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国会事故調報告書【 日本の政府機関を支配する悪しき慣習が、ここまでの事故を引き起こした 】

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国会事故調査委員会・報告書序文は、閉ざされた日本の官僚社会と産業界の癒着、そして権威に対し従順な国民性に言及

ジャスティン・マッカリー(東京)/ ザ・ガーディアン(英国) 7月5日

▽人災であることは明らか

7月5日公表された日本の国会事故調査委員会による報告書の中、黒川委員長名による序文では、事故の根本原因について以下のように述べています。
すなわち「戦後50年続いた一党独裁による政治体制の下、日本では特異な政治気候風土が形作られ、省庁や企業の組織防衛が国民の命を守ることに優先されるようになり、それを当然と思い込む国民の姿があった。」
そして福島第一原発の事故原因が『人災であることは明らか』とし、政府と東京電力を容赦なく指弾しました。

報告書の序文、東京大学医学部名誉教授の黒川清委員長は、厳しい指摘を行いました。
今回の事故は日本政府、原子力安全・保安院などの規制当局、そして東京電力が「多くの誤りを犯し、意図的な怠慢行為」を行ったために発生した、としたのです。

その上で、「地震多発地帯として知られるこの場所で、地震と巨大津波の脅威を軽視し、備えを怠ったその姿勢を生んだものは、『日本はこの程度で良い』とする独特の風土である。福島第一原発の事故がまさに『メイド・イン・ジャパン』そのものである所以である。」英語版の報告書の中で、黒川委員長がこう語っています。

そして事故の根本原因について、『これまで何回も対策を打つ機会があったにもかかわらず、歴代の規制当局及び東京電力がそれぞれ先送り、不作為、あるいは自己の組織に都合の良い判断を行うことによって、安全対策がとられないまま3.11 を迎えたことで発生したもの』、すなわち日本の組織を優先する考え方、そして世界標準とはかけ離れたやり方よるもの、としています。

その上で報告書はこう記しています。
「非常につらいことではあるが、私たちが認めなければならないことは、福島第一原発の事故はまさに『メイド・イン・ジャパン』そのものである、という事である。
仮にその場に別の日本人たちがいたとしても、結果は同じであった可能性がある。」

▽機能しない政府機関

そして本来規制を行うべき政府機関についても、果たすべき役割を果たしてはいませんでした。
「事業者が、規制当局を骨抜きにすることに成功する中で、「原発はもともと安全が確保されている」という大前提が共有され、既設炉の安全性、過去の規制の正当性を否定するような意見や知見、それを反映した規制、指針の施行が回避、緩和、先送りされるように落としどころを探り合っていた。」
これが[東京電力福島原子力発電所事故調査委員会]が下した判断でした。
「図らずも福島第一原発の事故は、こうした事実があったことを白日の下にさらすこととなった。
何度も事前に対策を立てるチャンスがあったことに鑑みれば、今回の事故は「自然災害」ではなくあきらかに「人災」である。」

日本の東北地方にある福島第一原発の三基の原子炉のメルトダウンが、3月11日、14メートルの高さの津波が襲ったことだけが原因である、とする東京電力の見解にも、委員会は疑問を突きつけています。
津波が襲う以前、すでにマグニチュード9.0の巨大地震によって福島第一原発の設備が事故の一端を開いていた可能性を否定できない、としています。

福島第一原発が立地する一帯が、これまで巨大地震、巨大津波に見舞われているという証拠があったにも関わらず、東京電力と原子力安全・保安院が適切な対策を取らなかったことも、この報告書は告発しています。
「我々は今回の事故の根本原因は、規制当局である原子力安全・保安院が本来規制されるべき側から、逆に操られるがごとき対応を行ったことにあると、考える。保安院は、東電が対応を先延ばししていることを承知していたが、明確な指示を行わなかった。」
「規制を導入する際に、規制当局が事業者にその意向を確認していた事実も判明している。規制当局はまた、海外からの知見の導入に対しても消極的であった。シビアアクシデント対策は、地震や津波などの外部事象に起因する事故を取り上げず、内部事象に起因する対策にとどまった。米国では 9.11 以降に B.5.b*に示された新たな対策が講じられたが、この情報は保安院にとどめられてしまった。防衛にかかわる機微情報に配慮しつつ、必要な部分を電力事業者に伝え、対策を要求していれば、今回の事故は防げた可能性がある。」


641ページに上るこの報告書は、福島第一原発の事故以来初めて再稼働した大飯原発3号機が、電力の供給を再開したその日に発表されました。現時点で稼働可能なこの国の50基の原子炉は、福島第一原発の後、安全性を確認するため停止していました。
かつては発電量の30%を原子力発電に頼っていた日本でしたが、今年5月初旬に北海道泊原発の原子炉が停止し、この40年で初めて原子力発電が行われない状態に入っていました。

福井県にある大飯原発3号機は、昨年政府が国民の不安を和らげるため導入したストレステストを、最初に合格しました。
大飯原発の2基の原子力発電所と炉の再稼働無くしては、大阪などの産業上重要な都市を含む関西地区が、この夏電力不足に陥る懸念がある、との理由から大飯原発3号機、4号機の再稼働が決定しました。
大飯原発を運営する関西電力は、大飯原発3号機は7月10日までにフル稼働に入る予定である、と語っています。そして引き続き大飯原発4号機も、今月末までの発電開始に向け、準備が進められています。
関西電力の11基の原子炉は、今年2月までにすべてが停止していました。

▽世界の認識から遠ざかる一方の日本政府

大多数の日本人は、原子力発電を段階的に廃止することを望んでいることが、世論調査により明らかになりました。
そして毎週金曜日、東京の首相官邸前には、原子力発電所の再稼働に反対する人々が何万人も集まり、抗議活動を続けています。
これに対し、関西電力の八木社長は次のような声明を発表しました。
「4か月半ぶりに原子力発電を再開したことにより、我々は安定した電力供給のため、一歩前進することができました。」

福島第一原発の事故を引き起こした天災は決して予測不可能ではなかった、とする今回の報告書は、先に東京電力が作成・発表した「事故原因はすべて、予測不可能な天災が引き起こしたものである」とする報告書と、きわめて対照的です。
東京電力これまでも福島第一原発の4基の原子炉の事故を引き起こしたものは、津波以外にない、と主張してきました。
津波が冷却装置を稼働不能に陥らせ、その結果3基の原子炉でメルトダウンが発生してしまった、と。

事故の15カ月後、世界中から4号機使用済み核燃料プールにある、膨大な数の核燃料棒の危険性について指摘されているにもかかわらず、日本政府は『冷温停止状態が達成された』と発表しました。


今回の報告書は、地震そのものが今回の事故で演じた役割について、さらなる精査を行うよう求めています。
「事故の主因を津波のみに限定すべきでない理由として、スクラム(原子炉緊急停止)後に最大の揺れが到達したこと、小規模の LOCA(小さな配管破断などの小破口冷却材喪失事故)の可能性は独立行政法人原子力安全基盤機構(JNES)の解析結果も示唆していること、1 号機の運転員が配管からの冷却材の漏れを気にしていたこと、そして 1 号機の主蒸気逃がし安全弁(SR 弁)は作動しなかった可能性を否定できないことなどが挙げられ、特に1 号機の地震による損傷の可能性は否定できない。」

委員会は当時の菅前首相の対応も批判しています。
「官邸による発電所の現場への直接的な介入は、現場対応の重要な時間を無駄にするというだけでなく、指揮命令系統の混乱を拡大する結果となった。」
菅前首相は東京電力と原子力安全保安院が進行する危機に対応できそうもないのを見て、直接介入に踏み切った、と証言しています。
しかし委員会は
「総理によって東電の全員撤退が阻止されたと理解することはできない。」
としています。

しかし報告書は、「平成18(2006)年には、福島第一原発には津波によって、全電源喪失の事態が起こりうることを認識していた」にもかかわらず、東京電力がこれを無視したことを非難しています。
そして東京電力、原子力安全保安院などの政府機関、そして日本政府が
「損害の程度を確実に検証、連鎖的に起こる可能性のある災害に対して準備を行い、そして深刻な放射能漏れなどがあった場合にどうやって住民を避難させるのか、などのもっとも基本的な安全対策をあらかじめ用意しておかなかった。」
と指摘しています。

「平成18(2006)年には、福島第一原発の敷地高さを超える津波が来た場合に全電源喪失に至ること、土木学会評価を上回る津波が到来した場合、海水ポンプが機能喪失し、炉心損傷に至る危険があることは、保安院と東電の間で認識が共有されていた。保安院は、東電が対応を先延ばししていることを承知していたが、明確な指示を行わなかった。」

10人の委員で構成される[東京電力福島原子力発電所事故調査委員会]は、福島第一原発の事故について調査を行った、委員会の中の一つです。
今回の報告書は6カ月間、1,100人の人々に対する900時間以上のヒヤリングとインタビューを検証し、作成されました。

http://www.guardian.co.uk/world/2012/jul/05/japanese-cultural-traits-fukushima-disaster?INTCMP=SRCH
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Video streaming by Ustream
動画[国会 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会]

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【 ツール・ド・フランス2012 】
アメリカNBCニュース 7月5日
ルーアン大聖堂の前を通過する選手の一団

【 モンスーン嵐 】
アメリカNBCニュース 7月5日
モンスーン嵐が作り出した大波が、防波堤に激突する
インド・ムンバイ

【 東京電力、福島第二の4基の原子炉を、現在修理中 】&原子力監視機関の本当の役割

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AP通信、アメリカCBSニュース、アメリカABCニュースほか 7月4日


福島第一原発の運営会社でもある東京電力は、地元の住民や自治体から廃炉の要求がだされているにも関わらず、比較的損害の少なかった福島第二原発の4基の原子炉を修理中である、と語りました。

近隣の市町村長たちは、大事故を引き起こした福島第一原発はもちろん、津波による損傷が比較的軽微だった福島第二原発の原子炉もすべて、廃炉にすることを要求しています。

福島第二原発の原子炉の損傷の程度に関わらず、近隣の市町村の住民はその安全性について大きな不安を持っています。

東京電力は福島第一原発の4基の原子炉は廃炉にする予定である、と語っています。
しかし東京電力の広瀬直己社長は3日水曜日、福島第二原発の今後については何も決まっていない、と語りました。

6月29日金曜日、何万という人々が首相官邸の前で、大飯原発の再稼働への抗議行動を行いました。
大飯原発は福島第一原発の事故後、最初に稼働する原子炉になります。

http://www.cbsnews.com/8301-501712_162-57466349/japan-utility-repairing-reactors-near-fukushima/?tag=mncol;lst;1
http://abcnews.go.com/International/wireStory/japan-utility-repairing-reactors-fukushima-16709005#.T_UKCHCCiM8
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国会の事故調査委員会の報告書が公表され、やっと「天災ではなく、人災である」という結論が出されました。
そして、常設の原子力監視委員会の設置を求め、暗に原子力委員会や原子力安全・保安院が、福島第一原発の事故に対し、有害無益であったことを示唆しました。

しかし、その報告を受け取った国会で大多数を占めるのは、民主・自民・公明の3党の議員であり、彼らは自分たちが唱え続けていた「原子力ルネッサンス」に関し、止めるとは一切言っていないはずです。
事故調査委員会が提出した報告書が明らかにした見解は、今後生かされていくのでしょうか?

一方では上記の記事にあるように、福島第二原発ですら再稼働の可能性がある、それが日本の現実です。

この国では、なぜこうも次々と「民意」が踏みにじられていくのか?!
私たち自身がそれを許してきた、という点を猛省する必要があります。
そして最初にご紹介したニュースは、これから先も決して楽観視できない事を示唆しています。

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さらに積極的、かつ毅然とした態度を求められる、原子力監視機関
【グレゴリー・ヤッコ原子力安全委員会長の辞任に揺れるアメリカ】

インターナショナル・ヘラルドトリビューン(ニューヨークタイムズ国際版)5月25日

アメリカ原子力規制委員会のグレゴリー・ヤッコ委員長が辞任することになりました。
彼の辞任は、一般市民の安全を守るため、原子力産業界や議会における原子力発電支持勢力と正面切って対決をしてきた委員長が、もはやこの国にはいなくなる、という事を意味します。

ホワイトハウスが彼の後任として指名したのは、核廃棄物と核兵器問題の専門家としての評価が高い、アリソン・マクファーレン博士(女性)です。
彼女にはヤッコ博士同様の積極的、かつ毅然とした姿勢が求められます。
日本の福島第一原発が引き起こした大災害によって明らかとなった、原子力発電所の改善すべき点を、原子力産業界とマクファーレン新委員長が率いる委員会はこれから一つずつ解決していかなければなりません。

巨大地震と巨大津波によって襲われた後、福島第一原発は外部からの電力供給の途を絶たれ、さらには非常用の電源装置も使い物にならなくなり、結果として原子炉を冷却することが不可能となったため、メルトダウンや放射性物質の放出を止めることができなくなりました。
例えこうした地震や津波がアメリカで発生することはまず考えられないとしても、原子力発電所というものは『想定外の』災害に襲われた場合に、いかに損傷を食い止めるか、その点について事前の対策を考え得る限り強化しなければならない、福島第一原発はその教訓を与えました。

原子力発電に関しては、どのような事故が発生しても、その損害額は天文学的数字になる可能性があります。
福島第一原発の事故が発生すると、アメリカ原子力規制委員会は直ちに特別対策班を編成しました。
そして昨年7月には36項目に上る、要検討項目のリストを作成しました。
各種の安全装置と安全手順を見直し最新のものに入れ替えること、そしてこれまでは任意で良いとされてきた規制条項や準備措置について、義務化する、という野心的な取り組みも含まれていました。
ヤッコ元委員長は公式・非公式を問わず、原子力規制委員会がこの検討項目を実現するよう働きかけを続けました。
この働きかけにより原子力規制員会のメンバーは、24カ月から30カ月かけて、福島第一原発の事故で起きた全電源喪失の事態を防止する対策づくりに乗り出しました。
ヤッコ元委員長はさらに、36項目すべてを5年以内に実現する、という目標を掲げました。
新任のマクファーレーン博士はまず、この課題を迅速にやり遂げなければなりません。

原子力産業界の財界関係者と、原子力政策の推進を目論む共和党の国会議員は、ヤッコ元委員長のやり方は強引に過ぎる、という攻撃を強めました。
ヤッコ元委員長はこの攻撃により窮地に立たされることになり、行政監察機関はいくつかの告発事項について正当と認める判断を下しました。
共和党の原子力推進派は、ヤッコ元委員長をさらに追い詰めようと、他の告発事項も認めるよう迫りました。

ヤッコ元委員長に対するこうした攻撃が、その大部分が原子力業界を守るため、意見の相違を装ってなされたものなのか、あるいは本当に元委員長のやり方に問題があったのか、それはわかりません。
しかしいずれにせよ、ヤッコ元委員長は原子力委員会を去ることになりました。

新任のマクファーレーン委員長、彼女の経歴は地質学者として、主に学界において築かれてきました。彼女は環境科学・環境政策を専門にする、ジョージ・メイソン大学の準教授です。
彼女自身、ワシントンにおける新たな地位を喜んで受け入れました。
彼女は国立科学アカデミーの原子力発電・核兵器部門から選ばれた、大統領府原子力発電の将来について検討する委員会のメンバーの一人です。


左:アリソン・マクファーレン、右:クリスティン・スヴィニッキ

マクファーレーン委員長が候補に挙がったことは、原子力規制委員会と原子力産業界の両方から歓迎されました。
その就任は原子力規制委員会の共和党委員で、常々ヤッコ委員長への批判を口にしてきたクリスティン・スヴィニッキの別の機関の委員長就任と同時になるものと予想されています。
両者の就任は原子力発電の安全確保の強化へとつながるものでなければなりません。

原子力規制員会は、原子力発電について可能な限りの安全性の確保を行うため、その委員長となる者には強力なリーダーシップを求めているのです。

http://green.blogs.nytimes.com/2012/06/14/two-nuclear-nominees-get-a-hearing/
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【満月の夜に】
アメリカNBCニュース 7月3日
満月の撮影をする男性・ブラジル

【嵐を呼ぶ雲】
アメリカNBCニュース 6月27日
アフガニスタン・クナー地区

【夜光雲】
アメリカNBCニュース 6月13日
国際宇宙ステーションから撮影

【美しき青白き光のドナウ】
アメリカNBCニュース 7月4日
スロヴァキアの首都ブラティスラヴァを流れるドナウ川

(写真はすべて、クリックすると拡大画像を見ることができます)
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【シベリウス : 交響曲第6番 ニ短調 作品104】

ここの所じめじめした日が続いています。
そこで、ハッとするほど美しい曲をご紹介します。
このシベリウス交響曲第6番の第一楽章は、作曲者の故国フィンランドの美しい自然を見事に歌い上げている、私はそう思っています。
ちなみに第2楽章以降は決して解りやすい音楽ではありませんが、レナード・バーンスタインの指揮で聴くと、シベリウスの音楽はすごく解りやすいですよ。

再稼働さえしてしまえば、大方の日本人はあきらめてくれるだろう…

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【 国中から反対の声が上がる中、日本は原子炉再稼働を強行 】

チコ・ハーラン / ワシントンポスト 7月1日

東京の首相官邸前の広い通りが、抗議の声を上げる人々で埋め尽くされました。
福井県の大飯原発の入り口から400メートルほどの場所には、日本中から人々が集まってきました。
日本の報道によれば、彼らは大飯原発の職員の通勤を妨げ、出入りができないようにするため入口の前に車両を停め、口々に「再稼働、反対」と唱えていました。

しかし職員はすでに、原発内で再稼働の準備に取り掛かっていました。

西日本の沿岸にある大飯原子力発電所では日曜日、福島第一原発の事故以来停止していた日本の原子炉の中、最初に再稼働を行うべく、関西電力の職員たちが技術的手順を次々とこなしていました。

大飯原発の再稼働は、日本国内の他の原子炉再稼働への道を開く可能性があります。
野田首相は国民に対しては、夏場予想される電力不足による日本経済への打撃を避けるため、大飯原発の再稼働を行う、と話しています。
しかし今回の再稼働は、原子力発電所の廃止または維持で国論が二分していた状況下、原子力発電の安全性に疑いを持ち反対する人々を増々増やす結果になり、決定的に現政府を見限らせることになりました。

一部の政治評論家は、2週間前の野田首相の大飯原発の2基の原子炉の再稼働の発表(次に大飯原発4号機が7月末に再稼働を予定している)が、国民の怒りを鎮静化させるかもしれない、と語っていました。
「再稼働さえしてしまえば、大方の日本人はあきらめてくれるだろう…」

しかし、結果は全く逆でした。
野田首相が目にしたものは、インターネットのソーシャルメディアを通しての呼びかけにより、数百人だった抗議者の数が百倍にも、一千倍にも増えたことだったのです。
6月29日土曜日夜、大飯原発の再稼働に抗議するために首相官邸前に集まった人々の数は警察の発表によれば17,000人、主宰者の発表では200,000人に上りました。

しかし日本政府はこれまで、どれほど多くの一般の国民が声を上げたところで、大飯原発再稼働の方針を変えようとはしませんでした。

日本国内に広く、深く広がり続けている今回の抗議活動は、人々が権力の命令にはおとなしく従う傾向の強い日本では珍しいことです。
野田首相は消費税増税問題でも一部国民の反発を受けていますが、明らかに原子力産業界寄りであるその政治姿勢は、より広範な国民の怒りを買うことになりました。

アメリカの首都ワシントンに本社があるPEW調査センターが、日本国民を対象に6月5日に実施した世論調査では、70%を超える国民が、日本は原子力発電依存から脱却すべきである、と答えていました。
再稼働を宣言するまでに、日本政府は何カ月もかけて大飯原発周辺の自治体の説得に当たり、了解を取り付けていました。

大飯原発では7月1日日曜日、関西電力の技術者が燃料の間から制御棒を取り除きました。共同通信社によれば、4日水曜日までに1,180メガワットの送電が始まることになります。

福島第一原発で原子炉が次々にメルトダウンを起し、100,000人を超える人々が避難を強いられる以前、日本はその電力の30%を54基ある原子炉に頼っていました。
しかし福島第一原発の事故が発生すると、これらの原子炉は安全性への懸念、あるいは定期点検のため、次々に停止していきました。
そして5月初め、最後に北海道泊原子力発電所の4号機が停止し、日本には短い間でしたが、原子力発電が全く行われない時が訪れたのです。

その状態をいち早く破ったのが野田首相でした。
野田首相は国民に向け、こう語りました。
あなた方もわかっているだろうが、原子炉を再稼働させなければ、日本国民の生活がおびやかされることになる、と。

日本政府は日本の長く暑い夏がやってくれば、電力不足は避けられず、特に原子力発電所への依存率が高い関西地区では15%の電力が不足する、と予測していました。
政府が大飯原発3号機と4号機を最初に再稼働させたのは、関西地区に電力を供給していること、そして災害の対応能力を検証するためのストレステストに合格していたこと、この二つが理由でした。

日本にいる政策立案者がこの国の将来のエネルギー政策を検討しているこの瞬間に、大飯原発は再稼働します。
エネルギーと環境問題について検討を行っている委員会は、この国の原子力政策について、3つの選択肢を提示しました。
2030年までに原子力発電への依存率を
1. 20-30%にする
2. 15%にする
3. 0にする
日本の報道機関によれば、その決断は8月に下されることになります。

http://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/1st-nuclear-reactor-to-go-back-online-since-japan-disaster-meets-with-protests/2012/07/01/gJQAdlHZFW_story.html
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日本の報道機関はさっぱりですが、日本の原発問題について、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツのメディアは次々と鋭い切り口を見せています。

ドイチェ・べレ(ドイツ国際放送)の
「日本の電力業界は福島第一原発の事故について、それをさほど大きな失敗としては認めていません。そのために、彼らが福島第一原発の事故から学んだものなど、基本的にはゼロなのです。」
→ http://kobajun.biz/?p=845

フランスのル・モンド・ディプロマティークは
「死の灰が大量に降り注がなかったのは、現場の緊急作業員の献身的作業、そしてただの偶然」 【 日本人の静かな怒り 】〈 日本の原子力発電に幻滅はつきもの 〉 → http://kobajun.biz/?p=1074

イギリスのザ・ガーディアンは
「家族を、家を、故郷を奪われ呆然自失する被災者に、大量の放射能を浴びせた福島第一原発・政府機関は言い逃れに躍起」[ フクシマ、それは津波と言う地獄を見た日本人が、決して見たくなかったもの ] → http://kobajun.biz/?p=1664

そして何と言ってもニューヨークタイムズとワシントンポストの報道には、何度も感心させられました。
6月29日の首相官邸前の抗議行動の真実の姿を、世界に向け発信したニューヨークタイムズ。

そして今回のワシントンポストの記事は、なぜ日本政府がこれほどまでに国民の声を無視し続けるのか、
「再稼働さえしてしまえば、そのうち、大方の日本人はあきらめてくれるだろう…」
という『政治評論家』の都合の良い解釈を、拡大解釈した日本政府の姿がはっきりと見えました。
そこには政治家としての国民に対する誠実さなど、かけらほどもありません。
「熱しやすく冷めやすい」と言われる国民性に、たかをくくり、あたかもこううそぶいているようです。
「これまで通り、やりたいようにやらせてもらうさ…」

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【北部スペインの住宅ローン支払い不能の追い立てに抗議する人々】
アメリカNBCニュース 6月27日



抗議を行っている人々は、スペイン北部のオビエドでエクアドル人の一家族が住宅ローンの返済を続けることができなくなり、追い立てられようとしていることに、反発しています。
ホルヘ・コルデロとその妻、そして5歳になる娘のアマンダの3人家族は、サハスツール銀行に対する住宅ローンの返済の継続ができなくなり、購入したマンションからの退去を求められました。
17人の活動家がこのマンションを占拠し、マンションの所有者を含む200人ほどが強制退去を阻止しようと、集まりました。
ホルヘの妻と幼い娘は強制退去が行われる間、別の場所にいました。
機動隊とのもみあいの後、20名が逮捕されました。

スペインでは疲弊する経済により、100万人以上の人々が住宅ローンの返済に窮している、と言われており、国民の間には増加する強制退去に対する反発と抗議運動が広がり続け、政治的にも見過ごせない事態となっています。

【7月4日アメリカ独立記念日に向けて】
アメリカNBCニュース 7月3日

【 抜き足・差し足…、原発回帰へと歩み始めた日本 】&大飯原発再稼働実施

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「核物質を人為的に分裂させ、そこからエネルギーを取り出す、複雑な仕組みを持った機械の操作を、政府機関と電力会社に任せきりにして大丈夫なのか?!」

ワシントンポスト 6月23日

日本の野田首相はついに、政治的な冒険航海に乗り出しました。
彼は勇敢にも消費税増税、そして原子力発電所の再稼働に踏み切ったのです。
日本国内のすべての原子炉は、福島第一原発の巨大災害の後しばらくして、すべてが停止していました。
いずれの選択も野田首相にとっては危険な賭けになります。彼の5人の前任者たちで、15カ月以上首相の椅子に留まることができた者はいないのです。

野田首相の原子力発電所再稼働という選択は、国内にとどまらず、世界中に波紋を広げました。
1979年のスリーマイル島事故で、住んでいた家から追い出された人々が、事故後心に刻み込んだ疑問が、人々の怒りとともに再び姿を現しました。

「核物質を人為的に分裂させ、そこからエネルギーを取り出す複雑な仕組みを持った機械の操作を、政府機関と電力会社に任せきりにして大丈夫なのか?!」

真実を口にすることができる専門家が、こう語りました。
「原子力発電が抱える危険性というものは、他の技術とは比較にならない程、大きく深いのです。」

今日のデジタル化された世界にあっては、福島第一原発が生み出した巨大な惨禍、悲劇、そして混乱は瞬く間に世界に伝播していきました。
ドイツは国内にある17基の原子炉のうち、まず老朽化した8基を停止しました。
しかしアメリカ国内では、原子力発電に対する評価がそれほど大きく揺らいだようには見えません。しかし、国民の原子力発電に対する信頼を、揺るぎないものにする必要性があるのかどうか、それは定かではありません。
地球温暖化との戦いという側面において、原子力発電は低カーボン・エネルギー源としての必要性を認められ、アメリカ国内ではこれからも長く利用されていく可能性もあります。

日本では福島第一原発の事故以前、国内の電力需要の30%を原子力発電によって賄ってきました。
産業界と政府機関の『緊密な連携』により、国民の間に『原子力発電の安全神話』を植えつけ、資源のない国日本にとっては必要なのだという事を、信じるがままにさせてきたのです。
2005年の世論調査では、国民の実に8割以上が原子力発電所の増設、そして原子力発電の継続に賛成していました。

そして今、そうした支持は吹き飛んでしまいました。

アメリカ・ワシントンに本拠を置くPewリサーチセンターが世界規模で行った世論調査によれば、日本では回答者の7割が、日本は原子力発電をやめるべきだ、と答えています。
そして回答者の8割が、日本政府の福島第一原発の事故対応は、非常にお粗末なものだったと考えています。

3月11日に襲った巨大地震と巨大津波、そして福島第一原発の事故から受けた衝撃を考えれば、こうした感想を国民が持つのは当然のことです。
福島第一原発の事故がもたらした危機の全容がまだ明らかにされていない段階で、政府が国民に適切な情報提供を行わなかったことは、政府機関に対する評価を決定づけることになりました。
何も知らない何千人もの人々が、風が放射性物質を運んでいる、その方向に向けて避難をしていったのでした。
これでは未だに国民が怒りを露わにするのも、無理はありません。

日本では核監視機関 - 原子力安全・保安院に対する国民の不信があまりにも大きいことを受け、その組織変更に着手しましたが、今度の組織は強化された安全対策がきちんと実施されているかどうか、文字通り「監視する」機関でなければなりません。
6月中旬、野田首相は国内の稼働可能の50基の原子炉のうち、2基の再稼働に踏み切りました。
しかし、その決断に対しては、多くの国民から疑問の声が突きつけられました。
スリーマイル島で起きたメルトダウンと、チェルノブイリの大事故は、いったん失われた信頼を取り戻すことが如何に難しいか、その教訓を残しました。
ソビエト連邦のような強権国家・閉ざされた国家であっても、ミハイル・ゴルバチョフが思い知らされたように、原子力災害は隠しおおせるものでは無いのです。

スリーマイル、チェルノブイリ、フクシマ…
原子力発電が持続可能エネルギーの一つだと主張し、これからも続けようとするなら、この3つの事故が与えた教訓を真摯に受けとめる必要があります。

核分裂を人為的に行うつもりなら、細心の上にも細心であらねばならない。
そして常に正しい情報を、隠すことなく開示しなければなりません。

http://www.washingtonpost.com/opinions/japans-cautious-return-to-a-nuclear-powered-future/2012/06/22/gJQAQZK4vV_story.html

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「抜き足・差し足…」と訳した部分、原題は「cautiously」ですから、直訳すると「慎重に、用心深く」という意味になります。
しかし【 慎重に、原発回帰に歩み始めた日本 】では、記事の内容とは明らかに異なり「様々な安全対策をすべて、充分に検証した上で」という意味にとられかねません。
しかし、記事が伝えているのは、世界から向けられる厳しい視線をかいくぐり、国内に燃え広がる反対意見が見えないふりをして、再稼働に踏み切った日本政府の姿です。

7月1日夜、大飯原発の再稼働を伝えるFテレビのニュースは、以下の発言こそが地元を代表するかのように伝えました。
「再稼働大歓迎、40年間稼働して来て、何の問題も起きてないんだから、これからも大丈夫。」

しかし、『事実』について伝ええている各種の書籍などを読めば、大飯原発が度々問題を引き起こしいたにもかかわらず、Fテレビなどを始めとする日本の大手メディアが、その事実を知りあげず、報道しては来ませんでした。
結果、テレビのニュースがこの世界の大切な出来事はすべて伝えている、と信じている人々にとっては、
「40年間稼働して来て、何の問題も起きてない」
という事になってしまいました。

日本政府と一部の大手メディアに共通するもの、それは
「見ない、見せない」
という、前時代的政治手法、情報操作です。

明治政府成立当初、国権の頂点にいた大久保利通は
「現在の日本がごとき、愚昧なる人民に選択権を与えることの危険」
に鑑み、日本はよろしく有司専制(国家の方針を官僚がすべて決めてしまう事)であるべき、と考え、それを実行しました。
これは封建社会から急に近代社会に転換した当時の状況に基づき、日本人に近代国家の概念が徐々に形成されていく、その進行度合いを人民の権利に反映させるべき、という考えでした。
これは大久保自身には「ほとんど私心が無い」という、稀有な資質によって成り立っていました。

しかし現在の権力機構には「私心ばかりが目立つ」にもかかわらず、
「現在の日本がごとき、覚醒したる人民に選択権を与えることによる、真の民主主義社会の成立への危険」
に鑑み、日本はよろしく有司専制であるべき、と考えているようです。

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【 日本、福島第一原発の事故以降初めて、原子力発電所を再稼働 】
ヨーコ・ワカツキ / アメリカCNNニュース 7月2日

東京(CNN)-昨年、巨大津波が襲い、福島第一原発で巨大原子力災害が発生して以来、日本ではすべての原子炉が稼働を停止していましたが、7月1日日曜日、初めてとなる原子炉の再稼働が行われました。

発電所の周囲で大勢の人々が抗議の声を上げる中、関西電力によれば、日曜日夜、大飯原発3号機が再稼働しました。
大飯原発の周囲には日曜日の朝早くから人々が集まり、パフォーマンスを行ったり、抗議のシュプレヒコールを繰り返したり、あるいは歌を歌いながら続けられ、まさに予定通り再稼働が実施されることに対する抗議が続けられました。
楯を装備した警官隊が、「再稼働反対」と唱え、抗議を続ける人々を包囲していました。

原子炉の再稼働はまず制御棒を取り除くことから始められ、それにより核分裂の連鎖反応が可能になります。この作業に数時間かかります。
3号機は7月4日水曜日には、日本で2番目に大きい大阪市を含む関西地区に、電力の供給を開始する見込みです。
続いて4号機が7月24日に再稼働を始めることになっています。

日本に50基ある商業用の原子炉は、安全性のチェックのため、今年の5月5日からすべて停止していました。
政府は昨年発生した福島第一原発の事故により、国民の原子力発電に対する不安が増大していることに鑑み、安全性に関する一連のシュミレーション検査を実施してきました。
2011年3月の福島第一原発の事故以前、政府統計によれば、日本は電力需要の30%を原子力発電に依存していました。
福島第一原発の事故による直接の死亡者は確認されていませんが、3月11日に襲った巨大地震と巨大津波は確認されているだけで15,000人以上の人命を奪ったのです。
そして破壊された福島第一原発は大量の放射性物質を放出し、数万人が住んでいた場所を追われ、避難を余儀なくされました。

http://edition.cnn.com/2012/07/01/world/asia/japan-nuclear-power/index.html?eref=editionJapanは、

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【ロンドン・オリンピックの聖火リレーと少女】
アメリカNBCニュース 7月1日

70日間にわたるロンドン・オリンピックの聖火リレーの43日目。
この日は戦没者記念碑の前を、イギリス軍人の最高の栄誉であるビクトリア勲章を持つジョンソン・ビハリーが、聖火ランナーとして戦闘服を身に着けた儀仗兵の前を走ります。
その姿を一目見ようと、居並ぶ儀仗兵の脚の間から、ひとりの少女が顔をのぞかせました。
イングランド、スタッフォードシャーにて。

【路上生活をする子供たちの読書】
アメリカNBCニュース 7月1日

インド・ムンバイ、発展する経済のはざまで

(写真はすべて、クリックすると拡大画像を見ることができます)

【 大飯原発は、政府が言うほど安全なのか?】

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所要時間 約 12分

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その危険性を証拠立てる資料は、建設申請時、闇に葬られてしまった…

ヨーコ・マスダ / ウォールストリート・ジャーナル 6月28日

日本が再稼働の準備を進めている2基の原子炉は、「当然そうあるべき」というほど完全な検査が行われないまま、承認が与えられた。
少なくとも地震に関する地質学的立場からはこう言える。
2人の著名な地震学者がこのように指摘しました。

地震学者で神戸大学の石橋克彦名誉教授、そして地殻構造上を専門とする地質学者の東洋大学・渡辺満久教授は、6月26日、政府が再稼働の承認を与えた大飯原発について、それぞれの立場から内在する危険性に関する講演を行いました。
その危険は安全性評価において見落とされ、まさに今、大飯原発が抱えているものです。

大飯原発が立地する、若狭湾周辺における政府が示した『安全性』の見解は、2つの活断層が周辺水域に存在し、この活断層が引き起こす可能性のある地震に対する対策は『すべて』施されている、という認識に基づいています。

しかし石橋教授は政府の見解は、これらの活断層が引き起こす地殻変動の威力に関し、過小評価をしている、と主張しています。
26日、東京で海外の記者団に対して行われた講演で、石橋教授は『第三の活断層』が存在する可能性について言及しました。
石橋教授によれば、仮にこの三つの活断層が同時に動いた場合、地震の規模は政府が予測したものよりもはるかに大きなものになる可能性があります。

そして大飯原発を取り巻くこの三つの活断層が同時に動く可能性については、渡辺教授がこのように説明してくれました。
「この三つの活断層が、連鎖的に地殻変動を起こす可能性を否定する証拠は、どこにもありません。」
この見解に基づけば、若狭湾一帯で発生する可能性がある地震は、予想の規模を超えたものになります。

どうしてこの二人の研究者が提示した見解は、政府のそれと異なり、活断層の危険性を高く評価しているのでしょうか?

その答えは以下のようになります。
渡辺教授は大飯原発の真下を通る『F-6』という名の活断層が、『見逃された』ことを指摘しました。
関西電力はこの地に原子力発電所を建設する申請を初めて行った際、1980年代に作成し、原子力安全・保安院に提出するつもりで、2種類の活断層に関する地質図を持っていました。
渡辺教授によると、この2枚の地質図のうち、北西部分を表示した地質図には、地殻変動が起きる可能性を表示しています。
しかしもう一枚の南東部分を表示した地質図には何も表示されていません。

この2枚のうち関西電力が原子力安全・保安院に提出したのは、活断層に関する表示の無い、南東部分を表示した地質図だけだったのです。
「当時、大飯原発建設のため、調査を行い、評価をくだした『専門家』の専門性と中立性には、非常に疑わしいものがあります。」
渡辺教授はこう指摘しました。
「従って日本政府は、再稼働の承認を与える前に、この問題についてさらに精査する必要があるのです。」
石橋教授、渡辺教授はともに、政府と電力会社は大飯原発の地震の危険性に関する調査について、外部の専門家によりやり直す必要がある、と異口同音に語りました。

関西電力の広報担当者は、当時南東部分の地質図のみを提出したことを認めましたが、隠ぺいする意図は無かった、と語りました。
そして「飽くまで原子力発電所の建設許可が出た場合の例の一つとして」地質図を提出した、とウォールストリート・ジャーナル『ジャパン・リアルタイム』の取材に答えました。
そして2010年に新しい安全基準が適用された際の再検証において、これらの活断層はこれまで12万年から13万年の間、活動した実績が無いことを確認した、と語りました。

原子力安全・保安院の広報担当者は、現在は原子力発電所の施設が建設されてしまっているため、活断層に関する新たな地質図を作成することは不可能だ、と『ジャパン・リアルタイム』の取材に答えました。
そしてこの問題に関してはさらに調査を行っており、関西電力に対し、これらの地質図を作成した当時に撮影した写真を提出するよう求めている、と語りました。
これに対し関西電力からは、当時撮影した写真はすでに紛失した、という答えが返ってきました。
原子力安全・保安院はさらに検証を行うよう求めている、とのことです。

http://blogs.wsj.com/japanrealtime/2012/06/28/fukushima-watch-are-the-oi-reactors-as-safe-from-earthquakes-as-the-government-says/?mod=WSJBlog&mod=WSJ_Japan_JapanRealTime
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世界ではどう見ても大飯原発の再稼働を『断固決断』した日本政府に対し、疑問を突きつける報道が数多く行われています。
しかし当の日本国内では、消費税法案に絡む『政局』にばかり焦点を当てた報道が続いています。

そんな中、与党民主党は「身を切る」改革として、国会議員の定数削減を行う際、比例代表議席を大幅に削減しようとしています。
何のことは無い、「改革」と称して共産党や社民党、みんなの党など、自分たちの邪魔をする少数政党の議席を減らし、邪魔者を排除しようという意図が見え透いています。

「二大政党制」は私たち日本人の、共有する目標でしょうか?

自民党・公明党は、福島第一原発の事故が発生する直前まで「原子力ルネッサンス」を主唱し、原子力発電所の増設を主張していましたが、事故後も「あれはやめた」とは一言も言ってはいないはずです。
そして民主党政権というものが、「一般」国民の願いをどのように扱う政権か、今回私たちは思い知らされました。

その民主、自民の「二大政党制」になったら、日本中の原子炉に「再び火が灯る」ことになりかねません。

原発推進を掲げる新聞の購読料。
国民の抗議の声を黙殺し続ける放送局のCM。
選挙まで待たなくとも、今すぐできる選択もあるはずです。

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【ますます拡大する、日本の反原発抗議行動】
大飯原発再稼働に反対し、行動する人々の戦い

アルジャジーラ/アメリカCBSニュース/フランス24(共通)ザ・ガーディアン(英国)は抜粋掲載 7月1日
動画はフランス24

数百人の日本の人々が、再稼働を決めた大飯原子力発電所の門の前でパフォーマンスを繰り広げ、抗議行動を行いました。
同発電所は福島第一原発の巨大原子力災害以降、すべて停止していた日本の原子炉の中で、初めて再稼働します。

大飯原発3号機は西日本の福井県にあり、非常に多くの日本国民が強い反対意見を持っているにもかかわらず、1日日曜日、再稼働に踏み切りったのです。

6月、野田首相は大飯原発3号機、4号機の再稼働を命じました。原子力発電なしには「人々の生活を守ることができない」というのがその理由です。
しかしその「人々の」多くは、福島第一原発の事故が繰り広げた大惨禍を目の当たりにし、原子力発電所を再稼働させることには反対しています。

何万人もの人々が29日金曜日夕方、野田首相がいる官邸前に集まり、口々に「再稼働反対」と訴え、原子力発電所の再稼働にNOを突きつけました。
規則に従順だと言われることもある日本人が、これ程の数だけ集まり、一斉に抗議行動を行うのは珍しいことです。
そして野田首相の辞任を求める東京における大集会が、有名な公園で開催されました。

▽有名人たちによる支持

始まった時には日本のほとんどのメディアはこれを無視しましたが、原子力発電に対する反対・抗議活動は、ソーシャルメディアを通して拡大を続けてきました。
抗議活動の中には世界的に有名な人々の姿もあります。
ノーベル賞受賞者の大江健三郎氏、『ラスト・エンペラー』の映画音楽制作を手掛けた坂本龍一氏などです。

日本で現在稼働が可能な50基の原子炉は、昨年襲った巨大地震と巨大津波により発生し、チェルノブイリ以来世界史上最悪となった、福島第一原発の事故で三基の原子炉がメルトダウンして以来、徐々に停止していきました。

しかし一方で暑い夏がやって来た時の、電力不足に対する懸念も高まってきました。石油の輸入量も急増し、一部地域では、電の発生について警告する自治体も現れました。
日本政府は新たな安全基準の作成を行う一方で、大飯原発3号機と4号機については、その安全性は十分に確保されている、と語っています。

▽核反応

大飯原発前で200人の仲間とともにバリケードを築き、抗議活動を行っている41歳の音楽家である河野たいすけさんは、そのような保証を受け入れることができない一人です。
「原子力発電がクリーンエネルギーである、などと言うのはうそです。」
「広島と長崎に原爆を投下されたのに、日本は原子力発電がほしい、などと思うことが本当にあるでしょうか?」

関西電力は日曜日、今回の再稼働に関し、なかなかコメントを発表しようとしませんでした。
結局関西電力はそのウェブサイトで、大飯原発3号機において、発電を始める際の要となる核分裂(連鎖反応)が始まった、と伝えただけでした。

2011年3月11日に襲った巨大地震と巨大津波は、福島第一原発の冷却装置を破壊し、3基の原子炉でメルトダウンを引き起こし、建屋を爆発させました。

この福島第一原発における、最新の問題が日曜日、明らかになりました。
4号機使用済み核燃料プールの冷却装置が故障し、急きょ応急のシステムがセットアップされたのです。
使用済み核燃料プールの温度は上がり続け、70時間以内に冷却装置の修理を終わらせる必要がありました。
でなければ使用済み核燃料プールの温度は限度を超えて上昇し、再び放射性物質を放出するところだったのです。

http://www.aljazeera.com/news/asia-pacific/2012/07/201271102219570481.html
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【タイガー・ウッズ、AT&Tナショナルで優勝、史上単独2位の74勝を達成・今期3勝目】
アメリカPGAツアー・オフィシャル 7月1日

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【あまりの暑さに、働き者もひと休み】
アメリカNBCニュース 7月1日

大学のキャンパスにある泉で、のどを潤すミツバチ。
アメリカ・ノースキャロライナ州。

【スペインの勝ち!】
アメリカNBCニュース 7月1日

UEFA EURO 2012の決勝戦で、イタリアを4-0で下し、狂喜するスペインのサポーター。

(いずれの写真も、クリックすれば拡大画像が見れます。)

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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