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「世界が知らない、ウズベキスタンの綿花栽培の実態」
アメリカCNNニュース 2月21日
あなたがもし「良心的消費者」であることを自認されるのであれば、世界で最も強権的な体制の下で、児童労働が行われている国について心にとどめ置く必要があります。
その国の名はウズベキスタンです。
変化の兆しも伝えられてはいますが、解決には程遠いというのが実情です。
「ウズベキスタンは非人道的行為の記録において、世界の中でもとびぬけてひどい記録を有する国のひとつなのです。」
こう語るのは、ヒューマン・ライツ・ウオッチで中央アジア地区を担当するスティーヴ・スウェドレー氏です。
「23年間に渡るイスラム・カリモフ大統領の長期政権は、いかなる反対勢力をも弾圧してきました。」
ウズベキスタンの何十万人もの学生たちは、秋の収穫期になると教室から連れ出され、無報酬か、あるいはほんのわずかな賃金をもらい、綿花の収穫に従事させられます。
収録されたビデオの中に登場するひとりの母親は、もし子供を収穫作業に従事させなければ、一人前の労働者の2週間分の賃金に相当する罰金を課せられるのだ、と語りました。
そして市民権擁護団体は、収穫作業に参加しなかった子供の机は教室から取り払われると話しています。
ウズベキスタンの綿産業における強制労働は、ソビエト時代から続いています。
ウズベキスタン政府の高位にある官僚たちは、綿の収穫量から直接上前を撥ねるため、この悪しき慣習がずっと続いてきたのです。
農民は可能な限り綿の作付面積を増やすように命令され、国はそれを信じられないような安い価格で買い上げます。
そして『妥当な価格』でその綿は世界の市場に売られることになるのです。
「児童労働はソ連体制の下では、広く行われていました。」
ウズベキスタンの人権活動家であるエレナ・ウアリーバがCNNの取材に答えました。
「ソ連の崩壊によりウズベキスタンが独立して20年になりますが、児童労働が無報酬である事だけは
変わっていないのです。」
「子供たちも、その親たちも、ウズベキスタンの綿栽培は国の宝であり、世界に誇るべき産業だと教え込まれます。子どもたちはそのことを小学校1年生の時から教え込まれます。もし違うことを言う人間がいれば、国家の敵にされてしまうのです。」
ウアリーバのようなウズベキスタンの人権活動家たちは嫌がらせを受け、逮捕され、投獄されました。
ヒューマン・ライツ・ウオッチの現地事務所は閉鎖されてしまいました。
国際労働機関(ILO)は、綿の収穫作業の実態を調査することを拒否されました。
収穫作業に駆り出された学生、そして一般の人々は、労働実態を記録されないように、携帯電話やカメラの持ち込みを厳しく制限されます。
今日、世界の130以上の衣類製造業者は、今後自社の製品にウズベキスタン産の綿は使わないことを明言しています。
この誓約は、強制労働を終割らせることに取り組んでいる『信頼できる原料調達を行うためのネットワーク(Responsible Sourcing Network)』のようなグループが、長年努力を積み重ねてきた結果によるものです。
各製造業者は消費者がこうした企業姿勢に目を向けるようになれば、企業への好感度も増すことになると考えており、ネットワークが用意した協定書にサインすることに前向きになっています。
企業にとっても、メリットのある事なのです。
「現代は透明性が求められる時代なのです。」
「今日は、透明度の時代です」
『信頼できる原料調達を行うためのネットワーク(Responsible Sourcing Network)』の責任者を務めるパトリシア・ユレヴィッツがこう語りました。
「強制労働などとは関係を持たない、消費者はそのことを約束するブランドを選ぶのです。」
2012年、ウズベキスタン政府は綿の収穫に、小学生を使わないことを宣言しました。
しかしエレナ・ウアリーバは確かに幼い子供たちは姿を消したものの、中学生以上大学生までは相変わらず綿の収穫作業に従事させられているのを確認しています。
その上、ウズベキスタン政府が本当に宣言を守っているかどうかを確認することは容易なことではありません。
ウアリーバが次のように語りました。
「人権保護活動家が子供たちが働いている収穫現場に近づこうとすると、付近を武装した兵士がしていることに気がつきました。彼等は警察当局、そしてソ連時代の秘密警察であったKGBの後進の組織の兵士たちです。」
綿の収穫期、11~18才の学生が綿の収穫作業を行っている実態に関する報告を行ったところ、ウアリーバはタシュケントで逮捕拘留されました。
ワシントンにあるウズベキスタン大使館は、CNNによるインタビューの申し込みを拒絶しました。代わりに書面で回答してきました。
「綿の収穫に従事している人々に対する逮捕、殴打と拘留などに関する報告内容は、現実と一致していません。」
「ウズベキスタンの綿には優れた品質があります。収穫作業についての様々な報告は、その品質をねたむ国外の競争相手が、ウズベキスタンの取り引き環境を悪化させたり、その評判を落とすために行っている可能性があります。」
この回答書には農民たちも十分な対価を得ていると書かれています。しかし人権擁護活動家は、個人的に十分な利益を確保しているのは政府の官僚たちだと語りました。
ウズベキスタン当局は、綿の収穫作業がソビエト時代の名残であると認めていますが、現在は政府による近代化の取り組みにより、状況は変わったと主張しています。
しかし活動家たちは、そんな事実は存在しないと一蹴しました。
「開かれた社会が建設されたわけでもなく、国外の企業が参入できるわけでもなく、報道関係者が収穫現場に入ることもできません。」
ヒューマン・ライツ・ウオッチのスウェドレー氏がこう指摘しました。
「そんな状況下、政府が実際に行っていることを確認するなど不可能です。そして子供たちに、人々に労働を強制することを止めさせることもきわめて困難です。」
こうしたハードルがあるにもかかわらず、「意識して」ウズベキスタン製の綿を使わないと誓った世界的なブランドの数が、1年間で60社から130社以上まで増えていることに、活動家たちは意を強くしています。
強制労働との戦いはまだまだ終わっていない、そう活動家たちは認めます。
自らのサプライチェーンついて改めて精査するとの誓約を、多くの企業が行ったことは目覚ましい前進です。
活動家たちは各国の政府、そして企業に対する圧力を形成し続けなければなりません。
しかし、100万人のウズベキスタンの学生たちのために最も望ましいことは何でしょうか?
それは世界中の消費者がこの事実についてきちんと知識を持ち、たとえ少々割高ではあっても、奴隷労働によって得られた原料を使った商品は購入しない、その態度を明らかにすることです。
動画のリンク : http://cnn.com/video/?/video/world/2013/02/21/cfp-pkg-clancy-uzbek-cotton.cnn
オリジナルの記事 : http://thecnnfreedomproject.blogs.cnn.com/2013/02/21/cotton-exporters-using-child-labor/?hpt=ias_t3
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写真集 : アメリカNBCニュース 2月25日
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【 ワンマーカブチャー (万仏節)】タイ
陰暦3月の満月の日に釈迦がウェールワン寺院を訪れた際、悟りの境地に達した1,250人の弟子が偶然一堂に会したという奇跡的な出来事を祝う日で、人々は寺で説法を聞き、手にロウソクを持って本堂や仏道を3巡します。
【 ユダヤの休日、プリム祭 】イスラエル
ユダヤ教超正統派の人々がイェシバ(ユダヤ教の神学校)に集まり、古代ペルシャ帝国で奴隷として働かされていたユダヤ人の、虐殺からの救済を祝います。
ヒア・カムズ・ザ・サン(陽の光が降り注ぐイスラエル)
[世界の再生可能エネルギー開発分野で、群を抜き始めたドイツ]
アレクサンダー・ヴァグ(アメリカ政府安全保障計画研究員)
/ アメリカAOLエナジー 2月22日
「身が焦がされるような暑さ」
100年以上も前、少々引っ込み思案の新聞の特派員であったマーク・トウェイン(トム・ソーヤー、ハックルベリー・フィンの作者)がかつてこう表現したように、ネゲブ砂漠からテルアヴィヴの賑やかな通りまで、暑さだけはどこに行ってもついてまわりました。
しかしマーク・トウェインが訪れたころとは異なり、現代のイスラエルの建物の屋根という屋根、屋上という屋上は数えきれないほどの太陽光温水ヒーターで埋め尽くされています。
イスラエルは今、世界のトップを走る太陽光温水システムの先進国なのです。
イスラエルの太陽光エネルギー開発への取り組みは、建国(1948年)されて数年後にはもう始まっていました。
国土の中に豊かな石油資源を持つ隣人たちとは異なり、ごく最近までその国土には化石燃料は無いものと思われており、1950年代にはイスラエルの技術者レヴィ・イッサールが、不足するエネルギーを補うため、太陽光温水機の開発を行いました。
1967年には、20世帯に1世帯の割合で太陽光温水機を利用するようになり、販売実績は50,000台に達していました。
そして1970年代のオイルショックの発生を受け、イスラエルの太陽光産業の礎を築いたハリー・ジヴィ・タボールは、現在イスラエル全体の屋根の90%に設置されている太陽光温水器のプロトタイプの開発に成功したのです。
2つの要因がイスラエルをして、国を挙げての太陽光エネルギーの開発に向かわせました。
ひとつはその調査研究、開発に費やされた膨大な努力。
もうひとつは、巨額の海外からの投資を呼び込んだ交渉能力です。
TIGIソーラー社が開発したハニカム式ソーラーパネル、太陽光エネルギー海水脱塩装置など、数々の太陽光エネルギー装置がイスラエルの科学者、技術者によって開発されました。
あらゆる方面の海外からの投資が行われました。
例えば中国はイスラエルの国土の3分の2を占めるネゲブ砂漠に、太陽光エネルギー開発のための研究所を設立し、アメリカ合衆国やその他の国々がイスラエルの技術を導入しています。
ドイツの制度同様、イスラエル政府も2008年、1キロワットアワーあたり45セントでの固定価格買取制度を承認しました。
そして2020年までに全電力消費量の10%を再生可能エネルギーによって賄う事を目標にしています。
ちなみにEUは2020年までに、20%の達成目標を設定しています。
イスラエルの場合、その気候条件がこうした計画の背景にあります。
例えばネゲブネゲブ砂漠にあるケテュラ太陽光発電所は、一年の内330日好天に恵まれる場所にあるのです。
しかし、イスラエルの太陽光エネルギー業界の関係者の一部は、政府が過度の建設規制、そして過剰な工程管理を行っていると感じています。
ドイツとイタリアのこの分野における研究と製品開発は、荒天日数が少なく、太陽の照射量が劣るにもかかわらず、すでにイスラエルを凌駕してしまいました。
ドイツ、イスラエル両国政府が公表した数値を比較すると、太陽光発電分野におけるドイツの躍進は目覚ましいものがあります。
ドイツ人1人当たりの発電量は現在、イスラエルのほぼ12倍に達しているのです。
前出のペテュラ太陽光発電所を経営するアラバ・パワー社のCEO、ヨン・コーエンは、2011年6月以来、イスラエルでは大規模な太陽光発電プロジェクトが開始されていないと指摘しました。
同CEOはイスラエル政府が最近アシャリム太陽光発電会社と結んだ契約により、2015年新たに3か所で太陽光発電所の建設を開始するという契約が、現状を変えることを願っています。
いったんはイスラエルに投資することを決定した海外の投資資金が、ドイツを始めとするヨーロッパの競争相手に渡ってしまうことも懸念されています。
ではイスラエルの現状を見て、太陽光発電の分野でやや遅れを取ってしまったアメリカ合衆国のような国々は、いったいどんなことを教訓として学び取ればいいのでしょうか?
まず第1。
アメリカはイスラエルを見習い太陽光発電分野への研究開発に力を注ぎ、この分野の企業への資金供給を十分にする必要があります。
第2にアメリカ政府は太陽光発電に関する規制を可能な限り取り払い、研究機関と企業の双方が家庭用、あるいは中小企業向けの太陽光発電装置の開発・販売に乗り出せるよう、環境整備を行うべきです。
第3は、アメリカの民間企業はこれまで通りイスラエルとの連携を続け、次世代型太陽光発電システム開発のために共同研究を行い、実用化の暁には販売契約を結ぶ際などに、少しでも有利な位置を占めることが出来るようにしておくことです。
太陽光発電分野の開発を推進し、発電手段の組み合わせの中、その構成比を拡大することこそが、アメリカ合衆国、イスラエル双方のエネルギー安全保障のために、最良の選択となるはずです。
アメリか合衆国にあっても、その他の先進国にあっても、経済界、軍関係者、そしてエネルギー産業の専門家はこれ以上化石燃料に依存を続けることは、国家にとって危険なことであるという点で認識が一致しています。
気象条件、固有の文化、地理的条件その他によって、イスラエルは早くからこの問題の存在に気づいていました。
しかしアメリカはそうではありませんでした。
ここまでお話した通り、財政、環境、安全保障、いかなる観点からも、ここからの年月先進各国は太陽光エネルギー、そしてその他の再生可能エネルギー開発にこそ、あらゆる努力を傾けるべきなのです。
http://energy.aol.com/2013/02/22/here-comes-the-sun-israel-and-solar-energy/
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ドイツは2020年までに全原子力発電所の廃止を決定したことにより、様々な分野での技術革新が始まっていると、世界に向け最初の発信を行ったのは英国の新聞、ザ・ガーディアンでした( http://kobajun.biz/?p=2454 )。
ガーディアンの記事はドイツ国内では技術革新のみならず、「社会正義が実現された事」を実感する国民が生き生きと活動を行い、様々な分野の躍進が始まったと伝えていました。
それを今度は、アメリカAOLエナジーというエネルギー問題の専門誌が報じています。
ここまで書けば、続くセンテンスは決まっています。
「ひるがえって見て、わが日本はどうでしょうか?」
いかがですか?
その答えは、私たち自身が見つけなければなりません。
世界で行われている発電の実情を知り、日本のやりかた、在り方のどこが問題で、どう解決すべきなのか。
わたしたち自身がまず、そのことを知らなければならないと思います。
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【 拘留中に死亡した男性を巡り、緊張が高まるパレスチナ 】
アメリカNBCニュース 2月25日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)
25日月曜日、パレスチナ警察が21発の礼砲を放つ中、数千人の市民が参列してイスラエル軍に拘留中に死亡したパレスチナ人の男性の葬儀が行われました。
男性の死亡原因については、様々に取りざたされています。
パレスチナ側は死亡した男性、アラファト・ジャラダトはイスラエル軍が尋問する際、拷問を加えたために死亡した、としています。
一方イスラエル側は、死亡原因を特定するためにはさらなる検証が必要だと主張しています。
終末2人の子供の父親である30歳のガソリンスタンドで働いていた男性が23日土曜日拘留中に死亡したことにより、パレスチナ西岸地区の緊張が高まり、イスラエル側はパレスチナ人による新たな反乱の発生に備えています。
パレスチナ西岸地区では、イスラエルの占領に抗議する4,000人から5,000人規模のデモが毎日繰り返されていました。
パレスチナ西岸地区の都市ラマラで、イスラエルの軍刑務所付近で衝突するパレスチナ人とイスラエルの警察車両。2月25日。(冒頭の写真)
パレスチナ西岸地区の町セイーアで行われたアラファト・ジャラダトの葬儀で、イスラエル軍兵士ともみあいになるパレスチナ人。2月25日。アラファト・ジャラダトの死亡に抗議し、同じ刑務所内の囚人4人がハンガーストライキを開始し、成り行きによっては一層の緊張状態に陥る可能性が出てきました。
投石を繰り返すパレスチナ人とイスラエル兵との衝突が連日繰り返されています。(写真下・以下同じ)
アラファト・ジャラダトの葬儀で、嘆く親類たち。
葬儀会場に運び込まれたアラファト・ジャラダトの遺体。
催涙ガス弾やゴム弾を放つイスラエル軍兵士。
イスラエル軍が放った催涙ガス弾を投げ返すために考案された吊り紐を使い、ガス弾頭を投げ返すパレスチナ人男性。2月25日。
アメリカもそろそろ、下手な遠慮はやめた方が…
エコノミスト 2月23日
世界各国の政府と企業は、彼らを包囲監視している中国人のハッカーの背後には、中国の軍当局がいるものと疑ってきました。
そして2月19日、アメリカのセキュリティ会社のマンディアント社が、そのことに間違いはないという証拠を提示しました。
この6年間、同社は中国人のハッカーたちに「ろくでなしのゴリラ」や「とりわけ手ごわい奴」などのコードネームをつけ、一人一人を徹底的に追跡しました。
それらの調査が結実したこの報告書は、このハッカーたちを追跡した結果、本拠中国上海の特徴の無い場所にある、中国人民解放軍の61398部隊が所有するビルにたどり着いたことを明らかにしました。
この発表に対し、中国政府は直ちに非難声明を発しました。
一方、アメリカ政府は2月20日、今後の企業秘密の窃盗を防止するための計画を発表しました。
に、アメリカは、企業秘密の窃盗を防止する計画を発表しました。
今回の報告書には被害を受けた企業名は記載されていません。
しかしニューヨークタイムズの取材により、アメリカの情報機関にセキュリティ技術を提供している会社が、狙われていたことが明らかになりました。
さらにハッカーたちはアメリカの防衛システムに関連する企業からも、情報を盗み出そうとしました。
ハッカーたちが北アメリカのガスパイプライン、そして送電網を管理する企業に技術定期用を行っていた企業のネットワークに侵入したことに、現在一番懸念が持たれています。
もしこれらの企業がサイバー攻撃を受けた場合、その損害額がどれ程巨額なものになるか、見当もつきません。
しかしこの世界のほとんど誰もが、中国はどんな攻撃をしてくるかわかったものでは無いと思うようになっています。
アメリカ自身も、サイバー・スパイ活動については潔白ではありません。
むしろ積極的にその子に関わってきましたが、一方で国を守るという点においてならその正当性は確立されるという認識を持っています。
それと同時に、こうした活動について一定のルールを確立するため、各国が参加して「サイバー軍縮」会議を行うべきだという考えも持っています。
しかし今回、マンディアント社の報告書は、中国が国家安全保障のため行っている活動の中に、窃盗以外の何ものでもない行為が含まれれていることを明らかにしました
明らかになった教訓のひとつ、それはすべての企業がセキュリティを強化しなければならないという事です。
バラク・オバマ大統領は、アメリカ国内の企業と政府機関が、より緊密に情報交換を行うよう呼びかけました。
これまでは各企業とも、顧客や投資家に対する配慮から、ハッキングの被害についてはできるだけ明らかにならないようにしてきました。
しかしこれからは企業自身の利益を守るためにも、こうした情報を進んで公開していく必要があります。
アメリカ政府も、こうした犯罪行為に国家が関わることは容認できない、そのことをはっきりと意思表示する必要があります。
これまでアメリカ政府は、中国によるサイバー攻撃の問題については、非公開で中国側の担当者との記容疑を行い、解決を図ろうとしてきました。
しかし今回、中国の卑劣な犯罪行為についてこれだけはっきりした証拠が示された以上、はっきりと名指しで非難することも考慮する必要があります。
[Control],[Alt],[delet](再起動)
中国側の新たな指導者が教訓とすべきものは、もっとあります。
新たな指導者となった習近平氏は、中国が法による支配をきちんと受け入れた上で、数々の改革を行う必要性を強調しました。
彼がもし心からそう思っているのであれば、今がそのための絶好の機会です。
中国はマンディアント社の報告書には欠陥があり、「技術的根拠」が示されていないと批判しています。
しかしそんな態度では、みすみす機会を逃してしまうことになります。
例えそのことが秘密主義を専らとする共産党政権の実力者たちの癇に障るようなことであっても、サイバー攻撃に国家の機関が関わるような行為は、結局は政権担当者たちの立場を損ねるものであるという認識を、習近平氏はしっかりと持ち続ける必要があります。
それをしなければ、今後西側の各国が「中国の脅威」について語られる場で中国が行う発言は、各国により相手にされなくなる可能性があります。
さらには中国企業が海外で買収を行なったり、海外支出を図ろうとしてもねその意図を疑われることになるでしょう。
中国は盗賊の集団と化したその軍を、法の下での規律ある組織に戻す取り組みを始める必要があります。
http://www.economist.com/news/leaders/21572200-if-china-wants-respect-abroad-it-must-rein-its-hackers-getting-ugly
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中国61398部隊の暗躍については、日本ではそれほど大きく扱われることも無く、何だかさらっと流されてしまった観があります。
しかし、アメリカ、イギリスのメディアは2回、3回と続報を掲載しています。
なかでもこのエコノミストの記事は秀逸だと思い、ご紹介することにしました。
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写真集(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)
アメリカNBCニュース 2月24日
一息つくアフリカ、マリ共和国の労働者。2月24日、ガオ。(写真下、以下同じ)
オペラハウスロイヤルバレエのオープンに向けて。2月23日、ブラジル、リオデジャネイロ。
地中海の南フランスの海岸に立つ男性。2月23日、フランス、ニース。
アメリカ中西部を襲ったブリザードのため、立ち往生してしまった車の列。2月23日、カンザス州オーバーランド・パーク。
夕日に染まるサハラ砂漠。撮影年月未表記。
ものすごく金がかかる上に、危険極まりないエネルギー開発手段をわざわざ択ぶ理由を、国民に対し明らかにせよ
ランジット・デヴラジ / インター・プレス・サービス(IPS・イタリア)1月25日
インドは約5年前に原子力発電国の仲間入りをしました。
これでインドはすぐにでも石炭や石油への依存から脱却し、経済成長の進行に合わせて必要な電力を供給するための方法を見つけだのだと、その時誰もが思いました。
今ではインドの原子力産業は19基の原子炉を持ち、約4,000メガワットの発電量を実現するに至りました。
1974年に初めて核実験を行って以来、1994年にはアメリカ合衆国が主導する包括的核実験禁止条約に反対するなど、紆余曲折を経てたどりついた道でした。
189か国が加盟したした核拡散防止条約(NPT)への調印を拒否した事もまた、インドの孤立化を招きました。
しかし2008年9月、米国はインドと原子力協定に合意し、NSGに特別扱いを提案、原子力供給国グループ(NSG、日本など45カ国)がインドへの禁輸解除を承認しました。
禁輸解除に伴い、インドはその長い海岸線沿いに海外からの投資を呼び込んで『原子力発電所地帯』の建設に乗り出し、2020年までにさらに40ギガワット分の原子力発電の実現を目指しています。
この計画の作成にあたった人間たちが見落としていたものがありました。
地震によって原子力発電所が事故を起こし、従来の暮らしと生計手段を奪われてしまうことを恐れ、猛烈な反対運動に立ち上がった農民たち、漁師たち。
そして知識人を中心とするグループが告訴を行い、最高裁が推進を見合わせるよう下した判決です。
「インドの海岸線一帯に、おびただしい数の原子力発電所を林立させるという計画に対し、原子力発電がどんなものかあまり知られていなかった始めの頃は、心配する人はほとんどいませんでした。」
アメリカのプリンストン大学にある二つの研究機関、原子力の未来に関する研究所、そして科学と地球環境保全プログラムから指名を受け、共に研究をしているM.V.ラマナ博士がこう語りました。
「しかし原子力発電所が多量に使用する天然資源をめぐる争いは激しくなっており、新たな原子力発電所を建設することに対する反対は年ごとに強まっていくでしょう。たとえば原子力発電所は多量の水を必要としますが、インド国内の水不足の問題は年ごとに深刻になっているのです。」
IPSの電子メールでのインタビューに対し、ラマナ博士がこのように答えました。
「漁民たちはすでに自分たちの生活が、原子力発電所によって脅かされている事実を目の当たりにしています。原子力発電所、および関連する産業による海への排水は中でも重要な問題です。」
現在西マハーラーシュトラ州のジャイタプルではフランスのアレバ社によって建設が進められている、9,900メガワットの原子力発電所に対する激しい反対運動が展開されています。
また、南タミル・ナド州のクーダンクラムでも同様の反対運動が起きています。
ラマナ博士は住民の移転が大きな問題なっていると語りました。
「原子力発電によってこれまで行われてきた補償は、到底満足できるレベルのものではありませんでした。」
国内で膨れ上がる一方の原子力発電に対する反対運動に対し、原子力産業はどう対処したらいいのでしょうか?
「まず第一に原子力産業側は、インドの野心的な原子力発電所建設計画と民主主義の実現とは、相いれないものであるという事を理解しなければなりません。」
ラマナ博士がこう答えました。
「クーダンクラム、ジャイタプル、いずれの場所の反対運動も、住民たちの意見が政策に全く反映されない事への怒りによって、大きくなってきました。
特にジャイタプルの場合、地質学者によって地震に弱いことが指摘されており、福島第一原発と同じような事故が起きることへの恐怖が大きくなり続けています。
インドの代表的な地震学者で、世界的にも有名なバンガロールにあるインド天体物理学研究所の教授のビノード・クマル・ガウアー博士は、発電所が行った付近一帯の地盤に関する調査には、重大な欠陥があると指摘しました。
ガウアー博士によると、1967年に発生したマグニチュード6.4の地震により、ジャイタプル原子力発電所から110キロの場所にあるコンヤダムに、大きな亀裂が生じたことは、深刻な懸念材料になり得ると語りました。
もう一つの重大な懸念は、1524年、ジャイタプルから北に100キロの場所が巨大津波に襲われた記録がある事です。
これまでインドでは原子力発電所の建設計画において、津波による被害、離れた場所で発生する地震による影響については、検証が行われてこなかったのです。
「科学的な調査を通して確証、または反証を積み上げていくことは、ジャイタプル原子力発電所の地震の発生に対する安全性について検証する際、非常に重要な要素になります。」
「日本の福島第一原発で起きた事故が証明したものは、原子力発電所の設計においては、
可能性のあるあらゆる災害について、ひとつも漏らすことなく備える必要があるということなのです。」
ガウアーはIPSの取材に対し、こう答えました。
「同時に大切なことは、人々が疑いを抱くことの無いよう、科学的調査によって得られた結果を誠実に開示することです。」
ラマナ博士は、今こそインド原子力発電庁(DAE)はその秘密主義を止め、計画されている原子力発電所に関する情報開示を行い、発電所周辺の住民を中心に、国内において幅広い議論を行うべき時が来ていると語りました。
「インド原子力発電庁(DAE)は、建設中の原子炉は『100パーセント』安全であり、原子力発電所が事故を起こす確率は限りなくゼロに近いなどという、科学的に全く根拠のない主張を止めるべきです。たとえその確率が小さいものであっても、原子力発電所が事故を起こさないなどという事はあり得ないのです。」
「原子炉を稼働させれば、放射能汚染物質の漏出を避けることは出来ません。そして温排水の問題が加わり、周辺の環境に影響が及ぶことになります。影響がどの程度のものになるか、その点に関する議論こそが必要なのです。影響があるかどうか、『影響が無い』などという事はありえないのですから。」
「もしその地方の住民が、原子力発電所の建設を受け入れることはどうしてもできない、そう結論を出した場合には、原子力発電庁は建設計画を取りやめなければなりません。」
しかし原子力発電庁は、クーダンクラム原子力発電所の建設に反対する『原子力発電に反対する国民運動(PMANE)』が要求した、公開協議の開催を拒否しました。
「公開協議の場を設けることは、福島第一原発の事故の後、特に大切になった事のはずです。」
PMANEのリーダーであるS.P.ウダヤクマル氏がこう語りました。
「福島第一原発の事故は、原子力発電所が事故を起こせばどれだけ恐ろしいことになるか、人々が理解するために最適な材料になりました。」
「市民が繰り返し公開協議の開催を求めている以上、このものすごく金がかかる上に危険極まりないエネルギー開発手段をなぜ選択するのか、関連する一連の問題を説明するため、首相は自ら進んで公開協議の場に臨むべきです。」
同じく原子力発電に反対する立場の、グリーンピース・インドのカルナ・ライナがこう語りました。
そして野心的な原子力発電所建設計画の前に、さらなる壁が築かれることになりました。
インドの著名な知識人たちが、司法による詳細な安全性の検証が終わるまで、すべての原子力発電所の建設を中断するように求める嘆願書が、2011年10月、最高裁判所に提出され受理されたのです。
この嘆願書はインドの核開発計画が、国民の「生きるための基本的権利を侵害している」と訴えています。
http://www.ipsnews.net/2013/01/all-unclear-over-nuclear/
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この記事が伝えているデモの様子は、一度ご紹介したことがあります( http://kobajun.biz/?p=4707 )。
インドの正常に関しては知識が無くコメントできませんが、過去にご紹介した中にはインドの場合は、かえって小規模な再生可能エネルギーによる発電の方が問題が少ないという記事もありました( http://kobajun.biz/?p=6069 )。
原子力発電の素性のいかがわしさを感じる報道です。
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【 ご存知ですか?北半球で最も寒い場所での生活 】
アメリカNBCニュース 2月18日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)
1月の半ばにシベリアの都市、ヤクーツクを訪れた人は、視界にある何もかもが真っ白に覆われている様子を見て、呆然とすることでしょう。
雪の上に突き出ている信号、そしてガスのパイプラインのおかげで、どこが道路なのかがかろうじてわかります。
何もかもが霜と凍った霧で覆われ、気温が氷点下48度の中にいると、このまま世界が凍りついてしまうような恐怖にも似た感情に支配されます。
北極圏にあるオイミャコン渓谷は、北半球で最も寒い場所として知られています。
この地方での気象観測は1920年代の終わりに始まりましたが、1933年には摂氏マイナス67度(華氏マイナス88度)の最低温度を記録しました。
それでもオイミャコン渓谷の中心にあるトムトアには、学校も、郵便局も、銀行も、そして空港すらあり、人間に必要な文明は揃っています。もっとも滑走路が一本だけのこの空港が利用できるのは、夏の間だけですが。
私はどうしたらこのように過酷な環境の中で、人間が暮らしていけるものなのか、この場所の人々に尋ねずにはいられませんでした。
40代の陽気な村人、セルゲイ・ズヴェレヴがまだ学校に通っていたころ、気温が摂氏マイナス65度まで下がったことがあり、さすがにその時は休校になったと話してくれました。
しかしその日、彼とクラスメートたちは凍りついた道路の上でサッカーを楽しんだそうです。
(上の写真)ロシア北東部にあるサハ共和国のヤクーツク郊外、レナ河畔に氷で作られた、ギリシャ(ロシア)正教の祭壇。1月17日。
英国気象台によれば、1933年、オイミャコン渓谷では摂氏マイナス68度を記録したことがあり、これは20世紀以降北半球で観測された気温の中で最低の記録です。
トラックに氷のブロックを積み込む男性の顔も凍りついている。ヤクーツク郊外、1月17日。(写真下・以下同じ)
トラックの運転席の中で酒を飲む男性。イティクイリョル村、1月20日。
トムトア村の民家。1月24日。
1月26日、オイミャコンの村でポーズをとる女の子。
41歳の気象学者セルゲイ・ブールツェフが、トムトア村の上空に観測気球を飛ばす準備をしていました。1月30日、オイミャコン。
サハ共和国のヴォストークナヤ気象観測所付近。1月20日。
サミュエル・バーク / アメリカCNNニュース 1月25日
その母親は自分の娘の顔を、まっすぐ見ることすらできませんでした。
そしてうなだれ、恥ずかしさに身を縮めながら、なぜ娘を麻薬組織に差し出さなければならなくなったのか話し始めました。
多くのアフガニスタンの農民たちがそうするように、少女の父親もまたアヘンの栽培をするために麻薬密売人から金を借りました。
しかしアフガニスタン駐在の多国籍軍部隊、そしてアフガン政府は麻薬栽培の根絶に取り組んでいます。
そして少女の父親が栽培したケシの実も、彼らによってすべて破却処分されたのです。
少女の父親は借金を返すあてが無くなってしまいました。
麻薬組織は返済を迫り、返せないと解ると父親を引き立てて行ってしまいました。
「私は夫を解放するために、娘を差し出さなければならないのです。」
少女の傍らで、母親はこう説明しました。
少女はどう見ても6歳以上には見えません。
ヘロインの精製前の状態であるアヘン、その90パーセントはアフガニスタンで作られています。
原料となるケシの栽培はこの地にあっては割の良い商売だったのです。
世界の世論の圧力の前にアフガニスタン政府はケシの違法栽培の取り締まりに乗り出し、違法に栽培されたケシを片っ端から破却して行きました。
その結果この少女の場合のように、借金のかたに娘を差し出すという悲惨な状況が無数に生み出されることになったのです。
「奴らはタリバンよりもずっと強力な上に、血も涙も無い連中なのです。」
子供2人を連れ去られてしまった父親が、アフガニスタンの麻薬組織について語りました。
捕えられている娘の姿の上に脅迫文が書きこまれた写真が送りつけられ、彼は麻薬組織から電話で20,000ドルの支払いを要求されました。
繰り返される悲劇はアメリカのテレビ局PBSのドキュメンタリー番組『フロントライン』で、『アヘンの花嫁たち』というタイトルの番組としてまとめられ、数々の賞を受賞しました。
取材を行ったのはアフガニスタンのナジブラ・クライシ、プロデューサーはアメリカのジェイミー・ドランです。
家族が取り戻すことをあきらめると、少女たちはパキスタンやイランなど国外に連れ出され、そこで麻薬の運び屋として使われるか、性的奴隷にさせられるケースが多い、クライシがCNNのクリスティン・アンマプアーにそう語りました。
PBSの番組は、もう一人の不運なアフガニスタンの農民の物語を描き出します。
「それが現実だとは、とても思えないような悲惨な話でした。」
番組の制作者であるジェイミー・ドランが、CNNの番組の中でこう語りました。
「この農民は麻薬組織に借金を返済することが出来ませんでしたが、娘を引き渡すことを拒否しました。そのあと私たちは、折り畳みナイフで首を切られた彼の姿を、フィルムに収めることになりました。娘の引き渡しを拒否すれば、こうした形で報復を受けることを覚悟しなければなりません。」
番組制作者によれば、アフガニスタン政府は取締りによって農民たちの命が危険にさらされていることを知ってはいますが、アヘンの違法栽培の取り締まりと農民たちの保護を両立させるための方法を見つけ出せずにいます。
一人の少女が幸運にも麻薬組織の手から逃れることが出来ました。
その時どれだけ辛い思いをしたか、私たちに話してくれました。
「彼らは、私に着替えることを許しませんでした。着ているものを選択するための石鹸も与えようとはしませんでした。しまいには着ているものが、みなボロボロになってしまいました。奴らは私にありとあらゆる虐待を加えました。もう2度と奴らの下には、連れて行かれたくありません。」
たとえ少女たちが逃げ出すことに成功したとしても、家族の居場所がわかるまでは隠れる場所がありません。番組制作者たちは、彼女たちの逃走ルートの途中にかくまってくれる場所を見つけましたが、30人も入ればすぐに満杯になるような場所でした。
麻薬組織から逃走した少女たちは、数千人とまではいかないまでも、数百人はいるものと番組制作者たちは考えています。
「こうした状況の中、NATOと国連の役割は微妙なものです。」
番組制作者のドランが語りました。
「国連とNATO国際治安支援部隊は、農民たちの困窮の直接の原因を作っている訳では無いし、ケシの違法栽培の取り締まりを直接行っているわけでもありません。しかし、アフガニスタン政府の警察が取り締まることができるのは、国連やNATO軍が警備してくれるからなのです。
国連やNATO軍は「自分たちはこの問題には無関係だ。」と話していますが、農民の保護をしないまま取締りだけをする警察は、NATO軍の保護なしでは何もできないのです。
一方でドランは、この問題の本質は麻薬中毒患者の存在にあると語りました。
「世界中にヘロイン中毒患者がいて、彼らが常に麻薬を欲しがっているために、アフガニスタンの農民たちは違法なケシの栽培に手を出すのです。この問題の根本的な解決方法など、私にはわかりません。アフガニスタン政府だけが、責められるべきでもないと思います。」
「世界中の人間が、もっとよく考えなければならない問題だとおもいます。」
クアイシがこう語りました。
眼前に迫っている問題、それは多国籍軍が2014年にこの地を去ってしまったら、この恐ろしい状況がなお一層悪化する可能性があるという事です。
Selling little girls to pay back debt
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言葉も無いとはこの事です。
貧困の問題というものが、負の連鎖を生むという事のひとつの象徴的な出来ごとです。
こうした問題は「介入」や「援助」で簡単に解決できるものではありません。
金を撒いても、「悪い奴ら」を武器で追っ払っても、そこに深刻な貧困がある限り問題は次々生まれてきます。
子供たちに地道に教育を施し、地域の産業をじっくり腰を据えて育てていかなければ貧困は無くなりません。
下のイラクの場合は、世界4大文明発祥の地のひとつであり、もともと教育水準も高い上、石油資源にも恵まれ、宗教対立さえ緩和できればさらなる繁栄も可能です。
しかしアフガニスタンはそうはいきません。
真の「国際貢献」とは何なのか、私たちは考える必要があると思います。
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【 おしゃれ、外出、飲み明かす夜。甦るバグダッドの社会生活 】
アメリカNBCニュース 2月20日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)
AFP通信社のカメラマン、パトリック・バズは国際社会から制裁を受けていた1998年以来、イラクを報道し続けて来ました。
そして2003年、アメリカが始めた湾岸戦争以降も、打ち続く暴力の日々について報道を続けました。
そして今月、久しぶりにバグダッドを訪れたパトリックは、そのブログに以下のように綴りました。
「かつてほどではありませんが、いつまた爆発や暴力が再燃するか解らない状況の中、バグダッドの人々がどのように仕事をし、楽しみを見つけながら、普通の暮らしを取り戻そうと努力しているか、その様子を撮影しようと思いました。」
「私は、2009年以来、バグダッドを訪れていませんでした。しかし乗っていた旅客機が着陸する前から、町の様子がすっかり変わったことに気がつきました。ほぼ10年近く、バグダッドに着陸する飛行機は、ミサイル・ランチャーの攻撃を避けるため、そしていつでも再上昇できるように、らせんを描きながら着陸態勢に入ったものです。
しかしこの日私が乗ったベイルート発の旅客機は、通常のアプローチで着陸態勢に入りました。」
「以前繰り返し訪れたこの街には、笑いというものがありませんでした。今回驚いたのはその変化でした。2013年のバグダッドは以前とは全く異なる場所でした。そう、どこかに危険が潜んでいる、そんな気配も確かに感じます。しかし街のあちこちから笑い声が聞こえ、人々の微笑みを見ることが出来ます。
バグダッドっ子はショッピングにも、外食にも、そしてパーティにも出かけるようになりました。
街中にアメリカの文化やファッションが流れ込み、ファストフードの店が軒を連ねてはいても、そこに感じるものはやはり変化そのものです。
最初の感じるものは金銭的に豊かになった事。
高級な装身具やアクセサリー、高級乗用車も至る所で見かけます。
私は、ポルシェがバグダッドの通りを流しているのを見かけるとは思ってもいませんでした。
しかし一番変わったことはそうした目に見えるものではありません。
都市の中に流れている空気です。
いま、人々はずっとくつろいでいます。
どこへ出かけても私が必ず行く場所、バー、レストラン、キャバレー、真夜中でも行けるようになっていました。
午前1時から5時までは外出禁止令が敷かれますが、人々は代々午後9時ごろから飲み始め、午前零時を回る頃には、自宅に戻っています。
しかし宵っ張りは一晩中飲み続けた挙句、午前5時ごろに家路につくのです。
2009年、この街は世界で最も危険な場所でした。海外の報道関係者も、武装したボディガードなしで外出することはできませんでした。
北朝鮮の政権基盤を揺るがすための有効手段とは?
エコノミスト 2月12日
より一層厳しいものとなった国際的な非難の声も、その耳には届かなかったようです。
2月12日、北朝鮮が3度目となる核実験を行いました。
北朝鮮の発表によれば、今回使用された核爆弾は前回2度実験を行ったものと異なり、「小型で軽量化されたもの」である一方、大きな爆発力を持っています。
比喩的な言い方をすると今回の実験では、アメリカの首都ワシントンで最も大きな爆音が鳴り響いたかもしれません。
専門家が爆発による北朝鮮パンギリー(豊渓里)付近の地下振動を分析した結果、今回の実験に用いられた核爆弾は、2006年10月、2009年5月の2回の核実験で用いられたものよりも、幾分か強力なものである可能性があると語りました。
米地質調査所は振動の規模についてマグニチュード4.9相当と発表し、前2回の実験よりも大きいと発表しました。
韓国当局は今回の爆発規模はTNT火薬に換算して6,000 - 7,000トンに相当するものだとしています。
いずれにしても、前回の規模を上回っています。
しかし今回強く懸念されるのは爆発の威力では無く、それが『小型軽量化』されたという点です。
国際的な分析機関は、昨年12月北朝鮮が衛星軌道に乗せた『ウンハ3型』の弾頭に装着するのに、ちょうど良いサイズの爆弾の試験を行ったと見ています。
もしピョンヤンのボスたちが要求する大気圏再突入の技術を手にすることが出来れば、北朝鮮は小型ロケットを使ってアメリカ合衆国に核弾頭を打ち込むことが可能になるかもしれない、軍事分野の複数の専門家がこう指摘しています。
これからしばらくの間、世界中の専門家が今回使われた核爆弾の材料に、どのような物質が用いられたのかの分析を進めることになります。
北朝鮮は今回行われた核実験の内容を証明する、物理的な証拠を一切示しませんでした。
北朝鮮は『多様化されたプログラムを現実のものとした』と誇らしげに語ってますが、そのことは今回の実験にはプルトニウムだけではなく、高濃縮ウランが用いられた可能性を示唆しているかもしれません。
今回の実験は山岳地帯にある密閉された坑道のような場所で行われたため、爆弾の材料まで特定することは非常に困難だと思われます(2006年に行われた核実験では、プルトニウムの存在が疑われましたが、決定的証拠を得ることはできませんでした。2009年の実験では、プルトニウム使用の痕跡はありませんでした)。
しかし仮に高濃縮ウランの存在を示す証拠がどのような形にせよ認められた場合には、懸念は一層深刻なものとなります。
アメリカの首都ワシントンに拠点を置く、カーネギー国際平和基金のジェームズ・アクトンは最近の著述の中で、北朝鮮が高濃縮ウランを所有しているのであれば、これまで確認されているものと比較して著しく巨大な武器庫を建設しなければならないだろうと語っています。
もしそのような武器庫の存在が確認されれば、北朝鮮が高濃縮ウランの実験を行った疑いは決定的なものとなります。
北朝鮮の国営通信社は今回の核実験は、アメリカの敵対的行動、中でも昨年12月に北朝鮮が行った人工衛星打ち上げに対する強硬姿勢に対抗することが目的であると伝えました。
東京に本部がある政策研究大学院大学の道下徳成氏は、今回の北朝鮮の核実験の目的の第一は、アメリカを北朝鮮との直接交渉の席に座らせることだったと語りました。
おそらくはオバマ政権の注意を引くタイミングで、日にちが設定されたのではないかと語っています。
しかも2月25日に各国の新大統領が正式に就任する前のタイミングが選ばれました。
道下氏は、長い目で見れば、韓国の新大統領がこの問題を無視できるタイミングで実験が行われたと考えています。
しかし、当分の間は北朝鮮と関係各国との関係は冷え込まざるを得ないと、道下氏は語ります。
韓国の次期大統領は、実験について直ちに批難を行いました。
長い間北朝鮮の強力な同盟国であった中国は、実権前からすでに比較的はっきりした批難を行っています。
いつもながら北朝鮮の政権は、その核開発計画に対する世界の反発について過少評価をしているように感じられます。
いつもひたいに青筋を立てて怒鳴りまくるような反応をする北朝鮮ですが、昨年12月の『衛星打ち上げ』に対する国連安全保障理事会の強い批難は、北朝鮮にとっては少し意外であったかもしれません。
国連安全保障理事会は、早くも2月12日にはニューヨークの国連本部で、北朝鮮の予想不可能な行動に対する対応について協議しました。
韓国外相のキム・サン・ホアンとアメリカの新任のジョンケリー国務長官は、北朝鮮が再度核実験を行った場合には、『素早く、一致した対応』を行う事で合意しました。
しかし問題もあります。
北朝鮮の核開発への野心に対し、国際社会はこれといって有効な外交手段を持たない、という点です。これ以上の制裁措置も、とりあえずは考えられません。
今週、駆け出しの北朝鮮の指導者が世界に対し挑戦的発言をしたことで、同国の会開発計画を止めさせる努力は「ほとんど失敗した」ように見受けられます。
彼の内外に対する影響力が核兵器に頼ったものである限り、キム・ジョン・ウンが核兵器開発をそう簡単にあきらめることは無いでしょう。
しかし別のアプローチなら、政権の弱体化に効果があるかもしれません。
ひとつの方法は外の世界の情報を注ぎいれ、北朝鮮の体制側の人間が行っている不条理な支配への批判を強めることです。
そのためには北朝鮮の闇市場で、徐々に台頭を始めている資本主義的傾向を持つ人々を支援し、その商業的野心を煽ることで、イデオロギーに支配された社会に少なからぬ混乱をもたらすのです。
経済的側面からだけの働きかけですが、シロアリのように北朝鮮の政権基盤を徐々に弱らせていくことが可能です。
そしてもし、このならず者の政権がもう一度核実験を強行し、中国の堪忍袋の緒を切ることになれば、北朝鮮の金王朝に対する経済支援は縮小されることになり、それもまた世界にとって歓迎すべき事態をもたらすことになるでしょう。
http://www.economist.com/blogs/banyan/2013/02/north-korea%E2%80%99s-nuclear-test
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冷静に考えれば、当然の指摘。
本当に国民から支持されていない政権なら、内部から崩壊させる方が得策。
その方が犠牲も少なくて済みます。
これまで、北朝鮮はこれだけ好き勝手をやってこれたのは、どう考えても中国のバックアップがあったから。
その中国に対しても、国際社会はもっと強く働き掛ける必要があるでしょう。
わたしたちもその中国の問題を取り上げた世界各国のメディアの記事に、コメントを書き込むことで世界の世論作りに参加できるようになりました。
むやみに攻撃的な表現、差別語などは使ってはいけませんが、完璧な英語を書く必要もありません。
機会があれば、ぜひチャレンジしてみてください。
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【 次の冬季オリンピックの開催地は雲の上 】
アメリカNBCニュース 2月13日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)
開催まで1年を切ったオリンピックの準備のため、黒海沿岸にあるリゾート地のソチでは各種施設の建設が進み、世界選手権などのテスト・イベントの開催も行われています。
現在のところ、その進行は順調のようです。
組織委員会によれば、2013年の夏にはすべての準備が間利用することになっています。
ソチ2014年冬季オリンピックは、2014年2月7日に始まります。
「中国が行ってきたサイバー攻撃の脅威、その実態を解明すべき時がやって来た」
ザ・インデペンダント(英国) 2月19日
この数年にわたる米国および他の国のコンピュータ・ネットワークに対する、悪意に満ちたサイバー攻撃の集中砲火は、上海の周辺のとあるビルディングが発信源であることを、アメリカの民間のセキュリティ会社が特定することに成功しました。
このビルを占有していたのは中国軍でした。
アメリカ、ヴァージニア州に本社を置き、サイバー・スパイ活動を専門とするマンディアント社(Mandiant)は60ページの報告書を作成しました。
報告書は上海の浦東地区にある12階建ての、ビル名の表記が無い、通称『ユニット61398』と呼ばれている数百人、あるいは数千人の英語を話すことが出来る中国人が、中国人民解放軍(PLA)の依頼により、世界各国の主要なコンピュータ・ネットワークへのハッキングを日夜行っていると断言しています。
「『ユニット61398』の実態は中国にとっては国家機密であると考えられます。しかしそこで行われているのは、最も忌むべきコンピューター・ネットワークへの侵入であると考えられます。」
報告書の中でマンディアント社はこのように述べていますが、この見解に対し中国政府は直ちに反発しています。
「いよいよ中国が行ってきたサイバー攻撃の脅威、その実態を解明すべき時がやって来ました。そしてこうした攻撃に対し、セキュリティの専門家による効果的な防御体制を構築するための一端を担う事を私たちは願っています。」
マンディアント社はこの上海に本拠を置く集団は、中国国内にいくつもあるハッキング集団のひとつで、「早ければ2006年ごろから世界中のネットワークシステムに侵入し、141に上る多種多様な組織から、数百テラバイトものデータを盗み出していた。」と断罪しました。
その攻撃目標となった組織のほとんどはアメリカ国内にあり、これに少しの数のカナダ、英国の組織が加わっていました。
サイバー・スパイ活動は、アメリカ政府にとって緊急に対応しなければならない、大きな問題となっています。
中国によるサイバー・スパイ活動に関する懸念は、他の敵対する国々同様、企業統廃合の計画、新製品の成型書類、価格設定に関する内部文書や交渉中の大きなビジネスの気密などをまんまと盗み出されるだけではありません。
物理的な破壊能力を持つようになれば、ガスのパイプラインや送電網に対する攻撃にも備えなければならなくなるのです。
「かつての冷戦時代、わたしたちはモスクワ周辺にある核兵器施設の指令センターの動きを24時間監視し続けていました。」
マンディアント社の報告書について最初の報道を行ったニューヨークタイムズの取材に、同社の幹部がこう語りました。
「今日、この上海のコンピュータ・システムについては、ソ連の核兵器同様の脅威を持っていると言って良いでしょう。」
バラク・オバマ大統領は、先週の一般教書演説の中で、サイバー攻撃の脅威に立ち向かうための備えを強化するよう求めました。
「我々は我が国の企業秘密を盗み出している国家、そして組織をすでに把握しています。」
「そして現在私たちの敵はこの国の送電網、金融システム、広告運行システムなどを混乱に陥れるための方法を探っています。私たちはなぜあの時ちゃんと備えをしなかったのだと、数年後に公開するわけにはいきません。」
これに対し中国政府はそのような活動を行っていたことについて、一切を否定しています。
「ハッキングによる攻撃は多国籍であり、正体不明です。」
外務省の洪磊報道官がこう述べました。
「その発信源を特定するのは極めて困難です。この報告書がどうやって発信源の特定を行うことに成功したと言えるのか、検証に耐えられるだけの根拠はあるのでしょうか?」
問題のビルに近づこうとした英国BBC放送の記者は直ちにその場で拘留され、取材した一切を放棄するよう求められました。
アメリカ政府の情報機関も、民間のセキュリティ会社も『ユニット61398』の存在についてはしばらく前から把握していました。
しばしばオンライン・フォーラムに侵入し、コメントを残すことで知られ、アメリカ国内では『コメント・クルー』として、その存在が知られていました。
マンディアント社は被害を受けた企業名を公開していませんが、侵入を受けた企業は20の主力産業の141社に上ります。
コカ・コーラ社が、中国のジュース会社の買収を図った際、そしてRSA(アメリカ政府の国家機密扱いの情報管理を行っていたテクノロジー企業)も『コメント・クルー』の攻撃対象となった事がありました。
アメリカでは、天然ガスと石油のパイプラインのバルブやスイッチの遠隔操作・管理を行うための設備を国内の発電所などに供給している、テルベント社のネットワークが正体不明のサイバー・スパイによる侵入を受けた昨年9月、国内に警報が鳴り響くことになりました。
今回の報告書について、ホワイトハウス報道官ケイトリン・ヘイデンは以下のコメントを繰り返しただけでした。
「企業情報を盗み出い行為を含め、アメリカ経済、そして国家の安全に対する脅威となるサイバー侵入について、アメリカ政府は重大な懸念を持ち、なおかつそれが大きなものとなっている。」
マンディアント社の報告書は、どちらかといえば荒れ果てた浦東地区にある『ユニット61398』の中にサイバー攻撃を行うためのサーバーがある事は間違いないが、その活動に従事している人間たちもすべてその中にいるかどうかまでは把握できないとしています。
しかしながら、サイバー攻撃に従事していると一目でわかる人間など、居るはずも無いとも述べています。
[問題のビルを撮影しようとするCNNニュース・スタッフに走り寄る中国の公安]
[この件について伝えるアメリカCNNニュース]
[この件について伝えるアメリカNBCニュース]
Visit NBCNews.com for breaking news, world news, and news about the economy
http://www.independent.co.uk/news/world/asia/cyberassault-hq-how-us-is-under-attack-from-this-office-in-shanghai-8501686.html
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中国によるサイバー攻撃、予想はされていたことですが、どうやってそれを突き止めるか?という事が世界の関心事でした。
それが今回の指摘により、世界の関心は今後アメリカがどう出るか、というところですが、今のところ中国をやんわりとけん制するという「大人の対応」、オバマ政権の『対話による解決を目指す』路線に沿った対応をしています。
もちろんそこには「それでも態度を改めるつもりが無いなら、次の対応はもっと厳しくするぞ。」という含みがあります。
日本も対中国の問題で、急ぎ戦略を見直すべきかもしれません。
NBCニュースは『WARFARE(「特別な戦い方を必要とする」戦争)』という表現を使っていますが、中国のサイバー攻撃に対しては西側諸国が結束して対応して文字通りの情報戦を制し、本格的な破壊活動や人間の血が流れる武力行使をあきらめさせるのが最良の『戦い方』ではないでしょうか。
今回の件に関しては【星の金貨】で取り上げてきた世界の主要メディアが一斉に取り上げていますが、解りやすく適度な長さであること、そして報道他社の動きにも言及していることから、ザ・インデペンダント(英国)の記事を選んで翻訳しました。
下にすべての報道の口火を切ったニューヨークタイムズの記事のURLを掲載します。
インデペンダントの記事の、5倍ほどの長さがあります。
私も関心がありますので、機会があれば翻訳し、ご紹介したいと考えています。
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【 さびしい女性 】
アメリカNBCニュース 2月17日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)
自由の女神はもはやニューヨークにおいて、抜きんでた存在ではなくなってしまいました。
いま彼女の足元にあるのは、かつては観光客が歩いたリバティ・アイランドの舗道が破壊されてできた残骸や破片、そして積み上がった泥の山です。
ハリケーン・サンディがニューヨークとニュージャージー州の一部を破壊しつくしてから3カ月以上が過ぎました。
世界に冠たるアメリカの象徴の足元には、未だにその時の残骸が散乱しています。
女神像そのものには被害はありませんでしたが、多くの被災者同様、彼女の自宅は破壊されてしまいました。
自由の女神像が立つリバティ・アイランドはその75%が水没してしまいました。
島のあちこちが1.5メートル以上水没し、島内の施設はそのほとんどが破壊されてしまったのです。
破壊されたリバティ・アイランドの舗道を行くデヴィッド・ラッシュジンガー警察本部長。サンディが来襲した当時、彼とその妻はこの島で暮らしていました。(写真下・以下同じ)
島の施設は閉鎖されたままのため、毎日多額の観光収入が失われています。
破壊されたままの桟橋。
今は博物館となっているエリス島出入国管理事務所の登録室。 建物は無傷でしたが、地階の機械設備は大きな損害を被りました。
訪れる人の姿の無い博物館の回廊。
今は遠くからしかその姿を見ることは出来ない。
アメリカNBCニュース 2月15日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)
[01]
スポーツ・アクション部門第1位 『パク・ジャウィ水牛競争』
ウェイ・セン・チェン(マレーシア)
騎手の足は水牛の胴体に装着されたハーネス(引き具)を踏みしめ、その手は尻尾を握りしめています。そしてその表情は、水田の中を駆け抜ける危険なレースを無事完走した安堵感と喜びで満たされています。
パク・ジャウィ水牛競争はコメの収穫期の後、村同士の間で勝敗が競われるインドネシアの行事で、毎年見る方も参加する方も夢中になります。
2012年2月12日、インドネシアの西スマトラで撮影。
[02]
日常生活部門第1位 『ミレッラ』(シリーズ作品)
ファウスト・ポダヴィーニ(イタリア)
彼のシリーズ作品『ミレッラ』の中の一点です。
ミレッラの夫ルイージは重度のアルツハイマーを患っています。
ルイージの病状は大変重いものですが、ミレッラは少しでも回復することを願い、自身何とか前向きになろうと努力をしながら毎日献身的な看護を行っています。
その姿には、夫への愛といたわりの真情があふれています。
健常者なら数分で出来ることも、痴呆に侵された人はものすごく時間がかかることがあり、そのことが周囲の人をいらだたせます。
ミレッラは71年間の彼女の人生の中、43年間をこの世でたった一人愛する人のために捧げ、数々の困難を乗り越えてきました。
その思い出はたくさんの笑いと感動的な出来事に満たされています。
しかし6年前、その生活は一変してしまいました。
彼女は今、その生活のすべてを夫への献身的な介護に捧げているのです。
2010年7月1日、ローマ市内で撮影。
[03]
速報ニュース部門第2位 『死に至る戦い』
ファビオ・ブッチャレッリ(イタリア)AFP通信社
自由シリア軍の兵士がアレッポ市内のスレイマン・ハラビ地区で、政府軍との戦闘のため、配置につこうとしています。
2012年10月10日撮影。
[04]
ニュース部門第3位 『津波の後の日本』
ダニエル・ベレフラク(オーストラリア)ゲッテイ・イメージ・ニュース・サービス
2012年3月7日、根こそぎにされた松の木の下半分が、陸前高田市の海岸に打ちあげられていました。
一年前、巨大地震が引き金となった津波が東北地方太平洋岸に襲いかかり、15,848名の命を奪い、3,305人が行方不明となり、この地では未だに苦しい生活がつついています。
数千の人々が仮設住宅暮らしを強いられたままです。
行政はこの地の経済と日常生活を取り戻すために、積み上がる廃棄物をどう処分するか、難しい課題に直面しています。
[05]
速報ニュース部門第2位 『尋問』
エミン・ウーズメン(トルコ)
シリアの反政府勢力の兵士たちは、夜になると政府軍への内通者の逮捕を行います。
この日逮捕された2人の容疑者は有罪を宣告され、夜を徹しての拷問を受けました。
拷問を行う方も疲れ切ってしまい、途中兵士が交代し、拷問は2013年1月31日に終わりました。
48時間後、捕えられていた2人は釈放されました。
シリア、アレッポ市内。
[06]
スポーツ・アクション部門第2位 『黄金の一突き』ロンドン・オリンピック、フェンシング
セルゲイ・イルニンスキー
ロンドン・オリンピックのフェンシング男子フォイルフルーレ決勝で、エジプト代表のアラーエルディン・アブエルカッセムがドイツ代表のペーター・ヨピッヒ相手に勝利を決めた瞬間。
何年間もかけてトレーニングを行い、数千回に及ぶ試合をこなした上で、出場者は数百回の勝利を積み重ねて初めてオリンピックの表彰台に立ち、金メダルを受け取ることが出来るのです。
[07]
肖像写真部門第2位
ステフェン・チョウ(マレーシア)スミソニアン・マガジン
中国の現代美術家アイ・ウェイウェイ(艾未未)の肖像写真。
2012年2月6日、北京にて撮影。
[08]
現代問題部門第1位『ピンク色の選択』
マイカ・エラン(ベトナム)
ベトナムのダナン市内で共同生活を始めて1年になる2人の女性が、放課後テレビを見ながらくつろいでいます。
ベトナム社会は伝統的に同性愛者に対し、厳しい目を向けてきました。
長年人権問題についての指摘と批難を受けてきたベトナムの共産党政権ですが、ここに来て同性愛婚に対して検討を始めており、もし法律的に認められればアジアで最初の例になります。
2012年8月にはベトナムでは初となる、同性愛者の存在を認めるように訴えるためのパレードが、ハノイ市内で行われました。
[09]
総合問題部門第1位
ミカ・アルバート(アメリカ合衆国)フリーランス・ドキュメント写真
ケニアのナイロビ市内、約100万人の人々が暮らすスラム街の近くにある広さ30エーカー(約12ヘクタール)のゴミ捨て場で、ごみを拾って生計を立てている一人の女性が、雨あがりのひと時、寸暇を惜しむようにして本に見入っています。
彼女は工場向けの部品カタログですら、見るのを楽しみにしています。
「来る日も来る日もごみをより分ける生活以外の世界が、本の中にはあるでしょう?!」
[10]
総合ニュース部門第1位
ロドリーゴ・アブドゥ(アルゼンチン)AP通信社
写真の中で涙を流す女性アイーダは、2012年3月10日にイドリブ市内でシリア政府軍が行った砲撃により自宅を破壊され、重傷を負いました。
彼女の夫と2人の子供たちはこの砲撃で、致命的な重傷を負ってしまいました。
[11]
人々の肖像部門第3位
イローナ・シュワーク(ポーランド – アメリカ)レドュー・ピクチャーズ・フォト・エージェンシー
カイラという名の少女が、彼女そっくりの人形を抱き、祖先の肖像写真の前に立っています。
「アメリカン・ガール」という名の人形は、持ち主そっくりにカスタマイズできる人気商品です。
2012年2月19日マサチューセッツ州ボストン。
[12]
自然写真部門第1位『ロス海の皇帝ペンギン』
ポール・ニックレン(カナダ)ナショナル・ジオグラフィック
2011年11月18日、南極のロス海で泳ぐ皇帝ペンギンの群れを撮影した写真です。
いくら動物生理学が進歩しても、南極の氷が失われ、その生態系が破壊されていくのを座視していてはどんな意味もありません。
動物生理学の新たな研究結果により、皇帝ペンギンは羽の中にためた空気の泡をまき散らすことにより、通常の3倍のスピードで泳ぐことが出来ることを明らかにしました。
泡がペンギンの羽と冷たい海水の間の抵抗を減少させ、海中での加速を可能にしているのです。
ペンギンたちは時速30キロのスピードで泳ぎ、ヒョウアザラシの襲撃から身を守ったり、氷の上に飛び上がったりしているのです。
[13]
第56回国際報道写真賞大賞
ポール・ハンセン
2012年11月20日パレスチナ、ガザ市内。
幼い子供たちの遺体が叔父たちに抱かれ、埋葬される前にモスクで埋葬のための儀式を行うため運ばれて行きます。
子どもたちの家はイスラエル軍のミサイル攻撃により破壊され、2歳のスハイーブ・ヒジャージーと3歳の兄、マホメットが死亡しました。
子どもたちの父親も死亡し、母親は集中治療室の中です。
http://www.nbcnews.com/id/50822547/displaymode/1247?beginSlide=1
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今日は毎日掲載している方の写真集の拡大版をもって、本日の掲載とさせていただきました。
一枚一枚の写真に、言葉では尽くせない程のドキュメンタリーが盛り込まれています。
NBCのサイトでは18点が紹介されていますので、興味をお持ちの方は上記のURLをクリックし、NBCのスライドショーをご覧ください。
個人的に一番感動したのは[2]、一番好きなのは[9]です。
いずれも暮らしていくのに厳しい環境の中、人間としての尊厳を失わない気高い姿に感動しました。
そして大賞の[13]、この時の報道は【星の金貨】でも昨年11月にお伝えしました。
(【 戦争とは何か?! そんなことも解らぬうち、殺されてしまったこどもたち 】http://kobajun.biz/?p=6399 )
戦争とは結局、無関係な子供たちの命まで、容赦なく奪っていくものなのだという事を如実に物語っています。
2歳や3歳の子供たちに無残な死に方をさせることに、いったいどんな意味があるのでしょうか?
この時のCNNが世界に向けた報道の事を思い出しました。
「暴力を止めさせるため、あなたが声を挙げてください!」( http://kobajun.biz/?p=6399 )
そしてツイッターやフェイスブックでの発信を始め、世界中から膨大な数の抗議がイスラエル政府に向けられました。
イスラエル政府も自国の立場を擁護するため、ツイッターなどをフル活用しましたが、今度はアノニマス集団がイスラエル政府に対し『電子戦争』の宣戦布告を行う( http://kobajun.biz/?p=6375 )など、インターネットの世界での反イスラエル「活動」は拡大の一途をたどりました。
ここにおいてついにイスラエル政府は戦争の継続を断念し、戦闘行為の停止に追い込まれたのです。
【 何よりも人倫的観点を優先し、原子力発電廃止を決めたドイツ政府 】
再生可能エネルギーに否定的なジャーナリストに対する、イギリス各界の反応
ザ・ガーディアン(英国) 2月5日
例によってイギリスのコラムニストであるジョージ・モンビオットが2月5日付の『原子力発電の終わり?もっと注意深く考えてください』と題したコラムで、昨年のドイツの二酸化炭素の排出量が5%増加したことをやり玉に挙げました。
しかし彼は長期的な計画の中の、ある特定の期間だけを取り上げ、挙げ足を取ったに過ぎません。
ドイツは、急進的とも言える「エネルギー政策の転換」に乗り出しています。
ドイツのような経済規模が大きな国がエネルギー政策を転換させる以上、その巨大な船体が進路を変更するまでに若干の紆余曲折があるのは当然のことです。
しかしひとたびその巨大な船体が進路変更を完了し、新たな航路に向けすべり出せば、全く新しい概念のエネルギー政策に支えられた新しい社会的枠組みの完成を目指した航海に乗り出すことになり、ヨーロッパの旗艦としての役割を担うことになります。
そしてモンビオットが問題にした二酸化炭素排出量も、2050年には現在の20%にまで削減が進むことになり、その行程は順調です。
様々な障害が立ちはだかることは承知の上で、ドイツ政府は何よりも「人倫的観点を優先する」との立場をとり、原子力発電の廃止を決定しました。
福島第一原発の事故のような、人も生活も環境も破壊してしまう事故の脅威に国民をさらし続けることこそが、非論理的だと考えたのです。
そのためにドイツは現在、再生が可能であり、しかも安全なエネルギーシステムの研究開発に、何十億何百億という単位で資金の投入を行っています。
一方でドイツは完全に原子力発電を廃止するまでの代替手段として、熱源と電力を組み合わせたエネルギー技術を実用化するなど、徐々に二酸化炭素の排出量を減らす取り組みも行っています。
言い換えればドイツは、ビジョンを明快にしつつ、こなすべき行程を着実に消化しているのです。
ひるがえってわが英国はどうでしょうか?
次々に明らかにされる「不都合な真実」には目をつぶり、原子力発電推進の立場を変えていません。さらに環境への負荷がどうなるか、未だ検証が不十分な水圧破砕の導入すら検討しています。
世界は今、大きな変革期に入っています。
このようなときには、思考の基礎にしっかりした人倫的観念を持ち、この国の将来について先の先まで見通し、負の遺産を作り出さない指導者、そして啓蒙を行う人々が必要なのです。
カミラ・ベレンス
英国反原子力発電活動家
原子力発電はただ単に発電を行うための技術であり、熱変換効率は最大で35%と、石炭同様能率の悪い発電手段です。
そして原子力発電がおこなわれる過程で生み出される核廃棄物は、その最終的処分方法が未解決のまま放置されており、その処理のためいったいどれだけの費用がかかるのか、計算することもできません。そして高レベル放射性核廃棄物は他の物質とは比較にならない程危険であるにもかかわらず、これから一体どれほどの量が蓄積されることになるのか、その見通しすら立っていません。
一方、二酸化炭素の清浄化技術はすでに実用化されていますが、気候変動と環境破壊を最小限にとどめるためには、化石燃料はそのまま地中に留めおいた方が得策です。
ひとり再生可能エネルギーだけが電気だけではなく、熱やバイオマスなどによる燃料の生産も可能です。二酸化炭素を排出する事もありません、永遠に。
これからの社会において、必要なエネルギー源を確保するためには、エネルギー使用効率が劇的に改善されつつある再生可能エネルギー・プラントの建設こそ、最も確実・安全な方法なのです。
時代遅れとなった原子力発電や化石燃料にしがみつくことは、あらゆる観点から得策ではありません。
ジョン・トゥイデル博士
ホーニングホールド、レスタシャー
使用年限の到来によって廃炉にされていく原子力発電所を、すべて再生可能エネルギーによって肩代わりさせることにより、英国の将来の電力需要を賄い、エネルギー安全保障を実現するのはまだ難しいと考えています。
セラフィールド原子力発電所の廃炉作業については、必要とする費用や時間に関する数値が公表され、その金額の大きさが論議の的となりました。
その検証について、かつて核軍拡競争が行われていた当時、核廃棄物をどう処理するのか、現在程の知識も見識も無かったために、不要になった兵器の処理費用が、想定もしていなかった莫大な金額になった事を考えることは無駄ではないかもしれません。
しかし現在の民間事業としての原子力発電については、計画の初めから将来必要になる廃炉費用、そして排出される高レベル放射性核廃棄物、低レベル核廃棄物の処理方法を確立してその費用を算定の上、予め費用として計上するのであれば、冷戦時代の産物である核兵器を廃棄するために必要となる金額程、莫大なものにはならないはずです。
サイモン・ハリソン博士
エンジニアリング・テクノロジー研究所
サイモン・ホガートは2月2日に掲載したコラムの中で、風力発電用のタービンは景観を台無しにするだけでなく、「発電手段としても、きわめて貧弱なものだ。」と批判しました。
私は彼の個人的感想にまで立ち入るつもりはありませんが、その根拠のあいまいな技術に関する見解を見過ごすわけにはいきません。
風力発電タービンはきちんと機能しています。
その建設のために費やされた費用は、電気の形に変えて、ほぼ一年以内に返済を終えることができます。
以降毎年、石油・石炭に代わって電気を生産し続けます。
昨年の9月には、英国内で消費される電力の10%を風力発電が賄いました。
20年前にはどのような手段を用いて発電を行っていたかを考えると、決して悪い話ではありません。
確かに風力タービンを建設するための土地には限りがありますが、代わって現在は洋上風力発電の設備が積極的に進められており、この方にはまだまだ将来性があります。
ジェイミー・テイラー
エディンバラ
サイモン・ホガートが風力タービンの性能に対する信頼について、「宗教的なものに近い」と書きました。
それをそのまま信用すれば、その「宗教」を信奉する人々は世界中に数限りなく存在します、数百万数千万の中国人を含めて。
中国は風力発電の大規模設備建設をすでに開始しています。
やがて世界中で風力発電に関する技術開発が各国で進み、実用化が図られれば、旧来の方法にしがみつく英国は、またしても技術的に後れを取ることになります。
フェイ・マーシャル
ワージング、西サセックス
http://www.guardian.co.uk/environment/2013/feb/05/changing-course-on-nuclear-power?INTCMP=SRCH
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この記事は2月6日にガーディアンに掲載された、英国の原子力発電推進派のコラムニスト、ジョージ・モンビオットの「The end of nuclear power? Careful what you wish for(原子力発電を終わらせたい?何もかも解った上で、そんなことを言ってるんでしようね?!) http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2013/feb/04/end-of-nuclear-careful-what-you-wish-for というコラム記事に対する、コメントその他をまとめて一本の記事にしたものです。
モンビオットの記事そのものは訳しませんでしたが、概略は以下のようになります。
まず、イギリスのセラフィールド原子力発電所に高レベル放射性核廃棄物、その他の核廃棄物が蓄積されている問題を認めた上で、二酸化炭素の排出の方がもっと深刻な問題だとします。
そして実際に原子力発電所の廃止を決めたドイツでは、停止させた原子力発電所の分を主に火力発電所に肩代わりさせたため、核廃棄物以上の『悪役』、二酸化炭素の排出量が5%増えた、と非難しています。
しかしそれは翻訳した中にあるように、原子力発電から二酸化炭素をほぼ全く排出しない再生可能エネルギーへの移行期、一時的に火力発電に頼った、その「瞬間風速」値に過ぎません。
モンビオットもそうですが、原子力発電推進の立場の「論客」のほとんどが、「現在の状態」が未来永劫続くような言い方をして、問題の本質をごまかそうとします。
さらには[原発はクリーンエネルギーなどではない!原発の有毒核廃棄物を処理し、安全に貯蔵し続けるための設備は、大量の二酸化炭素を放出 ](ル・モンド・ディプロマティーク http://kobajun.biz/?p=1612 )という指摘もあります。
原子力発電が地球温暖化を防止するなどという論理もまた、欺瞞に過ぎない事が解ります。
これ以上いちいち論駁していくと、際限も無く長くなります。
一言にまとめましょう。
原子力発電の推進が口にする「科学」、それは自分たちにとって都合が良い部分だけを抜き出したものなのです。
原子炉の数が多ければ多いほど、「危険な」原子力発電所になる!
マシュー・ワルド / ニューヨークタイムズ 1月22日
2011年に発生した福島第一原発の事故は、地震、洪水、その他の大災害が発生した際には、複数の原子炉が一度にメルトダウンし、発電所側は同時にそれらに対処しなければならなく可能性がある事を、アメリカの原子力産業界と規制当局に対し警鐘を鳴らす結果となりました。
現在アメリカの関係各当局は、この課題を解決するための作業に取り組んでいます。
福島第一原発の事故では3基の原子炉が同時にメルトダウンしましたが、原子力発電に批判的なあるグループが、アメリカ原子力規制委員会の高い地位にあるアナリストが、福島の事故が発生する4年前の2007年7月、すでにこうした事故が起きる可能性について言及していた文書が存在することを突き止めました。
この文書はさらに2008年8月、原子力規制委員会がその可能性がある事を公式に認めたことを証明していました。
しかし実際に福島第一原発の事故が発生するまで、アメリカの原子力産業界はこれといった対策も行いませんでした。
アメリカの憂慮する科学者連盟の原子力の専門家であるデイヴ・ロックバウムは、この問題について別の事実を例に挙げました。
スペースシャトル・コロンビアが帰還のため大気圏に再突入後空中分解を起こし、乗組員全員が犠牲となった事故で、コロンビアが軌道を周回している間、機体が損傷しているのではないかと疑う技術者が居たにも関わらず、NASAの幹部が仮に問題が発見されても出来ることはほとんどないとする立場から、調査を制限した事例です。
複数の原子炉が同時にメルトダウンを起こすことに備えることは、「事前の警告により、その心構えをする」よりも、「事前の警告により、それを防ぐための仕組みを作る」ことの方が効果的であると彼は考えています。
この警告は今となっては、予言めいたもののように聞こえるかもしれません。
しかし当時、「起こり得る事故」について述べていたものなのです。
すなわち、それ自身は極めて堅牢な作りを持っており、しかもそれぞれ独立している複数の装置が、何か一つのことがきっかけになって同時に作動しなくなる可能性について、検証するよう求めていました。
危機管理の専門家であるリチャード・シェリー氏は、地震や洪水は、通常使用している電源と非常用電源、その両方を一度に破壊してしまう可能性があると書いていたのです。
シェリー氏は福島第一原発で実際に発生した「発電所内全交流電源喪失(station blackout または S.B.O.)」について、すでにその可能性を指摘していたのです。
シェリー氏は「発電所内全交流電源喪失」が一系統の電源だけに留まり、発電所内の職員が他の系統の電源(たとえば携帯用の非常用発電機)を使ってディーゼル・ポンプなどを作動させれば、その時必要な危機に対応できるという考え方に疑問を呈していました。
複数の原子炉がメルトダウンを起こした場合には、現在の非常用設備だけでは対処しきれなくなるのではないかと考えていたのです。
アメリカ国内では、36か所の原子力発電所が、複数の原子炉を稼働させています。
いくつかの原子力発電所は3基を稼働させています。
そしてジョージア州オーガスタ(ゴルフのマスターズ・トーナメントの開催地)近くのヴォグトゥルでは稼働中の2基の原子炉に加え、新たに2基の原子炉が建設中です。
しかしもちろんまだ、「それみたことか!」と口にすべき事故は起きていません。
3基の原子炉がメルトダウンするなどという事故は福島で起きたことであり、アメリカ原子力規制委員会の管轄下では起きてはいません。
しかしロックバウム博士は、原子力規制委員会は安全性は確保されていると考えるのではなく、複数の原子炉の同時メルトダウンという問題が存在する、そのことを肝に銘じるべきだと指摘しました。
福島第一原発の事故の発生以前に、すでに複数の原子炉の同時メルトダウンという問題が提起されていましたが、原子力規制委員会の「標準的な安全基準」の中には未だに組み入れられていません。
ロックバウム博士と憂慮する科学者連盟は、過去にもこの問題について指摘を行ったことがあります。
原子力発電所の事故では、破片やがれきのために冷却水のポンプが詰まってしまう危険性があると指摘しましたが、15年間未解決のまま放置されています。
原子力規制委員会のスポークスマンであるスコット・バーネルは、2007年のメモの存在については別の見解を示しました。
彼は電子メールの中で、「複数の原子炉の同時メルトダウンという極めて小さな可能性」については、シェリー氏が初めてその指摘を行った訳では無く、原子力規制委員会もこの問題については検討を重ねてきており、その都度適切な情報分析を行ってきたと返答しました。
この回答にロックバウム博士は疑問を呈しました。
「もしシェリー氏が2007年に行った指摘を、原子力規制委員会がしっかりと受け止めていれば、今頃はどの原子力発電所も、複数の原子炉のメルトダウンに対する備えが万全になっていたはずです。」
彼はこう語りました。
「原子力規制委員会は本当に、シェリー氏の指摘を真剣に受け止めていたのでしょうか?だったらなぜ、同じ原子力発電所内に3基も4基も原子炉を作る事はきわめて危険なのだと、警鐘を鳴らさなかったのでしょうか?」
http://green.blogs.nytimes.com/2013/01/22/an-early-nuclear-warning-was-it-for-naught/
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アメリカ国内の原子力発電所では、同じ敷地内には普通、3基も4基も原子炉を建設したりしない。
この記事を読んで、改めてその事に気がつきました。
福島第一原発の原子炉の数が6基もあるというのは、世界の『常識』から言うと、きわめて異常、もっとはっきり言うならきわめて危険な構造だったのです。
ところが、日本国内の原子力発電所を見てみると…
いちいち書きませんが、日本の原子力発電所の場合、2基というのは『少ない方』なのではないでしょうか?
ただでさえ「世界で発生する巨大地震の20%が集中する日本の国土において、『安全な』原子力発電所の稼働の保証などありえない」(インデペンダント http://kobajun.biz/?p=3811 )のに、同じ敷地内に3基も4基も原子炉がある原子力発電所は、世界の常識から見て「きわめて危険な構造」を持っていることなるのです。
下の写真集に話題を転じましょう。
ニューヨーカーの写真集を見て、その質の高さに正直舌を巻きました。
見た目がかわいい動物写真ならこれまでたくさん見て来ましたが、あたかもその内面まで(?)描き出したような写真をこれだけまとめて見るのは初めてです。
「これほどの肖像写真、人間の自分だって持ってはいない…」
思わずそうつぶやいてしまいました。
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写真集【 犬たちの肖像 】
その驚きのクオリティ
ザ・ニューヨーカー 2月13日
(写真をクリックして、大きな画像をご覧ください)
先週末、年に一度開催されるウェストミンスター・ケンネルクラブ・ドッグショウへの参加準備のため、何百という犬とその飼い主たちがベンシルヴアニア・ホテルに集まって来た時、写真家のランドン・ノードマンと彼のチームは、3日間の間スタジオに缶詰めになり、犬たちのポートレート写真を量産することになりました。
普段はニューヨーカーのために都会の写真を撮り続けているランドン・ノードマンは、決して動物写真に不慣れな訳ではありません。
実際、彼が初めてニューヨーカーに掲載した写真は、ある人物とコリー犬とのエピソードに基づくものでした。
ウェストミンスター・ケンネルクラブ・ドッグショウでの写真撮影も2010年、11年に続き、3度目という事になります。
昨年秋にはユーロ・ドッグ2012のイベントのため、ルーマニアを訪れています。
※ウェストミンスター・ケネルクラブ・ドッグショー
ウェストミンスター展とも呼ばれる。アメリカのウェストミンスターケネルクラブが主催し、ニューヨーク市マディソン・スクエア・ガーデンで行われる。出陳資格はチャンピオン犬であること。世界で初めてチャンピオン犬だけのドッグショーを行ったショーでもある。
それでは今週、彼が撮影した写真をご紹介しましょう。
冒頭の写真 : ポメラニアンのソフィア。
イビゾン・ハウンドのジャッキー(写真下・以下同じ)。
雪が大好きなセントバーナードのラルフ。
コリー犬のラッシー。同じ名前のテレビ・スターの10代目の子孫。
ミニアチュア・ブル・テリアのキッド。2012年のベストブリード賞を獲得。
1歳のアイルデール・テリアのジェイデン。
ポインターのブラック・アルダー・ダシーネル・ハムレット。
4歳のボーダーコリーのイジー。
イングリッシュ・セッターのダズル。
ブルドッグのヘイゼル。
http://www.newyorker.com/online/blogs/photobooth/2013/02/slide-show-portraits-from-westminster-dog-show.html#slide_ss_0=1
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第137回ウェストミンスター・ケンネルクラブ・ドッグショウ
アメリカNBCニュース 2月13日