ホーム » エッセイ » 【 事故発生から6年 – なおも苦しみ続ける福島の女性とこどもたち 】
日本政府当局の対応のまずさと不誠実さにより、数々の不当な扱いを受けてきた福島の女性と子供たち
福島第一原発の事故により、いったいどれだけの家庭が離散に追い込まれたのか、公式な統計はない
カタリーナ・ベッカー / ドイチェ・ヴェレ 2017年3月10日
日本政府は第一原発事故後の福島が限りなく正常に近づいていると思い込ませようとしている、しかし母親たちと子供たちにとって、原子力災害は終息などというものとは程遠い状況にあるとグリーンピースが証言しています。
数千人の福島の母親たちが、政府当局に対し訴訟を起こしました。
6年前に発生した三重災害 - 巨大地震と巨大津波がきっかけとなり、福島第一原発の3基の原子炉がメルトダウンを引き起こした3.11の巨大災害 – は約20,000人の命を奪い、160,000人以上に自宅を捨てた避難生活を強いることになりました。
そして現在も尚80,000人以上の人々が仮設住宅での暮らしを続けています。
この災害は被害を受けたコミュニティのすべての人々に大変な影響を与えました。そして今日に至るまで女性と子供たちが「この災害に起因する人権侵害の矢面に立たされている」とする報告書をグリーンピースが公表しました。
福島の女性と子供たちは、福島第一原発の事故が発生した直後に行政側の対応のまずさによって数々の不当な扱いを受けてきました。そして今度は現在の安倍政権が住民たちを『放射能汚染がまだまだひどい状態にある』地域に帰還させる計画に着手したことにより、また別の人権侵害にさらされているとグリーンピースが告発しました。
可能な限り早く福島を正常な状態に戻したいとする日本政府は、福島第一原発周辺の地域でこれまで出されていた避難命令を3月末には解除した上で、避難していた住民たちの帰還を許可する方針です。
従業員は、福島で小学校を掃除します。 それは、4月に再開する予定です。
財政援助を失う脅威の下で、しかしグリーンピースはこれらの地域が未だ危険な程に放射線量が高いと警告した上で、日本政府に対し、財政支援を失うかもしれないという脅威を与えることにより帰還するよう圧力をかけることを止めるよう、日本政府に対して求めました。
これら避難命令が出されていた地域が安全だと宣言された一年後、日本政府は避難者に対する補償の支払いを打ち切る方針です。
さらに日本政府は、避難指定区域以外に居住していた人で自主避難している人々に対する住宅支援も3月で打ち切る方針です。
「自主避難を行なっている人々に対する住宅支援を打ち切ることは10,000以上の家庭の家計を脅すことになります。そして自らの意思に反して、汚染された場所に戻って生活を再開せざるを得ないよう、暗に強制することにもなります。」
グリーンピース日本で世界のエネルギー問題に取り組んでいるケンドラ・ウルリッヒ氏がこのように指摘し、補償や支援の打ち切りは
「多くの地域で長期計画に基づく放射線量を上回っているにも関わらず、経済的に不利な状況を人為的に作りだそうとするやり方は計画的な法律違反であり、生存者に対する人権侵害です。」
と語りました。
▽ ゲンパツ離婚
原発事故の被災地への帰還計画は、帰還を拒否する一方で生活の一部を財政支援によって賄わざるを得ない家庭、中でも母親と子どもたちだけの家庭にとっては深刻な問題であり、不安と困惑を招いています。
原発事故の後、多くの女性が汚染された被災地で仕事を続けなければならない夫を残したまま、子どもたちを連れて避難しました。
中には離婚を余儀なくされた人たちもいました。
福島第一原発の事故が発生したことにより、いったいどれだけの家庭が離散に追い込まれたのか、公式な統計はありません。
しかし『ゲンパツ離婚』という言葉が一般に使われるようになる程、こうした現象はごく当たり前に発生することになりました。
こうした母親たちは子どもたちを連れ、福島を出る形で避難しました。
現在彼女たちは住宅への財政支援を打ち切られるか、あるいは汚染されていることを覚悟でかつての居住地に戻るか、いずれかを選択するよう迫られているのです。
避難者が帰還する速度を上げさせるため、日本政府は汚染された全域の除染を行う代わりに、人が通る場所と主に暮らす場所だけを除染しました。
そして住民を帰還させるための目には見えない事実上の『屋外収容所』を作ったに等しいと、グリーンピースが語っています。
除染が完了したのは多くの場合、道路沿いの幅20メートルの地帯、そして宅地と農業用地です。
こうした状況から、帰還をした人々は除染されていない汚染された場所に囲まれて暮らすことになり、健康上の脅威があることは明らかです。
母たちはとりわけ子供たちの健康と成長について懸念を持っています。
いわき明星大学で臨床心理学を専門にする窪田憲子教授は、「安全宣言が行なわれた場所」で子どもたちが長期間生活を続けた場合、健康上の悪影響が発生することを確信しています。
「もし子供たちが屋内にいることを強制され、自由に外で走り回ることができない生活を続ければ、心の成長に必ず悪影響を及ぼすことになります。子供たちは互いに影響し合い、感情をコントロールする精神面での成長などが阻害される恐れがあります。」
ドイチェ・ヴェレの取材対し、久保田教授がこう語りました。
▽ 政府機関を訴える母たち
しかし原発事故によってこうした犠牲を強いられることに、物言わぬままでいることから脱却しようとしている女性たちがいます。
日本政府による住宅支援の継続と公正な補償の実施を求め、数千人の母親たちが一斉に訴訟を起こしました。
彼女たちは福島第一原子力発電所を経営していた東京電力、そして日本政府当局を訴えました。
「私はこれまで裁判の原告になる自分を想像したことなどありませんでした。 でも私は、子供たちのために、そして次の世代の人々のために現在、裁判を戦っているのです。」
福島から京都まで子供たちと一緒に移転した母親である堀江さんがドイチェ・ヴェレの取材対しこう語りました。
堀江さんは京都で他の母親たちとともに集団訴訟を起こしました。
「事故発生当時、政府当局者はテレビで直ちに健康被害が発生することは無いと語っていました。しかし将来私たちの子どもに影響が現れるかもしれません。それが私たが移転を決意した理由です。」
汚染された地域から避難した女性たちは、
「神経過敏や不合理などと言うレッテルを貼られました。」
グリーンピースがこう証言しました。
彼女たちが抱いた懸念はその夫、あるいは政府当局、その両方に無視されました。
今回訴訟が起こされた背景には、財政的な補償を求めることだけが目的ではなく、社会的正義を実現させたいという願いも込められています。
「私には法廷で述べたいことがあります。そして私には子供を避難させるたことは正しいという確信があります。」
子どもたちとともに福島から避難し、現在は英国で生活している園田さんがこう語りました。
「正しいのは私たちです。」
http://www.dw.com/en/six-years-after-fukushima-women-and-children-still-suffer-most/a-37871135
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棄民という言葉があります。
文字通り、民を見殺しにするという意味です。
21世紀の『最先進国』を自称する国の政府がそういう事をして良いのかどうか、私たち国民はもっと真剣に、深刻に考える人要があります。
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【 メトロポリタン美術館375,000点の収蔵作品をデジタル化、無料提供 】《12》
ニューヨーク・メトロポリタン美術館
ニューヨークのメトロポリタン美術館はそのコレクションをデジタル化し、無料で375,000点に上る画像データを公開しました。
いずれも公有財産として、無料で制約なしで利用することが出来ます。
アンリ・ルソー(フランス: 1844–1910)作[ライオンの食事]油彩、1904。
この作品は、1903年マティス、ルオー、ボナールなどの参加によって始まったフランスの美術展覧会のサロン・ドートンヌ展(またはサロン・ドトンヌ)の1907年の展覧会に出品されたと考えられています。
ルソーにはジャングルをテーマにした作品が多数ありますが、このシリーズに着手したのは1891年、その作品『驚き!』はロンドンの国立ギャラリーに収納されています。
ルソーはジャングルの珍しい植物の写真を大量に所蔵し、それに動物園でのスケッチを加え、人気の高いこのシリーズを描きあげました。
彼は20数年間パリ市の税官吏を務めた日曜画家でした。
http://www.metmuseum.org/art/collection/search/438822