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これから始まる、この国にとって史上最も危険な作業《前篇》[フェアウィンズ]

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所要時間 約 11分

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少しの操作ミス、作業ミスで東日本全域が壊滅してしまう
そんな危険な作業を、汚染水も止められない東京電力任せにして大丈夫なのか?
【 フクシマのミッション・インポッシブル(不可能な任務)】
福島第一原発の技術陣を待ち構える、最も危険な作業

フェアウィンズ 8月15日

4号機付屋
福島第一原子力発電所の事故発生から2年半余り、3基の原子炉がメルトダウンするという巨大災害に苦しみ続ける中、この事故の対応にあたる科学者、そして技術者が今、一連の事故収束作業の中で最も困難で危険な作業の開始に備えています。

この作業は4号機使用済み核燃料プールから約400トンの、非常の放射性の強い使用済み核燃料を取り出す作業で、もし対応を誤ればこれまで人類が経験した事のない巨大規模の、悲惨な原子力発電所事故を引き起こすことになる、中立性と公平性を保つため独立した立場で原子力発電の研究を行っている専門家がそう指摘しました。

実際に作業にあたることになる東京電力は、これ程の規模の作業はかつて行われたことが無く、危険と隣り合わせのものになると語っています。
もしこれらの核燃料の放射性物質の放出が制御不能の状態に陥った場合には、2011年3月の最初の事故、あるいは1986年のチェルノブイリ事故とは比較にならない規模の、大規模な放射能汚染を引き起こしてしまう可能性がある、そう指摘するのはコンサルタントを務めるマイケル・シュナイダー氏とアントニー・フロガット氏です。
彼らは『世界の原子力発電所の現状2013年版』の中で、以下のように指摘しました。
「福島第一原子力発電所、原子炉4号機の使用済み核燃料プールの密閉、あるいは制御が不能に陥り、使用済み核燃料のすべてが放射性物質を放出するようなことになれば、これまでで最悪の、いかなる事故とも比較できない程重大な放射能汚染が発生する可能性があります。」

福島第一原発廃炉
それ程危険な作業ですが、実地に検証されたことはあるのでしょうか?
ありません。
コンピュータ上でシュミレーションが行われただけです。

広島原爆が放出した放射能の14,000倍の放射性物質が閉じ込められた1,300本の核燃料棒(核燃料ペレットをいくつも詰め込んだジルコニウム性の管)を、4号機の使用済み核燃料プールからきわめて慎重に取り出す。
これがこれから行うべき作業の中身です。

長年原子力産業界に身を置き、フェアウィンズ・エネルギー・エデュケイションの責任者を務めるアーニー・ガンダーセン氏がロイター通信社の取材に、次のように答えました。
「かなりの量の使用済み核燃料棒の取り出しが、困難になると予想されます。」
特に互いにくっつき合う程近接している燃料棒については、破損による大量の放射性物質の放出という危険がつきまとうことになる、と。

それがどれほど危険なものであるか、ロイター通信社の取材に対し、ガンダーセン氏はこのように答えています。
「使用済み核燃料を取り出す際にもし操作や手順を誤り、核燃料棒同士がぶつかり合ったり、あるいは燃料棒を破壊してしまった場合には、その場で臨界が始まり、それが連鎖反応を引き起こす可能性があります。それはどの場所でも、どの段階でも起こりうることです。そうなった場合の危険性は、きわめて巨大であり、極めて深刻な事態が現実になるのです。」

100205
その結果生じる放射線の放出を、使用済み核燃料プールは防ぐことはできないのでしょうか?
使用済み核燃料プールは正常な状態の核燃料を冷却保管するだけの設備であり、臨界状態の使用済み核燃料の放射性物質の放出を防ぐような機能は備えていません。

「使用済み核燃料プールには、臨界を止める機能は無い、まさにその点が問題なのです。もちろん制御棒自身にも、臨界を防止する機能などはありません。」
ガンダーセン氏がこう指摘しました。
「核燃料プールが持っている冷却機能は、原子炉から取り出した使用済み核燃料が臨界後も続く、崩壊(核反応)によって生じる崩壊熱を取り除くだけのものであり、臨界に達した核燃料を冷却するような能力は持っていないのです。」

これらの使用済み核燃料が置かれている核燃料プールの底の部分は、地上18メートルの場所にあります。
プール自体の大きさは10×12メートルで、使用済み核燃料自体は水面下の7メートルの場所に置かれています。

ここに問題が一つあります。
4号機使用済み核燃料プールは、2011年3月に発生した爆発の際に原子炉建屋の屋根が吹き飛ばされ、一度露天にさらされたことがあるという点であり、このことにより核燃料プール内の状態が正常ではなくなっている可能性があるのです。

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4号機核燃料プールからの使用済み核燃料の取り出し作業は、緊急を要するのでしょうか?
今後それほど大きくはない地震ではあっても、プール内で異常が発生して放射世て物質が放出される可能性があり、取り出しは急がなければなりません。

東京電力はこの作業を今年11月から開始し、約1年間で完了させる予定を立て、順調に進めることが出来ると考えています。
しかし、専門家の中にはこの予定について疑問を持つ人々がいます。

東京電力は現在福島第一原発の別の場所で異なる問題を抱えており、解決の目処を立てられずにいます。
汚染水の漏出問題です。

しばらく前に東京電力は空の(核燃料ペレットが充填されていない)核燃料棒を2本取り出す作業を試験的に行いました。
しかしその事をもって「実際の使用済み核燃料の取り出し作業を問題なく実行できる」と結論することは論理的にかなり飛躍していると、フェアウィンズのガンダーセン氏がロイター通信とのインタビューの中で指摘しています

〈後篇に続く〉
http://fairewinds.org/media/in-the-news/mission-impossible-fukushima-scientists-brace-for-riskiest-nuclear-fuel-clean-up-yet
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日本では全く問題にされていなかった段階で、4号機の使用済み核燃料プール内の使用済み核燃料燃料の危険性について、世界に対し初めて警鐘を鳴らしたのがガンダーセン氏でした( http://kobajun.biz/?p=2724 )。
その後アメリカの上院議員が来日して現地を視察、それを見て今度は当時の細野原発事故担当大臣が現地に行くなどして、この問題が一気に表面化しました。

そのアンダーセン氏が改めて問いかけています。
「東京電力は本当に、問題を起こさず安全に核燃料を取り出す作業を完遂できるのか?」と。

福島第一原発から約90キロの場所に住み暮らす私は、大きな余震などがある度、反射的に『4号機使用済み核燃料プールは大丈夫だったのか?』と考えるようになってしまいました。
それが核燃料の取り出し作業が始まってしまえば、毎日そのことが気がかりになってしまうでしょう。
私は何かあったら、どうやって、どこに、家族を避難させようかと悩み続けています。

さらに近い場所で暮らしている方々の心痛は、もっと切実なものになるはずです。
これは『杞憂』などではないのです。

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エクソダス(大脱出)数万のシリア難民、イラク北部に逃避行

アメリカNBCニュース 8月20日

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8月18日日曜日マームド・クアロウは2年間続いた内戦がますます悪化するだけであることを確信し、シリアからイラク北部へと脱出する避難民の群れに身を投じるべく、身の回りのものをバッグに詰め込みました。

15日木曜日、アルカイダと関係が深いシリアのスンニ派反乱軍のアル・ヌスラ戦線が、シリア国内のクルド人集落周辺に、頻繁に姿を現し始めた事に危機感を抱いた約35,000人のシリア人難民が、イラク北部のクルド人が暮らすクルディスタン地区に国境を超えてなだれ込んできました。

「シリアでは平和的解決など、もう望むべくもありません。政府軍は絶えず私たちに空爆や砲撃を加え続け、アル・ヌスラ戦線のメンバーはいたる所で自爆テロを行い、自分自身の体を吹き飛ばしているのです。」
マームドは国連援助テントの前にできた行列に加わりながら、こう語りました。

突如始まった大規模な難民の流入により、イラクもまたシリアの内戦に巻き込まれる危険性が出てきました。

数万の武装兵士を傘下に持つイラクの国内のクルド族地区のリーダーは、シリア国内の同じクルド人たちを守るため、国境の両側でアルカイダの援助を受けるアル・ヌスラ戦線との戦いに踏み切ると宣言しました。

バグダッドの北西約420キロの場所にあるドホークの国境検問所をめざして避難をするシリア難民。8月20日。(写真上)

普段はシリア、イラク両国の国境監視機関によって厳しく管理されている、チグリス川に架かる橋を渡りイラク側になだれ込んできたシリア難民。
「気温が40度に達する中を何日間もかけて逃れてきて、やっとたどり着いた安ど感からか、人々は皆一様に笑顔でした。」
国連難民高等弁務官事務所のカメラマンがこう語りました。(写真下・以下同じ)

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子どもを抱いて国境を目指す母親。
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イラク、クルド人居住地区のアルビル郊外にできた、シリア難民のための臨時のキャンプ。
対応に追われるイラク側は、現在一日の難民受け入れ人数を3,000人に制限しています。
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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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