ホーム » エッセイ » 強まるゲンパツへの逆風 : ニッポン《後篇》
開発可能なクリーン再生可能エネルギーが、日本にはまだまだ数多く存在する
電力の安定供給、発電燃料の大量輸入、その解決のための答えは原子力発電では無い
ジュリアン・ライオール / ドイチェ・ヴェレ 2016年10月21日
太陽光発電と風力発電の利用拡大はすでに日本全国で目に見える形で進んでいますが、同時に潮力発電や波の力を利用した発電技術も実用化に向け開発がすすんでいます。
日本にはさらに莫大な規模の地熱発電の資源があるはずですが、その実用化は緒に就いたばかりです。
ドイチェ・ヴェレの取材に答えた東京都内で司書を勤める森脇ひろ子さんが次のように指摘しました。
「私たち日本人はそれらすべてを実現させることが出来る技術力を持っています。これまで原子力発電のためにつぎ込んできた莫大な資金の一部だけでも、安全で、しかも福島第一原発のような形で環境を台無しにしてしまうことなど決してありえない発電技術の開発に振り向けられれば、最高なのではないでしょうか?」
▽ 日本の電力需要
このようなアプローチに対し批判的立場をとる最大の存在が現在の日本政府です。
政府は日本の産業にとって安定した電力供給源を確保することは急務であり、現在日本は発電のための燃料の84%、石炭、原油、天然ガスを輸入に頼らざるを得ない状況にあると指摘し、輸入代価が高額に昇る上、削減を求められている温室効果ガスの排出量が著しく増加する原因にもなっていると主張しています。
しかし日本の市民は、そうした問題を解決するための答えが原子力発電だとは決して考えていません。
「私たちは日本政府から、停止中の原子力発電所を再稼働させることが日本経済にとってどれだけ重要なことかという事を繰り返し聞かされていますが、この問題は非常に複雑な問題です。しかし福島第一原子力発電所の事故が現実のものになってしまった今日、国民の電力会社や日本の原子力行政に対する信頼は地に堕ちてしまいました。
こう語ったのは福島第一原発から250キロメートルの距離にある東京の北郊で暮らす専業主婦の細村加奈子さんです。
福島第一原発の事故後に行われた調査の結果、東京電力は津波の大きさと威力についての専門家の警告を無視し、事故発生を未然に防ぐため充分な予防措置を採ることを怠っていたことが明らかにされました。
そのため巨大な津波が福島第一原発を直撃し、緊急事態が発生した際に原子炉の冷却を続けるために必要な予備発電装置が作動しなくなり、3基の原子炉がメルトダウンしてしまいました。
さらに福島第一原発の事故の全容を理解しないまま、状況が『アンダー・コントロール – すなわち制御下に置かれている』と表現したことで、日本政府は事故処理が危機的状況にあることを理解していないと報道機関が伝え、さらなる批判を浴びることになりました。
「いずれにしても私には幼い息子がいて家族もいます。家族の安全を守ることが、私にとっては最優先課題なのです。」
細村さんがこう語りました。
「福島第一原発の事故があれ以上ひどくならなかったのは、多分に運が良かったせいだと思います。でももしもう一度同じことが起きたら、私たち日本人は同じような幸運には恵まれることは無いのではないでしょうか。」
〈 完 〉
http://www.dw.com/en/opposition-to-nuclear-energy-grows-in-japan/a-36110302
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2016年10月の宇宙写真から《1》
アメリカNBCニュース 2016年11月1日
宇宙飛行士ケイト・ラビンズが10月26日、国際宇宙ステーションからこの写真をツイートしました。
「ヨーロッパ上空を通過する際、地上の街の灯が宇宙ステーションを照らしだしました。」
(写真上)
10月16日夜明け、ヴァージニア州にあるNASAワロップス打上げ基地の発射台で、シグナス補給船を搭載し打ち上げの瞬間を待つATKアンタレス・ロケット。
無人の宇宙船シグナス補給船の使命は国際宇宙ステーションに総重量5,100ポンドの科学研究用資材や乗員用の物資などを運び込むことです。(写真下・以下同じ)
10月17日、ATKアンタレス・ロケット打ち上げの瞬間。
アンタレス・ロケット1号の打ち上げは2014年でしたが、直後に爆発・炎上しました。
宇宙飛行士ケイト・ラビンズが10月5日、国際宇宙ステーションからツイートした雷雲の写真。
ウエスターランド第2新星集団 は出来てから約100万~200万年が経過していると考えられていますが、位置するのは地球から約20,000光年のかなたです。
NASAのチャンドラX線天文台は、10月14日にこの写真を一般公開しました。
ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた可視光線(緑色と青い色の部分)は濃い雲状の物体から星が形成される過程を明らかにします。
この雲状物質を通過して強い放射線(紫色の部分)が放出されていますが、これはチャンドラX線宇宙望遠鏡によって撮影されました。
http://www.nbcnews.com/slideshow/month-space-october-2016-n676341