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【 2020年代、暴騰するウラン燃料コストが、世界中で原子力発電を崩壊させる!】《後篇》

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所要時間 約 6分

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このまま原子力発電を続ければ、世界は深刻な電力不足に陥る
原子力発電を中核に据えるエネルギー戦略は、今後10年以内に行き詰る

ナフィーズ・アフメド / ザ・ガーディアン(英国) 2013年7月2日

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▽緻密に計算された原子力発電の段階的廃止が必要

2025年にウラン燃料の供給崩壊が起きないようにするためには、世界は「緻密に計算された原子力発電の段階的廃止」を進める必要がある、この新たな研究結果が指摘しています。

報告書が示すもう一つの選択肢は、アメリカとロシアが軍事用として貯蔵するウラニウムを、2013年から直ちに市場に放出することです。
しかしアメリカもロシアも、『原子力発電の段階的廃止』を選択してはいません。

「結局、ウラン燃料の爆発的高騰により、世界の原子力発電は原料調達の不能と発電ストップという混乱の中で、それ以上の継続不能により次々止めざるを得なくなっていくでしょう。」

今回の研究を率いた、欧州原子力研究機構(CERN)の核物理学者で、スイス連邦工科大学のマイケル・ディットマー博士がこう語り、さらに以下のように解説しました。
「英国が今回採用した、原子力発電を中核に据え、国内の電力需要を賄っていくというエネルギー戦略は、今後10年以内に崩壊することになるでしょう。」

米国、中国とインドはいずれもこれからの数十年間、原子力発電による電力生産を増やしていくことになっていますが、英国同様、どの国もこんごウラン燃料の調達が難しくなるという問題を見落としています。

ディットマー博士は、アメリカ国内の原子力発電所の原料の50%を供給している、ロシアの軍用ウラン燃料の貯蔵分をアメリカ側に売り渡す契約が、今年の後半に終了する点を指摘しました。

「アメリカは今後2、3年以内に、老朽化した原子炉を順次廃炉にしていくか、それともアメリカ軍が貯蔵している軍用のウランを市場に放出するか、いずれかの決断を迫られることになります。

中国原発建設02
中国も似たような難しい状況に直面しています。

2008年には6基、2009年9基、2010年10基と3年間で25基の原子炉を建設した中国ですが、2011年~2013年に建設が介されたのは、2012年の4基だけだったのです。

中国の原子炉建設は実は福島第一原発の事故発生以前に、ブレーキがかかり始めていたのです。」

ディットマー博士は、このような状況が現実になる可能性について、すでに数年前に指摘をしていました。

彼は英国の原子力発電を中心に据えたエネルギー戦略について、さらに次のように指摘しました。
「これからの10年間、計画通りに原子力発電を行うために必要なウラン燃料の総量について、詳細な計算を行っているのかどうか、英国政府に尋ねてみる必要があります。答えは無いはずです。答えが無いという事は、今後10~20年間のウラン燃料の調達については、何も具体的な契約が存在しないということなのです。」

ディットマー博士は実際にこの質問を、英国エネルギー省と英国地球温暖化対策庁に対し行いました。

これに対し同省のスポークスマンは
「ことは商取引上の極秘事項に該当するものであり、回答することはできない。」
と断り、さらに次のように続けました。
「質問そのものが、回答することが難しい技術的問題を抱えている。」

EDF
ディットマー博士は最後次のように語りました。
「要するに、原子力発電を行うためのウラン燃料を獲得するための取り組みは、電力各社がそれぞれの責任で行いなさい、という事なのです。英国の原子力発電のほとんどはEDFが所有・運営しています。」

※ナフィーズ・アフメド博士は、英国の政策調査・開発研究所の役員です。
ツイッター・アカウントは@nafeezahmedです。

〈 完 〉

http://www.guardian.co.uk/environment/earth-insight/2013/jul/02/nuclear-energy-crunch-uranium-peak-blackouts?INTCMP=SRCH
+ – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – + – +

アメリカですら、軍用のウランを転用するか、原子力発電を廃止するか、いずれかの選択を迫られるのです。
軍用のウランなど持っているはずがない日本は、いったいどうすべきなのでしょうか?
誰が考えてもわかるはずです。

処理不能のまま、積み上がっていく高放射性核廃棄物の存在は、もはや原子力発電を止めなければならない時が来ていることを伝えています。
そして今、ウラン燃料が決定的に不足することにより、原子力発電が継続できなくなることが解りました。

原子力発電を利用した成長戦略、そんなものはまやかし以外の何ものでもないことが、ついに明らかにされたのです。

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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