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【 経済成長の美名の下、大型公共事業を『大復活』させた安倍政権 】《後篇》

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所要時間 約 7分

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ばらまかれている公共事業予算が、経済成長のため『有効に利用されている』事例は見つかりません
ほんとうに『景気は回復した』のでしょうか?停滞したままの個人消費、そして有効求人倍率
公共事業のバラまきで、真の経済成長が実現できるのでしょうか?

田淵ひろ子 / ニューヨークタイムズ 12月8日

日本経済02
安倍首相は昨年12月、衆院選で自民党を勝利に導くと、矢継ぎ早に政策を打ち出しました。
就任して2週間経つか経たないうちに、景気刺激策の第一弾として10兆円に上る公共事業投資を発表しました。

それから数日、佐賀県議会は独自の280億円の包括的刺激法案を可決しましたが、予算の5分の4がインフラ整備につぎ込まれる内容のものでした。
佐賀空港の滑走路は再舗装されなければならない、そして道路の拡幅も必要だと議員たちは発言しました。
県は空港内の和式のトイレを西洋式のものに一新する計画すら実行に移し始めました。

佐賀での公共事業契約は、6ヵ月連続で増え続けました。佐賀県は、増え続ける入札件数をさばききるため、47人の臨時職員を急きょ雇い入れなければならなくなった程でした。

全国では、最初の第一四半期に4兆円の公共事業費がつぎ込まれ、この10年で最高レベルに達することになったのです。
「一本の道路が通じることで、たとえ一人でも利便性が向上すれば、所期の目的は達成されたことになるのです。」
佐賀県議会の自民党所属の稲富議員がこう語りました。

日本経済03
しかし投資が必ず成功するという保証が得られない中、建設会社は雇用と設備投資の拡大にはためらいを見せています。
公共事業工事の案件は増え続ける一方ですが、機材と労働者の確保が難しく、入札の不成立も増え続けています。
「たくさんの仕事がありますが、調子に乗って事業を拡大することはあまりに危険です。政府の政策はいつ変更になるか解りませんから…」
地元最大の企業のひとつ、岸本組の岸本社長がこう語りました。

もし他のアベノミクス政策が広範囲に充分な成果を挙げているのであれば、この会計年度の実績をそれ程懸念する必要はありません。

しかしここ佐賀県だけを見ても、ばらまかれている公共事業予算が、経済成長のため『効果的に利用されている』事例など見つけることはできません。

景気回復の指標となる資金需要に
「今年は特に目立った動きはありませんでした。」
県内最大の資金供給機関である佐賀銀行の広報担当の西久保氏がこう語りました。

そしてこの場所の消費者は、支出を増やすこともできず、増やすべき理由を見つけることもできませんでした。

重要な景気指標のひとつである有効求人倍率は、2013年9月は0.77と、停滞を続けました。
建設分野における求人数の増加が20%では、他の分野における求人数の少なさまでは補いきれない、佐賀県庁の見解です。

日本銀行の福岡支店が公表した11月の報告によると、需要が弱いために消費者物価指数が上昇しないのと同様、求人数が改善しない労働市場においても、賃金水準も停滞したままになっています。

佐賀県02
約40年に渡り、佐賀県内でエレクトロニクス製品の店を経営してきた丸子みつ子さんは、これまでアベノミクスが景気を押し上げているというニュースを見聞きしてきたが、自分の店の売り上げを見る限り景気は改善していないと語りました。

彼女の小さな店は佐賀県唐津市の岩屋地区で、未だに商売を続けている数少ない小売店のひとつです。
彼女が商売を続けてきた間、たくさんの若者たちがこの地を去っていきました。
丸子さんは外から資金を借り入れたり、まして事業を拡大しようなどと言う気にはなれないと語りました。
売上は、過去20年の間下がり続けてきました。
「全然、何も変わりませんでした」
丸子さんがこう語りました。

しかし佐賀県唐津市では、安倍首相の経済成長政策の別の面を利用する取り組みが始まろうとしています。
起業、そして企業の成長を妨げる官僚主義にメスを入れることです。

ブルームという名の地元企業のひとつが、輸入化粧品のテストを繰り返しながら、農家や小規模な工場と共同で地場の産品を生かした化粧品と香水作りにチャレンジしようとしています。

佐賀県01
公共事業建設に投下された数十億円と比べればスズメの涙の金額ですが、唐津市はこの取り組みにこれまで1,000万円の予算を割り当てました。
共同事業に取り組んでいる人たちは佐賀県に対し『経済特区』の指定を求めています。
経済特区に認定されれば軽減税率が適用され、雇用や解雇に関する制限も緩和され、様々な優遇措置が取られることになります。

佐賀県では伝統的にハーブの生産が盛んですが、佐賀県の当局者はこの化粧品の材料の生産がきっかけとなって農業の構造改革が促され、新しい形の農業が誕生することを期待していると語ります。

「アイディアの中心となっているのは、佐賀県で何か新しい物を生み出すことです。」
ブルームの最高責任者である山崎氏がこう語りました。
「真の成長のためには、新しい発想が必要なのです。」
〈完〉

http://www.foxnews.com/world/2013/12/15/japan-lacks-decommissioning-experts-for-fukushima-nuke-crisis-with-none-at/
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日本の政治はテレビを使ったショービジネスなのか?

と事を最近強く感じています。
26日の安倍首相と沖縄県知事の会談にしても、事実をコツコツと積み上げてきた結果を淡々と報告しているというより、広告代理店のコピーライターが考えたセリフを、筋書き通りに双方が読み上げているような印象を受けました。

そして発表された内容を注意深く読むと、大きなテーマはアメリカという相手との交渉次第でどうなるかわからないはずであり、確実に実現できるのは毎年3,000億円以上の政府予算を沖縄県につぎ込むという一項だけのはずです。
今回のニューヨークタイムズの記事にもある通り、結局はカネ、カネ、カネの話だったのか…
そう思えてきます。

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ほんとうの「今」を知りたくて、ニューヨークタイムズ、アメリカCNN、NBC、ガーディアン、ドイツ国際放送などのニュースを1日一本選んで翻訳・掲載しています。 趣味はゴルフ、絵を描くこと、クラシック音楽、Jazz、Rock&Pops、司馬遼太郎と山本周五郎と歴史書など。 @idonochawanという名前でツィートしてます。
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