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『フクシマ : 巨大原子力発電所事故の全容』[ワシントンポスト]

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所要時間 約 6分

勝てば大儲け、負ければ巨大事故になる大賭博、それが原子力発電
原子力発電とは周到な手配の下に神話を作り上げ、それを使って普及が図られる発電手段
原発事故が引き起こす最も恐ろしい事実、その実態は未だ明らかになっていないはず

デイビッド・ロックバウム、エドウィン・ライマン、スーザンQ.ストラナハン、憂慮する科学者連盟共著(309ページ、27.95ドル)

ジャスティン・モイヤー / ワシントンポスト 3月16日

The Story of a Nuclear Disaster
1982年、スリーマイル島原子力発電所で起きた部部分的メルトダウンの事故から未だ4年が過ぎない頃、アメリカ原子力規制委員会は、原子力発電所で起こりうる最悪の事故に対し、事前に対策を立てる必要性を否定しました。

広範囲に放射性物質が放出され、死亡者が続出する原子力発電所の事故が発生する可能性について、原子力発電所のひとりは
「スーパーボール開催中で、たまたま満員になっているスタジアムに、ジャンボジェット機が墜落する程の可能性」
しかないと語りました。

そしてきわめて残念なことに、2011年3月、そのジャンボジェット機は墜落しました。

この著作では2人の科学者、1人のピューリツァー賞獲得のジャーナリスト、そして憂慮する科学者連盟(環境グループ)が、津波によって3基の原子炉がメルトダウンするという、それまでの認識を全く覆した、あり得ないはずの事故について振り返ります。

「福島第一原子力発電所の事故は、原子力発電所というシステムが宿命的に抱える弱点、原子力発電所を長年にわたって管理運営する、あるいは適切に監督指導するという事が如何に困難なことであるかを暴露しました。」

「原子力発電とは周到な手配の下に神話を作り上げ、それを使って普及が図られる発電手段です。原子力発電とは大規模災害を賭博の対象にするエネルギー選択なのです。」

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『福島:原子力発電所事故の全容』は2011年3月11日に始まった、誰もが予測できなかった、前例のない事故の全容を明らかにしようとしています。
「全電源停止」、原子力発電所の事故を防ぐためには、電源の確保が不可欠であること…
自分の身が犠牲になることも厭わずに事故に立ち向かった福島第一原発の技術者、作業員がいて初めて、事故の拡大を防ぐことが出来たという事実…
そしてチェルノブイリの事故という前例があったにもかかわらず、東京電力、日本政府、原子力安全・保安院、それらすべてが適切な対応を取れなかったこと…

こうした問題の存在は、事故が発生して初めて分かった事でした。

著作の記述については、所々専門的な技術用語が使われています。
読者は「水素爆発の予防措置、確率的危険度認定、沸騰水型原子炉強化型格納容器へのベント装置設備の必要性」などと言う言葉について、事前の知識が必要かもしれません。
しかし一部にそうした難解さがあるにもかかわらず、この著作には読むものをとらえて離さない力強さがあります。

IAEA
「福島第一原発の事故の根本原因を作りだしたのは、原子力発電に関わることにより大きな利益を手にして得意の絶頂にあった世界各国の電力会社の役員や幹部、原子力産業、原子力に関わる行政機関、そして原子力発電を推進した政治家などでした。東京電力と日本原子力発電関連の各政府機関は、その支部のひとつに過ぎなかったのです。」

アメリカ合衆国内で事故が発生した際、事情は多少異なっていましたが、結果は同じ事でした。
「原子炉の破壊、発電所から放出され環境を汚染した放射性物質、混乱する社会、そして莫大な金額の事故収束費用。

しかし恐ろしいのは、結果がまだわからない事故の影響についてです。

「それを特定することは、きわめて困難です。」
福島の住民で、現在は4歳になる娘を連れて福島第一原発から遠く離れた場所に避難している男性が、2013年、執筆のための調査に訪れていた著者のひとりにこう語りました。

「幼い子供たちに、放射線がどのような影響を及ぼすのか、まだ定説はないのです。」

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福島第一原発の事故とは何だったのか、『福島:原子力発電所事故の全容』はその過去の事実を理解するための絶好の解説書であると同時に、これからどんなことが起こりうるかを、的確に描き出しています。

http://www.washingtonpost.com/opinions/fukushima-the-story-of-a-nuclear-disaster-by-david-lochbaum-edwin-lyman-susan-q-stranahan-and-the-union-of-concerned-scientists/2014/03/14/474b0890-a87e-11e3-8599-ce7295b6851c_story.html

 

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