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原子力発電はこれ程に危険であり、原子力行政と業界はこれ程に腐敗している〈第2回〉[フェアウィンズ]

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所要時間 約 8分

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『メイド・イン・ジャパン?!』
原子力発電につきまとう危険、それは日本固有の問題ではありません

▼ 腐敗と癒着がはびこる、それこそが原子力発電
▼ 原子力発電所内では、次々と配管が劣化する危険が続いている

▽ 太平洋を隔てた向かい側でも


アメリカのカリフォルニア州にある[サンオノフル原子力発電所]では、従業員が安全に関する懸念を外部に漏らしたりしたら、直ちに報復を受ける、という雰囲気を作り出している、として原子力規制委員会が警告を行いました。

同発電所で健康指導を行っていた保健師のエドワード・バッシーは2006年、いくつかの物質について放射線量の測定を行った際、検査した物質のイニシャルを書き換えたとして首になりましたが、解雇理由はねつ造されたものだとして、原子力発電所を運営しているエジソン社を連邦裁判所に告訴しました。
解雇の本当の理由は、彼の上司とNRCに対し、同発電所の健康管理体制に対し、不満を明らかにしたことにある、と主張しています。

SONGSの略称(こんな素敵な名前を使うことを、許していいのでしょうか?!)を持つサンオノフル原子力発電所では今年1月、放射性の水蒸気が漏れだす事故がありました。
調査した結果、2基の原子炉の両方の銅製の配管にひどい損傷が見つかり、そこから水蒸気が押し出されていたことが解り、以来稼働を停止しています。

しかし、押し出されたのは水蒸気だけではありませんでした。
SONGSに内部告発者(英語でwhistleblower、ホイッスルを吹く人)とは絶妙の組み合わせですが、バッシー氏の場合は、内部告発者を始末するための法の抜け穴を利用したシステムにより、たちまちその職を奪われることになったのです。

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サンオノフル原子力発電所は私企業、南カリフォルニア・エジソン社が主な所有者になっていますが、その土地はキャンプ・ペンドルトン海兵隊基地から借り受けています。
つまりこの原子力発電所は連邦政府の所有地の中にあり、内部告発者を保護する法律も含め、いかなるカリフォルニア州の法律も適用されない、と法廷は判決を下したのです。

実はこれまでも、サンオノフル原子力発電所における安全問題に関する内部告発や、セクシャルハラスメントやその他の問題についての州の裁判所に対する告発は、いずれも発電所の立地を理由に、すべて却下されてきたのです。
この問題についてロス・アンジェルス・タイムズは、これまでも同発電所ではその建設以来、職員が安全上の懸念を表明したり、労働条件について不満を述べたりした際、カリフォルニア州の住民なら当然与えられるべき法的な保護なしに、解雇が繰り返されてきたことを明らかにしました。
SONGSの歴史はまさに度重なる事故と、設備運営者による安全確保の手抜き、ウソと隠ぺいの歴史なのです。
サンオノフル原子力発電所職員が、問題を起こせば直ちに首になり、内部告発に関する法的保護も極めて薄弱であることを考えたとき、同発電所が米国内でも最悪の部類に入る原子力発電だという結論に、反対を唱える人はいるでしょうか?

行政側のいい加減な規制が如何に危険なものであるか、それを証明するためには、サンオノフル原子力発電所の事例だけでは不十分でしょうか?
それなら、今回の福島第一原発の事故についてその調査報告書が、その危険性をいやという程明らかにしてくれました。
安全確保に対するきちんとした姿勢を蝕んで行ったものは、日本の経済社会特有の慣習だけではなく、世界中で見られる規制機関と原子力産業界の間の、腐敗しきった忌むべき癒着に他ならないのです。

▽腐敗と癒着がはびこる、それこそが原子力発電


不正な癒着によるもたれ合いは、それが国家的なものであれ、国際的なものであれ、それ自体は工夫の産物であると言えないことはありません。
フィナンシャルタイムズが指摘したように、日本人とその独特の管理監督体制は、先端技術の結晶である新幹線を生み出し、1964年以来一度も致命的な事故を起こすことなく運営が続けられています。

実は国会事故調査委員会の報告書そのものは、福島第一原発の事故で幾重にも繰り返された失敗の原因が、日本固有の文化にあるのではなく、原子炉の構造的欠陥と、原子力発電特有の致命的欠陥に直接起因するものであることを、何よりも明快に明らかにしているのです。

いったん、ここで昨年の夏、議論された問題に触れましょう。
軽水炉に関するパラドックス、「安定した電力を途切れることなく供給するため、軽水炉には安定した電力を途切れることなく供給する必要がある」
これは永久運動に関する不可解な説明などではなく、日本とアメリカで日常的に原子力発電を行っている軽水炉が、構造上、水素爆発を起こして原子炉に火災が発生し、原子炉内でメルトダウンが起き、格納容器を突き破るメルトスルーに到る、一連の連鎖的に致命的事態に陥らないようにするため、水を送り込み続けて、原子炉内の核燃料を充分に冷やしておく必要性について説明しているのです。

福島第一原発で発生した一連の大災害のほとんどが、このパラドックスに原因を求めることができるのです。
世界がその様子を目撃し、日本の報告書が繰り返し指摘した通り、東北太平洋沖地震は福島第一原発の原子炉格納容器の密閉性と冷却システムを破壊し、発電所内の電源供給システムを破壊しました。そして地震によって発生した津波が予備のディーゼル発電機をも稼働不能にさせ、全電源喪失という事態に陥ったのです。
どうしてもパラドックスのような仕組みにならざるを得ない、格納容器内の冷却水の循環は、まず地震によって循環が滞るという深刻な事態に陥り、次に襲った津波によって完全にその機能を失いました。


巨大地震が多発する日本の国土の問題、そして軽水炉が構造上多量の水を必要とするという問題。
この20年間。日本の科学者がこの2つの深刻な問題について、東京電力を始めとする原子力発電所の運営者や規制や監視を行うべき政府機関に対し、繰り返し数々の指摘を行ってきました。
しかし軽水炉と言うものが、このパラドックスのような構造を持っている以上、福島第一原発の事故発生は起こるべくして起きた、そういわざるを得ないのです。
〈つづく〉

http://fairewinds.com/ja/content/made-japan-fukushima-crisis-nuclear-not-cultural

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