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【 戦争される側から見た9.11後の世界 – 大義なき戦争が世界を滅ぼす】《前篇》

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所要時間 約 8分

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国際テロの根本原因を解明しなかった人類は、一層愚かな選択を行った

増殖を続けるテロ集団と終わらない戦争、それを始めさせたのは大国の官制暴力

『テロとの国際社会の戦い』に対する反作用は12カ国でテロ事件を誘発、数えきれない一般市民の犠牲者を作りだした

 

ラミ・G・ホーリ / アルジャジーラ 2016年9月11日

 

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テロリズムはそれ自体忌むべきものです。

しかし人々や政府機関がこの問題に対処しなければならない時、理性や計算を忘れ、暴力に対抗するには暴力しかないと結論した挙句、テロや戦争を拡大し恒久化させるようなことがあれば、事態はなお一層悲劇的なものになってしまいます。

しかしアルカイダによるアメリカへの攻撃・9.11同時多発テロの発生から15年が過ぎた今、それは間違いなく現実のものになってしまいました。

 

2001年9月11日、私はボストンにいましたが、今週再びボストンに滞在しています。

ボストン市民のあいだには、奇妙な組み合わせによる複雑なムードが漂っています。

軍国主義的な勝利主義、混沌とした政治状況、そして新たなテロ発生に対する恐怖です。

国内での世論調査の結果、アメリカ国民の5割が新たなテロ発生に対し懸念を抱いていることが明らかになりました。

 

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2001年の同時多発テロは、この地球上の人類のバランスシートを概ねネガティヴで恐怖に彩られたものに変えてしまったことは、もはや疑いようのない事実のようです。

 

2001年同時多発テロ以降のアメリカの行動記録を検証すると、ひとつの到達点が見えてきます。

 

9/11からテロリズムに対するアメリカの行動のチェックは、1つの非常に大きい業績をきろくしました。: 米国、そして世界各国はテロ防止対策を徹底的に強化し、2001年以降アメリカ本土におけるアルカイダ、あるいはISIL(別名ISIS)による組織的テロ攻撃は発生していません。

 

▽ ネガティヴなバランスシート

 

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しかしそれ以外の状況は悪化しました。

テロを生み出す土壌と政治状況が悪化する一方、アラブの地の中心部におけるアルカイダとISIL(別名ISIS)のテロの遂行能力と組織規模は、この15年間で確実に大きくなってきたのです。

 

アルカイダとISILに対する武力攻撃の内容と規模の拡大、そしてアジアからアラブに架けたイスラム社会における政治的抑圧と社会情勢の悪化が進めば進むほど、テロリスト達の勢力が拡大していくという皮肉な結果を生みました。

 

アメリカとその同盟諸国、西側各国からアジア、アラブの親米国家は過去20年間、テロリストたちに対し、お決まりの軍事作戦を秘密裏に進めてきましたが、アルカイダもISILもアラブの地から根絶やしにすることはできませんでした。

 

シリア難民10

事実、アメリカが主導する軍事攻撃『テロとの国際社会の戦い』に対する反作用は、12カ国においてテロ事件を誘発し、数千人に上る一般市民の犠牲者を作りだしました。

 

一時は追いつめられたアルカイダも今や息を吹き返したどころか勢力範囲を一層拡大させてしまい、さらに残虐なISIL(別名ISIS)を生みだし、まるでフランチャイズ・チェーンのように世界中に触手を広げ、各国で無差別テロを繰り返す一匹狼のテロリストを作りだしそのバックアップをしています。

 

2001年の同時テロを目の当たりにした私は、当時のアメリカの一般市民、そして政府関係者の反応がだいたい3通りに分かれていることに気がつきました。

 

アメリカ人の多くは、なぜアメリカがアルカイダが行なったような攻撃を受けることになったのか、その理由が解らずに混乱していました。

彼らは文献を検証するなどしてイスラム教を理解するための努力を重ね、なぜ一部のイスラム教徒が犯罪者と化したのか、理由を突き止めようとしました。

 

ブッシュイラク戦争

そしてアメリカはその手に持った巨大な軍事力をアフガニスタンに対し、最大規模で行使したのです。

さらにその18ヵ月後には、イラクに対し大規模な攻撃を仕掛けました。

それは、国際的なテロ行為に対する20世紀で最大規模の、そして最も長期に渡る軍事作戦に拡大しました。

なぜそこまで大規模な軍事作戦が必要だったのか、公平な立場のアナリストやオブザーバーによって解明されなければならないはずですが、それはアメリカ社会においても、アラブ社会においても、公の議論が行なわれた事はありません。

 

〈 後篇に続く 〉

※この稿の筆者であるラミ氏は、ベイルートのアメリカ大学のイッサム・ファレス研究所のシニア・フェローです。

http://www.aljazeera.com/indepth/opinion/2016/09/911-terror-militarism-war-fear-160911055050615.html

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やっと【星の金貨】オリジナルサイト( kobajun.chips.jp/ )のウィルス駆除が完了、グーグルに再審査を求めブラックリストから外してもらうことができました。
色々ご迷惑をおかけし、大変申し訳ございませんでした。
これで、パソコンの方は警告が出なくなったと思います。
当面は【星の金貨NEW】( kobajun.biz/ )と内容を同期させながら、掲載を続けてまいりますが、【星の金貨NEW】の方がセキュリティレベルが高くなっていますので、できればこちらをご利用ください。
これからもよろしくお願い致します。

 

私はビン・ラディンが「殺害」された時、なぜ逮捕・拘禁ではなく特殊部隊による射殺なのか釈然としませんでした。
法による秩序が否定されてしまったと感じたからです。
私たちが暮らす社会の平和は法によって秩序づけられているのか、それとも『力』によってそれがなされてしまうのか?
不幸に突き落とされる人を一人でも少なくするために、私たちはどちらを選ぶべきなのでしょうか?

 

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【 9月14日の報道写真から 】

アメリカNBCニュース 9月14日

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台湾南部に襲いかかった台風14号。14日の高雄市内。(写真上)

9月15日、倒壊した高雄港のブリッジ・クレーン。(写真下・以下同じ)

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http://www.nbcnews.com/slideshow/typhoon-meranti-strikes-southern-taiwan-n648456

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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