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福島の人々の故郷、そして未来を奪った、日本の原子力産業と原子力行政[フランス24]

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【出そろった日本の福島第一原発・事故調査報告書】

フランス24 7月23日


日本の規制当局、行政当局、そして東京電力は安易に『原子力発電安全神話』の上にあぐらをかき、原子力発電所事故の危険性を顧みず、事故は起きるべくして起きた。
福島第一原発の事故調査委員会の報告書がまたひとつ、公表されました。
この報告書を公表したのは、学者、ジャーナリスト、弁護士、そしてエンジニアからなる事故調査委員会ですが、上記の職員たちが3基の原子炉がメルトダウンを起こした大事故の発生に対し、ほとんど訓練らしい訓練を受けていなかったことも明らかにしました。
「日本の行政当局と東京電力を含む電力業界が、原子力事故は日本では起きないという、根拠のない『安全神話』の上にあぐらをかき、いざ事故が発生すると、このような重大事故に対処するためのどのような知識も持たず、訓練すら受けていなかったことに、根源的な問題があった。」


450ページのこの報告書は、2011年3月施設内になだれ込んだ巨大津波が、私たちの世代で最悪となった福島第一原発の事故を引き起こした事に関する、4番目の報告書です。

事故により原子炉はメルトダウンを引き起こし、環境中に莫大な量の放射性物質を放出、10万を超える人々が住まいを捨てて避難することになりました。
この中には、一生故郷に戻ることができなくなってしまった人々もいます。

ジャーナリストや学者によって構成された、民間の事故調査委員会の報告書に続いて発表された、事故を厳しく糾弾した国会事故調査委員会の報告書は、今回の事故が「まさしく人間が作り出したものである」と指摘しました。

一方、福島第一原発の運営当事者である東京電力が作成した報告書は、自分たちの責任のほとんどを回避しました。
今回襲った地震と津波の規模はあらゆる予測を上回る程巨大なものであり、どのような科学をもってしても予測不可能であった、としたのです。

しかし一番最後に公表された報告書が、東京電力と子力安全・保安院(NISA)が、津波の襲来と過酷事故の発生に対する充分な備えを怠っていたこと、さらには日本政府が住民を避難させることに失敗したことを指摘したのです。
「原子力発電所における、大規模災害発生のための備えは不十分だった。さらには原子炉格納容器の破壊により、大量の放射性物質が環境中に放出されてしまった場合の対処法についても、備えがなかった。」


報告書は地震と津波、そして原子力発電所事故の三重災害に対して官僚的対応に終始した結果、混乱が収束どころか加速されてしまったと、菅前首相とその政権をも厳しく批判しました。
事故発生に対し、まるで役に立たない原子力安全・保安院などの政府機関を、何とか機能させようという菅前首相の取り組みも、結局は成功しませんでした。
「菅前首相が直接事故処理に介入したことにより、事態がますます悪化したと結論せざるを得ない。現場を混乱させ、必要な場面で適切な処置が採られることを妨げ、誤った判断を誘発してしまった。」
報告書はこのように批判しています。

報告書はまた、東京電力に対し、「その場で判断し、必要な処置をとる」という原子力発電所の職員への訓練を行っておらず、その結果これらの職員たちが危機に際して、率先して柔軟な思考の下、必要な対策を取ることができなかったと、批判しました。

そして今回の事故の最大の疑問に焦点を合わせました。
政府機関、そして東京電力が主張する、事故の原因は巨大な津波が発電所内になだれ込み、原子炉の冷却システムを稼働不能にした、それだけが事故原因だとする見解です。

この見解を、多くの科学者や活動家が批判しています。
津波が襲う以前に、巨大地震そのものによって原子力発電所が破壊されてしまっていた可能性を、彼らは指摘しています。


7月初旬に発表された国会事故調査委員会は、東京電力の関係者と原子力安全・保安院などの規制当局、そして政府関係者との間の、身に染みついた、常態化していた馴れ合いの関係について批判しました。
ずさんな運営と監視が繰り返されたことが、事故の直接原因の一つとなった、と糾弾しています。
「その結果、原子力事故とは無関係であるべき国民の権利は踏みにじられた。それ故に我々は今回の事故について、人間が作り出したものである、と結論する。」
7月5日公表された、国会事故調査委員会報告書にはこう書かれています。

今年2月に公表された学者、ジャーナリストによる民間の事故調査委員会は、東京電力は必要とされる安全対策をとっていなかったが、とるべきであった、と報告書に記しました。
一方でこの報告書は、東京電力の現地の発電所職員が現場に留まり、事故処理を続けたことにより、それ以上災害が拡大し手がつけられない状態に陥ることだけは防いだ、そう記しています。

http://www.france24.com/en/20120723-japan-fukushima-tepco-tokyo-electric-powerignored-nuclear-safety-risks-new-report-says
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「2度と戦争はしてはならない」
8月15日を迎え、全国各地で第二次世界大戦=太平洋戦争の犠牲者を悼む催しが開催され、この言葉がたくさんの方々から聞かれました。
以下にご紹介する写真が、戦争というものが人間の歴史と切っても切れない関係にある一方、最大規模の殺人に他ならない事を証明しているように思います。

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【 アレッポ北方の都市、アザーズ空爆の惨状 】

アメリカNBCニュース 8月16日

8月15日水曜日、シリア政府の空軍機がアレッポの北方にあり、現在反政府勢力下にある都市、アザーズを空爆し、市民30名が死亡しました。
そしてシリアと隣国のレベノンでは、宗派対立が原因の子供の誘拐が頻発している、とアザーズの医師が詳言しました。
トルコとサウジアラビアのスンニ派支援団体は、レバノンのスンニ派信者に対し、シーア派信者からの迫害を避けるため。レバノンからの出国を急ぐよう警告しています。
今回のシリア内戦の原因の一つに、深刻な宗派対立がある事を証明しています。
[写真はクリックすれば、拡大画像をご覧いただけます]


破壊された建物の残骸の中に、取り残された女性の遺体


重傷を負った少年を病院に運ぶ市民たち



傷つき、悲しみをたたえた女性の目に苦悩が宿る


息子の遺体を抱きかかえ、夫の遺体の前で泣き叫ぶ女性

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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