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汚染水、ネズミ…繰り返される機能停止、解決不能の難問、遅れが重なる廃炉作業

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40年という長い期間、事故を起こさずに廃炉を進めることは可能なのか?!
【 明日をも知れぬ危険が続く、福島第一原発 】

アメリカCBSニュース 2013年4月10日

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事故後に間に合わせに作られた配電盤の回路が、たかがネズミ一匹のせいでショートし、原子炉や使用済み核燃料プール冷却装置が停止してしまいました。
そして今度はネズミよけのネットの取り付け作業中に、再び停電事故を引き起こしました。
そして巨大な地下のタンクには穴が空き、おびただしい量の汚染水が漏れだしていることが明らかになりました。

巨大地震と津波により破壊され、福島第一原発が原子炉がメルトダウンするという巨大事故を引き起こしてから2年以上、今なお福島第一原発は多数のトラブルを起こし、危険な状態が続いています。

間に合わせの配管、貯蔵タンク、そして電源ケーブルが、破壊された建物の中にあるメルトダウンを起こした原子炉に冷却水を送り込み、そして使用済み核燃料プールの冷却を行っており、その状況はきわめて脆弱なものです。
10日水曜日、原子力規制委員会の田中俊一委員長はこうした状況を確認しました。
「福島第一原発の状況はきわめて不安定なものであり、どのような過ちも許されない状況にあります。」
同委員長は、幹部を集めた毎週定例の会議でこう語りました。

「再び同様の問題が発制するということについて、我々はその可能性を除外することができません。問題が起こる度、福島第一原発内での作業が中断し、その分廃炉作業の完了が先へ先へと延ばされていくのです。」

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福島第一原発についてはいくつもの問題がありますが、中でも最大のものは、40年かかるとされる廃炉作業を、事故を起こさずに続けることが出来るのか?というものです。
そして度重なるトラブルにより、東京電力や関係者は再び事故を起こす可能性を最小限にするため廃炉作業の進め方について見直しを余儀なくされ、40年という時間もまた不確かなものになりつつあります。
原子力規制委員会は10日、より適正に福島第一原発の管理を行うために、さらに8~9名監視専門の要員を増員する必要性について言及しました。

この3週間という短い期間に、福島第一原発では8つものトラブルが発生していると、原子力規制委員会が指摘しました。

最初のトラブルは3月18日、一匹のネズミが屋外の配電盤、実はピックアップ・トラックの上に仮置きされていた配電盤装置内に入り込んだ際に発生しました。
この配電盤は応急的に設備されている冷却装置やその他の重要設備に電気を送っていましたが、ショートしたために30時間、電気を送ることが出来なくなってしまったのです。

この間、4か所ある使用済み核燃料プールの冷却が出来なくなり、収納されている核燃料が再びメルトダウンを引き起こす可能性がありました。

にもかかわらず東京電力はこの問題には言及せず、原子炉の冷却装置の予備電源を追加する措置を行ったとだけ発表しました。

この時、配電盤がショートした原因は不明でしたが、後になって配電盤を覆うケースの底で感電死しているネズミの写真を公開しました。
2011年3月以来福島第一原発は正常な機能を失ってしまいましたが、その事も多くの近隣住民を避難させる原因となりました。

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その2週間後、今度は現場の作業員がボタンを押す際に操作を誤り、汚染水処理装置を停止させてしまいました。
この装置はメルトダウンした原子炉を冷却し続けるために使われた結果、汚染された水から主要な放射性物質を取り除くために使われていました。

さらにその翌日、現場の作業員がネズミ除けのネットを配電盤の上に設置する際、電源ケーブルをショートさせ、数時間の間、またも使用済み核燃料プールへの送電が停止し、冷却で出来なくなる事態が発生しました。

この日だけで東京電力は福島第一原発で、3回「軽微」なトラブルの発生を報告しましたが、その中にはメルトダウンした原子炉が過熱した内容、ホウ酸を注入する作業が含まれていました。

東京電力の担当者は福島第一原発の施設内には、ネズミと蛇が多数生息していることを把握しています。
このために東京電力は、ケーブルやパイプ類がネズミにかじられても損傷しないよう、部品や各種装置を耐久性の高い高品質なものと交換する作業を行っています。

福島第一原発の最新状況は、地下に作られた7つの貯蔵施設のうち3か所で、放射性物質に汚染された水が漏れ出しています。
東京電力は二度目の停電の数時間後、6日土曜日朝に最初の汚染水の漏出を公表しました。
その後数日のうちに、新たに2か所で漏出が確認され、計3か所になりました。
汚染水の貯蔵については早晩限界に達することが見えていますが、現在のところ根本的解決手段はありません。

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漏れだした放射能を帯びた汚染水の総量は約120トンになりますが、東京電力は太平洋への流出は確認されていないとしています。
しかし専門家の多くが、福島第一原発の事故では発生当初より放射性物質が海に流れ込んでいると見ており、発電所の近くで獲れた魚からは大量の放射性物質が検出されています。

最近明らかになった問題中で、汚染水の問題は水質管理、環境保全の立場から言っても、最も深刻な問題です。

破壊された原子炉内の燃料の過熱を防ぐための汚染水を安全に管理する上で、貯蔵タンクは重要な施設です。
原子炉自体は安定していますが、メルトダウンして原子炉の格納器の底を突き破り、構造の基礎部分にまで浸出してしまった核燃料の冷却を続けなければ、事故の再現につながります。

「汚染水の安全な貯蔵については、崩壊寸前の状況にあります。」
原子力規制委員会の田中委員長が語りました。
しかしメルトダウンした核燃料については水をかけ続ける以外の選択肢は無く、後はそれによって汚染された水を漏出させることなく、安全に保管する方法を確立させなければならないと付け加えました。

最近立て続けに発生した問題と、それを早期に発見・対処できなかったことに対する不安と不満の高まりを受け、東京電力の広瀬社長が福島県を訪れ、謝罪しました。
茂木経済産業大臣の要請に基づき、広瀬社長は鋼鉄製のタンクを建設し、汚染水はすべてその中に保管することを約束しました。

現在汚染水を貯蔵している地下タンクは前田建設工業によって作られましたが、大きさもまちまちで、大きいものはオリンピック・プールほどの大きさがあり、産業用廃棄物処理場に似た設備になっています。

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この構造については、東京電力が費用を安く上げるために、あえて鋼鉄製にしなかったことが疑われていますが、原子力規制委員会も同様の疑いを抱いています。

「福島第一原発の危機は、収束には程遠い状況にある。」
日本の全国紙である毎日新聞の社説がこう伝えました。
「間に合わせで作られた設備と、その場しのぎの対策の繰り返しで出来る対応には、おのずと限界がある。」

http://worldnews.nbcnews.com/_news/2013/04/05/17613974-rats-anti-rodent-work-shuts-down-fukushima-nuclear-plants-cooling-system?lite
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「福島第一原発の廃炉には、最長で100年かかる恐れがある」
そう語ったのは、アメリカの高名な物理学者、日系のカク・ミチオ博士です( http://kobajun.biz/?p=1880 )が、その恐れが現実に近づいている、そう感じます。
東京電力の『廃炉まで40年』と日本国内で報道されるようになったのは、カク・ミチオ博士の発言から一年以上経ってからの事です。
海外の報道で、何度かカク・ミチオ博士の発言を聞いていた私は、最初から『40年の見通し』には疑問を持っていました。
そしてこの記事を読んで改めて感じたことは、廃炉作業が経過して行く中で、再び危険な事態が発生する可能性が残っている、その事でした。

日本全国には稼働を停止している原子炉が、大飯原発の2基を除いて52あるわけですが、そのうちの4基、福島第一原発の1~4号機は、新たな安全基準の適用など考えることも出来ません。
言ってみれば、「とんでもない」状態のままある訳です。

まさにカク・ミチオ博士がかつて指摘した通り、
「日本人は、福島第一原発の現状について、あまりに楽観的に過ぎる」のではないでしょうか?

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