星の金貨 new

星の金貨 東日本大震災や音楽、語学、ゴルフについて語るブログです。

ホーム » エッセイ » 安倍首相に日本国憲法改定の負託はあるか?!《前編》

安倍首相に日本国憲法改定の負託はあるか?!《前編》

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

所要時間 約 7分

広告
広告

自ら膨らませた財政赤字、追い詰められる国民生活、トランブ政権からの強力な圧力 - 得点の無いアベ政治
多方面に影響が及んだ森友・加計スキャンダル、成長しない日本経済、性差別…混迷する日本の社会と経済

 

モトコ・リッチ/ ニューヨークタイムズ 2018年9月20日

安倍晋三首相は9月19日、自民党総裁選挙で勝利を収めたことにより念願の日本の政治史上最長の首相になる可能性が現実のものとなったと同時に、宿願である平和主義憲法の改定に向けた意欲をたくましくしています。

 

安倍首相は相次いだ自分と関係のある政治的スキャンダル、停滞しままの労働者の賃金、そして特に北朝鮮の核開発問題に関すして明らかになったトランプ大統領に対する影響力の低下などいくつものマイナス要因を抱えながら、一人だけの対立候補に勝利しました。

この勝利により自由民主党総裁としての新たな3年の任期が63歳の安倍氏に与えられ、自動的に首相としての留任が保証されます。
2012年12月に選出されてから7年後の2019年11月まで在職していれば、20世紀初頭の明治時代に首相としての長寿記録を作った桂太郎を上回ることになります。

 

しかし安倍首相は幾つもの困難な課題を抱えこんでいます。
増え続ける国家的債務、気候変動に起因するとみられる自然災害の脅威の増大、急速に高齢化が進む社会、2020年の東京オリンピックなど見渡せば数かぎりない課題に直面しています。

安倍氏は自民党総裁の就任演説でこう語りました。
「みなさんと協力して、子どもたちの世代が希望と誇りを持てるような日本を引き継ぐため、全力を尽くしたいと思います。」

政治アナリストたちは安倍氏が安定した立場を利用して強い政治力を発揮できる背景にあるのは、それ以前めまぐるしく首相が交代することに日本国民が疲れてしまっていたという事情だと分析しています。

 

第二次世界大戦以降、日本の総理大臣の平均在任期間は約2年です。
一方の安倍氏は来年末までに首相に留まっていれば、第一次安倍内閣時代を含め在任期間が約8年の桂太郎を超えることになります。

 

安倍氏に批判的な人々は、多方面に影響が及んだスキャンダルや経済成長の低迷、あるいは長年約束してきた性差別撤廃のための対応に失敗するなど、事態がもつれてしまっていることに失望しています。

 

しかし今回対立候補として立候補した元防衛大臣の石破茂氏は、方針変更を正当化するだけの十分な支持を集めることはできませんでした

ワシントンにある外交問題評議会の日本専門家であるシーラ・A・スミス氏は、次のように語りました。
「日本の人々は安倍首相の3選を必ずしも手放しでは喜んでいないでしょうが、それじゃあ誰だったらもっとうまくやれるのか?答えを知っている人はいないと思います。」
「それが自民党内であろうと日本の有権者全体の話であろうと、トランプ政権の問題を別にしても目下日本が直面している全ての課題を考えれば、今はみんながリスクを回避することを優先すべきだと考えているのだと思います。」

 

トランプとの親密な関係構築を絶え間なく続けてきた安倍氏は、ニューヨークで開催される国連総会への出席の機会をとらえトランプとの首脳会談を行う予定です。
安倍首相は日本製の自動車関連製品に輸入関税を課すと脅かすトランプ政権の声明を受け、日米の二国間貿易交渉を受け入れるよう圧力を受ける可能性もあります。

トランプは大統領に就任してわずか1週間のうちに包括的貿易交渉であるTPP(環太平洋パートナーシップ)からの米国の離脱を決めましたが、安倍首相はアメリカを再び交渉に参加させるべく日本を率いてきており、二国間貿易交渉を諦めさせるためには合理的説明を求められることになるでしょう。

国内では、戦後アメリカによって占領されていた1947年に制定された日本国憲法の戦争放棄を宣言する条文の改定に着手しようとした段階で最大の試練に見舞われるでしょう。

安倍首相は自民党総裁選で3選を果たした際、「皆さんと一緒に憲法改正を進めたい」と述べました。
彼の祖父である岸信介元首相も平和憲法の平和主義条項の改定に取り組みましたが、失敗しました。
それゆえ、憲法の改定は安倍首相の最大の宿願となっています。

 

しかし事情に詳しい人々は、いかなる内容であっても憲法を改定するためには議会だけでなく一般国民の幅広い支持が必要であり、安倍首相は無視できないリスクに直面することになるだろうと見ています。

 

慶応大学で国際政治を専攻する細谷裕一教授が次のように語りました。

「もし国民投票で支持を得られなければ、憲法改正は安倍首相にとって自殺行為になるでしょう。」

 

《後編に続く》
https://www.nytimes.com/2018/09/20/world/asia/japan-shinzo-abe-election

+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

 

アベ3選の先に何があるか?

あってはならないのは私たちの生活の根本的転換、質的転換です。

憲法の改定は私たち戦後日本の社会と経済を大きく変えてしまう可能性、否、危険性があります。

 

今の日本社会は変わるべきなのか?

現代の世界事情と齟齬があるとしたら、それはどの点なのか?

『厳しさを増す安全保障環境』とは具体的に何を指すもので、現状のままでは状況はどのように変化する可能性があるか…

等々、憲法を変えるというのであれば、こうした問題について綿密で丁寧な議論が必要です。

 

それが「自衛隊は一生懸命やっているのに今のままではかわいそうだから、憲法に自衛隊は日本の正規軍だと明記しましょう。」

などというのは議論でもなんでもありません。

議論というのはそういうものではありません。

民主主義国家の首相の発言とは到底思えません。

 

 

広告
広告

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事に関連する記事一覧

このサイトについて
ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
最近の投稿
@idonochawanツィート
アーカイブ
広告
広告
カテゴリー
メタ情報