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【 日本の六ヶ所村再処理工場、脅かされる日本の原子力関連施設 】〈1〉

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所要時間 約 8分

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なぜ日本は脆弱な警備体制の下、プルトニウム備蓄を積み増しているのか?
日本の原発に求められる「もうひとつの安全」懸念を強める西側先進各国、そしてアメリカ政府

 

ダグラス・バーチ、ジェフリー・スミス、ジェイク・アデルスタイン、センター・フォア・パブリック・インテグリティ(公正中立の社会正義) / アメリカNBCニュース 2014年3月11日

六ヶ所村
青いストライプの外壁と大きい鋼鉄製の冷却塔が林立する海沿いにあるこの大規模コンビナートは、一見するところ消費者向けの家電製品の工場施設のようです。
しかし実際は、東京の北700キロメートルに位置するこの場所は、世界最新最大規模の、そして西側世界で最も問題となっている核燃料、そして核爆弾の材料を『生産し得る』施設なのです。
この施設の所有者である日本企業は3ヵ月前、予定を大幅に上回る数十年間の建設期間を経て、日本国内の新型原子炉に燃料を供給する計画を現実にするための生産活動を今年10月に開始する予定であると公表しました。
10月のどの時点かでこの施設が稼働を始めれば、何千ガロンもの白い粉末状のウランとプルトニウムの混合核廃棄物の詰まった鋼鉄製のキャニスターを生産する事になります。

 

アメリカ政府は日本国内の原子力関連施設の警備を強化するよう求めましたが、武器を持たない警備員しかいない状況に変化はありませんでした。
日本はこの施設で、理論的には膨大な数の核兵器を生産できる量のプルトニウムを取り扱う事になります。

フランスとイギリスに預けてある35トンのプルトニウムに加え、すでに日本は9.3メートルトン(9,300キログラムに相当)のプルトニウムを六ヶ所村と国内9ヵ所の原子力発電所に保管しています。
現実には日本は世界で第5位の量、世界全体の9%のプルトニウムをシビリアンコントロールの下に保有する国家なのです。
この数字には330キログラムの、純度が高いプルトニウムが含まれていますが、これは核兵器製造に最も適しています。
このプルトニウムについては日本はアメリカへの返還に同意しました。

 

111322

六ヶ所村の再処理施設が計画通りに稼働すれば、日本のプルトニウム備蓄量は5年間で現在の2.5倍の量にまで増える可能性があります。
これは六ヶ所村再処理工場で作られるプルトニウム核燃料を使用する目的で作られた原子炉が完成してから20年で初めて、この燃料が使われる事になるからです。

さらに六ヶ所村再処理工場で作られた核燃料を、日本国内の標準的な原子炉で使用できるかどうかは、原子力規制委員会の監査や国内の政治状況というハードルを乗り越え、日本政府が原子力発電所の再稼働の推進を進められるかどうかにかかっています。

この施設がフル操業すると、年間に8メートルトンのプルトニウムを生産する事が可能になります。
この量はTNT火薬20,000トン相当の爆発力を持つ核兵器、2,600発を製造する事を可能にします。
6.5ポンド、グレープフルーツ1個程の量のプルトニウムがあれば、強力な破壊力を持つ核爆弾を作る事は可能なのです。
専門家によれは一番の問題は、魔法瓶1本分のプルトニウムが犯罪者やテロリストの手に渡れば、壊滅的な破壊が行われる危険性があるという事です。

六ヶ所村再処理工場はプルトニウム燃料で稼働する増殖炉を中心に据えた、世界初のエネルギー・システムを構築する計画の基盤となる施設です。
そして、増殖炉が消費するより多くのプルトニウムを生産します。
安倍首相はせんゲンツ、日本のエネルギー基本計画を明らかにし、国家として核燃利用サイクル事業の継続を宣言し、近隣のアジア諸国の懸念をかき立て、オバマ政権内の担当者も含めた核兵器の拡散を懸念する西側各国の専門家を憂慮させる事になりました。

日本のこの計画について公的にはアメリカ政府は、ほとんど何も指摘などをすることはしてきませんでした。
このため日本側はこれまで、相当量のプルトニウムの備蓄を積み増し続けることになりました。

しかしバラク・オバマ大統領は政権に就いた直後から、六ヶ所村に備蓄されているプルトニウムがテロリストの攻撃目標になる可能性がある事を、日本側に対し警告を続け、ワシントンにおいても政界・外交界を問わず熱心にロビー活動をおこなってきました。
特に日本側について、危険な核物質の管理を厳重にするよう求め続けてきました。

111324具体的には、六ヶ所村の警備体制について、白い手袋をした無腰のガードマンと少人数の駐在警察官による体制に代わって、強力な防御態勢を築くよう強く説得を続けてきました。
これまでのところ、その説得工作は成功していません。
さらにはこの場所で働いている2,400人の労働者について日本側はあえてそのプライバシーに触れないようにしていますが、アメリカ側はその背景の徹底したチェックを行うようにも求めています。

日米の外交関係に精通している両国の専門家や政府関係者に話を聞くと、この問題はアメリカ政府側が一方的に主張しているものです。

アメリカ側が繰り返し指摘したことにより、日本側は六ヶ所村と他の核関連施設、原子力発電関連施設の警備体制は強化されつつあります。
しかしアメリカ政府関係者はその改善のスピードがあまりに遅く、かつ少しずつしか改善しないと不満を露わにしています。

この日米間のやり取りは、両国の警備保安体制に対する考え方の違いを際立たせることになりました。

日本はアメリカと比べると、原子力関連施設、核関連施設が引き起こす事故や災害について、想定も準備も最小限のものに留まっていることが明らかになりました。
日本政府の原子力関連機関も電力会社も、こと安全や警備の問題となるとその対応は常に後手に回っていました。
そして日本の政治指導者たちは原子力関連施設の安全対策と警備体制の構築については、アメリカやその他の西側先進社会の平均水準にまで高めることに、ほとんど関心を示さずに来たのです。

日本の関係者の中にはアメリカ側の担当者に対し、日本のような平和な社会には、核物質を奪って事件を起こそうとするような人間はいないはずだと語りました。
しかし各国のこの問題の専門家とアメリカ側の当局者は、こうした甘い観測を言下に否定しました。

他の日本の当局者はどれ程危険な原子力関連施設においても、日本では銃を持った人間などきわめて稀であるため武装警備などは不要であり、個人のプライバシーが熱心に守られる社会では関係者の身元を徹底的に調査することは受け入れがたい行為だと語りました。

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「そのシステムは、日本社会で暮らす人間が予想外の行動に出ることなどない、という考え方に基づいています。」
オバマ政権でこの問題を担当する上級職の政府関係者がこう語りました。
「結果としては、眼前にある問題しか認識しないという態度に終始することになり、原子力関連施設が潜在的に持っている危険性を無視していることになります。」

 

〈 第2回につづく 〉

http://www.nbcnews.com/storyline/fukushima-anniversary/japan-producing-huge-lightly-guarded-stockpile-plutonium-n49376

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