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【中国と日本の領土問題、対立が先鋭化】[ガーディアン]

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所要時間 約 11分

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タニア・ブラニガン(北京駐在)ザ・ガーディアン(英国)8月19日

広東省深圳で金属製のパイプで、ホンダ・ブランドの警察車両を破壊する中国のデモ参加者

東シナ海上、中国・日本の中間点にある島の帰属をめぐり争いが先鋭化する中、日本の活動家らが島に上陸したことに抗議し、中国全土で大規模なデモ隊が通りを占拠し、日本製の車両を破壊し、日本がオーナーになっている会社や商店を襲撃しました。

中国外務省は活動家らが尖閣諸島に上陸し、日本の国旗を打ち振るなどしたことについて日本政府を非難しました。

先週、香港の活動家らが中国の主権を主張し、尖閣諸島に上陸しましたが、日本側に逮捕され、強制送還されました。

日本はこれらの島々を尖閣諸島として実効支配していますが、中国、台湾も魚釣島として自国の主権を主張しています

東シナ海は豊富なエネルギー資源が埋蔵されている上、豊かな漁場としての価値もあります。
多くの中国人が第二次世界大戦の日本軍の残虐な行為について、謝罪も賠償も行っていない、という不満を持っています。
一方日本側は、異例の速さで進む中国の軍事力強化に対し、不安を募らせています。

南部沿岸地区の深浅市では最大で2,000人のデモ隊が旗や横断幕を掲げて、日本車をひっくり返し、日本食レストランを破壊、日の丸に火をつけるなどしました。
北部のハルビン市から南西部の成都市まで、中国全土で小規模な集会などが開催されましたが、比較的規模の大きい集会が青島、太原、そして杭州市で発生しました。
広州と瀋陽市では、デモ隊が日本の領事館に押しかげました。

2年前、中国人船長が日本の巡視艇に体当たりをして逮捕された際も、似たような騒ぎが起きています。
しかし今回の抗議行動は、数週間にわたり反日デモが繰り返された2005年以来、規模的には最大のものとなったようです。
中国当局は、他の抗議行動と比較し、こうした国家主義的抗議行動については、著しく寛容な態度を取り続けて来ました。

今回の中国国内の抗議行動は、20隻の艦船に分乗して尖閣諸島にやって来た日本の国家主義者のうち、10名が泳いで魚釣島に上陸し、日本の国旗を掲げたことがきっかけとなり、発生しました。
「四日前に中国の活動家が不法入国したことに対し、この場所が日本の領土であることをはっきりさせるため、我々はここにやって来た。」
艦船に乗ってやって来た一人、民主党の保守派、向山好一衆議院議員がAP通信の記者にこう述べました。
「ぐずぐずせずに、やるべきことをやったまでである。」
グループのリーダーの一人、田母神俊夫元航空自衛隊幕僚長はロイター通信にこう語りました。

日本政府は、このグループに対し、尖閣諸島への上陸許可を与えませんでした。
付近にいた海上保安庁の艦船の職員が、活動家に対する事情聴取を行いました。

国家主義者である東京都知事が、現在民間の所有物である尖閣諸島を都で買い上げる、との提示を行ってから、領土問題は一気に熱を帯びることになりました。この発言の後、日本政府も国による買い上げを表明しました。

「日本の右翼の違法な行動は、中国の領土主権を侵害している」として、中国の外務省が今回の上陸について日本の大使に強く抗議したと発表しました。
中国国営新華社通信は以下のように論評し、日本側に警告しました。
「日曜日に行われた上陸は、他の度重なる挑発行為とともに、日中の経済的、政治的連携を高めてゆこうとする双方の努力に水を差し、友好的雰囲気に代わり、無用の険悪さを作り出すものである。」

台湾政府は、「挑発的な」行為について抗議を申し入れるため、台北に日本の代表を呼び出したと、公表しました。
日本の野田首相は、日本名竹島、韓国名独島の領土問題についても、対立する韓国に対し厳しい姿勢をとるよう求められています。

今月初め、韓国の李明博大統領は今年の後半行われる総選挙において、国家主義者からの支持を取り付けるため竹島を訪問しました。
そして同志30人とともに、記念碑を公開するための式典を日曜日に開催しました。

http://www.guardian.co.uk/world/2012/aug/19/china-protest-japan-senkaku-diaoyo-island
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日本は直接争わず、ベトナム、インド、フィリピンなどと連携し、中国の「領土的野心」を国際問題化すべき?!

尖閣諸島の問題に関し、アメリカのメディアによる報道は比較的接する機会が多いと思いますので、英国メディア、やはりザ・ガーディアンとザ・インデペンダントの報道をご紹介します。
何と言っても英国は「外交国家」ですから。
尚、そのアメリカのメディアもCBS、NBC、ABCの3大ネットワークの放映によるワールドニュースは、いずれもこの話題を取り上げていません。

英国の有名な政治家が
「外交とは内政である」
と語っています。
しっかりした内政を行い、国が良く治まっていて初めて、外交も有効に機能する、という意味です。
言い換えれば内政がガタガタでは、強力な外交などできるはずがない、ということです。

尖閣諸島の問題に関しては、現日本政府が国民の支持を失っているのに、原子力発電問題、消費税問題、沖縄の基地問題など難問を抱え込み、どうにもならなくなっているのを見て、中国側が「ゆさぶり」をかけているのは明らかなように思います。
さらには「原子力発電を再稼働させないなら、生産拠点を中国に移すぞ。」
と日本国民を脅した企業に代表されるような、経済界の安易な中国依存も、中国を一層強気にさせていると考えられます。

これに対し「やられたからやり返してやるんだ」では、政治でもなければ外交でもない、と言わざるを得ません。
原発問題でも私たちは痛感させられていますが、一部のこの国の「議員」のレベルには深刻な問題があります。

中国政権が自国民の扇動にどこまでかかわっているか、そこまでは解りませんが、今回の日本側の尖閣上陸は、中国国民の扇動を日本が買って出たような結果になったことだけは間違いありません。
もっと厄介なのは、ケンカに勝つ極意は相手が作った土俵では決して勝負しないことなのに、中国側が作った土俵にうかうかと乗ってしまったため、国際世論もこの問題を日中の領土紛争と捉えてしまったことです。

尖閣諸島をすでに合法的、かつ実効支配しているのであれば、日本は中国の「領土的野心」の方を国際問題化すべきなのではないでしょうか。
一度書いたことがあるように思いますが、日本と関係が良好で、同じように中国の「領土的野心」に脅かされているインド、ベトナム、フィリピンなどと連携し、これにアメリカの後援を加え、中国の「領土的野心」は、アジアの安定に対する脅威に他ならない、そのことを国際問題化すべきではないでしょうか。
極東・東南アジア諸国が、中国の「領土的野心」を共通認識として問題にしない限り、根本的解決はあり得ないと思います。

中国国内の暴動については、明末の『魏忠賢現象』を思い出し、中国国民の特徴の一つとしていちいち反応せず、冷静に対処すれば良いだけの話であると思うのですが…いかがでしょうか。
『魏忠賢現象』とは貪官汚吏(たんかんおり)の代表的宦官である魏忠賢が、国の実権を握って専横を行った際、その不公正さ・残虐さを知りながら、中国国民が争うようにこの男の像を収めた祠を中国全土に建設した、大規模な『阿諛追従』現象のことです。
文化大革命の際の紅衛兵による知識人・良識派への弾圧と迫害は、さらに記憶に新しいところです。

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【 孤島にひるがえる日本の国旗 】

デイヴィッド・マクニール / ザ・インデペンダント(英国)8月20日


日本の国家主義者たちが日本政府の制止を振り切り、中国との間で領土問題の原因となっている尖閣諸島に上陸して国旗を掲げたことにより、両国間の紛争は拡大に向かうことになりました。

幾人かの地方議員を含む150人の国家主義者が分譲した20隻の船団が現在中国との領土紛争の舞台となっている尖閣諸島に向かい、上陸した数人が日本の国旗を打ち振りました。
「尖閣諸島は間違いなく日本の領土である。」
東京都の小坂英二荒川区議会議員がAP通信にこう語りました。

日本政府は先週、第二次世界大戦における日本の降伏を祝う67回目の光復節に、尖閣諸島に上陸し、中国と台湾を国旗を掲げた香港の活動家たちを国外追放処分にしました。
彼らは先週金曜日帰国しましたが、故国で英雄扱いを受けました。

中国と台湾は、豊かな漁業資源と天然資源に恵まれた尖閣諸島の領有権を、長い間主張し続けています。
中国では魚釣島の名称で知られるこの島を、日本は1890年代の日清戦争の勝利により自国の領土とし、以来現在は無人島のこの島を実効支配しています。
中国の新華社通信は、2010年以来となる反日暴動が中国各地で発生した、と伝えました。
この週末、中国国内の少なくとも8つの都市で反日暴動が発生、日本製の自動車やレストラン、その他の施設などを破壊しました。

今回の争いは、東京の石原慎太郎知事が東京都による個人の持ち物である尖閣諸島の買い上げを表明したことにより、一気に激化しました。
野田佳彦首相は、この発表後しばらくして、日本政府による買い上げの方針を明らかにしました。

http://www.independent.co.uk/news/world/asia/japanese-hoist-flags-on-islands-claimed-by-china-8061621.html

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