容量の増加は非常に早く、このままでは汚染水を太平洋に流し込む以外、対応のしようが無くなる可能性があります。

「状況はすでに、東京電力の対応能力を超えてしまっているのです。」
かつて原子炉設計に携わった工学博士の後藤政志氏が、こう語りました。

東京電力は一企業としてできることはやって来ましたが、その事と福島第一原発の事故の完全解決とは全く別の次元の問題だったのです。

http://www.dw.de/tepco-unable-to-foot-the-fukushima-bill/a-17017060
+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

ニューヨークタイムズの記事にありました( http://kobajun.biz/?p=13119 )が、日本の原子力行政は
「福島第一原発の事故収束作業すら、日本の原子力ムラの勝手にさせ、一層自体を悪化させてしまった」
挙句、そのツケを国民に押し付けてきたことになります。
福島第一原発の事故について彼らが『反省』など一切していないことが、この一事によっても解ろうというものです。

結局、巨額に上る福島第一原発の事故収束・廃炉作業の費用が私たち一人一人の肩にのしかかってきますが、それを支払ったからと言って福島第一原発の事故の収束が図られる保証は無いのです。

ガーディアンに掲載された
「現状を見る限り、福島第一原発の事故は永遠に続くように思える( http://kobajun.biz/?p=13292 )」
その言葉が、今、私たち日本人に重くのしかかってきます。

+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

【『武力による解決』が人々にもたらしたもの 】

アメリカNBCニュース 8月21日
(写真をクリックすれば、大きな画像をご覧いただけます)

Syr17
ダマスカス近郊に臨時に設けられたモスクの中に横たえられた子供たちの死体。市民活動家によれば、バシャール・アル・アサド率いるシリア政府軍が使用した神経ガスの犠牲になってしまったものです。(写真上)。

8月21日水曜日、シリアの首都ダマスカス近郊のドゥーマー付近、アサド政権の政府軍が使用した神経ガスによって死亡したものとみられる犠牲者の遺体の中から、幼い子供の遺体を抱き上げる男性。(写真下・以下同じ)
Syr11
8月20日、シリアを逃れ、イラクとの国境をめざす難民たち。
Syr12
ダマスカス近郊アルタルの破壊された民家の中で銃を構える、反政府軍の兵士。8月19日。
Syr13
ホムス市内の歴史的にも古い、市場の屋根に開いた無数の銃弾の跡。8月19日。
Syr14
アレッポ市内ブスタン・アルカスル地区で、政府軍の砲撃により崩壊した建物の中から生存者を探す人々、8月16日。
Syr15
アレッポ市内ブスタン・アルカスル地区で、政府軍の砲撃により崩壊した建物の中から助けだされた少女、8月16日。
Syr16

世界的な核軍縮の取り組みに、背を向ける日本

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 6分

【 長崎市長、原爆追悼記念式典で日本の核軍縮後退を批判 】
市民の懸念をよそに、原発輸出と技術協力を強引に推進する安倍政権
「日本は被爆国としての原点に帰れ」

AP通信社 / ワシントンポスト 8月9日

長崎68th01
9日金曜日、長崎市長は68回目を迎える『原爆の日』の平和祈念式典で、世界的な核軍縮の取り組みに対し背を向けているとして、批判しました。

田上富久長崎市長は平和宣言で、核兵器廃絶への取り組みを実質的に放棄、「世界の期待を裏切った」として日本政府を批判しました。
今年4月にジュネーブで開催された核拡散防止条約(NPT)再検討会議準備委員会では、80か国近くが参加した核兵器の使用を一切認めないとする共同声明に、日本は署名を拒否しました。
今回の声明は国連の委員会により準備されたもので、署名したのは核兵器を所有しない国ばかりであり、多分に象徴的性格を持ったものです。
今回署名を拒否した中には、アメリカ、ロシア、インド、パキスタンなどの核兵器保有国が含まれています。

日本は核兵器を所有せず、これまで一切製造してないことを誓ってきました。しかし、与党内の一部のタカ派メンバーは、日本は核兵器の保有を検討すべきであると主張しています。
田上市長は今回の署名拒否は、世界で唯一の被爆国として核兵器の所有・製造・使用を禁じた、日本の非核三原則に矛盾していると指摘しました。
「私は日本政府に対し、被爆国としての原点に返ることを求めます。」
田上市長は1945年の長崎原爆の爆心地の近くにある、平和祈念公園でこう訴えました。

長崎68th02
日本政府は日米安全保障条約の存在ゆえ、今回の署名拒否に到ったものと見られて言います。
日米安保条約は北朝鮮などの脅威に対し、日本を含めた各地に核兵器を配備する選択権をアメリカに認めています。

田上市長は今回の署名拒否により、日本は状況によっては核兵器の使用を認めるという姿勢を、実質的に示したものと指摘しました。

ジョン・ルース駐日アメリカ大使を含め、約6,000人がアメリカ軍による原爆投下の犠牲者に対し黙とうをささげた後、9日の平和祈念式典に参加しました。

1945年8月9日の長崎への、そしてそれより3日早い広島への原爆投下は、第二次世界大戦において日本に降伏を促す結果となりました。
広島原爆の犠牲者は約140,000人、そして長崎では70,000人、併せて21万人の命が奪われました。

日本では2011年3月に発生した東日本大震災以降、原子力発電への反対が急速に高まりました。
東日本大震災の巨大地震と津波は東京電力福島第一原子力発電所を壊滅させ、大量の放射性物質を環境中に放出し、10万以上の人々が避難を余儀なくされました。

100306
日本の市民社会が原子力発電に対する懸念を深めているにもかかわらず、安倍晋三首相はトルコとベトナムを含む発展途上国に対する原子力発電設備の輸出に積極的に取り組み、フランス、インドとは原子力技術の協力体制を築こうとしています。

長崎の式典で安倍首相は、日本が直面する原子力発電と核兵器の問題には言及しませんでした。

世界で唯一の被爆国である日本は「非核三原則を堅持し、核兵器廃絶、世界恒久平和の実現に力を惜しまぬことを」誓うと述べ、核兵器がもたらす悲惨な結果について今後も世界に語り続ける義務があると語りました。

http://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/nagasaki-mayor-criticizes-japan-government-for-lacking-effort-for-nuclear-disarmament/2013/08/08/9e51d8c0-00a5-11e3-8294-0ee5075b840d_story.html
+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

靖国神社を参拝する政治家などが口にする
『祖国のために命を捧げて戦った英霊』
という表現ですが、それ自体戦争を美化した言い方だと考えています。

私自身は第二次世界大戦中=太平洋戦争中に亡くなられた日本の人々については
『国民と国家を賭けの元手にして、一部軍人・官僚が行った成算の無い、冒険的拡張主義の犠牲者の方々』
だと考えています。

当時食糧輸入国であり、宗主国フランスからの食糧援助によってかろうじて経済が成立していたベトナムを軍事占領した日本軍は、自らの食糧を『現地調達』して数万人のベトナム人を餓死させたことを始め、その占領政策は無謀のそしりを免れません。
その無謀の犠牲者がアジア各地、そして広島、長崎を始め日本全土に生まれてしまいました。

福島もまた、地震が多発する国土の、津波が襲来する危険性のある場所に原発を林立させるという、『一部企業・官僚が行った成算の無い、冒険的拡張主義の犠牲』になってしまったのではないでしょうか?

福島第一原発は少なくともこれから20~30年間、放射性物質を太平洋に流し続ける

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 10分

【 「止めようがない…」福島第一原発の放射能汚染水漏れ 】
福島第一原発の現状がある限り、日本は原子力発電所の再稼働を見直すべきである
福島第一原発の事故収束費用は総額50兆円/再稼働→第2の原発事故→環境面・財政面ともに、日本は破たんする

アーニー・ガンダーセン / ヴォイス・オブ・ロシア / フェアウィンズ 8月7日

ガンダーセン01
このインタビューについて
福島第一原発から太平洋に流れ込んでいる放射能汚染水の問題は、量的にも汚染濃度においても、当初考えられていたものよりずっと悪いものである…。
8月7日水曜日、日本の安倍首相が福島第一原発の汚染水問題を国として対応するよう求めた際、この問題を担当する経済産業省の官僚の一人がこう語りました。

ロシアの放送局ヴォイス・オブ・ロシアは、この問題についてフェアウィンズの設立者であり、原子力発電の専門家であるアーニー・ガンダーセン氏に、福島第一原発の現状と考え得る汚染水問題の解決策についてインタビューを行いました。
ガンダーセン氏は福島第一原発の周囲を取り囲む排水溝内にゼオライトを敷き詰めない限り、今後も放射性物質が海洋に漏出を続けるだろうと指摘しています。
しかしその対策を行っても、地下水によって放射能に汚染された水の漏出は続くだろうと考えています。

エフゲニー・スホーイ : 放射能に汚染された水を一か所に留め置き、汚染水の漏出を止める手立て、それを実現できる方法というものはあるのでしょうか?

アーニー・ガンダーセン : 事態はすでに進行中なのです。
福島第一原発は2年以上に渡り汚染水を漏出し続けてきました。そして結局、海の中に流れ込んでいたのです。

しかし、原子力発電所と地下水に関する私の経験から言えば、最も深刻な問題は海以外の場所にあります。
そうです、福島第一原発の敵地内に放射線量が異常に高い場所があり、その結果海が汚染される状況が生み出されているのです。

110808
日本の人々はバリアを作り上げることによって、汚染水の海洋への流れ込みを阻止しようという考えのようです。
しかしバリアという抗争はすでに手遅れです。
それをやるなら、2年前にするべきでした。
バリアを作る事によって、別の問題が発生してしまうのです。

汚染水の太平洋への流れ込みを止めれば、必然的に福島第一原発の施設内に汚染水が貯まり続けることになります。
その事によって、原子炉自体の不安定性が増すことになります。

原子炉周辺の地中から水を抜くことによって何が起きるでしょうか?
再び大地震が起きた際に、原子炉を抱え込んでいる建屋が崩壊してしまう危険性が生じることになるのです。
ひとつの問題を解決することにより、別の問題が生じる、それが福島第一原発の現実なのです。

スホーイ: どうしたら、そのシナリオを避けることができますか?
ガンダーセン : 私が2年前に提案した放射線量軽減のための解決方法は、敷地を取り囲んでいる排水溝の中にゼオライトという物質を敷き詰めることでした。
ゼオライトは火山灰からできている物質で、放射性物質を吸着してしまう性質を持っています。

汚染水流出
しかし、最終的な解決策は福島第一原発から水が漏出しないようにすることです。
どうすればいいでしょうか?
福島第一原発内に水が入り込まないようにするのです。

流れ込んでいる未だ汚染されていない地下水の水位を、福島第一原発の周囲にある排水溝より低くすることにより、水が入り込まないようにするのです。
水が入り込まなければ汚染水が作り出されることは無くなり、したがって敷地の外に汚染水が漏れ出すことも無くなります。

これまで日本は政府予算を使っての事故収束は、行おうとしてきませんでした。

私は2年前一度彼らに接触したことがありましたが、その答えは東京電力には事故収束に充てるべき充分な予算が無いというものでした。
しかし今やそんなことは言ってはいられない状況になっています。
福島近海の海洋汚染は深刻を通り越し、今や危機的状況にあるからです。

スホーイ : この問題を解決するため、何か採れる手段はあるのでしょうか?海洋汚染についてですが。

汚染水2012-03
ガンダーセン : 残念ながら私の答えは『No(ノー)』 です。
私の見るところ、福島第一原発は少なくともこれから20年間から30年間、放射性物質を太平洋に流し続けることになるでしょう。
事故現場では原子炉建屋の基礎部分から、水をくみ上げ続ける必要がありますが、率直に申し上げてこの水の汚染濃度はかつて私も見たことも無い程ひどく汚染されています。

かつて私は、原子炉の燃料を交換する際に炉心で作業したことがありますが、正常な運転をしている原子炉なら、炉心を直接冷却するために使われた水でさえ、含まれる放射性物質の量は福島第一原発の汚染水の数分の1というレベルなのです。
しかも福島第一原発には莫大な量の汚染水があるのです。
いくら地中に壁を作っても、地下水脈が存在する限り、汚染水は海に流れ込み続けるでしょう。
汚染水は地表を通って海に流れ込むとは限りません。
地下の水路を経由して、海に流れ込んでいる汚染水もあるのです。

スホーイ : 日本の国内問題になりますが、福島第一原発の現状を見る限り、日本は現在進めている原子力発電所の再稼働を延期すべきだとお考えですか?

ガンダーセン : そうあるべきだと思います。
日本政府は福島第一原発の事故収束のために必要な、本当の金額を国民に対し明らかにすべきです。
私は福島第一原発の事故収束費用の総額は10兆円程度になるものと考えています。
そして福島県内の除染には40兆円、併せて50兆円の費用が必要になると考えています。

再稼働反対2106
しかし日本政府は今回の事故を収束させるために、50兆円もの借金を抱え込んでしまったなどと言う事は一切明らかにしていません。
冷静に考えれば、この状況下、他の原子力発電所を稼働させ、万が一第2の原子力発電所事故を起こせば、日本は汚染だけでなく財政的にも破滅に向かう可能性があるという事は、誰が考えてもわかる事です。

日本は地球上で最も地震が多発する場所のひとつです。
そんな場所に原子力発電所を建設することは、もはや愚かさを通り越している、そう言わなければなりません。

http://fairewinds.org/media/in-the-news/there-is-no-way-to-stop-fukushima-radioactive-water-leaking-into-the-pacific
 + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

最早福島第一原発における東京電力の汚染水管理は、どうにもならなくなっているようです。
http://www.kahoku.co.jp/news/2013/08/20130820t63015.htm の記事などにも、その事実が如実に語られています。

そして今回もガンダーセン氏の指摘には、見るべきものがあります。
福島第一原発のタンク内にあるのは『史上最悪の汚染水』だという指摘です。

なお、本文2枚目の写真の下、9行目の
『原子炉周辺の地中から水を抜くことによって何が起きるでしょうか?』
という部分ですが、原文は『The water can pull underneath the nuclear buildings 』となっています。
この『The water can pull』を私は『水を抜く』と訳しました。
全体として原子炉建屋の地下から水を抜き取ってしまうと、かえって原子炉建屋の基礎部分の不安定が増すという解釈なのですが、間違っているかもしれません。
ご指摘をいただきたい部分です。

明日22日(木)は休載日とさせていただきます。
ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願いします。

 + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

【 油を引いた棒を登れば! 】

アメリカNBCニュース 8月17日
(掲載されている写真は、クリックすれば大きな画像をご覧いただけます)

インドネシア 1
首都ジャカルタにあるジャヤ・アンコール・ドリームパークで開催された、インドネシアの独立68周年を祝うイベント。
参加者は油を引いた棒をよじ登り、棒のてっぺんにぶら下げられた自転車、キッチン用具などをもぎ取り、下で待っている仲間に手渡します。
インドネシアは今年、オランダの植民地支配からの独立を果たして68周年、世界で一番人口の多いイスラム教国でもあります。

インドネシア 2
インドネシア 3
インドネシア 4

【 福島第一原発の放射能汚染水漏れ、沿岸漁民の生活をさらなる窮地へ 】《後篇》

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 9分

日本の原子力行政は、福島第一原発の安全確保よりも、原発の再稼働手続きの方に重点を置き過ぎていた

ジャスティン・マッカリー / ザ・ガーディアン(英国)

原発止めろ
東京電力が汚染水問題の存在について突然態度を翻したことは、かえって国民の怒りに火を注ぐ結果になりました。
そして東京電力が行っている福島第一原発の事故収束作業の内容について、改めて批判が集まりました。

福島第一原発の事故では大量の放射性物質が放出され、住民160,000人が家を捨て避難を余儀なくされました。

そして福島県の農業と漁業は、立ち直れない程の打撃を被ったのです。
「福島という名前にアレルギー反応を示されてしまうという点では、漁業も農業も同じです。」
久之浜漁協も所属する福島県漁業協同組合の販売部門責任者の新妻隆さんがこのように語りました。

「売ることを目的で魚を獲ったとしても、買ってくれる人など誰もいないのです。汚染は太平洋岸全体の問題であり、福島県に限った問題ではありません。もし東京電力がこれ以上の汚染水の排出を行なえば、今度は世界中から批難が殺到すると思います。」
「福島ブランドの漁業の復活は、私たち漁師にとっては選択の問題ではありません。復活に賭け取り組みだけは続ける、私たちにはそれ以外の選択肢はないのです。」

廃炉・汚染水 1
日本の安倍首相の原子力発電への支持には、いささかの揺るぎもありませんが、東京電力の汚染水問題解決への約束は、その安倍首相をすら納得させられませんでした。
「福島第一原発の現状、中でも汚染水の問題に対する一般市民の懸念は高まりつつある。」
「これは緊急の対処を要する問題である。東京電力一社に任せておいて良い問題ではない。国としてしっかり対策を講じていく」と安倍首相が語りました。
新たに発足した日本の原子力監視機関である原子力規制委員会も同様の見解を表明し、東京電力の汚染水問題に対する解決能力の欠如を指摘しました。
福島第一原発の事故収束・廃炉作業については、40年間の作業、1兆円の費用という当初の見積もりが撤回されたばかりでした。

原子力規制委員会は「海洋環境を破壊しているという意識が、東京電力には欠落している。」と指摘しました。
「汚染水の漏出は目下の緊急事態です。」
原子力規制委員会において福島第一原発の汚染水漏出の問題を担当する金城信二氏がこう語りました。
そして、以下のように付け加えました。
「汚染水の漏出が、一気に加速される恐れがあります。」

福島市のデモ
市民運動を行っている人々は、日本の原子力規制委員会が福島第一原発の状況の安全確保よりも、停止中の国内の原発の再稼働への手続きの方に重点を置き過ぎていたとして批判しました。

「福島第一原発の事故発生から2年以上が過ぎて尚、日本政府は事故の解決に向け一歩も前進できずにいます。」
グリーンピース・ジャパンの高田ひさよさんがこう指摘しました。
「日本政府は原子力産業界に対し、福島第一原発の大災害に対する責任をしっかりと取らせた上で、事故収束について各国の専門家の援助を求める必要があります。」

「福島第一原発からの汚染水の漏出は、海洋生物と日本の漁業に対する深刻な災害です。しかし東京電力はこれまで、この問題について言い逃ればかりを繰り返し、事態の深刻さを過少に報告し続けてきました。」
「東京電力にこの事故の収束を行う能力が欠如していることは明らかであり、全ての面において適切な対応を行うという点において、信頼できません。」

久之浜を津波が襲う数分前、新妻和夫さんを始め多くの漁師が自分の漁船を運転して海に乗り出し、何とか波をやり過ごして漁船を守りました。

それから2年以上が過ぎた今、新妻さんはあの決死の作業も結局は無駄だったのではないかという疑念を振り払うことが出来ずにいます。
かつて新妻さんが獲った魚は高値で取引されていました。

漁師01
漁に出ることが出来ない新妻さんは現在、港のがれきの撤去作業と、休業補償によって暮らしを立てざるを得ません。
「福島第一原発の事故は、私たちを何の希望もない暮らしに追いやりました。」
彼はこう語りました。
「以来何も変わってはいません。この先、明るい材料は何もありません。でも私は48年間、漁師を続けてきました。今になってそれをあきらめろと言われて、あきらめられる訳がありません。」

http://www.theguardian.com/environment/2013/aug/08/japan-pm-fukushima-leaks?INTCMP=SRCH
 + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

【 世界の重大産業事故 】

アメリカCNNニュース 8月10日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)

産業事故01
ケベック列車暴走事故
2013年7月6日土曜日、暴走列車がカナダ、ケベック州の小さな町ラック・メガンティックの繁華街に突入、爆発炎上しました。
少なくとも38名が死亡し、37名が行方不明のままです。
警察はあまりの猛火で、行方不明者の何割かはその死体が完全に灰になってしまったものと見ています。(写真上)

ルイジアナ州化学プラント爆発
2013年6月13日、化学プラントで爆発事故が発生、致死性のガスが発生し、警察は半径5キロ圏内に居た全員を避難させました。
死亡者は1名でしたが、75名の負傷者が出ました。(写真下・以下同じ)

中国食肉工場火災
2013年6月3日、中国東北部で起きた鶏肉工場火災で119人が死亡、54人の負傷者が出ました。
産業事故03
縫製工場崩壊
2013年5月10日、バングラデシュ、サヴァーのラーナー・プラザビルが崩壊し、1,000人以上が犠牲になりました。
世界最大の産業事故のひとつとなりました。
産業事故04
肥料工場の爆発
2013年4月17日、テキサス州西部の肥料工場で大爆発事故が発生、35人の死亡者が出ました。
爆発の原因となった火災の消火にあたっていた10名の消防士が、犠牲者の中に含まれます。
産業事故05
福島第一原子力発電所事故
2011年3月、マグニチュード9.0の巨大地震によって日本の東北地方沿岸部を16,000人の命を奪った巨大津波が襲いました。
この津波は福島第一原発の原子炉冷却装置を破壊、稼働を停止していた3基の原子炉は破壊を免れましたが、他の3基はメルトダウンを起こしました。
この事故は世界の原子力発電所事故史上、2番目の規模の災害となりました。
産業事故06
ボーパル化学プラント事故
1984年12月、インド・ボパールの化学プラントからイソシアン酸メチルが漏れ出し、付近の住民約4,000人が死亡しました。
この他にも10,000人が事故の後遺症によって死亡したものと見られ、さらに数十万人が健康被害を受けました。
事故を起こしたユニオン・カーバイド・インド社はアメリカの親会社により抹消手続きが取られましたが、2010年、当時の役員6名が職務怠慢により有罪の判決を受けました。

チェルノブイリ原子力発電所事故
1986年、旧ソ連邦のウクライナのチェルノブイリ原子力発電所で爆発事故が発生、当初の犠牲者は32人でしたが、国際原子力機関は放射能汚染を原因とする死亡者は少なくとも4,000人に達するものと見ています。
この爆発で放出された放射性物質の量は、広島に投下された原爆の400倍と見られています。
産業事故08
ハリファックス港爆発事故
1917年12月、フランスの弾薬輸送艦モンブランとベルギーの蒸気船Imoがノヴァスコシアのハリファックス港内で衝突、巨大爆発事故を引き起こしました。
当局の発表によれば、この事故の犠牲者数は1,950人です。
産業事故09
ボストン蒸留酒タンク破裂事故
スコットランドの糖蜜から作る蒸留酒
1919年1月に、230万ガロンのスコットランドの糖蜜から作る蒸留酒を容れたタンクがボストン市内で破裂しました。
約5メートルの高さの壁が倒れて付近の民家を破壊、21名の死者と150名の負傷者を出す騒ぎとなりました。
産業事故10

【 福島第一原発の放射能汚染水漏れ、沿岸漁民の生活をさらなる窮地へ 】《前篇》

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 8分

事故発生から2年以上、事故収束どころか汚染水の漏出すら止められない東京電力に怒りの声
今の状況を見ている限り、福島第一原発の事故は永遠に解決しないように思える

ジャスティン・マッカリー / ザ・ガーディアン(英国)

福島漁師01
63歳という年齢にも関わらず、新妻和夫さんはこれから先も漁師としての長い人生を歩んでいくつもりです。
代々の漁師としての血がそうさせるのだと彼が語りました。
80歳になる彼の父親は12歳で初めての漁に出て以来55年を漁師として生き、つい3年前に引退したばかりです。

しかしたとえ体力が許すとしても、新妻さんは太平洋に出てシタビラメ、ヒラメ、アイナメそしてシラスなどを漁獲する機会がこの先二度と無いかもしれないという事を覚悟しています。

東京の北約200キロの場所にある小さな漁師町、久之浜で漁業を営む彼やその仲間の生活を窮地に追い込んでいるもの、それは海岸をもう少し北に行った場所にあります。
そう、福島第一原子力発電所です。

日本政府はつい最近、2011年3月に津波がきっかけとなって巨大事故を引き起こした福島第一原発から、毎日300トンの放射能に汚染された地下水が地中に設置した防護壁を乗り越え、太平洋に流れ込んでいることを明らかにしました。
政府関係者はこの汚染水の流出は、原子炉のメルトダウンという過酷事故直後から続いていた可能性があると語っています。

政府によって公表され、福島第一原発を運営する東京電力も追認した汚染水漏出の事実は、久之浜漁港の40隻の漁船を、港につながれたままにしてしまうことになりそうです。

汚染水調査 1
汚染水の処理に関する怠慢と失策、そして汚染水漏れの事実をまたも隠蔽しようとした東京電力に対する告発は、18ヵ月前に最早安全な状態を取り戻したとして日本政府が『冷温停止宣言』を行った、福島第一原発の事故収束作業が全く『安定』などしていないことを暴露する結果となりました。

「私は津波発生来、一度も漁に出ていないのです。」
新妻さんは地震と津波により基礎が1メートル沈んでしまった、骨組みだけになった久之浜漁港本館ビルの中に立ってこう語りました。
「消費者の皆さんは食べても安心な魚を購入したいと考えていますが、私たちは今のところ、その願いには応えることが出来ないのです。」

この辺りで獲れた魚に含まれる放射性物質、セシウム134と137の検出値が政府が定めた1キログラム当たり100ベクレルの安全基準値に近いところまで下がって来たという事実も、ほとんど気休めにもならない、新妻さんはそう語ります。
「今の状況を見ている限り、福島第一原発の事故は永遠に解決しないように思えます。そのことについて日本政府と東京電力は、きっちり責任を取る必要があるはずです。」

広瀬直己東京電力社長に宛てた日本漁業協同組合の書簡は、厳しい調子に貫かれ、汚染水の漏出は『日本全国の漁業関係者と日本社会の市民に対する裏切り』であると批判しました。

浪江12
日本政府は東北太平洋岸で18,000人の犠牲者を生み、日本史上最悪の原子力発電所事故を引き起こした東日本大震災発生以来、福島県沖での漁業を禁止しています。

以来新妻さんの全長15メートルの漁船末吉丸は、一度も使われたことがありません。
放射性物質で汚染されてしまった海からは一匹の魚も釣り上げることが出来ず、この町の70人の漁師たちは沿岸部のがれき清掃作業によってかろうじて生計を立てています。

彼らは魚を獲ることがありますがそれは市場向けでは無く、臨時に設けられた研究所に持ち込まれ、20キロほど北にある福島第一原発から放出された放射性物質の残留値を検査されます。

東京電力は1日当たり約400トンの水を汚染がひどい原子炉建屋の地下から汲み上げていますが、その量はオリンピックプールをいっぱいにするのに充分な量です。
原子炉建屋の地下では原子炉内部、その奥の方に溶け落ちているとみられる核燃料を冷却し続けるために使われた高濃度の汚染水と地下水が交じり合っていると考えられます。

東京電力は汚染が最もひどい地区について、ケイ酸ナトリウムを土壌に注入して硬化させた壁で取り囲んでおり、回収できなかった汚染水はそこに留まり続けているとして、いかなる汚染水漏れも一貫して否定してきました。

海側全景
米国原子力規制委員会と他の専門家は、仮に汚染水が直接福島沖の海に流れ込んでいるとしても、それが太平洋を越えてアメリカにまで影響することはないだろうと語っています。
「たとえ毎日300トンの汚染水が海に流れ込んでいるとしても、広大な太平洋の存在により、アメリカ沿岸では検出不能ということになるでしょう。」
アメリカ原子力規制委員会の広報官、スコット・バーネルがこうコメントしました。

東京電力はもはや汚染水の問題が制御不能になっていることを認めた上で、汚染水の汲み上げ作業と防護壁の強化を徹底して行うと約束しました。

これ以上汚染水が増え続け、それが漏出しないよう、東京電力は2015年7月までに土中に冷却剤を注入し、1~4号機の周囲長さ1.4キロに渡る防護壁を作りあげる予定です。

初期段階の見積もりでは、この作業を完成させるための費用は400億円に上ります。
日本政府は東京電力が行う原発事故被災者への補償費用、そして廃炉費用などのため、すでに1兆円を超える金額を貸しつけていますが、汚染水漏れの対策のため、再び多額の税金が投入されることになります。

〈後篇に続く〉
http://www.theguardian.com/environment/2013/aug/08/japan-pm-fukushima-leaks?INTCMP=SRCH
 + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

なぜ、たかが発電手段が、地域の生活そのものを根こそぎ破壊していいのか?!
『エネルギー安全保障のため、原子力発電は必要』と言い切る人間に尋ねてみたいと思っています。

宮城県にある東北電力女川原発は止まったままですが、同じ宮城県にある国内最大の自動車メーカーの工場は震災後、再生可能エネルギーによる自家発電体制に切り替わりました。
原発を止めたドイツでも、フォルクスワーゲンの工場が、再生可能エネルギーによる自家発電体制に切り替わります( http://kobajun.biz/?p=7132 )。
原発が止まっても、『基幹産業』は打撃など受けていません、その実例です。

ニューヨークでは、主要な公共の建物は自家発電をメインに据えたスマートグリッド・システムを導入し、大災害に備える。
その取り組みが実際に始まっています( http://kobajun.biz/?p=9445 )。

切り替えられないのではなく、切り替える気がない。
つまりは福島の事故について、反省などしていない( http://kobajun.biz/?p=845 )。
それが現政権のエネルギー政策だと思います。

そして下段。
二日続けてエジプトの流血に関する写真報道をご紹介しています。
私個人の感想ですが、イラクにおける民主化運動に対する弾圧があったことを考えると、イスラム原理主義の伸長が世界平和に貢献するとは考えにくいのではないでしょうか。
しかし、クーデターによる政権転覆と民衆に対する武力弾圧はそれ以上に許されません。

時間がかかっても、回り道でも、すべては議論によって進めるべきです。
そう思います。

このサイトについて
ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
最近の投稿
@idonochawanツィート
アーカイブ
カテゴリー
メタ情報