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【 福島第一原発の犯罪現場を検証する : 3号機 / その原子炉格納容器で起きていること 】〈後編〉

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所要時間 約 8分

深刻な汚染が続いている福島第一原子力発電所の状況を、東京電力が正しく理解していない
史上最悪の産業事故が起きた現場の状況を、東京電力も日本政府も把握できていない、まして「コントロールしている」などは論外
東京電力は事故の発生原因をゼネラル・エレクトリックに押しつけ、自らを被害者の位置に置こうとしている

フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイション 2014年2月19日

CSI: Fukushima from Fairewinds Energy Education on Vimeo.

原子炉格納容器は原子炉建屋と呼ばれる建物内にあります。

これは福島第一原発で3基の原子炉がメルトダウンした直後、爆発を起こした原子炉3号機の原子炉建屋です。
原子炉格納容器は電球を逆さまにしたような形をしており、基礎にドーナツ状の輪がついています。

格納容器内で水素ガスの量が増え、その圧力によって格納容器の蓋を止めていたボルトが伸び始め、蓋の隙間から 水素ガスが原子炉建屋内に漏れ出します。
この状況については、フェアウィンズではすでに2011年時点で動画を使ってご説明しています。(【 新たな欠点が確認されたBWR Mark1型原子炉 】 http://kobajun.biz/?p=1858 )

原子炉格納容器は放射性物質を含んだガスが周辺環境に漏れ出さないよう、いわば人々を守るために考案された装置ですが、福島第一原発の事故では発生から3日目に環境中に放射性物質が放出されてしまいました。

次に起きたことは原子炉格納容器につながっている電線類のシールド(絶縁)と配管類の破壊でした。
これらはいずれもゴム製、プラスチック製であり、原子炉のメルトダウンのような超高温状態に耐えられるように設計されていなかった上に、炉心を冷却するため急きょ注ぎ込まれた大量の海水の塩分によって破壊が進んだものと考えられます。

さらにゴム製、プラスチック製の絶縁機能の喪失は汚染水の漏出を引き起こし、結果として周辺の土壌や環境の汚染を引き起こしてしまいました。

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そしてメルトダウンした燃料が分厚い原子炉の底を突き破って外に漏れ出すメルトスルーが発生し、冷却水を循環させるための配管類も破壊されてしまったのです。
そのためにどんな形で水が入り込んでも、その水は床の上にこぼれることになるはずであり、まして東京電力が主張するように主蒸気配管を通ってきちんと回収されるはずなど無いのです。

現在こうして各所が破られた配管の中に毎時4トンの冷却水が送り込まれ、結果として大量の汚染水が作られ環境中に漏れ出してしまっていますが、配管類の水位はこの破れ目が現在の基準になっています。

図面を使い、原子炉格納容器内の水位と水が漏れ出している場所に着目してみましょう。
格納容器内の水位は東京電力が水漏れがあったとして特定した場所よりも、はるかに低い位置であることが解ります。
ご存知のように、水は低い場所から高い場所へは移動しません。

ただし、事実解明に多少の混乱をもたらしている事実があります。
今回発見された漏れだした水の放射線量は、原子炉の基礎部分から汲み出される汚染水の100分の1でしかないという事です。
しかし、現在メルトダウンした原子炉の炉心を冷却するために注入が続けられている地下水と比べれば100倍の放射線量を持っています。

そこでどうしてもこの疑問がわいてきます。
福島第一原発3号機は本当は一体どうなっているのか?

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これまで福島第一原発では実に多種多様のトラブルが発生し、フェアウィンズとしてもこの汚染水の漏出問題だけの検証にとどまっている訳にもいきません。
しかし今回の発表を見て解った事は、東京電力自身この汚染水の正体も、漏出原因も解明できていないという事です。
ただ単に『雨水ではないのか?』と推量しているに過ぎません。
この事実は私も含め、世界中の核技術者・専門家から見れば福島第一原発にとって、周辺環境にとって、そして日本中の人々にとって喜ばしい事ではありません。
なぜなら、深刻な汚染が続いている福島第一原子力発電所の状況を、東京電力が正しく理解していないと推論せざるを得ないからです。

原子炉に送り込まれるはずの冷却水が、途中で漏れだしている可能性は無いのか?

漏れだしている汚染水が20度前後である事を考えると、原子炉を冷却した後の汚染水が床にこぼれだしている可能性も考えられる

漏れだしているのが原子炉格納容器の中からであれ、外からであれ、史上最悪の産業事故が起きた現場の状況を、東京電力も日本政府も把握できていないのです。
という事はつまり、福島第一原発を未だコントロールできてはおらず、相変わらず放射性物質が周辺環境、水資源、海洋汚染を続けており、大気中にすら放射性物質の放出が続いている可能性を否定できないのです。

アメリカには犯罪現場の科学的検証を徹底的に行って犯罪の全容を解明していく『CSI』という人気番組がありますが、技術者である私の同僚は、もし『CSIフシマ編』という番組があれば、原子炉3号機付近とそこにつながっているすべての配管からタンク類まで、あらゆる場所の水のサンプルを収集・分析する事になるだろうと語りました。

廃炉13
真犯人を特定するために血液型とDNA鑑定が行われるように、水か存在する場所すべてからサンプルを収集し、それを科学的に、放射線科学的に分析を行わない限り、漏れだしている水の正体を特定する事などは不可能なのです。

私は先出の同僚の意見に全く賛成です。
東京電力は事故の発生原因を福島第一原発にあるマーク1型沸騰水型原子炉を製造したゼネラル・エレクトリックに押しつけ、自らを傍観者の位置に置く事をやめなければなりません。
そして犯罪科学捜査の責任者として、原因究明に全力を尽くさなければならないのです。

〈 完 〉

http://www.fairewinds.org/csi-fukushima/
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この稿の原題は[CSI Fukishima]というのですが、このCSIの意味が妻と娘が毎晩見ていたアメリカの科学犯罪捜査番組のタイトルだと気づくまでしばらくかかりました。
日本のマスコミやそこに登場する『専門家』は、福島第一原発を決して犯罪とは言いません。
どころか、事故ですら無く避けようの無い『天災』であったかのような報道、解説をする場合すらあります。
ガンダーセン氏やフェアウィンズと比べると、その良心の欠如に彼らの正体を見る思いです。

 

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