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【 福島第一原発、いまだ安定せず 】原発再稼働を焦る日本政府、だが福島第一の安全確保に失敗は許されない

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再稼働を焦り、原発の徹底的な安全確保から遠ざかる日本政府と原子力産業界
東京電力とは別に、独立した福島第一原発の現場の監視機関が必要

マーティン・ファクラー / ニューヨークタイムズ 3月19日

NYT319
3月18日、福島第一原発が2011年以来最悪となる停電事故を起こしました。
20日水曜日早朝までに東京電力側はすべての電力の供給を回復したと発表しましたが、今回の事態は福島第一原発の脆弱性を改め明らかにし、その状況が安定には程遠いことを印象づけるものとなりました。

18日月曜日に発生した部分的な停電は、使用済み核燃料を収納している核燃料プールの冷却機能を、少なくとも約30時間奪いました。
この事態について東京電力は、核燃料プール内の燃料棒の温度が再び放射性物質を、大量に放出するほどの高温にはなっていないとしていました。

後に東京電力は停電が発生して以来4日間、燃料棒の温度は安全な範囲に保たれたままであったと公表しました。

しかし専門家や福島第一原発の状況に詳しい関係者は、福島第一原発の安全装置の中には、大事故の最中に応急的に設置された間に合わせのものがそのまま残っているものがあり、危険な状況にあると指摘しています。

東京電力もこの問題については、十分認識しています。
「福島第一原発では、未だに間に合わせの装置を使い続けています。私たちは現在それらを、信頼性の高い恒久的なものへの交換作業を行っています。」
19日火曜日、東京電力のスポークスマンはこのように語り、現在冷却装置の修復を進めていると語りました。

全景 1
日本では、国民が福島第一原発の事故と現状に対しいらだちを募らせている中、政府と原子力産業界が原子力発電は必要であるとの立場を変えず、様々な工作を続けてきました。
今回の福島第一原発の一歩間違えれば致命的事態につながりかねないトラブルは、その最中に発生しました。

日本では2011年以降、原子力発電所に対する安全基準が強化され、いったんすべての原子力発電所が停止させられました。
その後事故から1年あまり後、2基の原子炉が再稼働されています。

日本の安倍晋三首相は、日本の景気回復のためには原子力発電所の再開が不可欠であるとの立場を取っています。
安倍首相は原子力発電所は安全が確認され次第再稼働させると語り、原子力発電に対する信頼を何とか取り戻そうとしています。

2年前の福島第一原発の事故の始まりも、やはり停電でした。
巨大地震と津波によって福島第一原発のすべての電源が失われてしまい、原子炉と使用済み核燃料プールの冷却ができなくなってしまったことでね事故は巨大化しました。
続く数日間、3基の原子炉でメルトダウンが発生し、大量の放射性物質が環境中に放出され、世界史上2番目となる巨大事故が発制したのです。

東京電力は今回の停電は、その3基の原子炉の冷却システムには影響しなかったとしています。
しかしながらより多くの使用済み核燃料を収納し、原子炉と比べれば明らかに密閉性の弱い使用済み核燃料プールに関する懸念は、未だにほとんど払拭されてはいません。

4号プール・キャップ
東京電力によれば、今回停電により冷却ができなくなった4箇所の使用済み核燃料プールには、8,800本以上の使用済み核燃料棒が収納されていますが、これが事故を起こしてしまえば、3.11の『初回の事故』を上回る規模の事故につながる可能性があります。
福島第一原発の事故では、約160,000もの人々が避難を余儀なくされました。
一方で専門家は、使用済み核燃料は時間の経過とともに徐々に温度を下げていき、その分火災やメルトダウンの危険性も減少していくと語っています。

しかし現在のところはすべての事態について東京電力のみが情報源でしか無く、近隣住民を含め一般市民の安全を確保するためには、福島第一原発の現場にあって、監視を続ける独立した機関の創設が求められます。
今回の停電事故でも、東京電力は事故発生から3時間、その事実を公表せず、その隠蔽体質に批判が集中しました。

今回の事故について東京電力は、配電盤に問題があったとしています。
しかし東京電力はそうした際の、予備電源装置を装備しているはずです。

配電盤とネズミ
その予備電源装置は、別系統の配電盤が故障したら、機能しなくなってしまうものなのでしょうか?

多くの専門家が、福島第一原発の間に合わせの冷却システムに対して危惧し、再び大地震が発生した場合の事故の再発を懸念し続けてきました。

東京電力は今回の停電事故の際、しばらくの間指令センターでも電気の供給が途絶えてしまったことを認めました。

取材協力 : マシュー・L. ウォルド(ワシントン)

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少し前の記事ですが、掲載する機会が無かったため、今回アップさせていただきました。
福島第一原発の『軽視』は、民主党政権から自民党政権に代わってもいっこうに変わりません。
どころか、ことさらに軽視することにより、全国の原発の再稼働を早めようとする動きが感じられます。

しかし、世界はそうした動きを厳しい目で見ています。
その目を欺くことなど、決してできないはずです。

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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